(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-110891(P2015-110891A)
(43)【公開日】2015年6月18日
(54)【発明の名称】壁埋め込み式湯水混合栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/044 20060101AFI20150522BHJP
F16K 11/074 20060101ALI20150522BHJP
E03C 1/02 20060101ALI20150522BHJP
【FI】
E03C1/044
F16K11/074 B
E03C1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-208553(P2014-208553)
(22)【出願日】2014年10月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-222989(P2013-222989)
(32)【優先日】2013年10月28日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】株式会社三栄水栓製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】西岡 利明
(72)【発明者】
【氏名】芝原 翔
【テーマコード(参考)】
2D060
3H067
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060AC05
2D060BB01
2D060BB07
2D060BC02
2D060BE01
2D060BE11
2D060BE16
2D060BF01
3H067AA13
3H067CC46
3H067DD03
3H067DD12
3H067DD23
3H067EA02
3H067EA23
3H067EB23
3H067FF02
3H067GG13
(57)【要約】
【課題】吐止水及び温調が一操作で可能となる壁埋め込み式湯水混合栓を提供すること。
【解決手段】湯水混合部2が壁W内に設置され、前面カバー5に一つの混合栓操作具3及び吐出口4が設けられている壁埋め込み式湯水混合栓1であって、前記混合栓操作具の一方向への移動により順次止水から低温水、高温水へと切換えられ、他方向への移動により順次高温水から低温水、止水へと切換えられるように構成してある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水混合部が壁内に設置され、前面カバーに一つの混合栓操作具及び吐出口が設けられている壁埋め込み式湯水混合栓であって、前記混合栓操作具の一方向への移動により順次止水から低温水、高温水へと切換えられ、他方向への移動により順次高温水から低温水、止水へと切換えられるように構成してある壁埋め込み式湯水混合栓。
【請求項2】
前記混合栓操作具がダイヤル式の操作具である請求項1に記載の壁埋め込み式湯水混合栓。
【請求項3】
前記混合栓操作具がつまみ式の操作具である請求項1に記載の壁埋め込み式湯水混合栓。
【請求項4】
壁に形成された取付穴に取り付けられたハウジング本体と、ハウジング本体内に設置されたカートリッジと、カートリッジの内部に設けられたセラミック製ディスク状のバルブとを有し、
前記バルブは固定ディスクと前記混合栓操作具により回動する可動ディスクとよりなり、
固定ディスクは、湯配管に連通する湯用弁孔と水配管に連通する水用弁孔とを有し、可動ディスクは、固定ディスクに対し回動自在に摺動するよう構成されているとともに、可動ディスクには単一の開口が形成されており、
可動ディスクの前記開口と固定ディスクの前記両弁孔の重なり具合により、止水、低温水、高温水に切換えられるよう構成されている一方、
可動ディスクの前記開口から流出した水または湯水が、前記カートリッジの側壁に形成された孔から流出し、さらにハウジング本体に設けられた吐出口から吐出されるよう構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の壁埋め込み式湯水混合栓。
【請求項5】
壁に形成された取付穴に取り付けられたハウジング本体と、ハウジング本体内に設置されたカートリッジと、カートリッジの内部に設けられたセラミック製ディスク状のバルブとを有し、
前記バルブは固定ディスクと前記混合栓操作具により回動する可動ディスクとよりなり、
固定ディスクは、湯配管に連通する湯用弁孔と水配管に連通する水用弁孔と前記ハウジング本体に設けられた吐出口に連通する混合用弁孔とを有し、可動ディスクは、固定ディスクに対し回動自在に摺動するよう構成されているとともに、可動ディスクには単一の凹入部が形成されており、
固定ディスクの混合用弁孔と可動ディスクの凹入部とが重なる状態で、可動ディスクの前記凹入部と固定ディスクの前記湯用弁孔及び水用弁孔との重なり具合により、止水、低温水、高温水に切換えられるよう構成されている一方、
可動ディスクの前記凹入部で折り返し前記混合用弁孔から流出した水または湯水が、前記カートリッジの底部に形成された孔から流出し、さらにハウジング本体に設けられた吐出口から吐出されるよう構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の壁埋め込み式湯水混合栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機、浄水器、食器洗い機等へ給水する壁埋め込み式湯水混合栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、洗濯機用ホースを介して洗濯機へ水のみならず湯水混合水をも供給できる壁埋め込み式湯水混合栓が開示されている。これは、吐止水と流量調整を行うセラミック製のバルブが内蔵されているカートリッジと、湯水混合比率を変える温度調整器(ミキシングカートリッジ)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3962268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この湯水混合栓は、壁に設置された前面カバーに吐止水用と温調用の二つの操作具が設けられており、吐止水と温調を行うのに二操作必要となる。
【0005】
この発明の目的は、吐止水及び温調が一操作で可能となる壁埋め込み式湯水混合栓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、この発明は、湯水混合部が壁内に設置され、前面カバーに一つの混合栓操作具及び吐出口が設けられている壁埋め込み式湯水混合栓であって、前記混合栓操作具の一方向への移動により順次止水から低温水、高温水へと切換えられ、他方向への移動により順次高温水から低温水、止水へと切換えられるように構成してある壁埋め込み式湯水混合栓を提供する(請求項1)。
【0007】
この発明では、前記混合栓操作具がダイヤル式の操作具であるのが好ましい(請求項2)。また、この発明では、前記混合栓操作具がつまみ式の操作具であるのが好ましい(請求項3)。
【0008】
また、この発明では、壁に形成された取付穴に取り付けられたハウジング本体と、ハウジング本体内に設置されたカートリッジと、カートリッジの内部に設けられたセラミック製ディスク状のバルブとを有し、
前記バルブは固定ディスクと前記混合栓操作具により回動する可動ディスクとよりなり、
固定ディスクは、湯配管に連通する湯用弁孔と水配管に連通する水用弁孔とを有し、可動ディスクは、固定ディスクに対し回動自在に摺動するよう構成されているとともに、可動ディスクには単一の開口が形成されており、
可動ディスクの前記開口と固定ディスクの前記両弁孔の重なり具合により、止水、低温水、高温水に切換えられるよう構成されている一方、
可動ディスクの前記開口から流出した水または湯水が、前記カートリッジの側壁に形成された孔から流出し、さらにハウジング本体に設けられた吐出口から吐出されるよう構成されているのが好ましい(請求項4)。
あるいは、この発明では、壁に形成された取付穴に取り付けられたハウジング本体と、ハウジング本体内に設置されたカートリッジと、カートリッジの内部に設けられたセラミック製ディスク状のバルブとを有し、
前記バルブは固定ディスクと前記混合栓操作具により回動する可動ディスクとよりなり、
固定ディスクは、湯配管に連通する湯用弁孔と水配管に連通する水用弁孔と前記ハウジング本体に設けられた吐出口に連通する混合用弁孔とを有し、可動ディスクは、固定ディスクに対し回動自在に摺動するよう構成されているとともに、可動ディスクには単一の凹入部が形成されており、
固定ディスクの混合用弁孔と可動ディスクの凹入部とが重なる状態で、可動ディスクの前記凹入部と固定ディスクの前記湯用弁孔及び水用弁孔との重なり具合により、止水、低温水、高温水に切換えられるよう構成されている一方、
可動ディスクの前記凹入部で折り返し前記混合用弁孔から流出した水または湯水が、前記カートリッジの底部に形成された孔から流出し、さらにハウジング本体に設けられた吐出口から吐出されるよう構成されているのが好ましい(請求項5)。
【発明の効果】
【0009】
この発明では、湯水混合部が壁内に設置され、前面カバーに一つの混合栓操作具及び吐出口が設けられている壁埋め込み式湯水混合栓であって、前記混合栓操作具の一方向への移動により順次止水から低温水、高温水へと切換えられ、他方向への移動により順次高温水から低温水、止水へと切換えられるように構成しているので、吐止水及び温調が一操作で可能となり、壁に設置された前面カバーに吐止水用と温調用の二つの操作具が設けられているため吐止水と温調に二操作必要となるという従来の壁埋め込み式湯水混合栓が持っている課題を解決することができる。
【0010】
また、従来の壁埋め込み式湯水混合栓では、一つの吐出口以外に、一つの吐止水用操作具と一つの温調用操作具を有するが、この発明では、一つの吐出口以外に、一つの混合栓操作具を有するだけなので、従来の壁埋め込み式湯水混合栓の場合に比べて壁に形成された取付穴(壁穴)を大きく開ける必要は無くなるとともに、壁内に設置される湯水混合部も従来の壁埋め込み式湯水混合栓の場合に比べてコンパクト化できる。すなわち、この発明では、混合栓操作具の操作性を向上することができるとともに、壁内に設置される湯水混合部をコンパクト化できるため、壁穴が小さくて済み、施工作業の効率化をも向上させることができるという作用効果を一挙に奏しうる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の一実施形態に係る壁埋め込み式湯水混合栓を示す正面図である。
【
図3】上記実施形態で用いられる湯水混合部、混合栓操作具及び吐出口を示す構成説明図である。
【
図4】(A)は、上記実施形態における可動ディスクの開口と固定ディスクの湯用弁孔及び水用弁孔のそれぞれの重なり具合を示す説明図である。(B)は、上記それぞれの重なり具合における可動ディスクの開口位置を示す説明図である。(C)は、上記可動ディスクが回動自在に摺動する摺動面側を示す図である。
【
図5】この発明の別の実施形態に係る壁埋め込み式湯水混合栓を示す正面図である。
【
図6】(A)は
図5におけるb−b線概略断面図、(B)はカートリッジの内部構成を示す縦断面図である。
【
図7】上記別の実施形態で用いられる湯水混合部、混合栓操作具及び吐出口を示す構成説明図である。
【
図8】(A)は、上記別の実施形態における可動ディスクの凹入部と固定ディスクの湯用弁孔及び水用弁孔のそれぞれの重なり具合を示す説明図である。(B)は、上記それぞれの重なり具合における可動ディスクの凹入位置を示す説明図である。(C)は、上記可動ディスクが回動自在に摺動する固定ディスクの摺動面側を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1〜
図4は、例えば洗濯機に給水可能に構成されたこの発明の一実施形態を示す。
図1〜
図4において、壁埋め込み式湯水混合栓1は、洗濯機近傍の壁W内に設置されている湯水混合部2と、一つの混合栓操作具3及び吐出口4が設けられている前面カバー5とを備える。吐出口4には、洗濯機の給水ホース(図示せず)の上流端に設けられた継手部材が着脱自在である。前面カバー5は、上下にそれぞれ湯水混合部2が配置可能な開口5aと吐出口4が配置可能な開口5bとを有する。この実施形態では、一つの混合栓操作具3としてダイヤル式の操作具を採用している。そして、この発明では、前記一つの操作具3の一方向への移動により
図4(A)に示すように、順次止水から低温水、高温水へと切換えられ、他方向への移動により順次高温水から低温水、止水へと切換えられるように構成されている。
【0013】
6は、壁Wに形成された取付穴Eに取り付けられたハウジング本体である。7は、ハウジング本体6内に例えば螺着により設置されているカートリッジであり、このカートリッジ7の内部には、セラミック製ディスク状のバルブが設けられている。カートリッジ7は有底筒状で上方開口を有している。前記バルブは固定ディスク8と、後述する栓棒34を介して前記一つの操作具3により回動する可動ディスク9とを備える。固定ディスク8は、湯配管10から供給される湯を取り入れ可能な湯用弁孔11と、水配管12から供給される水を取り入れ可能な水用弁孔13とを有している。なお、この実施形態では、湯配管10及び水配管12として、天井配管を採用している。また、可動ディスク9は、固定ディスク8に対し回動自在に摺動するよう構成されているとともに、可動ディスク9には単一の開口14が形成されている。そして、可動ディスク9の前記開口14と固定ディスク8の前記両弁孔11,13の重なり具合により、止水、低温水、高温水に切換えられるよう構成されている一方、可動ディスク9の前記開口14から流出した水または湯水が、可動ディスク9の下流でカートリッジ7内に形成されている湯水混合室Rを通り前記カートリッジ7の側壁7aに形成された孔7bから流出し、さらにハウジング本体6に設けられた吐出口6aから吐出されるよう構成されている。そして、可動ディスク9は固定ディスク8の摺動面Tに密接した状態で、回転自在(例えば180°)に配置されている。なお、
図4(A)より明らかなように、前記開口14と、前記湯用弁孔11及び水用弁孔13との重なり具合に応じて水の量あるいは湯水(水+湯)の量は変化する。34は栓棒で、カートリッジ7内で固定ディスク8の摺動面Tに対して垂直状態で挿入されている。また、栓棒34の上部には適宜の固定手段によりダイヤル式操作具3が固定されている。そして、ダイヤル式操作具3をまわすと、栓棒34を介して可動ディスク9が固定ディスク8の摺動面T上を回転する。ダイヤル式操作具3には、その操作具本体3aの外周面に、止水の状態なのか、洗濯機へ給水される水または湯水が低温水の状態なのか、高温水の状態なのかを示す目印用の突起3bが設けられている。そして、前面カバー5の前面fにおける操作具本体3aの周囲に沿う3時の位置には止水の状態を示す「止」が記載されており、11時の位置には低温水の状態を示す「C」が記載されており、9時の位置には高温水の状態を示す「H」が記載されている。
図1は、目印用の突起3bが「止」を指していることから止水の状態を示している。なお、栓棒34の中間位置に設けたリング状のスベリパッキン(図示せず)がカートリッジ7内のパッキン受け部(図示せず)に当接することによって栓棒34が回転できるように構成されている。湯水混合部2は、ハウジング本体6、カートリッジ7、両ディスク8,9、栓棒34、ダイヤル式操作具3等から構成されている。また、ハウジング本体6は、図示しない箱状の固定枠に収容され、その固定枠が間柱に取り付けられる。
【0014】
以下、ハウジング本体6およびカートリッジ7の特徴的構成について更に説明する。
図2において、カートリッジ7の側壁7aに形成された前記孔7bの形状としては、側壁7aの一部を適宜の大きさだけ円周方向に切欠いて形成された円周方向に長い長孔が好ましく、これを必要に応じて側壁7aまわりに複数設けてもよい。さらに、カートリッジ7は、後述するハウジング本体6の流入口21及び22を介して流入口21及び22上流の配管10及び12にそれぞれ連通するよう形成された湯連通孔10’及び水連通孔12’を底部7cに有する。一方、ハウジング本体6は、箱状のカートリッジ設置空間部mと、後述する吐出流路iを形成するため設置空間部mから下方に延設された流路形成部nとから構成されている。カートリッジ設置空間部mは、カートリッジ7の設置空間を形成するとともに、流入口21及び22を底部に有している。前記流入口21及び22は、上流側が湯用及び水用配管接続部材(図示せず)を介して配管10及び12にそれぞれ接続され、下流側がカートリッジ7の前記湯連通孔10’及び水連通孔12’にそれぞれ連通している。そして、可動ディスク9の前記開口14から流出し、湯水混合室R、カートリッジ7の側壁7aに形成された孔7bを経てハウジング本体6の吐出口6aから吐出する水または湯水は、ハウジング本体6内に形成されている吐出流路iを下方に流れて吐出口4の入口4aに至るよう構成されている。さらに、カートリッジ7において、固定ディスク8の湯用弁孔11にのみ連通する湯室23と固定ディスク8の水用弁孔13にのみ連通する水室24とを形成するための工夫がカートリッジ7の底部(シート部)7cに施されている。すなわち、25は、前記両室23,24を仕切るための仕切り壁で、底部7cの内側において底部7cから内部に向かって突出した状態でカートリッジ7に一体で形成されている。そして、カートリッジ7の設置空間部m内には、固定ディスク8の摺動面Tとは反対の固定ディスク面が仕切り壁25に水密状態で当接するよう固定ディスク8が設置されている。
【0015】
而して、
図1に示すように目印用の突起3bが止水状態を指しているときは、固定ディスク8の両弁孔11,13を可動ディスク9が閉塞している。この止水状態では可動ディスク9は回転していないので可動ディスク9の回転角度は0°である。同時にダイヤル式操作具3の回転角度も0°である。止水状態のダイヤル式操作具3を、反時計方向(G方向)にまわしていくと、栓棒34を介して可動ディスク9が固定ディスク8の摺動面T上を回転する。
図4(A)に示すように、止水状態からG方向に可動ディスク9を100°回転させると、水のみがハウジング本体6の吐出口6aから吐出され続け、この状態でさらにG方向に可動ディスク9を40°(止水状態からG方向に140°)回転すると、可動ディスク9の前記開口14が固定ディスク8の前記両弁孔11,13に重なり始め、湯水混合室Rにおいて湯水が導入され、この状態でさらに、G方向に可動ディスク9を40°(止水状態からG方向に180°)回転させると、湯の混合比率が最大となり湯水の温度が最高温になる。この間、前記操作具3をG方向へ移動させるだけで、順次止水から低温水、高温水へと切換えられうる。また、高温水の状態から止水へと切換えるには、前記操作具3をG方向とは反対の時計方向へ移動させるだけでよい。
【0016】
なお、上述した湯用及び水用配管接続部材(図示せず)に上下に回動する回動機能を設けることによりこの発明は床配管にも適用できる。また、この発明は、前記操作具としてつまみ式の操作具を用いることもできるが、つまみによる直線運動を回転運動に切換えるための切換機構が必要となる。
【0017】
その他、この発明は種々に変形して実施可能である。そこで、
図1〜
図4に示す実施形態とは別の本発明の実施形態を
図5〜
図8に示す。上記実施形態と別の実施形態とは共通する点も多いので、以下では、主として上記実施形態と別の実施形態との相違点について述べる。
【0018】
図1に示す例では、目印用の突起3bが正面視において3時の方向を向いているときに「止」、すなわち止水状態を指し、この状態のダイヤル式操作具3を反時計方向(G方向)にまわすと、ハウジング本体6の吐出口6aから吐出される水の温度が上昇する。しかし、これに限らず、例えば
図5に示すように、目印用の突起3bが正面視において9時の方向を向いているときに「止」、すなわち止水状態を指し、この状態のダイヤル式操作具3を時計方向(G’方向)にまわすと、ハウジング本体6の吐出口6aから吐出される水の温度が上昇するように壁埋め込み式湯水混合栓1が構成されていてもよい。
【0019】
図2に示す例では、湯水は、固定ディスク8の湯用弁孔11、水用弁孔13を経た後、可動ディスク9の開口14を通り抜けるが、
図6(A)及び(B)、
図8(C)に示すように、可動ディスク9に開口14の代わりに凹入部41を設け、湯水が可動ディスク9を貫くように流れるのではなく、可動ディスク9の凹入部41内に至った湯水が折り返して流れるようにしてもよい。この場合、凹入部41で折り返す湯水を通すための貫通孔(あるいは湯水混合室R)となる混合用弁孔40を固定ディスク8に別途設け、また、カートリッジ7の内部から外部に湯水を流出させるための孔7bをカートリッジ7の側壁7aではなく底部(シート部)7cに設け、さらに、この孔7bに連通する位置に、ハウジング本体6の吐出口6aを設ければよい。
【0020】
図3に示す例では、湯配管10及び水配管12の下流部に逆止弁を各々設けているが、これに限らず、例えば
図7に示すように、湯配管10及び水配管12には逆止弁を設けず、
図6(A)に示すように、吐出口4内に逆止弁42を設けるようにしてもよい。
【0021】
而して、
図5〜
図8に示す実施形態では、
図5に示すように目印用の突起3bが止水状態を指しているとき、可動ディスク9の凹入部41は、固定ディスク8の混合用弁孔40には重なっているが、湯用弁孔11及び水用弁孔13には重なっておらず、可動ディスク9が固定ディスク8の両弁孔11,13を閉塞している(
図8(A)の左端の図参照)。この止水状態では可動ディスク9は回転していないので可動ディスク9の回転角度は0°である。同時にダイヤル式操作具3の回転角度も0°である。止水状態のダイヤル式操作具3を、時計方向(G’方向)にまわしていくと、栓棒34を介して可動ディスク9が固定ディスク8の摺動面T上を回転する。
【0022】
図8(A)、(B)の左端及び左端から二つ目の図に示すように、可動ディスク9をG’方向に0°から約10°(本例では12°)回転させるまでの間は、ハウジング本体6の吐出口6aからは何も吐出されない止水状態に保たれる。
【0023】
そして、約10°回転させた状態の可動ディスク9をさらにG’方向に回転させると、可動ディスク9の凹入部41が固定ディスク8の混合用弁孔40に重なりつつ水用弁孔13にも重なる状態となり、ハウジング本体6の吐出口6aから水が吐出され始め、回転に伴って凹入部41と水用弁孔13との重なる範囲が大きくなるので徐々に吐出量が増していく。このようにして可動ディスク9が約10°から約120°(本例では122°)まで回転する間、ハウジング本体6の吐出口6aから吐出されるのは水のみである(
図8(A)、(B)の中央の図参照)。
【0024】
約120°回転させた可動ディスク9をさらにG’方向に回転させると、可動ディスク9の凹入部41が固定ディスク8の混合用弁孔40及び水用弁孔13に重なりつつ湯用弁孔11にも重なる状態となり、ハウジング本体6の吐出口6aから吐出される水に湯が混合され始め、回転に伴って凹入部41と湯用弁孔11との重なる範囲は大きくなり、凹入部41と水用弁孔13との重なる範囲は小さくなるので、吐出口6aから吐出される湯水の温度は徐々に上がっていく。このようにして可動ディスク9が約120°から約180°まで回転する間、ハウジング本体6の吐出口6aから吐出されるのは湯水(湯と水の混合物)である(
図8(A)、(B)の右端から二つ目の図参照)。
【0025】
約180°回転させた可動ディスク9をさらにG’方向に回転させると、可動ディスク9の凹入部41が固定ディスク8の混合用弁孔40及び湯用弁孔11には重なるが水用弁孔13には重ならなくなり、ハウジング本体6の吐出口6aからは湯のみが吐出される状態となる(
図8(A)、(B)の右端から二つ目の図参照)。そして、この可動ディスク9は約210°まで回転可能となっており、可動ディスク9が約180°から約210°まで回転する間、ハウジング本体6の吐出口6aから吐出されるのは湯のみである。
【0026】
なお、ハウジング本体6の吐出口6aからの湯のみの吐出が不要である場合には、例えば可動ディスク9が約180°までしか回転しないように構成してもよい。
【0027】
また、
図1〜
図4に示す実施形態の構成と、
図5〜
図8に示す実施形態の構成とを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0028】
1 壁埋め込み式湯水混合栓
2 湯水混合部
3 一つの混合栓操作具
4 吐出口
5 前面カバー
W 壁