特開2015-11156(P2015-11156A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-11156(P2015-11156A)
(43)【公開日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】ズームレンズ系
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20141216BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20141216BHJP
【FI】
   G02B13/04 D
   G02B13/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-136070(P2013-136070)
(22)【出願日】2013年6月28日
(71)【出願人】
【識別番号】311015207
【氏名又は名称】リコーイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135493
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】大石 崇彦
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA12
2H087PA08
2H087PA09
2H087PA18
2H087PB09
2H087PB10
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA36
2H087RA44
2H087SA07
2H087SA09
2H087SA62
2H087SA63
2H087SB04
2H087SB11
2H087SB17
(57)【要約】
【課題】負正の2群ズームレンズ系において、メカ機構がシンプルでコストを抑えやすいという長所を生かしつつ、F値の小さい十分な明るさを得るとともに、コマ収差、球面収差、非点収差、歪曲収差、色収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を達成する。
【解決手段】物体側から順に、負の第1レンズ群と、正の第2レンズ群とからなり、ワイド端からテレ端への変倍に際し、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が減少し、第2レンズ群は、物体側から順に、正の第2Aレンズ群と、開口絞りと、正の第2Bレンズ群とからなり、次の条件式(1)を満足するズームレンズ系。
(1)0.65<f2A/f2B<1.0
但し、
f2A:第2Aレンズ群の焦点距離、
f2B:第2Bレンズ群の焦点距離。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群と、正の屈折力の第2レンズ群とからなり、短焦点距離端から長焦点距離端への変倍に際し、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が減少するズームレンズ系において、
第2レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力の第2Aレンズ群と、開口絞りと、正の屈折力の第2Bレンズ群とからなり、
次の条件式(1)を満足することを特徴とするズームレンズ系。
(1)0.65<f2A/f2B<1.0
但し、
f2A:第2Aレンズ群の焦点距離、
f2B:第2Bレンズ群の焦点距離。
【請求項2】
請求項1記載のズームレンズ系において、次の条件式(2)を満足するズームレンズ系。
(2)0.5<FP/RP<1.5
但し、
FP:短焦点距離端における開口絞りより物体側のレンズ群の焦点距離、
RP:短焦点距離端における開口絞りより像側のレンズ群の焦点距離。
【請求項3】
請求項1または2記載のズームレンズ系において、第2Aレンズ群は、正レンズと負レンズの接合レンズを有するズームレンズ系。
【請求項4】
請求項3記載のズームレンズ系において、第2Aレンズ群は、1枚または2枚の正レンズと、前記接合レンズとからなるズームレンズ系。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のズームレンズ系において、第2Bレンズ群は、1枚または2枚の正レンズと、1枚の負レンズとからなるズームレンズ系。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載のズームレンズ系において、第1レンズ群は、非球面レンズを有しており、次の条件式(3)を満足するズームレンズ系。
(3)1.6<fasp/f1<5.0
但し、
fasp:第1レンズ群中の非球面レンズの焦点距離、
f1:第1レンズ群の焦点距離。
【請求項7】
請求項6記載のズームレンズ系において、次の条件式(4)を満足するズームレンズ系。
(4)Aνd>52.5
但し、
Aνd:第1レンズ群中の非球面レンズのd線に対するアッベ数。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(5)を満足するズームレンズ系。
(5)−0.92<f1/f2<−0.8
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離、
f2:第2レンズ群の焦点距離。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標準域から中望遠領域までを含むズームレンズ系に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、標準域から中望遠領域までを含むズームレンズ系として、負正負正の4群ズームレンズ系や負正の2群ズームレンズ系が用いられている。一般的に、負正負正の4群ズームレンズ系は、設計自由度が高く収差補正に有利という長所を持つ反面、レンズ群(レンズ枚数)が多いためメカ機構が大型かつ複雑になるという短所を持っており、負正の2群ズームレンズ系は、レンズ群(レンズ枚数)が少ないためメカ機構がシンプルでコストを抑えやすいという長所を持つ反面、設計自由度が低く収差補正に不利という短所を持っている。また、F値の小さい明るいズームレンズ系を得ようとする場合、負正の2群ズームレンズ系では設計自由度の低さから収差補正(特にコマフレアの補正)が難しく光学性能が劣化しやすいため、設計自由度の高い負正負正の4群ズームレンズ系がよく用いられている。
【0003】
特許文献1〜3には、負正の2群ズームレンズ系が開示されている。しかし、いずれも、F値が3.5〜4程度しかなく明るさが不十分であり、また、コマ収差、球面収差、非点収差、歪曲収差、色収差などの諸収差が大きく発生して光学性能が劣化してしまうという問題がある。特許文献1は、フレアカット絞りを設けてこれをズーミング時に移動させることにより光量確保を狙っているが、そもそものレンズ全系の収差補正が不十分であるため、コマ収差の補正にフレアカット絞りが効果的に機能していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−128145号公報
【特許文献2】特許第4654506号公報
【特許文献3】特開平5−88084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、負正の2群ズームレンズ系において、メカ機構がシンプルでコストを抑えやすいという長所を生かしつつ、F値の小さい十分な明るさを得るとともに、コマ収差、球面収差、非点収差、歪曲収差、色収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のズームレンズ系は、物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群と、正の屈折力の第2レンズ群とからなり、短焦点距離端から長焦点距離端への変倍に際し、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が減少するズームレンズ系において、第2レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力の第2Aレンズ群と、開口絞りと、正の屈折力の第2Bレンズ群とからなり、次の条件式(1)を満足することを特徴としている。
(1)0.65<f2A/f2B<1.0
但し、
f2A:第2Aレンズ群の焦点距離、
f2B:第2Bレンズ群の焦点距離、
である。
【0007】
本発明のズームレンズ系は、次の条件式(2)を満足することが好ましい。
(2)0.5<FP/RP<1.5
但し、
FP:短焦点距離端における開口絞りより物体側のレンズ群の焦点距離(短焦点距離端における第1レンズ群と第2Aレンズ群の合成焦点距離)、
RP:短焦点距離端における開口絞りより像側のレンズ群の焦点距離(短焦点距離端における第2Bレンズ群の焦点距離)、
である。
【0008】
条件式(2)が規定する条件範囲の中でも、次の条件式(2’)を満足することが好ましい。
(2’)1.0<FP/RP<1.4
【0009】
第2Aレンズ群は、正レンズと負レンズの接合レンズを有することができる。
【0010】
第2Aレンズ群は、1枚または2枚の正レンズと、前記接合レンズとから構成することができる。
【0011】
第2Bレンズ群は、1枚または2枚の正レンズと、1枚の負レンズとから構成することができる。
【0012】
本発明のズームレンズ系は、第1レンズ群が、非球面レンズを有しており、次の条件式(3)を満足することが好ましい。
(3)1.6<fasp/f1<5.0
但し、
fasp:第1レンズ群中の非球面レンズの焦点距離、
f1:第1レンズ群の焦点距離、
である。
【0013】
本発明のズームレンズ系は、次の条件式(4)を満足することが好ましい。
(4)Aνd>52.5
但し、
Aνd:第1レンズ群中の非球面レンズのd線に対するアッベ数、
である。
【0014】
本発明のズームレンズ系は、次の条件式(5)を満足することが好ましい。
(5)−0.92<f1/f2<−0.8
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離、
f2:第2レンズ群の焦点距離、
である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、負正の2群ズームレンズ系において、メカ機構がシンプルでコストを抑えやすいという長所を生かしつつ、F値の小さい十分な明るさを得るとともに、コマ収差、球面収差、非点収差、歪曲収差、色収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるズームレンズ系の数値実施例1の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図2図1の構成における諸収差図である。
図3図1の構成における横収差図である。
図4】同数値実施例1の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図5図4の構成における諸収差図である。
図6図4の構成における横収差図である。
図7】本発明によるズームレンズ系の数値実施例2の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図8図7の構成における諸収差図である。
図9図7の構成における横収差図である。
図10】同数値実施例2の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図11図10の構成における諸収差図である。
図12図10の構成における横収差図である。
図13】本発明によるズームレンズ系の数値実施例3の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図14図13の構成における諸収差図である。
図15図13の構成における横収差図である。
図16】同数値実施例3の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図17図16の構成における諸収差図である。
図18図16の構成における横収差図である。
図19】本発明によるズームレンズ系の数値実施例4の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図20図19の構成における諸収差図である。
図21図19の構成における横収差図である。
図22】同数値実施例4の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図23図22の構成における諸収差図である。
図24図22の構成における横収差図である。
図25】本発明によるズームレンズ系の数値実施例5の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図26図25の構成における諸収差図である。
図27図25の構成における横収差図である。
図28】同数値実施例5の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図29図28の構成における諸収差図である。
図30図28の構成における横収差図である。
図31】本発明によるズームレンズ系の数値実施例6の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図32図31の構成における諸収差図である。
図33図31の構成における横収差図である。
図34】同数値実施例6の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図35図34の構成における諸収差図である。
図36図34の構成における横収差図である。
図37】本発明によるズームレンズ系の数値実施例7の長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図38図37の構成における諸収差図である。
図39図37の構成における横収差図である。
図40】同数値実施例7の短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図である。
図41図40の構成における諸収差図である。
図42図40の構成における横収差図である。
図43】本発明によるズームレンズ系のズーム軌跡を示す簡易移動図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態のズームレンズ系は、全数値実施例1−7を通じて、図43の簡易移動図に示すように、物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2とからなる。第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力の第2Aレンズ群G2Aと、開口絞りSと、正の屈折力の第2Bレンズ群G2Bとからなる。Iは像面である。
【0018】
本実施形態のズームレンズ系は、全数値実施例1−7を通じて、図43の簡易移動図に示すように、短焦点距離端(Wide)から長焦点距離端(Tele)への変倍に際し、第1レンズ群G1が一旦像側に移動した後に物体側に移動し(Uターンし)、第2レンズ群G2(第2Aレンズ群G2A、開口絞りS、第2Bレンズ群G2B)が単調に物体側に移動し、その結果、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔が減少する。なお、無限遠物体から有限距離物体へのフォーカシングは、第1レンズ群G1を物体側に移動させる(繰り出す)ことによって行う。
【0019】
第1レンズ群G1は、全数値実施例1−7を通じて、物体側から順に、負レンズ11と、負レンズ12と、正レンズ13とからなる。負レンズ12は、その像側の面が非球面からなる。
【0020】
第2Aレンズ群G2Aは、数値実施例1、2、4では、物体側から順に、正レンズ21と、物体側から順に位置する正レンズ22と負レンズ23の接合レンズとからなる。
第2Aレンズ群G2Aは、数値実施例3、5−7では、物体側から順に、正レンズ21’と、正レンズ22’と、物体側から順に位置する正レンズ23’と負レンズ24’の接合レンズとからなる。
【0021】
第2Bレンズ群G2Bは、数値実施例1−6では、物体側から順に、正レンズ25と、負レンズ26と、正レンズ27とからなる。
第2Bレンズ群G2Bは、数値実施例7では、物体側から順に、負レンズ25’と、正レンズ26’とからなる。
【0022】
従来の一般的な負正の2群ズームレンズ系は、正の屈折力の第2レンズ群をトリプレットの前側凸と凹の間に凸メニスカスレンズを挿入したいわゆるエルノスター構成としたものが多く採用されているが、収差補正、特にコマフレアの補正が困難であり、光学性能が劣化しやすいという問題がある。
【0023】
そこで本実施形態のズームレンズ系は、第2レンズ群G2を、開口絞りSを境にして、それより物体側の第2Aレンズ群G2Aと像側の第2Bレンズ群G2Bとに分け、主として第2Aレンズ群G2Aによって結像を行い、主として第2Bレンズ群G2Bによってコマフレアを良好に補正することで、優れた光学性能を達成している。
【0024】
さらに本実施形態のズームレンズ系は、第2レンズ群G2(第2Aレンズ群G2A、第2Bレンズ群G2B)のレンズ構成を工夫し、且つ、第2Aレンズ群G2Aと第2Bレンズ群G2Bのパワーバランスを最適設定することで、F値の小さい十分な明るさを得るとともに、コマ収差、球面収差、非点収差、歪曲収差、色収差などの諸収差を良好に補正して優れた光学性能を達成している。
【0025】
第2Aレンズ群G2Aは、全数値実施例1−7を通じて、1枚または2枚の正レンズ(正レンズ21、または正レンズ21’と正レンズ22’)と、正レンズと負レンズの接合レンズ(正レンズ22と負レンズ23の接合レンズ、または正レンズ23’と負レンズ24’の接合レンズ)とからなる。
第2Bレンズ群G2Bは、全数値実施例1−7を通じて、1枚または2枚の正レンズ(正レンズ25と正レンズ27、または正レンズ26’)と、1枚の負レンズ(負レンズ26または負レンズ25’)とからなる。
第2Bレンズ群G2B中に、負の球面収差を発生させる負レンズ(負レンズ26または負レンズ25’)を設けることで、F値の小さい十分な明るさを得たときであっても、球面収差を良好に補正することができる。
また、第2Aレンズ群G2A中の開口絞りSの直前位置に、正レンズと負レンズの接合レンズ(正レンズ22と負レンズ23の接合レンズ、または正レンズ23’と負レンズ24’の接合レンズ)を設けることで、色収差を良好に補正することができる。
【0026】
第1レンズ群G1は、歪曲収差を抑えつつ負の屈折力を得るために、少なくとも1枚の正レンズ(本実施形態では正レンズ13)を含む複数枚のレンズから構成されている。
歪曲収差をより効果的に補正するためには、第1レンズ群G1の最も物体側に正レンズを配置するのが良い。
しかし、F値が大きく明るさが不十分な従来品のズームレンズ系でさえ、最も物体側に配置する正レンズの最大径が大きすぎるため、該正レンズひいてはレンズ全系を小径化しつつ、F値の小さい十分な明るさを得るのは、極めて困難な技術課題である。
この技術課題を解決するために、本実施形態のズームレンズ系は、第1レンズ群G1中に非球面レンズ(本実施形態では負レンズ12)を配置している。この非球面レンズによって、歪曲収差を良好に補正することができ、さらに非球面の光学素材の選択を増やすことで、第1レンズ群G1内のパワー配置をより適切にし、色収差などの諸収差を効果的に補正することができる。
第1レンズ群G1は、無限遠物体から近距離物体へのフォーカシングに際して物体側に移動するフォーカスレンズ群である。第1レンズ群G1に少なくとも1枚の正レンズ(本実施形態では正レンズ13)を含ませることで、フォーカシングに際して、球面収差、歪曲収差、コマ収差が大きく変動するのを抑えることができる。
【0027】
条件式(1)は、第2Aレンズ群G2Aの焦点距離と、第2Bレンズ群G2Bの焦点距離との比を規定している。条件式(1)を満足することで、コマ収差や球面収差を良好に補正して、優れた光学性能を達成することができる。
条件式(1)の上限を超えると、開口絞りSの前で光線を強く曲げることになり、コマ収差の補正が不十分になる。
条件式(1)の下限を超えると、開口絞りSより像側の第2Bレンズ群G2Bの正のパワーが弱くなりすぎて、球面収差の補正が不十分になる。
【0028】
条件式(2)は、短焦点距離端における開口絞りSより物体側のレンズ群の焦点距離(短焦点距離端における第1レンズ群G1と第2Aレンズ群G2Aの合成焦点距離)と、短焦点距離端における開口絞りSより像側のレンズ群の焦点距離(短焦点距離端における第2Bレンズ群G2Bの焦点距離)との比を規定している。条件式(2)を満足することで、短焦点距離端から長焦点距離端までの変倍全域に亘って、収差の発生量を抑えて、優れた光学性能を達成することができる。特に、非点収差の補正には効果的であり、短焦点距離端から長焦点距離端までの変倍全域に亘って、良好なボケ味や点像を得ることができる。
条件式(2)の上限を超えると、物体側の光学系のパワーが強い為、非点収差だけでなく歪曲収差の補正も不十分になってしまう。
条件式(2)の下限を超えると、像側の光学系のパワーが強い為、球面収差が過剰に出てしまう。また、絞り後に光線を急激に曲げる為コマ収差も発生してしまう。
【0029】
本実施形態のズームレンズ系は、第1レンズ群G1が、その像側の面が非球面からなる負レンズ12を有している。負レンズ12は、その物体側の面のみまたはその両面を非球面としてもよい。また、第1レンズ群G1中の他のレンズ(負レンズ11、正レンズ13)の少なくとも1面を非球面としてもよい。
【0030】
条件式(3)は、第1レンズ群G1を上記のように構成した上で、第1レンズ群G1中の非球面レンズ(本実施形態では負レンズ12)の焦点距離と、第1レンズ群G1の焦点距離との比を規定している。条件式(3)を満足することで、第1レンズ群G1を少ないレンズ枚数で構成した上で、諸収差を良好に補正して優れた光学性能を達成することができる。
条件式(3)の上限を超えると、第1レンズ群G1中の非球面レンズ(本実施形態では負レンズ12)の負のパワーが弱く(焦点距離faspが長く)なりすぎて、従来品のズームレンズ系よりもF値の小さい十分な明るさを得ようとしたときに、球面収差の補正が不十分となってしまう。
条件式(3)の下限を超えると、第1レンズ群G1中の非球面レンズ(本実施形態では負レンズ12)の負のパワーが強く(焦点距離faspが短く)なりすぎて、レンズ組み立て時の誤差許容値が極めて少なくなり、量産過程に多大な影響を及ぼす。また非球面形状に求められる精度も高く、成型困難となり、安定した光学性能を得る事が難しくなる。
【0031】
条件式(4)は、第1レンズ群G1を上記のように構成した上で、第1レンズ群G1中の非球面レンズ(本実施形態では負レンズ12)のd線に対するアッベ数を規定している。条件式(4)を満足することで、倍率色収差などの諸収差を良好に補正して、優れた光学性能を達成することができる。
条件式(4)の下限を超えると、倍率色収差などの諸収差の補正が不十分となる。
【0032】
条件式(5)は、第1レンズ群G1の焦点距離と、第2レンズ群G2の焦点距離との比を規定している。条件式(5)を満足することで、レンズ全系をコンパクトに保ちつつ、球面収差やコマ収差を良好に補正して優れた光学性能を達成することができる。
条件式(5)の上限を超えると、第1レンズ群G1の負のパワーが強くなりすぎて、負の球面収差が大きくなり、1枚の正レンズ13だけでは、この負の球面収差を補正しきれなくなる。その結果、第1レンズ群G1に必要なレンズ枚数が増えて、第1レンズ群G1ひいてはレンズ全系が大型化してしまう。
条件式(5)の下限を超えると、第2レンズ群G2の正のパワーが強くなりすぎて、軸外の光線を強く集光することになる結果、コマ収差の補正が困難になる。
【実施例】
【0033】
次に具体的な数値実施例1−7を示す。諸収差図及び横収差図並びに表中において、d線、g線、C線はそれぞれの波長に対する収差、Sはサジタル、Mはメリディオナル、FNO.はFナンバー、fは全系の焦点距離、Wは半画角(゜)、Yは像高、fB はバックフォーカス、Lはレンズ全長、Rは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、N(d)はd線に対する屈折率、ν(d)はd線に対するアッベ数を示す。Fナンバー、焦点距離、半画角、像高、バックフォーカス、レンズ全長及び変倍に伴って間隔が変化するレンズ間隔dは、短焦点距離端−中間焦点距離−長焦点距離端の順に示している。長さの単位は[mm]である。
回転対称非球面は次式で定義される。
x=cy2/[1+[1-(1+K)c2y2]1/2]+A4y4+A6y6+A8y8+A10y10+A12y12・・・
(但し、cは曲率(1/r)、yは光軸からの高さ、Kは円錐係数、A4、A6、A8、・・・・・は各次数の非球面係数、xはサグ量)
【0034】
全数値実施例1−7を通じて、第2レンズ群G2(第2Bレンズ群G2B)と像面Iとの間には、図示を省略した固定絞り(フレアカット絞り)が設けられており、この固定絞りがレンズデータの最終面となっている。固定絞りは、短焦点距離端から長焦点距離端への変倍に際し、像面Iに対して固定されており(光軸方向に移動せず)、周辺光量を最適化する(有害な余剰光束をカットする)機能を持つ。このため、バックフォーカスfBは、固定絞りと像面Iとの間の光軸上の距離であり、一定値となっている。
【0035】
[数値実施例1]
図1図6と表1〜表4は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例1を示している。図1は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図2はその諸収差図、図3はその横収差図であり、図4は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図5はその諸収差図、図6はその横収差図である。表1は面データ、表2は非球面データ、表3は各種データ、表4はレンズ群データである。
【0036】
本数値実施例1のズームレンズ系は、物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群G1と、正の屈折力の第2レンズ群G2とからなる。
【0037】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズ11と、物体側に凸の負メニスカスレンズ12と、物体側に凸の正メニスカスレンズ13とからなる。負メニスカスレンズ12は、その像側の面が非球面からなる。
【0038】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力の第2Aレンズ群G2Aと、開口絞りSと、正の屈折力の第2Bレンズ群G2Bとからなる。
第2Aレンズ群G2Aは、物体側から順に、両凸正レンズ21と、物体側から順に位置する両凸正レンズ22と両凹負レンズ23の接合レンズとからなる。
第2Bレンズ群G2Bは、物体側から順に、物体側に凸の正メニスカスレンズ25と、物体側に凸の負メニスカスレンズ26と、両凸正レンズ27とからなる。
【0039】
(表1)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 47.867 1.562 1.72916 54.7
2 17.097 6.060
3 46.121 3.240 1.68900 52.8
4* 19.326 8.761
5 33.188 3.660 1.76182 26.5
6 69.829 d6
7 64.514 3.060 1.74320 49.3
8 -175.121 0.100
9 30.912 5.753 1.49700 81.6
10 -30.274 1.340 1.78800 47.4
11 201.409 2.900
12絞 ∞ 1.650
13 62.059 1.993 1.71700 47.9
14 441.646 5.123
15 42.455 1.483 1.84666 23.8
16 20.899 1.267
17 64.749 3.166 1.60300 65.5
18 -37.958 d18
19 ∞
(表2)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8 A10
4 0.000 -0.1834E-04 -0.7423E-07 0.8340E-10 -0.8259E-12
(表3)
各種データ
ズーム比(変倍比) 1.89
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 2.9 2.9 4.0
f 20.60 30.00 39.00
W 35.7 25.7 20.2
Y 14.24 14.24 14.24
fB 37.02 37.02 37.02
L 117.24 111.39 113.09
d6 27.117 10.964 2.796
d18 1.980 12.287 22.155
(表4)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -31.12
2 7 34.12
【0040】
[数値実施例2]
図7図12と表5〜表8は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例2を示している。図7は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図8はその諸収差図、図9はその横収差図であり、図10は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図11はその諸収差図、図12はその横収差図である。表5は面データ、表6は非球面データ、表7は各種データ、表8はレンズ群データである。
【0041】
この数値実施例2のレンズ構成は、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0042】
(表5)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 49.778 1.566 1.74131 53.5
2 16.620 5.824
3 43.044 3.022 1.68900 52.8
4* 19.268 8.658
5 33.549 2.976 1.74498 27.2
6 75.431 d6
7 62.066 3.091 1.74120 45.0
8 -156.112 0.100
9 32.585 5.632 1.49700 81.6
10 -30.923 1.340 1.78800 47.4
11 180.404 2.900
12絞 ∞ 2.363
13 60.924 2.010 1.68002 56.1
14 432.231 4.959
15 47.435 2.101 1.84999 23.7
16 21.481 1.131
17 54.555 3.253 1.60300 65.5
18 -38.073 d18
19 ∞
(表6)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8 A10
4 0.000 -0.2028E-04 -0.8080E-07 0.8643E-10 -0.9806E-12
(表7)
各種データ
ズーム比(変倍比) 1.89
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 2.9 2.9 4.0
f 20.60 30.00 39.00
W 35.7 25.8 20.2
Y 14.24 14.24 14.24
fB 37.13 37.13 37.13
L 116.60 111.28 113.36
d6 26.570 10.684 2.650
d18 1.980 12.542 22.654
(表8)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -30.49
2 7 34.26
【0043】
[数値実施例3]
図13図18と表9〜表12は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例3を示している。図13は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図14はその諸収差図、図15はその横収差図であり、図16は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図17はその諸収差図、図18はその横収差図である。表9は面データ、表10は非球面データ、表11は各種データ、表12はレンズ群データである。
【0044】
この数値実施例3のレンズ構成は、以下の点を除いて、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
(1)第2Aレンズ群G2Aが、物体側から順に、両凸正レンズ21’と、物体側に凸の正メニスカスレンズ22’と、物体側から順に位置する両凸正レンズ23’と両凹負レンズ24’の接合レンズとからなる。
(2)第2Bレンズ群G2Bの正レンズ25が、両凸正レンズからなる。
【0045】
(表9)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 51.646 1.512 1.79799 47.6
2 16.830 5.572
3 38.967 1.900 1.71299 53.9
4* 19.125 7.396
5 32.357 3.713 1.76307 27.7
6 82.972 d6
7 78.939 2.577 1.80000 41.9
8 -1027.312 0.600
9 107.949 2.582 1.76000 43.3
10 289.084 0.713
11 31.892 5.702 1.49700 81.6
12 -28.374 1.340 1.79990 46.5
13 4542.080 2.700
14絞 ∞ 3.510
15 66.811 2.011 1.78102 48.2
16 -4706.309 2.426
17 48.729 1.480 1.83982 23.6
18 21.145 1.547
19 77.164 3.085 1.60300 65.5
20 -38.128 d20
21 ∞
(表10)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8 A10 A12
4 0.000 -0.2024E-04 -0.6888E-07 -0.2165E-10 -0.3632E-12 -0.1248E-14
(表11)
各種データ
ズーム比(変倍比) 1.89
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 2.9 2.9 4.0
f 20.60 30.00 39.00
W 35.7 25.8 20.2
Y 14.24 14.24 14.24
fB 37.02 37.02 37.02
L 117.32 110.90 112.29
d6 27.956 11.301 2.878
d20 1.980 12.222 22.028
(表12)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -31.70
2 7 34.54
【0046】
[数値実施例4]
図19図24と表13〜表16は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例4を示している。図19は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図20はその諸収差図、図21はその横収差図であり、図22は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図23はその諸収差図、図24はその横収差図である。表13は面データ、表14は非球面データ、表15は各種データ、表16はレンズ群データである。
【0047】
この数値実施例4のレンズ構成は、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
【0048】
(表13)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 47.976 1.550 1.72916 54.7
2 17.096 6.720
3 46.686 2.710 1.68900 52.8
4* 19.513 8.620
5 33.152 3.660 1.76182 26.5
6 69.323 d6
7 63.103 3.060 1.74320 49.3
8 -167.160 0.100
9 30.519 5.760 1.49700 81.6
10 -30.519 1.340 1.78800 47.4
11 216.000 2.900
12絞 ∞ 2.070
13 63.948 1.950 1.71700 47.9
14 342.890 4.470
15 42.360 1.480 1.84666 23.8
16 20.828 1.360
17 67.524 3.150 1.60300 65.5
18 -37.634 d18
19 ∞
(表14)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8 A10
4 0.000 -0.1770E-04 -0.6850E-07 0.5050E-10 -0.6878E-12
(表15)
各種データ
ズーム比(変倍比) 1.89
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 2.9 2.9 4.0
f 20.59 30.00 39.00
W 35.8 25.8 20.2
Y 14.24 14.24 14.24
fB 37.02 37.02 37.02
L 116.95 111.18 112.94
d6 27.056 10.946 2.805
d18 1.980 12.320 22.215
(表16)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -31.03
2 7 34.11
【0049】
[数値実施例5]
図25図30と表17〜表20は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例5を示している。図25は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図26はその諸収差図、図27はその横収差図であり、図28は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図29はその諸収差図、図30はその横収差図である。表17は面データ、表18は非球面データ、表19は各種データ、表20はレンズ群データである。
【0050】
この数値実施例5のレンズ構成は、数値実施例3のレンズ構成と同様である。
【0051】
(表17)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 55.395 1.722 1.77787 47.8
2 16.822 5.237
3 39.094 2.673 1.71299 53.9
4* 18.892 7.258
5 32.407 3.273 1.74077 27.8
6 92.638 d6
7 73.007 2.618 1.80000 40.1
8 -1842.033 0.100
9 96.495 2.674 1.73000 42.9
10 313.394 1.340
11 34.867 5.524 1.49700 81.6
12 -27.524 1.340 1.79999 44.3
13 539.709 2.700
14絞 ∞ 3.598
15 62.501 2.116 1.75999 51.3
16 -459.755 2.500
17 47.505 1.480 1.84666 23.8
18 21.335 1.347
19 84.112 3.056 1.60300 65.5
20 -37.920 d20
21 ∞
(表18)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8 A10
4 0.000 -0.2145E-04 -0.7588E-07 0.3377E-10 -0.8685E-12
(表19)
各種データ
ズーム比(変倍比) 1.89
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 2.8 3.5 4.1
f 20.60 30.00 39.00
W 36.7 26.5 20.8
Y 14.70 14.70 14.70
fB 37.03 37.03 37.03
L 117.12 110.84 112.30
d6 27.550 11.012 2.648
d20 1.980 12.238 22.059
(表20)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -31.57
2 7 34.45
【0052】
[数値実施例6]
図31図36と表21〜表24は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例6を示している。図31は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図32はその諸収差図、図33はその横収差図であり、図34は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図35はその諸収差図、図36はその横収差図である。表21は面データ、表22は非球面データ、表23は各種データ、表24はレンズ群データである。
【0053】
この数値実施例6のレンズ構成は、数値実施例3のレンズ構成と同様である。
【0054】
(表21)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 54.869 1.918 1.79513 47.8
2 16.800 5.480
3 38.176 1.900 1.71299 53.9
4* 19.302 7.457
5 32.778 3.282 1.75332 27.5
6 86.558 d6
7 79.637 2.632 1.78309 45.7
8 -517.700 0.400
9 110.583 2.547 1.75871 32.7
10 261.030 0.900
11 32.450 5.701 1.49700 81.6
12 -28.208 1.340 1.79999 44.9
13 1082.321 2.700
14絞 ∞ 3.481
15 64.538 2.050 1.78958 47.6
16 -1595.871 2.697
17 48.360 1.536 1.83733 23.6
18 21.187 1.357
19 78.886 3.075 1.60300 65.5
20 -38.173 d20
21 ∞
(表22)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8 A10 A12
4 0.000 -0.2023E-04 -0.7262E-07 0.3586E-10 -0.6599E-12 -0.6902E-15
(表23)
各種データ
ズーム比(変倍比) 1.89
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 2.9 3.5 4.0
f 20.60 30.00 39.00
W 36.7 26.5 20.8
Y 14.70 14.70 14.70
fB 37.02 37.02 37.02
L 117.32 110.92 112.31
d6 27.868 11.227 2.813
d20 1.980 12.220 22.021
(表24)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -31.69
2 7 34.52
【0055】
[数値実施例7]
図37図42と表25〜表28は、本発明によるズームレンズ系の数値実施例7を示している。図37は長焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図38はその諸収差図、図39はその横収差図であり、図40は短焦点距離端における無限遠合焦時のレンズ構成図、図41はその諸収差図、図42はその横収差図である。表25は面データ、表26は非球面データ、表27は各種データ、表28はレンズ群データである。
【0056】
この数値実施例7のレンズ構成は、以下の点を除いて、数値実施例3のレンズ構成と同様である。
(1)第2Bレンズ群G2Bが、物体側から順に、物体側に凸の負メニスカスレンズ25’と、両凸正レンズ26’とからなる。
【0057】
(表25)
面データ
面番号 R d N(d) ν(d)
1 49.052 3.403 1.77250 49.6
2 17.274 5.782
3 50.424 2.314 1.72916 54.7
4* 20.431 9.715
5 34.822 2.875 1.78898 24.4
6 71.256 d6
7 43.505 3.495 1.61161 40.2
8 -191.247 0.100
9 71.252 2.384 1.48749 70.2
10 293.490 0.250
11 31.095 5.782 1.49700 81.6
12 -31.095 1.340 1.78436 38.0
13 77.387 3.072
14絞 ∞ 4.329
15 43.041 4.269 1.78616 25.1
16 21.316 0.968
17 44.553 3.303 1.61800 63.4
18 -33.551 d18
19 ∞
(表26)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8 A10
4 0.000 -0.1570E-04 -0.5803E-07 0.6728E-10 -0.6190E-12
(表27)
各種データ
ズーム比(変倍比) 1.89
短焦点距離端 中間焦点距離 長焦点距離端
FNO. 2.8 3.4 4.0
f 20.60 30.00 39.00
W 36.7 26.5 20.8
Y 14.70 14.70 14.70
fB 37.02 37.02 37.02
L 117.92 113.00 115.32
d6 25.538 9.976 2.106
d18 1.980 12.625 22.818
(表28)
レンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 -30.06
2 7 34.04
【0058】
各数値実施例の各条件式に対する値を表29に示す。
(表29)
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
条件式(1) 0.749 0.769 0.652 0.667
条件式(2) 1.114 1.039 1.482 1.382
条件式(3) 1.716 1.751 1.731 1.635
条件式(4) 52.8 52.8 53.9 52.8
条件式(5) -0.912 -0.890 -0.918 -0.910
実施例5 実施例6 実施例7
条件式(1) 0.790 0.720 0.658
条件式(2) 1.026 1.240 1.379
条件式(3) 1.719 1.803 1.62
条件式(4) 53.87 53.87 54.68
条件式(5) -0.916 -0.918 -0.883
【0059】
表29から明らかなように、数値実施例1〜数値実施例7は、条件式(1)〜(5)を満足しており、諸収差図及び横収差図から明らかなように諸収差及び横収差は比較的よく補正されている。
【0060】
本発明の特許請求の範囲に含まれるズームレンズ系に、実質的なパワーを有さないレンズまたはレンズ群を追加したとしても、本発明の技術的範囲に含まれる(本発明の技術的範囲を回避したことにはならない)。
【符号の説明】
【0061】
G1 負の屈折力の第1レンズ群
11 負レンズ
12 負レンズ
13 正レンズ
G2 正の屈折力の第2レンズ群
G2A 正の屈折力の第2Aレンズ群
21 正レンズ
22 正レンズ
23 負レンズ
21’ 正レンズ
22’ 正レンズ
23’ 正レンズ
24’ 負レンズ
G2B 正の屈折力の第2Bレンズ群
25 正レンズ
26 負レンズ
27 正レンズ
25’ 負レンズ
26’ 正レンズ
S 開口絞り
I 像面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
【手続補正書】
【提出日】2014年11月5日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明のズームレンズ系は、物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群と、正の屈折力の第2レンズ群とからなり、短焦点距離端から長焦点距離端への変倍に際し、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が減少するズームレンズ系において、第2レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力の第2Aレンズ群と、開口絞りと、正の屈折力の第2Bレンズ群とからなり、第2Aレンズ群は、1枚または2枚の正レンズと、正レンズと負レンズの接合レンズとからなり、次の条件式(1)を満足することを特徴としている。
(1)0.65<f2A/f2B<1.0
但し、
f2A:第2Aレンズ群の焦点距離、
f2B:第2Bレンズ群の焦点距離、
である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の屈折力の第1レンズ群と、正の屈折力の第2レンズ群とからなり、短焦点距離端から長焦点距離端への変倍に際し、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が減少するズームレンズ系において、
第2レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力の第2Aレンズ群と、開口絞りと、正の屈折力の第2Bレンズ群とからなり、
第2Aレンズ群は、1枚または2枚の正レンズと、正レンズと負レンズの接合レンズとからなり、
次の条件式(1)を満足することを特徴とするズームレンズ系。
(1)0.65<f2A/f2B<1.0
但し、
f2A:第2Aレンズ群の焦点距離、
f2B:第2Bレンズ群の焦点距離。
【請求項2】
請求項1記載のズームレンズ系において、次の条件式(2)を満足するズームレンズ系。
(2)0.5<FP/RP<1.5
但し、
FP:短焦点距離端における開口絞りより物体側のレンズ群の焦点距離、
RP:短焦点距離端における開口絞りより像側のレンズ群の焦点距離。
【請求項3】
請求項1または2記載のズームレンズ系において、第2Bレンズ群は、1枚または2枚の正レンズと、1枚の負レンズとからなるズームレンズ系。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載のズームレンズ系において、第1レンズ群は、非球面レンズを有しており、次の条件式(3)を満足するズームレンズ系。
(3)1.6<fasp/f1<5.0
但し、
fasp:第1レンズ群中の非球面レンズの焦点距離、
f1:第1レンズ群の焦点距離。
【請求項5】
請求項4記載のズームレンズ系において、次の条件式(4)を満足するズームレンズ系。
(4)Aνd>52.5
但し、
Aνd:第1レンズ群中の非球面レンズのd線に対するアッベ数。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(5)を満足するズームレンズ系。
(5)−0.92<f1/f2<−0.8
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離、
f2:第2レンズ群の焦点距離。