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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-1121(P2015-1121A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】地盤改良装置および方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20141202BHJP
【FI】
   E02D3/12 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-126871(P2013-126871)
(22)【出願日】2013年6月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000219406
【氏名又は名称】東亜建設工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390025759
【氏名又は名称】株式会社ワイビーエム
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】田口 博文
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 琢
(72)【発明者】
【氏名】長澤 太一
(72)【発明者】
【氏名】能條 岳
(72)【発明者】
【氏名】川崎 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】楢田 智之
(72)【発明者】
【氏名】亀井 信宏
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AA01
2D040AB05
2D040BB05
2D040BD05
2D040BD06
2D040CA01
2D040CB03
2D040DA02
2D040DA07
2D040DA13
2D040DA17
2D040DB06
2D040EA04
2D040EA12
2D040EA18
2D040EB00
2D040FA01
(57)【要約】
【課題】高さ制限の厳しい現場であっても施工可能であり、撹拌翼を備えた処理機を地盤中で安定して上下移動させることがきる地盤改良装置および方法を提供する。
【解決手段】撹拌翼5が取り付けられて回転駆動する回転軸4が下方に突設された処理機2をウインチ10のドラム10aに巻き取られた吊ワイヤ10cに連結し、ウインチ10を作動させて吊ワイヤ10cを繰り出するとともに、処理機2に取付けられたスタビライザ6により処理機2の姿勢を制御して処理機2を下方移動させて地盤Bを所定深度まで掘削した後、その地盤B中に供給ライン8を通じて地盤改良薬液Sを供給しつ撹拌翼5を回転駆動しながら、ウインチ10を作動させて吊ワイヤ10cを巻き取るとともに、スタビライザ6により処理機2の姿勢を制御して処理機2を上方移動させて、地盤B中に地盤改良薬液Sを撹拌および混合させて地盤改良を行なう。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中を上下移動する撹拌翼を有する処理機と、地盤中に地盤改良薬液を供給する供給ラインとを備えた地盤改良装置において、前記撹拌翼が取り付けられて回転駆動する回転軸が前記処理機から下方に突設され、この処理機を吊ワイヤを介して上下移動させるウインチと、前記処理機に取付けられて処理機の姿勢を制御するスタビライザとを備えたことを特徴とする地盤改良装置。
【請求項2】
前記処理機に、地盤中において処理機に作用する土圧を軽減させる回転翼が設けられている請求項1に記載の地盤改良装置。
【請求項3】
前記ウインチは船に設置され、前記処理機は水底地盤中を上下移動する請求項1または2に記載の地盤改良装置。
【請求項4】
前記撹拌翼が前記回転軸の周方向の異なる位置から水平方向に複数延設され、それぞれの撹拌翼の位置に、前記地盤改良薬液の吐出口が設けられ、前記回転軸からの水平方向距離が異なる吐出口が存在している請求項1〜3のいずれかに記載の地盤改良装置。
【請求項5】
地盤中で撹拌翼を回転させつつ下方移動させて地盤を所定深度まで掘削し、その掘削中または掘削後に、その地盤中に地盤改良薬液を供給し、前記撹拌翼を回転させつつ上方移動させて、この地盤中に前記地盤改良薬液を撹拌および混合させて地盤改良を行なう地盤改良方法において、
前記撹拌翼が取り付けられて回転駆動する回転軸が下方に突設された処理機を設け、この処理機をウインチに巻き取られた吊ワイヤに連結し、地盤中で撹拌翼を回転させつつ下方移動させて地盤を所定深度まで掘削する際には、前記ウインチを作動させて吊ワイヤを繰り出するとともに、前記処理機に取付けられたスタビライザにより処理機の姿勢を制御して処理機を下方移動させ、前記撹拌翼を回転させつつ上方移動させて、この地盤中に前記地盤改良薬液を撹拌および混合させる際には、前記ウインチを作動させて吊ワイヤを巻き取るとともに、前記スタビライザにより前記処理機の姿勢を制御して処理機を上方移動させることを特徴とする地盤改良方法。
【請求項6】
前記処理機に回転翼を設けて、前記処理機を地盤中で上方移動させる際に、前記回転翼を回転させて処理機に作用する土圧を軽減する請求項5に記載の地盤改良方法。
【請求項7】
前記ウインチを船に設置し、前記処理機を水底地盤中で上下移動させて、水底地盤の地盤改良を行なう請求項5または6に記載の地盤改良方法。
【請求項8】
前記撹拌翼が前記回転軸の周方向の異なる位置から水平方向に複数延設され、前記地盤改良薬液を前記複数の撹拌翼の前記回転軸からの水平方向距離が異なる複数の位置から地盤中に吐出する請求項5〜7のいずれかに記載の地盤改良装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良装置および方法に関し、さらに詳しくは、高さ制限の厳しい現場であっても施工可能であり、撹拌翼を備えた処理機を地盤中で安定して上下移動させることがきる地盤改良装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟弱土と改良材とを攪拌混合して固化させることにより、軟弱地盤を堅固な地盤に改良するCDM(CementDeepMixing)工法が知られている。CDM工法では、回転駆動される攪拌翼を備えた地盤改良装置が使用される(例えば、特許文献1参照)。この攪拌翼は、長いロッドに取り付けられて地盤中を上下移動する。施工工程としては、まず、撹拌翼を回転させつつ地盤中を下方移動させることにより、地盤を所定深さまで掘削する。その後、地盤改良薬液を地盤中に供給しながら、撹拌翼を回転させつつ上方移動させる。これにより、地盤改良薬液が地盤中に拡散、混合されて地盤が改良される。
【0003】
ここで、撹拌翼は長いロッドに取り付けられているので、CDM工法を行なう従来の地盤改良装置には、長いロッドを支える櫓が設けられていた。そのため、空港の近辺などの高さ制限が厳しい施工現場では、作業時間が限定される等の問題があった。一方で、撹拌翼はロッドに取り付けられているので、地盤中を大きくぶれることなく安定して上下移動することができる。それ故、ロッドと櫓が無くなると、撹拌翼を地盤中で安定して上下移動させることが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−224645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高さ制限の厳しい現場であっても施工可能であり、撹拌翼を備えた処理機を地盤中で安定して上下移動させることがきる地盤改良装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の地盤改良装置は、地盤中を上下移動する撹拌翼を有する処理機と、地盤中に地盤改良薬液を供給する供給ラインとを備えた地盤改良装置において、前記撹拌翼が取り付けられて回転駆動する回転軸が前記処理機から下方に突設され、この処理機を吊ワイヤを介して上下移動させるウインチと、前記処理機に取付けられて処理機の姿勢を制御するスタビライザとを備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の地盤改良方法は、地盤中で撹拌翼を回転させつつ下方移動させて地盤を所定深度まで掘削し、その掘削中または掘削後に、その地盤中に地盤改良薬液を供給し、前記撹拌翼を回転させつつ上方移動させて、この地盤中に前記地盤改良薬液を撹拌および混合させて地盤改良を行なう地盤改良方法において、前記撹拌翼が取り付けられて回転駆動する回転軸が下方に突設された処理機を設け、この処理機をウインチに巻き取られた吊ワイヤに連結し、地盤中で撹拌翼を回転させつつ下方移動させて地盤を所定深度まで掘削する際には、前記ウインチを作動させて吊ワイヤを繰り出するとともに、前記処理機に取付けられたスタビライザにより処理機の姿勢を制御して処理機を下方移動させ、前記撹拌翼を回転させつつ上方移動させて、この地盤中に前記地盤改良薬液を撹拌および混合させる際には、前記ウインチを作動させて吊ワイヤを巻き取るとともに、前記スタビライザにより前記処理機の姿勢を制御して処理機を上方移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撹拌翼が取り付けられて回転駆動する回転軸が下方に突設された処理機を使用する。そして、この処理機をウインチに巻き取られた吊ワイヤに連結し、処理機を地盤中で下方移動させる際には吊ワイヤをウインチから繰り出し、上方移動させる際には吊ワイヤをウインチに巻き取る。したがって、従来のように、撹拌翼を長いロッドに取り付ける必要がなく、これに伴って櫓も不要になる。それ故、高さ制限の厳しい現場であっても施工することが可能になる。
【0009】
また、処理機にはスタビライザが取り付けられているので、処理機が地盤中で上下移動する場合に、スタビライザによって処理機を適正な姿勢に制御できる。これにより、処理機を地盤中で安定して上下移動させることがきる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の地盤改良装置の実施形態の全体概要を例示する説明図である。
図2図1の一部拡大図である。
図3図2の処理機がスタビライザを閉じている状態を例示する説明図である。
図4図3のA矢視図である。
図5図3のB矢視図である。
図6】回転翼を拡大して例示する平面図である。
図7図2の処理機がスタビライザを開いている状態を例示する説明図である。
図8図7のC矢視図である。
図9】処理機を地盤上にセッティングした状態を例示する説明図である。
図10】処理機を地盤中で地盤改良対象範囲の下端部領域の近傍まで下方移動させる工程を例示する説明図である。
図11】処理機を地盤改良対象範囲の下端部領域で下方移動させる工程を例示する説明図である。
図12】処理機を地盤改良対象範囲の下端部領域で上方移動させる工程を例示する説明図である。
図13】処理機を地盤改良対象範囲の下端部領域で再度下方移動させる工程を例示する説明図である。
図14】処理機を地盤改良対象範囲で再度上方移動させる工程を例示する説明図である。
図15】処理機を地盤から引き上げて地盤が改良された状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の地盤改良装置および方法を、水底地盤を改良する場合の実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1図5に例示する本発明の地盤改良装置1は、深層混合工法により地盤を改良する装置であり、作業船13に設置されている。地盤改良装置1は、撹拌翼5を有する処理機2と、この処理機2を吊ワイヤ10cを介して上下移動させるウインチ10と、処理機2に取付けられたスタビライザ6と、地盤中に地盤改良薬液Sを供給する供給ライン8とを備えている。
【0013】
撹拌翼5は、処理機2から下方に突設されたそれぞれの回転軸4に上下二段に取り付けられている。撹拌翼5の段数は一段、三段等にすることもできる。回転軸4の数は4本に限らず、適宜の本数に設定できるが複数が好ましい。
【0014】
また、1本の回転軸4の各段で水平方向に延設される撹拌翼5の数は、この実施形態では2本であるが、1本、3本等にすることもできる。1本の回転軸4の各段で複数本の撹拌翼5を設ける場合は、周方向に等間隔で配置するとよい。この実施形態では、各段で2本の撹拌翼5が対向する位置(周方向に180°離れた位置)に配置されている。
【0015】
回転軸4(撹拌翼5)は処理機2に内設された駆動モータ3により回転駆動される。駆動モータ3は発電機14aが発生させた電力により作動する油圧モータである。
【0016】
ウインチ10は、吊ワイヤ10cを巻き取るドラム10aと、吊ワイヤ10cの張り出し位置(前後方向位置)を調整するブーム10bとを備えている。この実施形態では、並列された多数本の吊ワイヤ10cにより処理機2が吊り下げられる構成になっている。ブーム10bは油圧シリンダ等によって下端部を中心にして回動し、ブーム10bの先端部の位置を変動させることにより、吊ワイヤ10cの張り出し位置を調整する。尚、本発明は、高さ制限の厳しい現場であっても施工を可能とするものなので、ブーム10bの長さは最大でも10m程度、更に好ましくは5m程度である。即ち、ウインチ10の高さは最大でも10m程度であり5m以下にするのが好ましい。
【0017】
ウインチ10は、別の発電機14bが発生させた電力により作動する。作業船13の上には、その他の機器に電力を供給する発電機14cも設置されている。
【0018】
供給ライン8の一方端部は地盤改良薬液Sの供給源に接続されている。供給ライン8は、処理機2の内部を上下に貫通して撹拌翼5に沿って延びている。
【0019】
それぞれの撹拌翼5の位置には吐出口9が設けられている。具体的には、図6に例示するように、撹拌翼5の翼長さ方向中途の位置に吐出口9が設けられている。吐出口9は、撹拌翼5の翼先端の位置に設けることもできる。好ましくは、図6に例示するように、互いの吐出口9の回転軸4からの水平方向距離を異ならせる。即ち、それぞれの撹拌翼5の位置に設けられた吐出口9には、回転軸4からの水平方向距離が異なる吐出口9が存在している状態にすることが好ましい。
【0020】
この実施形態では、供給パイプ8aが回転軸4から撹拌翼5に沿ってその長さ方向に延び、その延びた供給パイプ8aの先端が吐出口9になっている。撹拌翼5の内部を空洞にして供給ライン8を撹拌翼5の長手方向に延ばして、撹拌翼5に吐出口9を開口させることもできる。
【0021】
供給ライン8は、例えば、上段の撹拌翼5に延びる系統と、下段の撹拌翼5に延びる系統にする。上段の撹拌翼5の位置にある吐出口9と下段の撹拌翼5の位置にある吐出口9とへの地盤改良薬液Sや水Wの供給管理は、例えば、作業船13の上で行なう。
【0022】
それぞれの吐出口9を開閉する開閉弁を設置することもできる。この開閉弁を設置した場合、例えば、上段の撹拌翼5と下段の撹拌翼5とで、開閉弁の開閉制御することにより、吐出口9の開閉の切り替えを行なえる構成にする。地盤改良薬液Sとして、例えば、セメント系スラリを使用する。
【0023】
スタビライザ6は、処理機2の側面に取り付けられていて、シリンダ等により開閉して張り出す構造になっている。図3図5はスラビライザ6が閉じた状態、図7図8はスタビライザ6が開いた(張り出した)状態を示している。
【0024】
処理機2には3軸方向(X、Y、Z軸方向)の加速度を検知するセンサが設けられていて、このセンサによる検知データは制御装置11に入力される。それぞれのスタビライザ6の開閉は制御装置11により独立別個に制御される。制御装置11は、入力された検知データに基づいて、処理機2が予め設定された方向に移動できるように、それぞれのスタビライザ6の開閉具合を制御して、処理機2を適切な姿勢に制御する。
【0025】
この実施形態では、処理機2の周方向に等間隔で4基のスタビライザ6が取り付けられているが、4基に限らず、3基以上であればよい。また、スタビライザ6は処理機2の周方向に等間隔で配置するのが好ましい。
【0026】
この処理機2には、さらに、上端部に上部回転翼7が取り付けられている。この上部回転翼7を設けるのは任意である。上部回転翼7を回転駆動させることにより、地盤B中において処理機2に作用する土圧を軽減させる。具体的には、処理機2の上方に存在している土砂を回転翼7によってかき分けて、処理機2の側方のすき間を通じて土砂を下方移動させることにより、処理機2に作用する土圧を軽減させる。上部回転翼7と撹拌翼5とはそれぞれ独立別個に回転駆動される。
【0027】
この実施形態の処理機2の両側面には、ロッド状のサブリーダ12が着脱自在に取り付けられている。処理機2はサブリーダ12に沿って上下移動可能に構成されている。サブリーダ12は、GPSで測量した所定位置に処理機2を正確に設置するために用いられる。このサブリーダ12は、下方移動する処理機2を地盤Bの予め設定された所定位置に正確に設置させるように地盤Bの適切な位置に立設される。このように処理機2の位置決め手段として機能するサブリーダ12は、水深程度の長さがあれば十分である。
【0028】
次に、この地盤改良装置1を用いて地盤Bを改良する方法を説明する。
【0029】
まず、図9に例示するように、ウインチ10のドラム10aから吊ワイヤ10cを繰り出して、作業船13から吊り下げた処理機2を、垂直に立設させたサブリーダ12にガイドさせて水中で下方移動させる。そして、回転軸4の先端を改良対象の地盤Bの所定位置に着床させて、処理機2を地盤B上にセットする。サブリーダ12を用いることによって、処理機2は地盤Bの予め設定された所定位置に精度よくセットされる。
【0030】
尚、図9図15の符号B2は地盤改良対象範囲の上端位置を示し、符号B3は地盤改良対象範囲の下端部領域の上端位置を示している。したがって、この下端部領域の上端位置B3から支持地盤B1までの範囲(B3〜B1領域)が、地盤改良対象範囲の下端部領域となる。この下端部領域の深さ(上下方向長さ)は、適宜、設計によって決定され、例えば、2m〜3m程度である。
【0031】
次いで、図10に例示するように、回転軸4を回転駆動させて、回転軸4から水平方向に延びる撹拌翼5を回転駆動させながら処理機2(回転軸4の下端)を地盤改良対象範囲の下端部領域の上端位置B3の約0.5m上方位置まで下降させる。処理機2を下降させる際には、ドラム10aから吊ワイヤ10cを繰り出す。この下降の際に、下段の撹拌翼5の位置に配置された吐出口9からは、供給ライン8を通じて供給された水Wを吐出する。尚、施工条件によって水Wを吐出しない場合もある。
【0032】
続けて、図11に例示するように、撹拌翼5を正回転駆動させながら処理機2を下降させつつ、供給ライン8を通じて供給された地盤改良薬液Sを、下段の撹拌翼5の位置に配置された吐出口9から吐出する。即ち、処理機2のこの下方移動工程では、地盤改良薬液Sと地盤Bの土とを攪拌混合する。
【0033】
処理機2は、吊ワイヤ10cを介して吊り下げられているので、姿勢が不安定になり易い。そこで、本発明では、処理機2が地盤B中で下方移動している際にスタビライザ6を開閉させて、処理機2を適正な姿勢に制御する。
【0034】
地盤Bを掘削して撹拌翼5(回転軸4の下端)が支持地盤B1に達した後は、図12に例示するように、撹拌翼5を逆回転駆動させながらウインチ10を作動させて吊ワイヤ10cをドラム10aに巻き取って処理機2を上方移動させる。この上方移動の際には、吐出口9から地盤改良薬液Sを吐出しない。即ち、処理機2のこの上方移動工程では、地盤改良薬液Sを新たに加えずに、地盤改良薬液Sと地盤Bの土とを攪拌混合するだけである。
【0035】
地盤B中を上方移動している際も、処理機2は姿勢が不安定になり易い。そこで、本発明では、処理機2が地盤B中で上方移動している際にも必要に応じて、それぞれのスタビライザ6を開閉させて、処理機2を適正な姿勢に制御する。
【0036】
下段の撹拌翼5が地盤改良対象範囲の下端部領域の上端位置B3の近傍になるまで処理機2を上方移動させた後は、図13に例示するように、撹拌翼5を正回転駆動させながら処理機2を下降させる。この下降の際には、吐出口9から地盤改良薬液Sを吐出しない。即ち、処理機2のこの下方移動工程では、地盤改良薬液Sを新たに加えずに、地盤改良薬液Sと地盤Bの土とを攪拌混合するだけである。
【0037】
撹拌翼5(回転軸4の下端)が支持地盤B1に達した後は、図14に例示するように、撹拌翼5を逆回転駆動させながらウインチ10を作動させて吊ワイヤ10cをドラム10aに巻き取って処理機2を上方移動させる。この上方移動の際には、上段の撹拌翼5の位置に配置された吐出口9から地盤改良薬液Sを吐出する。即ち、処理機2のこの上方移動工程では、地盤改良薬液Sを新たに加えつつ地盤改良薬液Sと地盤Bの土とを攪拌混合する。
【0038】
上段の撹拌翼5が地盤改良対象範囲の上端位置B2の近傍に到達した後は、吐出口9からの地盤改良薬液Sの吐出を止めて、図15に例示するように、処理機2(撹拌翼5)を地盤B上に引き揚げる。同じ工程を施工範囲の別の位置でも行なうことにより、施工が完了する。この一連の工程によって施工対象の地盤Bが地盤改良薬液Sにより堅固に改良される。
【0039】
図12および図13で例示した工程により、地盤改良対象範囲の下端部領域(B3〜B1領域)には撹拌翼5が上下に2往復する。この撹拌翼5の往復数は、地盤Bの性状等によって適宜変更することができる。また、図10図15で例示した工程における撹拌翼5の回転や地盤改良薬液Sの吐出のやり方は、適宜、アレンジして行なうことができる。例えば、処理機2を上端位置B3の約0.5m上方位置まで下降させる際に地盤改良薬液Sを吐出することもできる。
【0040】
上述したように、本発明では、従来のように、撹拌翼5を長いロッドに取り付ける必要がなく、これに伴って櫓も不要になる。それ故、高さ制限の厳しい現場であっても施工することが可能になる。
【0041】
また、処理機2にはスタビライザ6が取り付けられているので、従来のように長いロッドに撹拌翼5を取り付けなくても、地盤B中で上下移動する処理機2をスタビライザ6によって適正な姿勢に制御できる。これにより、処理機2を地盤B中で安定して上下移動させることがきる。それ故、精度よく設計どおりの地盤改良を行なうことができる。
【0042】
この実施形態では、処理機2を地盤B中で上方移動させる際に、上部回転翼7を回転駆動させることにより、処理機2が上方へ推進させることができる。これにより、処理機2をより円滑に上方移動させることができる。
【0043】
この実施形態のように、ウインチ10が作業船13に設置され、処理機2が水底の地盤B中を上下移動する施工では、波動によって作業船13が揺れても、その搖動は、吊ワイヤ10cを介して処理機2に伝わる。従来のように長いロッドに撹拌翼5を取り付けていた場合は、作業船13の搖動が直接的にロッドを通じて処理機2に伝わるので、処理機2の揺れを防止するには不利であった。ところが、本発明では、作業船13の搖動が処理機2に伝わり難く、精度よく安全に施工するには有利である。尚、本発明は、水底地盤を改良するだけでなく、陸上地盤を改良する場合にも適用することができる。
【0044】
図6に例示したように、回転軸4からの水平方向距離が異なる吐出口9を存在(混在)させると、地盤改良薬液Sを地盤B中に均等に混合させ易くなる。
【符号の説明】
【0045】
1 地盤改良装置
2 処理機
3 駆動モータ
4 回転軸
5 撹拌翼
6 スタビライザ
7 上部回転翼
8 供給ライン
8a 供給パイプ
9 吐出口
10 ウインチ
10a ドラム
10b ブーム
10c 吊ワイヤ
11 制御装置
12 サブリーダ
13 作業船
14a、14b、14c 発電機
B 地盤
B1 支持地盤
S 地盤改良薬液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15