(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-112464(P2015-112464A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】パートナーズケア「やすらぎ」寝たきり病人用側臥位施術用バルーン
(51)【国際特許分類】
A61G 7/05 20060101AFI20150526BHJP
【FI】
A61G7/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-273301(P2013-273301)
(22)【出願日】2013年12月10日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】513148613
【氏名又は名称】上田 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 昌樹
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA04
4C040AA24
4C040GG01
4C040GG03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】重い傷病を患い、仰向け姿勢の寝たきり状態の患者へのマッサージを行う場合に、全身ケアのできる最低限の施術スタイルである側臥位姿勢に容易に体位変換でき、患者に負担のない用具を提供する。
【解決手段】内部に患者の体を保護するためのバルーンBが装着された患者の身長に合わせた長方形の敷物A、2枚を患者の左右から覆いこみ、敷物2枚を患者の前面の中央部分と背面の中央部分で伸縮性のマジックテープD(商標登録)にて繋ぎとめることで横から周囲を覆う形を取り、さらにバルーンの膨張により、患者を保護しながら、バルーンの組み合わせや形容により、円筒状になるため、転がせることで体位変換が容易となり、なおかつ、側臥位の状態から2か所で敷物を繋ぎとめているマジックテープ(商標登録)をはがし、側臥位の上半分を覆うバルーン付き敷物を取り除くことで、側臥位の施術が可能となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝たきり患者さんに接する内側部分に装着されたバルーンの膨張により円筒形になる敷物で覆い、転がせることで容易に体位変換が可能となる方法
【請求項2】
患者さんの身長にほど近い寸法の長方形であり、内部にバルーンを装着した敷物で患者さんの体の左右から覆い、その2枚の敷物を患者さんの前面の中央と背面の中央の2か所で伸縮性のマジックテープで繋ぎとめ、患者さんを横から完全に覆う形を取り、内部のバルーンに空気を注入し、膨張させることで、患者さんを保護しながら、バルーンの組み合わせや形容により全体を円筒形にする方法
【請求項3】
円筒形に膨張した状態から、側臥位状態へと体位変換をし、患者さんの前面の中央部分と背面中央部分で繋ぎとめているマジックテープをはがすことで、側臥位姿勢状態での左右どちらかの半身部分の上にあたる部分のバルーン付きの敷布を取り除くことで、背骨を対称とした上半分が外に出るとともに、下半分がバルーンにより保護を受けながら支えられることで、患者さんへの負担を最小限に抑えた形で背骨を対称とした左右どちらかの上半分のケアの提供が可能となる方法
【請求項4】
2枚の敷物の内部に装着されたバルーンの空気注入孔は2か所に分かれるため、二股に分かれた注入ノズルを使用するとともに、各注入孔に開閉弁を装着することで、空気注入装置をつないだノズルを刺し込めば弁が開き空気が注入でき、ノズルを抜き出せば弁が閉まり、外に空気が漏れない仕組みを取り、逆に空気を排出する際は空気注入装置からはずしたノズルのみを注入孔に差し込むことで弁を開き、空気を排出させる方法
【請求項5】
空気注入装置は選ばず、自動、手動に限らず利用でき、どんな環境でも体位変換が可能と成る方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
マッサージ施術補助具分野
【背景技術】
【0002】
寝たきり病人などの体位変換器具全般
【先行技術文献】
【0003】
褥瘡予防寝具またはマットなどの体位変換および体位移動用具
【発明の概要】
【0004】
仰向け姿勢での寝たきりの状態で闘病生活をお送る人のマッサージなどのケアを提供する場合に、全身ケアができる最低限の施術スタイルである側臥位に体位変換させることが必要であり、そのための誰でも容易に寝たきり患者の側臥位への体位変換用具を発明しました
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
重い傷病などで仰向け姿勢での寝たきり状態の患者さんへのマッサージ等のケアを行う場合、施術者ひとりでの体位変換は困難を要し、また、患者さんへの負担も考えれば、仰向け姿勢の状態から、最低限の施術範囲のみのケアに限られてしまい、背面の筋肉硬縮などを改善するための全身ケアを提供することが皆無です。これを解決するには、全身ケアを提供する場合の施術スタイルである側臥位への体位変換を施術者がひとりで容易に行え、患者さんへの負担も最低限に抑えられる体位変換補助具が必要になります
【0006】
仰向け姿勢で寝たきり状態の患者さんを施術者ひとりの力で容易に側臥位への体位変換を行うには、患者さんの体を円筒状にして、転がせる形にすることで可能となります。
その仕組みをそのまま応用した体位変換用具を発明しました
それは、人の身長ほどの長さの長方形の2枚のビニール製の敷物の内部に空気を注入することで膨らむバルーンを装着し、その2枚の敷物を並べて、敷物の外側から伸縮性マジックテープで並んでいる2枚を繋ぎとめた状態で、その上に仰向け状態の寝たきり患者さんが乗る形をとり、患者さんを包み込むように2枚の敷物で前部分もマジックテープ等で繋ぎとめます。すなわち、患者さんを包み込む内部にバルーンが装着された2枚の敷物を患者さんの背面の中央部分と前面の中央部分の2か所で伸縮性マジックテープで繋ぎとめることで患者さんを横側から完全に覆う形をとります。この場合、患者さんの体のサイズギリギリで覆うのではなく、少し余裕のある覆い方をすることが大切です。そして、この状態から、敷物の内部のバルーンに空気を注入することで、患者さんの体がバルーンに保護された状態のまま、バルーンの組み合わせや形容により円筒形に包まれる状態になります。
この状態からの体位変換は容易となり、左右どちらでも肩が上に来るように側臥位になるように転がせます。そして、患者さんを包む円筒形の患者さんの背面中央部分と前面中央部分で2枚の敷物を繋ぎとめているマジックテープをはがすことで、バルーンで膨張した敷物が分断され、側臥位の状態での上半分を覆う敷物を取り除くことで、下半分がバルーンにより保護されながら、支えられた状態で、背骨の位置を対称とした上半分が、外に出ることで左右どちらかの体の半身のケアができることになります。また、もう片方を施術する場合は、取り除いた敷物を上からかぶせ、マジックテープで繋ぎとめて、180度転がせることで、同じように敷物の上にくる方を取り除くことで、左右別々に半身ずつ、全身のケアが可能となります。
ケアが終われば、90度転がせて、仰向け状態にして、空気を抜き、マジックテープをはがせば元の仰向けの姿勢に戻ります。
バルーンを膨張させる方法は、2枚の敷物の内部に装着されたバルーンの空気注入孔が2か所に分かれるため、二股に分かれた注入ノズルを使用するとともに、各注入孔に開閉弁を装備することで、空気注入装置をつないだノズルを刺し込めば弁が開き空気が注入でき、ノズルを抜き出せば弁が閉まり、外に空気が漏れない仕組みを取り、逆に空気を排出する際は空気注入装置からはずしたノズルのみを注入孔に差し込むことで弁を開き、空気を排出させる仕組みをもちます。
空気の注入法もコンプレッサーなどの電気機器のみならず、足こぎや手押しなどの手動式でも可能とし、どんな環境でも利用できるものを提供します
【0007】
これまで困難を極め、なかなかできなかった寝たきり患者さんの全身ケアが施術者ひとりでの体位変換が容易となるとともにバルーンで保護される形で患者さんへの負担も最小限に抑えられることで、手間がかからず、患者さんの要望に応えられるケアが提供できるようになります
【図面の簡単な説明】
【008】
【
図1】…側臥位体位変換用具の装着前の寝たきり病人が仰向け姿勢で寝ている図
【
図2】…2枚の敷物を患者の左右から覆いこみ、患者さんの背面中央部分と前面中央部分にてマジックテープにて繋ぎとめて、周囲を包み込んだ状態の図
【
図4】…バルーンを膨張させて円筒形にした用具を側臥位へと転がせる図
【
図5】…側臥位姿勢の状態で2か所のマジックテープをはがし上半分を取り除いた図
【実施例】
【0009】
仰向けの姿勢での寝たきり状態は、褥瘡の問題だけではなく、肩や背中、腰などの筋肉の硬縮や関節などの稼働率が抑制されていきます。そのため、日常的な全身ケアが必要とされ、そのための最小限の施術スタイルである側臥位を重視するものです
【符号の説明】
【0010】
A…体位変換用具の表面のビニール素材
B…体位変換用具内部の体を保護するためのバルーン
C…開閉弁を装備した空気注入孔
D…伸縮性マジックテープ
【産業上の利用可能性】
【0011】
この側臥位体位変換用具は、現在商品化を進めるパートナーズケアの中の「やすらぎ」という施術パターンに使われる商品として開発されたものです。パートナーズケアとは営利的にプロの施術者が提供するマッサージではなく、肉親どうしが敬う心、思いやりの精神で行うマッサージ法であり、その中の「やすらぎ」は、余命を告げられた末期症状の患者さんや寝たきりの患者さんに対して、家族の愛情で死への不安やストレス、病気への苛立ちなどを鎮め、やすらぎのひとときを提供してあげるケアで、そのため、家族が容易に全身のケアを提供できる用具が必要とされ開発されました。
パートナーズケアに限らず、一般のマッサージまたは鍼や灸治療にも応用でき、さらに褥瘡予防にも利用できる商品です