特開2015-112501(P2015-112501A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-112501可視光領域応答触媒体とこれを利用した水の分解方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-112501(P2015-112501A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】可視光領域応答触媒体とこれを利用した水の分解方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/755 20060101AFI20150526BHJP
   B01J 23/745 20060101ALI20150526BHJP
   B01J 23/78 20060101ALI20150526BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20150526BHJP
   B01J 37/34 20060101ALI20150526BHJP
   C25B 1/04 20060101ALI20150526BHJP
【FI】
   B01J23/74 321M
   B01J23/74 301M
   B01J23/78 M
   B01J35/02 J
   B01J37/34
   C25B1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-253630(P2013-253630)
(22)【出願日】2013年12月6日
(71)【出願人】
【識別番号】513300554
【氏名又は名称】株式会社 グリーンケミー
(74)【代理人】
【識別番号】100083884
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 睦美
(72)【発明者】
【氏名】沢本 哲
(72)【発明者】
【氏名】水山 景子
(72)【発明者】
【氏名】野邊辺 弘一郎
(72)【発明者】
【氏名】本橋 美波
(72)【発明者】
【氏名】庄子 彰
(72)【発明者】
【氏名】清本 尚一
【テーマコード(参考)】
4G169
4K021
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA17
4G169BA48A
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB10A
4G169BB10B
4G169BC03A
4G169BC09A
4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC12A
4G169BC13A
4G169BC13B
4G169BC16A
4G169BC18A
4G169BC21A
4G169BC22A
4G169BC25A
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC32A
4G169BC35A
4G169BC42A
4G169BC42B
4G169BC43A
4G169BC51A
4G169BC54A
4G169BC55A
4G169BC56A
4G169BC58A
4G169BC60A
4G169BC62A
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169CA05
4G169CB81
4G169EC22Y
4G169FB23
4G169FB58
4G169HA02
4G169HB02
4G169HB03
4G169HB06
4G169HC02
4G169HC32
4G169HD10
4G169HE05
4G169HE09
4G169HF04
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC08
4K021CA05
4K021DA09
4K021DA13
(57)【要約】
【課題】可視光の全領域に対して高い感応性を有し、水の光分解に高い活性を示す酸化チタン系可視光応答光触媒を開発することを目的とする。
【解決手段】酸化チタンの主成分に、金属酸化物に金属水酸化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩の一種又は二種以上を配合してなる助触媒を加えて混合調整された可視光領域応答触媒を、電気伝導度の異なる材料を組み合わせてなる複合板の表面に塗布してなる可視光領域応答触媒体とこれを使用した水の分解方法。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタンの主成分に、金属酸化物に金属水酸化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩の一種又は二種以上を配合してなる助触媒を加えて混合調整された可視光領域応答触媒を、電気伝導度の異なる材料を組み合わせてなる複合板の表面に塗布してなる可視光領域応答触媒体。
【請求項2】
金属酸化物がFe2O3,Fe3O4,MnO,TiO2,CeO2,La2O3,ZnO,CuO,Cu2O3.V2O6,AgO,SnO2,WO5,In2O3,PbO2,Bi2O3,Nb2O3,Nb2O3,KTaO3,SrTiO2,BaTiO3,CaTiO3,FeTiO3,BaTiO4,K2NbO2,BiVO4の一種又は二種以上であり、金属水酸化物が(FeOOH),Ni(OH)2,NiOOH,Cr(OH)3,La(OH)3,Ti(OH)4,Zr(OH)4,Cu(OH)2,Mg(OH)2,Ca(OH)2,Zn(OH)2,Al(OH)3の一種又は二種以上であり、金属硫酸塩がBaSO4であり、金属炭酸塩がMnCO3,MgCO3,CaCO3の一種又は二種以上である請求項1記載の可視光領域応答触媒体。
【請求項3】
電気伝導度の異なる材料の組み合わせが、Cu-Ni,Cu-Ti,Cu-Zr,Cu-Zn,Cu-Ag,Ni-Ti,Ni-Zr,Ni-Zn,Ni-Ag,Ag-Ti,Ag-Zr,Ag-Zn,Ti-Zr又はAu,Pt,Pdとこれと電気伝導度の異なる金属の組み合わせが含まれる。
から選ばれた金属板の組み合わせである請求項1記載の可視光領域応答触媒体。
【請求項4】
請求項1記載の可視光領域応答触媒体の複合板に水を接触させながら可視光領域の光を照射して行うことを特徴とする水の分解方法。
【請求項5】
閉回路光電気化学的方法により行う請求項4記載の水の分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化チタンを主成分とする可視光領域応答触媒体とこれを利用して可視光領域の光を照射して水を連続的に分解する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光触媒に光を照射し、水から水素と酸素を製造する技術開発は近年、光触媒酸化チタン及びd0、d10元素を主成分とする化合物が主流を占めている(特開2003-260370、特開2004-330074、特開平11-33302、特開平11-333304)。
【0003】
一方、水素発生と酸素発生に別々の光触媒を利用し、その開発をレドックス系でつなぐ二段励起反応メカニズム(Zスキーム反応)などがある(特開2005-068007)。
【0004】
また、酸化タンタル系酸化物半導体及び酸化ジルコニウム系酸化物半導体光触媒が新たに提案されている(WO200505451A1、WO2012133523A1、特開2007-75678)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-260370
【特許文献2】特開2004-330074
【特許文献3】特開2003-117407
【特許文献4】特開2005-068007
【特許文献5】特開2007-75078
【特許文献6】特開平11-333302
【特許文献7】特開平11-333304
【特許文献8】WO200505451A1
【特許文献9】WO2012133523A1
【特許文献10】特許第876524号
【特許文献11】特開平10-87303
【特許文献12】特表200-507974
【特許文献13】特開2000-312830
【特許文献14】特開2004−344825
【特許文献15】特開2008-231418
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このうち、酸化チタン系光触媒に関する開発研究が活発に行われているが、未だに実用化の水準にはほど遠い実情である。
【0007】
これは、酸化チタンはバンドギャップが大きいため、可視光の一部にしか応答しないためである。
【0008】
酸化チタンを可視光応答光触媒として実用的なものとするためには、可視光全領域に高効率で連続的に感応し、同時に電荷の再結合最小限に抑えることが必要であるが、従来開発されてきた酸化チタンを主成分とする可視光応答触媒は単純応答活性点を算数的に増やす方法に過ぎず、この方法では根本的な問題を解決することは困難である。
【0009】
本発明者らは、上記実情に鑑み、太陽光、擬似太陽光、白熱灯、蛍光灯などの可視光の全領域に対して高い感応性を有し、水の光分解に高い活性を示す酸化チタン系可視光応答光触媒を開発することを目的として鋭意研究の結果、以下のような新規な酸化チタン系可視光応答光触媒体とこれを利用した水の分解方法を開発することに成功した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、酸化チタンの主成分に、金属酸化物に金属水酸化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩の一種又は二種以上を配合してなる助触媒を加えて混合調整された可視光領域応答触媒を、電気伝導度の異なる材料を組み合わせてなる複合板の表面に塗布してなる可視光領域応答触媒体とこの可視光領域応答触媒体の複合板に水を接触させながら可視光領域の光を照射して行う水の分解方法である。
【0011】
(1)可視光領域応答触媒
本発明の一つの特徴は、酸化チタンの主成分に、金属酸化物に金属水酸化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩の一種又は二種以上を配合してなる助触媒を加えて可視光領域応答触媒を構成したことにある。
【0012】
即ち、本発明では酸化チタンに水分子の分極分離を促し、反応中間体としての活性酸素種を分解し、すばやく触媒表面から活性酸素種を脱離できるように上記助触媒が混合配合することにより、触媒の光エネルギー変換率が実用化の目標とされる、〜6%以上の高活性を示す可視光応答光触媒が得られる。
【0013】
本発明で使用する酸化チタンとしては、ルチル、アナターゼ及びブルカイト型酸化チタン何れをも使用することができる。
【0014】
また、金属酸化物としてはFe2O3,Fe3O4,MnO,CeO2,La2O3,ZnO,ZnO2,CuO,Cu2O.V2O5,AgO,SnO2,In2O3,WO3,KTaO3,Bi2O3,Nb2O3,SrTiO2,BaTiO3,CaTiO3,FeTiO3,K2NbO2,BiVO4の一種又は二種以上を挙げることができる。
【0015】
金属水酸化物としては(FeOOH),Ni(OH)2,NiOOH,Cr(OH)3,La(OH)3,Ti(OH)4,Zr(OH)4,Cu(OH)2,Mg(OH)2,Ca(OH)2,Zn(OH)2,Al(OH)3の一種又は二種以上、金属硫酸塩としてBaSO4であり、金属炭酸塩としてMnCO3,MgCO3,CaCO3の一種又は二種以上を挙げることができる。
【0016】
本発明に係わる可視光領域応答触媒の配合割合は、酸化チタンの含有率は20Wt%〜85Wt%、好ましくは40Wt%〜65Wt%を含み、金属水酸化物が5Wt%〜30Wt%、金属酸化物、金属硫酸塩、金属炭酸塩の一種又は二種以上が2Wt%〜30Wt%である。
【0017】
本発明に係わる触媒の材料は前駆体の化合物や物質から合成したものを用いることができる。純度はできるだけ高く、且つ表面積は大きいものが好ましいが、市販品の酸化物等をそのまま使用することができる。
【0018】
前駆体から触媒の材料を製造する場合は、水酸化物の沈殿を乾燥焼成したり、アンモニウム塩、硝酸塩、炭酸塩、有機酸塩を熱分解したり、ゾルゲル法など種々の方法により調整することができる。この場合、触媒主成分である酸化チタンの調整はできるだけ、表面積が大きくなるように調整することが効果的である。
【0019】
(2)電気伝導度の異なる材料を組み合わせてなる複合板の表面への可視光領域応答触媒の塗布
本発明の他の特徴は、電気伝導度の異なる材料を組み合わせてなる複合板の表面への可視光領域応答触媒の塗布にある。
【0020】
即ち、可視光により一部電荷分離した電子が複合板の電位差に従い、電子が流れ、電子不足になった複合板表面と酸化チタン触媒表面において部分電荷分離が連続的に起こり、エネルギーの低い可視光の波長領域のエネルギーを利用して電荷分離を完結し、また、電荷分離で発生した電子は電位差の異なる複合板に流れ込むことにより、正孔と電子の再結合を防ぐことができる。
【0021】
電気伝導度の異なる材料の組み合わせとは、金属と金属との組み合わせ、金属と電導ガラス、電導プラスチック等の材料の組み合わせ、電導ガラス、電導プラスチック等の材料相互の組み合わせ等が考えられる。
【0022】

金属相互の組み合わせ方法としては、金属板表面への金属メッキ、金属板相互の張り合わせ等が考えられる。
【0023】
電気伝導度の異なる金属と金属の組み合わせとしては、Cu-Ni,Cu-Ti,Cu-Zr,Cu-Zn,Cu-Ag,Ni-Ti,Ni-Zr,Ni-Zn,Ni-Ag,Ti-Ag,Ti-Zr,Zr-Zn,Ag-Zn,Ti-Zr又はAu,Pt,Pdとこれと電気伝導度の異なる金属の組み合わせが含まれる。
【0024】
複合板の表面への可視光領域応答触媒の塗布としては、塗布剤を使用した塗布、セラミックコーティング等を挙げることができる。
【0025】
ここで、使用する塗布剤ビヒクルとしては、水性有機高分子化合物、例えばエポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニール系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリグリセリン系樹脂、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、オレフィン一重合成不飽和カルボン酸共重合体系樹脂、ポリオキシアルキレン鎖含有樹脂、有機シリコン系樹脂等を挙げることができる。
【0026】
(3)可視光領域応答触媒体の複合板に水を接触させながら可視光領域の光を照射して行う水の分解
ここで、使用する水は純水、水道水、濾過した河川水及び海水、蒸留水、ミネラル水などを挙げることができ、この場合PH調整剤及び犠牲試薬などの添加物を必要とせず、また反応容器内の撹拌及び温度制御も必要としない。
【0027】
本発明に用いる光源としては、太陽光、擬似太陽光、蛍光灯、白熱灯、LED等を挙げることができる。
【0028】
本発明は水の電気分解と結びつけることも可能であり、閉回路光触媒反応による水の完全分解を行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば酸化チタンを主成分とする酸化物半導体光触媒を用いて水の完全分解を可視光照射条件下において高効率で行うことができる。
特に、触媒の主成分である酸化チタンへの他元素のドーピングなどの特別な必要ではなく、且つ粉末触媒では撹拌が必須条件であるが、本発明ではその必要はない。
【0030】
また、本発明の触媒は、安価に得ることができ、太陽光及び余剰の電気を利用して昼夜及び天候に影響されず水から水素及び酸素の製造が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の触媒として、酸化チタン50Wt%に助触媒として四三化鉄を25Wt%水酸化ニッケル25Wt%を均一に機械混合して、これに2%濃度の水性アクリルビヒクルを添加して得た混合溶液を金属銅板にニッケル金属板を張り合わせた金属板に塗布したものを使用し、この触媒装置を水道水を入れた容器に設置し、外部光源100W白熱灯を10cmの距離で照射して水の分解を操作を行う。
【実施例】
【0032】
実施例1
本発明の触媒体として、ルチル型酸化チタン(和光製)50Wt%に助触媒として株式会社和光製の四三化酸化鉄25Wt%水酸化ニッケル25Wt%を均一に機械混合して、これに2%濃度の水性アクリルビヒクルを添加して得た混合溶液を0.2mmの金属銅板に0.1mmのニッケル金属板を張り合わせた金属板に塗布したものを使用した。塗布板の面積は100cm2である。
500mlの硬質ガラスに水道水300mlを入れ、その中に調整した触媒を設置し、外部光源100W白熱灯を10cmの距離で照射した。反応系は閉鎖循環系であり、反応器内を真空にしてアルゴンガスを充填し、系内の全圧を約55torrとした。反応容器内のPHは6.3であった。温度制御は行わなかった。反応生成物はガスクロマトグラフィー及び圧力計により定性定量を行った。
反応生成ガスの生成速度は、水素:4.5l/hr・m2、酸素:2.4/hr・m2であった。生成比が2:1であり、水が完全分解していることを確認した。
【0033】
実施例2
実施例1の操作を、酸化チタンを除いた助触媒で行ったが、水の分解反応は進行しなかった。このことから、酸化チタンが主触媒である。白熱灯の波長範囲は可視光及び赤外領域であることから、本触媒体が可視光応答光半導体であることが明白である。
【0034】
実施例3
実施例1において、助触媒を四三化酸化鉄25Wt%、水酸化マグネシウム25Wt%として、同等の条件下で反応を行った。
その結果、水素:2.2l/hr・m2、酸素:1.1l/hr・m2であった。
【0035】
実施例4
実施例1において、金属板をCu-Tiとして、同等の条件下で反応を行った。
その結果、水素:2.1l/hr・m2、酸素:1.1l/hr・m2であった。
【0036】
実施例5
実施例1において、金属板をCu-Zrとして、同等の条件下で反応を行った。
その結果、水素:1.4l/hr・m2、酸素:0.7l/hr・m2であった。
【0037】
実施例6
実施例1において、助触媒を四三化酸化鉄25Wt%、硫酸バリウム25Wt%として、同等の条件下で反応を行った。
その結果、水素:2.2l/hr・m2、酸素:1.1l/hr・m2であった。
【0038】
実施例7
実施例1において、助触媒を硫酸バリウム20Wt%、酸化水酸化鉄15Wt%、水酸化ニッケル15Wt%として、同じ条件下で反応を行った。
その結果、水素:2.4l/hr・m2、酸素:1.2l/hr・m2であった。
【0039】
実施例8
実施例1において、金属板Ni-Tiを使用して反応を行った。
その結果、水素:1.5l/hr・m2、酸素:0.75l/hr・m2であった。
【0040】
実施例9
実施例1において、助触媒を四三化酸化鉄20Wt%、硫酸バリウム5Wt%、水酸化ランタン25Wt%として反応を行った。
その結果、水素:2.0l/hr・m2、酸素:1.0l/hr・m2であった。
【0041】
実施例10
実施例1において、反応温度を50℃以下に制御して240時間反応を行った。
その結果、水素:2.0l/hr・m2、酸素:1.1l/hr・m2であった。
【0042】
実施例11
実施例1において、主触媒ルチル型チタン酸化ジルコンの代わりに、アナターゼ型酸化チタン(和光製)を用いて反応を行った。
その結果、水素:2.0l/hr・m2、酸素:1.0l/hr・m2であった。
【0043】
実施例12
実施例1において、主触媒としてアナターゼ型酸化チタンを用い、助触媒として25Wt%酸化鉄、水酸化ニッケル25Wt%を用いて反応を行った。
その結果、水素:2.6l/hr・m2、酸素:1.2l/hr・m2であった。
【0044】
実施例13
実施例1において、光源AM1.5を使用して反応を行った。
その結果、水素:2.8l/hr・m2、酸素:1.4l/hr・m2であった。
【0045】
実施例14
実施例1において、触媒主成分としてアナターゼ型酸化チタンを用いて、光源AM1.5で光触媒を行った。
その結果、水素:2.6l/hr・m2、酸素:1.3l/hr・m2であった。
【0046】
実施例15
水の閉回路光分解を行った。1mol/1NNaOH溶液に実施例1の塗装酸化チタン板を入れ、一方1mol/1H2SO4溶液にPt電極を設置し、寒天2g+NaCl40g/100mlH2Oの塩橋を用いた閉回路光分解装置で反応を行った。その結果、水素:2.4l/hr・m2、酸素:1.2l/hr・m2であった。
【0047】
実施例16
ルチル型TiO2:50Wt%、Ni(OH)2 :25Wt%、Cu(OH)2:20Wt%、BaSO4:5Wt%を水性アクリルビヒクルに分散させ、0.3mmCuに約0.2ミクロンの膜厚にNiをメッキした複合板に塗布した触媒体を純水300mlを入れた500ml硬質ガラス容器に設置して100Wの白熱灯を照射した。触媒体面積は50cm2 照射距離は5cmとした。発生したガスを水上置換してガス発生量を測定した。ガスの組成をガスクロマトグラフで確認した。水上置換で得られたガスの量は2.0L/hr、ガス成分は水素64Vol%、酸素35Vol%であった。
【0048】
実施例17
実施例16で光源を100W赤色光源を用い、水の分解反応を行った。
得られたガスの量は0;1L/hr、ガスの成分構成は水素66Vol%、酸素33Vol%であった。この結果は本触媒体が800nmの波長領域でも水の分解が可能であることを示している。
【0049】
実施例18
実施例1の触媒体を用いて、100ppmのメチレンブルーの脱色反応を行った。使用した光源は60W蛍光灯を使用した。15分間で完全に脱色した。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上要するに、本発明によれば水の完全分解を可視光照射条件下において高効率で行うことができる酸化チタン系可視光領域応答触媒体とこれを利用した水の分解方法を提供できる。