【実施例】
【0057】
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下では、特に断りが無い限り、「質量部」を単に「部」と、「質量%」を単に「%」と記載することがあるものとする。
【0058】
1.下塗り塗料の調製
下記の表1に示すように、原料を混合、練合機にて練合ベースを作成し、得られた練合ベースに各原料を混合し、公知の手法により分散させ、下塗り塗料1〜3(下塗1〜3)を調製した。
【0059】
<塩素化ポリオレフィン樹脂>
ハードレンM28〔マレイン酸変性、結晶融点(Tm)=75℃、固形分 25質量%、東洋紡社製商品名〕
ハードレンF-2(マレイン酸変性、Tm=72℃、固形分 20質量%、東洋紡社製商品名)
スーパークロン223M(アクリル変性、Tm=75℃、固形分 35質量%、日本製紙ケミカル社製商品名)
ハードレン15LLP(Tm=56℃、固形分 20質量%、東洋紡社製商品名)
【0060】
<顔料>
ケッチェンブラックEC300J(導電性カーボンブラック、ライオン社製商品名)
【0061】
<湿潤分散剤>
BYK-220S(ポリカルボン酸ポリエステル系湿潤分散剤、ビッグケミージャパン社製商品名)
【0062】
<表面調整剤>
BYK344(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ビッグケミージャパン社製商品名)
【0063】
<沈降防止剤>
ミクロフラットJ26(ポリエチレンワックス、興洋化学社製商品名)
【0064】
【表1】
【0065】
2.中塗り塗料の調製
(2−1 水酸基含有ポリエステル樹脂の調製)
以下の<合成例1〜8>の手順に従い、水酸基含有ポリエステル樹脂を調製した。尚、水酸基価、加熱残分及び重量平均分子量を下記の方法で測定した。
<水酸基価>
樹脂固形分1g中の遊離水酸基を無水酢酸で完全にアセチル化した後、それを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を定量した。
<加熱残分>
加熱残分は、約3グラムの樹脂溶液、前駆体溶液又は塗料をアルミカップに精秤し、これを105℃オーブンで60分間乾燥させ、次いで、残留物の質量を精秤し、元の質量に対する残留物の質量の割合を加熱残分(質量%)として求めた。
<重量平均分子量>
重量平均分子量の測定は、TSKgelカラム(東ソー(株)社製)を用い、RIを装備したGPC(東ソー(株)社製;HLC−8220GPC)により求めた。GPCの条件として、展開溶媒にテトラヒドロフランを用い、流速0.35ml/分、温度40℃にて測定を行った。なお、TSK標準ポリスチレン(東ソー(株)社製)を標準物質として用いた。
【0066】
<合成例1>
攪拌機、温度計、還流冷却器、脱水装置及び窒素ガス導入管等の備わった反応容器に、トリメチロールプロパン2.8部、ネオペンチルグリコール23.2部、無水フタル酸13.1部、イソフタル酸12.8部、アジピン酸9.5部、及びキシレン2部を入れ、窒素雰囲気下で加熱攪拌し、240℃で反応混合物の樹脂酸価が18.1mgKOH/gになるまで反応を行った後、冷却した。次に、得られた反応混合物中にキシレン35部を入れ、混合して加熱残分59.6%、水酸基価66.1mgKOH/g、及び重量平均分子量9,800のポリエステル樹脂の樹脂溶液PE−1を得た。
組成を表2に示す。
【0067】
<合成例2>
攪拌機、温度計、還流冷却器、脱水装置及び窒素ガス導入管等の備わった反応容器に、トリメチロールプロパン2.8部、ネオペンチルグリコール26.9部、無水フタル酸10.6部、イソフタル酸11.8部、アジピン酸9.3部、及びキシレン2部を入れ、窒素雰囲気下で加熱攪拌し、240℃で反応混合物の樹脂酸価が9.9mgKOH/gになるまで反応を行った後、冷却した。次に、得られた反応混合物中にキシレン35部を入れ、混合して加熱残分60.5%、水酸基価178.7mgKOH/g、及び重量平均分子量10,500のポリエステル樹脂の樹脂溶液PE−2を得た。
組成を表2に示す。
【0068】
<合成例3>
攪拌機、温度計、還流冷却器、脱水装置及び窒素ガス導入管等の備わった反応容器に、トリメチロールプロパン2.8部、ネオペンチルグリコール24.5部、無水フタル酸11.8部、イソフタル酸12.8部、アジピン酸9.5部、及びキシレン2部を入れ、窒素雰囲気下で加熱攪拌し、240℃で反応混合物の樹脂酸価が12.5mgKOH/gになるまで反応を行った後、冷却した。次に、得られた反応混合物中にキシレン35部を入れ、混合して加熱残分59.7%、水酸基価103.8mgKOH/g、及び重量平均分子量5,900のポリエステル樹脂の樹脂溶液PE−3を得た。
組成を表2に示す。
【0069】
<合成例4>
攪拌機、温度計、還流冷却器、脱水装置及び窒素ガス導入管等の備わった反応容器に、トリメチロールプロパン2.8部、ネオペンチルグリコール23.5部、無水フタル酸12.9部、イソフタル酸12.8部、アジピン酸9.5部、及びキシレン2部を入れ、窒素雰囲気下で加熱攪拌し、240℃で反応混合物の樹脂酸価が9.4mgKOH/gになるまで反応を行った後、冷却した。次に、得られた反応混合物中にキシレン35部を入れ、混合して加熱残分59.9%、水酸基価66.1mgKOH/g、及び重量平均分子量13,100のポリエステル樹脂の樹脂溶液PE−4を得た。
組成を表2に示す。
【0070】
<合成例5>
攪拌機、温度計、還流冷却器、脱水装置及び窒素ガス導入管等の備わった反応容器に、トリメチロールプロパン2.5部、ネオペンチルグリコール23.2部、無水フタル酸13.4部、イソフタル酸12.8部、アジピン酸9.5部、及びキシレン2部を入れ、窒素雰囲気下で加熱攪拌し、240℃で反応混合物の樹脂酸価が21.3mgKOH/gになるまで反応を行った後、冷却した。次に、得られた反応混合物中にキシレン35部を入れ、混合して加熱残分60.1%、水酸基価58.1mgKOH/g、及び重量平均分子量10,300のポリエステル樹脂の樹脂溶液PE−5を得た。
組成を表2に示す。
【0071】
<合成例6>
攪拌機、温度計、還流冷却器、脱水装置及び窒素ガス導入管等の備わった反応容器に、トリメチロールプロパン2.8部、ネオペンチルグリコール28.3部、無水フタル酸10.6部、イソフタル酸10.8部、アジピン酸8.9部、及びキシレン2部を入れ、窒素雰囲気下で加熱攪拌し、240℃で反応混合物の樹脂酸価が8.3mgKOH/gになるまで反応を行った後、冷却した。次に、得られた反応混合物中にキシレン35部を入れ、混合して加熱残分59.7%、水酸基価220.6mgKOH/g、及び重量平均分子量9,600のポリエステル樹脂の樹脂溶液PE−6を得た。
組成を表2に示す。
【0072】
<合成例7>
攪拌機、温度計、還流冷却器、脱水装置及び窒素ガス導入管等の備わった反応容器に、トリメチロールプロパン2.8部、ネオペンチルグリコール24.5部、無水フタル酸11.8部、イソフタル酸12.8部、アジピン酸9.5部、及びキシレン2部を入れ、窒素雰囲気下で加熱攪拌し、240℃で反応混合物の樹脂酸価が16.3mgKOH/gになるまで反応を行った後、冷却した。次に、得られた反応混合物中にキシレン35部を入れ、混合して加熱残分59.9%、水酸基価107.5mgKOH/g、及び重量平均分子量4,100のポリエステル樹脂の樹脂溶液PE−7を得た。
組成を表2に示す。
【0073】
<合成例8>
攪拌機、温度計、還流冷却器、脱水装置及び窒素ガス導入管等の備わった反応容器に、トリメチロールプロパン2.8部、ネオペンチルグリコール24.5部、無水フタル酸11.8部、イソフタル酸12.8部、アジピン酸9.5部、及びキシレン2部を入れ、窒素雰囲気下で加熱攪拌し、240℃で反応混合物の樹脂酸価が7.0mgKOH/gになるまで反応を行った後、冷却した。次に、得られた反応混合物中にキシレン35部を入れ、混合して加熱残分60.6%、水酸基価98.6mgKOH/g、及び重量平均分子量16,800のポリエステル樹脂の樹脂溶液PE−8を得た。
組成を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
(2−2 水酸基含有アクリル樹脂の調製)
以下の<合成例9〜16>の手順に従い、水酸基含有アクリル樹脂を調製した。尚、水酸基価、加熱残分及び重量平均分子量を前述の方法で測定した。
<合成例9>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、キシレン35部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記の表3に示すモノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部とキシレン1部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。得られた反応混合物中にキシレン4部を加えて希釈し、加熱残分59.8%のアクリル樹脂溶液AC−1を得た。AC−1に含まれるアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は10,300、水酸基価は72.5mgKOH/gであった。
組成を表3に示す。
【0076】
<合成例10>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、キシレン35部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記の表3に示すモノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部とキシレン1部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。得られた反応混合物中にキシレン4部を加えて希釈し、加熱残分59.8%のアクリル樹脂溶液AC−2を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は10,100、水酸基価は174mgKOH/gであった。
組成を表3に示す。
【0077】
<合成例11>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、キシレン35部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記の表3に示すモノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部とキシレン1部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。得られた反応混合物中にキシレン4部を加えて希釈し、加熱残分60.8%のアクリル樹脂溶液AC−3を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は7,200、水酸基価は107.5mgKOH/gであった。
組成を表3に示す。
【0078】
<合成例12>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、キシレン35部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記の表3に示すモノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部とキシレン1部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。得られた反応混合物中にキシレン4部を加えて希釈し、加熱残分59.7%のアクリル樹脂溶液AC−4を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は12,500、水酸基価は127.4mgKOH/gであった。
組成を表3に示す。
【0079】
<合成例13>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、キシレン35部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記の表3に示すモノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部とキシレン1部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。得られた反応混合物中にキシレン4部を加えて希釈し、加熱残分60.3%のアクリル樹脂溶液AC−5を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は6,800、水酸基価は46.6mgKOH/gであった。
組成を表3に示す。
【0080】
<合成例14>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、キシレン35部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記の表3に示すモノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部とキシレン1部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。得られた反応混合物中にキシレン4部を加えて希釈し、加熱残分60.4%のアクリル樹脂溶液AC−6を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は9,800、水酸基価は217.5mgKOH/gであった。
組成を表3に示す。
【0081】
<合成例15>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、キシレン35部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記の表3に示すモノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部とキシレン1部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。得られた反応混合物中にキシレン4部を加えて希釈し、加熱残分60.4%のアクリル樹脂溶液AC−7を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は4,500、水酸基価は70.7mgKOH/gであった。
組成を表3に示す。
【0082】
<合成例16>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、キシレン35部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記の表3に示すモノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部とキシレン1部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。得られた反応混合物中にキシレン4部を加えて希釈し、加熱残分59.6%のアクリル樹脂溶液AC−8を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は17,700、水酸基価は102.5mgKOH/gであった。
組成を表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
(2−3 中塗り塗料の調製)
下記の表4及び表5に示すように、各原料を混合し、公知の手法により分散させ、中塗り塗料1〜20を調製した。
水酸基含有樹脂以外の原料を以下に示す。
【0085】
<メラミン樹脂>
メランM284(イソブチルアルコール変性メラミン樹脂、日立化成工業社製商品名)
【0086】
<光輝性顔料>
TC2060(アルミペースト、固形分75%、東洋アルミニウム社製商品名)
【0087】
<共重合体ワックスディスパージョン>
CERATIX 8463(エチレン・酢酸ビニル共重合体及びエチレン・アクリル酸共重合体含有ワックスディスパージョン、ビッグケミージャパン社製商品名)
CERAFAK 103 (エチレン・アクリル酸共重合体ワックスディスパージョン、ビッグケミージャパン社製商品名)
CERATIX 8461 (エチレン・酢酸ビニル共重合体ワックスディスパージョン、ビッグケミージャパン社製商品名)
【0088】
<紫外線吸収剤>
TINUVIN384-2(BASF社製商品名)
【0089】
<光安定剤>
TINUVIN292(BASF社製商品名)
【0090】
【表4】
【0091】
【表5】
【0092】
3.上塗り塗料の調製
(3−1 水酸基含有アクリル樹脂の調製)
アクリル樹脂溶液AC−3、AC−4、AC−7、AC−8については、上述したとおりの方法で調製した。尚、水酸基価、加熱残分及び重量平均分子量を上述の方法で測定した。
<合成例17>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、キシレン35部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記の表6に示すモノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部とキシレン1部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。得られた反応混合物中にキシレン4部を加えて希釈し、加熱残分60.1%のアクリル樹脂溶液AC−9を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は12,100、水酸基価は101.9mgKOH/gであった。
組成を表6に示す。
【0093】
<合成例18>
攪拌機、温度計、還流冷却器等の備わった反応容器に、キシレン35部を仕込み、加熱撹拌し、100℃に達してから、下記の表6に示すモノマー等の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃を保持したまま、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.1部とキシレン1部との混合物である追加触媒溶液を1時間要して滴下した。更に100℃で1時間撹拌を続けた後、冷却した。得られた反応混合物中にキシレン4部を加えて希釈し、加熱残分59.8%のアクリル樹脂溶液AC−10を得た。得られたアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は10,100、水酸基価は174mgKOH/gであった。
組成を表6に示す。
【0094】
【表6】
【0095】
(3−2 上塗り塗料の調製)
下記の表7に示すように、各原料を混合し、公知の手法により分散させ、上塗り塗料1〜6(上塗1〜6)を調製した。
レオロジー調整剤、表面調整剤、ポリイソシアネートの原料を以下に示す。
【0096】
<レオロジー調整剤>
グランドール100S(アクリル−スチレン共重合体、DIC社製商品名)
【0097】
<表面調整剤>
BYK320(ビッグケミージャパン社製商品名)
【0098】
<ポリイソシアネート>
スミジュールN3300〔イソシアヌレート(NV100%,NCO%=21.6%)、住化バイエルウレタン社製商品名〕
【0099】
【表7】
【0100】
4.積層塗膜の形成
<実施例1〜20及び比較例1〜12>
まず、ポリプロピレン基材をイソプロパノールで洗浄したのちに乾燥し、次いで、この基材上に、表8〜11に記載の組み合わせに従って順次スプレー塗装した後、3コート1ベーク方式(乾燥条件は80℃×30分間を保持)により塗装して、実施例1〜20及び比較例1〜12に係る積層塗膜を形成した。
なお、下塗り層、中塗り層、上塗り層の乾燥後の膜厚は、それぞれ、10μm、15μm、30μmになるように塗装条件を調整した。
用いた塗料等を表8〜11に示す。
【0101】
5.積層塗膜の評価
<評価項目>
(i)塗料のVOC量
実施例1〜20及び比較例1〜12における下塗り塗料(下塗)、中塗り塗料(中塗)及び上塗り塗料(上塗)のそれぞれについて、下記の式(1)に示すように、不揮発分測定から得られる塗料中の揮発分(単位:質量%)に塗料の密度(単位:g/cm
3)を掛け合わせることにより、塗装時のVOC量を算出した。
塗料のVOC量(g/l)=([揮発分]/100) × [塗料密度 (g/cm
3)]×1000 ・・・式(1)
ただし、[揮発分]=100−[不揮発分](単位:質量%)である。
尚、不揮発分は、以下の方法で求めた。
すなわち、1.0gの下塗り塗料(下塗)、中塗り塗料(中塗)又は上塗り塗料(上塗)をアルミカップに精秤し、これを110℃オーブンで3時間乾燥させた。乾燥後、残留物の質量を精秤し、元の質量に対する残留物の質量の割合を不揮発分として求めた。
尚、上記不揮発分は塗料組成物に占める固形分を意味する。
用いた塗料等を表8〜11に示す。
【0102】
(ii)付着性(基材との付着性、層間付着性)
JIS K5600 5.6に準じ、作成した実施例1〜20及び比較例1〜12で得られた積層塗膜上に、カッターで切り込みをいれて、2mm角の碁盤目を100マス目作り、その上に粘着テープを貼り付けた後、強制的に剥離する試験を行い、下記の基準で評価した。
結果を表8〜11に示す。
○:試験後に塗膜の剥離が全く認められない。
△:試験後に塗膜層間部分より塗膜の剥離が認められる。
×:試験後に基材部分から塗膜の剥離が認められる。
【0103】
(iii)耐ガソホール性
実施例1〜20及び比較例1〜12で得られた積層塗膜の各試験片について、端面をカットした後、JIS K8101に規定されるエタノール10vol%と、レギュラーガソリン90vol%とを混合して調製した試験液中に20℃で密閉した状態で規定の時間浸漬し、その後、取り出し、直ちに液の状態および塗膜の膨れ、剥がれ、シワなどの発生、変色、光沢変化、著しい塗膜軟化などを観察した。
さらに、上記観察後の各試験片を20℃で24時間放置した後、試験部分にカッターで切り込みを入れて2mm角の碁盤目を25マス作り、その上に粘着テープを貼り付けた後、強制的に剥離する試験を行い、付着性を調べた。
結果を表8〜11に示す。
○:30分浸漬後の塗膜に膨れや剥がれなどの異常がなく、付着性にも異常がない。
△:30分浸漬後、僅かに塗膜の異常が見られるが、付着性には異常がない。
×:30分以内に塗膜の膨れや剥がれなどの異常が発生した。
【0104】
(iv)光輝性(目視)
実施例1〜20及び比較例1〜12で得られた積層塗膜を目視にて観察し、下記の基準に基づいて、塗膜表面の光輝性を評価した。
結果を表8〜11に示す。
◎:塗膜表面に光沢があり、光輝性顔料の配置にむらがなく、金属調の光輝感がある。
○:塗膜表面に光沢があり、光輝性顔料の配置にむらがないが、金属調の光輝感がやや劣る。
△:塗膜表面に光沢があるが、光輝性顔料の配置にむらがあり、金属調の光輝感がない。
×:塗膜表面に光沢がなく、光輝性顔料が均一でない。
【0105】
(v)耐湿性
実施例1〜20及び比較例1〜12で得られた積層塗膜について、JIS K5600-7-2.5に準じた試験方法で240時間試験後、上記(ii)の付着性試験を実施し、塗膜の外観と付着性について下記の基準で評価した。
結果を表8〜11に示す。
○:塗膜外観に異常はなく、付着性試験にも異常がない。
△:塗膜外観において僅かな光沢の減少が見られるが、付着性試験には異常がない。
×:塗膜外観にフクレ、ワレなどの著しい異常が見られるか、又は付着性試験において剥離が認められる。
【0106】
(vi)耐候性
実施例1〜20及び比較例1〜12で得られた積層塗膜について、サンシャインウェザオメーターにより1500時間の耐候性試験を行い、その耐候性を下記の基準に基づいて評価した。
結果を表8〜11に示す。
○:塗膜外観に変化はなく、光沢保持率が95%以上であり、かつ付着性試験にも異常がない。
△:塗膜外観において軽微な変化があり、光沢保持率が80〜95%未満であり、かつ付着性試験には異常がない。
×:塗膜外観の変化が著しく、光沢保持率が80%未満であるか、又は付着性試験で剥離が認められる。
【0107】
【表8】
【0108】
【表9】
【0109】
【表10】
【0110】
【表11】