特開2015-112712(P2015-112712A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロェーム ゲーエムベーハーの特許一覧

特開2015-112712ドリリング装置およびドリルチャック
<>
  • 特開2015112712-ドリリング装置およびドリルチャック 図000003
  • 特開2015112712-ドリリング装置およびドリルチャック 図000004
  • 特開2015112712-ドリリング装置およびドリルチャック 図000005
  • 特開2015112712-ドリリング装置およびドリルチャック 図000006
  • 特開2015112712-ドリリング装置およびドリルチャック 図000007
  • 特開2015112712-ドリリング装置およびドリルチャック 図000008
  • 特開2015112712-ドリリング装置およびドリルチャック 図000009
  • 特開2015112712-ドリリング装置およびドリルチャック 図000010
  • 特開2015112712-ドリリング装置およびドリルチャック 図000011
  • 特開2015112712-ドリリング装置およびドリルチャック 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-112712(P2015-112712A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】ドリリング装置およびドリルチャック
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/12 20060101AFI20150526BHJP
   B23B 45/16 20060101ALI20150526BHJP
【FI】
   B23B31/12 C
   B23B45/16 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-246027(P2014-246027)
(22)【出願日】2014年12月4日
(31)【優先権主張番号】10 2013 113 868.3
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597007204
【氏名又は名称】ロェーム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】ペーター シェンク
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ヘングスバーガー
【テーマコード(参考)】
3C032
3C036
【Fターム(参考)】
3C032HH01
3C032HH08
3C036EE26
(57)【要約】
【課題】モータを備えるドリリング機械と、ドリルチャックとを含むドリリング装置において、構造をシンプルにし、ドリリング機械へのドリルチャックの組み込み・一体化をシンプルにする。
【解決手段】ドリルチャックは、締付スリーブ3及びチャック駆幹体4を備え、締付の位置・姿勢とドリリングの位置・姿勢との間でシフト可能である。チャック駆幹体4は、機械スピンドル2に回転可能に取り付けられている。締付の位置・姿勢に相当する第1の位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢に相当する第2の位置・姿勢との間で、スライドスリーブ31の位置をチャック駆幹体4に対して相対的にシフトさせた際には、モータから機械スピンドル2を通じて前記のネジ切部同士の接続部5へと至る動力伝達51が、モータから機械スピンドル2を通じてチャック駆幹体4へと至る動力伝達50へと切り替えられ、また、この逆へと切り替えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械ハウジング(1)中に回転可能に取り付けられた機械スピンドル(2)を備えるとともにモータを備えるドリリング機械と、
機械スピンドル(2)に接続され、締付スリーブ(3)及びチャック駆幹体(4)を備え、締付の位置・姿勢とドリリングの位置・姿勢との間で位置・姿勢をシフト可能であるドリルチャックとを含み、チャック駆幹体(4)中には締付あご(6)が、ネジ切部同士の接続部(5)でもって位置・姿勢をシフト可能なように案内されているドリリング装置において、
ドリルチャックのチャック駆幹体(4)は、機械スピンドル(2)から回転可能に保持されており、
ドリルチャックにスライドスリーブ(31)が備えられ、締付の位置・姿勢に相当する第1の位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢に相当する第2の位置・姿勢との間で、スライドスリーブ(31)の位置・姿勢をチャック駆幹体(4)に対して相対的にシフトさせた際には、モータから機械スピンドル(2)を通じて前記のネジ切部同士の接続部(5)へと至る動力伝達(51)が、モータから機械スピンドル(2)を通じてチャック駆幹体(4)へと至る動力伝達(50)へと切り替えられるか、または、この逆へと切り替えられることを特徴とするドリリング装置。
【請求項2】
スライドスリーブ(31)は、回転不能にチャック駆幹体(4)に接続されるとともに、軸方向へ位置シフト可能にチャック駆幹体(4)から保持されていることを特徴とする請求項1に記載のドリリング装置。
【請求項3】
スライドスリーブ(31)は、締付スリーブ(3)に、軸方向の位置ズレが不能に固定されており、機械ハウジング(1)から、前記第1の位置・姿勢では回転不能に、前記第2の位置・姿勢では回転可能に保持されていることを特徴とする請求項1または2に記載のドリリング装置。
【請求項4】
スライドスリーブ(31)には、機械ハウジング(1)における、対応する少なくとも1つの第1の連結部(8)と回転不能に連結するための、少なくとも1つの第1の対応連結部(7)が備えられることを特徴とする請求項2または3に記載のドリリング装置。
【請求項5】
スライドスリーブ(31)には、機械スピンドル(2)における、対応する少なくとも1つの第2の連結部(10)と回転可能に連結するための、少なくとも1つの第2の対応連結部(9)が備えられることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のドリリング装置。
【請求項6】
チャック駆幹体(4)は、締付の位置・姿勢に相当する少なくとも1つの第1の係止凹部(11)と、ドリリングの位置・姿勢に相当する少なくとも1つの第2の係止凹部(12)とを備えており、これら第1および第2の係止凹部の間に切替・調整カム面(13)が形成されており、締付スリーブ(3)は、係止凹部(11;12)に対応する少なくとも1つの係止凸部(14)を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のドリリング装置。
【請求項7】
機械スピンドル(2)からチャック駆幹体(4)を回転可能に保持すべく転がり軸受(15)または滑り軸受が備えられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のドリリング装置。
【請求項8】
ネジ切部同士の接続部(5)は、丸棒形のチャックあごとして形成された締付あご(6)における締付ネジ切部(16)と、この締付ネジ切部(16)に噛み合うネジ切リング(17)とを備えて形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のドリリング装置。
【請求項9】
ネジ切リング(17)と機械スピンドル(2)との間に遊星歯車機構(18)が形成されており、この遊星歯車機構は、ネジ切リング(17)に回転不能に接続された内歯車(19)と、チャック駆幹体に回転可能に取り付けられた少なくとも1つの遊星歯車(20)と、機械スピンドル(2)から回転不能に保持された太陽歯車(21)とを含んでいることを特徴とする請求項8に記載のドリリング装置。
【請求項10】
締付スリーブ(3)を、機械スピンドル(2)とは逆の側にて、バネ部材(22)が軸方向に支持していることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のドリリング装置。
【請求項11】
締付スリーブ(3)を軸方向から支持すべく、バネ部材(2)からバネ力を受ける支持リング(23)が取り付けられていることを特徴とする請求項10に記載のドリリング装置。
【請求項12】
チャック駆幹体(4)における機械スピンドル(2)とは逆の側に、防護キャップ(24)が取り付けられ、この防護キャップ(24)に備えられるリング状張り出し部(25)は、少なくともドリリングの位置・姿勢にある際に、締付スリーブ(3)のリング状受入部(26)に差し込まれていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のドリリング装置。
【請求項13】
締付スリーブ(3)が第1の位置・姿勢にあるか、または来たならば、信号をドリリング機械に送信するセンサ(27)が備えられることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のドリリング装置。
【請求項14】
切換トルクを調整するための少なくとも1つの調整具(28)が備えられることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のドリリング装置。
【請求項15】
機械スピンドルを有するドリリング装置のためのドリルチャックであって、締付スリーブ(3)及びチャック駆幹体(4)を備え、締付の位置・姿勢とドリリングの位置・姿勢との間で位置・姿勢をシフト可能であり、チャック駆幹体(4)中には締付あご(6)が、ネジ切部同士の接続部(5)でもって位置・姿勢をシフト可能に案内されているものにおいて、
スライドスリーブ(31)が備えられ、締付の位置・姿勢に相当する第1の位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢に相当する第2の位置・姿勢との間で、スライドスリーブ(31)が、チャック駆幹体(4)に対して相対的にシフトした際には、機械スピンドル(2)からネジ切部同士の接続部(5)へと至る動力伝達(51)が、機械スピンドル(2)からチャック駆幹体(4)へと至る動力伝達(50)へと切り替えられることを特徴とするドリルチャック。
【請求項16】
衝撃ドリリングのための衝撃装置(54)が備えられることを特徴とする請求項15に記載のドリルチャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを備えるドリリング機械と、ドリルチャックとを含むドリリング装置に関する。また、本発明は、機械スピンドルを備えるドリリング装置のためのドリルチャックに関する。
【背景技術】
【0002】
ドリリング機械には、機械ハウジング中に回転可能に保持された機械スピンドルが備えられる。ここで、機械スピンドルに接続されるドリルチャックは、締付の位置・姿勢(位置及び姿勢の少なくとも一方)とドリリングの位置・姿勢との間でシフト可能であり、チャック駆幹体及び締付スリーブを備える。また、チャック駆幹体中には、複数の締付あごが、ネジ切部同士の接続部でもって位置・姿勢のシフトが可能であるように案内されている。一方、ドリリング装置のためのドリルチャックは、締付の位置・姿勢とドリリングの位置・姿勢との間でシフト可能であり、締付スリーブと、この中に配置されるチャック駆幹体とを備え、このチャック駆幹体中には、複数の締付あごが、ネジ切部同士の接続でもって位置・姿勢のシフトが可能であるように案内されている。
【0003】
このような種類のドリリング装置、及びこのような種類のドリルチャックは特許文献1から公知である。特許文献1におけるドリルチャックは、締付の位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢との間のシフトが、高コストの構造により可能となっている。ここでは、切換リングが用いられている。切換リングは、チャック駆幹体の内部に配置された機械スピンドルの位置・姿勢を、軸方向にドリルチャックのチャック駆幹体に対してシフトさせる。この実施形態では、機械側で大きな軸受直径が必要となり、ドリリング機械への機械的な接続が非常に複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開102011002331A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、本発明の課題は、導入部で述べたようなドリリング装置およびドリルチャックにおいて、構造をシンプルにし、ドリリング機械へのドリルチャックの組み込み・一体化をシンプルにすることができるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ドリリング装置についての上記課題は、請求項1の前提部分に記載されたドリリング装置において、次のようであることにより解決される。ドリルチャックのチャック駆幹体が機械スピンドルから回転可能に保持されている。すなわち、チャック駆幹体が、機械スピンドルに、直接または間接に、回転可能なように組み付けられて、機械スピンドルから支持されている。そして、締付の位置・姿勢に相当する第1の位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢に相当する第2の位置・姿勢との間で、スライドスリーブの位置・姿勢がチャック駆幹体に対して相対的にシフトされた際には、モータから機械スピンドルを介してネジ切部同士の接続部へと至る動力伝達が、モータから機械スピンドルを介してチャック駆幹体へと至る動力伝達へと切り替えられるか、または、その逆へと切り替えられる。
【0007】
このようであると、ドリルチャックは、通常のように、ドリリング機械の機械スピンドルに回転不能に接続されるのではなく、機械スピンドルから回転可能に保持される。すなわち、回転可能なように直接または間接に組み付けられている。このような回転可能な保持ないし組み付けは、チャック駆幹体が、機械スピンドルに対して相対回転することを可能にする。締付の位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢との間でチャック駆幹体の位置・姿勢をシフトさせるためには、調整スリーブを、さらに操作する必要もさらに組み付ける必要もなくなっている。調整スリーブは、ドリルチャックの外側に共軸に取り付けられるものである。さらには、スライドスリーブ及び締付スリーブの位置・姿勢をシフトさせることによって、ドリルチャックの位置・姿勢を、締付の位置・姿勢とドリリングの位置・姿勢との間で切り換えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に基づく本発明のドリリング装置を、締付の位置・姿勢で示す縦断面図である。
図2図1のドリリング装置をドリリングの位置・姿勢で示す図である。
図3図1のIII-III断面である。
図4図1のIV-IV断面である。
図5】別の実施形態をドリリングの位置・姿勢で示す断面図である。
図6】別の実施形態を締付の位置・姿勢で示す断面図である。
図7図6の実施形態をドリリングの位置・姿勢で示す断面図である。
図8】一実施形態を締付の位置・姿勢で部分的に破断して示す側面図である。
図9図8の実施形態をドリリングの位置・姿勢で示す部分断面図である。
図10図1のドリリング装置を部分的に破断して示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましい実施形態において、スライドスリーブは、軸方向まわりに回転不能にチャック駆幹体に接続されるとともに、チャック駆幹体に対して軸方向に位置シフト可能にチャック駆幹体から保持されている。すなわち、スライドスリーブは、軸方向まわりに回転不能に、かつ軸方向の位置シフトが可能に、チャック駆幹体に、直接または間接に組み付けられている。このようであることにより、スライドスリーブは、これに伝達される力を、特には駆動力または保持力を、チャック駆幹体へと直接に伝達することができる。
【0010】
スライドスリーブは、次のようであると好ましいことを知るに至った。軸方向に位置ズレ不能に締付スリーブに固定されている。また、第1の位置・姿勢では回転不能に、かつ第2の位置・姿勢では回転可能に、機械ハウジングから保持されている。すなわち、第1の位置・姿勢では回転不能に、かつ第2の位置・姿勢では回転可能に、機械ハウジングに直接または間接に組み付けられている。このようであるならば好ましいことを知るに至った。第1の位置・姿勢は、チャック駆幹体が機械ハウジングに対して相対的に回転しないように固定された締付の位置・姿勢に相当する。このように固定されることにより、次のことが確実に実現される。すなわち、機械ハウジングからの保持力を、スライドスリーブを介してチャック駆幹体に作用可能であるということが、確実に実現される。この締付の位置・姿勢において、機械スピンドルは、チャック駆幹体に対して相対的に回転することができる。また、このような回転により、締付あごの位置・姿勢をシフトさせるべく、ネジ切部同士の接続部を作動させることができる。すなわち、相互に噛み合っているネジ切部による、特にはウォームギア状の作用により、位置・姿勢をシフトさせることができる。上記とは逆に、スライドスリーブが、第2の位置・姿勢にある際に、チャック駆幹体を、機械スピンドルに対して相対的に回転しないように固定するということも確実に実現される。スライドスリーブを締付スリーブに、軸方向の位置ズレ不能に固定することは、締付スリーブを位置シフトすることで、チャック駆幹体に対して相対的にスライドスリーブを位置シフトさせることが可能になるという利点をもたらす。
【0011】
また、チャック駆幹体に対する機械スピンドルの相対回転について、作動信頼性をより高くするためには、次のようであると好ましいことを知るに至った。すなわち、スライドスリーブが、半径方向から噛み合わされることでチャック駆幹体から保持されており、締付スリーブが2つの係止(掛け止め)の位置・姿勢を有しているならば好ましい。
【0012】
また、スライドスリーブが、機械ハウジングにおける対応する少なくとも1つの第1の連結部ないし連結具と回転不能に連結するための少なくとも1つの第1の手段、すなわち、対応連結部ないし対応連結具を有しているならば好ましい。回転不能に連結をする第1の手段により、スライドスリーブについて、第1の位置・姿勢にある際に、シンプルな方式でもって、機械ハウジングから回転不能に保持されるようにすることができる。すなわち、機械ハウジングに直接または間接に、回転不能に組み付けられるようにすることができる。
【0013】
また、締付スリーブが、機械スピンドルにおける対応する少なくとも1つの第2の連結部ないし連結具と回転不能に連結するための少なくとも1つの第2の手段、すなわち、対応連結部ないし対応連結具を有しているならば好ましいことを知るに至った。回転不能に連結をするためのこの第2の手段は、ドリリングの位置・姿勢にある際に、スライドスリーブと機械スピンドルとの回転不能の接続を実現する。この状態で、力が、機械スピンドルから出発してスライドスリーブへと、そして、スライドスリーブからチャック駆幹体へと伝達することが可能である
【0014】
また、次のようであると好ましい。チャック駆幹体が、締付の位置・姿勢に相当する少なくとも1つの第1の係止凹部と、ドリリングの位置・姿勢に相当する少なくとも1つの第2の係止凹部とを有している。第1及び第2の係止凹部の間には、切替・調整カム面が形成されている。そして、締付スリーブが、係止凹部に対応する少なくとも1つの係止凸部を有している。このようであると好ましい。このようであることにより、ドリリング装置における種々の切換の位置・姿勢を実現できる。切替・調整カム面は、ドリルチャックにおける締付スリーブの切換機構に対応している。切替・調整カム面は、上り坂をなすように、すなわち、回転方向に進むにつれて徐々に軸方向に盛り上がるように形成することができる。しかし、必ずそうでなければならないわけではない。
【0015】
機械スピンドルからチャック駆幹体が回転可能に保持されるようにすべく、転がり軸受または滑り軸受が備えられるのが好ましいことをも知るに至った。転がり軸受は、好ましい実施形態において、ニードル軸受として形成される。このニードル軸受は、非常に薄くコンパクトに形成することができるという利点を有する
【0016】
別の実施形態において、ネジ切部同士の接続部は、丸棒形のチャックあごとして形成された各締付あごにおける締付ネジ切部と、締付ネジ切部に噛み合うネジ切リングとから形成されている。すなわち、少なくともこれらを備えることで形成されている。このようにして、複数の丸棒形のチャックあごが組み込まれてまとめられた丸棒あご式のドリルチャックとなっている。
【0017】
また、ネジ切リングと、機械スピンドルとの間に、遊星歯車機構が形成されているならば好ましいことを知るに至った。遊星歯車機構は、別の好ましい実施形態において、ネジ切リングに回転不能に接続された内歯車と、チャック駆幹体に回転可能に取り付けられた少なくとも1つの遊星歯車と、機械スピンドルから回転不能に保持されている太陽歯車とから形成されている。すなわち、少なくともこれらを備えることで形成されている。遊星歯車機構を採用することでドリルチャックが非常にコンパクトに形成されるのであり、このドリルチャックは、次のような利点を有している。すなわち、駆動シャフトと従動シャフトが相互に一直線上に整列されている。すなわち、共軸に配置されているという利点を有している。
【0018】
スライドスリーブを、第1の位置・姿勢と第2の位置・姿勢との間で容易に切り換えられるようにすべく、締付スリーブが、機械スピンドルとは逆の側にて、バネ部材により軸方向から支持されているならば好ましいことを知るに至った。スライドスリーブの位置・姿勢をシフトさせる際には、チャック駆幹体により回転不能に案内されているスライドスリーブが、第1の位置・姿勢と、第2の位置・姿勢との間にて、軸方向に位置シフトする。
【0019】
締付スリーブの軸方向の支持は、バネ部材によりバネ力を受ける支持リングによって具現されるのが好ましい。この支持リングは、バネ部材のバネ力が、締付スリーブにおける機械スピンドルとは逆の側の端面へと、均等にリング状に分布するように加えられるようにする。
【0020】
また、チャック駆幹体における機械スピンドルとは逆の側に、次のような防護キャップが取り付けられるならば好ましいことを知るに至った。この防護キャップには、リング状張り出し部が備えられる。このリング状張り出し部は、少なくともドリリングの位置・姿勢にある際、締付スリーブのリング状受入部、特にはリング状凹部へと、少なくとも先端部が入り込む。このような防護キャップは、ドリリングの位置・姿勢及び締付の位置・姿勢のいずれにおいても、すなわち切り替えられるいずれの位置・姿勢においても、締付スリーブをその先端側から覆っている。好ましい実施形態において、防護キャップは、チャック駆幹体から回転可能に保持されている。防護キャップは、一方では、ドリリング工程の際、次のようなことを防ぐようにドリルチャックを保護する。すなわち、ドリルまたはドリリング工具が、加工されるべき材料中にあまりに深く侵入して、加工されるべき材料が、回転運動によってチャック駆幹体に研削痕を残すという場合に、このようなことを防ぐようにドリルチャックを保護する。また、他方では、加工されるべき材料が、ドリルチャックにおける回転する部材から、すなわち周回する部材から保護されるようにする。というのは、ドリルないしドリリング工具があまりに深く侵入したときに、回転可能な防護キャップが、加工されるべき材料の箇所で、静止したままに保たれるようにすることができ、この際に、チャック駆幹体及び締付スリーブが、防護キャップに対して相対的に回転できるからである。
【0021】
また、次のようなセンサが備えられるならば好ましい。このセンサは、締付スリーブが第1の位置・姿勢にあるならば、または、第1の位置・姿勢に来たならば、信号をドリリング機械に送信するものである。センサからの送信により、ドリリング装置がドリリングの位置・姿勢にあるか否かについて、また、いつそうなっているか、もしくはなったかについての信号送信が行われる。このためには、好ましくは、スイッチ用リング板が備えられる。このスイッチ用リング板は、締付スリーブにおける機械スピンドルの側に配置されるものである。スイッチ用リング板との距離を、距離センサによって測定することができる。この距離センサは、ドリリング機械に備え付けられるのが好ましい
【0022】
当然のことながら、センサがドリルチャックに取り付けられ、スイッチ用リング板が機械ハウジングに取り付けられていてもよい。
【0023】
切換トルクを調整するための少なくとも1つの手段、すなわちトルク調整具または調整部が備えられるならば好ましいということをも知るに至った。切換トルクとは、ドリルチャックないしドリリング装置を、締付の位置・姿勢とドリリングの位置・姿勢との間で切り換えるために必要なトルクである。切換トルクを調整する手段により、切換トルクを変化させることができる。
【0024】
また、締付力を制限する手段、すなわち締付力制限具または締付力制限部が備えられるならば好ましいことが明らかになった。この手段は、滑り継手により具現することができる。この継手は、チャック駆幹体に、軸方向または半径方向から取り付けることができる。また、締付スリーブの位置・姿勢がシフトされる際、機械ハウジングにあるスイッチを作動させることができる。このスイッチは、ドリリング装置が、再度、締付モードになっていることをドリリング機械に通知する。ここで、ドリルまたはドリリング工具を締め付けるのと同時に、モータ電流を測定することができる。このモータ電流は、締付あごに作用するトルクに比例しており、モータ電流により、締付力を評価することができる。したがって、モータ電流を変えることで、ドリリング工具に作用する締付力についても変化させることができる。
【0025】
ドリルチャックについての課題は、導入部で述べたようなドリルチャックにおいて、次のようであることによって解決される。すなわち、締付の位置・姿勢に相当する第1の位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢に相当する第2の位置・姿勢との間で、チャック駆幹体に対して相対的にスライドスリーブの位置シフトが行われた際、機械スピンドルを起点としてネジ切部同士の接続部へと至る動力伝達が、機械スピンドルを起点としてチャック駆幹体へと至る動力伝達へと切り替えられ、また、この逆へと切り替えられることによって解決される。
【0026】
この解決手段も、次のような利点につながっている。すなわち、シンプルな方式でもって、すなわち締付スリーブの位置・姿勢をシフトさせることによって、ドリルチャックの内部での動力伝達を変更できるという利点につながっている。
【0027】
本発明によるドリルチャックの好ましい一実施形態は、衝撃ドリリングのための衝撃装置が備えられることを特徴としている。衝撃装置を備えることにより、純粋な回転運動またはドリリング運動に加えて、衝撃または振動の軸方向運動も、ドリリング機械に組み込まれたドリルチャックでもって実現することが可能となる。
【0028】
次に、図面に示されている実施例を参照しつつ、本発明について詳しく説明する。
【0029】
本発明を簡潔に説明すべく、図面では、本発明に関連する部材に絞り込んでいる。そのため、モータを備えるドリリング機械を全体として再現することを省略しているものでありうる。図面には、機械ハウジング1における先端の、ドリルチャックの側の部分29と、ドリリング機械の機械スピンドル2とが現れている。また、機械スピンドル2に接続されたドリルチャックが示されている。
【0030】
このドリルチャックは、丸棒形の締付あごのドリルチャックである。備えられる複数の締付あご6は、チャック軸に対して傾いて延びているところの、チャック駆幹体の案内部中にて、位置・姿勢をシフト可能に案内されている。このようにして、締付あご6の相互間には、ドリルまたはドリリング工具を受け入れる受入部が形成される。締付あご6の位置・姿勢をシフトさせるべく、ネジ切リング17が、ドリルチャックのチャック駆幹体4に、共軸に、回転可能に組み付けられており、ネジ切リング17のネジ切部38が、締付あご6の締付ネジ切部16に噛み合わされている。ネジ切リング17をチャック駆幹体4に対して回転するならば、ネジ切リング17の回転方向に応じて、締付あご6の締付、または、締付解除が行われる。
【0031】
ドリルチャックのチャック駆幹体4は、機械スピンドル2に、回転可能に組み付けられている。スライドスリーブ31は、締付の位置・姿勢(図1図6図8)に相当する第1の位置・姿勢と、ドリリングの位置・姿勢(図2図5図7図9)に相当する第2の位置・姿勢との間にて、チャック駆幹体4に対して位置・姿勢をシフト可能である。スライドスリーブ31の位置・姿勢をこのようにシフトさせるならば、モータから機械スピンドル2を通じて、ネジ切部同士の接続部5へと至る動力伝達51が、モータから機械スピンドル2を通じて、チャック駆幹体4へと至る動力伝達50へと、切り替えられるか、または、この逆に切り替えられる。
【0032】
締付スリーブ3の外周筒部30がスライドスリーブ31に接続されている。外周筒部30に対するスライドスリーブ31の軸方向位置を固定すべく、固定リング32が備えられている。この固定リング32は、締付スリーブ3の内壁33に取り付けられている。すなわち、スライドスリーブ31は、締付スリーブ3の位置を軸方向にシフトさせる際に、やはり、軸方向へと位置がシフトされる。この逆に、ドリリング機械に、次のような機械部材が備えられていても良い。すなわち、この機械部材は、スライドスリーブ31の位置を軸方向へと、チャック駆幹体4に沿った箇所にてシフトさせることで、スライドスリーブ31を第1の位置と第2の位置との間で切り換えるものである。スライドスリーブ31は、一の具体的な実施形態において、外周筒部30と一体に設けられていてもよい。
【0033】
スライドスリーブ31は、チャック駆幹体4から回転不能に保持されている。回転不能の保持は、スライドスリーブ31の非円形の横断面と、チャック駆幹体4の非円形の横断面との嵌合によって具現されている。実施形態の一例において、回転不能の保持は、スライドスリーブ31に備え付けられる第1の掛け止め面52と、これに対応して、チャック駆幹体4に備え付けられる第2の掛け止め面53とによって形成されている。非円形の横断面並びに掛け止め面52及び53は、図3および図7に現れている。
【0034】
図3から知られるとおり、図示の実施例においては、ちょうど3つの第1の掛け止め面52と、これに対応するちょうど3つの第2の掛け止め面53とが備えられている。ここで、掛け止め面52,53を上記以外として、スライドスリーブ31に作用する力を、チャック駆幹体4へと伝達することも可能である。第1及び第2の掛け止め面52,53は、それぞれ3つ設けられる実施例において、隣の掛け止め面との間に、30度と80度との間の角度をなしており、図示の実施例ではちょうど60度の角度をなしている。これらの掛け止め面52,53は、軸方向にて、締付あご6の案内部の高さに位置する(図1及び図2の右半部)。すなわち、締付あご6の案内部の高さ範囲内に位置するか、または案内部の高さ範囲に部分的に重なる範囲に位置している。このように位置することにより、例えば、チャック駆幹体4の加工時間の短縮といった製造技術上の利点がもたらされる。
【0035】
スライドスリーブ31は、機械ハウジング1における対応する第1の連結部8と回転不能に連結するための第1の対応連結部7を備えている。図示の実施例において、機械ハウジングには、回り止め34が備えられ、この回り止め34には、保持用歯切部35として形成された第1の連結部8が備えられる。この保持用歯切部35には、スライドスリーブ31に備え付けられて第1の対向歯切部36として形成された第1の対応連結部7を、回転不能に連結させるべく、噛み合わせることができる。
【0036】
スライドスリーブ31には、機械スピンドル2における対応する第2の連結部10と回転不能に連結するための第2の対応連結部9が備えられる。スライドスリーブ31に備え付けられて第2の対向歯切部37として形成された第2の対応連結部9は、機械スピンドル2における、掛け止め歯切部39として形成された、対応する第2の連結部10に、回転不能に連結すべく、噛み合わせることができる。
【0037】
チャック駆幹体4には、図示の実施例において、締付の位置・姿勢に相当する3つの第1の係止凹部11と、ドリリングの位置・姿勢に相当する3つの第2の係止凹部12とが備えられる(特に図10、並びに図8〜9)。また、締付スリーブ3には、チャック駆幹体4の係止凹部11,12に対応する3つの係止凸部14が備えられる。ここでも、係止凹部11,12及び係止凸部14の数は、上記の3以外であっても良い。また、係止凹部11,12の数と、係止凸部14の数とは上記にて一致しているが、異なっても良いので、係止凸部14の数が係止凹部11,12の数よりも少なくてもよい。好ましい実施形態において、第1の係止凹部11と第2の係止凹部12との間には、切替・調整カム面13が形成されている。図示の実施例において、組立上の都合により、チャック駆幹体4は、複数の別体の部材からなり、中央駆幹体40と、中央駆幹体40に回転不能に接続された駆幹体切換リング41とを備えてなる。この駆幹体切換リング41には、図示の実施例において、第1の係止凹部11と、第2の係止凹部12と、切替・調整カム面13とが配置されている。中央駆幹体40と駆幹体切換リング41とが回転不能に接続されており、この回転不能の接続は、図示の実施例において、複数の固定ピン42で行われている。ドリルチャックの重量を削減すべく、この駆幹体切換リング41は、軟質かつ/または軽量である材料(軟質及び軽量の少なくとも一方である材料)、好ましくは樹脂で形成することができる。チャック駆幹体4を回転可能に、機械スピンドル2に取り付けて保持すべく、図示の実施例において、ニードル軸受として形成された転がり軸受15が備えられる。これ以外の種類の軸受、たとえば滑り軸受、玉軸受、ローラ軸受などを用いることもできる。
【0038】
ネジ切部同士の接続部5は、丸棒形のチャックあごとして形成された締付あご6における締付ネジ切部16と、締付ネジ切部16に噛み合うネジ切リング17とにより実現されている。ネジ切リング17は、そのネジ切部38が、締付あご6の締付ネジ切部16に噛み合っており、また、連れ動かしスリーブ43に回転不能に接続されている。ネジ切リング17における機械スピンドル2の側には、別の転がり軸受44が配置されている。転がり軸受44における機械スピンドル2の側には、それ自体がチャック駆幹体4に支持されるスラストリング45が配置されている。
【0039】
ネジ切リング17と機械スピンドル2との間には、遊星歯車機構18が形成されている。遊星歯車機構18には、ネジ切リング17に回転不能に接続された内歯車19と、チャック駆幹体4内に、ドリルチャックの長軸に平行に向けられた支持軸46に取り付けられた遊星歯車20と、機械スピンドル2から回転不能に保持された太陽歯車21とが含まれる。遊星歯車20は、図4の実施例では一つだけである。1つより多い遊星歯車20を用いる実施形態も可能である。例えば3つまたは4つの遊星歯車を使用するのが好ましいことを知るに至った。しかしながら本発明は、これ以外のどのような任意の個数の遊星歯車20によっても具現できる。好ましい実施例によると、内歯車19は連れ動かしスリーブ43に押し込まれている。ここで、内歯車19と、連れ動かしスリーブ43とを一体に具現することもできる。このことは、例えば、歯切部を備える深絞り鋼板により具現される。太陽歯車21は、機械スピンドル2に押し嵌められている。同様に、太陽歯車21も機械スピンドル2と一体的に形成されていてよい。
【0040】
締付スリーブ3は、機械スピンドル2とは逆の側にて、バネ部材22により軸方向の支持を受けている。また、締付スリーブ3について軸方向の支持を行うべく、バネ部材22からのバネ力を受ける支持リング23が備えられる。バネ部材22は、機械スピンドル2とは逆の側にて、間接または直接に、チャック駆幹体4からの軸方向の支持を受けている。ここでは、止め輪47が、機械スピンドル2とは逆の側にてチャック駆幹体4に取り付けられている。詳しくはチャック駆幹体4の先端部における周面の溝に取り付けられている。この止め輪47は、防護キャップ24を支持するものである。図示の例において、防護キャップ24は、テーパー状の本体部分と、その先端が内側に湾曲して形成されるリング状膨出部と、その内側の内向きフランジ部とを備えてなり、この向きフランジ部が止め輪47とバネ部材22とにより軸方向から挟みこまれている。防護キャップ24に備えられるリング状張り出し部25は、テーパー状の本体部分から、機械スピンドルの側へと軸方向に張り出す部分であり、少なくともドリリングの位置・姿勢にある際(図2)に、締付スリーブ3の先端部にあるリング状凹部26中に差し込まれている。図1及び図2に示す実施形態において、センサ27が備えられている。このセンサ27は、図示の例において、機械ハウジング1におけるドリルチャックに面した部分に、特には回り止め34の外周部に備えられている。また、このセンサ27は、締付スリーブ3が、締付の位置・姿勢に相当する第1の位置・姿勢に来たならば、ただちに信号をドリリング機械に送信する。センサ27による第1の位置・姿勢の検知は、図示の実施例において、締付スリーブ3における機械スピンドル2の側の端部に取り付けられたスイッチ用リング板48を用いて実現される。このセンサ27は、例えば、スイッチ用リング板48との距離を光学的に計測する距離スイッチである。センサ27は、他のタイプの近接スイッチで実現することもでき、この場合、スイッチ用リング板48は、例えば、誘磁体、誘電体、磁石などからなるものでありうる。
【0041】
図5及び図6に示す別の好ましい実施形態において、防護キャップ24のリング状張り出し部25における機械スピンドル2の側には、締付スリーブ3における対応するリング状凹部26中に差し込まれる噛み合わせ部49が備えられる。この好ましい実施形態において、噛み合わせ部49は、締付の位置・姿勢にある際にも、ドリリングの位置・姿勢にある際にも、締付スリーブ3のリング状凹部26中に差し込まれている。このことは、次のような利点を有している。すなわち、締付スリーブ3が軸方向に引き戻された際に、大きすぎる間隙が生じないか、または、間隙が全く生じないという利点を有している。結局、図示のいずれの実施例においても、位置・姿勢を切り替えるべく回転させる際の切換トルクを調整する手段28が、バネ部材22によって形成されている。
【0042】
図6及び図7のとおりの、好ましい実施形態にしたがうドリリング装置及びドリルチャックには、衝撃装置54が備えられる。この衝撃装置により、ドリルチャックは、機械スピンドル2の回転による純粋な回転運動を行う他、振動と同様の軸方向の運動も行うことができる。このことにより、著しく硬い材料を加工することができる。衝撃装置54は、衝撃スプリング57を含んでいる。この衝撃スプリング57は、一端が衝撃リング部55に支持され、衝撃リング部55を軸方向に機械ハウジング1の側へと押圧する。衝撃リング部55は、ドリリング機械に形成された構造部と相互作用する。この構造部は、一変形実施形態において、同様に衝撃リング部55に対向する、ドリリング機械の機械衝撃リング部に形成されている。この衝撃リング部55は、起伏のある端面58を備える。この端面58は、図示の実施例において、波形の歯切部として形成されている。衝撃リング部55が軸方向に前方へと位置シフトすると、ドリリングの位置・姿勢(図7)においては、機械スピンドル2が連れ動かし機構を介して同じく軸方向に位置シフトされる。そして、機械スピンドル2の軸方向の位置シフトによって衝撃ドリリングが可能となる。というのは、機械スピンドルの軸方向の位置シフトによって、同時に、ドリルチャックの軸方向の位置シフトが行われるからである。これに対し、締付の位置・姿勢(図6)においては、機械スピンドル2が軸方向に固定されているので、機械スピンドル2及びドリルチャックが、その長軸に沿って動けるようになることはない。したがって、換言すると、衝撃装置54は、締付の位置・姿勢において非作動となっている。
【0043】
次に、ドリリングの位置・姿勢の作動時、動作切換時、および締付の位置・姿勢の作動時におけるドリリング装置ないしドリルチャックについて説明する。
【0044】
図2図5図7及び図9には、ドリリング装置ないしドリルチャックがドリリングの位置・姿勢で示されている。スライドスリーブ31は、軸方向に前方へと、すなわち機械スピンドル2とは逆の側へと、チャック駆幹体4に対して位置シフトされた第2の位置にある。係止凸部14は第2の係止凹部12に差し込まれて掛け止めを行っている(図9)。この際、スライドスリーブ31の第2の対向歯切部37は、機械スピンドル2の掛け止め歯切部39に噛み合っている。換言すると、機械スピンドル2は、スライドスリーブ31に、回転不能に接続されている。一方、スライドスリーブ31は、第1の掛け止め面52と第2の掛け止め面53とにより、チャック駆幹体4に、回転不能に接続されている。
【0045】
したがって、ドリリングの位置・姿勢における動力伝達50は、モータから出発して、機械スピンドル2を通じてスライドスリーブ31へと至り、そして、第1および第2の掛け止め面52及び53を通じてチャック駆幹体4に至る。この動力伝達50と同時には、チャック駆幹体4中に配置された遊星歯車20に対して、太陽歯車21が相対的に回転することはない。このことにより、チャック駆幹体4に対してネジ切リング17が相対回転することも可能でない。このように、ドリルチャックの全体が、機械スピンドル2の回転数にて回転する。
【0046】
図1図6、及び図9に示す締付の位置・姿勢へとドリルチャックの位置・姿勢をシフトできるようにするには、締付スリーブ3をバネ部材22の力に抗して周方向に回さなくてはならない。このように回すことにより、締付スリーブ3の係止凸部14が、チャック駆幹体4の第2の係止凹部12との噛み合わせから外れ出る。締付スリーブ3を、チャック駆幹体4に対してさらに回転すると、係止凸部14が、切替・調整カム面13に沿って第1の係止凹部11の側へとズレ動く。係止凸部14が第1の係止凹部11に差し込まれて噛み合わされたならば(図8)、締付スリーブ3は、チャック駆幹体4に対し軸方向後方(根元側)へと、すなわち機械スピンドル2の側へと、位置をずらされて配置される。締付スリーブ3は、第1の位置・姿勢に達している。ドリリング装置及びドリルチャックは、締付の位置・姿勢に達している。ドリリングの位置・姿勢をとるようにするためには、上述の手順を逆の順序で行う。
【0047】
締付の位置・姿勢にある際、機械ハウジング1における回り止め34の保持用歯切部35は、スライドスリーブ31の第1の対向歯切部36に噛み合っている。スライドスリーブ31は、歯切部同士の噛み合わせ部を通じて、機械ハウジング1に対して回転不能に保持されている。しかしながら、スライドスリーブ31は、第1及び第2の掛け止め面52及び53を通じて、チャック駆幹体4に回転不能に接続されている。換言すると、機械スピンドル2によって回転しないように、機械ハウジング1がスライドスリーブ31を保持し、スライドスリーブ31がチャック駆幹体4を保持している。
【0048】
このような締付の位置・姿勢における動力伝達51は、モータから出発して機械スピンドル2を通じて、遊星歯車機構18の遊星歯車20へと行われる。チャック駆幹体4が回転しないように固定されているので、遊星歯車機構18の内歯車19が回転し、その際にネジ切リング17を連れ動かす。図示の実施形態において、内歯車19とネジ切リング17は、連れ動かしスリーブ43を通じて回転不能に接続されている。ネジ切リング17がチャック駆幹体4に対して相対的に回転することにより、ネジ切リング17に噛み合っている締付あご6の位置・姿勢のシフトが行われる。チャック駆幹体4に対する機械スピンドル2の相対回転は、ドリルチャックのチャック長軸に対して共軸に機械スピンドル2に取り付けられているニードル軸受によって可能となる。
【0049】
締付及び締付解除を可能にすべく、モータは、従来技術から十分に知られているように、2つの回転方向ないし作動方向(右回りと左回り)を有している。
【符号の説明】
【0050】
1…機械ハウジング; 2…機械スピンドル; 3…締付スリーブ;
4…チャック駆幹体; 5…ネジ切部同士の接続部; 6…締付あご;
7…第1の対応連結部; 8…機械ハウジングの第1の連結部;
9…第2の対応連結部; 10…機械スピンドルの第2の連結部;
11…第1の係止凹部; 12…第2の係止凹部; 13…切替・調整カム面;
14…係止凸部; 15…転がり軸受; 16…締付ネジ切部;
17…ネジ切リング; 18…遊星歯車機構; 19…内歯車;
20…遊星歯車; 21…太陽歯車; 22…バネ部材;
23…支持リング; 24…防護キャップ; 25…リング状張り出し部;
26…リング状凹部; 27…センサ;
28…切換トルクを予め設定するトルク設定部;
29…機械ハウジングにおけるドリルチャック側の部分;
30…外周筒部; 31…スライドスリーブ; 32…固定リング;
33…内壁; 34…回り止め; 35…保持用歯切部;
36…第1の対向歯切部; 37…第2の対向歯切部; 38…ネジ切部;
39…掛け止め歯切部; 40…中央駆幹体; 41…駆幹体切換リング;
42…固定ピン; 43…連れ動かしスリーブ; 44…別の転がり軸受;
45…スラストリング; 46…支持軸; 47…止め輪;
48…スイッチ用リング板; 49…噛み合わせ部;
50…ドリリングの位置・姿勢での動力伝達;
51…締付の位置・姿勢での動力伝達;
52…スライドスリーブの第1の掛け止め面;
53…チャック駆幹体の第2の掛け止め面; 54…衝撃装置;
55…衝撃リング部; 56…スピンドルセンタリング;
57…衝撃スプリング; 58…端面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10