【実施例】
【0035】
次に本発明の効果を確認するために、本実施の形態に従って作製した中空方式の内照型掲示装置の実施例及び比較例について説明する。なお本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
【0036】
[実施例及び比較例の構成部材]
実施例及び比較例で使用した各構成部材の詳細は以下の通りである。
【0037】
・レンズ付きLED:株式会社ファーストシステム製レンズ付きLED「TYGA−350−300」(幅寸法37.5mm)
・LEDデバイス:日亜化学工業株式会社製LEDデバイス「NESW157B」(幅寸法3mm)
・光拡散フィルム:王子製紙株式会社製「ナノバックリング」
・表示板:乳白色アクリル板(厚み5mm)
[案内板の照度測定方法]
作製した案内板について、LEDを発光させた状態で、コニカミノルタ株式会社製CL−200Aにより表示板表面の照度を測定した。照度の測定は、表示部の長さ方向の中央部において、基体を基準として高さ方向に50mm間隔で行い、照度均斉度及び平均照度を計算した。
【0038】
なお、発光体の明るさを表記する場合、輝度を用いるのが一般的である。しかし、本測定では測定部位が表示板表面上であり、このような場合、輝度と照度は一対一の関係にあるので照度計で測定を行った。
【0039】
<実施例1>
基体から上壁部までの高さ寸法が500mm、幅寸法が150mm、長さ寸法が900mmの案内板を準備し、基体5の幅方向中央に、基体5の長手方向に沿ってレンズ付きLEDを配置した。このレンズ付きLEDを、
図6に模式的に示すように、幅100mm、長さ900mmの拡散フィルムでドーム状に覆った。光拡散フィルムは、レンズ付きLEDとの間隔が20mmの位置に取り付けた。上壁部の内壁には、反射シートを取り付けた。乳白色のアクリル板を表示部として取り付けた。
【0040】
<実施例2>
光拡散フィルムをレンズ付きLEDと間隔を空けずに取り付けた以外は、実施例1の案内板と同一の仕様とした。
【0041】
<比較例1>
光拡散フィルムを取り除いた以外は、実施例1の案内板と同一の仕様とした。
【0042】
実施例1〜2及び比較例1の測定結果及び計算結果を表1に示す。なお、表中「測定位置」は基体からの高さ方向の距離を、「平均照度」は各測定位置での照度の平均値を、「均斉度」は照度の最小値を照度の最大値で除した数に100を乗じた値である。
【表1】
【0043】
表1に示すように、光拡散フィルムでレンズ付きLEDをドーム状に覆った実施例1及び実施例2では、光拡散フィルムを使用しない比較例1に比べて、平均照度で84lx以上、均斉度が最大8%も向上した。
【0044】
<実施例3〜4及び比較例2>
基体から上壁部までの高さ寸法を350mmに変更した以外は、実施例1〜2及び比較例1と同一の仕様の案内板とし、実施例1〜2及び比較例1と同様の測定及び計算を行った。
【表2】
【0045】
表2に示すように、拡散フィルムでレンズ付きLEDをドーム状に覆った実施例3及び実施例4では、光拡散フィルムを使用しない比較例2に比べて、平均照度も45lx以上、均斉度が最大20%も向上した。
【0046】
<実施例5〜6及び比較例3>
案内板の幅寸法を200mmに変更した以外は、実施例1〜2及び比較例1と同一の仕様の案内板とし、実施例1〜2及び比較例1と同様の測定及び計算を行った。
【表3】
【0047】
表3に示すように、拡散フィルムでレンズ付きLEDをドーム状に覆った実施例5及び実施例6では、光拡散フィルムを使用しない比較例3に比べて、平均照度が132lx以上も向上し、均斉度が最大20%向上した。
【0048】
<実施例7〜8及び比較例4>
基体から上壁部までの高さ寸法を350mmに変更した以外は、実施例5〜6及び比較例3と同一の仕様の案内板とし、実施例5〜6及び比較例3と同様の測定及び計算を行った。
【表4】
【0049】
表4に示すように、拡散フィルムでレンズ付きLEDをドーム状に覆った実施例7及び実施例8では、光拡散フィルムを使用しない比較例4に比べて、平均照度が92lx以上、均斉度が最大4%向上した。
【0050】
以上、表1〜4からわかる通り、レンズ付きLEDでは光拡散フィルムをつけなくても均斉度が70%を超えていた幅200×高さ350以外に、本発明の光拡散フィルムを付けることにより幅200×高さ500、幅150×高さ350でも均斉度70%以上が得られた。また、平均照度が全てのサイズにおいて向上した。
【0051】
次に、レンズ付きLEDをLEDデバイスに変更して実験を行った。
【0052】
<実施例9>
基体から上壁部までの高さ寸法が500mm、幅寸法が150mm、長さ寸法が900mmの案内板を準備し、基体5の幅方向中央に、基体5の長手方向に沿ってLEDデバイスを配置した。このLEDデバイスを、
図6に模式的に示すように、幅30mm、長さ900mmの拡散フィルムでドーム状に覆った。光拡散フィルムは、LEDデバイスとの間隔が20mmの位置に取り付けた。上壁部の内壁には、反射シートを取り付けた。乳白色のアクリル板を表示部として取り付けた。
【0053】
<実施例10>
光拡散フィルムをLEDデバイスと間隔を空けずに取り付けた以外は、実施例9の案内板と同一の仕様とした。
【0054】
<比較例5>
光拡散フィルムを取り除いた以外は、実施例9の案内板と同一の仕様とした。
【0055】
実施例9〜10及び比較例5の測定結果及び計算結果を表5に示す。
【表5】
【0056】
表5に示すように、光拡散フィルムでLEDデバイスをドーム状に覆った実施例9及び実施例10では、光拡散フィルムを使用しない比較例5に比べて、均斉度が最大15%も向上した。
【0057】
<実施例11〜12及び比較例6>
基体から上壁部までの高さ寸法を350mmに変更した以外は、実施例9〜10及び比較例5と同一の仕様の案内板とし、実施例9〜10及び比較例5と同様の測定及び計算を行った。
【表6】
【0058】
表6に示すように、光拡散フィルムでLEDデバイスをドーム状に覆った実施例11及び実施例12では、光拡散フィルムを使用しない比較例6に比べて、均斉度が最大22%も向上した。
【0059】
<実施例13〜14及び比較例7>
案内板の幅寸法を200mmに変更した以外は、実施例9〜10及び比較例5と同一の仕様の案内板とし、実施例9〜10及び比較例5と同様の測定及び計算を行った。
【表7】
【0060】
表7に示すように、拡散フィルムでLEDデバイスをドーム状に覆った実施例13及び実施例14では、光拡散フィルムを使用しない比較例7に比べて、均斉度が最大20%も向上した。
【0061】
<実施例15〜16及び比較例8>
基体から上壁部までの高さ寸法を350mmに変更した以外は、実施例13〜14及び比較例7と同一の仕様の案内板とし、実施例13〜14及び比較例7と同様の測定及び計算を行った。
【表8】
【0062】
表8に示すように、光拡散フィルムでLEDデバイスをドーム状に覆った実施例15及び実施例16では、光拡散フィルムを使用しない比較例8に比べて、均斉度が最大27%も向上した。
【0063】
表5〜表8からわかる通り、LEDデバイスにおいても案内板サイズに関わらず光拡散フィルムを使用することにより均斉度は向上し、案内板サイズを適切に選べば均斉度70%以上することができる。
【0064】
本実施例においては、レンズ付きLEDやLEDデバイスをドーム状に覆う光拡散フィルムの設定条件を変更しなかったが、移動阻止具の位置や光拡散フィルムの大きさを変更することで設定条件を最適な条件にすれば、より均斉度を向上させ、平均照度も向上させることができる。
【0065】
上記実施の形態の説明においては、両面発光タイプの内照型掲示装置について説明したが、一面を反射面とした片面発光タイプの内照型掲示装置に適用してもよいのは勿論である。
【0066】
上記実施の形態の説明においては、底壁部を基体とするLEDモジュールを用いた例について説明をしたが、上壁部を基体としてLEDモジュールを設けてもよいのは勿論である。
【0067】
また、上記実施の形態の説明においては、一対の移動阻止具41の両方を位置変更可能な構造としたが、一方の移動阻止具41のみを位置変更可能な構造としてもよい。
【0068】
さらに、上記実施の形態では、基体が筐体の一部を構成しているが、基体が筐体の一部を構成しなくてもよいのは勿論である。
【0069】
また、光拡散部材を光拡散フィルムから構成したが、樹脂等により板状の光拡散部材としてもよい。この場合板状の光拡散部材の両端を変形可能な接続具で移動阻止具に取り付ければよい。
【0070】
さらに、複数の発光ダイオードと光拡散部材との間に、複数のLEDから出た光の拡散及び指向性を制御するリニアフレネルレンズのような光学レンズを設けてもよいのは勿論である。
【0071】
さらに、LED群の代わりに冷陰極管や薄膜EL素子などの光源を適用できるのは勿論である。