【解決手段】第1及び第2の透明基板SUB2を備え、第2の透明基板SUB2には、複数のゲート信号線GLと、複数のデータ信号線DLと、複数の画素のそれぞれに対応して配置された複数の画素電極PITと、画素電極PITに対向配置された複数の共通電極CITと、画素電極PITに対向配置された複数の透明付加容量電極CADITと、が形成されており、各画素において、透明付加容量電極CADITの少なくとも一部は、平面視で、隣り合う2本のゲート信号線GLの間に配置されているとともに、透明付加容量電極CADITは該ゲート信号線GLに電気的に接続されており、かつ、複数の画素電極PITはゲート絶縁膜GSNを介して複数の透明付加容量電極CADITに積層され、複数の共通電極CITは保護絶縁膜PASを介して複数の画素電極PITに積層されている。
前記複数の画素のそれぞれにおいて、前記透明電極は、該透明電極が配置されている画素を駆動するためのゲート信号線よりも前に走査されるゲート信号線に電気的に接続されており、
前記複数の画素のそれぞれは、隣り合う2本のゲート信号線のうち走査方向側に配置されているゲート信号線により駆動することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
前記複数の画素のそれぞれにおいて、前記透明電極の行方向の幅が、前記画素電極の行方向の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の液晶表示装置。
前記第2基板には、ガラス基板側から、前記複数の透明電極と、前記複数のゲート信号線と、第1絶縁膜と、互いに同層に形成された前記複数のデータ信号線及び前記複数の画素電極と、第2絶縁膜と、前記複数の共通電極と、がこの順に積層されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の液晶表示装置。
前記複数の画素電極、前記複数の共通電極、及び前記複数の透明電極は、同一の透明金属材料で形成されていることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、液晶表示パネルの高精細化に伴い、画素領域の面積は益々小さくなっている。そのため、画素電極と共通電極との間の保持容量が不十分となるおそれがある。この点に関し、例えば特許文献1には、画素電極の上方及び下方のそれぞれに共通電極を配置することにより、画素電極と共通電極との間の保持容量を増大させる技術が提案されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された画素構造は、画素電極と共通電極との間の保持容量を増大させる観点からも、画素領域内を透過する光量を高める観点からも、画素電極と他の導電部材との間の寄生容量を減らす観点からも、表示特性の向上にはまだまだ改善の余地を残している。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、IPS方式の液晶表示装置において、表示特性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液晶表示装置は、上記課題を解決するために、液晶を介して対向配置された、表示面側の第1基板と背面側の第2基板とを備え、前記第2基板には、複数のゲート信号線と、複数のデータ信号線と、該ゲート信号線が延在する行方向及び該データ信号線が延在する列方向に形成される複数の画素のそれぞれに対応して配置された複数の画素電極と、該複数の画素電極に対して表示面側に対向配置された複数の共通電極と、該複数の画素電極に対して背面側に対向配置された複数の透明電極と、が形成されており、前記複数の画素のそれぞれにおいて、前記透明電極の少なくとも一部は、平面視で、隣り合う2本のゲート信号線の間に配置されているとともに、該透明電極は該ゲート信号線に電気的に接続されており、かつ、前記複数の画素電極は第1絶縁膜を介して前記複数の透明電極に積層され、前記複数の共通電極は第2絶縁膜を介して前記複数の画素電極に積層されている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る液晶表示装置では、前記複数のゲート信号線は、前記複数の透明電極上に形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明に係る液晶表示装置では、前記透明電極は、前記ゲート信号線と同層に形成されているとともに、該ゲート信号線から走査方向に延伸していることが好ましい。
【0010】
本発明に係る液晶表示装置では、前記複数の画素のそれぞれにおいて、前記透明電極は、該透明電極が配置されている画素を駆動するためのゲート信号線よりも前に走査されるゲート信号線に電気的に接続されており、前記複数の画素のそれぞれは、隣り合う2本のゲート信号線のうち走査方向側に配置されているゲート信号線により駆動することが好ましい。
【0011】
本発明に係る液晶表示装置では、前記複数の画素のそれぞれにおいて、前記透明電極の行方向の幅が、前記画素電極の行方向の幅よりも大きい構成とすることもできる。
【0012】
本発明に係る液晶表示装置では、前記複数の共通電極は、平面視で前記データ信号線を覆うように列方向に延在して配置された複数のシールド共通電極を含み、前記複数の画素のそれぞれにおいて、前記データ信号線の行方向の端部から前記透明電極の行方向の端部までの距離をt1、前記データ信号線の行方向の端部から前記画素電極の行方向の端部までの距離をt2、前記データ信号線の行方向の端部から前記シールド共通電極の行方向の端部までの距離をt3、とすると、t1<t2<t3の関係を満たすことが好ましい。
【0013】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第2基板には、ガラス基板側から、前記複数の透明電極と、前記複数のゲート信号線と、第1絶縁膜と、互いに同層に形成された前記複数のデータ信号線及び前記複数の画素電極と、第2絶縁膜と、前記複数の共通電極と、がこの順に積層されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る液晶表示装置では、前記複数の画素電極、前記複数の共通電極、及び前記複数の透明電極は、同一の透明金属材料で形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明に係る液晶表示装置では、前記複数の共通電極のそれぞれには、開口部が形成されていることが好ましい。
【0016】
本発明に係る液晶表示装置の駆動方法は、上記課題を解決するために、液晶を介して対向配置された、表示面側の第1基板と背面側の第2基板とを備え、前記第2基板には、複数のゲート信号線と、複数のデータ信号線と、該ゲート信号線が延在する行方向及び該データ信号線が延在する列方向に形成される複数の画素のそれぞれに対応して配置された複数の画素電極と、該複数の画素電極に対して表示面側に対向配置された複数の共通電極と、該複数の画素電極に対して背面側に対向配置された複数の透明電極と、が形成されており、前記複数の画素のそれぞれにおいて、前記透明電極の少なくとも一部は、平面視で、隣り合う2本のゲート信号線の間に配置されているとともに、該透明電極は該ゲート信号線に電気的に接続されており、かつ、前記複数の画素電極は第1絶縁膜を介して前記複数の透明電極に積層され、前記複数の共通電極は第2絶縁膜を介して前記複数の画素電極に積層されている、液晶表示装置の駆動方法であって、前記複数の画素に印加する画素電圧の極性を、それぞれの画素列においては同一としつつ、画素列毎に反転させることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、上記課題を解決するために、基板上に、透明電極を形成する工程と、前記透明電極の一部の領域上に、ゲート信号線を形成する工程と、前記透明電極及び前記ゲート信号線を覆うように第1絶縁膜を形成する工程と、前記第1絶縁膜を介して前記透明電極に重なるように、前記第1絶縁膜上に画素電極を形成する工程と、前記画素電極を覆うように第2絶縁膜を形成する工程と、前記第2絶縁膜上に共通電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る液晶表示装置の構成によれば、画素電極と共通電極との間に容量が形成され、画素電極と透明電極との間に容量が形成されるため、保持容量を増大させることができる。よって、IPS方式の液晶表示装置において、表示特性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
【0021】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る液晶表示装置の全体構成を示す図である。液晶表示装置LCDは、画像表示領域DIAとこれを駆動する駆動回路領域とからなる。画像表示領域DIAには、隣り合うゲート信号線と隣り合うデータ信号線とで囲まれた画素領域が、行方向及び列方向にマトリクス状に複数配列されている。なお、ゲート信号線が延在する方向を行方向、データ信号線が延在する方向を列方向とする。
【0022】
各画素領域ではアクティブマトリクス表示が行われる。具体的には、走査線駆動回路からゲート信号線(走査線)G1、G2、…、Gnへゲート電圧を供給し、データ線駆動回路からデータ信号線D1、D2、…、Dmへデータ電圧を供給し、ゲート電圧による薄膜トランジスタTFTのオン/オフによりデータ電圧を透明画素電極PITに供給し、透明画素電極PITに供給されたデータ電圧と共通電極駆動回路から供給された共通(コモン)電圧との差により生じる電界で液晶層LCを駆動することにより光の透過率を制御して画像表示を行う。
【0023】
液晶層LCにおける電圧低下を防止するために、各画素領域には保持容量STG及び付加容量CADDが形成されている。保持容量STGは、透明画素電極PITと透明共通電極CITとが絶縁膜(第2絶縁膜)を介して互いに重なる領域に形成される。共通電圧は、共通電極駆動回路から、画像表示領域DIAに配置される透明共通電極CITへ供給される。一方、付加容量CADDは、画素に配置される透明画素電極PITと、該画素を駆動するためのゲート信号線の前段のゲート信号線に電気的に接続された透明付加容量電極CADIT(透明電極)とが、絶縁膜(第1絶縁膜)を介して互いに重なる領域に形成される。また、複数の画素のそれぞれは、隣り合う2本のゲート信号線GLのうち走査方向側に配置されているゲート信号線GLにより駆動する。
【0024】
ゲート信号線G1、G2、・・Gnには、パルス状のゲート電圧が順に印加されるため、自画素(例えばn段目の画素)のゲート信号線G(n)にゲート電圧が印加されるときには、前段((n−1)段目)のゲート信号線G(n−1)はオフ電圧である定電圧となっている。つまり、(n−1)段目のゲート信号線G(n−1)は、次フレームでゲート電圧が印加されるまでの保持期間中は固定電位となっている。これにより、n段目の画素における保持期間中は、(n−1)段目のゲート信号線G(n−1)に電気的に接続された透明付加容量電極CADITに固定電位が供給される。このため、n段目の画素の透明画素電極PITと、(n−1)段目のゲート信号線G(n−1)に電気的に接続された透明付加容量電極CADITとが絶縁膜を介して重なる領域に容量(付加容量CADD)が形成される。
【0025】
なお、n段目の画素に形成される透明付加容量電極CADITは、該画素を駆動するためのゲート信号線G(n)の前段(直前)のゲート信号線G(n−1)に電気的に接続される構成に限定されず、前々段のゲート信号線G(n−2)あるいはそれよりも前のゲート信号線G(n−α)に電気的に接続される構成であってもよい。
【0026】
本実施形態1に係る液晶表示装置LCDでは、各画素に保持容量STGと付加容量CADDとが形成され、保持性能が向上するため表示特性を向上させることができる。なお、カラー表示を行う場合は、縦ストライプ状のカラーフィルタで形成された赤(R)、緑(G)、青(B)の画素に接続されたデータ信号線D1(R)、D2(G)、D3(B)に所望のデータ電圧を印加することにより実現される。
【0027】
図2は、1つの画素の構成を示す平面図であり、
図3は、
図2の3−3´切断線における断面図を示し、
図4は、
図2の4−4´切断線における断面図を示す。
【0028】
図2には、隣り合うゲート信号線GLと隣り合うデータ信号線DLとで囲まれた1つの画素領域と、これに隣り合う周囲の画素領域の一部とを示している。
図2に示す画素領域における平面的な配置構成とその機能について以下に説明する。
【0029】
ゲート信号線GLは低抵抗の金属層で形成されており、
図1に示す走査線駆動回路から走査用のゲート電圧が印加される。データ信号線DLも低抵抗の金属層で形成されており、
図1に示すデータ線駆動回路から映像用のデータ電圧が印加される。ゲート信号線GLにゲートオン電圧が印加されると、薄膜トランジスタTFTの半導体層SEMが低抵抗となり、データ信号線DLに印加された電圧が、低抵抗の金属層で形成されたソース電極SMを介して、ソース電極SMに電気的に接続された透明画素電極PITに伝達される。
【0030】
共通電圧は、
図1に示す共通電極駆動回路から透明共通電極CITに印加される。透明共通電極CITは、絶縁膜(保護絶縁膜PAS、第2絶縁膜)を介して透明画素電極PITに積層されている。透明共通電極CITには、1画素領域内でスリット(開口部)が形成されている。このスリットは、ブラックマトリクスBMの開口部において、上面から、透明画素電極PITの電界が液晶駆動として液晶層LCに印加され、この電界が透明共通電極CITに至り駆動用電界を発生させる。なお、スリットの形状は、特に限定されず、細長形状であってもよいし、矩形状や楕円状等、一般的な開口部であってもよい。また、スリットの幅は、隣り合うスリット間の距離よりも大きくてもよいし小さくてもよい。透明画素電極PITに伝達されたデータ電圧と、透明共通電極CITに印加された共通電圧との差により生じる電界が液晶層LCに印加される。
【0031】
透明付加容量電極CADITは、ゲート信号線GLの金属電極に電気的に接続されている透明電極である。透明付加容量電極CADITは、平面視で、ゲート絶縁膜GSN(第1絶縁膜)を介して透明画素電極PITと重なっている。ここで、上述したように、各画素において、透明付加容量電極CADITは、該透明付加容量電極CADITが配置されているn段目の画素を駆動するためのゲート信号線G(n)(
図2では下側のゲート信号線GL)の前に走査されるゲート信号線G(n−1)(
図2では上側のゲート信号線GL)に電気的に接続されている。また、各画素は、隣り合う2本のゲート信号線G(n)、G(n−1)のうち走査方向側(
図2では下側)に配置されているゲート信号線G(n)により駆動する。このため、n段目の画素のゲート信号線G(n)が走査されるときは、前段((n−1)段)のゲート信号線G(n−1)は固定電位(オフ電圧)となっている。これにより、透明付加容量電極CADITと透明画素電極PITとの間に付加容量CADDが形成される。
【0032】
従って、
図1に示すように、1画素領域には、透明画素電極PITと透明共通電極CITとで形成される保持容量STGと、走査される前段のゲート信号線GLに接続された透明付加容量電極CADITと自画素の透明画素電極PITとで形成される付加容量CADDとが含まれている。これにより、保持性能の良好な液晶表示装置LCDを実現することができる。さらに、透明付加容量電極CADITは、透明電極であり、画素の開口領域の開口率を低下させることもないため、表示輝度の高い液晶表示装置LCDを実現することができる。
【0033】
このように、本実施形態1では、1画素領域に、スリットを有する透明共通電極CIT、透明画素電極PIT、及び透明付加容量電極CADITが形成されている。透明画素電極PITはソース電極SMに電気的に接続され、1画素毎に独立して画素内に形成される。透明共通電極CITは、複数の画素領域に延在して形成され、平面的に画像表示領域DIA全面でネットワーク状に連結されている。透明付加容量電極CADITは、ゲート信号線GLに電気的に接続されている。例えば、透明付加容量電極CADITの上にゲート信号線GLが直接形成されていてもよいし、透明付加容量電極CADITとゲート信号線とが同層に形成され互いに接続されていてもよい。上記3つの透明電極は、液晶表示装置LCDの製造工程において、互いに異なる工程で形成される。なお、透明付加容量電極CADITとゲート信号線とは、同一層に形成されてもよい。
【0034】
ここで、1画素領域に形成される上記3つの透明電極、すなわち透明共通電極CIT、透明付加容量電極CADIT、透明画素電極PITの配置関係について、
図2を用いて詳細に説明する。
【0035】
図2には示していないが、本液晶表示装置LCDの画素領域にはブラックマトリクスBMが形成されている。ゲート信号線GL及びデータ信号線DLが延在する領域は、ブラックマトリクスBMにより遮光されている。
図2において、遮光領域の内側の開口部で視認できる最上層のパターンは、透明共通電極CITである。また、透明共通電極CITのスリットでは、透明画素電極PITが視認できる。
【0036】
透明共通電極CITは、データ信号線DLが延在する列方向に複数の電極部と複数のスリットとが並列に延在して構成されている。そして、複数の透明共通電極CITは、データ信号線DL上ではデータ信号線DLよりも幅広で被覆し列方向に延在している。
【0037】
透明共通電極CITは、もうひとつの平面パターンを有する。すなわち、透明共通電極CITは、ゲート信号線GL上では、データ信号線DLを完全には被覆せず、データ信号線DLとソース電極SMとに挟まれた半導体層SEMを被覆しないように開口されている。これは、透明共通電極CITの電圧で保護絶縁膜PASを介して半導体層SEMがON状態となり抵抗が下がり誤動作を起こすことを防止するためである。但し、透明共通電極CITは、列方向に隣り合う画素領域間を連結するように形成されている。このように透明共通電極CITを、画像表示領域DIAにおいてマトリクス状に連結することによって、配線遅延時間を低減することができる。
【0038】
透明画素電極PITは、1画素領域内で閉じた平面パターンである。透明画素電極PITとソース電極SMとは電気的に接続されている。隣り合う透明画素電極PITは、データ信号線DLとゲート信号線GLとのそれぞれの境界において分離されている。
【0039】
透明画素電極PITの下層には、ゲート絶縁膜GSN(第1絶縁膜)を介して透明付加容量電極CADITが形成されている。透明付加容量電極CADITは、画素領域内では略方形の平面パターンであるが、一端は前段のゲート信号線GLに接続されており、前段のゲート信号線GLから自段の画素領域内へ延在している。透明付加容量電極CADITは、ゲート信号線GLで使用される低抵抗の金属配線材料に接続されるため、配線時間が増加し表示性能が悪化することはなく、均一性の高い表示を得ることができる。
【0040】
このように、本実施形態1では、透明画素電極PITの上層の透明共通電極CITが、データ信号線DLを被覆する保護絶縁膜PAS上で、複数の画素領域に及んでマトリクス状に形成されている。また、透明画素電極PITの下層の透明付加容量電極CADITが、ゲート信号線GLに電気的に接続するように延在している。これにより、保持容量STG及び付加容量CADDの増大、高開口率、低消費電力、及び画質の高均一性を実現した液晶表示装置を提供することができる。
【0041】
透明画素電極PITは、左右の画素における透明画素電極PITに対してそのパターン間の距離を小さく設定している。またこの隙間部分の上層には、透明共通電極CITが形成されている。そのため、データ信号線DLのシールドはこの透明共通電極CITがその役目を果たすため、データ信号線DL上のブラックマトリクスBMを細く設定でき、開口率を大きくすることができる。
【0042】
さらに、本実施形態1におけるゲート信号線GLは、不透明な金属材料で構成されているが、透明付加容量電極CADITは透明電極材料で形成されているため開口率を低下させることがない。この透明付加容量電極CADITをゲート信号線GLとは別に共通電極として取り出して低抵抗の金属材料の配線に接続させることも考えられるが、この場合、ゲート信号線GLとは電圧が異なる共通電圧を与える金属配線に接続する必要があるため開口率が低下してしまう。この点、本実施形態1では、透明付加容量電極CADITはゲート信号線GLと一体的に形成されており、不透明な金属領域を新たに形成する必要がないため開口率を大きくすることができる。
【0043】
図3は、
図2の3−3´切断線における断面図である。画素の断面構造について以下に説明する。液晶層LCは、2枚の透明基板である表示面側の第1の透明基板SUB1(第1の基板)と背面側の第2の透明基板SUB2(第2の基板)とに挟まれている。液晶層LCには、電界方向に沿って液晶分子の長軸が揃うポジ型の液晶分子LCMが封入されている。
【0044】
第1の透明基板SUB1及び第2の透明基板SUB2の外側には、第1の偏光板POL1及び第2の偏光板POL2が貼付されている。偏光板POLは周知の構成を適用することができる。液晶層LCには、液晶分子LCMを固定できる、表面側の第1の配向膜AL1と背面側の第2の配向膜AL2とが形成されている。配向膜ALは周知の構成を適用することができる。カラーフィルタCFの表面には有機材料であるオーバーコート膜OCが被覆されている。
【0045】
半導体層SEMは、外部光が直接当たると抵抗が低下して液晶表示装置LCDの保持特性が低下し、良好な画像表示が行えないおそれがある。そのため、第1の透明基板SUB1における、半導体層SEMの上方の位置に、ブラックマトリクスBMが形成されている。ブラックマトリクスBMは、カラーフィルタCFの画素間の境界にも配置されており、これにより隣り合う画素の光が斜め方向から見えることによる混色が防止されるため、画像を滲みなく表示できるという大きな効果が得られる。但し、ブラックマトリクスBMの幅が広すぎると開口率や透過率が低下する。そのため、高精細の液晶表示装置において、明るく消費電力の低い性能を実現するには、ブラックマトリクスBMの幅を、斜めから見た時の混色が起こらない程度の最小の幅に設定することが好ましい。ブラックマトリクスBMは、黒色顔料を用いた樹脂材料あるいは金属材料で構成される。
【0046】
透明付加容量電極CADITは、透明導電膜で形成されている。材料としては、インジウム、錫、酸化物ITOやインジウム、亜鉛、酸化物IGO等が用いられる。ゲート信号線GLは、アルミニウムAl、モリブデンMo、チタンTiあるいは銅Cuを主成分とする金属材料、あるいは上記の複数の積層層あるいは、上記金属材料にタングステンWやマンガンMnあるいはチタンTiなどが添加された合金あるいは上記の組み合わせにおける積層金属層から形成される。透明付加容量電極CADITとゲート信号線GLは、スパッタ法により透明電極材料及び金属材料を連続的に成膜後、同一のホトエッチング工程で加工される。これにより、ゲート信号線GLの下層直下に透明付加容量電極CADITが形成される。画素の開口領域においては、透明電極材料の上層直上の金属材料を除去して、透明電極材料を露出させる。露出した透明電極材料の部分は、付加容量CADD用の電極として利用される。
【0047】
ゲート信号線GL及び透明付加容量電極CADITを覆うように、ゲート絶縁膜GSNが形成されている。ゲート絶縁膜GSNの材料としては、周知の材料を用いることができる。
【0048】
透明画素電極PITは、ソース電極SMの上を覆うように形成され、ソース電極SMに電気的に接続されている。データ信号線DL及びソース電極SMを覆うように、保護絶縁膜PASが形成されている。保護絶縁膜PASとしては、シリコンナイトライドSiNあるいは二酸化シリコンSiO
2を用いることができる。透明画素電極PITの上層には、保護絶縁膜PASを介して透明共通電極CITが形成されている。
【0049】
上記構成において、ゲート信号線GLにオン電圧が印加されると、データ電圧が、データ信号線DL、半導体層SEM、及びソース電極SMを介して、透明画素電極PITに伝達される。これにより、共通電位を持つ透明共通電極CITと、透明付加容量電極CADITとの容量に充電される。ゲート信号線GLにオフ電圧が印加されている間は保持期間となり、半導体層SEMは高抵抗になるため充電された電荷(電圧)は基本的に保持される。但し、半導体層SEMの抵抗値や液晶層LCの抵抗による漏洩により透明画素電極PITの電圧が変動することがある。
【0050】
一般的には、透明共通電極CITと透明画素電極PITとの積層構造で形成される保持容量STGにより保持特性を保つが、本実施形態1では、透明画素電極PITとゲート信号線GLに電気的に接続された透明付加容量電極CADITとの積層構造で形成される付加容量CADDも大きく設定できるため保持性能を向上させることができ、画質の優れた液晶表示装置LCDを実現することができる。
【0051】
図4は、
図2の4−4´切断線における断面図である。
図4はデータ信号線DLを境界とする3つの画素の断面図である。中心の画素は、カラーフィルタCF配置において緑のカラーフィルタCF(G)に対応している。左右の画素は、赤のカラーフィルタCF(R)、青のカラーフィルタCF(B)に対応している。データ信号線DLが配されている、画素間の境界には、液晶層LCを挟んで第1の透明基板SUB1の内側の面にブラックマトリクスBMが形成されている。
【0052】
バックライトの光は図示していないが、第2の透明基板SUB2の外側に貼り付けた第2の偏光板POL2の外側から第2の透明基板SUB2に照射される。但し、データ信号線DLやブラックマトリクスBMの幅を大きくすると、開口率や透過率が低下し、表示が暗くなることや消費電力が増加する問題が生じる。特に、高精細の液晶表示装置ではその問題が最大課題であるため、ブラックマトリクスBMやデータ信号線DLを細くしても表示不良が起こらない構成が望ましい。
【0053】
なお、本実施形態1では、データ信号線DLの下にはその製造方法との関係で半導体層SEMが形成されている。半導体層SEMはアモルファスシリコンやLTPSを用いた場合、実質的には不透明であるのでその幅が広すぎるとデータ信号線DLと同様に、開口率を低下させる。
【0054】
図4の断面図では、光が透過しないブラックマトリクスBMあるいはデータ信号線DLが形成されている画素の境界領域と、光が透過する開口領域とが示されている。まず、開口領域の構造と動作について以下に説明する。
【0055】
開口領域では、透明画素電極PITと透明共通電極CITとの間に、データ電圧と共通電圧とが印加され、この電極間に生じる電界が液晶層LCに加わり、その電界強度により液晶層LCの楕円偏光強度が変わることで透過率を制御して階調表示を行う。最大電圧差が印加されたときに液晶表示装置LCDの透過率が最大になるように設定されている。本液晶表示装置LCDはインプレーン・スイッチング(IPS)型の液晶表示装置であるため、透明画素電極PITと透明共通電極CITとの電圧差が小さくなると透過率が低下し、黒表示に向かう。一方、上記電圧差が大きくなるほど透過率が上昇し、最大電圧差のとき白表示となる。最大電圧を印加した場合の最大透過率を、単に透過率と表現する場合もある。
【0056】
液晶層LCには有機材料の液晶分子LCMが充填されている。第1の透明基板SUB1の内側表面に形成された第1の配向膜AL1と、第2の透明基板SUB2の内側表面に形成された第2の配向膜AL2が配向処理され、液晶分子LCMの長軸が固定される。透明共通電極CITは、電極部と間隙(スリット部)とを有している。スリット部の下層には保護絶縁膜PASを介して透明画素電極PITが形成されているため、2つの電極間の電圧が大きくなると液晶層LCに折り返すような電界による電気力線が形成される。透明共通電極CITの電極部及びスリット部の境界が最大電界領域となるため、同一電圧(電界)が印加された場合でも液晶分子LCMの回転が大きくなり透過率が高くなる。これに対して、透明共通電極CITの電極部及びスリット部の幅を大きくすると、電極部やスリット部の中央付近の電界が弱くなり透過率が低下する。そのため、電極部及びスリット部の寸法を細く設定する必要がある。従って、画素領域は
図4の断面図の横方向に透過率分布を持つことになる。
【0057】
図4には液晶層LCを駆動する電気力線EFを矢印で示している。すなわち電気力線EFは透明画素電極PITから液晶層LCを経て折れ曲がるように透明共通電極CITに至る。透過率は透明共通電極CITの端部で電界が最大になるのでこの部分で透過率が最大になる。
【0058】
このブラックマトリクスBMとデータ信号線DLが配置された境界領域(開口部以外の領域)では、透明共通電極CIT(シールド透明電極)が、保護絶縁膜PASを介してデータ信号線DLを覆うように、データ信号線DLよりも広い幅で形成されている。これにより、データ信号線DLから保護絶縁膜PASを介して上方へ延びる電界がシールドされる。結果的に、データ信号線DLから上部に延びる不要な電界ノイズは、データ信号線DLより幅の広い透明共通電極CIT、透明画素電極PITによりシールドされる。このシールド効果は、データ信号線DLを覆う透明共通電極CITを、透明画素電極PITに重なるように配置することにより高めることができる。
【0059】
本実施形態1では、透明付加容量電極CADITは、ゲート絶縁膜GSNを介して透明画素電極PITと重なり、付加容量CADDが形成され、保持性能を良好に保っている。一方、液晶分子LCMを表示データに応じて駆動しているのは、透明画素電極PITと透明共通電極CIT間にかかる電界EFである。この際、透明付加容量電極CADITから透明共通電極CITに至る電界が、開口領域において液晶層LCに侵入すると誤動作を引き起こす。これは、透明付加容量電極CADITの電圧が共通電圧とは異なる電圧であることが原因である。透明付加容量電極CADITの電圧は、ゲートパルスのオフ電圧であり保持期間中は固定電圧であるため、付加容量CADDを形成するための電圧としては使用できるが、駆動電界を作る電圧としては適していない。従って、透明付加容量電極CADITは、液晶層LCに電界が侵入しない構成であることが好ましい。
【0060】
透明付加容量電極CADITから液晶層LCへの電界の侵入を防ぐために、透明付加容量電極CADITの幅は、透明画素電極PITの幅よりも狭く設定されている。すなわち、透明画素電極PITは、ゲート絶縁膜GSNを介して、透明付加容量電極CADITに蓋をするように形成されている。
【0061】
このように、データ信号線DLと透明画素電極PITとの隙間を覆うように、透明共通電極CITが形成されている第1の構成と、透明付加容量電極CADITの幅が、透明画素電極PITの幅よりも狭く設定されている第2の構成により、電界の液晶層LCへの侵入に起因した誤動作を防止して、良好な表示を実現することができる。
【0062】
図5から
図9は、本実施形態1における第2の透明基板SUB2上に形成される薄膜トランジスタTFT、配線領域、及び開口部の製造工程を示している。各図の製造工程では、1画素の平面及その平面のb−b´切断線の断面を示している。各図は上記TFT製造工程におけるホトエッチング加工工程毎に記載している。
【0063】
図5(a)は、第1ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図5(b)は、
図5(a)のb−b´切断線の断面図を示している。基板上に透明付加容量電極CADITとなる透明電極材料、及び、ゲート信号線GLとなる金属材料が、連続的にスパッタにより成膜され、第1ホトエッチング工程でパターン化される。パターン化はハーフトーン露光を用いて行う。これにより、平面パターンとしてゲート信号線GLの金属材料と、透明付加容量電極CADITとなる金属材料との2層が積層された領域と、上層のゲート信号線GLの金属材料がエッチング除去され透明電極材料のみが残った領域とがパターン化された2つの領域が形成される。透明電極材料は、インジウム、錫、酸化物ITOあるいはインジウム、亜鉛、酸化物IZOであり、金属材料は、その厚さが100nmから300nmの銅とその上にモリブデンMoを成膜した積層膜である。この金属配線材料は、銅CuだけなくMoとアルミニウムAlの積層膜や、チタンTiとAlの積層膜あるいはMoとタングステンの合金のMoWなどを使用することもできる。
【0064】
図6(a)は、第2ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図6(b)は、
図6(a)のb−b´切断線の断面図を示している。化学気層成長法CVDにより、ゲート信号線GL及び透明付加容量電極CADITを覆うように、シリコンナイトライドのゲート絶縁膜GSNを積層し、ゲート絶縁膜GSN上にアモルファスシリコンの半導体層SEMを積層する。さらに半導体層SEM上に、モリブデンMoと銅Cuの積層膜をスパッタで成膜する。金属配線の材料は、ゲート信号線GLの材料と同様に、モリブデンMoやアルミニウムAlあるいはモリブデンMoの3層膜やチタンTiとアルミニウムAlの積層膜、チタンTiとアルミニウムAlの積層膜あるいはMoW合金なども用いることができる。
【0065】
ゲート絶縁膜GSN、半導体層SEM及びデータ信号線DLやソース電極SMの厚さは、おおよそ400nm、200nm、300nmである。上記CVD膜とスパッタ膜の上部よりホトレジストを形成し、これに対してハーフトーンホトマスクを用いて露光することにより、データ信号線DLとソース電極SMの領域、半導体層SEMの領域を形成することができる。
【0066】
図7(a)は、第3ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図7(b)は、
図7(a)のb−b´切断線の断面図を示している。データ信号線DL及びソース電極SM上にスパッタにより透明電極材料であるインジウム、錫、酸化物ITOを成膜し、ホトエッチング工程を経て、透明画素電極PITを形成する。透明画素電極PITはソース電極SM上に直接成膜する。これにより、透明画素電極PITとソース電極SMとが電気的に接続される。
【0067】
図8(a)は、第4ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図8(b)は、
図8(a)のb−b´切断線の断面図を示している。透明画素電極PITを覆うように保護絶縁膜PASを形成する。保護絶縁膜PASは、その厚さが200nmから600nmに設定されるシリコンナイトライドを用いる。第4ホトエッチング工程では、保護絶縁膜PASに開口部を形成する。この開口部は、
図8に示す画素領域にはなく、画像表示領域DIAの外側の周辺領域でゲート信号線GLあるいはデータ信号線DLと透明共通電極CITとを接続するためのコンタクトホールである。
【0068】
図9(a)は、第5ホトエッチング工程の終了後の1画素の平面図を示し、
図9(b)は、
図9(a)のb−b´切断線の断面図を示している。保護絶縁膜PAS上に、透明共通電極CITの材料であるインジウム、錫、酸化物ITOを成膜した後、ホトエッチングして透明共通電極CITを形成する。
【0069】
以上のように、5回のホトエッチング工程により、本実施形態1に係る液晶表示装置LCDの第2の基板SUB2を製造することができる。
【0070】
[実施形態2]
本発明の実施形態2について、図面を用いて以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1において示した部材と同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施形態1において定義した用語については特に断らない限り本実施形態においてもその定義に則って用いるものとする。
【0071】
図10は、実施形態2における1画素の構成を示す平面図であり、
図11は、
図10の11−11´切断線における断面図を示す。
【0072】
本実施形態2に係る液晶表示装置LCDは、さらなる低消費電力を実現するために、実施形態1に示した構成に加えて、低消費電力を実現する駆動方法に適した構成を有している。
【0073】
実施形態1に係る液晶表示装置LCDでは、例えば、ゲート信号線GL毎にデータ信号線DLに印加するデータ電圧の極性を、共通電圧に対してプラス/マイナスに変化させる駆動方法を採用することができる。すなわち、全画素が一旦走査された状態の画素電圧の極性が上下左右で反転する、ドット反転駆動を採用することができる。この駆動方法は、フリッカが発生しにくいため高画質となるが、ゲート信号線GLが選択される度に、データ信号線DLの電圧極性を反転する、すなわちデータ信号線DLの容量をデータ線駆動回路から充電させる必要があるため駆動の消費電力が大きい。
【0074】
一方、本実施形態2に係る液晶表示装置LCDでは、実施形態1に係る液晶表示装置LCDと等価回路の構成は同一であるが、データ信号線DLに対する駆動方法が異なっている。すなわち、ゲート信号線GLが順次選択される度にデータ信号線DLの電圧極性は反転せず、隣り合うデータ信号線DLの電圧極性が異なる、列反転あるいはコラム反転駆動を採用することができる。この駆動方法では、ゲート信号線GLを選択する毎にデータ信号線の容量の充電が起こらないため、結果として駆動の消費電力を大幅に低減できる。但し、データ信号線DLと透明画素電極PITとの間の寄生容量が大きいと、表示画面に窓パターンを表示した場合、窓の上下の色が変化する縦クロストークが発生する。このため、本液晶表示装置LCDでは、縦クロストークを発生させないように、上記寄生容量を低減させる画素構成を有することが好ましい。
【0075】
ここで、上記寄生容量を低減するためには、
図10に示す画素の平面パターンにおいて、複数のゲート信号線GLに交差するデータ信号線DL、データ信号線DLの延びる列方向に対する透明画素電極PIT、透明付加容量電極CADIT、及び透明共通電極CITのパターン端部の位置関係を特定することが重要となる。
【0076】
図10に示すように、データ信号線DLの端部の近傍には、データ信号線DLの延びる列方向に、透明付加容量電極CADITが形成されている。実施形態1の
図2では、データ信号線DLの端部の近傍には、透明画素電極PITが形成されており、この点で実施形態1及び2は構成が異なっている。
【0077】
本実施形態2では、透明画素電極PITは、データ信号線DLに対して、透明付加容量電極CADITより遠い位置に、そのパターン端部が配置されている。本実施形態2では、画素表示の保持期間中にフローティング状態となる透明画素電極PITとデータ信号線DLとの間の寄生容量を低減する画素構成を示している。
【0078】
図11は、
図10の11−11´切断線における断面図である。
図11には、隣り合う3つの画素領域に対してデータ信号線DLを横断する断面構造が示されている。図中には、データ信号線DLの行方向(幅方向)の端部から透明付加容量電極CADITの行方向の端部までの距離をt1、データ信号線DLの行方向の端部から透明画素電極PITの行方向の端部までの距離をt2、データ信号線DLの行方向の端部から透明共通電極CIT(シールド共通電極)の行方向の端部までの距離をt3、として示している。
【0079】
図11において、透明画素電極PIT、透明共通電極CIT及び透明付加容量電極CADITの3つの透明電極の中で、保持期間中に電源に接続され固定電位となるのは、透明共通電極CITと透明付加容量電極CADITである。従って、この2つの透明電極は透明画素電極PITに対するシールド電極として機能する。一方、透明付加容量電極CADITは保持期間中において固定電位であるが電位そのものは共通電位ではない。従って、開口領域において液晶層LCを駆動する透明画素電極PITから透明共通電極CITに至る電界を乱すことを防止するために、開口領域の液晶層LC中に電界が侵入しない構成を有することが好ましい。
【0080】
シールド効果を上げて良好な画質を得るために、本実施形態2では、
図11に示す構成を有している。同図に示すように、データ信号線DLの端部側から、透明付加容量電極CADITの端部、透明画素電極PITの端部、透明共通電極CITの端部が、この順で配置されている。すなわち、透明付加容量電極CADIT、透明画素電極PIT、及び透明共通電極CITが、t1<t2<t3の関係を満たすように配置されている。また、透明画素電極PITと透明共通電極CITは、所定の重なり幅を持って配置されている。これらの構成により、透明画素電極PITの端部を透明共通電極CITと透明付加容量電極CADITにより上下からシールドすることができるため、透明画素電極PITとデータ信号線DLとの間の寄生容量を極めて小さくすることができる。さらに、透明画素電極PITと透明共通電極CITが所定の重なり幅を持つことにより、透明付加容量電極CADITから液晶層LCに侵入する電界を実質的に零に近い値にすることができる。
【0081】
以上のように、本実施形態2における画素構成により、データ信号線DLと透明画素電極PITとの間の寄生容量を小さくできるため、低消費電力を実現するコラム反転駆動を好適に用いることができる。
【0082】
ここで、上記実施形態1,2に示した液晶表示装置LCDに適用される、走査方向と画素構造との関係について、
図12(a)、(b)を用いて説明する。同図に示すように、付加容量CADDは、画素に配置される透明画素電極PITと、該画素を駆動するためのゲート信号線GL(例えばゲート信号線G2)の前段のゲート信号線GL(例えばゲート信号線G1)に電気的に接続された透明付加容量電極CADIT(透明電極)とが、絶縁膜を介して互いに重なる領域に形成される構成である。また、複数の画素のそれぞれは、隣り合う2本のゲート信号線GL(例えばゲート信号線G1,G2)のうち走査方向側に配置されているゲート信号線GL(例えばゲート信号線G2)により駆動する構成である。なお、ゲート信号線G0は、薄膜トランジスタTFTが接続されていない、所謂ダミーゲート信号線である。ダミーゲート信号線には、ゲート信号線G1の電圧が印加されてもよいし、常に定電圧(例えばゲートオフ電圧)が印加されてもよい。
【0083】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記各実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。