【解決手段】シフトレンジに対応したシフト位置SPへ可動なシフトレバー21を有するシフト装置20を備えた車両のハザードランプ消灯制御装置である。シフトレバー21により選択されているシフト位置SPを検出するシフト位置検出手段2aと、シフト位置検出手段2aによってリバースレンジに対応したシフト位置SPへの操作が検出された後にパーキングレンジの選択操作が検出されたことを含む消灯条件が成立した場合に、ハザードランプ18を自動的に消灯させる制御手段1と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面により実施の形態について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができるとともに、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることが可能である。
【0017】
[1.装置構成]
[1−1.車両構成]
本実施形態のハザードランプ消灯制御装置は、
図1に示す自動車(車両)10に搭載される。この車両10は、エンジン11とモータ12とを駆動源とし、外部充電が可能なプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)である。車両10には、エンジン11,モータ12,ジェネレータ(図示略),インバータ13,走行用バッテリ14,トランスアクスル15等が設けられる。
【0018】
エンジン11及びモータ12の駆動力は、トランスアクスル15を介して各車輪16のうちの駆動輪へ伝達され、車両10を走行させる。エンジン11は、ガソリンや軽油を燃料とする内燃機関(ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン)であり、駆動輪の車軸(駆動軸)を駆動する。エンジン11の燃料であるガソリンや軽油は、給油時に図示しない燃料タンク内に補給される。
【0019】
モータ12は、車両10の床下に搭載されたバッテリ14の電力やジェネレータで発電された電力の供給を受けて動力を発生させる電動機である。ジェネレータは、変速機構(図示略)を介してエンジン11に接続され、エンジン11の出力で発電する発電機である。ジェネレータで発電された電力は、バッテリ14へ供給されてバッテリ14に充電されるか、あるいは直接的にモータ12へ供給されてモータ12の動力源として使用される。なお、モータ12及びジェネレータがそれぞれモータジェネレータ(電動発電機)であってもよいし、モータ12とジェネレータとが一体で構成されていてもよい。
【0020】
モータ12とジェネレータ及びバッテリ14とを接続する給電回路上には、インバータ13が介装される。バッテリ14は、車両10の回生発電電力や外部電源,ジェネレータで発電される電力で充電可能な蓄電装置であり、例えばリチウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー二次電池等である。バッテリ14は、モータ12の主電源(主動力源)である。なお、車両10の外表面には、外部充電時に充電ケーブルを接続するための充電口(図示略)が設けられ、バッテリ14と充電口とを接続する回路上には、図示しない車載充電器が設けられる。車載充電器は、車両10の外部の家庭用電源や充電ステーション等から供給される交流電力を直流に変換する電力変換装置である。
【0021】
トランスアクスル15は、差動装置を含む終減速機と自動変速機15A(
図2参照)とを一体に形成した動力伝達装置であり、駆動源であるエンジン11及びモータ12と駆動輪との間の動力伝達を担う複数の機構を内蔵する。また、トランスアクス15の内部には、エンジン11から駆動輪までに至る動力伝達経路上に介装されたクラッチが設けられ、クラッチによりエンジン11の動力の断接状態が制御される。
【0022】
自動変速機(変速機)15Aは、運転者がシフトレンジ(以下、単にレンジという)を選択する際に操作するシフト装置20と電気的に接続されたシフトバイワイヤ式であり、例えばATやAMT,CVTである。なお、必ずしも変速機を備える必要はなく、シフト装置20が示したシフト位置(シフトレンジ)に対応して直接モータ12を制御し、エンジン11を変速機を介さず発電機用のみに使用したり、高速走行用のみに使用したりしても良い。
【0023】
シフト装置20は、ここでは
図2及び
図3(a)に示すように、モーメンタリ式(ジョイスティック式)のシフトレバー21と、これとは別機構で設けられたパーキングスイッチ(P_SW)22とを備える。シフトレバー21は、自動変速機15Aのレンジに対応したシフト位置SP(セレクト位置とも呼ばれる)を選択する際に操作される。
図3(b)に示すように、シフトレバー21は、ニュートラル(N)レンジ,ドライブ(D)レンジ,リバース(R)レンジの各レンジと、回生ブレーキを強く働かせるBレンジとを選択可能に構成されている。なお、これらレンジの構成は一例であって、これら以外のレンジが設けられていてもよいし、Bレンジがないものであってもよい。
【0024】
シフトレバー21は、運転者の操作により、案内経路23に沿ってこれらの各レンジに対応するシフト位置SPへ移動し、移動した先のシフト位置SPを選択する。また、シフトレバー21は、シフト位置SPの選択後に運転者が手を離した時など、運転者により操作されていない時(以下、非操作時という)には、予め定められた中立位置(ホームポジション,H)に保持される。このシフトレバー21の非操作時の保持は、例えば中立位置に常時付勢する付勢手段(図示略)により行われる。
【0025】
パーキングスイッチ22は、
図3(a)に示すように、シフトレバー21の近傍に別体で設けられ、シフトレバー21に対する操作とは別の操作(スイッチを押す操作)によりオンオフが切り替えられる。パーキングスイッチ22の基本的操作は、車速がゼロの状態で一度押される(オン操作される)と、自動変速機15Aのパーキング(P)レンジに対応したシフト位置SPを選択し、車両10にはパーキングブレーキがかかる。
【0026】
車両10の図示しないインストルメントパネルには、車両10の状態を表示するメータやディスプレイが設けられる。ディスプレイは、例えば速度計やエンジン回転速度計などのメータに隣接して設けられ、現在の駆動モードや選択されているレンジをはじめ、燃費や電池残量や燃料残量等を表示する。また、このディスプレイには、車両10の何らかの異常が発生した場合に運転者に知らせるために、その異常に対応した警告灯が点灯される。ここで表示される警告灯の種類としては、ブレーキ警告灯,エンジン警告灯,充電警告灯,油圧警告灯などがある。これら警告灯は、後述の異常検出ECU4からの指令によって点灯される。
【0027】
また、
図1に示すように、車両10の前部には左右一対のフロントターンランプ17Fが設けられ、車両10の後部には左右一対のリアターンランプ17Rが設けられる。これらフロントターンランプ17F及びリアターンランプ17Rは、インストルメントパネルに設けられたハザードスイッチ(図示略)が押されると、同時に点滅し、ハザードランプ(非常点滅表示灯)18として機能する。
【0028】
[1−2.検出系,制御系]
図1に示すように、車両10には、通信ラインを介して接続されたハザードランプECU1,変速機ECU2,エンジンECU3,異常検出ECU4などの複数の電子制御装置が備えられる。これらの電子制御装置は、周知のマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成される。
【0029】
ハザードランプECU(制御手段)1は、ハザードランプ18に関する制御を行うものであり、例えば運転者によるハザードスイッチの手動操作に応じて、ハザードランプ18の点灯及び消灯を行い、ディスプレイにハザードランプ18が点灯していることを表示する。また、ここではハザードランプECU1は、後述するハザードランプ18の自動消灯制御を実施する。
【0030】
変速機ECU(異常検出手段)2は、自動変速機15Aに関する制御を行うものであり、例えば運転者によるシフトレバー21及びパーキングスイッチ22の操作に応じて、選択されているシフト位置SP(レンジ)をディスプレイに表示する。また、変速機ECU2は、自動変速機15Aのオイルが異常に高温になった場合や、変速制御システムに何らかの異常が発生した場合には、その異常を検知し、その異常に対応した異常信号をハザードランプECU1及び異常検出ECU4へ伝達する。
【0031】
エンジンECU(異常検出手段)3は、エンジン11に関する点火系,燃料系,吸排気系及び動弁系といった広汎なシステムを制御するものであり、エンジン11の各シリンダに対して供給される空気量,燃料噴射量及び点火タイミングなどを制御する。また、エンジンECU3は、エンジン11に何らかの異常が発生した場合には、その異常を検知し、その異常に対応した異常信号をハザードランプECU1及び異常検出ECU4へ伝達する。なお、ここで検知される異常としては、例えば燃料系統の異常,エンジンオイルの循環系統の異常,エンジン制御システムの異常,エンジンオイルの圧力低下などが挙げられる。
【0032】
異常検出ECU(異常検出手段)4は、車両10の様々な異常や故障(以下、単に異常という)を検知するものであり、検知した異常に対応した警告灯をディプレイに点灯させ、検知した異常に対応したコードを記憶する。異常検出ECU4は、異常を検知した場合には、その異常に対応した異常信号をハザードランプECU1へ伝達する。
【0033】
異常検出ECU4で検知される異常としては、例えばブレーキ装置の異常やブレーキ液圧の不足などのブレーキ系統に関する異常,充電系統の異常,ヘッドライトオートレベリングの異常などが挙げられる。また、異常検出ECU4は、変速機ECU2及びエンジンECU3から異常信号が伝達された場合には、その異常信号に対応した警告灯を点灯させるとともに異常信号に対応したコードを記憶する。これにより、ユーザに対して車両10を販売会社や修理工場等へ持ち込むことを促すことができ、修理者に対して異常の内容を容易に認識させることが可能である。
【0034】
また、車両10には、
図1及び
図2に示すように、車輪16を支持する車軸の回転角及びその角速度を検出する車輪速センサ(車速検出手段)5が設けられる。車軸の回転角の単位時間あたりの変化量は車輪16の回転数に比例し、スリップが生じていなければ車輪16の回転数は車輪速(車速V)に比例する。ここで検出された車速Vの情報は、ハザードランプECU1に伝達される。なお、車輪速センサ5で検出された車軸の回転角に基づいて、ハザードランプECU1で車速Vを演算する構成としてもよい。
【0035】
車両10の両側面に設けられるドア19には、ドアセンサ(開閉検出手段)6が設けられる。ドアセンサ6は、各ドア19の開閉の状態を検出して、これに対応する開閉信号を出力するものである。これらの開閉信号は、ハザードランプECU1に伝達される。なお、ドアセンサ6は、少なくとも運転席のドア19に設けられていればよい。このドアセンサ6の開閉信号により、運転者の降車が判断される。
【0036】
また、車両10には、車両10に対する衝撃を検出する衝撃センサ7が設けられる。衝撃センサ7は、車体に加わる振動や衝撃を検出するセンサや車両10の加速度を検出するセンサなどであり、車両10の追突や横転等の事故を検出するものである。衝撃センサ7で検出された情報はハザードランプECU1に伝達される。
【0037】
[2.制御構成]
ハザードランプECU1は、自動消灯制御を実施するものであり、まず、所定の消灯条件が成立するか否かを判定し、消灯条件が成立すると判定した場合にハザードランプ18を自動的に消灯させる。ここでは、消灯条件には以下の条件(A)〜(E)が含まれ、これら全てが成立した場合に消灯条件が成立したと判定する。なお、ハザードランプECU1は、条件(A)〜(E)の何れか一つでも不成立の場合は消灯条件は不成立であると判定し、ハザードスイッチに対する手動操作に応じてハザードランプ18の点灯及び消灯を行う。
【0038】
(A)ハザードランプ18が点灯している
(B)車両10の後退駐車操作がされた
(C)駐車操作が完了した
(D)運転者が降車した
(E)異常検出ECU4から異常信号が伝達されていない
【0039】
条件(A)は、ハザードスイッチの手動操作に基づいて判定される。条件(B)及び(C)は、変速機ECU2からの情報に基づいて判定され、条件(D)はドアセンサ6からの開閉信号に基づいて判定される。なお、条件(E)は、異常検出ECU4及び衝撃センサ7の何れからも情報が伝達されない場合に成立したと判定される。
【0040】
ここで、変速機ECU2には、シフトレバー21の操作及びパーキングスイッチ22の操作、即ち、シフトレンジの選択操作を検出するシフト位置検出部(シフト位置検出手段)2aが機能要素として設けられる。シフト位置検出部2aは、シフトレバー21で選択されたシフト位置SPを検出するとともに、パーキングスイッチ22のオンオフ操作(パーキングレンジに対応したシフト位置SPが選択されたか否か)を検出する。シフト位置検出部2aで検出されたシフト位置SPは、ハザードランプECU1へ伝達される。
【0041】
ハザードランプECU1は、シフト位置検出部2aから伝達されたシフト位置SPがリバースレンジである時間t
R(以下、リバース時間t
Rという)が所定時間t
0以上継続するとともに、この所定時間t
0内に、車速V
Rが所定車速V
0よりも大きくなった場合に、上記の条件(B)が成立したと判定する。言い換えると、所定時間t
0の間リバースレンジに対応したシフト位置SPが選択されており、この間の車両10の車速V
Rの最大値が所定車速V
0よりも大きくなったのであれば、運転者がバックで走行して後退駐車操作していたと判定する。なお、所定時間t
0は、駐車操作するために要する時間に基づいた時間値(例えば3〜5秒)に予め設定されている。また、所定車速V
0は、駐車操作するときの一般的な速度に基づいた速度値(例えば0に近い僅少値)に予め設定されている。
【0042】
ハザードランプECU1は、条件(B)が成立した後に、シフト位置検出部2aからパーキングスイッチ22がオン操作されたことが伝達された場合に、上記の条件(C)が成立した(すなわち、パーキングブレーキがかかった)と判定する。つまり、後退駐車操作がなされた後にシフト位置SPがパーキングレンジになったことをもって、駐車操作が完了したと判定する。
【0043】
ハザードランプECU1は、条件(C)が成立した後に、ドアセンサ6から運転席のドア19が開けられた後、閉められた(ドア19の開閉が検出された)という情報が伝達された場合に、上記の条件(D)が成立したと判定する。
ハザードランプECU1は、異常検出ECU4から異常信号が伝達された場合又は衝撃センサ7から情報が伝達された場合は、上記の条件(E)が不成立であると判定する。この場合は、緊急時である可能性があるため、ハザードランプECU1は、自動での消灯を禁止し、ハザードスイッチに対する手動操作に応じてハザードランプ18の点灯及び消灯を行う。
【0044】
[3.フローチャート]
図4は、上記の自動消灯制御の流れを説明するためのフローチャートの一例である。
図4のフローチャートはキーオン(IG_ON,パワースイッチON)と共にスタートされ、ハザードランプECU1において予め設定された所定の演算周期で繰り返し実施される。なお、エンジンECU2,変速機ECU3及び異常検出ECU4での異常の検知は常時実施され、各種センサ5〜7からの情報は随時ハザードランプECU1に伝達されるものとする。
【0045】
図4に示すように、ステップS10では、ハザードランプ18が点灯している(ハザードランプON)か否かが判定される。ハザードスイッチが操作され、ハザードランプ18が点灯している場合は、ステップS20においてフラグFがF=0であるか否かが判定される。ここで、フラグFは、駐車操作が完了したか否かをチェックするための変数であり、F=1は駐車操作が完了した状態に対応し、F=0は駐車操作が完了していない状態に対応する。このフローチャートの開始時は、フラグFがF=0に設定されているため、ステップS30へ進む。
【0046】
ステップS30では、異常検出ECU4からの異常信号又は衝突センサ7からの情報が伝達された(以下、これらを併せて「異常あり」という)か否かが判定される。異常ありの場合はハザードランプ18は点灯させておく必要があるため、このフローチャートを終了する(自動消灯制御を終了する)。一方、異常ありではない場合は、ステップS40において、シフト位置検出部2aから伝達されたシフト位置SPがリバースレンジ(SP=R)であるか否かが判定される。
【0047】
シフト位置SPがリバースレンジの場合は、ステップS50においてタイマがカウント中であるか否かが判定される。最初にシフト位置SPがリバースレンジになった場合はタイマがスタートしていないので、ステップS55へ進み、タイマがスタートされてステップS60へ進む。なお、このタイマは、リバース時間t
Rをカウントするためのものである。ステップS60では、一度でも車速V
Rが所定車速V
0よりも大きい(V
R>V
0)状態になったか否かが判定される。
【0048】
車速V
Rが所定車速V
0よりも大きい場合は、ステップS70において、リバース時間t
Rが所定時間t
0以上(t
R≧t
0)であるか否かが判定される。つまり、車速V
Rが所定車速V
0よりも大きいときは後退駐車操作がされている状態であると判定し、1回でも車速の条件をクリアすれば(ステップS60からYESルートに進めば)、その後はリバース時間t
Rが経過するのを待って後退駐車操作がされたか否かを判定する。ステップS60において一度でも車速V
Rが所定車速V
0よりも大きくなっていない場合、又は、ステップS70においてリバース時間t
Rが所定時間t
0未満である場合は、このフローチャートをリターンする。最初にステップS70に進んだ場合には、少なくともステップS70からこのフローチャートがリターンされる。
【0049】
次の演算周期では、ハザードランプ18が手動で消灯されたり、異常ありになったりしない限り、ステップS40の判定に進む。そして、シフト位置SPがリバースレンジのままであれば、タイマはカウント中であるためステップS50からステップS60,ステップS70へ進み、リバース時間t
Rの判定(ステップS70)が再び行われる。
【0050】
リバース時間t
Rが所定時間t
0以上になる前に、例えば、ハザードランプ18が手動で消灯された場合や、シフト位置SPがリバースレンジからドライブレンジに切り替えられたような場合は、ステップS10又はステップS40からステップS120へ進む。そして、ステップS120ではフラグFがリセットされ、続くステップS130ではタイマが停止されると共にそれまでのカウントがリセットされ、このフローチャートをリターンする。つまり、これらの場合は自動消灯制御がリセットされる。また、リバース時間t
Rが所定時間t
0以上になる前に、異常検出ECU4からの異常信号又は衝突センサ7からの情報が伝達された場合は、このフローチャートを終了する。
【0051】
ステップS70において、リバース時間t
Rが所定時間t
0以上経過したと判定されると、駐車操作がなされたと判定され、続くステップS80において、シフト位置検出部2aからパーキングスイッチ22がオン操作されたという情報が伝達された(P_SWがON)か否かが判定される。パーキングスイッチ22がオン操作されていなければ、このフローチャートをリターンする。一方、パーキングスイッチ22がオン操作された場合は、駐車操作が完了したと判定され、続くステップS90においてフラグFがF=1に設定される。
【0052】
ステップS100では、ドアセンサ6から運転席のドア19の開閉が検出されたか否かが判定される。ドアセンサ6によりドア19の開閉が検出されていない場合はこのフローチャートをリターンする。次の演算周期では、ハザードランプ18が手動で消灯されていなければ、ステップS20からステップS100へ進み、再びドア19の開閉について判定される。そして、ステップS100においてドア19の開閉が検出された場合は、運転者がハザードランプ18をつけたまま降車したと判定され、ステップS110においてハザードランプ18が自動的に消灯される(ハザードランプOFF)。
【0053】
ハザードランプ18が自動消灯された後は、ステップS120においてフラグFがF=0にリセットされ、ステップS130においてタイマが停止されると共にリセットされて、このフローチャートをリターンする。
なお、ハザードランプ18がついていない場合は、ステップS10からステップS120へ進み、自動消灯は実施されない。また、シフト位置SPがドライブレンジのときにハザードスイッチが押されてハザードランプ18が点灯しているような場合は、駐車操作がなされているとは判定されず、自動消灯は実施されない。
【0054】
[4.効果]
したがって、上記のハザードランプ消灯制御装置によれば、リバースレンジに対応したシフト位置SPへの操作が検出された後にパーキングレンジの選択操作が検出された場合に、後退駐車操作が完了したと判定してハザードランプ18を自動的に消灯するため、速やかにハザードランプ18を消灯することができる。また、EV車、HV車、PHV車、PHEV車にも適用可能なハザードランプ消灯制御装置が提案できた。
【0055】
また、上記のハザードランプ消灯制御装置が、モーメンタリ式のシフトレバー21と、これとは別機構で設けられたパーキングスイッチ22とを有するシフト装置20を備えた車両に適用された場合、パーキングブレーキをかけるときは、シフトレバー操作とは別のスイッチ操作が必要となる。そのため、上記のハザードランプ消灯制御装置では、後退駐車操作が完了したか否かを、上記の特許文献1のようにリバースレンジが継続的に選択されている期間をチェックしなくても容易に判定することができる。
【0056】
モーメンタリ式ではない、いわゆるオルタネイト式の一般的な自動変速機用のシフトレバーの場合は、Rレンジの先にPレンジがあり、DレンジからPレンジに切り替える場合はRレンジを一瞬経由する必要がある。そのため、後退駐車をしているか否かを正しく判定するためには、Rレンジが継続的に選択されている時間をチェックする必要がある。これに対して、モーメンタリ式のシフト装置20の場合は、パーキングブレーキをかける場合は、シフトレバー21の操作とは別にパーキングスイッチ22を押すという操作が必要となり、車両10を後退させるため以外にリバースレンジが選択されるようなことはない。
【0057】
そのため、シフトレバー21によりリバースレンジが選択された後にパーキングスイッチ22が押された場合は、後退駐車のためにハザードランプ18が使用されたと判定することができる。また、この場合にハザードランプ18を自動的に消灯することで、運転者の操作負担を減らすことができ、バッテリ上がりなどの不具合を解消することができる。
【0058】
ただし、本実施形態のハザードランプ消灯制御装置では、リバース時間t
Rが所定時間t
0以上経過した場合にハザードランプ18を自動的に消灯させる。このように、駐車操作をしている時間をチェックすることで、駐車操作なのか否かを確実に判定することができ、自動消灯制御の信頼性を高めることができる。
【0059】
さらにここでは、シフト位置SPがリバースレンジであるときの車速V
Rが所定車速V
0よりも大きいか否かを判定して後退駐車操作を行っているかを判断するため、駐車操作なのか否かの判定精度をさらに高めることができ、自動消灯制御の信頼性をより高めることができる。
【0060】
また、上記のハザードランプ消灯制御装置では、車両10の異常を検知する様々な異常検出手段を備えており、何れかの異常検出手段によって異常が検知されないことが消灯条件に含まれている。つまり、車両10に何らかの異常がある場合や事故を起こしたような場合には、ハザードランプ18の自動消灯が禁止される。これにより、ハザードランプ18が本来の目的で使用されている場合に、誤って消灯されることを防ぐことができ、制御の信頼性に加え、安全性を確保することができる。
【0061】
なお、ハザードランプ消灯制御装置は、ドアセンサ6で検出されたドア19の開閉から運転者の降車をチェックし、運転者がハザードランプ18を消し忘れた状態で降車したときに初めて自動でハザードランプ18を消灯させる。これにより、運転者による手動操作を最優先させることができ、運転者が消し忘れて車両10から離れようとした場合には確実にハザードランプ18を消灯させることができる。
【0062】
[5.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
上記実施形態では、自動消灯制御において条件(B)を判定する際に、リバース時間t
Rが所定時間t
0以上継続するとともに、この所定時間t
0内での車速V
Rが一度でも所定車速V
0よりも大きい状態になった場合に、上記の条件(B)が成立したと判定しているが、条件(B)の判定はこれに限られない。例えば、リバース時間t
Rが所定時間t
0以上継続したら条件(B)が成立したと判定してもよいし、リバース時間t
Rをチェックすることなく、シフト位置SPがリバースレンジにされた後、パーキングスイッチ22がオン操作された場合に条件(B)が成立したと判定してもよい。
【0063】
また、上記実施形態で説明した異常検出手段は一例であって、上記以外の異常を検知するセンサやECUが設けられていてもよい。例えば、車両10にアンチロックブレーキシステム(ABS)が備えられている場合に、異常検出ECU4においてABSの異常を検知する構成としてもよい。また、異常検出ECU4において、電動パワーステアリングやハンドルロックの異常を検知する構成としてもよい。なお、ここでは、異常検出ECU4という電子制御装置が設けられる場合を例示しているが、異常検出ECU4を設ける代わりに、各装置それぞれにECUを設けてそれぞれのECUで異常を検知する構成としてもよい。
【0064】
なお、上記実施形態では、パーキングスイッチ22がオン操作された後、ドア19の開閉が検出されたらハザードランプ18を自動的に消灯させているが、運転者の降車を待たずにパーキングスイッチ22のオン操作がなされたらハザードランプ18を自動消灯させる構成としてもよい。このような構成により、運転者の操作負担を軽減することができる。
また、車両10は上記のプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)に限られず、EV車、HV車、PHV車であってもよいし、駆動源としてエンジン11のみを搭載したガソリン車又はディーゼル車であってもよい。
【0065】
なお、シフト装置は、上記のモーメンタリ式のシフトレバー21及びパーキングスイッチ22を有するものに限られない。すなわち、Pレンジを選択するシフト位置をもシフトレバーで選択可能な一般的なシフト装置(自動変速機15Aの各レンジに対応するシフト位置SPへ可動なシフトレバーを有するもの,いわゆるオルタネイト式)であってもよい。ただし、このようなシフト装置の場合は、シフト位置SPがリバースレンジである時間をチェックして後退駐車を行っているか否かを判定することが必要となるが、パーキングレンジへ移動操作された時点で駐車操作が完了したと判定し、ハザードランプ18を自動で消灯させることができる。