【解決手段】産業用車両のステアリングシステム2Aでは、産業用車両の車体屈折角を変更する一対のステアリングシリンダ13に対する作動油の給排が方向切換弁31により制御される。方向切換弁31は、ポンプライン21により油圧ポンプ12と接続されている。ポンプライン21から分岐して信号流出力装置4につながるパイロットライン25には減圧弁26が設けられている。パイロットライン25における減圧弁26よりも下流側からはドレンライン6が分岐してタンクにつながっている。ドレンライン6には、ステアリング操作が行われている間はドレンライン6を遮断し、ステアリング操作が行われていない間はドレンライン6を開放するドレン切換弁61が設けられている。
前記ドレンラインに設けられた、前記パイロットラインに流れる作動油の温度が所定値以上になると前記ドレンラインを遮断する電磁切換弁をさらに備える、請求項1または2に記載の産業用車両のステアリングシステム。
前記信号流出力装置は、ステアリングホイールと連結された回転操作用パワーステアリングユニットと、ステアリングレバーと連結された傾倒操作用パワーステアリングユニットの一方または双方である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の産業用車両のステアリングシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、圧力制御型の方向切換弁を備える油圧システムでは、油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプとは別にパイロットポンプが設けられ、パイロットポンプから操作弁に作動油が供給される。そして、操作弁から方向切換弁へは、操作弁での例えばレバー操作量に応じた圧力の作動油が与えられる。
【0007】
しかし、ステアリングシステムに用いられる方向切換弁は、流量制御型の弁である。このため、特許文献1のようにポンプラインから分岐するパイロットラインに減圧弁が設けられ、減圧弁で減圧された作動油が信号流出力装置を介して方向切換弁に導かれる。
【0008】
上記のようなステアリングシステムは、寒冷地においてステアリング操作に対する応答性が悪化することがある。
【0009】
そこで、本発明は、寒冷地におけるステアリング操作に対する応答性の悪化を防止することができるステアリングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の発明者らは、鋭意研究の結果、寒冷地においてステアリング操作に対する応答性が悪化するのは、ステアリング操作が行われていない間はパイロットラインに作動油が流れず、それ故にパイロットラインにおける作動油の温度が低く、粘度が高いことが原因であることを突き止めた。本発明は、このような観点からなされたものである。
【0011】
すなわち、本発明の産業用車両のステアリングシステムは、作動油の給排により産業用車両の車体屈折角を変更する一対のステアリングシリンダと、前記一対のステアリングシリンダに対する作動油の給排を制御する方向切換弁と、前記方向切換弁を油圧ポンプと接続するポンプラインと、前記ポンプラインから分岐する、減圧弁が設けられたパイロットラインと、前記パイロットラインを通じて作動油が供給され、ステアリング操作に応じて前記方向切換弁へ右旋回信号流または左旋回信号流を出力する信号流出力装置と、前記パイロットラインにおける前記減圧弁よりも下流側から分岐してタンクにつながるドレンラインと、前記ドレンラインに設けられた、ステアリング操作が行われている間は前記ドレンラインを遮断し、ステアリング操作が行われていない間は前記ドレンラインを開放するドレン切換弁と、を備える、ことを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、ステアリング操作が行われていない間はパイロットラインおよびドレンラインを通じて作動油が循環する。これにより、パイロットラインにおける作動油の温度を上昇させることができる。その結果、寒冷地におけるステアリング操作に対する応答性の悪化を防止することができる。
【0013】
前記ドレン切換弁は、ドレン禁止信号圧を受けて前記ドレンラインを遮断するパイロット作動式のものであり、前記信号流出力装置は、ステアリング操作が行われている間は前記ドレン切換弁へ前記ドレン禁止信号圧を出力するように構成されていてもよい。この構成によれば、必要なタイミングで自動的にドレンラインを遮断することができ、複雑な制御を行う必要がない。
【0014】
上記のステアリングシステムは、前記ドレンラインに設けられた、前記パイロットラインに流れる作動油の温度が所定値以上になると前記ドレンラインを遮断する電磁切換弁をさらに備えてもよい。この構成によれば、無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
【0015】
例えば、前記信号流出力装置は、ステアリングホイールと連結された回転操作用パワーステアリングユニットと、ステアリングレバーと連結された傾倒操作用パワーステアリングユニットの一方または双方であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、寒冷地におけるステアリング操作に対する応答性の悪化を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る産業用車両のステアリングシステム2Aを示し、
図2に、そのステアリングシステム2Aが採用された産業用車両1Aを示す。
図2に示す産業用車両1Aはホイールローダであるが、本発明は、ショベルローダやフォークリフトなどの産業用車両にも適用可能である。
【0019】
図2に示すように、産業用車両1Aは、前側部分が後側部分に対して旋回軸回りに回動可能に構成された車体10を含む。車体10の前側部分には、バケット14が取り付けられており、車体10の後側部分には、運転室15が設けられているとともにエンジン11が装備されている。
【0020】
ステアリングシステム2Aは、エンジン11に駆動される油圧ポンプ12と、車体10の旋回軸を挟んで左右両側に配置された一対のステアリングシリンダ13を含む。また、ステアリングシステム2Aは、
図1に示すように、油圧ポンプ12と一対のステアリングシリンダ13との間に介在するステアリングバルブ3と、オペレータにより行われるステアリング操作に応じてステアリングバルブ3を作動させるための回転操作用パワーステアリングユニット(信号流出力装置、例えばオービットロール(登録商標))4を含む。
【0021】
一対のステアリングシリンダ13は、作動油の給排により産業用車両1Aの車体屈折角(本実施形態では、車体10の後側部分に対する前側部分の角度)を変更する。ステアリングバルブ3は、一対のステアリングシリンダ13に対する作動油の給排を制御する方向切換弁31を含む。
【0022】
より詳しくは、方向切換弁31は、ポンプライン21により油圧ポンプ12と接続されているとともに、タンクライン24によりタンクと接続されている。また、方向切換弁31は、第1給排ライン22により一方のステアリングシリンダ13のロッド側および他方のステアリングシリンダ13のヘッド側と接続されているとともに、第2給排ライン23により一方のステアリングシリンダ13のヘッド側および他方のステアリングシリンダ13のロッド側と接続されている。
【0023】
なお、ポンプライン21は、油圧ポンプ12からステアリングバルブ3まで延びる管路と、その管路と連通する、ステアリングバルブ3に設けられた通路で構成される。この点は、その他のライン22〜24および後述する信号ライン51,52も同様である。また、回転操作用パワーステアリングユニット4の回りの後述するパイロットライン25、タンクライン27および信号ライン51,52,71も、パワーステアリングユニット4に設けられた通路とパワーステアリングユニット4の外の管路で構成される。
【0024】
ポンプライン21からはパイロットライン25が分岐しており、パイロットライン25は回転操作用パワーステアリングユニット4につながっている。パイロットライン25には、減圧弁26が設けられている。なお、
図1では、パイロットライン25がステアリングバルブ3の内部でポンプライン21(すなわち、ポンプライン21の通路部分)から分岐しているが、パイロットライン25はステアリングバルブ3の外部でポンプライン21(すなわち、ポンプライン21の管路部分)から分岐していてもよい。
【0025】
回転操作用パワーステアリングユニット4は、運転室15内に配置されたステアリングホイール16とステアリングシャフト16aにより連結されている(
図2参照)。回転操作用パワーステアリングユニット4にはパイロットライン25を通じて作動油が供給され、回転操作用パワーステアリングユニット4は、ステアリング操作(すなわち、ステアリングホイール16の回転操作)に応じてステアリングバルブ3の方向切換弁31へ右旋回信号流または左旋回信号流を出力する。
【0026】
具体的に、回転操作用パワーステアリングユニット4は、パイロットライン25が接合され、かつ、タンクライン27によりタンクと接続された方向切換弁41と、通路43,44により方向切換弁41と接続された、メータリング装置42を含む。さらに、方向切換弁41は、左旋回信号ライン51および右旋回信号ライン52によりステアリングバルブ3の方向切換弁31のパイロットポートに接続されている。左旋回信号ライン51および右旋回信号ライン52には、車体10の最大旋回角を規定する停止弁53がそれぞれ設けられている。
【0027】
一方、ステアリングバルブ3には、方向切換弁31をバイパスするように左旋回信号ライン51と右旋回信号ライン52とを連絡するバイパス通路32が設けられている。また、バイパス通路32には、絞り33が設けられており、方向切換弁31は、絞り33を作動油が流れることによって生じる、両パイロットポート間の圧力差によって作動する。これが、流量制御方式である。
【0028】
回転操作用パワーステアリングユニット4の方向切換弁41は、ステアリング操作が行われていない間は、パイロットライン25およびタンクライン27を通路43,44および信号ライン51,52のいずれにも連通させない。オペレータによりステアリングホイール16が時計回りに回転されると、方向切換弁41が
図1で右方に移動して、パイロットライン25が通路43と連通し、通路44が右旋回信号ライン52と連通し、左旋回信号ライン51がタンクライン27と連通する。そして、方向切換弁41から出力される右旋回信号流が、右旋回信号ライン52、バイパス通路32および左旋回信号ライン51の順に流れる。これにより、方向切換弁31が
図1において左方に移動し、左側のステアリングシリンダ13が伸び、右側のステアリングリシリンダ13が縮む。
【0029】
逆に、オペレータによりステアリングホイール16が反時計回りに回転されると、方向切換弁41が
図1で左方に移動して、パイロットライン25が通路44と連通し、通路43が左旋回信号ライン51と連通し、右旋回信号ライン52がタンクライン27と連通する。そして、方向切換弁41から出力される左旋回信号流が、左旋回信号ライン51、バイパス通路32および右旋回信号ライン52の順に流れる。これにより、方向切換弁31が
図1において右方に移動し、右側のステアリングシリンダ13が伸び、左側のステアリングシリンダ13が縮む。
【0030】
上述したようにステアリングホイール16が時計回りまたは反時計回りに回されるとき(換言すれば、ステアリングホイール16に角速度が与えられるとき)がステアリング操作が行われている間であり、ステアリングホイール16が回されていないとき(換言すれば、ステアリングホイール16に角速度が与えられないとき)がステアリング操作が行われていない間である。なお、回転操作用パワーステアリングユニット4は、ステアリングバルブ3の方向切換弁31へ、ステアリングホイール16の回転速度に比例した流量の右旋回流または左旋回流を出力する。
【0031】
さらに、ステアリングシステム2Aには、パイロットライン25における減圧弁26よりも下流側から分岐してタンクにつながるドレンライン6が設けられている。ドレンライン6には、ドレン切換弁61が設けられている。
【0032】
本実施形態では、ドレン切換弁61が、ドレン禁止信号圧を受けてドレンライン6を遮断するパイロット作動式のものである。そして、回転操作用パワーステアリングユニット4は、ステアリング操作が行われている間は、ドレン切換弁61へドレン信号禁止圧を出力するように構成されている。これにより、ドレン切換弁61は、ステアリング操作が行われている間はドレンライン6を遮断し、ステアリング操作が行われていない間はドレンライン6を開放する。なお、ドレン切換弁61の内部には、ドレンライン6を開放する際にドレンライン6を流れる作動油を制限する絞りが設けられている。ただし、絞りは、必ずしもドレン切換弁61の内部に設けられている必要はなく、ドレンライン6のどの位置に設けられていてもよい。
【0033】
具体的には、回転操作用パワーステアリングユニット4の方向切換弁41が、ドレン信号ライン71によりドレン切換弁61のパイロットポートと接続されている。方向切換弁41は、ステアリング操作が行われていない間はドレン信号ライン71をタンクライン27と連通させる一方、ステアリング操作が行われている間はドレン信号ライン71をパイロットライン25と連通させる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態のステアリングシステム2Aでは、ステアリング操作が行われていない間はパイロットライン25およびドレンライン6を通じて作動油が循環する。これにより、パイロットライン25における作動油の温度を上昇させることができる。その結果、寒冷地におけるステアリング操作に対する応答性の悪化を防止することができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、ステアリング操作が行われている間は回転操作用パワーステアリングユニット4からパイロット作動式のドレン切換弁61へドレン禁止信号圧が出力されるので、必要なタイミングで自動的にドレンライン6を遮断することができ、複雑な制御を行う必要がない。
【0036】
<変形例>
ドレン切換弁61は、必ずしもパイロット作動式のものである必要はなく、電磁切換弁であってもよい。この場合、例えば、信号ライン51,52のうちの高い方の圧力を選択的に検出できるように圧力検出器を設け、この圧力検出器の検出値に基づいて電磁切換弁を作動させればよい。
【0037】
また、
図3に示すように、ドレンライン6に、ドレン切換弁61に加えて電磁切換弁62を設けてもよい。
図3では、電磁切換弁62がドレン切換弁61の上流側に配置されているが、電磁切換弁62は、ドレン切換弁61の下流側に配置されていてもよい。
【0038】
さらに、
図3に示す変形例では、パイロットライン25に、当該パイロットライン25を流れる作動油の温度が所定値α以上になったことを検出するための温度検出器63が設けられている。ここで、「所定値α」とは、ステアリング操作に対する応答性に影響を与えない温度(すなわち、作動油の粘度が低くなる温度)であり、例えば40〜60℃の範囲から選択することができる。なお、温度検出器63が設けられる位置は、ドレンライン6がパイロットライン25から分岐するポイントよりも上流側であればどこであってもよい。
【0039】
そして、電磁切換弁62は、図略のコントローラにより、温度検出器63によりパイロットライン25を流れる作動油の温度が所定値α以上になったことが検出されるとドレンライン6を遮断するように作動させられる。この構成によれば、パイロットライン25の作動油が温められときに作動油の循環を停止することができ、無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
【0040】
例えば、温度検出器63としては、パイロットライン25を流れる作動油の温度が所定値α以上となったときにオンまたはオフとなる温度スイッチを用いてもよい。あるいは、温度検出器63としては、パイロットライン25を流れる作動油の温度を測定する温度センサを用いてもよい。
【0041】
なお、上述した2つの変形例(ドレン切換弁61が電磁切換弁であってもよいことと
図3に示す変形例)は、後述する第2および第3実施形態にも適用可能である。
【0042】
(第2実施形態)
次に、
図4および
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る産業用車両のステアリングシステム2Bを説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0043】
本実施形態では、信号流出力装置として、回転操作用パワーステアリングユニット4の代わりに、運転室15内に配置されたステアリングレバー17と連結された傾倒操作用パワーステアリングユニット8が用いられている。傾倒操作用パワーステアリングユニット8にはパイロットライン25を通じて作動油が供給され、傾倒操作用パワーステアリングユニット8は、ステアリング操作(すなわち、ステアリングレバー17の傾倒操作)に応じてステアリングバルブ3の方向切換弁31へ右旋回信号流または左旋回信号流を出力する。
【0044】
具体的に、傾倒操作用パワーステアリングユニット8は、ステアリングレバー17の傾倒操作が入力される操作弁81と、右旋回信号流または左旋回信号流を出力するパイロット切換バルブ84を含む。パイロットライン25の下流側部分は2本の支流25a,25bに分かれており、支流25a,25bが操作弁81およびパイロット切換バルブ84にそれぞれつながっている。
【0045】
より詳しくは、パイロット切換バルブ84は、パイロットライン25の支流25aが接合され、かつ、タンクライン27によりタンクと接続された方向切換弁85を含む。タンクライン27には、操作弁81も接続されている。操作弁81は、作動ライン82,83により方向切換弁85のパイロットポートと接続されており、これらの作動ライン82,83を通じてステアリングレバー17の操作量に応じた圧力の作動油が方向切換弁85のパイロットポートへ導かれる。
【0046】
方向切換弁85は、左旋回信号ライン54および右旋回信号ライン55によりステアリングバルブ3の方向切換弁31のパイロットポートに接続されている。第1実施形態と同様に、左旋回信号ライン54および右旋回信号ライン55には、車体10の最大旋回角を規定する停止弁53がそれぞれ設けられている。
【0047】
傾倒操作用パワーステアリングユニット8の方向切換弁85は、ステアリング操作が行われていない間は、パイロットライン25およびタンクライン27を信号ライン54,55のいずれにも連通させない。オペレータによりステアリングレバー17が右旋回方向に傾倒されると、作動ライン82を通じて操作弁81から方向切換弁85のパイロットポートへ作動油が導かれ、方向切換弁85が
図4で右方へ移動して、パイロットライン25が右旋回信号ライン55と連通し、左旋回信号ライン54がタンクライン27と連通する。そして、方向切換弁85から出力される右旋回信号流が、右旋回信号ライン55、バイパス通路32および左旋回信号ライン54の順に流れる。これにより、方向切換弁31が
図4において右方に移動し、左側のステアリングシリンダ13が伸び、右側のステアリングリシリンダ13が縮む。
【0048】
逆に、オペレータによりステアリングレバー17が左旋回方向に傾倒されると、作動ライン83を通じて操作弁81から方向切換弁85のパイロットポートへ作動油が導かれ、方向切換弁85が
図4で左方に移動して、パイロットライン25が左旋回信号ライン54と連通し、右旋回信号ライン55がタンクライン27と連通する。そして、方向切換弁85から出力される左旋回信号流が、左旋回信号ライン54、バイパス通路32および右旋回信号ライン55の順に流れる。これにより、方向切換弁31が
図4の左方に移動し、右側のステアリングシリンダ13が伸び、左側のステアリングシリンダ13が縮む。
【0049】
上述したようにステアリングレバー17が傾倒されるとき(換言すれば、垂直方向に対してステアリングレバー17に角度が与えられるとき)がステアリング操作が行われている間であり、ステアリングレバー17が傾倒されていないとき(換言すれば、ステアリングレバー17が垂直なままの状態にあるとき)がステアリング操作が行われていない間である。
【0050】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、パイロットライン25から分岐するドレンライン6にパイロット作動式のドレン切換弁61が設けられている。そして、傾倒操作用パワーステアリングユニット8は、ステアリング操作が行われている間は、ドレン切換弁61へドレン信号禁止圧を出力するように構成されている。これにより、ドレン切換弁61は、ステアリング操作が行われている間はドレンライン6を遮断し、ステアリング操作が行われていない間はドレンライン6を開放する。
【0051】
具体的には、パイロット切換バルブ84の内部で信号ライン54,55から検出ライン72,73がそれぞれ分岐しており、それらの検出ライン72,73が選択弁75につながっている。そして、選択弁75がドレン信号ライン74によりドレン切換弁61のパイロットポートと接続されている。換言すれば、信号ライン54,55のうちの高い方の圧力がドレン切換弁61のパイロットポートへ導かれる。
【0052】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0053】
(第3実施形態)
次に、
図6を参照して、本発明の第3実施形態に係る産業用車両のステアリングシステム2Cを説明する。なお、本実施形態において、第1および第2実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0054】
本実施形態では、信号流出力装置として、第1実施形態で説明した回転操作用パワーステアリングユニット4と第2実施形態で説明した傾倒操作用パワーステアリングユニット8の双方が用いられている。
【0055】
具体的に、パイロットライン25の下流側部分が3本の支流25a,25b,25cに分かれており、支流25a,25bが傾倒操作用パワーステアリングユニット8の操作弁81およびパイロット切換バルブ84にそれぞれつながっており、支流25cが回転操作用パワーステアリングユニット4につながっている。
【0056】
また、傾倒操作用パワーステアリングユニット8の方向切換弁85からの信号ライン54,55が、回転操作用パワーステアリングユニット4の方向切換弁41からの信号ライン51,52と合流している。図例では、信号ライン51,52と信号ライン54,55が回転操作用パワーステアリングユニット4の近傍で互いに合流しているが、それらは、例えばパイロット切換バルブ84の内部で互いに合流していてもよい。
【0057】
さらに、本実施形態では、回転操作用パワーステアリングユニット4からのドレン信号ライン71と傾倒操作用パワーステアリングユニット8からのドレン信号ライン74とが選択弁77につながっている。そして、選択弁77がドレン信号ライン76によりドレン切換弁61のパイロットポートと接続されている。換言すれば、ドレン信号ライン71,74のうちの高い方の圧力がドレン切換弁61のパイロットポートへ導かれる。
【0058】
また、本実施形態では、パイロット切換バルブ84に、信号ライン54,55を遮断するか開放するかを切り換える優先弁86が設けられている。優先弁86は電磁式およびパイロット作動式であり、運転室15(
図5参照)に配置された選択スイッチ(図示せず)によってステアリングレバー17の傾倒操作が有効とされたときにソレノイドが励磁されて信号ライン54,55を開放し、選択スイッチによってステアリングレバー17の傾倒操作が無効とされたときにソレノイドが消磁されて信号ライン54,55を遮断する。さらに、優先弁86のパイロットポートにはドレン信号ライン71から分岐する作動ライン78がつながっており、優先弁86は、前記選択スイッチによってステアリングレバー17の傾倒操作が有効とされていても、回転操作用パワーステアリングユニット4からドレン禁止信号圧が出力されている間(すなわち、ステアリングホイール16が回転操作されている間)は、信号ライン54,55を遮断する。
【0059】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(その他の実施形態)
産業用車両(1Aまたは1B)の車体10は、必ずしも前側部分と後側部分に分割されている必要はない。例えば、車体10が前輪と後輪に跨って延びる一体的な長尺体であり、一対のステアリングシリンダ13によって車体に対する前輪の角度が変更されてもよい。すなわち、車体屈折角は、車体に対する前輪の角度であってもよい。