特開2015-113047(P2015-113047A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-113047(P2015-113047A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】車両用ガーニッシュ
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20150526BHJP
   B60R 7/08 20060101ALI20150526BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20150526BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20150526BHJP
【FI】
   B60R13/02 B
   B60R7/08 Z
   B60R7/04 T
   B60R13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-257454(P2013-257454)
(22)【出願日】2013年12月12日
(71)【出願人】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】相澤 文彦
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 裕之
【テーマコード(参考)】
3D022
3D023
【Fターム(参考)】
3D022CA01
3D022CA11
3D022CB03
3D022CB05
3D022CC11
3D022CD06
3D023AA01
3D023AB01
3D023AB05
3D023AC05
3D023AD02
3D023AD25
3D023BA01
3D023BB07
3D023BC01
3D023BD02
3D023BD27
3D023BE24
(57)【要約】
【課題】車内ガーニッシュ部の車室内方向のスペース占有量を抑制しつつ、車体パネルの開口部の周縁に当該開口部を閉塞するように取り付けることのできる車両用ガーニッシュを提供する。
【解決手段】車内ガーニッシュ部は、車体パネル5の開口部6の車外側の開口縁に対向するパネル対向面14と、開口部6を通して車室内側に臨む内装面13と、を有する。車外ガーニッシュ部は車内ガーニッシュ部の車外側に設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体外側に臨む車外ガーニッシュ部と、車室内側に臨む車内ガーニッシュ部と、を備え、車体パネルに形成された開口部の周縁に当該開口部を閉塞するように取り付けられる車両用ガーニッシュであって、
前記車内ガーニッシュ部は、前記車体パネルの開口部の車外側の開口縁に対向するパネル対向面と、前記開口部を通して車室内側に臨む内装面と、を有し、
前記車外ガーニッシュ部は、前記車内ガーニッシュ部の車外側に設けられていることを特徴とする車両用ガーニッシュ。
【請求項2】
前記車内ガーニッシュ部の前記内装面には、車室内側において物品を係止可能な物品係止部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ガーニッシュ。
【請求項3】
前記車外ガーニッシュ部と前記車内ガーニッシュ部は一体に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ガーニッシュ。
【請求項4】
前記パネル対向面と前記内装面の間には、前記パネル対向面に対し車室内側に突出して前記開口部と嵌合可能な段差部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ガーニッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の車体パネルに取り付けられる車両用ガーニッシュに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体パネルに取り付けられる車両用ガーニッシュとして、車体外側に臨む車外ガーニッシュ部と、車室内側に臨む車内ガーニッシュ部が一体構造とされたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の車両用ガーニッシュは、ドアパネルの下縁に取り付けられるドア保護用のガーニッシュであり、ドアパネルの下縁の車外側面に取り付けられる車外ガーニッシュ部とドアパネルの下縁の車内側面に取り付けられる車内ガーニッシュ部とが、薄肉ヒンジ部を介して一体に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5105814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の車両用ガーニッシュはドアパネルの下縁部に取り付けられるものであるが、例えば、車体パネルのうちの標準車両のリヤクォータガラスが取り付けられる開口部に、リヤクォータガラスに代えてガーニッシュを取り付けるときのように、車体パネルの開口部に、その開口部を閉塞するようにガーニッシュを取り付ける場合がある。
このような場合、特許文献1に記載の車両用ガーニッシュのように、車外ガーニッシュ部を車体パネルの車外側面に取り付け、車内ガーニッシュ部を車体パネルの車室内側面に取り付けるようにすると、車内ガーニッシュ部の車室内方向の占有スペースが大きくなり、車室内の有効スペースが圧迫されてしまう。
【0006】
そこでこの発明は、車内ガーニッシュ部の車室内方向のスペース占有量を抑制しつつ、車体パネルの開口部の周縁に当該開口部を閉塞するように取り付けることのできる車両用ガーニッシュを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る車両用ガーニッシュでは、上記課題を解決するために以下の構成を採用した。
請求項1に係る発明は、車体外側に臨む車外ガーニッシュ部(例えば、実施形態のアウタガーニッシュ8)と、車室内側に臨む車内ガーニッシュ部(例えば、実施形態のインナガーニッシュ9,ブラケット10)と、を備え、車体パネル(例えば、実施形態の車体パネル5)に形成された開口部(例えば、実施形態の開口部6)の周縁に当該開口部を閉塞するように取り付けられる車両用ガーニッシュであって、前記車内ガーニッシュ部は、前記車体パネルの開口部の車外側の開口縁に対向するパネル対向面(例えば、実施形態のパネル対向面14)と、前記開口部を通して車室内側に臨む内装面(例えば、実施形態の内装面13)と、を有し、前記車外ガーニッシュ部は、前記車内ガーニッシュ部の車外側に設けられていることを特徴とするものである。
この発明の場合、車内ガーニッシュ部のパネル対向面が車体パネルの開口部の車外側の開口縁に対向するように形成されているため、車内ガーニッシュ部の内装面よりも外周側部分が車体パネルの開口部の車室内側領域に位置されないようになる。このため、車内ガーニッシュ部の車室内方向の占有スペースを抑制したまま、車両用ガーニッシュによって車体パネルの開口部を閉塞することが可能になる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る車両用ガーニッシュにおいて、前記車内ガーニッシュ部の前記内装面には、車室内側において物品を係止可能な物品係止部(例えば、実施形態の係止フック21)が設けられていることを特徴とするものである。
この構成により、車室内において、内装面に設けられた物品係止部に、袋状の物品収納部材やその他の物品を係止することが可能になる。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る車両用ガーニッシュにおいて、前記車外ガーニッシュ部と前記車内ガーニッシュ部は一体に形成されていることを特徴とするものである。
この場合、車両用ガーニッシュの構成部品が削減されて低コストでの製造が可能になるとともに、車体パネルに複数部品を取り付ける必要がないことから、車体パネルに対する組み付け作業も容易になる。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に係る車両用ガーニッシュにおいて、前記パネル対向面と前記内装面の間には、前記パネル対向面に対し車室内側に突出して前記開口部と嵌合可能な段差部(例えば、実施形態の段差部31)が設けられていることを特徴とするものである。
この場合、車内ガーニッシュ部の段差部を車体パネルの開口部に車外側から嵌合することにより、車両用ガーニッシュを安定して車体パネルに取り付けることが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、車内ガーニッシュ部が、車体パネルの開口部の車外側の開口縁に対向するパネル対向面と、開口部を通して車室内側に臨む内装面と、を有し、車内ガーニッシュ部の車外側に車外ガーニッシュ部が設けられていることから、車内ガーニッシュ部の車室内方向のスペース占有量を抑制しつつ、車体パネルの開口部を閉塞するように当該開口部に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の第1の実施形態の車両の車外側の斜視図である。
図2】この発明の第1の実施形態の車両の車室内の斜視図である。
図3】この発明の第1の実施形態の車両の図2のIII−III部分を断面にした斜視図である。
図4】この発明の第1の実施形態の車両用ガーニッシュの裏面図である。
図5】この発明の第1の実施形態の車両用ガーニッシュの図4のV−V断面に対応する部分を断面にした斜視図である。
図6】この発明の第1の実施形態の車両の車室内の斜視図である。
図7】この発明の第1の実施形態の変形例の車内ガーニッシュ部の斜視図である。
図8】この発明の第1の実施形態の変形例の車内ガーニッシュ部の斜視図である。
図9】この発明の第1の実施形態の変形例の車内ガーニッシュ部の斜視図である。
図10】この発明の第2の実施形態の車両の図2のIII−III断面に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面において、矢印FRは、車両の前方を指すものとし、矢印UPは、車両の上方を、矢印LHは、車両の左側方をそれぞれ指すものとする。
【0014】
最初に、図1図9に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、この実施形態の車両1を左側後部上方側から見た斜視図であり、図2は、車両1の左側後部内側を車室内側から見た斜視図である。
この実施形態の車両1は、車体側部にフロントドア2とリヤドア3を有し、車体後部に開閉自在なテールゲート4を有している。側部の車体パネル5のリヤドア3の後方側に隣接する位置には、縦長の略矩形状の開口部6が設けられ、その開口部6が車両用ガーニッシュ7によって閉塞されている。この実施形態の車両1は、標準車両のリヤクォータガラスの取り付けられる開口部6の周縁に、リヤクォータガラスに代えて車両用ガーニッシュ7が取り付けられている。開口部6は、厳密には矩形形状の下辺が前下がりに傾斜し、全体が若干の丸みを帯びた形状とされている。なお、図2中符号30は、車体パネル5の車室内側に取り付けられた室内トリムである。
【0015】
図3は、図2のIII−III部分を断面にした斜視図であり、図4は、車両用ガーニッシュ7を裏面側(車室内に配置される側)から見た図、図5は、図4のV−V断面に対応する部分を断面にした斜視図である。なお、図3においては、室内トリム30は図示都合上省略されている。
車両用ガーニッシュ7は、車体外側に臨むアウタガーニッシュ8と、その一部が車室内側に臨むインナガーニッシュ9と、インナガーニッシュ9の外周縁部に固定されアウタガーニッシュ8に締結固定される複数のブラケット10…と、を備えている。この実施形態では、アウタガーニッシュ8が車外ガーニッシュ部を構成し、インナガーニッシュ9と複数のブラケット10が、車内ガーニッシュ部を構成している。
【0016】
図3に示すように、開口部6を構成する車体パネル5は、車外側に配置されるアウタパネル5Aと、車体内側に配置されるインナパネル5Bとが、これらの間に閉断面を形成するように相互に接合されている。アウタパネル5Aとインナパネル5Bの開口部6の周縁にはフランジ部5Aa,5Baが設けられ、これらのフランジ部5Aa,5Baが相互に溶接固定されている。アウタパネル5Aのフランジ部5Aaは、アウタパネル5Aの車外側の一般面に対し開口部6の周域で凹状に窪むように形成されている。以下、この凹状に窪む領域については、「アウタパネル5Aの凹状部11」と呼ぶものとする。
【0017】
車両用ガーニッシュ7のインナガーニッシュ9は、図4に示すように、車体パネル5の開口部6の形状にほぼ合致する形状の平板状の金属板によって構成されている。ブラケット10は、図3に示すように、クランク状に屈曲した矩形状の金属板によって形成され、屈曲部10aを挟む一端側がインナガーニッシュ9の外周縁部の車外側面に溶接固定されている。ブラケット10の屈曲部10aを挟む他端側は、インナガーニッシュ9よりも車内側において外周方向外側に延出している。ブラケット10の他端の延出部には、締結用のボルト12が挿入されるボルト挿通孔10bが形成されている。
【0018】
ブラケット10は、インナガーニッシュ9の上辺部と下辺部に各二つ取り付けられ、インナガーニッシュ9の前辺部と後辺部に各三つ取り付けられている。これらのブラケット10のうちの、インナガーニッシュ9の上辺部に設置される二つと、インナガーニッシュ9の前辺部と後辺部の最下端部に設置される二つのものは、後に詳述するようにボルト12によってアウタガーニッシュ8と車体パネル5とに共締め固定される。そして、残余の六つのブラケット10は、ボルト12によってアウタガーニッシュ8にのみ締結固定される。
以下では、これらのブラケット10を区別する場合には、アウタガーニッシュ8と車体パネル5とに共締め固定されるものを「固定用ブラケット10A」と呼び、アウタガーニッシュ8にのみ締結固定されるものを「アッセンブリ用ブラケット10B」と呼ぶものとする。
【0019】
この実施形態では、インナガーニッシュ9の車室内方向を向く面のほぼ全域が、車体パネル5の開口部6を通して車室内側に臨む内装面13を構成し、複数のブラケット10の他端側の延出部のうちの、車体パネル5の開口部6の車外側の開口縁に対向する面がパネル対向面14を構成している。
【0020】
一方、車両用ガーニッシュ7のアウタガーニッシュ8は、樹脂材料によってインナガーニッシュ9とブラケット10を併せた外形よりも一回り大きく、かつインナガーニッシュ9とほぼ相似形状の外形に形成されている。アウタガーニッシュ8の外周縁部には、車室内方向に向かって突出する周縁リブ15が突設され、その周縁リブ15部分がアウタパネル5Aの凹状部11内に配置されるようになっている。そして、アウタガーニッシュ8の裏面のうちの、インナガーニッシュ9に取り付けられた各ブラケット10の延出部に対向する部分には、ねじ穴16aを有するボス部16が突設されている。なお、ボス部16の突出高さは全てが均一ではなく、アッセンブリ用ブラケット10Bに対応するボス部16の突出高さは、固定用ブラケット10Aに対応するボス部16の突出高さよりも低く設定されている。
【0021】
インナガーニッシュ9とアウタガーニッシュ8は、インナガーニッシュ9の複数のブラケット10の延出部を、アウタガーニッシュ8の対応するボス部16の端面に突き合わせ、その状態でアッセンブリ用ブラケット10Bを対応するボス部16にボルト12によって締結され、それによって両者が一体に組み付けられる。
車体パネル5のフランジ部5Aa,5Baには、固定用ブラケット10Aのボルト挿通孔10bに対応する複数の(四つの)ボルト挿通孔17が形成されている。この実施形態の車両用ガーニッシュ7は、フランジ部5Aa,5Baと固定用ブラケット10Aのボルト挿通孔17,10bにボルト12の軸部を挿入し、その状態でボルト12の先端部を対応するボス部16に締め込むことによって車体に取り付けられる。
【0022】
アウタガーニッシュ8の外表面には、その外周縁部と車体パネル5の車外側の一般面に対して、車外側に膨出する凸形状部18A,18Bが一体に形成されている。これらの凸形状部18A,18Bは、例えば、スキー板等の長尺の物品Sを車外側から立て掛ける際に、物品Sの上端側の側面を当接させるのに用いることができる。この実施形態では、凸形状部18A,18Bは上下に離間して二つ設けられている。
【0023】
また、図2に示すように、インナガーニッシュ9の内装面13のうちの、上部寄り領域の車体前後に離間した2箇所には、ねじ挿入孔19が形成されている。インナガーニッシュ9のねじ挿入孔19の車外側位置にはウェルドナット20が設置されている。この各ねじ挿入孔19には、物品係止部である図6に示す係止フック21のねじ軸(図示せず)が挿入される。各係止フック21は、そのねじ軸の先端部をウェルドナット20に締め込むことによってインナガーニッシュ9に取り付けられている。こうして、インナガーニッシュ9に取り付けられた係止フック21は、内装面13から車体パネル5の開口部6を通して車室内側に突出する。各係止フック21には、車室内側から袋状の収納部材や小物等の物品を直接吊り下げ支持することができる。
【0024】
図7図9は、第1の実施形態の変形例を示す図である。この変形例は、インナガーニッシュ9の内装面13に取り付けられる係止フック121の形状が異なっている。この変形例の係止フック121は、車体前後方向に長い大型のアーム状の部材であり、その基端側部分が前後のねじ挿入孔19(図2参照)とウェルドナット20(図2参照)に跨って取り付けられている。
この係止フック121は、図7に示すように、上面側に車体前後方向に沿って略水平に延出する係止面121aが形成され、その係止面121aの車室内側の端部にフック状の係止突起121bが上方に隆起して形成されている。
【0025】
この変形例の係止フック121には、例えば、図8に示すようなリュックサック状の物品収容バッグ22や、図9に示すような肩掛けカバン状の物品収容バッグ23を安定して吊下げ支持することができる。因みに、図8に示す物品収容バッグ22は、上端部に紐条の手提げ部22aが形成されており、その手提げ部22aを係止フック121に引っ掛け、その下面を係止面121a上で前後方向に沿わせることにより、係止フック121に安定的に支持されるようになっている。また、図9に示す物品収容バッグ23は、物品の収納開口を覆うカバー布23aに、係止フック121の断面形状に略合致する開口部23bが形成されており、カバー布23aを開いた状態で開口部23bを係止フック121に引っ掛け、その開口部23bの上辺部を係止面121a上で前後方向に沿わせることにより、係止フック121に安定的に支持されるようになっている。
【0026】
以上のように、この実施形態に係る車両用ガーニッシュ7は、インナガーニッシュ9の外周縁部に、車体パネル5の開口部6の車外側の開口縁に対向するパネル対向面14(ブラケット10)が設けられているため、開口部6を通して車室内側に臨む内装面13よりも外周側部分が開口部6よりも車室内側に位置されないことになる。このため、インナガーニッシュ9の取付部の車室内方向の占有スペースを抑制しつつ、車両用ガーニッシュ7によって車体パネル5の開口部6を閉塞することができる。
【0027】
また、この実施形態に係る車両用ガーニッシュ7は、インナガーニッシュ9の内装面13に、物品係止部である係止フック21や121が車室内側に突出して設けられているため、車室内の開口部6の周縁の比較的広いスペースで袋状の物品収納部やその他の物品を吊下げ支持することができる。
【0028】
さらに、この実施形態に係る車両用ガーニッシュ7においては、インナガーニッシュ9の車外側に取り付けられるアウタガーニッシュ8の外表面に、スキー板等の長尺な物品Sを車外側から立て掛ける際に、その物品Sの先端側の側面を支持できる凸形状部18A,18Bが設けられているため、物品Sを車体パネル5の外表面に接触させることなく、物品Sの姿勢を安定的に保持することができる。
【0029】
また、この実施形態の車両用ガーニッシュ7は、インナガーニッシュ9に固定用ブラケット10Aとは別にアッセンブリ用ブラケット10Bが取り付けられ、そのアッセンブリ用ブラケット10Bをアウタガーニッシュ8のボス部16に予めボルト締結できる構造とされているため、インナガーニッシュ9とアウタガーニッシュ8を予め組み付けた状態において搬送や車体に対する組み付けを容易に行うことができる、という利点がある。
【0030】
つづいて、図10に示す第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態においては、上述した第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略するものとする。
この実施形態の車両用ガーニッシュ207は、基本的な構成は第1の実施形態とほぼ同様であるが、金属板からなるインナガーニッシュ209のサイズと外形が第1の実施形態のものと異なっている。
【0031】
即ち、この実施形態のインナガーニッシュ209は、車体パネル5の開口部6よりも一回り大きく、かつ開口部6とほぼ相似形状に形成され、開口部6よりも外周側に位置される周縁部領域209aが、ブラケット10の延出部とともにパネル対向面214を構成している。そして、インナガーニッシュ209のパネル対向面214(周縁部領域209a)よりも内側領域は、開口部6を介して車室内に臨む内装面213を構成している。また、パネル対向面214の一部を構成するインナガーニッシュ209の周縁部領域209aと内装面213との間には、パネル対向面214に対し車室内側に突出して開口部6と嵌合可能な段差部31が設けられている。つまり、インナガーニッシュ209の内装面213は、段差部31の高さ分だけ周縁部領域209aに対して車室内方向に突出している。
【0032】
この実施形態の車両用ガーニッシュ207は、第1の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができるうえ、インナガーニッシュ209の周縁部領域209aと内装面213の間に開口部6と嵌合可能な段差部31が設けられていることから、車両用ガーニッシュ207の車体取付時に、段差部31を車体パネル5の開口部6に車外側から嵌合することにより、車両用ガーニッシュ207を安定して車体パネル5に取り付けることができる、という利点がある。
【0033】
なお、第1の実施形態においては、インナガーニッシュ9に物品係止部である係止フック21,121をねじ止めによって固定しているが、金属製のインナガーニッシュ9の内装面13自体をマグネット磁着面とし、そのマグネット磁着面に、マグネットを内蔵した物品保持部材(例えば、収納棚等)や物品自体を磁着して係止するようにしても良い。この場合、マグネット磁着面が物品係止部を構成する。
【0034】
さらに、インナガーニッシュ9を樹脂材料等によって形成する場合には、インナガーニッシュ9の一部に金属部材(マグネット磁着面)を部分的に埋め込むようにしても良い。ただし、上記の実施形態のようにインナガーニッシュ9全体を金属板によって形成して、内装面13の全域をマグネット磁着面とした場合には、インナガーニッシュ9に金属部材を取り付ける加工を施す必要がない分、製造が容易になるという利点がある。
また、ここではインナガーニッシュ9側の一部または全部を金属部材によって形成し、物品保持部材や物品自体にマグネットを内蔵した例について説明したが、逆に、インナガーニッシュ9にマグネットを内蔵し、インナガーニッシュ9に係止させる物品保持部材や物品自体に金属部材を設けるようにしても良い。この場合、マグネットを内蔵したインナガーニッシュ9側の面がマグネット磁着面となる。
【0035】
また、第1,第2の実施形態においては、車外ガーニッシュ部と車内ガーニッシュ部が、別部品であるアウタガーニッシュ8とインナガーニッシュ9(209)とブラケット10によって構成されているが、車外ガーニッシュ部と車内ガーニッシュ部は樹脂材料等によって一体に形成することも可能である。
この場合、車両用ガーニッシュの構成部品が削減されて低コストでの製造が可能になるとともに、車体パネル5に複数部品を取り付ける必要がないことから、車体パネル5に対する組み付け作業も容易になる。
【0036】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、以上では、車体後部側面の開口部に取り付けられる車両用ガーニッシュについて説明したが、車両用ガーニッシュは、車体後部側面の開口部に限らず、他の部位の車体パネルの開口部に取り付けられるものであっても良い。また、車両用ガーニッシュの各部の材質は上述したものに限らず、全体を金属で形成することも可能である。さらに、上記の実施形態では、インナガーニッシュの外周縁部に別体のブラケットを取り付けるようにしているが、アウタガーニッシュや車体パネルに対する取付部をインナガーニッシュに一体に形成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0037】
5…車体パネル
6…開口部
7,207…車両用ガーニッシュ
8…アウタガーニッシュ(車外ガーニッシュ部)
9,209…インナガーニッシュ(車内ガーニッシュ部)
10…ブラケット(車内ガーニッシュ部)
13,213…内装面
14,214…パネル対向面
21,121…係止フック(物品係止部)
31…段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10