特開2015-113078(P2015-113078A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-113078(P2015-113078A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】タイヤ・ホイール組立体
(51)【国際特許分類】
   B60B 9/00 20060101AFI20150526BHJP
   B60K 7/00 20060101ALI20150526BHJP
   B60C 7/00 20060101ALI20150526BHJP
【FI】
   B60B9/00
   B60K7/00
   B60C7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-258384(P2013-258384)
(22)【出願日】2013年12月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】小池 明大
【テーマコード(参考)】
3D235
【Fターム(参考)】
3D235BB25
3D235BB27
3D235BB45
3D235CC42
3D235FF34
3D235FF35
3D235GA03
3D235GA13
3D235GA64
3D235GB23
3D235GB32
3D235GB34
3D235HH04
3D235HH07
(57)【要約】
【課題】冷却効果に優れたタイヤ・ホイール組立体を提供する。
【解決手段】ホイール14とトレッド部16を含むタイヤ18との組立体であって、内側筒部20と、その外周を取り囲む外側筒部22と、両筒部をつなぐ連結部24と、を備えるタイヤ・ホイール組立体10において、内側筒部20に貫通穴40を設け、連結部24を、内側筒部20の幅方向Wに対して傾斜して延びる傾斜スポーク36で構成して、内側筒部と外側筒部の間に、ホイール14の内側から貫通穴40を通って流入した空気Kを傾斜スポーク36に沿って幅方向外方に排出するための空気流路となる流路部48を設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールとトレッド部を含むタイヤとの組立体であって、
円筒形状の内側筒部と、前記内側筒部の外周を取り囲む円筒形状の外側筒部と、前記内側筒部と前記外側筒部をつなぐ連結部と、を備え、
前記内側筒部が、貫通穴を備え、
前記連結部が、前記内側筒部の幅方向に対して傾斜して延びる傾斜スポークを含み、前記内側筒部と前記外側筒部との間に、前記ホイールの内側から前記貫通穴を通って流入した空気を前記傾斜スポークに沿って幅方向外方に排出するための空気流路となる流路部が設けられた
ことを特徴とするタイヤ・ホイール組立体。
【請求項2】
前記タイヤが非空気入りタイヤである請求項1記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項3】
前記貫通穴が前記内側筒部の幅方向中央部に設けられ、前記傾斜スポークが、前記貫通穴が設けられた幅方向中央部から両端部に向かって周方向一方側に傾斜して設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項4】
前記傾斜スポークが、前記貫通穴の両側に対をなして設けられ、該一対の傾斜スポークが、前記貫通穴に近接した幅方向中央部で間隙をおいて配置され、かつそれぞれ前記中央部から端部に向かって周方向一方側に傾斜して設けられたことを特徴とする請求項3記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項5】
前記タイヤは回転方向が指定されたタイヤであり、前記傾斜スポークは回転方向後方ほど断面形状が幅狭に形成されたことを特徴とする請求項4記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項6】
前記傾斜スポークの断面形状が翼型をなし、翼型中心線が回転方向後方側に膨らみを持つ湾曲状に形成されたことを特徴とする請求項5記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項7】
前記タイヤは回転方向が指定されたタイヤであり、前記傾斜スポークが、タイヤ径方向に対して回転方向後方に傾斜して設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項8】
前記内側筒部が、前記ホイールのリムと、前記リムに外嵌する取付筒部とからなり、
前記タイヤが、前記取付筒部と、前記外側筒部と、前記連結部と、前記外側筒部の外周面に設けられたゴム弾性体からなる前記トレッド部とを含む非空気入りタイヤであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項9】
前記ホイールは内側にモータが組み込まれるものであり、前記内側筒部は前記モータの外周を取り囲むものであり、前記モータを冷却するための空気流路となる第1流路部が、前記内側筒部と前記モータの外周面との間に当該外周面を取り巻くように設けられ、前記貫通孔が前記第1流路部に開口して設けられたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤ・ホイール組立体。
【請求項10】
前記内側筒部が、前記ホイールのリムと、前記リムに外嵌する取付筒部とからなり、前記リムが間隙をおいて前記モータの外周面を取り囲むことで、前記第1流路部が設けられたことを特徴とする請求項9記載のタイヤ・ホイール組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ・ホイール組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の動力源であるモータ(電動機)は、車両に1つのモータを積むオンボード方式と、四輪の各輪にモータを組み込むインホイールモータ方式がある。インホイールモータ方式は、直接車輪にトルクを伝えるため応答性が高く、また車両制御の発展性が高いというメリットがある。その一方で、モータの発する熱がホイールの内部にこもりやすいというデメリットがある。
【0003】
インホイールモータ方式に用いられるタイヤ・ホイール組立体として、特許文献1には、インホイールモータの内側に空気を通して、モータ内部の発熱部を冷却することが開示されている。しかしながら、この場合、空気を流通させるために送風機を用いる必要がある。また、発熱部で加熱された空気はホイール内に排出されるため、インホイールモータの冷却効率は必ずしも高いとは言えない。
【0004】
特許文献2及び3には、スポークとして金属ばね部材を備えた非空気入りタイヤを用いてタイヤ・ホイール組立体を構成することにより、インホイールモータの発する熱を金属ばね部材で放熱することが開示されている。しかしながら、かかる放熱のみでは、インホイールモータの冷却効率が高いとは言えない。
【0005】
一方、特許文献4には、ブレーキ熱によって加熱されるホイールを冷却するために、非空気入りタイヤとホイールの組立体において、ホイールのリムに貫通穴を設けるとともに、非空気入りタイヤの内周輪に貫通穴を設けて、ホイール冷却効果を高めることが開示されている。
【0006】
特許文献5には、外周輪と内周輪の間を複数のリブで連結した非空気入りタイヤにおいて、該リブをタイヤ幅方向に対して傾斜させるとともにタイヤ径方向に対して傾斜させることが開示されている。しかしながら、この文献は、タイヤ自体を冷却するためにタイヤに外気を取り込むことを目的としたものであり、ホイール内側からの排気経路を設ける点は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−015576号公報
【特許文献2】特開2012−187892号公報
【特許文献3】特開2012−187893号公報
【特許文献4】特開2008−049943号公報
【特許文献5】特開平3−189202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のようにタイヤ・ホイール組立体においては、ホイールの内側に組み込まれるモータの発する熱やブレーキ熱がホイール内部にこもらないように冷却効果を高めることが求められる。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、冷却効果に優れたタイヤ・ホイール組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るタイヤ・ホイール組立体は、ホイールとトレッド部を含むタイヤとの組立体であって、円筒形状の内側筒部と、前記内側筒部の外周を取り囲む円筒形状の外側筒部と、前記内側筒部と前記外側筒部をつなぐ連結部と、を備え、前記内側筒部が貫通穴を備え、前記連結部が、前記内側筒部の幅方向に対して傾斜して延びる傾斜スポークを含み、前記内側筒部と前記外側筒部との間に、前記ホイールの内側から前記貫通穴を通って流入した空気を前記傾斜スポークに沿って幅方向外方に排出するための空気流路となる流路部が設けられたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ホイールの内側で加熱された空気が、回転による遠心力により、内側筒部の貫通穴を通って、内側筒部と外側筒部の間の流路部に導かれ、該流路部において傾斜スポークに沿って幅方向外方に排出される。このようにホイールの内側から径方向外方への空気の流路を確保することができるので、タイヤ回転時における冷却効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体の側面図。
図2図1のII−II線断面図。
図3】同実施形態における内側筒部の要部平面図。
図4】第2実施形態における内側筒部の要部平面図。
図5】第3実施形態における内側筒部の要部平面図。
図6】第4実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体の側面図。
図7】第5実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0014】
図1及び図2は、第1実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10を示したものである。本実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10は、インホイールモータ方式の電気自動車に用いられるものであり、内側にモータ(インホイールモータ)12が組み込まれるホイール14と、踏面部としてのトレッド部16を含むタイヤ18とを備えてなる。
【0015】
タイヤ・ホイール組立体10は、モータ12の外周を取り囲む円筒形状の内側筒部20と、該内側筒部20の外周を取り囲む円筒形状の外側筒部22と、これら内側筒部20と外側筒部22をつなぐ連結部24とを備える。この例では、内側筒部20は、ホイール14のリム26と、該リム26に外嵌するタイヤ18の取付筒部28とからなる、内外二層構造をなしている。
【0016】
詳細には、ホイール14は、金属等からなる剛体であって、円筒形状のリム26と、リム26の軸方向一端部に設けられたディスク30とを備え、該ディスク30にモータ12が固定されている。モータ12としては、ロータがステータの外側に配置されるアウターロータ型でもよく、ロータがステータの内側に配置されるインナーロータ型でもよい。いずれにしても、ロータ側が動力伝達部32を介してディスク30に連結され、ステータ側がサスペンションリンク34を介して車体側に固定されており、ロータの回転によりタイヤ・ホイール組立体10が回転するように構成されている。
【0017】
タイヤ16は、非空気入りタイヤであり、取付筒部28と、外側筒部22と、連結部24と、トレッド部16とを備えてなる。取付筒部28と外側筒部22と連結部24は、金属や樹脂等により一体に形成されている。取付筒部28は、リム26の外周面に外嵌して取り付けられる円筒形状をなす。外側筒部22は、取付筒部28の周りを同軸にかつ間隙をおいて取り囲む。トレッド部16は、外側筒部22の外周面に設けられたゴム弾性体からなる。トレッド部16としては、従来の空気入りタイヤのトレッドゴムと同様のものを用いることができ、図示しないが、通常は、表面に従来の空気入りタイヤと同様のトレッドパターンが設けられる。なお、トレッド部16にはベルトなどの補強層を埋設してもよく、また埋設しなくてもよい。本実施形態では、タイヤ18は回転方向Rが指定されたタイヤであり、該回転方向Rが車両前進時の回転方向となるように車両に装着される。
【0018】
上記構成において、本実施形態では、モータ12を冷却するために次の構成が採用されている。
【0019】
まず、内側筒部20とモータ12の外周面12Aとの間には、モータ12を冷却するための空気流路となる第1流路部38が、モータ12の外周面12Aを取り巻くように設けられている。第1流路部38は、ホイール14のリム26が間隙をおいてモータ12の外周面12Aを取り囲むことにより、モータ12の全周にわたって設けられている。
【0020】
また、内側筒部20には、第1流路部38に開口する貫通穴40が設けられている。貫通穴40は、内側筒部20の周壁に設けられて、その内周側と外周側を連通させる穴である。詳細には、ホイール14のリム26とタイヤ18の取付筒部28にそれぞれ貫通穴40A,40Bが設けられており、リム26と貫通穴40Aと取付筒部28の貫通穴40Bが少なくとも一部において重なることにより連通するように設けられている。
【0021】
貫通穴40は、内側筒部20の幅方向中央部に設けられており、この例では幅方向中央部に限定して設けられている。貫通穴40は、図3に示すように丸穴状に形成されている。貫通穴40は、図1に示すように周方向に間隔をおいて複数設けられており、この例では周方向において等間隔に配置されている。
【0022】
そして、本実施形態では、連結部24が、図3に示すように内側筒部20の幅方向Wに対して傾斜して延びる傾斜スポーク36により構成されている。傾斜スポーク36は、外側筒部22を内側筒部20に対して支持するように内側筒部20と外側筒部22との間を径方向Zに延びる壁部であり、図1に示すように周方向に間隔をおいて複数配設され、この例では周方向において等間隔に配置されている。
【0023】
図3に示すように、傾斜スポーク36は、貫通穴40が設けられた内側筒部20の幅方向中央部から両端部に向かって周方向一方側に傾斜して設けられている。この例では、傾斜スポーク36は、貫通穴40の左右両側に対をなして設けられ、該一対の傾斜スポーク36,36が、貫通穴40に近接した幅方向中央部で間隙42をおいて配置され、かつそれぞれ上記幅方向中央部から端部に向かって周方向一方側(回転方向R後方)に傾斜して設けられている。すなわち、一対の傾斜スポーク36,36は、貫通穴40に対しその回転方向R後方(回転方向Rの反対向き)に近接されて配置され、幅方向Wに間隙42が確保されるように互いに分離して設けられている。また、該一対の傾斜スポーク36,36は、貫通穴40の回転方向R後方の近傍位置から、それぞれ内側筒部20の端部まで延設されており、幅方向外方ほど回転方向R後方に位置するように、幅方向Wに対して傾斜して設けられている。一対の傾斜スポーク36,36は、複数の貫通穴40の中心を結ぶ周方向線に関して左右対称に設けられている。
【0024】
傾斜スポーク36は、この例では、図3に示すように、回転方向R後方ほど断面形状が幅狭に形成されており、より詳細には、傾斜スポーク36の断面形状は、前縁44が丸く後縁45が細い翼型をなしている。傾斜スポーク36は、翼型の前縁44が内側筒部20の幅方向中央部において貫通穴40の近傍に位置し、翼型の後縁45が内側筒部20の端部に位置しており、前縁44が後縁45よりも回転方向R前方に位置している。従って、傾斜スポーク36は、前縁44のある幅方向中央部から後縁45のある端部に向かって厚みが薄くなるように形成されている。
【0025】
また、この例では、傾斜スポーク36の断面形状は、翼型中心線(翼型の上面と下面との中点を順々に結んで得られる曲線)46が回転方向R後方側に膨らみを持つ湾曲状に形成されている。すなわち、翼型中心線46が、前縁44と後縁45を結ぶ翼弦47と一致しておらず、翼弦47に対して回転方向R後方に向かって膨らんだ形状となっている。
【0026】
傾斜スポーク36の幅方向Wに対する傾斜角度θは、特に限定されず、例えば10°〜70°の範囲内で設定してもよく、あるいはまた20°〜60°の範囲内で設定してもよい。ここで、傾斜角度θは、図3に示す翼型の場合、幅方向Wに対する翼弦47のなす角度である。
【0027】
連結部24を上記のような傾斜スポーク36で構成したことにより、内側筒部20と外側筒部22との間には、貫通穴40から流入した空気Kを傾斜スポーク36に沿って幅方向外方に排出するための空気流路となる第2流路部48が設けられている。これにより、ホイール14の内側のモータ12が配設された位置から、その外周を取り囲む内側筒部20を経て、タイヤ18の傾斜スポーク36間を通り幅方向外側に繋がる空気流路が形成されている。
【0028】
上記のように第2流路部48は傾斜スポーク36の周りに形成されており、すなわち、内側筒部20の外周面のうち、傾斜スポーク36が設けられていない部分が第2流路部48となる。本実施形態では、第2流路部48の断面積を大きく確保するために、複数の傾斜スポーク36の断面積の合計が、内側筒部20の外周面における第2流路部48の断面積よりも小さく設定されている。そのため、第2流路部48での空気の流動効果を高めることができる。
【0029】
以上よりなる本実施形態のタイヤ・ホイール組立体10であると、図2に示すように、インホイールモータ12の外周面12Aを取り巻く第1流路部38において、該モータ12により加熱された空気Kは、回転による遠心力により、内側筒部20の貫通穴40を通って、内側筒部20と外側筒部22の間の第2流路部48に導かれ、第2流路部48において傾斜スポーク36にガイドされて幅方向外方に排出される。このようにモータ12の周りから放射方向に空冷のための流路を設けたことにより、図2に示すように、モータ12に対してその側方から外気が流れ込み、モータ12で加熱された空気Kが遠心力で放射方向に流れるよう制御することができる。そのため、タイヤ回転時にモータ12を冷却するための空気流量を上げることができ、インホイールモータ12の冷却効果を高めることができる。
【0030】
また、本実施形態であると、連結部24を傾斜スポーク36で構成したことにより、図3に示すように、タイヤ18の回転により発生する周方向における空気K’の流れを、スムースに幅方向外方に導くことができる。すなわち、幅方向Wへの気流を発生させることができる。そのため、回転時の遠心力によって貫通穴40から第2流路部48に流れ込んできた空気Kが、上記空気K’の流れにのって、幅方向外方に導かれ、タイヤ18の外側に排出することができる。
【0031】
しかも、本実施形態であると、貫通穴40の両側に上記一対の傾斜スポーク36,36を設け、両スポーク間に間隙42を形成したので、傾斜スポーク36の前面50側に沿う流れだけでなく、間隙42を通って後面52側に回り込むような空気K’の流れを生じさせることができる。そのため、貫通穴40から出た空気Kを、より効果的に幅方向外方に排気することができる。
【0032】
更に、本実施形態であると、傾斜スポーク36の断面形状が湾曲した翼型をなしているので、幅方向Wへの空気の流れを促進することができ、よりスムースな排気が可能となってインホイールモータ12の冷却効果を高めることができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、周上に均等配置された複数の貫通穴40に対してそれぞれ一対の傾斜スポーク36,36を設けたので、タイヤ18の全周から効率良く排気することができ、インホイールモータ12の冷却効果を高めることができる。
【0034】
本実施形態によれば、また、タイヤ18を非空気入りタイヤとしたことにより、インホイールモータ12を空冷するための空気流路の確保が容易であるだけでなく、タイヤ18の剛性バランスの制御が容易である。特に、連結部24を上記のような傾斜スポーク36により構成しており、傾斜により周方向成分を持たせることができるので、タイヤ径方向の剛性増加を抑えつつ、タイヤ周方向の剛性を高めることができる。従って、乗り心地性能の悪化を抑えながら、トルクの応答性を高めることができる。
【0035】
図4は、第2実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体における傾斜スポーク36Aと貫通穴40との関係を示したものである。この例では、傾斜スポーク36Aの断面形状が翼型ではあるものの、湾曲せずに形成されており、この点で第1実施形態とは異なる。湾曲させていないので、幅方向Wへの空気の流れを促進する効果は第1実施形態に対して劣るものの、それ以外の点では、第1実施形態と同様に、貫通穴40から出た空気Kを効果的に幅方向外方に排気することができ、インホイールモータ12の冷却効果を高めることができる。第2実施形態について、その他の構成及び作用効果は第1実施形態と同じであり、説明は省略する。
【0036】
図5は、第3実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体における傾斜スポーク36Bと貫通穴40との位置関係を示したものである。この例では、傾斜スポーク36Bは、貫通穴40の両側で分離して設けられておらず、両側の傾斜スポークが内側筒部20の幅方向中央部で連結されたような平面視V字状に形成されている。そして、このV字の頂部54に対し、その回転方向R前方側に近接させて貫通穴40が設けられている。このように連結部24は、間隙42を介して左右に分離していない傾斜スポーク36Bで構成してもよい。
【0037】
図6は、第4実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10Aを示したものである。この例では、傾斜スポークをタイヤ径方向に対して回転方向後方に傾斜させて設けた点が第1実施形態とは異なる。
【0038】
すなわち、この実施形態において、傾斜スポーク36Cは、タイヤ径方向Zに対して傾斜して設けられており、内側筒部20から外側筒部22にかけて径方向Z外方ほどタイヤ回転方向R後方に位置するように、回転方向R後方に傾斜して設けられている。傾斜スポーク36Cのタイヤ周方向Zに対する傾斜角度δは、特に限定されず、例えば10°〜80°の範囲内で設定してもよく、あるいはまた20°〜70°の範囲内で設定してもよい。
【0039】
また、この例では、傾斜スポーク36Cは、湾曲しながらタイヤ径方向Zに対して傾斜しており、図6に示すように回転方向R前方側に膨らみを持つ湾曲状に形成されている。
【0040】
本実施形態によれば、傾斜スポーク36Cを回転方向R後方に傾斜させて設けたので、タイヤ周方向における空気の流れをスムースにタイヤ径方向Z外方に向けてガイドすることができる。そのため、タイヤ回転時に貫通穴40から第2流路部48に流入した空気Kが、タイヤ18の回転により発生する周方向における空気K’の流れにのって流動する際に(図3参照)、その流れを図6に示すように径方向外方Z側にも導いて、傾斜スポーク36Cの径方向全体で空気のガイド効果を発揮させることができ、幅方向外方への排出効果を高めることができる。第4実施形態について、その他の構成及び作用効果は第1実施形態と同じであり、説明は省略する。
【0041】
図7は、第5実施形態に係るタイヤ・ホイール組立体10Bを示したものである。この例では、タイヤ18の内側筒部20(取付筒部28)と外側筒部22との間に、中間筒部60を設けた点で第1実施形態とは異なる。
【0042】
中間筒部60は、内側筒部20の外周を同軸に取り囲む円筒形状をなしており、内側筒部20と外側筒部22の径方向における中間位置に配設されている。このように中間筒部60を設けることにより、剛性を高めることができる。
【0043】
また、この例では、連結部24としての傾斜スポーク36が、内側筒部20と中間筒部60との間だけでなく、中間筒部60と外側筒部22との間にも設けられている。すなわち、内側筒部20と中間筒部60を連結する内側傾斜スポーク36Xと、中間筒部60と外側筒部22を連結する外側傾斜スポーク36Yが設けられている。そして、中間筒部60には、その内側の第2流路部48に対して開口する貫通穴62が設けられている。貫通穴62を設けることで、中間筒部60の径方向外側にも排気のための空気流路となる第2流路部が設けられている。
【0044】
このように中間筒部60を設けた場合にも、その内外に傾斜スポーク36X,36Yを設けるとともに、貫通穴62を設けたことにより、モータ12により加熱された空気を、中間筒部60の内周側でも外周側でも効果的に排気することができる。
【0045】
なお、図7の例では、中間筒部46の内周側と外周側の双方に傾斜スポーク36X,36Yを設けたが、いずれか一方側のみに設けてもよい。その場合、例えば、他方側においては一般的なスポークにより連結部を構成してもよい。いずれか一方側のみに設ける場合、中間筒部60の内周側、即ち、内側筒部20と中間筒部60の間に設けることが好適である。その場合、中間筒部60に貫通穴62は不要である。第5実施形態について、その他の構成及び作用効果は第1実施形態と同じであり、説明は省略する。
【0046】
なお、以上の実施形態では、連結部24を傾斜スポークのみで構成したが、傾斜していない幅方向に延びるスポークや、周方向に延びるスポークを、追加的に設けてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、内側筒部20を内外二層構造として、ここにホイール14とタイヤ18の境界を設けたが、内側筒部は一層構造でもよい。その場合、タイヤとホイールは単一部材として一体に形成されてもよく、あるいはまた、外側筒部までをホイールとして、その外周にトレッド部を含むタイヤを取り付けるように構成してもよい。また、タイヤとしては、上記の非空気入りタイヤに限定されず、空気入りタイヤを用いることもできる。空気入りタイヤを用いる場合、例えば、外側筒部をホイールのリムとして、その外周に空気入りタイヤを装着するように構成すればよい。
【0048】
また、上記実施形態では、インホイールモータ方式のタイヤ・ホイール組立体について説明したが、モータを内蔵しないタイヤ・ホイール組立体に適用してもよい。その場合でも、一般にホイール内にはブレーキが組み込まれているので、ブレーキ熱により加熱された空気を排気することができ、冷却効果を高めることができる。このようにホイール内に組み込まれて熱源となるものとしてはモータやブレーキ等があり、本実施形態による冷却が効果的である。
【0049】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
10,10A,10B…タイヤ・ホイール組立体、12…モータ、12A…外周面、
14…ホイール、16…トレッド部、18…タイヤ、20…内側筒部、
22…外側筒部、26…リム、28…取付筒部、
36,36A〜C,36X,36Y…傾斜スポーク、38…第1流路部、
40…貫通穴、42…間隙、46…翼型中心線、48…第2流路部、
R…回転方向、W…幅方向、Z…タイヤ径方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7