【解決手段】本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)40〜80質量%と、エチレン・αオレフィン共重合体(B)5〜30質量%と、無機充填剤(C)15〜30質量%とが混合され、ポリプロピレン系樹脂(A)は、極限粘度値が4.0dl/g未満のブロックポリプロピレン(A−1)を含み、エチレン・αオレフィン共重合体(B)は、質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.7〜3.5で、110〜125℃の間に融解ピークを有するエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)を含む。
下記のポリプロピレン系樹脂(A)40〜80質量%と、下記のエチレン・αオレフィン共重合体(B)5〜30質量%と、無機充填剤(C)15〜30質量%とが混合され、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記エチレン・αオレフィン共重合体(B)と前記無機充填剤(C)との合計が100質量%であるポリプロピレン系樹脂組成物。
ポリプロピレン系樹脂(A):結晶性ポリプロピレン(A−1a)30〜95質量%とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)5〜70質量%とからなるブロックポリプロピレン(A−1)を含み、該ブロックポリプロピレン(A−1)は、25℃でのキシレン可溶分の極限粘度値が4.0dl/g未満であり、前記エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)中のプロピレン単位が60〜85質量%である。
エチレン・αオレフィン共重合体(B):エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)を30〜100質量%含み、該エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)は、質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.7〜3.5であり、示差走査熱量測定装置を用いて示差走査熱量測定した際に110〜125℃の間に融解エネルギー△Hが10〜100J/gの融解ピークを有する。
前記ポリプロピレン系樹脂(A)が、結晶性ポリプロピレン(A−2a)30〜95質量%とエチレン・1−ブテン共重合体(A−2b)5〜70質量%とからなるブロックポリプロピレン(A−2)をさらに含み、
該ブロックポリプロピレン(A−2)は、25℃でのキシレン可溶分の極限粘度値が2.0〜2.5dl/gであり、前記エチレン・ブテン共重合体(A−2b)中のブテン単位が15〜35質量%である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
前記ポリプロピレン系樹脂(A)が、結晶性ポリプロピレン(A−3a)30〜95質量%とエチレン・プロピレン共重合体(A−3b)5〜70質量%とからなるブロックポリプロピレン(A−3)をさらに含み、
前記ブロックポリプロピレン(A−3)は、25℃でのキシレン可溶分の極限粘度値が4.0〜11.0dl/gであり、前記エチレン・プロピレン共重合体(A−3b)中のプロピレン単位が60〜75質量%である、請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
前記ポリプロピレン系樹脂(A)が、結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)をさらに含み、結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)が、JIS K6921−2に準拠し、温度230℃、荷重21.6Nの条件で測定したメルトフローレートが500〜2000g/10分の高流動の結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4−1)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
前記エチレン・αオレフィン共重合体(B)が、前記エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)以外のエチレン・αオレフィン共重合体(B−2)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<ポリプロピレン系樹脂組成物>
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン・αオレフィン共重合体(B)と無機充填剤(C)とが混合されたものである。
【0008】
(ポリプロピレン系樹脂(A))
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)は、少なくとも、後述するブロックポリプロピレン(A−1)を含む。また、本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)は、後述するブロックポリプロピレン(A−2)、ブロックポリプロピレン(A−3)、結晶性ポリプロピレン系単独重合体(A−4)を含んでもよい。
【0009】
[ブロックポリプロピレン(A−1)]
ブロックポリプロピレン(A−1)は、結晶性ポリプロピレン(A−1a)とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)とからなるものである。
ブロックポリプロピレン(A−1)は、原料モノマーを重合して結晶性ポリプロピレン(A−1a)を得た後、その結晶性ポリプロピレン(A−1a)の存在下で、エチレンとプロピレンとを共重合して得られる。すなわち、ブロックポリプロピレン(A−1)は、結晶性ポリプロピレン(A−1a)とエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)との混合物である。ブロックポリプロピレン(A−1)においては、結晶性ポリプロピレン(A−1a)がマトリクス、エチレン・プロピレン共重合体(A−1b)がドメインとなるモルフォロジーを形成する。
【0010】
ブロックポリプロピレン(A−1)においては、結晶性ポリプロピレン(A−1a)の含有割合が30〜95質量%で且つエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)の含有割合が5〜70質量%であることが好ましい。ブロックポリプロピレン(A−1)における結晶性ポリプロピレン(A−1a)及びエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)の含有割合が前記範囲であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性をより向上させることができる。
また、ブロックポリプロピレン(A−1)においては、結晶性ポリプロピレン(A−1a)の含有割合が55〜85質量%で且つエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)の含有割合が15〜45質量%であることがより好ましい。
【0011】
ブロックポリプロピレン(A−1)は、25℃でのキシレン可溶分の極限粘度値が4.0dl/g未満であり、3.0dl/g未満であることが好ましい。ブロックポリプロピレン(A−1)の極限粘度が前記上限値を超えると、ポリプロピレン系樹脂組成物の耐衝撃性を低下させることがある。
なお、本発明における極限粘度は、ウベローデ型粘度計を用いて135℃のテトラヒドロナフタレン中で測定した値である。
【0012】
ブロックポリプロピレン(A−1)のメルトフローレート(以下、「MFR」という。)は10〜110g/10分であることが好ましく、20〜50g/10分であることがより好ましい。ブロックポリプロピレン(A−1)のMFRが前記下限値以上であれば、ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性を向上させることができ、前記上限値以下であれば、成形体の耐衝撃性をより向上させることができる。
本発明におけるMFRは、JIS K6921−2に準拠し、ポリプロピレン系樹脂(A)は温度230℃、荷重21.6Nの条件で測定し、エチレン・αオレフィン共重合体(B)は温度190℃、荷重21.6Nの条件で測定した値である。
【0013】
ブロックポリプロピレン(A−1)における結晶性ポリプロピレン(A−1a)は、ポリプロピレン単独重合体、又は、エチレン単位が5質量%未満のエチレン・プロピレン共重合体である。エチレン単位が5質量%を超えると、結晶性ポリプロピレン(A−1a)の結晶性が低くなる。
本発明において、エチレン・プロピレン共重合体のエチレン単位は、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定する。
結晶性ポリプロピレン(A−1a)の25℃でのキシレン可溶分は6.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以下であることがさらに好ましい。25℃でのキシレン可溶分は非晶性のポリプロピレンである。結晶性ポリプロピレン(A−1a)の25℃でのキシレン可溶分が前記上限値以下であれば、成形体の剛性がより高くなる。
【0014】
本発明において、ポリプロピレンに含まれる25℃でのキシレン可溶分は、以下の方法によって得られる。
プロピレン樹脂組成物2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間、攪拌し、樹脂組成物を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却する。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過する。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得る。
【0015】
ブロックポリプロピレン(A−1)を構成するエチレン・プロピレン共重合体(A−1b)は、プロピレン単位が60〜85質量%(すなわち、エチレン単位が15〜40質量%)であり、65〜80質量%(すなわち、エチレン単位が20〜35質量%)であることが好ましい。エチレン・プロピレン共重合体(A−1a)におけるプロピレン単位が前記範囲であれば、成形体の衝撃強度をより向上させることができる。
本発明において、エチレン・プロピレン共重合体のプロピレン単位は、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定する。
【0016】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物におけるブロックポリプロピレン(A−1)の含有割合は、15〜45質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。ブロックポリプロピレン(A−1)の含有割合が前記範囲内であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性をより良くすることができる。
【0017】
[ブロックポリプロピレン(A−2)]
ポリプロピレン系樹脂(A)は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体の剛性及び耐衝撃性(特に低温耐衝撃性)をより高くする目的で、結晶性ポリプロピレン(A−2a)とエチレン・1−ブテン共重合体(A−2b)とからなるブロックポリプロピレン(A−2)を含有してもよい。
ブロックポリプロピレン(A−2)は、原料モノマーを重合して結晶性ポリプロピレン(A−2a)を得た後、その結晶性ポリプロピレン(A−2a)の存在下で、エチレンと1−ブテンとを共重合して得られる。すなわち、ブロックポリプロピレン(A−2)は、結晶性ポリプロピレン(A−2a)とエチレン・1−ブテン共重合体(A−2b)との混合物である。本発明におけるブロックポリプロピレン(A−2)においては、結晶性ポリプロピレン(A−2a)がマトリクス、エチレン・1−ブテン共重合体(A−2b)がドメインとなるモルフォロジーを形成する。
【0018】
ブロックポリプロピレン(A−2)においては、結晶性ポリプロピレン(A−2a)の含有割合が30〜95質量%で且つエチレン・1−ブテン共重合体(A−2b)の含有割合が5〜70質量%であることが好ましい。ブロックポリプロピレン(A−2)における結晶性ポリプロピレン(A−2a)及びエチレン・1−ブテン共重合体(A−2b)の含有割合が前記範囲であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。
また、ブロックポリプロピレン(A−2)においては、結晶性ポリプロピレン(A−2a)の含有割合が55〜85質量%で且つエチレン・1−ブテン共重合体(A−2b)の含有割合が15〜45質量%であることがより好ましい。
【0019】
ブロックポリプロピレン(A−2)は、25℃でのキシレン可溶分の極限粘度値が2.0〜2.5dl/g未満であることが好ましい。ブロックポリプロピレン(A−2)の極限粘度が前記範囲内であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。
【0020】
ブロックポリプロピレン(A−2)のMFRは5〜50g/10分であることが好ましく、10〜35g/10分であることがより好ましい。ブロックポリプロピレン(A−2)のMFRが前記下限値以上であれば、ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性を向上させることができ、前記上限値以下であれば、成形体の耐衝撃性をより向上させることができる。
【0021】
ブロックポリプロピレン(A−2)における結晶性ポリプロピレン(A−2a)は、ポリプロピレン単独重合体、又は、エチレン単位が5質量%未満のエチレン・プロピレン共重合体である。エチレン単位が5質量%を超えると、結晶性ポリプロピレン(A−2a)の結晶性が低くなる。
結晶性ポリプロピレン(A−2a)の25℃でのキシレン可溶分(すなわち、非晶質成分)は6.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以下であることがさらに好ましい。結晶性ポリプロピレン(A−2a)の25℃でのキシレン可溶分が前記上限値以下であれば、成形体の剛性がより高くなる。
【0022】
ブロックポリプロピレン(A−2)を構成するエチレン・1−ブテン共重合体(A−2b)は、1−ブテン単位が15〜35質量%(すなわち、エチレン単位が65〜85質量%)であることが好ましく、20〜30質量%(すなわち、エチレン単位が70〜80質量%)であることがより好ましい。エチレン・1−ブテン共重合体(A−2b)における1−ブテン単位が前記範囲であれば、成形体の剛性と耐衝撃性を向上させることができる。
本発明において、エチレン・1−ブテン共重合体の1−ブテン単位は、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定する。
【0023】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物におけるブロックポリプロピレン(A−2)の含有割合は、2〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。ブロックポリプロピレン(A−2)の含有割合が前記範囲内であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性をより良くすることができる。
【0024】
[ブロックポリプロピレン(A−3)]
ポリプロピレン系樹脂(A)は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体の外観を良くする目的で、結晶性ポリプロピレン(A−3a)とエチレン・プロピレン共重合体(A−3b)とからなる高粘度のブロックポリプロピレン(A−3)を含有してもよい。
【0025】
ブロックポリプロピレン(A−3)においては、結晶性ポリプロピレン(A−3a)の含有割合が30〜95質量%で且つエチレン・プロピレン共重合体(A−3b)の含有割合が5〜70質量%であることが好ましい。ブロックポリプロピレン(A−3)における結晶性ポリプロピレン(A−3a)及びエチレン・プロピレン共重合体(A−3b)の含有割合が前記範囲であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性を維持したまま、外観をより向上させることができる。
また、ブロックポリプロピレン(A−3)においては、結晶性ポリプロピレン(A−3a)の含有割合が55〜85質量%で且つエチレン・プロピレン共重合体(A−3b)の含有割合が15〜45質量%であることがより好ましい。
【0026】
ブロックポリプロピレン(A−3)は、25℃でのキシレン可溶分の極限粘度値が4.0〜11.0dl/gであることが好ましく、5.0〜10.0dl/gであることがより好ましい。ブロックポリプロピレン(A−3)の極限粘度が前記下限値以上であれば、成形体の外観がより良くなり、前記上限値以下であれば、ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性を実用的な範囲にすることが容易になる。
【0027】
ブロックポリプロピレン(A−3)のMFRは0.1〜15g/10分であることが好ましく、0.5〜12g/10分であることがより好ましい。ブロックポリプロピレン(A−3)のMFRが前記下限値以上であれば、ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性を向上させることができ、前記上限値以下であれば、成形体の耐衝撃性をより向上させることができる。
【0028】
ブロックポリプロピレン(A−3)における結晶性ポリプロピレン(A−3a)は、ポリプロピレン単独重合体、又は、エチレン単位が5質量%未満のエチレン・プロピレン共重合体である。エチレン単位が5質量%を超えると、結晶性ポリプロピレン(A−3a)の結晶性が低くなる。
結晶性ポリプロピレン(A−3a)の25℃でのキシレン可溶分(すなわち、非晶質成分)は6.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以下であることがさらに好ましい。結晶性ポリプロピレン(A−3a)の25℃でのキシレン可溶分が前記上限値以下であれば、成形体の剛性がより高くなる。
【0029】
ブロックポリプロピレン(A−3)を構成するエチレン・プロピレン共重合体(A−3b)は、プロピレン単位が60〜75質量%(すなわち、エチレン単位が25〜40質量%)であることが好ましく、65〜70質量%(すなわち、エチレン単位が30〜35質量%)であることがより好ましい。エチレン・プロピレン共重合体(A−3b)におけるプロピレン単位が前記範囲内であれば、成形体の耐衝撃性を向上させ、外観を改良させることもできる。
【0030】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物におけるブロックポリプロピレン(A−3)の含有割合は、2〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。ブロックポリプロピレン(A−3)の含有割合が前記下限値以上であれば、成形体の外観をより良くすることができ、前記上限値以下であれば、ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性を実用的な範囲にすることが容易になる。
【0031】
[結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)]
ポリプロピレン系樹脂(A)は、結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)を含有してもよい。
結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)は、アイソタクチックのポリプロピレン単独重合体でもよいし、シンジオタクチックのポリプロピレン単独重合体でもよいが、入手容易性の点からは、アイソタクチックのポリプロピレン単独重合体が好ましい。
結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)の25℃でのキシレン可溶分(すなわち、非晶質成分)は6.0質量%以下であることが好ましく、3.0質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以下であることがさらに好ましい。結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)の25℃でのキシレン可溶分が前記上限値以下であれば、結晶性が充分に高く、成形体の剛性がより高くなる。
【0032】
また、結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の流動性を向上させる目的で、高流動性の結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4−1)を含むことが好ましい。
高流動性の結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4−1)のMFRは、500〜2000g/10分であることが好ましく、1000〜2000g/10分であることがより好ましく、1500〜2000g/10分であることがさらに好ましい。高流動の結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4−1)のMFRが前記下限値以上であれば、該ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性が高くなり、前記上限値以下であれば、成形体の耐衝撃性を維持できる。
【0033】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)の含有割合は5〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)の含有割合が前記下限値以上であれば、該ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性と成形体の剛性を充分に向上させることができ、前記上限値以下であれば、成形体の耐衝撃性を維持できる。
【0034】
[ポリプロピレン系樹脂(A)の含有割合]
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリプロピレン系樹脂(A)の含有割合は、40〜80質量%であり、50〜70質量%であることが好ましく、55〜65質量%であることがより好ましい。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物におけるポリプロピレン系樹脂(A)の含有割合が前記下限値未満であっても、前記上限値を超えても、成形体の剛性及び耐衝撃性が低下することがある。
【0035】
[ポリプロピレン系樹脂(A)の製造方法]
ポリプロピレン系樹脂(A)は、既知の重合法を用いて製造可能である。
ポリプロピレン系樹脂(A)のうち、ブロックポリプロピレン(A−1)、(A−2)、(A−3)は、逐次重合で製造することができる。具体的には、成分(A−1a)と(A−1b)、(A−2a)と(A−2b)、(A−3a)と(A−3b)を、連続する別の工程で製造することができる。逐次重合においては、触媒は第一の工程にのみ添加され、その後の工程ではその触媒が継続使用される。そのため、触媒は、全ての工程で活性が維持される程高いものが使用される。
ポリプロピレン系樹脂(A)の重合は、連続的であってもよいし、バッチ式であってもよい。また、不活性な希釈剤の存在下または非存在下での液相で重合してもよいし、気相重合してもよいし、気液混合状態で重合してもよい。
重合の反応時間と圧力と温度は特に制限はないが、温度は50〜100℃であることが好ましい。圧力は大気圧であってもよいし、これより高くてもよい。
重合の際には、水素等の分子量調整剤によってポリプロピレン系樹脂(A)の分子量を調整してもよい。
重合の際に使用する触媒としては、公知の立体選択性チーグラー・ナッタ触媒が好ましい。
好ましいチーグラー・ナッタ触媒の例としては、トリアルキルアルミニウム化合物と必要に応じて電子供与体を含むチタン担持触媒システムや、無水塩化マグネシウムに担持されたTiのハライドまたはハロゲン−アルコラートと必要に応じて電子供与体化合物を含む固体触媒成分が挙げられる。
上記触媒や上記触媒を用いる重合法としては、例えば、米国特許第4,399,054号明細書、欧州特許出願公開第45977号明細書、米国特許第4,472,524号明細書等に記載の方法が挙げられる。
上記の触媒を、前もって少量のオレフィンに接触させて予重合してもよい。
【0036】
(エチレン・αオレフィン共重合体(B))
エチレン・αオレフィン共重合体(B)は、エチレンとαオレフィンとの共重合体である。αオレフィンとしては、炭素数3〜12のαオレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。
したがって、具体的なエチレン・αオレフィン共重合体(B)としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。
本発明におけるエチレン・αオレフィン共重合体(B)は、後述するエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)を含む。
【0037】
[エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)]
エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)は、質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.7〜3.5であり、示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて示差走査熱量測定した際に110〜125℃の間に融解エネルギー△Hが10〜100J/gの融解ピークを有する。
本発明において、エチレン・αオレフィン共重合体のMw/Mnは、以下のようにして求める。
装置としてポリマーラボラトリーズ社製PL GPC220を使用し、酸化防止剤を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを移動相とし、カラムとして昭和電工社製UT−G(1本)、UT−807(1本)、UT−806M(2本)を直列に接続したものを使用し、検出器として示差屈折率計を使用する。
試料ポリマーを移動相と同じ溶媒に、1mg/mLの試料濃度となるように添加し、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解させて測定試料を調製する。これにより得た試料溶液500μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度145℃、データ取り込み間隔1秒で測定する。カラムの較正には、分子量580〜745万のポリスチレン標準試料(Shodex STANDARD、昭和電工株式会社製)を使用し、三次式近似で較正を行う。Mark−Houkinsの係数は、ポリスチレン標準試料に関しては、K=1.21×10−4、α=0.707、ポリプロピレン樹脂組成物に関しては、K=1.37×10−4、α=0.75を使用する。
示差走査熱量測定においては、熱補償型DSC(パーキンエルマー社製のダイヤモンドDSC)を用い、エチレン・αオレフィン共重合体を230℃で5分間保持した後、降温速度20℃/分で30℃まで冷却して5分間保持した後、昇温速度20℃/分で230℃まで再加熱する。その再加熱の際の融解曲線で示差走査熱量を測定する。
【0038】
Mw/Mnが1.7〜3.5の範囲内にあることは、分子量分布が狭いことを意味する。このように分子量分布が狭いエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)は、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒又はハーフメタロセン触媒(幾何拘束型触媒)を用いた重合によって得られる。チーグラー・ナッタ触媒を用いた重合では、分子量分布が広くなる。エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)のMw/Mnは2.0〜3.0であることが好ましい。
Mw/Mnが前記下限値未満のエチレン・αオレフィン共重合体を製造することは困難であり、Mw/Mnが前記上限値を超えるエチレン・αオレフィン共重合体を配合した場合には、成形体の剛性及び耐衝撃性を低下させることがある。
エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)は、通常、示差走査熱量測定装置を用いて示差走査熱量測定した際に110〜125℃の間に、少なくとも1つの融解ピークを有する。110〜125℃の間に融解ピークを有すれば、110℃未満又は125℃超の温度範囲に融解ピークを有しても構わない。
本発明では、110〜125℃の間に融解ピークを有するエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)を用いることにより、成形体の剛性及び耐衝撃性、特に低温耐衝撃性を向上させることができる。110℃未満又は125℃超のみに融解ピークを有するエチレン・αオレフィン共重合体を用いた場合には、成形体の剛性及び耐衝撃性、特に低温耐衝撃性を向上させることが困難である。
また、示差走査熱量測定における融解エネルギー△Hが10J/g未満であると、剛性が低下し、100J/gを超える場合には、耐衝撃性が低下する。
【0039】
上記のような熱的性質を有するエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)は、ポリエチレンからなるハードブロックと、エチレン・αオレフィン共重合体からなるソフトブロックとがランダムに結合したマルチブロック共重合体である。110〜125℃の間の融解ピークはポリエチレン結晶の融解に由来するピークである。このポリエチレン結晶は、剛性及び耐衝撃性の向上に寄与している。
【0040】
エチレン・αオレフィン共重合体(B)におけるエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)の含有割合は、30〜100質量%であり、35〜100質量%であることが好ましく、40〜100質量%であることがさらに好ましい。エチレン・αオレフィン共重合体(B)におけるエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)の含有割合が前記下限値未満であると、機械的物性向上効果が不充分となり、特に低温耐衝撃性が低くなる。
【0041】
エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)の密度は、0.850〜0.890g/cm
3であることが好ましく、0.860〜0.880g/cm
3であることがより好ましい。エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)の密度が前記範囲内であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性をより向上させることができる。
エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)のMFRは、190℃、21.6Nの荷重で0.1〜50g/10分であることが好ましく、0.2〜10g/10分であることがより好ましい。エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)のMFRが前記範囲内であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性をより向上させることができる。
【0042】
[エチレン・αオレフィン共重合体(B−2)]
本発明におけるエチレン・αオレフィン共重合体(B)は、上記エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)以外のエチレン・αオレフィン共重合体(B−2)を含んでもよい。すなわち、マルチブロックの構造を有さないエチレン・αオレフィンランダム共重合体を含んでもよい。
エチレン・αオレフィン共重合体(B−2)としては、Mw/Mnが1.7〜3.5であり、示差走査熱量測定装置を用いて示差走査熱量測定した際に30〜80℃の間に融解ピークを有するエチレン・αオレフィン共重合体が好ましい。
30〜80℃の間に融解ピークを有するエチレン・αオレフィン共重合体(B−2)をエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)と併用すると、成形体の剛性及び耐衝撃性のバランスがさらに良くなる。
上記のように、Mw/Mnが1.7〜3.5の範囲内であることは、エチレン・αオレフィン共重合体(B−2)がメタロセン触媒又はハーフメタロセン触媒(幾何拘束型触媒)を用いて重合されたことを意味する。Mw/Mnは2.0〜3.0であることが好ましい。Mw/Mnが前記下限値未満のエチレン・αオレフィン共重合体を製造することは困難であり、Mw/Mnが前記上限値を超えるエチレン・αオレフィン共重合体を配合した場合には、成形体の剛性及び耐衝撃性を低下させることがある。
【0043】
エチレン・αオレフィン共重合体(B−2)の密度は、0.850〜0.890g/cm
3であることが好ましく、0.860〜0.880g/cm
3であることがより好ましい。エチレン・αオレフィン共重合体(B−2)の密度が前記範囲内であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性をより向上させることができる。
エチレン・αオレフィン共重合体(B−2)のMFRは、190℃、21.6Nの荷重で0.1〜50g/10分であることが好ましく、0.2〜10g/10分であることがより好ましい。エチレン・αオレフィン共重合体(B−2)のMFRが前記範囲内であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性をより向上させることができる。
【0044】
エチレン・αオレフィン共重合体(B)がエチレン・αオレフィン共重合体(B−2)を含む場合には、エチレン・αオレフィン共重合体(B)におけるエチレン・αオレフィン共重合体(B−2)の含有割合が1〜80質量%であることが好ましく、20〜75質量%であることがより好ましく、50〜70質量%であることがさらに好ましい。エチレン・αオレフィン共重合体(B)におけるエチレン・αオレフィン共重合体(B−2)の含有割合が前記範囲内であれば、成形体の剛性及び耐衝撃性のバランスがさらに良くなる。
【0045】
[エチレン・αオレフィン共重合体(B)の含有割合]
ポリプロピレン系樹脂組成物におけるエチレン・αオレフィン共重合体(B)の含有割合は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計を100質量%とした際の5〜30質量%であり、15〜25質量%であることが好ましい。エチレン・αオレフィン共重合体(B)の含有割合が前記下限値未満であっても前記上限値を超えても、成形体の剛性及び耐衝撃性が低くなる。
【0046】
[エチレン・αオレフィン共重合体(B)の製造方法]
エチレン・αオレフィン共重合体(B)は、既知の重合法を用いて製造可能である。
エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)は、重合の際にメタロセン触媒又はハーフメタロセン触媒を用いて、公知の方法(例えば、国際公開WO2006/102155号に記載の方法)により製造される。
エチレン・αオレフィン共重合体(B−2)も、重合の際にメタロセン触媒又はハーフメタロセン触媒を用いて、製造されることが好ましい。重合の際に使用されるメタロセン触媒及びハーフメタロセン触媒は公知である。
エチレン・αオレフィン共重合体(B)の重合においては、公知の分子量自動調整剤、例えば連鎖移動剤(例えば、水素またはジエチル亜鉛)を使用することができる。
【0047】
(無機充填剤(C))
無機充填剤(C)としては、例えば、タルク、カオリナイト、焼成クレー、バイロフィライト、セリナイト、ウォラストナイトなどの天然珪酸または珪酸塩;沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物;酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの酸化物;及び、含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸などの合成珪酸または珪酸塩などの粉末状フィラー、マイカなどのフレーク状フィラー;塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed Mineral Filler)、ゾノトライト、チタン酸カリウム、及びエレスタダイトなどの繊維状フィラー;並びに、ガラスバルン、フライアッシュバルンなどのバルン状フィラー等を用いることができる。上記の無機充填剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
前記の無機充填剤のなかでも、ポリプロピレン系樹脂(A)及びエチレン・αオレフィン共重合体(B)に容易に混ざり、成形体の剛性を向上させやすいことから、タルクが好ましい。
また、これら無機充填剤は未処理であってもよいし、予め表面処理されていてもよい。表面処理方法の例としては、シランカップリング剤、高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、不飽和有機酸、有機チタネート、ポリエチレングリコールなどの表面処理剤を用いる化学的または物理的方法が挙げられる。
【0048】
無機充填剤(C)は、剛性及び耐衝撃性がより高くなることから、体積平均粒子径が1〜10μmであることが好ましく、2〜7μmであることがより好ましい。無機充填剤(C)の体積平均粒子径が前記下限値未満の場合、前記上限値を超える場合のいずれにおいても、剛性及び耐衝撃性が低くなることがある。
無機充填剤(C)の体積平均粒子径は、レーザ回折法によって測定することができる。
【0049】
ポリプロピレン系樹脂組成物における無機充填剤(C)の含有割合は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計を100質量%とした際の15〜30質量%であり、15〜25質量%であることが好ましい。無機充填剤(C)の含有割合が前記下限値未満であると、成形体の剛性が低くなり、前記上限値を超えると、耐衝撃性が低くなる。
【0050】
(その他の成分)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、任意成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、(A)〜(B)成分以外の樹脂、あるいは、(C)成分以外の添加剤が含まれてもよい。
(A)〜(B)成分以外の樹脂としては、(A)〜(B)成分以外のポリオレフィン、ポリオレフィン以外の樹脂(例えば、スチレン系樹脂を含んでも構わない。
(C)以外の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物等が挙げられる。
【0051】
(ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法)
上記ポリプロピレン系樹脂組成物を製造する方法としては、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン・αオレフィン共重合体(B)と無機充填剤(C)とを混合した後、溶融混練する方法が挙げられる。
混合方法としては、ヘンシェルミキサー、タンブラーおよびリボンミキサー等の混合機を使用してドライブレンドする方法、
溶融混練方法としては、押出混合機、ニーダーおよびバンバリー等の混合機を用いて溶融しながら混合する方法が挙げられる。溶融混練する場合の溶融温度は160〜350℃であることが好ましく、170〜260℃であることがより好ましい。
【0052】
(作用効果)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記ブロックポリプロピレン(A−1)を含むポリプロピレン系樹脂(A)と、上記エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)を含むエチレン・αオレフィン共重合体(B)と、無機充填剤(C)とを、上記の割合で混合したものである。このポリプロピレン系樹脂組成物によれば、該ポリプロピレン系樹脂組成物から得られる成形体の剛性及び耐衝撃性を向上させることができる。
本発明において耐衝撃性が向上するのは、ポリプロピレン系樹脂(A)と、ポリプロピレン系樹脂(A)に対する界面張力が小さいエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)を含むエチレン・αオレフィン共重合体(B)を併用することにより、エチレン・αオレフィン共重合体(B)がポリプロピレン系樹脂(A)中に微分散すると同時に、ポリプロピレン系樹脂(A)とエチレン・αオレフィン共重合体(B)との界面強度が上がるためと考えられる。また、エチレン・αオレフィン共重合体(B)の低いガラス転移温度により、低温で耐衝撃性が向上する効果が得られると考えられる。しかし、耐衝撃性の向上効果は、これらの理由のみとは限らない。
【0053】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物においては、ブロックポリプロピレン(A−2)をさらに含有することによって、成形体の剛性及び耐衝撃性をさらに向上させることができる。
ポリプロピレン系樹脂組成物においては、成形体の外観を良くすることが求められることがある。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物では、結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−3)をさらに配合することにより、剛性及び耐衝撃性が低下させずに、フローマーク等の外観不良を抑制して、成形体の外観を良くすることができる。
また、ポリプロピレン系樹脂組成物においては、成形体をより一層薄肉化するために、ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性を向上させることが求められることがある。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物では、結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4)をさらに配合することにより、剛性及び耐衝撃性が低下させずに流動性を向上させることができる。
【0054】
<成形体>
本発明の成形体は、上記のポリプロピレン系樹脂組成物が成形されたものである。
ポリプロピレン系樹脂組成物の成形方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、真空成形法、ブロー成形法等を適用できる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は射出成形法に適したものであるため、上記成形方法の中でも射出成形法が好ましい。
本発明の成形体は各種分野に適用でき、例えば、自動車の外装材(例えば、バンパー、バックドア、フェンダー、ドアミラー等)や内装材、電気製品のハウジング等に適用でき、特に、自動車の外装材として好適である。
【実施例】
【0055】
(実施例1〜10、比較例1〜6)
(A)成分、(B)成分、(C)成分、酸化防止剤、耐候剤及びスリップ剤を表1又は表2に示す配合で混合して樹脂混合物を得た。その樹脂混合物を、二軸押出機を用い、ダイス設定温度220℃で溶融混練し、ペレット化して、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
実施例及び比較例では、下記の樹脂及び添加剤を使用した。
【0056】
ブロックポリプロピレン(A−1):MFRが210g/10分で、25℃でのキシレン可溶分が2.0質量%のポリプロピレン単独重合体と、エチレン・プロピレン共重合体とからなるブロックポリプロピレン、MFR37g/10分、ブロックポリプロピレンの25℃でのキシレン可溶分の極限粘度2.4dl/g、エチレン・プロピレン共重合体の含有割合:30質量%、エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位の割合:72.5質量%。
ブロックポリプロピレン(A−2):MFRが120g/10分で、25℃でのキシレン可溶分が1.9質量%のポリプロピレン単独重合体と、エチレン・1−ブテン共重合体とからなるブロックポリプロピレン、MFR25g/10分、ブロックポリプロピレンの25℃でのキシレン可溶分の極限粘度2.4dl/g、エチレン・1−ブテン共重合体の含有割合:27質量%、エチレン・1−ブテン共重合体中の1−ブテン単位の割合:25質量%。
ブロックポリプロピレン(A−3):MFRが9g/10分で、25℃でのキシレン可溶分が2.0質量%の結晶性ポリプロピレンと、エチレン・プロピレン共重合体とからなるブロックポリプロピレン、MFR1.0g/10分、25℃でのキシレン可溶分の極限粘度7.0dl/g、エチレン・プロピレン共重合体の含有割合:30質量%、エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位の割合:68質量%。
結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4−1):MFR1750g/10分、25℃でのキシレン可溶分2.3質量%。
結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4−2):MFR70g/10分、25℃でのキシレン可溶分1.5質量%。
【0057】
エチレン・αオレフィン共重合体(B−1):ダウケミカル社製、XLT8677、エチレン・オクテンマルチブロック共重合体、Mw/Mn:2.4、示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、118℃付近に融解エネルギー△Hが35J/gの融解ピークを有する。
エチレン・αオレフィン共重合体(B−2−1):ダウケミカル社製、エンゲージ8100、エチレン・オクテン共重合体、Mw/Mn:2.2、DSCにおいて60℃付近に融解ピークを有する。
エチレン・αオレフィン共重合体(B−2−2):三井化学社製、タフマー A1050S、エチレン・ブテン共重合体、Mw/Mn:2.0、DSCにおいて35℃付近に融解ピークを有する。
【0058】
無機充填剤(C):タルク、イミファビ社製、HTP05L(レーザ回折法によって測定した体積平均粒子径:5μm)
酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
耐候剤:ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート
スリップ剤:ステアリン酸マグネシウム
なお、表1,2において、酸化防止剤、耐候剤及びスリップ剤の配合量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対する部数で示した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
<評価>
得られたポリプロピレン系樹脂組成物のMFR、成形体の曲げ弾性率、アイゾッド衝撃強度及び外観を下記の方法により測定又は評価した。測定結果及び評価結果を表1,2に示す。
【0062】
[MFR]
JIS K6921−2に準拠し、温度230℃、荷重21.6Nの条件で測定した。
【0063】
[曲げ弾性率]
射出成形機(Fanuc 2000i(株)ファナック製)を用い、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、冷却時間20秒の条件で、幅10.0mm、厚み4.0mm、長さ80mmの測定用試験片を成形した。
その測定用試験片を用い、JIS K6921−2に準拠し、 温度25℃、スパン間64mm、曲げ速度2.0mm/分の条件で曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率の値が高い程、剛性に優れる。
【0064】
射出成形機(Fanuc 2000i(株)ファナック製)を用い、シリンダー温度200℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、冷却時間20秒の条件で、幅10.0mm、厚み4.0mm、長さ80mmの測定用試験片を成形した。
その測定用試験片を用い、JIS K6921−2に準拠し、 温度25℃、−20℃の各温度条件でアイゾッド衝撃強度を測定した。アイゾッド衝撃強度の値が高い程、耐衝撃性に優れる。
【0065】
[成形体外観評価]
フィルムゲートを有する成形金型を備えた射出成形機(「EC160N2」東芝機械製)を用い、シリンダー温度210℃、金型温度40℃、射出時間15秒、冷却時間25秒の条件で、平板(140mm×300mm×3mm)を射出成形した。これにより得た成形体の外観を目視により観察し、ゲート位置からタイガーマークの発生が始まる位置までの距離(mm)を測定した。その距離が長い程、成形体の外観が良好となる。
【0066】
ブロックポリプロピレン(A−1)とエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)と無機充填剤(C)とを含有する実施例1〜10のポリプロピレン系樹脂組成物は、曲げ弾性率(剛性)が高く、アイゾッド衝撃強度(耐衝撃性)、特に低温でのアイゾッド衝撃強度が高かった。
ブロックポリプロピレン(A−2)を含む実施例6〜10のポリプロピレン系樹脂組成物では、曲げ弾性率及びアイゾッド衝撃強度の一方を低下させずに、曲げ弾性率及びアイゾッド衝撃強度の他方を向上させることができた。
ブロックポリプロピレン(A−3)を含む実施例1〜8,10のポリプロピレン系樹脂組成物では、成形体の外観が良好であった。
高流動の結晶性ポリプロピレン単独重合体(A−4−1)を含む実施例1〜9のポリプロピレン系樹脂組成物では、MFR値が大きく、流動性が高かった。
【0067】
ブロックポリプロピレン(A−1)と無機充填剤(C)とを含有するが、エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)を含有しない比較例1,5のポリプロピレン系樹脂組成物は、−20℃のアイゾッド衝撃強度が低かった。
ブロックポリプロピレン(A−1)とエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)と無機充填剤(C)とを含有するが、エチレン・αオレフィン共重合体(B−1)の含有割合がポリプロピレン系樹脂組成物100質量%に対して5質量%であった比較例2,6のポリプロピレン系樹脂組成物は、−20℃のアイゾッド衝撃強度が低かった。
ブロックポリプロピレン(A−1)とエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)と無機充填剤(C)とを含有するが、無機充填剤(C)の含有割合がポリプロピレン系樹脂組成物100質量%に対して10質量%であった比較例3のポリプロピレン系樹脂組成物は、剛性が低かった。
ブロックポリプロピレン(A−1)とエチレン・αオレフィン共重合体(B−1)と無機充填剤(C)とを含有するが、無機充填剤(C)の含有割合がポリプロピレン系樹脂組成物100質量%に対して35質量%であった比較例4のポリプロピレン系樹脂組成物は、アイゾッド衝撃強度が低かった。