特開2015-113418(P2015-113418A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-113418異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、予備発泡粒子、及び発泡成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-113418(P2015-113418A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法、予備発泡粒子、及び発泡成形体
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/22 20060101AFI20150526BHJP
【FI】
   C08J9/22CET
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2013-257057(P2013-257057)
(22)【出願日】2013年12月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(72)【発明者】
【氏名】筒井 恭孝
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅光
(72)【発明者】
【氏名】砥上 武広
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA32
4F074AA48
4F074AA76
4F074AD02
4F074AD10
4F074AD11
4F074AG10
4F074AG20
4F074BA39
4F074CA21
4F074CA32
4F074CA34
4F074CA38
4F074CA49
4F074CC04Y
4F074DA02
4F074DA24
4F074DA35
(57)【要約】
【課題】 融着性に優れ、且つ、優れた異音防止性を有する発泡成形体が得られる、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することを課題とする。
【解決手段】 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と、その表面に存在するステアリン酸亜鉛、及びジイソブチルアジペートとを含む異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、
前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面における前記ステアリン酸亜鉛の含有量が、前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して0.5重量%以上3.0重量%以下であり、
前記ジイソブチルアジペートの含有量が、前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して0.01重量%以上0.1重量%以下である、
異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子により、上記の課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と、その表面に存在するステアリン酸亜鉛、及びジイソブチルアジペートとを含む異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、
前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面における前記ステアリン酸亜鉛の含有量が、前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して0.5重量%以上3.0重量%以下であり、
前記ジイソブチルアジペートの含有量が、前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して0.01重量%以上0.1重量%以下である、
異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項2】
前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が、ポリエチレングリコールを更に含み、
前記ポリエチレングリコールの含有量が、前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して0.05重量%以上0.5重量%以下である、
請求項1に記載の異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項3】
前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中に、平均粒子径30〜1000nmのポリアクリル酸エステル系樹脂微粒子が分散している請求項1又は2に記載の異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子。
【請求項5】
請求項4に記載の予備発泡粒子を型内発泡成形して得られる発泡成形体。
【請求項6】
乗員下肢部保護材、頭部保護材、側突パッド、バンパー芯材、床下嵩上げ材、ラゲージボックス、座席シート部材のいずれかに用いるための、請求項5に記載の発泡成形体を含む自動車用部材。
【請求項7】
前記発泡成形体が臭素系難燃剤を含み、
前記難燃剤がテトラブロモビスフェノールAまたはその誘導体、あるいはトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、テトラブロモシクロオクタンからなる群から選択される1種又は2種以上であり、
前記発泡成形体が、発泡剤含浸前のポリスチレン系樹脂粒子に、ポリスチレン系樹脂粒子に対して0.3重量%以上3.0重量%以下の前記難燃剤を含浸させてなる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて得られる請求項6に記載の自動車用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融着性に優れ、かつ、擦れ音の少ない発泡成形体を得るために用いることができる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関する。さらに詳しくは、本発明は、発泡成形体同士または発泡成形体とそれに付随する構成部材とが接触して擦り合わされた際に発生する高周波数の摩擦音が抑制された発泡成形体を提供することができる異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に関する。本発明の異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、自動車のギヤ部品のような金属部品などの輸送(搬送)に用いる部品梱包材、および嵩上げ材やティビアパッド、バンパー芯材などの自動車部材(内装材や緩衝材)などに好適に用いられる発泡成形体を得るために用いることができる。
【背景技術】
【0002】
従来から、軽量でありかつ比較的安価であることから、嵩上げ材やティビアパッド、バンパー芯材などの自動車部材としてポリスチレン系樹脂発泡成形体、およびポリプロピレン系樹脂発泡成形体、ポリエチレン系樹脂発泡成形体、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂または直鎖状低密度ポリエチレンを一部含んだポリスチレン系樹脂発泡成形体などが用いられている。
しかしながら、上記の発泡成形体は、発泡成形体同士の接触または発泡成形体と他のプラスチック製品、金属部品との接触により、高周波数の耳障りな摩擦音が発生することがある。このような摩擦音は、静粛性が要求される自動車内において不快に感じられる。
【0003】
また、上記の発泡成形体は、従来から自動車のギヤ部品のような金属部品などの輸送(搬送)に用いられる部品梱包材としても用いられている。
しかしながら、上記の発泡成形体は、例えば、金属部品を輸送する際の部品梱包材として使用された場合に、部品梱包材同士の重ね合わせによる接触や金属部品と部品梱包材との接触により、自動車部材の場合と同様、高周波数の耳障りな摩擦音が発生し、不快に感じられることがある。
【0004】
上記のような問題を解決するために様々な技術が提案されている。
例えば、特開2008−231175号公報(特許文献1)には、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に特定量の脂肪酸アミドを被覆することによって、擦れ音の少ない発泡成形体を得る技術が開示されている。
【0005】
また、特開2013−100443号公報(特許文献2)には、脂肪酸アマイド、及び飽和脂肪酸とグリセリンとのモノエステル化合物の存在下で発泡性樹脂粒子を予備発泡させることにより得られる予備発泡粒子を用いて、優れた擦れ音防止性能を有する発泡粒子成形体を製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−231175号公報
【特許文献2】特開2013−100443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、擦れ音の抑制された発泡成形体の開発には、さらなる異音防止効果向上の余地が残されている。そこで、本発明は、融着性に優れ、且つ、優れた異音防止性を有する発泡成形体が得られる、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、発泡性ポリスチレン系樹脂と、その表面に存在するステアリン酸亜鉛、及びジイソブチルアジペートとを含む異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いることにより、発泡成形体の異音防止効果を向上させることができることを意外にも見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
かくして、本発明によれば、
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と、その表面に存在するステアリン酸亜鉛、及びジイソブチルアジペートとを含む異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、
前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面における前記ステアリン酸亜鉛の含有量が、前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して0.5重量%以上3.0重量%以下であり、
前記ジイソブチルアジペートの含有量が、前記異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に対して0.01重量%以上0.1重量%以下である、
異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、異音低減性能及び融着性に優れた発泡成形体を製造するために用いることができる異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供することができる。
また、本発明によれば、異音低減性能及び融着性に優れた発泡成形体を製造するために用いることができる予備発泡粒子、並びに、異音低減性能及び融着性に優れた発泡成形体を提供することができる。
【0011】
また、本発明によれば、乗員下肢部保護材、頭部保護材、側突パッド、バンパー芯材、床下嵩上げ材、ラゲージボックス、座席シート部材のいずれかに用いるための、上記発泡成形体を含む自動車用部材を提供することができる。
更に、発泡成形体が臭素系難燃剤を含む場合、更に難燃性にも優れた自動車用部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】発泡成形体の擦れ音測定方法を模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子]
本発明の異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(単に「異音防止用発泡性樹脂粒子」とも呼ぶ)は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子と、その表面に存在するステアリン酸亜鉛、及びジイソブチルアジペートとを含む。
【0014】
<発泡性ポリスチレン系樹脂粒子>
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とは、発泡剤を含有するポリスチレン系樹脂粒子をいう。
(ポリスチレン系樹脂粒子)
ポリスチレン系樹脂粒子とは、スチレン系単量体、すなわちスチレン又はスチレン誘導体の単独又は共重合体を主成分とする樹脂の粒子をいう。
スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらのスチレン系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
【0015】
ポリスチレン系樹脂粒子は、スチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体を併用した樹脂の粒子であってもよい。
ビニル系単量体としては、例えば、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性単量体;α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、多官能性モノマーが好ましく、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、nが4〜16のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンがより好ましく、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。尚、併用される単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
また、併用される単量体を使用する場合、その含有量は、スチレン系単量体が主成分となる量(例えば、50重量%以上)になるように設定されることが好ましい。
本発明において「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は「メタクリル」を意味する。
【0016】
ポリスチレン系樹脂には、その他、物性を損なわない範囲内において、重合開始剤、懸濁安定剤、帯電防止剤、可塑剤、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、滑剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよい。
【0017】
ポリスチレン系樹脂は、重量平均分子量(MW)200,000〜350,000及び重量平均分子量(MW)に対するZ平均分子量(MZ)の比(MZ/MW)2〜4であるのが好ましい。より好ましい重量平均分子量(MW)は230,000〜330,000であり、より好ましい重量平均分子量(MW)に対するZ平均分子量(MZ)の比(MZ/MW)は2〜3である。
【0018】
ポリスチレン系樹脂の形状は特に限定されず、例えば、球状、楕円球状、円柱状等をとりうる。好ましくは、球状である。
ポリスチレン系樹脂が球状であるとき、その平均粒子径は、その後得られる予備発泡粒子の成形型内への充填性等を考慮すると、0.3〜2mmであるのが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5mmである。なお、平均粒子径とは、D50で表現される値をいう。
【0019】
(複合ポリスチレン系樹脂粒子)
ポリスチレン系樹脂粒子は、上記のポリスチレン系樹脂中にポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子(以下、単に樹脂微粒子ともいう)を含む複合ポリスチレン系樹脂粒子であってもよい。
樹脂微粒子は、アクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする樹脂からなる粒子であれば特に限定されず、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヘキシル等のアクリル酸アルキルエステル系単量体を主成分とする重合体又は共重合体からなる粒子が挙げられ、これらの中でもアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルを主成分とする重合体又は共重合体からなる粒子が好ましい。これらのアクリル酸アルキルエステル系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。なお、上記「アルキル」の炭素数は1〜30を意味する。
ポリスチレン系樹脂と樹脂微粒子との重量比は100:5〜100であるのが好ましく、100:10〜70であることがより好ましい。
【0020】
本発明の実施態様において、樹脂微粒子は、ポリスチレン系樹脂中に分散された形態で存在する。この場合、ポリスチレン系樹脂を連続相、樹脂微粒子を分散相と呼ぶ。
分散相は、複合ポリスチレン系樹脂発泡粒子の気泡膜を厚み方向の断面でみたときに、ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子が厚み方向に複数でかつ層状に存在する構造である。
この場合、予備発泡粒子及び発泡成形体中の気泡膜単位でみれば、樹脂微粒子が略均一に分散しているものと考えられ、このような観点で、分散相における樹脂微粒子の分布状態は予備発泡粒子及び発泡成形体において略均一である。
【0021】
分散相は、予備発泡粒子の気泡膜を厚み方向の断面で見たとき、分散相の気泡膜厚み方向の寸法(樹脂微粒子の厚さa)と分散相の気泡膜面方向の寸法(樹脂微粒子の長さb)としたときに、7以上60以下のアスペクト比(b/a)を有するのが好ましい。
【0022】
樹脂微粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、楕円球状及び不定形状等をとりうる。
また、その後得られる予備発泡粒子の気泡膜断面における樹脂微粒子の形状は、特に限定されず、例えば、円、楕円、不定形等をとりうる。
樹脂微粒子の平均粒子径は、30〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは200〜500nmである。
【0023】
複合ポリスチレン系樹脂には、ポリブタジエン末端アクリレート由来の成分がさらに含まれているのが好ましい。これにより、ポリスチレンとポリアクリル酸エステルを相溶化して、耐衝撃性を向上させた複合ポリスチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
【0024】
ポリブタジエン末端アクリレートには、80%以上の1,2−結合と、1,4−結合とを含有するポリブタジエン分子に1以上の(メタ)アクリロイル基が結合した構造の単量体を使用できる。この単量体は、ポリブタジエン分子末端に(メタ)アクリロイル基を導入した構造が好ましい。具体的には、ポリブタジエン末端アクリレートは、1,2−結合による下記繰り返し単位(1)及び1,4−結合による下記繰り返し単位(2)を含有するポリブタジエン分子と、ポリブタジエン分子の一方の末端又は両末端に下記式(3)で表される官能基((メタ)アクリロイル基)を有する単量体である。
【0025】
【化1】
【0026】
単位(1)と(2)のモル比は、(1)/〔(1)+(2)〕≧0.8であることが好ましい。単位(2)は、トランス構造であっても、シス構造であってもよい。また、単位(1)と(2)はランダム、ブロック、交互等の種々の繰り返し形態で単量体中に存在しうる。
式(3)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜4の低級アルキル基であることが好ましい。式(3)の官能基は、ポリブタジエン分子の両末端に位置していることが好ましい。
ポリブタジエン末端アクリレートは、例えば、大阪有機化学工業社から入手可能な商品名BAC−45、BAC−15等を使用できる。また、以下の公知の方法により、新たに合成したものも使用できる。
【0027】
すなわち、水酸基含有ポリブタジエンと(メタ)アクリル基を有する化合物とを反応させることにより、ポリブタジエン構造に(メタ)アクリル基を導入する方法が挙げられる。
上記方法には、例えば、(i)p−トルエンスルホン酸のような脱水触媒を用いて、水酸基含有ポリブタジエンの水酸基と、(メタ)アクリル基を有する化合物のカルボキシル基とを脱水反応させる方法、(ii)チタン触媒、スズ触媒等のエステル交換触媒を用いて、(メタ)アクリル酸エステルとポリブタジエンの水酸基とのエステル交換反応させる方法が挙げられる。
(メタ)アクリル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられる(プロピル及びブチルは構造異性体を含む)。
【0028】
ポリブタジエン末端アクリレートは、200〜10,000の範囲の数平均分子量を有することが好ましい。ここで、数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフで測定することにより得られた値である。
【0029】
ポリブタジエン末端アクリレートは、500〜9000Pa・sの範囲の粘度(25℃)を有していることが好ましい。より好ましい粘度は、4000〜8000Pa・sの範囲である。ここで、粘度は、回転式粘度計で測定することにより得られた値である。
【0030】
ポリブタジエン末端アクリレートに由来の成分は、複合ポリスチレン系樹脂粒子に対して、0.1〜3.0重量%の範囲で複合ポリスチレン系樹脂粒子中に含まれていることが好ましい。より好ましい含有量は、0.1〜2.0重量%の範囲、特に0.5〜1.0重量%の範囲である。
【0031】
複合ポリスチレン系樹脂には、その他、物性を損なわない範囲内において、重合開始剤、懸濁安定剤、帯電防止剤、可塑剤、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、滑剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよい。
複合ポリスチレン系樹脂粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、楕円球状、円柱状等をとりうる。好ましくは、球状である。
複合ポリスチレン系樹脂粒子が球状であるとき、その平均粒子径は、その後得られる予備発泡粒子の成形型内への充填性等を考慮すると、0.3〜2mmであるのが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5mmである。なお、平均粒子径とは、D50で表現される値をいう。
【0032】
(発泡剤)
発泡性樹脂粒子には、発泡剤が添加されている。発泡剤としては、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン等の炭素数10以下の脂肪族炭化水素等の発泡剤が挙げられ、特にブタン系発泡剤、ペンタン系発泡剤が好ましく、ペンタン又はブタンを主成分(例えば、50重量%以上)として含む発泡剤が特に好ましい。
【0033】
発泡剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂粒子に対して通常2〜10重量%の範囲とされ、3〜9重量%の範囲が好ましく、5〜9重量%の範囲が特に好ましい。発泡剤の添加量が少なく、例えば2重量%未満では、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が得られないために、発泡成形体の外観が低下することがある。一方、発泡剤の添加量が多く、例えば10重量%を超えると、型内発泡成形時の冷却工程に要する時間が長くなり生産性が低下することがある。
【0034】
(発泡助剤)
発泡性樹脂粒子には、発泡剤と共に発泡助剤が添加されていてもよい。発泡助剤としては、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族有機化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等の1気圧下における沸点が200℃以下の溶剤が挙げられる。発泡助剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂粒子に対して通常0.2〜2.5重量%の範囲とされ、0.3〜2重量%の範囲が好ましい。
【0035】
(難燃剤)
発泡性樹脂粒子には、難燃剤が更に添加されていることが好ましい。難燃剤を添加することにより発泡成形体に難燃性を付与することができ、発泡成形体を自動車用部材用途、例えば乗員下肢部保護材、頭部保護材、側突パッド、バンパー芯材、床下嵩上げ材、ラゲージボックス、座席シート部材のいずれかに用いる場合に好適である。
難燃剤は、特に限定されず、天然又は当業者に公知の方法によって製造されるものを用いることができるが、臭素系難燃剤であることが好ましい。臭素系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールAまたはその誘導体(例えばテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、テトラブロモシクロオクタン)及びトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、テトラブロモシクロオクタンからなる群から選択される難燃剤が挙げられる。難燃剤は、当業者に公知の市販製品であってもよい。このような市販製品としては、第一工業製薬社製 ピロガードSR−130(テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル))、日本化成社製 TAIC−6B(トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート)、第一工業製薬社製 ピロガードFR−200S(テトラブロモシクロオクタン)などが挙げられる。難燃剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
難燃剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂粒子に対して0.3重量%以上3.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上2.0重量%以下であることがより好ましい。
【0036】
その他、発泡性樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、難燃助剤、重合開始剤、懸濁安定剤、帯電防止剤、可塑剤、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、滑剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよい。
なお、発泡性樹脂粒子は、当業者に公知の市販製品、例えば積水化成品工業株式会社製 エスレンビーズFDLVなどであってもよい。
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法については、以下の(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子)において詳述する。
発泡性樹脂粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、楕円球状、円柱状等をとりうる。好ましくは、球状である。
発泡性樹脂粒子が球状であるとき、その平均粒子径は、その後得られる予備発泡粒子の成形型内への充填性等を考慮すると、0.3〜2mmであるのが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5mmである。なお、平均粒子径とは、D50で表現される値をいう。
【0037】
<ステアリン酸亜鉛>
本発明の異音防止用発泡性樹脂粒子は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の表面に存在するステアリン酸亜鉛を含む。ステアリン酸亜鉛は、特に限定されず、天然又は当業者に公知の方法によって製造されるものである。ステアリン酸亜鉛は、当業者に公知の市販製品であってもよい。このような市販製品としては、例えば大日本化学工業社製 ダイワックスZFなどが挙げられる。
異音防止用発泡性樹脂粒子の表面におけるステアリン酸亜鉛の含有量は、異音防止用発泡性樹脂粒子に対して0.5重量%以上3.0重量%以下である。0.5重量%未満であると発泡成形体に十分な異音防止性を付与することができないことがあり、3.0重量%を超えると十分な融着性が得られないことがある。異音防止用発泡性樹脂粒子の表面におけるステアリン酸亜鉛の含有量は、0.7重量%以上2.5重量%以下であることが好ましく、1.0重量%以上2.5重量%以下であることがより好ましい。ステアリン酸亜鉛の含有量は、島津製作所製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000を用いて誘導結合プラズマ(ICP)法により測定された量である。ICP測定については、以下の実施例において詳述する。
【0038】
<ジイソブチルアジペート>
本発明の異音防止用発泡性樹脂粒子は、ジイソブチルアジペートを含む。ジイソブチルアジペートは、特に限定されず、天然又は当業者に公知の方法によって製造されるものである。ジイソブチルアジペートは、当業者に公知の市販製品であってもよい。このような市販製品としては、例えば田岡化学工業社製 DI4Aなどが挙げられる。
異音防止用発泡性樹脂粒子のジイソブチルアジペートの含有量は、異音防止用発泡性樹脂粒子に対して0.01重量%以上0.1重量%以下である。0.01重量%未満であると十分な融着性が得られないことがあり、0.1重量%を超えると予備発泡時に樹脂粒子がブロッキングを起こすことがある。ジイソブチルアジペートの含有量は、0.02重量%以上0.08重量%以下であることが好ましく、0.03重量%以上0.07重量%以下であることがより好ましい。ジイソブチルアジペートの含有量は、島津製作所製 ガスクロマトグラフ質量分析計 QP2010SEを用いてGC/MS分析された量である。GC/MS分析については、以下の実施例において詳述する。
【0039】
<ポリエチレングリコール>
本発明の異音防止用発泡性樹脂粒子は、ポリエチレングリコールを更に含んでいてもよい。ポリエチレングリコールは、特に限定されず、天然又は当業者に公知の方法によって製造されるものである。ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、好ましくは100以上600以下、より好ましくは200以上500以下である。ポリエチレングリコールは、当業者に公知の市販製品であってもよい。このような市販製品としては、例えば三洋化成工業社製 PEG−300などが挙げられる。
異音防止用発泡性樹脂粒子のポリエチレングリコールの含有量は、異音防止用発泡性樹脂粒子に対して0.05重量%以上0.5重量%以下であることが好ましい。0.05重量%未満であると十分な異音防止性が得られないことがあり、0.5重量%を超えると発泡性樹脂粒子のベトツキが多くなり取り扱い難くなることがある。ポリエチレングリコールの含有量は、0.07重量%以上0.45重量%以下であることがより好ましい。ポリエチレングリコールの含有量は、島津製作所製 液体ガスクロマトグラフ装置 LC−10Avpを用いてHPLC測定された量である。HPLC測定については、以下の実施例において詳述する。
【0040】
<その他の成分>
異音防止用発泡性樹脂粒子は、流動パラフィンを更に含んでいてもよい。流動パラフィンは、特に限定されず、天然又は当業者に公知の方法によって製造されるものを用いることができる。流動パラフィンは、当業者に公知の市販製品であってもよい。このような市販製品としては、例えば松村石油社製 スモイルP−200などが挙げられる。
流動パラフィンの含有量は、異音防止用発泡性樹脂粒子に対して0.5重量%以下であることが好ましい。0.5重量%を超えると発泡性樹脂粒子のベトツキが多くなり取り扱い難くなることがある。流動パラフィンの含有量は、より好ましくは0.05重量%以上0.5重量%以下、更に好ましくは0.07重量%以上0.45重量%以下、更により好ましくは0.1重量%より多く0.4重量%未満である。
【0041】
異音防止用発泡性樹脂粒子は、パーフルオロポリエーテル並びにラノリン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を更に含んでいてもよい。
パーフルオロポリエーテルは、特に限定されず、天然又は当業者に公知の方法によって製造されるものを用いることができ、例えば中京油脂社製 T−198(エマルジョン)などが挙げられる。
ラノリンは、特に限定されず、天然又は当業者に公知の方法によって製造されるものを用いることができ、例えば中京油脂社製 T−256(エマルジョン)などが挙げられる。
上記化合物の含有量は、異音防止用発泡性樹脂粒子に対して0.5重量%以下であることが好ましい。0.5重量%を超えると発泡性樹脂粒子のベトツキが多くなり取り扱い難くなることがある。上記化合物の含有量は、より好ましくは0.45重量%以下、更に好ましくは0.4重量%以下である。
【0042】
<異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造>
(ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
ポリスチレン系樹脂が複合ポリスチレン系樹脂でない場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、例えば、水性媒体中で、ポリスチレン系樹脂からなる種粒子に単量体混合物を吸収させた後、単量体混合物を重合させる工程、続く水性媒体中で、種粒子にスチレン系単量体を含む単量体混合物を吸収させた後、単量体混合物を重合させて、ポリスチレン系樹脂粒子をさらに成長させる工程、及びその重合後又は重合途中での発泡剤を含浸させる工程により製造することができる。
【0043】
より具体的には、ポリスチレン系樹脂からなる種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂からなる種粒子を分散させた分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を得る工程、その重合後又は重合途中での発泡剤を含浸させる工程により製造することができる。種粒子とスチレン系単量体との重量比は100:100〜500であることが好ましい。
【0044】
ここで、種粒子は、ポリスチレン系樹脂からなるものであれば特に限定されず、公知の方法により製造できる。例えば、懸濁重合法や、押出機で原料樹脂を溶融混練後、ストランド状に押し出し、所望の粒子径でカットする方法が挙げられる。また、一部又は全部にポリスチレン系樹脂回収品を用いることができ、懸濁重合法やカットする方法で得られた粒子をそのまま、又はその粒子に、水性媒体中で、スチレン系単量体を含浸・重合させることにより得られる粒子であってもよい。
種粒子の粒径は、作製するポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径等に応じて適宜調整でき、例えば平均粒子径1mmのポリスチレン系樹脂粒子を作製する場合には、平均粒子径0.4〜0.7mm程度の種粒子を用いることが好ましい。
また、種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましくは15万〜70万であり、より好ましくは20万〜50万である。
種粒子には、その他、物性を損なわない範囲内において、重合開始剤、懸濁安定剤、帯電防止剤、可塑剤、結合防止剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、滑剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよい。
【0045】
重合工程に用いられるスチレン系単量体は、上記(ポリスチレン系樹脂粒子)に記載のとおりである。
重合工程における条件は、用いる樹脂などにより適宜選択することができる。例えば、75〜140℃の温度で30〜450分間保持することにより重合反応を行うことができる。
【0046】
ポリスチレン系樹脂が複合ポリスチレン系樹脂である場合、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、例えば、水性媒体中で、ポリスチレン系樹脂からなる種粒子に、アクリル酸アルキルエステルを含む単量体混合物を吸収させた後、単量体混合物を重合させて、種粒子中にポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子を分散形成する工程、続く水性媒体中で、ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子が分散形成された種粒子に、スチレン系単量体を含む単量体混合物を吸収させた後、単量体混合物を重合させて、ポリスチレン系樹脂粒子をさらに成長させる工程、及びその重合後又は重合途中での発泡剤を含浸させる工程により製造することができる。
【0047】
より具体的には、ポリスチレン系樹脂からなる種粒子を水中に分散させてなる分散液中に、ポリスチレン系樹脂からなる種粒子に対して10〜90重量%のアクリル酸アルキルエステル系単量体を供給し、このアクリル酸アルキルエステル系単量体を種粒子に吸収、重合させてポリスチレン系樹脂粒子を成長させる第1重合工程、次いでこの分散液中にスチレン系単量体を供給し、これを種粒子に吸収、重合させて複合ポリスチレン系樹脂粒子をさらに成長させる第2重合工程、その重合後又は重合途中での発泡剤を含浸させる工程により製造することができる。
【0048】
第1重合工程に用いられるアクリル酸アルキルエステル系単量体及びその使用量並びに第2重合工程に用いられるスチレン系単量体は、(ポリアクリル酸アルキルエステル系樹脂微粒子)及び(ポリスチレン系樹脂粒子)に記載のとおりである。
【0049】
第1重合工程及び第2重合工程における条件は、用いる樹脂などにより適宜選択することができる。例えば、60〜120℃の温度で30〜300分間保持することにより第1重合反応を、120〜150℃の温度で30〜300分保持することにより第2重合反応を行うことができる。
【0050】
(発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
発泡性樹脂粒子は、重合後又は重合途中でポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより得られる。発泡剤を含浸させる温度としては、低いと、含浸に時間を要し、発泡性樹脂粒子の製造効率が低下することがある。一方、高いと、発泡性樹脂粒子同士の合着が多量に発生することがあるので、70〜130℃が好ましく、80〜120℃がより好ましい。
【0051】
(異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
本発明の異音防止用発泡性樹脂粒子は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、ステアリン酸亜鉛及びジイソブチルアジペートによって処理することにより製造することができる。
発泡性樹脂粒子をステアリン酸亜鉛及びジイソブチルアジペートで処理する方法は、発泡性樹脂粒子表面にステアリン酸亜鉛及びジイソブチルアジペートが存在する状態に置くこと、発泡性樹脂粒子をステアリン酸亜鉛及びジイソブチルアジペートを被覆、塗布又は付着すること、或いはこれらに類する行為を施すことができる方法であれば特に限定されず、発泡性樹脂粒子とステアリン酸亜鉛及びジイソブチルアジペートとを容器又は袋、例えばポリエチレン製袋(大倉工業社製 No.15 0.03mm×300mm×450mm)などの中で手もみ又は混合する方法、或いは、当業者に公知の混合装置、例えばタンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製 型式FM−20B 混合槽容量20L)などを用いて混合する方法などが挙げられる。
【0052】
ステアリン酸亜鉛の添加量は、発泡性樹脂粒子に対して0.5重量%以上3.0重量%以下である。0.5重量%未満であると発泡成形体に十分な異音防止性を付与することができないことがあり、3.0重量%を超えると十分な融着性が得られないことがある。ステアリン酸亜鉛の添加量は、好ましくは0.7重量%以上2.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以上2.5重量%以下である。
【0053】
ジイソブチルアジペートの添加量は、発泡性樹脂粒子に対して0.01重量%以上0.1重量%以下である。0.01重量%未満であると十分な融着性を得られないことがあり、0.1重量%を超えると予備発泡時に樹脂粒子がブロッキングを起こすことがある。ジイソブチルアジペートの添加量は、好ましくは0.02重量%以上0.08重量%以下、より好ましくは0.03重量%以上0.07重量%未満である。
【0054】
上記の処理は、ステアリン酸亜鉛及びジイソブチルアジペートに加えて、ポリエチレングリコール及び/又は流動パラフィン、パーフルオロポリエーテル、ラノリン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの化合物等を更に含む異音防止用組成物を用いて行うこともできる。
【0055】
上記異音防止用組成物がポリエチレングリコールを含む場合、その添加量は、発泡性樹脂粒子に対して0.5重量%以下であることが好ましい。0.5重量%を超えると発泡性樹脂粒子のベトツキが多くなり取り扱い難くなることがある。ポリエチレングリコールの添加量は、より好ましくは0.05重量%以上0.5重量%未満、更に好ましくは0.07重量%以上0.45重量%未満である。
【0056】
上記異音防止用組成物が流動パラフィン、パーフルオロポリエーテル並びにラノリン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含む場合、その添加量については、上記<その他の成分>に記載したこれらの含有量と略同一である。
【0057】
[予備発泡粒子]
本発明の予備発泡粒子は、本発明の異音防止用発泡性樹脂粒子を公知の方法で予備発泡させることにより得ることができる。予備発泡においては、必要に応じて発泡する際にスチームと同時に空気を導入してもよい。
【0058】
予備発泡における条件は、用いる樹脂粒子や所望の物性等により適宜選択すればよい。例えば、ゲージ圧力は、好ましくは0.01〜0.04MPa程度であり、より好ましくは0.01〜0.03MPa、さらに好ましくは0.015〜0.02MPaである。
また、時間は、好ましくは30〜300秒程度であり、より好ましくは60〜240秒、さらに好ましくは90〜180秒である。
【0059】
本発明の予備発泡粒子は、0.016g/cm3以上0.1g/cm3以下の密度を有するのが好ましい。予備発泡粒子の密度が0.016g/cm3未満では、発泡成形体の耐衝撃性が低下することがある。一方、予備発泡粒子の密度が0.1g/cm3を超えると、発泡成形体を包装材、緩衝材として使用するときに重量的に大きくなり、経済的に不利になることがある。より好ましい予備発泡粒子の密度は、0.018g/cm3以上0.05g/cm3以下である。
【0060】
予備発泡粒子のステアリン酸亜鉛の含有量は、予備発泡粒子に対して0.5重量%以上3.0重量%以下であることが好ましい。0.5重量%未満であると発泡成形体に十分な異音防止性を付与することができないことがあり、3.0重量%を超えると十分な融着性が得られないことがある。ステアリン酸亜鉛の含有量は、0.7重量%以上2.5重量%以下であることがより好ましく、0.8重量%以上2.3重量%以下であることが更に好ましい。ステアリン酸亜鉛の含有量は、島津製作所製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000を用いて誘導結合プラズマ(ICP)法により測定された量である。ICP法については、以下の実施例において詳述する。
【0061】
予備発泡粒子のジイソブチルアジペートの含有量は、予備発泡粒子に対して0.008重量%以上0.1重量%以下であることが好ましい。0.008重量%未満であると十分な融着性が得られないことがあり、0.1重量%を超えると予備発泡時に樹脂粒子がブロッキングを起こすことがある。ジイソブチルアジペートの含有量は、0.01重量%以上0.08重量%以下であることがより好ましく、0.02重量%以上0.07重量%以下であることが更に好ましい。ジイソブチルアジペートの含有量は、島津製作所製 ガスクロマトグラフ質量分析計 QP2010SEを用いてGC/MS分析された量である。GC/MS分析については、以下の実施例において詳述する。
【0062】
[発泡成形体]
本発明の発泡成形体は、本発明の予備発泡粒子を公知の方法で型内発泡成形することにより得ることができ、本発明の予備発泡粒子を成形機に内蔵された成形型内で融着一体化させて得るのが好ましい。具体的には、本発明の予備発泡粒子が発泡成形機の金型内に充填され、再度加熱されることにより、発泡しながら、発泡粒子同士が熱融着することにより発泡成形体が得られる。
【0063】
発泡成形における条件は、用いる樹脂粒子や所望の物性等により適宜選択すればよい。例えば、ゲージ圧力は、好ましくは0.06〜0.10MPa程度であり、より好ましくは0.06〜0.09MPa、さらに好ましくは0.06〜0.08MPaである。
また、加熱時間は、好ましくは15〜60秒程度であり、より好ましくは20〜50秒、さらに好ましくは25〜40秒である。
【0064】
発泡成形体のステアリン酸亜鉛の含有量は、発泡成形体に対して0.5重量%以上3.0重量%以下であることが好ましい。0.5重量%未満であると十分な異音防止性を発揮しないことがあり、3.0重量%を超えると十分な融着性が得られないことがある。ステアリン酸亜鉛の含有量は、0.7重量%以上2.5重量%以下であることがより好ましく、1.0重量%以上2.5重量%以下であることが更に好ましい。ステアリン酸亜鉛の含有量は、島津製作所製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000を用いて誘導結合プラズマ(ICP)法により測定された量である。ICP法については、以下の実施例において詳述する。
【0065】
発泡成形体のジイソブチルアジペートの含有量は、発泡成形体に対して0.008重量%以上0.1重量%以下であることが好ましい。0.008重量%未満であると十分な融着性が得られないことがある。ジイソブチルアジペートの含有量は、0.01重量%以上0.08重量%以下であることがより好ましく、0.02重量%以上0.07重量%以下であることが更に好ましい。ジイソブチルアジペートの含有量は、島津製作所製 ガスクロマトグラフ質量分析計 QP2010SEを用いてGC/MS分析された量である。GC/MS分析については、以下の実施例において詳述する。
【0066】
(異音防止性)
本発明の発泡成形体は、好ましくは10dB以下、より好ましくは5dB以下の異音防止性を有する。ここで、異音防止性とは、試験片と塗装鋼板を擦るときに生じる擦れ音と、試験片と塗装鋼板を擦る前のその雰囲気下(恒温室内)の騒音である暗騒音との差を意味する。擦れ音及び暗騒音は騒音計を用いて測定するが、詳細な測定方法については以下の実施例に詳述する。
【0067】
(融着率)
本発明の発泡成形体は、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上の融着率を有する。融着率の測定方法については以下の実施例に詳述する。
【0068】
本発明の発泡成形体は、JIS K7125:1999による摩擦係数試験に従って0.8N以下、好ましくは0.75N以下、より好ましくは0.70N以下の最大点荷重を有する。最大点荷重は、ステアリン酸亜鉛の含有量が少ない場合に大きくなる傾向がある。最大点荷重の測定方法については、実施例において詳述する。
【0069】
本発明の発泡成形体は、JIS K7221−1:2006に従って、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上の曲げ破断点変位量を有する。曲げ破断点変位量は、ステアリン酸亜鉛の含有量が多い場合又はジイソブチルアジペートの含有量が少ない場合に小さくなる傾向がある。曲げ破断点変位量の測定方法については、実施例において詳述する。
【0070】
本発明の発泡成形体は、乗員下肢部保護材、頭部保護材、側突パッド、バンパー芯材、床下嵩上げ材、ラゲージボックス、座席シート部材のいずれかから選択される自動車用部材に用いることができる。
【0071】
本発明の発泡成形体は、難燃剤を更に含んでいることが好ましい。難燃剤を含ませることにより発泡成形体に難燃性を付与することができ、発泡成形体を自動車用部材用途、例えば乗員下肢部保護材、頭部保護材、側突パッド、バンパー芯材、床下嵩上げ材、ラゲージボックス、座席シート部材のいずれかに用いる場合に好適である。
難燃剤は、特に限定されず、天然又は当業者に公知の方法によって製造されるものを用いることができるが、臭素系難燃剤であることが好ましい。臭素系難燃剤としては、例えば、テトラブロモビスフェノールAまたはその誘導体(例えばテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(アリルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、テトラブロモシクロオクタン)及びトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、テトラブロモシクロオクタンからなる群から選択される難燃剤が挙げられる。難燃剤は、当業者に公知の市販製品であってもよい。このような市販製品としては、第一工業製薬社製 ピロガードSR−130(テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル))、日本化成社製 TAIC−6B(トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート)、第一工業製薬社製 ピロガードFR−200S(テトラブロモシクロオクタン)などが挙げられる。難燃剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
難燃剤の含有量は、発泡成形体に対して0.3重量%以上3.0重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以上2.0重量%以下であることがより好ましい。
その他、自動車用部材に用いられる発泡成形体には、物性を損なわない範囲内において、難燃助剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤が添加されていてもよい。
【0072】
本発明の発泡成形体は、FMVSS 302(米国自動車安全基準)に従って、好ましくは80mm/分以下の燃焼速度を有する。燃焼速度は、発泡成形体に難燃剤を含ませることにより低減する傾向がある。燃焼速度の測定方法については、実施例において詳述する。
【実施例】
【0073】
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。なお、以下において、特記しない限り、「%」は重量基準である。
【0074】
<ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径>
ロータップ型篩振とう機(飯田製作所製)を用いて、篩目開き4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mm、0.85mm、0.71mm、0.60mm、0.50mm、0.425mm、0.355mm、0.300mm、0.250mm、0.212mm及び0.180mmのJIS標準篩(JIS Z8801−1:2000)で試料約50gを10分間分級し、篩網上の試料重量を測定する。得られた結果から累積重量分布曲線を作成し、累積重量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とする。
【0075】
<ポリアクリル酸エステル系樹脂微粒子の平均粒子径>
複合ポリスチレン系樹脂粒子をエポキシ樹脂中に包埋させ、樹脂粒子を含むエポキシ樹脂をウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ製、LEICA ULTRACUT UCT)を用いて加工して超薄切片を作成し、その断面を四酸化ルテニウムで染色する。
次いで、染色面を超薄切片とし、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、H−7600)にて5000倍で写真撮影を行う。撮影した写真をA4用紙に1画像となるように拡大印刷し、画像中の150mm×150mmの範囲における任意に選択した30個のゴム(ポリアクリル酸エステル系樹脂微粒子)の長径と短径を測定し、平均して微粒子1つ当りの平均粒子径とする。得られた総平均粒子径を算出し、ポリアクリル酸エステル系樹脂微粒子の平均粒子径とする。
【0076】
<異音防止用発泡性樹脂粒子の表面におけるステアリン酸亜鉛量>
前処理として、発泡性樹脂粒子0.03〜0.5gを50mL三角フラスコに精秤する。これに5N塩酸10mLを注加して10分間撹拌する。更に蒸留水20mLを注加して10分間撹拌する。次いで、No.7濾紙で濾過後、濾液をICP測定用試験液とする。試験液を下記条件にて測定し、検量線より試験液中の亜鉛濃度を求めた後で樹脂表面残存亜鉛量を次式より算出する。試験液中の亜鉛濃度が検量線の上限を超えている場合は、試験液を範囲内になるように蒸留水で希釈する。
樹脂表面残存亜鉛量(重量%)=試験液中亜鉛濃度(μg/mL)×30(mL)÷試料重量(g)÷10,000
更に、次式より換算ステアリン酸亜鉛量を得られた樹脂表面残存亜鉛量から分子量換算により算出する。
換算ステアリン酸亜鉛量(重量%)=樹脂表面残存亜鉛量(重量%)×(632.33/65.39)
【0077】
(ICP測定条件)
測定装置:島津製作所(株)製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000
測定元素:Zn(213.856nm)
観測方向=軸方向,高周波出力=1.20kw,キャリアー流量=0.7L/min,プラズマ流量=10.0L/min,補助流量=0.6L/min,露光時間=30秒
検量線用標準液:米国SPEX社 XSTC−13(汎用混合標準溶液) 31元素混合(ベース5%HNO3)−各約10mg/L
検量線作成方法:上記混合標準液を蒸留水で段階的に希釈調製して0ppm(BK)、0.2ppm、1ppm、2.5ppm、5ppm標準液を作成する。各濃度の標準液を上記条件にて測定し、Zn元素の波長のピーク強度を得る。濃度とピーク強度をプロットして最小二乗法により近似曲線(直線あるいは二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
なお、発泡時の結合防止などの目的で発泡性樹脂粒子の表面が処理されている場合には、処理に用いたステアリン酸亜鉛も合計して測定される。
【0078】
<予備発泡粒子、発泡成形体のステアリン酸亜鉛量>
前処理として、測定試料約0.03〜0.5gを坩堝に精秤して450℃×5hr灰化後、濃塩酸2mLで処理する。不溶分をNo.7濾紙で濾過後、50mLにメスアップしてICP測定用試験液とする。試験液を下記条件にて測定し、検量線より試験液中亜鉛濃度を求めた後で樹脂中亜鉛量を次式より算出する。試験液中の亜鉛濃度が検量線の上限を超える場合は、検量線の範囲内になるように試験液を蒸留水で希釈する。
樹脂中亜鉛量(重量%)=試験液中亜鉛濃度(μg/mL)×50(mL)÷試料重量(g)÷10,000
更に、次式より換算ステアリン酸亜鉛量を得られた樹脂中亜鉛量から分子量換算により算出する。
換算ステアリン酸亜鉛量(重量%)=樹脂中亜鉛量(重量%)×(632.33/65.39)
【0079】
(ICP測定条件)
測定装置:島津製作所(株)製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000
測定元素:Zn(213.856nm)
観測方向=軸方向,高周波出力=1.20kw,キャリアー流量=0.7L/min,プラズマ流量=10.0L/min,補助流量=0.6L/min,露光時間=30秒
検量線用標準液:米国SPEX社 XSTC−13(汎用混合標準溶液) 31元素混合(ベース5%HNO3)−各約10mg/L
検量線作成方法:上記混合標準液を蒸留水で段階的に希釈調製して0ppm(BK)、0.2ppm、1ppm、2.5ppm、5ppm標準液を作成する。各濃度の標準液を上記条件にて測定し、Zn元素の波長のピーク強度を得る。濃度とピーク強度をプロットして最小二乗法により近似曲線(直線あるいは二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
(灰化条件)
測定装置:電気炉 マッフル炉STR−15K(株式会社いすず製)
灰化条件:450℃×5hr(試料量=約0.03〜0.5g)
【0080】
<異音防止用発泡性樹脂粒子のポリエチレングリコール量>
測定試料0.1〜0.2gを50mLビーカーに精秤する。試薬特級トルエン10mLを添加後ホットプレートで加熱して試料を溶解させ、この溶液をメタノール約35mL中に滴下し、樹脂分の再沈殿操作を行う。滴下終了後室温(20〜25℃)で約1時間攪拌し、ポリエチレングリコールを十分溶出させNo.5A濾紙で濾過し、その濾液をメスフラスコに入れメタノールを加えて50mLに定容する。
定容液中のポリエチレングリコール濃度が、ピーク検出されないレベルの場合は、更にこの定容液をメスシリンダーで20mL採取し、減圧(50℃水恒温槽中で約240hPaまで減圧)下で濃縮後2mLメスフラスコを用いてメタノールで定容する。
次いで、定容液を非水系0.45μmクロマトディスクで濾過し、次の条件でHPLC測定する。また、検量線作成方法は以下の通りであり、ポリエチレングリコールの約10,000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して約10ppm、15ppm、30ppm、50ppm、100ppmの検量線作成用標準液を調製する。
各濃度の標準液を下記条件にて測定し、クロマトグラムピーク上の面積値を得る。サンプルの面積値を間に挟む3点の標準液を選び各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0081】
(測定条件)
測定装置 島津製作所製 液体クロマトグラフ装置 LC−10Avp
カラム TSKgel ODS−80TS QA 4.6×150(TOSOH社製)
試験数 1
測定条件 カラム温度:40℃
移動相:メタノール
移動相流量:0.7mL/分
ポンプ温度:室温(20〜25℃)
測定時間:8分
検出:蒸発光散乱
注入量:50μL
検出器 蒸発光散乱検出器 ELSD−2000(Altech社製)
Drift Tube temp. :60℃
GAS Flow:1.6mL/分
GAIN:1(Impactor=off)
なお、帯電防止などの目的で発泡性樹脂粒子の表面が処理されている場合には、処理に用いたポリエチレングリコールも合計して測定される。
【0082】
<異音防止用発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体のジイソブチルアジペート量>
測定試料約0.1〜0.2gを50mL三角フラスコに精秤する。これに試薬特級トルエン約10mLを注加して、ホットプレート上で加熱して溶解させる。100mLビーカーにメタノール約30〜35mLを入れ、この中に前記溶解液を滴下して再沈澱操作を実施する。1時間程度撹拌後にNo.5A濾紙で濾過後、濾液をメタノールで50mLに定容する。次いで、2mLメスフラスコに内部標準液ピレン20μL(1000ppm)を入れ、上記液でメスアップし、次の条件でGC/MS分析する。
得られたクロマトグラムのジイソブチルアジペートのピーク面積を、内部標準物質であるピレンのピーク面積に対する相対感度として予め作成したジイソブチルアジペート(6.15ppm、24.6ppm、61.5ppm)の検量線より定量する。さらに、試料重量と抽出液量から下記式にて含有量(重量%)を算出する。
ジイソブチルアジペート量(重量%)=試験液中濃度(μg/mL)×抽出液量50(mL)÷試料重量(g)÷10,000
【0083】
(測定条件)
測定装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフ質量分析計 QP2010SE
カラム: ZB−5MS(0.25μm×0.25mmφ×30m、Phenomenex社製)
GCオーブン昇温条件:初期温度70℃(1min保持)
第1段階昇温速度 15℃/min(260℃まで0min保持)
第2段階昇温速度 10℃/min(300℃まで)
最終温度 300℃(3min保持)
キャリアーガス:ヘリウム
全流量・カラム流量:52mL/min・1.02mL/min
カラム入口圧:74.9kPa
検出器:1.00kV
注入口温度:300℃
インターフェース温度:260℃
イオン原温度:260℃
スプリット比:1/50 (内部標準法)
試験液注入:2μl(オートサンプラー使用)
測定モード:SIM法(M/Z=129、185、200、202)
内部標準液:ピレン
【0084】
<異音防止用発泡性樹脂粒子の難燃剤量>
蛍光X線測定装置RIX-2100(株式会社リガク製)を用いて、下記条件にてBr−Kβ1の強度測定を行い、オーダー分析法により、Brの含有元素量を求める。
測定試料は、試料2〜3gを温度200〜230℃にて熱プレス成型機を用いてプレスを行い、厚み1mm、直径30mmのタブレットを作成し、坪量を算出したあと、装置専用の試料ケース(30mm径測定用)にセットすることにより調製する。
難燃剤の分子量換算値は上記方法で求めたBr量より次式で算出する。例えば、難燃剤がトリス−(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートである場合、分子量換算値=Br量×728.7/479.4となる。
【0085】
(装置条件)
装置:RIX-2100(株式会社リガク製)
X線管球ターゲット:Rh
分析法:オーダー分析 FP薄膜法
測定径:30mm
スピン:する
雰囲気:Vac
試料形態:金属
バランス成分:C8H8
試料保護膜補正:なし
スムージング:11点
フラックス成分、希釈率、不純物除去:なし
【0086】
(定性元素条件)
Br−Kβ1
管球:Rh(50kV−60mA)
1次フィルタ:OUT
アッテネータ:1/1
スリット:Std.
分光結晶:LIF1
2θ:26.775deg(測定範囲:24〜29deg)
検出器:SC
PHA L.L.:100 U.L.:300
ステップ:0.02deg
時間:0.4sec
【0087】
<予備発泡粒子の密度及び発泡倍数>
予備発泡粒子の密度及び発泡倍数を次のように測定する。
約5gの予備発泡粒子の重量(a)を小数以下2位で秤量し、最小メモリ単位が5cm3である500cm3メスシリンダーに秤量した予備発泡粒子を入れる。次に、メスシリンダーの口に、その口径よりやや小さい円形の樹脂板であって、その中心に巾約1.5cm、長さ約30cmの棒状の樹脂板が直立して固定された押圧具を当てて、予備発泡粒子の体積(b)を読み取る。
得られた予備発泡粒子の重量(a)及び予備発泡粒子の体積(b)から、次式により
予備発泡粒子の密度(g/cm3)=(a)/(b)、発泡倍数=密度の逆数=(b)/(a)
を求める。
【0088】
<発泡成形体の成形性>
発泡倍数40倍の予備発泡粒子を常温(温度20±3℃、相対湿度50±5%)で24時間熟成させ、内寸300mm×400mm×30mm(厚さ)の直方体形状のキャビティを有する成形金型を備えた発泡ビーズ自動成型機(積水工機製作所社製、ACE−3SP)のキャビティ内に充填し、次の条件でスチーム加熱及び冷却した後に発泡成形体を金型から取り出し、発泡成形体を得る。
得られた発泡倍数40倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、発泡成形体の外観を次の基準で評価する。
(成形条件)
金型加熱=5秒
一方加熱=10秒
逆一方加熱=5秒
両面加熱=15秒
水冷=10秒
設定蒸気圧=0.06MPa、0.07MPa、0.08MPa
(評価基準)
◎(優):成形体表面が十分に伸びかつ表面が溶融した予備発泡粒子が全くない(予備発泡粒子間の間隙が無く、成形体表面が非常に平滑で成形体外観が非常によい)
○(良):予備発泡粒子間の間隙が非常に少なく、成形体表面がほぼ平滑で成形体外観が良好である
×(不可):成形体表面の伸び不足或いは表面が溶融した予備発泡粒子が存在し、成形体表面に間隙が無数にあり、成形体外観が劣る
【0089】
<発泡成形体内部の融着>
所定の発泡倍数の発泡成形体から任意に300mm×100mm×30mm(厚さ)の表皮付き試験片を切り出し、長辺の中央部より100mm×30mm面が破断するように破断させ、破断面の粒子の個数を計測する。次に粒子の中央部より破断しているもの(融着しているもの)の個数を計測する。
上記の計測結果から下記式により発泡成形体内部の融着率を算出し、発泡成形体の融着性を次の基準で評価する。
融着率(%)=融着している粒子数/全粒子数×100
(評価基準)
◎(優):発泡成形体内部の融着率が80%以上
○(良):発泡成形体内部の融着率が60%以上80%未満
×(不可):発泡成形体内部の融着率が60%未満
【0090】
<発泡成形体の曲げ破断点変位量>
JIS K7221−1:2006「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第1部 曲げ試験」に記載の方法に準拠して曲げ強さを測定する。
得られた発泡倍数40倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から25mm×130mm×20mm(厚さ)の試験片を切り出す。試験片は、JIS K7100:1999の記号23/50、2級環境下で16時間状態調節したのち同環境下で測定を行う。
次いで、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、UCT−10T)に先端冶具として加圧くさび5R及び支持台5Rを装着し、支点間距離100mmで試験片をセットし、圧縮速度10mm/分の条件で曲げ試験を行う。加圧くさびで圧縮する試験片面(25mm×130mm)のみ表皮付きとした。試験片の数は5個とする。この試験において、万能試験機データ処理(UTPS−237Sソフトブレーン株式会社製)を用い、破断検出感度を0.5%に設定し、直前荷重サンプリング点と比較して、その減少が設定値0.5%を超えた時、直前のサンプリング点を曲げ破断点変位量(mm)として測定する。
なお、設定蒸気圧0.08MPaで型内成形した発泡成形体を使用する。
得られた曲げ破断点変位量を次の基準で評価する。曲げ破断点変位量が大きいほど発泡成形体の柔軟性が大きいことを示す。
◎(優):曲げ破断点変位量が15mm以上
○(良):曲げ破断点変位量が10mm以上15mm未満
×(不可):曲げ破断点変位量が10mm未満
【0091】
<発泡成形体の摩擦係数試験による最大点荷重>
JIS K7125:1999「プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法」に記載の方法に準拠して最大点荷重を測定する。
得られた発泡倍数40倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から63mm×63mm×5mm(厚さ)の試験片を切り出す。試験片及び相手材料は、JIS K7100:1999の記号23/50、2級環境下で16時間状態調節したのち同環境下で測定を行う。滑り相手材料は塗装鋼板(日新製鋼社製、商品名:月星GLカラーSELiOS/GLエナメル クリーン/ストロークリーム、厚み:0.27mm)とする。
次いで、試験片を200g滑り片に両面テープで張り付け、滑り相手材料の上を試験速度100mm/分、試験距離80mmとし、スプリングを使用せず、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、UCT−10T)を剥離試験モードとして測定する。この試験において、データ処理は万能試験機データ処理(UTPS−237Sソフトブレーン株式会社製)を用いる。滑り相手材料と接する試験片面(63mm×63mm)は表皮付きとする。試験片の数は3個とする。
なお、設定蒸気圧0.08MPaで型内成形した発泡成形体を使用する。
【0092】
<発泡成形体の燃焼速度>
FMVSS 302(米国自動車安全基準)に準拠し、燃焼速度を測定する。なお、試験片は、発泡倍数40倍、350mm×100mm×12mm(厚さ)で少なくとも350mm×100mmの2面は表皮が有るものとする。
FMVSS 302によれば、発泡成形体を自動車室内の構造部材として用いる場合、燃焼速度80mm/分以下であることが望まれている。そこで、以下の基準を設ける。
◎(優):着火しない(炎が当たっている部分のみが溶けて、炎が消える)、又は着火するが測定開始線までに炎が消える。
○(良):燃焼速度が80mm/分以下
×(不可):燃焼速度が80mm/分超
【0093】
<発泡成形体の異音防止性>
設定蒸気圧0.08MPaで型内成形した発泡成形体(発泡倍数40倍)から試験片50mm×50mm×30mm(厚さ)を切り出し、50mm×50mmの2面は表皮が有るものとする。
試験片は、温度20±3℃、相対湿度50±5%の恒温室内に24時間放置する。
その後、図1の擦れ音評価装置を用いて試験片と塗装鋼板との擦れ音を騒音計により測定する。
滑り相手材料は塗装鋼板(日新製鋼社製、商品名:月星GLカラーSELiOS/GLエナメル クリーン/ストロークリーム、厚み:0.27mm)とする。
図1中、参照番号1は試験片を表す。参照番号2は騒音計を表す。参照番号3は塗装鋼板を表す。参照番号4はグリップを表す。参照番号5は手動式スライド台を表す。参照番号6はローラーを表す。参照番号7は荷重受台を表す。参照番号8は錘を表す。参照番号aは試験片1と騒音計2との距離を表す。参照番号bは手動式スライド台5のスライドストロークを表す。
【0094】
具体的な測定方法としては、まず、試験片1の表皮面(50mm×50mm面)の一方を両面テープで上下可動式(図1中、荷重受台7にまたがる上下方向の矢符)の荷重受台7(自重2kg)に接着する。その後、荷重受台7に接着した試験片1が塗装鋼板3に接するまで下げ、密着させる。塗装鋼板3と手動式スライド台5は接着している。次いで、荷重受台7に10kgの錘8を載せる。試験片1からの距離aを10cmとして騒音計2(ケニス社製 デジタル騒音計390)を設置する。
騒音計2にて暗騒音を測定する。暗騒音とは試験片1と塗装鋼板3を擦る前のその雰囲気下(恒温室内)の騒音であり、暗騒音が38dB以下であることを確認し、その時の暗騒音を記録する。
続いて、グリップを持ちスライドストロークbを5cm、スライドスピードを10cm/secとして5往復させ、その間の擦れ音の最大値を記録し、暗騒音との差を算出する。
得られた擦れ音と暗騒音の差を次の基準で評価する。差が小さいほど擦れ音が発生していないことを示す。
◎(優):擦れ音と暗騒音の差が5dB以下
○(良):擦れ音と暗騒音の差が5dB超10dB以下
×(不可):擦れ音と暗騒音の差が10dB超
【0095】
実施例1
(複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
内容積100リットルの撹拌機付き重合容器に、水40kg、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2gを供給し撹拌しながらスチレンモノマー40kg並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28gを添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に125℃に昇温してから2時間後に60℃以下に冷却してポリスチレン系樹脂種粒子を得た。
【0096】
前記ポリスチレン系樹脂種粒子を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mm(平均粒子径D50=0.66mm)のポリスチレン系樹脂種粒子を得た。
次に、内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水2000g、前記篩分けしたポリスチレン系樹脂種粒子500g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム10g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4gを供給して撹拌しながら75℃に昇温した。
【0097】
次に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド0.6gとポリブタジエン末端アクリレート(大阪有機化学工業社製、製品名:BAC−45)10gを溶解させたアクリル酸ブチル200gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、75℃で60分保持後、90℃に昇温して60分保持し、更に130℃に昇温して2時間保持した。
【0098】
その後、75℃の温度に下げ、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド5.2g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.75gを溶解させたスチレンモノマー200gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内にスチレンモノマーを吸収させ、75℃で60分保持した。
【0099】
続いて、反応液を75℃から120℃まで180分で昇温しつつ、かつスチレンモノマー1100gを75℃から115℃まで160分間で重合容器内に一定量ずつ供給した。次いで120℃に昇温した後、更に140℃に昇温して2時間経過後に60℃以下に冷却し、複合ポリスチレン系樹脂粒子(平均粒子径D50=1.05mm)を得た。
【0100】
(発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
次いで、内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水1500g、前記複合ポリスチレン系樹脂粒子1800g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム7.2g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.26gを供給して撹拌しながら75℃に昇温した。
【0101】
次に12−ヒドロキシステアリン酸アミド9gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1gを水200gに予備溶解し、前記5リットル重合容器に供給した。
次いで、難燃剤としてテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル14.4gと難燃助剤としてジクミルパーオキサイド5.4g、シクロヘキサン9g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1gを水500gに予備溶解し、前記5リットル重合容器に供給し、75℃で30分保持した。
【0102】
続いて、反応液を100℃に昇温した。次に、発泡剤としてn−ペンタン/イソペンタン=75/25〜85/15のペンタン(ガス種A=コスモ石油社製、製品名ペンタン)144gを前記5リットル重合容器に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却し、重合容器内から取り出し、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0103】
続いて、乾燥させ、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子に対してステアリン酸亜鉛0.08重量%、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.08重量%及びポリエチレングリコール(MW=300)0.05重量%からなる組成物で発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を処理し、13℃の恒温室内に7日間放置した。
【0104】
(異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
13℃の恒温室内に7日間放置した発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子1000gとステアリン酸亜鉛(大日化学工業社製、ダイワックスZF)10g、ジイソブチルアジペート(田岡化学工業社製、DI4A)0.5g、ポリエチレングリコール(三洋化成工業社製、PEG−300)2gからなる組成物をポリエチレン製袋(大倉工業社製、No.15、0.03mm×300mm×450mm)に入れ、1分間混合し、異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0105】
(予備発泡粒子の製造)
次いで、処理後、スチームで予熱した常圧予備発泡機に異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を投入し、撹拌しながら約0.02MPaの設定でスチームを導入して、約2〜3分間で40倍の発泡倍数まで予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
【0106】
(発泡成形体の製造)
その後、予備発泡粒子を常温(温度20±3℃、相対湿度50±5%)で24時間熟成させ、内寸300mm×400mm×30mm(厚さ)の直方体形状のキャビティを有する成形金型を備えた発泡ビーズ自動成型機(積水工機製作所社製、ACE−3SP)のキャビティ内に充填し、次の条件でスチーム加熱及び冷却した後に発泡成形体を金型から取り出し、発泡成形体を得た。
(成形条件)
金型加熱=5秒
一方加熱=10秒
逆一方加熱=5秒
両面加熱=15秒
水冷=10秒
設定スチーム圧=0.06、0.07、0.08MPa
【0107】
実施例2
発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、難燃剤としてテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル14.4gをトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート14.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛6g、ジイソブチルアジペート0.2g、ポリエチレングリコール0.5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0108】
実施例3
発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、難燃剤としてテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル14.4gをテトラブロモシクロオクタン14.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛25g、ジイソブチルアジペート0.8g、ポリエチレングリコール5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0109】
実施例4
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物に流動パラフィン(松村石油社製、スモイルP−200)1gを追加したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0110】
実施例5
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛15g、ジイソブチルアジペート0.5g、ポリエチレングリコール2g、流動パラフィン3gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0111】
実施例6
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛20g、ジイソブチルアジペート0.8g、ポリエチレングリコール2g、流動パラフィン2gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0112】
実施例7
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛10g、ジイソブチルアジペート0.3g、ポリエチレングリコール1g、流動パラフィン2g、パーフルオロポリエーテルエマルジョン(中京油脂社製、T−198、純分60重量%、粘度57mPa・s/25℃、pH=8.2/10倍希釈液)1.33gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0113】
実施例8
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛20g、ジイソブチルアジペート0.5g、ポリエチレングリコール1g、流動パラフィン2g、パーフルオロポリエーテルエマルジョン5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0114】
実施例9
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分、成分量をパーフルオロポリエーテルエマルジョン1.33gをラノリンエマルジョン(中京油脂社製、T−256、純分50重量%、粘度135mPa・s/25℃、pH=6.3/10倍希釈液)1.6gに変更したこと以外は実施例7と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0115】
実施例10
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分、成分量をパーフルオロポリエーテルエマルジョン5gをラノリンエマルジョン6gに変更したこと以外は実施例8と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0116】
実施例11
実施例1と同様にして製造したポリスチレン系樹脂粒子を種粒子(粒子径0.5〜0.71mm、平均粒子径D50=0.66mm)とした。
100リットルの攪拌機付重合容器に水30kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4g、ピロリン酸マグネシウム100gを供給した後、重合容器内に上記の種粒子11kgを供給して攪拌して水中に均一に分散させた。
【0117】
また、水6kgにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g及びピロリン酸マグネシウム20gを分散させてなる分散液を作製する一方、スチレン単量体5kgに重合開始剤のベンゾイルパーオキサイド88g及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート50gを溶解させてなるスチレン単量体溶液を作製し、このスチレン単量体溶液を上記分散液に添加してホモミキサーを用いて攪拌して乳濁化させて乳濁液を得た。
【0118】
そして、重合容器内を75℃に加熱、保持した上で重合容器内に上記乳濁液を添加し、ポリスチレン種粒子中にスチレン単量体及びベンゾイルパーオキサイドが円滑に吸収されるように30分間に亘って保持し、しかる後、重合容器内を75℃から112℃まで185分で昇温しつつ、かつ重合容器内にスチレン単量体28kgを75℃から108℃まで165分間で重合容器内に一定量ずつ供給した。次いで120℃まで昇温して90分間に亘って保持してシード重合によりポリスチレン粒子を得た。
【0119】
次に、重合容器内を1℃/分の降温速度にて90℃まで冷却した上で、重合容器内に難燃剤としてテトラブロモシクロオクタン440g、難燃助剤としてジクミルパーオキサイド132gを供給した。
そして、重合容器内に難燃剤を供給してから30分経過後に重合容器を密閉し、しかる後、発泡剤としてn−ブタン/イソブタン=60/40〜70/30のブタン(ガス種B=コスモ石油社製、製品名コスモブタンシルバー)3960gを窒素加圧によって重合容器内に30分間で圧入し、その状態で3時間保持した。
【0120】
しかる後、重合容器内を25℃まで冷却し、重合容器内から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を取り出して洗浄、脱水を複数回に亘って繰り返し行い、乾燥工程を経た後、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を分級して粒子径が0.85〜1.2mm、平均粒子径が1.1mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を上記で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に変更したこと以外は実施例5と同様にして異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0121】
実施例12
異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を実施例11で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に変更したこと以外は実施例8と同様にして異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0122】
実施例13
異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を実施例11で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に変更したこと以外は実施例10と同様にして異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0123】
実施例14
発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、発泡剤としてn−ペンタン/イソペンタン=75/25〜85/15のペンタン(ガス種A=コスモ石油社製、製品名ペンタン)144gをn−ブタン/イソブタン=60/40〜70/30のブタン(ガス種B=コスモ石油社製、製品名コスモブタンシルバー)162gに変更したこと以外は実施例10と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0124】
実施例15
13℃の恒温室内に7日間放置した実施例1の発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子4000gとステアリン酸亜鉛80gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、型式FM−20B、混合槽容量20L)に供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌した。次いで、更にジイソブチルアジペート3.2g、ポリエチレングリコール8g、流動パラフィン8gをヘンシェルミキサーに供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌することにより処理して異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。その後、実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0125】
実施例16
13℃の恒温室内に7日間放置した実施例1の発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子4000gとステアリン酸亜鉛80gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、型式FM−20B、混合槽容量20L)に供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌した。次いで、更にジイソブチルアジペート2g、ポリエチレングリコール4g、流動パラフィン8g、ラノリンエマルジョン24gをヘンシェルミキサーに供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌することにより処理して異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。その後、実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0126】
実施例17
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ポリエチレングリコールを無くしたこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0127】
実施例18
発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水1500g、実施例1の複合ポリスチレン系樹脂粒子1800g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム7.2g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.26gを供給して撹拌しながら75℃に昇温した。
次に12−ヒドロキシステアリン酸アミド9g、シクロヘキサン9gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2gを水700gに予備溶解し、前記5リットル重合容器に供給し、75℃で30分保持した。
続いて、反応液を100℃に昇温した。次に、発泡剤としてn−ペンタン/イソペンタン=75/25〜85/15のペンタン(ガス種A=コスモ石油社製、製品名ペンタン)144gを前記5リットル重合容器に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却し、重合容器内から取り出し、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
続いて、乾燥させ、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子に対してステアリン酸亜鉛0.08重量%、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.08重量%及びポリエチレングリコール(MW=300)0.05重量%からなる組成物で発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を処理し、13℃の恒温室内に7日間放置した。
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造においては、実施例5と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0128】
実施例19
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造においては、実施例18の発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子に変更したこと以外は、実施例10と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0129】
比較例1
実施例1において、異音防止用組成物による処理をせずに予備発泡したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0130】
比較例2
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸マグネシウム(日本油脂社製、マグネシウムステアレート)20g、ジイソブチルアジペート0.8g、ポリエチレングリコール3gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0131】
比較例3
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛3g、ジイソブチルアジペート0.3g、ポリエチレングリコール2g、流動パラフィン3gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0132】
比較例4
13℃の恒温室内に7日間放置した実施例1の発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子4000gとステアリン酸亜鉛200gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、型式FM−20B、混合槽容量20L)に供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて3分間に亘って撹拌した。次いで、更にジイソブチルアジペート3.2g、ポリエチレングリコール20gをヘンシェルミキサーに供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて3分間に亘って撹拌することにより処理して異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。その後、実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0133】
比較例5
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ジイソブチルアジペートを無くしたこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0134】
比較例6
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ジイソブチルアジペートを無くしたこと以外は実施例4と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0135】
比較例7
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、実施例11で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子4000gとステアリン酸アミド(日油社製、アルフローS−10)40g、エチレンビスステアリン酸アミド(花王社製、カオーワックスEB−FF)20gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、型式FM−20B、混合槽容量20L)に供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌することにより処理して異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。その後、実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0136】
比較例8
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、実施例11で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子1000g、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドの重量比7対3混合物(理研ビタミン社製、リケマールS−100)30gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0137】
比較例9
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、実施例11で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子4000gと無水石膏(ノリタケカンパニーリミテド社製、D−101A)40gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、型式FM−20B、混合槽容量20L)に供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌することにより処理して異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。その後、実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0138】
比較例10
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物のジイソブチルアジペートを0.08gに変更したこと以外は実施例2と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0139】
比較例11
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物のジイソブチルアジペートを1.5gに変更したこと以外は実施例3と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。しかし、予備発泡時に樹脂粒子が多量にブロッキングした為、発泡成形体を得るのに十分な予備発泡粒子を得ることができなかった。
【0140】
実施例1〜19及び比較例1〜10において得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を下記の表1及び2に示す。
【0141】
なお、表1において、難燃剤「a」はテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル(第一工業製薬社製,製品名ピロガードSR−130)である。難燃剤「b」はトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(日本化成社製,製品名TAIC−6B)である。難燃剤「c」はテトラブロモシクロオクタン(第一工業製薬社製,製品名ピロガードFR−200S)である。また、発泡剤「A」はn−ペンタン/i−ペンタン=75/25〜85/15のペンタン(コスモ石油社製,製品名ペンタン)であり、発泡剤「B」はn−ブタン/i−ブタン=60/40〜70/30のブタン(コスモ石油社製,製品名コスモブタンシルバー)である。更に、異音防止処理方法「1」は手ブレンド、「2」はヘンシェルミキサーによる処理を施したことを意味する。難燃剤及び発泡剤の添加量は、難燃剤及び発泡剤添加前のポリスチレン系樹脂粒子を100重量%としたときの添加量(重量%)を示し、異音防止用組成物中の各成分の添加量は発泡性樹脂粒子を100重量%としたときの添加量(重量%)を示す。
【0142】
また、表2において、異音防止用発泡性樹脂粒子のステアリン酸亜鉛量、ジイソブチルアジペート量及びポリエチレングリコール量は異音防止用発泡性樹脂粒子を100重量%としたときの含有量(重量%)を示し、予備発泡粒子のステアリン酸亜鉛量及びジイソブチルアジペート量は予備発泡粒子を100重量%としたときの含有量(重量%)を示し、発泡成形体のステアリン酸亜鉛量及びジイソブチルアジペート量は発泡成形体を100重量%としたときの含有量(重量%)を示す。
【0143】
【表1】
【0144】
【表2】
【0145】
表1及び2の結果は、本発明の発泡成形体が優れた異音防止性を有することを示す(実施例1〜19)。
一方、ステアリン酸亜鉛量が少ない場合(比較例1〜3)又はステアリン酸亜鉛を含まない場合(比較例7〜9)には、充分な異音防止性が得られ難いことを示す。また、ジイソブチルアジペートを含まない場合(比較例5及び6)、ジイソブチルアジペート量が少ない場合(比較例10)及びステアリン酸亜鉛量が多い場合(比較例4)には、十分な融着率が得られず、充分な曲げ破断点変位量を得ることができなかった。
なお、比較例11において、発泡成形体を得るのに十分な予備発泡粒子を得ることができなかったのは、ジイソブチルアジペート量が多かったためであると考えられる。
上記の結果より、本発明の異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体は、優れた融着性に加えて、優れた異音防止性を発揮することがわかる。
【符号の説明】
【0146】
1.試験片
2.騒音計
3.塗装鋼板
4.グリップ
5.手動式スライド台
6.ローラー
7.荷重受台(自重2kg、上下可動式)
8.錘(10kg)
a.騒音計からの距離:10cm
b.スライドストローク:5cm
図1