【実施例】
【0073】
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。なお、以下において、特記しない限り、「%」は重量基準である。
【0074】
<ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径>
ロータップ型篩振とう機(飯田製作所製)を用いて、篩目開き4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mm、0.85mm、0.71mm、0.60mm、0.50mm、0.425mm、0.355mm、0.300mm、0.250mm、0.212mm及び0.180mmのJIS標準篩(JIS Z8801−1:2000)で試料約50gを10分間分級し、篩網上の試料重量を測定する。得られた結果から累積重量分布曲線を作成し、累積重量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とする。
【0075】
<ポリアクリル酸エステル系樹脂微粒子の平均粒子径>
複合ポリスチレン系樹脂粒子をエポキシ樹脂中に包埋させ、樹脂粒子を含むエポキシ樹脂をウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ製、LEICA ULTRACUT UCT)を用いて加工して超薄切片を作成し、その断面を四酸化ルテニウムで染色する。
次いで、染色面を超薄切片とし、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製、H−7600)にて5000倍で写真撮影を行う。撮影した写真をA4用紙に1画像となるように拡大印刷し、画像中の150mm×150mmの範囲における任意に選択した30個のゴム(ポリアクリル酸エステル系樹脂微粒子)の長径と短径を測定し、平均して微粒子1つ当りの平均粒子径とする。得られた総平均粒子径を算出し、ポリアクリル酸エステル系樹脂微粒子の平均粒子径とする。
【0076】
<異音防止用発泡性樹脂粒子の表面におけるステアリン酸亜鉛量>
前処理として、発泡性樹脂粒子0.03〜0.5gを50mL三角フラスコに精秤する。これに5N塩酸10mLを注加して10分間撹拌する。更に蒸留水20mLを注加して10分間撹拌する。次いで、No.7濾紙で濾過後、濾液をICP測定用試験液とする。試験液を下記条件にて測定し、検量線より試験液中の亜鉛濃度を求めた後で樹脂表面残存亜鉛量を次式より算出する。試験液中の亜鉛濃度が検量線の上限を超えている場合は、試験液を範囲内になるように蒸留水で希釈する。
樹脂表面残存亜鉛量(重量%)=試験液中亜鉛濃度(μg/mL)×30(mL)÷試料重量(g)÷10,000
更に、次式より換算ステアリン酸亜鉛量を得られた樹脂表面残存亜鉛量から分子量換算により算出する。
換算ステアリン酸亜鉛量(重量%)=樹脂表面残存亜鉛量(重量%)×(632.33/65.39)
【0077】
(ICP測定条件)
測定装置:島津製作所(株)製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000
測定元素:Zn(213.856nm)
観測方向=軸方向,高周波出力=1.20kw,キャリアー流量=0.7L/min,プラズマ流量=10.0L/min,補助流量=0.6L/min,露光時間=30秒
検量線用標準液:米国SPEX社 XSTC−13(汎用混合標準溶液) 31元素混合(ベース5%HNO
3)−各約10mg/L
検量線作成方法:上記混合標準液を蒸留水で段階的に希釈調製して0ppm(BK)、0.2ppm、1ppm、2.5ppm、5ppm標準液を作成する。各濃度の標準液を上記条件にて測定し、Zn元素の波長のピーク強度を得る。濃度とピーク強度をプロットして最小二乗法により近似曲線(直線あるいは二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
なお、発泡時の結合防止などの目的で発泡性樹脂粒子の表面が処理されている場合には、処理に用いたステアリン酸亜鉛も合計して測定される。
【0078】
<予備発泡粒子、発泡成形体のステアリン酸亜鉛量>
前処理として、測定試料約0.03〜0.5gを坩堝に精秤して450℃×5hr灰化後、濃塩酸2mLで処理する。不溶分をNo.7濾紙で濾過後、50mLにメスアップしてICP測定用試験液とする。試験液を下記条件にて測定し、検量線より試験液中亜鉛濃度を求めた後で樹脂中亜鉛量を次式より算出する。試験液中の亜鉛濃度が検量線の上限を超える場合は、検量線の範囲内になるように試験液を蒸留水で希釈する。
樹脂中亜鉛量(重量%)=試験液中亜鉛濃度(μg/mL)×50(mL)÷試料重量(g)÷10,000
更に、次式より換算ステアリン酸亜鉛量を得られた樹脂中亜鉛量から分子量換算により算出する。
換算ステアリン酸亜鉛量(重量%)=樹脂中亜鉛量(重量%)×(632.33/65.39)
【0079】
(ICP測定条件)
測定装置:島津製作所(株)製 マルチタイプICP発光分光分析装置 ICPE−9000
測定元素:Zn(213.856nm)
観測方向=軸方向,高周波出力=1.20kw,キャリアー流量=0.7L/min,プラズマ流量=10.0L/min,補助流量=0.6L/min,露光時間=30秒
検量線用標準液:米国SPEX社 XSTC−13(汎用混合標準溶液) 31元素混合(ベース5%HNO
3)−各約10mg/L
検量線作成方法:上記混合標準液を蒸留水で段階的に希釈調製して0ppm(BK)、0.2ppm、1ppm、2.5ppm、5ppm標準液を作成する。各濃度の標準液を上記条件にて測定し、Zn元素の波長のピーク強度を得る。濃度とピーク強度をプロットして最小二乗法により近似曲線(直線あるいは二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
(灰化条件)
測定装置:電気炉 マッフル炉STR−15K(株式会社いすず製)
灰化条件:450℃×5hr(試料量=約0.03〜0.5g)
【0080】
<異音防止用発泡性樹脂粒子のポリエチレングリコール量>
測定試料0.1〜0.2gを50mLビーカーに精秤する。試薬特級トルエン10mLを添加後ホットプレートで加熱して試料を溶解させ、この溶液をメタノール約35mL中に滴下し、樹脂分の再沈殿操作を行う。滴下終了後室温(20〜25℃)で約1時間攪拌し、ポリエチレングリコールを十分溶出させNo.5A濾紙で濾過し、その濾液をメスフラスコに入れメタノールを加えて50mLに定容する。
定容液中のポリエチレングリコール濃度が、ピーク検出されないレベルの場合は、更にこの定容液をメスシリンダーで20mL採取し、減圧(50℃水恒温槽中で約240hPaまで減圧)下で濃縮後2mLメスフラスコを用いてメタノールで定容する。
次いで、定容液を非水系0.45μmクロマトディスクで濾過し、次の条件でHPLC測定する。また、検量線作成方法は以下の通りであり、ポリエチレングリコールの約10,000ppm中間標準液(メタノール溶液)を調製後、さらにメタノールで段階的に希釈して約10ppm、15ppm、30ppm、50ppm、100ppmの検量線作成用標準液を調製する。
各濃度の標準液を下記条件にて測定し、クロマトグラムピーク上の面積値を得る。サンプルの面積値を間に挟む3点の標準液を選び各濃度と面積値をプロットして最小二乗法により近似曲線(二次曲線)を求め、これを定量用の検量線とする。
【0081】
(測定条件)
測定装置 島津製作所製 液体クロマトグラフ装置 LC−10Avp
カラム TSKgel ODS−80TS QA 4.6×150(TOSOH社製)
試験数 1
測定条件 カラム温度:40℃
移動相:メタノール
移動相流量:0.7mL/分
ポンプ温度:室温(20〜25℃)
測定時間:8分
検出:蒸発光散乱
注入量:50μL
検出器 蒸発光散乱検出器 ELSD−2000(Altech社製)
Drift Tube temp. :60℃
GAS Flow:1.6mL/分
GAIN:1(Impactor=off)
なお、帯電防止などの目的で発泡性樹脂粒子の表面が処理されている場合には、処理に用いたポリエチレングリコールも合計して測定される。
【0082】
<異音防止用発泡性樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体のジイソブチルアジペート量>
測定試料約0.1〜0.2gを50mL三角フラスコに精秤する。これに試薬特級トルエン約10mLを注加して、ホットプレート上で加熱して溶解させる。100mLビーカーにメタノール約30〜35mLを入れ、この中に前記溶解液を滴下して再沈澱操作を実施する。1時間程度撹拌後にNo.5A濾紙で濾過後、濾液をメタノールで50mLに定容する。次いで、2mLメスフラスコに内部標準液ピレン20μL(1000ppm)を入れ、上記液でメスアップし、次の条件でGC/MS分析する。
得られたクロマトグラムのジイソブチルアジペートのピーク面積を、内部標準物質であるピレンのピーク面積に対する相対感度として予め作成したジイソブチルアジペート(6.15ppm、24.6ppm、61.5ppm)の検量線より定量する。さらに、試料重量と抽出液量から下記式にて含有量(重量%)を算出する。
ジイソブチルアジペート量(重量%)=試験液中濃度(μg/mL)×抽出液量50(mL)÷試料重量(g)÷10,000
【0083】
(測定条件)
測定装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフ質量分析計 QP2010SE
カラム: ZB−5MS(0.25μm×0.25mmφ×30m、Phenomenex社製)
GCオーブン昇温条件:初期温度70℃(1min保持)
第1段階昇温速度 15℃/min(260℃まで0min保持)
第2段階昇温速度 10℃/min(300℃まで)
最終温度 300℃(3min保持)
キャリアーガス:ヘリウム
全流量・カラム流量:52mL/min・1.02mL/min
カラム入口圧:74.9kPa
検出器:1.00kV
注入口温度:300℃
インターフェース温度:260℃
イオン原温度:260℃
スプリット比:1/50 (内部標準法)
試験液注入:2μl(オートサンプラー使用)
測定モード:SIM法(M/Z=129、185、200、202)
内部標準液:ピレン
【0084】
<異音防止用発泡性樹脂粒子の難燃剤量>
蛍光X線測定装置RIX-2100(株式会社リガク製)を用いて、下記条件にてBr−Kβ1の強度測定を行い、オーダー分析法により、Brの含有元素量を求める。
測定試料は、試料2〜3gを温度200〜230℃にて熱プレス成型機を用いてプレスを行い、厚み1mm、直径30mmのタブレットを作成し、坪量を算出したあと、装置専用の試料ケース(30mm径測定用)にセットすることにより調製する。
難燃剤の分子量換算値は上記方法で求めたBr量より次式で算出する。例えば、難燃剤がトリス−(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートである場合、分子量換算値=Br量×728.7/479.4となる。
【0085】
(装置条件)
装置:RIX-2100(株式会社リガク製)
X線管球ターゲット:Rh
分析法:オーダー分析 FP薄膜法
測定径:30mm
スピン:する
雰囲気:Vac
試料形態:金属
バランス成分:C8H8
試料保護膜補正:なし
スムージング:11点
フラックス成分、希釈率、不純物除去:なし
【0086】
(定性元素条件)
Br−Kβ1
管球:Rh(50kV−60mA)
1次フィルタ:OUT
アッテネータ:1/1
スリット:Std.
分光結晶:LIF1
2θ:26.775deg(測定範囲:24〜29deg)
検出器:SC
PHA L.L.:100 U.L.:300
ステップ:0.02deg
時間:0.4sec
【0087】
<予備発泡粒子の密度及び発泡倍数>
予備発泡粒子の密度及び発泡倍数を次のように測定する。
約5gの予備発泡粒子の重量(a)を小数以下2位で秤量し、最小メモリ単位が5cm
3である500cm
3メスシリンダーに秤量した予備発泡粒子を入れる。次に、メスシリンダーの口に、その口径よりやや小さい円形の樹脂板であって、その中心に巾約1.5cm、長さ約30cmの棒状の樹脂板が直立して固定された押圧具を当てて、予備発泡粒子の体積(b)を読み取る。
得られた予備発泡粒子の重量(a)及び予備発泡粒子の体積(b)から、次式により
予備発泡粒子の密度(g/cm
3)=(a)/(b)、発泡倍数=密度の逆数=(b)/(a)
を求める。
【0088】
<発泡成形体の成形性>
発泡倍数40倍の予備発泡粒子を常温(温度20±3℃、相対湿度50±5%)で24時間熟成させ、内寸300mm×400mm×30mm(厚さ)の直方体形状のキャビティを有する成形金型を備えた発泡ビーズ自動成型機(積水工機製作所社製、ACE−3SP)のキャビティ内に充填し、次の条件でスチーム加熱及び冷却した後に発泡成形体を金型から取り出し、発泡成形体を得る。
得られた発泡倍数40倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、発泡成形体の外観を次の基準で評価する。
(成形条件)
金型加熱=5秒
一方加熱=10秒
逆一方加熱=5秒
両面加熱=15秒
水冷=10秒
設定蒸気圧=0.06MPa、0.07MPa、0.08MPa
(評価基準)
◎(優):成形体表面が十分に伸びかつ表面が溶融した予備発泡粒子が全くない(予備発泡粒子間の間隙が無く、成形体表面が非常に平滑で成形体外観が非常によい)
○(良):予備発泡粒子間の間隙が非常に少なく、成形体表面がほぼ平滑で成形体外観が良好である
×(不可):成形体表面の伸び不足或いは表面が溶融した予備発泡粒子が存在し、成形体表面に間隙が無数にあり、成形体外観が劣る
【0089】
<発泡成形体内部の融着>
所定の発泡倍数の発泡成形体から任意に300mm×100mm×30mm(厚さ)の表皮付き試験片を切り出し、長辺の中央部より100mm×30mm面が破断するように破断させ、破断面の粒子の個数を計測する。次に粒子の中央部より破断しているもの(融着しているもの)の個数を計測する。
上記の計測結果から下記式により発泡成形体内部の融着率を算出し、発泡成形体の融着性を次の基準で評価する。
融着率(%)=融着している粒子数/全粒子数×100
(評価基準)
◎(優):発泡成形体内部の融着率が80%以上
○(良):発泡成形体内部の融着率が60%以上80%未満
×(不可):発泡成形体内部の融着率が60%未満
【0090】
<発泡成形体の曲げ破断点変位量>
JIS K7221−1:2006「硬質発泡プラスチック−曲げ試験−第1部 曲げ試験」に記載の方法に準拠して曲げ強さを測定する。
得られた発泡倍数40倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から25mm×130mm×20mm(厚さ)の試験片を切り出す。試験片は、JIS K7100:1999の記号23/50、2級環境下で16時間状態調節したのち同環境下で測定を行う。
次いで、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、UCT−10T)に先端冶具として加圧くさび5R及び支持台5Rを装着し、支点間距離100mmで試験片をセットし、圧縮速度10mm/分の条件で曲げ試験を行う。加圧くさびで圧縮する試験片面(25mm×130mm)のみ表皮付きとした。試験片の数は5個とする。この試験において、万能試験機データ処理(UTPS−237Sソフトブレーン株式会社製)を用い、破断検出感度を0.5%に設定し、直前荷重サンプリング点と比較して、その減少が設定値0.5%を超えた時、直前のサンプリング点を曲げ破断点変位量(mm)として測定する。
なお、設定蒸気圧0.08MPaで型内成形した発泡成形体を使用する。
得られた曲げ破断点変位量を次の基準で評価する。曲げ破断点変位量が大きいほど発泡成形体の柔軟性が大きいことを示す。
◎(優):曲げ破断点変位量が15mm以上
○(良):曲げ破断点変位量が10mm以上15mm未満
×(不可):曲げ破断点変位量が10mm未満
【0091】
<発泡成形体の摩擦係数試験による最大点荷重>
JIS K7125:1999「プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法」に記載の方法に準拠して最大点荷重を測定する。
得られた発泡倍数40倍の発泡成形体を温度50℃で1日間乾燥した後、この発泡成形体から63mm×63mm×5mm(厚さ)の試験片を切り出す。試験片及び相手材料は、JIS K7100:1999の記号23/50、2級環境下で16時間状態調節したのち同環境下で測定を行う。滑り相手材料は塗装鋼板(日新製鋼社製、商品名:月星GLカラーSELiOS/GLエナメル クリーン/ストロークリーム、厚み:0.27mm)とする。
次いで、試験片を200g滑り片に両面テープで張り付け、滑り相手材料の上を試験速度100mm/分、試験距離80mmとし、スプリングを使用せず、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、UCT−10T)を剥離試験モードとして測定する。この試験において、データ処理は万能試験機データ処理(UTPS−237Sソフトブレーン株式会社製)を用いる。滑り相手材料と接する試験片面(63mm×63mm)は表皮付きとする。試験片の数は3個とする。
なお、設定蒸気圧0.08MPaで型内成形した発泡成形体を使用する。
【0092】
<発泡成形体の燃焼速度>
FMVSS 302(米国自動車安全基準)に準拠し、燃焼速度を測定する。なお、試験片は、発泡倍数40倍、350mm×100mm×12mm(厚さ)で少なくとも350mm×100mmの2面は表皮が有るものとする。
FMVSS 302によれば、発泡成形体を自動車室内の構造部材として用いる場合、燃焼速度80mm/分以下であることが望まれている。そこで、以下の基準を設ける。
◎(優):着火しない(炎が当たっている部分のみが溶けて、炎が消える)、又は着火するが測定開始線までに炎が消える。
○(良):燃焼速度が80mm/分以下
×(不可):燃焼速度が80mm/分超
【0093】
<発泡成形体の異音防止性>
設定蒸気圧0.08MPaで型内成形した発泡成形体(発泡倍数40倍)から試験片50mm×50mm×30mm(厚さ)を切り出し、50mm×50mmの2面は表皮が有るものとする。
試験片は、温度20±3℃、相対湿度50±5%の恒温室内に24時間放置する。
その後、
図1の擦れ音評価装置を用いて試験片と塗装鋼板との擦れ音を騒音計により測定する。
滑り相手材料は塗装鋼板(日新製鋼社製、商品名:月星GLカラーSELiOS/GLエナメル クリーン/ストロークリーム、厚み:0.27mm)とする。
図1中、参照番号1は試験片を表す。参照番号2は騒音計を表す。参照番号3は塗装鋼板を表す。参照番号4はグリップを表す。参照番号5は手動式スライド台を表す。参照番号6はローラーを表す。参照番号7は荷重受台を表す。参照番号8は錘を表す。参照番号aは試験片1と騒音計2との距離を表す。参照番号bは手動式スライド台5のスライドストロークを表す。
【0094】
具体的な測定方法としては、まず、試験片1の表皮面(50mm×50mm面)の一方を両面テープで上下可動式(
図1中、荷重受台7にまたがる上下方向の矢符)の荷重受台7(自重2kg)に接着する。その後、荷重受台7に接着した試験片1が塗装鋼板3に接するまで下げ、密着させる。塗装鋼板3と手動式スライド台5は接着している。次いで、荷重受台7に10kgの錘8を載せる。試験片1からの距離aを10cmとして騒音計2(ケニス社製 デジタル騒音計390)を設置する。
騒音計2にて暗騒音を測定する。暗騒音とは試験片1と塗装鋼板3を擦る前のその雰囲気下(恒温室内)の騒音であり、暗騒音が38dB以下であることを確認し、その時の暗騒音を記録する。
続いて、グリップを持ちスライドストロークbを5cm、スライドスピードを10cm/secとして5往復させ、その間の擦れ音の最大値を記録し、暗騒音との差を算出する。
得られた擦れ音と暗騒音の差を次の基準で評価する。差が小さいほど擦れ音が発生していないことを示す。
◎(優):擦れ音と暗騒音の差が5dB以下
○(良):擦れ音と暗騒音の差が5dB超10dB以下
×(不可):擦れ音と暗騒音の差が10dB超
【0095】
実施例1
(複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
内容積100リットルの撹拌機付き重合容器に、水40kg、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2gを供給し撹拌しながらスチレンモノマー40kg並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28gを添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に125℃に昇温してから2時間後に60℃以下に冷却してポリスチレン系樹脂種粒子を得た。
【0096】
前記ポリスチレン系樹脂種粒子を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mm(平均粒子径D50=0.66mm)のポリスチレン系樹脂種粒子を得た。
次に、内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水2000g、前記篩分けしたポリスチレン系樹脂種粒子500g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム10g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4gを供給して撹拌しながら75℃に昇温した。
【0097】
次に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド0.6gとポリブタジエン末端アクリレート(大阪有機化学工業社製、製品名:BAC−45)10gを溶解させたアクリル酸ブチル200gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内に吸収させ、75℃で60分保持後、90℃に昇温して60分保持し、更に130℃に昇温して2時間保持した。
【0098】
その後、75℃の温度に下げ、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド5.2g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート0.75gを溶解させたスチレンモノマー200gを前記5リットル重合容器に供給してから、種粒子内にスチレンモノマーを吸収させ、75℃で60分保持した。
【0099】
続いて、反応液を75℃から120℃まで180分で昇温しつつ、かつスチレンモノマー1100gを75℃から115℃まで160分間で重合容器内に一定量ずつ供給した。次いで120℃に昇温した後、更に140℃に昇温して2時間経過後に60℃以下に冷却し、複合ポリスチレン系樹脂粒子(平均粒子径D50=1.05mm)を得た。
【0100】
(発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
次いで、内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水1500g、前記複合ポリスチレン系樹脂粒子1800g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム7.2g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.26gを供給して撹拌しながら75℃に昇温した。
【0101】
次に12−ヒドロキシステアリン酸アミド9gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1gを水200gに予備溶解し、前記5リットル重合容器に供給した。
次いで、難燃剤としてテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル14.4gと難燃助剤としてジクミルパーオキサイド5.4g、シクロヘキサン9g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1gを水500gに予備溶解し、前記5リットル重合容器に供給し、75℃で30分保持した。
【0102】
続いて、反応液を100℃に昇温した。次に、発泡剤としてn−ペンタン/イソペンタン=75/25〜85/15のペンタン(ガス種A=コスモ石油社製、製品名ペンタン)144gを前記5リットル重合容器に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却し、重合容器内から取り出し、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0103】
続いて、乾燥させ、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子に対してステアリン酸亜鉛0.08重量%、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.08重量%及びポリエチレングリコール(MW=300)0.05重量%からなる組成物で発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を処理し、13℃の恒温室内に7日間放置した。
【0104】
(異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
13℃の恒温室内に7日間放置した発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子1000gとステアリン酸亜鉛(大日化学工業社製、ダイワックスZF)10g、ジイソブチルアジペート(田岡化学工業社製、DI4A)0.5g、ポリエチレングリコール(三洋化成工業社製、PEG−300)2gからなる組成物をポリエチレン製袋(大倉工業社製、No.15、0.03mm×300mm×450mm)に入れ、1分間混合し、異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0105】
(予備発泡粒子の製造)
次いで、処理後、スチームで予熱した常圧予備発泡機に異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を投入し、撹拌しながら約0.02MPaの設定でスチームを導入して、約2〜3分間で40倍の発泡倍数まで予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
【0106】
(発泡成形体の製造)
その後、予備発泡粒子を常温(温度20±3℃、相対湿度50±5%)で24時間熟成させ、内寸300mm×400mm×30mm(厚さ)の直方体形状のキャビティを有する成形金型を備えた発泡ビーズ自動成型機(積水工機製作所社製、ACE−3SP)のキャビティ内に充填し、次の条件でスチーム加熱及び冷却した後に発泡成形体を金型から取り出し、発泡成形体を得た。
(成形条件)
金型加熱=5秒
一方加熱=10秒
逆一方加熱=5秒
両面加熱=15秒
水冷=10秒
設定スチーム圧=0.06、0.07、0.08MPa
【0107】
実施例2
発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、難燃剤としてテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル14.4gをトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート14.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛6g、ジイソブチルアジペート0.2g、ポリエチレングリコール0.5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0108】
実施例3
発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、難燃剤としてテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル14.4gをテトラブロモシクロオクタン14.4gに変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛25g、ジイソブチルアジペート0.8g、ポリエチレングリコール5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0109】
実施例4
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物に流動パラフィン(松村石油社製、スモイルP−200)1gを追加したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0110】
実施例5
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛15g、ジイソブチルアジペート0.5g、ポリエチレングリコール2g、流動パラフィン3gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0111】
実施例6
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛20g、ジイソブチルアジペート0.8g、ポリエチレングリコール2g、流動パラフィン2gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0112】
実施例7
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛10g、ジイソブチルアジペート0.3g、ポリエチレングリコール1g、流動パラフィン2g、パーフルオロポリエーテルエマルジョン(中京油脂社製、T−198、純分60重量%、粘度57mPa・s/25℃、pH=8.2/10倍希釈液)1.33gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0113】
実施例8
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛20g、ジイソブチルアジペート0.5g、ポリエチレングリコール1g、流動パラフィン2g、パーフルオロポリエーテルエマルジョン5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0114】
実施例9
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分、成分量をパーフルオロポリエーテルエマルジョン1.33gをラノリンエマルジョン(中京油脂社製、T−256、純分50重量%、粘度135mPa・s/25℃、pH=6.3/10倍希釈液)1.6gに変更したこと以外は実施例7と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0115】
実施例10
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分、成分量をパーフルオロポリエーテルエマルジョン5gをラノリンエマルジョン6gに変更したこと以外は実施例8と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0116】
実施例11
実施例1と同様にして製造したポリスチレン系樹脂粒子を種粒子(粒子径0.5〜0.71mm、平均粒子径D50=0.66mm)とした。
100リットルの攪拌機付重合容器に水30kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4g、ピロリン酸マグネシウム100gを供給した後、重合容器内に上記の種粒子11kgを供給して攪拌して水中に均一に分散させた。
【0117】
また、水6kgにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g及びピロリン酸マグネシウム20gを分散させてなる分散液を作製する一方、スチレン単量体5kgに重合開始剤のベンゾイルパーオキサイド88g及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート50gを溶解させてなるスチレン単量体溶液を作製し、このスチレン単量体溶液を上記分散液に添加してホモミキサーを用いて攪拌して乳濁化させて乳濁液を得た。
【0118】
そして、重合容器内を75℃に加熱、保持した上で重合容器内に上記乳濁液を添加し、ポリスチレン種粒子中にスチレン単量体及びベンゾイルパーオキサイドが円滑に吸収されるように30分間に亘って保持し、しかる後、重合容器内を75℃から112℃まで185分で昇温しつつ、かつ重合容器内にスチレン単量体28kgを75℃から108℃まで165分間で重合容器内に一定量ずつ供給した。次いで120℃まで昇温して90分間に亘って保持してシード重合によりポリスチレン粒子を得た。
【0119】
次に、重合容器内を1℃/分の降温速度にて90℃まで冷却した上で、重合容器内に難燃剤としてテトラブロモシクロオクタン440g、難燃助剤としてジクミルパーオキサイド132gを供給した。
そして、重合容器内に難燃剤を供給してから30分経過後に重合容器を密閉し、しかる後、発泡剤としてn−ブタン/イソブタン=60/40〜70/30のブタン(ガス種B=コスモ石油社製、製品名コスモブタンシルバー)3960gを窒素加圧によって重合容器内に30分間で圧入し、その状態で3時間保持した。
【0120】
しかる後、重合容器内を25℃まで冷却し、重合容器内から発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を取り出して洗浄、脱水を複数回に亘って繰り返し行い、乾燥工程を経た後、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を分級して粒子径が0.85〜1.2mm、平均粒子径が1.1mmの発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を上記で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に変更したこと以外は実施例5と同様にして異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0121】
実施例12
異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を実施例11で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に変更したこと以外は実施例8と同様にして異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0122】
実施例13
異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を実施例11で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に変更したこと以外は実施例10と同様にして異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0123】
実施例14
発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、発泡剤としてn−ペンタン/イソペンタン=75/25〜85/15のペンタン(ガス種A=コスモ石油社製、製品名ペンタン)144gをn−ブタン/イソブタン=60/40〜70/30のブタン(ガス種B=コスモ石油社製、製品名コスモブタンシルバー)162gに変更したこと以外は実施例10と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0124】
実施例15
13℃の恒温室内に7日間放置した実施例1の発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子4000gとステアリン酸亜鉛80gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、型式FM−20B、混合槽容量20L)に供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌した。次いで、更にジイソブチルアジペート3.2g、ポリエチレングリコール8g、流動パラフィン8gをヘンシェルミキサーに供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌することにより処理して異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。その後、実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0125】
実施例16
13℃の恒温室内に7日間放置した実施例1の発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子4000gとステアリン酸亜鉛80gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、型式FM−20B、混合槽容量20L)に供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌した。次いで、更にジイソブチルアジペート2g、ポリエチレングリコール4g、流動パラフィン8g、ラノリンエマルジョン24gをヘンシェルミキサーに供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌することにより処理して異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。その後、実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0126】
実施例17
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ポリエチレングリコールを無くしたこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0127】
実施例18
発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、内容積5リットルの撹拌機付き重合容器に、水1500g、実施例1の複合ポリスチレン系樹脂粒子1800g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム7.2g及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.26gを供給して撹拌しながら75℃に昇温した。
次に12−ヒドロキシステアリン酸アミド9g、シクロヘキサン9gとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2gを水700gに予備溶解し、前記5リットル重合容器に供給し、75℃で30分保持した。
続いて、反応液を100℃に昇温した。次に、発泡剤としてn−ペンタン/イソペンタン=75/25〜85/15のペンタン(ガス種A=コスモ石油社製、製品名ペンタン)144gを前記5リットル重合容器に圧入して3時間保持した後、30℃以下まで冷却し、重合容器内から取り出し、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
続いて、乾燥させ、発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子に対してステアリン酸亜鉛0.08重量%、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド0.08重量%及びポリエチレングリコール(MW=300)0.05重量%からなる組成物で発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を処理し、13℃の恒温室内に7日間放置した。
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造においては、実施例5と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0128】
実施例19
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造においては、実施例18の発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子に変更したこと以外は、実施例10と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0129】
比較例1
実施例1において、異音防止用組成物による処理をせずに予備発泡したこと以外は実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0130】
比較例2
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸マグネシウム(日本油脂社製、マグネシウムステアレート)20g、ジイソブチルアジペート0.8g、ポリエチレングリコール3gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0131】
比較例3
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物の成分量をステアリン酸亜鉛3g、ジイソブチルアジペート0.3g、ポリエチレングリコール2g、流動パラフィン3gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0132】
比較例4
13℃の恒温室内に7日間放置した実施例1の発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子4000gとステアリン酸亜鉛200gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、型式FM−20B、混合槽容量20L)に供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて3分間に亘って撹拌した。次いで、更にジイソブチルアジペート3.2g、ポリエチレングリコール20gをヘンシェルミキサーに供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて3分間に亘って撹拌することにより処理して異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。その後、実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0133】
比較例5
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ジイソブチルアジペートを無くしたこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0134】
比較例6
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、ジイソブチルアジペートを無くしたこと以外は実施例4と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0135】
比較例7
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、実施例11で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子4000gとステアリン酸アミド(日油社製、アルフローS−10)40g、エチレンビスステアリン酸アミド(花王社製、カオーワックスEB−FF)20gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、型式FM−20B、混合槽容量20L)に供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌することにより処理して異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。その後、実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0136】
比較例8
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、実施例11で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子1000g、ステアリン酸モノグリセライドとパルミチン酸モノグリセライドの重量比7対3混合物(理研ビタミン社製、リケマールS−100)30gに変更したこと以外は実施例1と同様にして異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0137】
比較例9
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、実施例11で得た発泡性ポリスチレン系樹脂粒子4000gと無水石膏(ノリタケカンパニーリミテド社製、D−101A)40gをヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製、型式FM−20B、混合槽容量20L)に供給し、撹拌羽根を1000rpmの回転速度で回転させて2分間に亘って撹拌することにより処理して異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。その後、実施例1と同様にして予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0138】
比較例10
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物のジイソブチルアジペートを0.08gに変更したこと以外は実施例2と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。
【0139】
比較例11
異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子の製造において、異音防止用組成物のジイソブチルアジペートを1.5gに変更したこと以外は実施例3と同様にして異音防止用発泡性複合ポリスチレン系樹脂粒子を得た。しかし、予備発泡時に樹脂粒子が多量にブロッキングした為、発泡成形体を得るのに十分な予備発泡粒子を得ることができなかった。
【0140】
実施例1〜19及び比較例1〜10において得られた発泡成形体を用いて、各種物性を評価した。結果を下記の表1及び2に示す。
【0141】
なお、表1において、難燃剤「a」はテトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル)エーテル(第一工業製薬社製,製品名ピロガードSR−130)である。難燃剤「b」はトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート(日本化成社製,製品名TAIC−6B)である。難燃剤「c」はテトラブロモシクロオクタン(第一工業製薬社製,製品名ピロガードFR−200S)である。また、発泡剤「A」はn−ペンタン/i−ペンタン=75/25〜85/15のペンタン(コスモ石油社製,製品名ペンタン)であり、発泡剤「B」はn−ブタン/i−ブタン=60/40〜70/30のブタン(コスモ石油社製,製品名コスモブタンシルバー)である。更に、異音防止処理方法「1」は手ブレンド、「2」はヘンシェルミキサーによる処理を施したことを意味する。難燃剤及び発泡剤の添加量は、難燃剤及び発泡剤添加前のポリスチレン系樹脂粒子を100重量%としたときの添加量(重量%)を示し、異音防止用組成物中の各成分の添加量は発泡性樹脂粒子を100重量%としたときの添加量(重量%)を示す。
【0142】
また、表2において、異音防止用発泡性樹脂粒子のステアリン酸亜鉛量、ジイソブチルアジペート量及びポリエチレングリコール量は異音防止用発泡性樹脂粒子を100重量%としたときの含有量(重量%)を示し、予備発泡粒子のステアリン酸亜鉛量及びジイソブチルアジペート量は予備発泡粒子を100重量%としたときの含有量(重量%)を示し、発泡成形体のステアリン酸亜鉛量及びジイソブチルアジペート量は発泡成形体を100重量%としたときの含有量(重量%)を示す。
【0143】
【表1】
【0144】
【表2】
【0145】
表1及び2の結果は、本発明の発泡成形体が優れた異音防止性を有することを示す(実施例1〜19)。
一方、ステアリン酸亜鉛量が少ない場合(比較例1〜3)又はステアリン酸亜鉛を含まない場合(比較例7〜9)には、充分な異音防止性が得られ難いことを示す。また、ジイソブチルアジペートを含まない場合(比較例5及び6)、ジイソブチルアジペート量が少ない場合(比較例10)及びステアリン酸亜鉛量が多い場合(比較例4)には、十分な融着率が得られず、充分な曲げ破断点変位量を得ることができなかった。
なお、比較例11において、発泡成形体を得るのに十分な予備発泡粒子を得ることができなかったのは、ジイソブチルアジペート量が多かったためであると考えられる。
上記の結果より、本発明の異音防止用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体は、優れた融着性に加えて、優れた異音防止性を発揮することがわかる。