(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-113468(P2015-113468A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物及びそれを用いた脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体
(51)【国際特許分類】
C08G 18/44 20060101AFI20150526BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20150526BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20150526BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20150526BHJP
C09D 11/102 20140101ALI20150526BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20150526BHJP
C09D 169/00 20060101ALI20150526BHJP
C09D 7/12 20060101ALI20150526BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20150526BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20150526BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20150526BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20150526BHJP
C09J 169/00 20060101ALI20150526BHJP
【FI】
C08G18/44 Z
C08G18/10
C08L75/04
C08L69/00
C09D11/102
C09D175/04
C09D169/00
C09D7/12
C09D4/02
C09J11/06
C09J4/02
C09J175/04
C09J169/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-250514(P2014-250514)
(22)【出願日】2014年12月11日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0153776
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0173529
(32)【優先日】2014年12月5日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】511061589
【氏名又は名称】エスケー グローバル ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK GLOBAL CHEMICAL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ジ イェン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジェ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ホン セウン グエオン
(72)【発明者】
【氏名】クオン テ ウーク
(72)【発明者】
【氏名】チュン, クワン ジン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
4J038
4J039
4J040
【Fターム(参考)】
4J002CD003
4J002CF034
4J002CG014
4J002CG01W
4J002CH014
4J002CK02X
4J002EH077
4J002EN028
4J002EN038
4J002EN048
4J002ER006
4J002EU186
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4J040HC25
4J040HD02
4J040KA16
4J040KA23
4J040LA01
(57)【要約】
【課題】
本発明は、ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物及びそれを用いた脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体に関する。
【解決手段】
脂肪族ポリカーボネート樹脂とポリウレタンとを混合することで、様々な応用分野で使用可能な脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物及びこれにより製造された脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素と、ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシまたは(C1‐C20)アルキルで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシドからなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、を反応させた脂肪族ポリカーボネート(A)と、ポリウレタン(B)と、を含む脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体。
【請求項2】
脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂とポリウレタン(B)樹脂とがブレンディング、コンパウンディング、ハイブリッドまたは相互侵入型(IPN)架橋構造を成す、請求項1に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体。
【請求項3】
前記脂肪族ポリカーボネート(A)の重量平均分子量が1,000〜300,000g/molである、請求項1に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体。
【請求項4】
前記ポリウレタン(B)の重量平均分子量が10,000〜1,000,000g/molである、請求項1に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体。
【請求項5】
前記脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体の全重量に対して、脂肪族ポリカーボネート(A)の重量が5〜95重量%であり、ポリウレタン(B)の重量が5〜95重量%である、請求項1に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体。
【請求項6】
前記脂肪族ポリカーボネート(A)がポリプロピレンカーボネートまたはポリエチレンカーボネートである、請求項1に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体。
【請求項7】
二酸化炭素と、ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシまたは(C1‐C20)アルキルで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシドからなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、を反応させた脂肪族ポリカーボネート(A)と、ポリウレタン(B)と、を含む脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項8】
脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂とポリウレタン(B)樹脂とがブレンディングまたはコンパウンディングされたものである、請求項7に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項9】
脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂と、ポリウレタン(B)樹脂とが、これらを溶解できる溶媒とともにハイブリッドまたは相互侵入型(IPN)架橋構造を成す、請求項7に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項10】
前記溶媒は、ケトン系、アセテート系、エーテル系溶媒から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物である、請求項9に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項11】
前記脂肪族ポリカーボネート(A)の重量平均分子量が1,000〜300,000g/molであり、前記ポリウレタン(B)の重量平均分子量が10,000〜1,000,000g/molである、請求項8または9に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項12】
前記ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物の全重量に対して、脂肪族ポリカーボネート(A)の重量が5〜95重量%であり、ポリウレタン(B)の重量が5〜95重量%である、請求項8または9に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項13】
脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂と、ポリオールとイソシアネート化合物とを反応させたウレタンプレポリマーと、硬化剤と、を含むものである、請求項7に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項14】
脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂と、ポリオールと、硬化剤と、を含むものである、請求項7に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項15】
エポキシ化合物、アクリル化合物から選択される何れか1つまたはこれらの混合物をさらに含む、請求項14に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項16】
溶媒をさらに含む、請求項14または15に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項17】
開始剤または触媒をさらに含む、請求項14または15に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項18】
前記ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択される何れか1つ以上である、請求項13または14に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項19】
前記イソシアネート化合物は、2,4‐トリレンジイソシアネート、2,6‐トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3‐キシレンジイソシアネート、1,4‐キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアネート、1,3‐ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5‐ナフタレンジイソシアネート、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタントリイソシアネートから選択される何れか1つまたは2つ以上の化合物である、請求項13に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項20】
前記硬化剤は、イソシアネート系、メラミン系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、及びメルカプタン系化合物から選択される何れか1つまたは2つ以上の化合物である、請求項13または14に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項21】
前記エポキシ化合物は、グリシジルエーテル系、グリシジルエステル系、グリシジルアミン系、直鎖状脂肪族化合物及び脂環族化合物から選択される何れか1つまたは2つ以上の化合物であり、
前記アクリル化合物は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、デシルメタクリレート、及び2‐エチルブチルメタクリレートから選択される何れか1つまたは2つ以上の化合物である、請求項15に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項22】
前記脂肪族ポリカーボネート(A)の重量平均分子量が2,000〜10,000g/molである、請求項13または14に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物。
【請求項23】
請求項7乃至9、13乃至15の何れか一項に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物を用いた成形品。
【請求項24】
前記成形品は、擬革、フィルム、発泡フォーム、シートから選択される、請求項23に記載の成形品。
【請求項25】
請求項7乃至9、13乃至15の何れか一項に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物を用いたインク組成物。
【請求項26】
請求項7乃至9、13乃至15の何れか一項に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物を用いた塗料組成物。
【請求項27】
請求項7乃至9、13乃至15の何れか一項に記載の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物を用いた接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物及びそれを用いた脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策として、二酸化炭素の発生を減少させるための方法として脂肪族ポリカーボネートの産業化が進んでいる。脂肪族ポリカーボネートは、柔らかいゴム状のプラスチックであって、加工性に優れ、分解特性の調節が容易である性質のため、生分解性高分子として多く研究されている。しかしながら、脂肪族ポリカーボネートは、ガラス転移温度(T
g)が低く、200℃近所で分解されやすくて耐熱性に劣る特性がある。また、弾性率が小さく、薄膜製品の場合は割れやすいという機械的物性のため、様々な分野への使用に制約がある。そこで、様々な樹脂とのブレンドすることでガラス転移温度または耐熱性を高めたり、機械的強度を改善させたりする技術が要求されている。例えば、特許文献1には、ポリプロピレンカーボネートをポリメチルメタクリレート(PMMA)と溶融混練させたり、セラミックや金属粉末の成形加工用バインダーを含む樹脂組成物が開示されており、特許文献2には、ポリ塩化ビニルアセテートを溶融混練させることで機械的性質を改善することが開示されている。しかし、かかる発明のように異種樹脂とブレンドするだけでは機械的物性の向上に限界があるため、構造の改善が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4946884号明細書
【特許文献2】米国特許第4912149号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、脂肪族ポリカーボネート樹脂の様々な応用方法を提供することをその目的とする。
【0005】
より具体的に、本発明は、脂肪族ポリカーボネート樹脂とポリウレタンとを混合することで、様々な応用分野で使用可能な脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物及びこれにより製造された脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、二酸化炭素と、ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシまたは(C1‐C20)アルキルで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシドからなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、を反応させた脂肪族ポリカーボネート(A)と、ポリウレタン(B)と、を含む脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体に関する。
【0007】
また、本発明は、二酸化炭素と、ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシまたは(C1‐C20)アルキルで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシドからなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物と、を反応させた脂肪族ポリカーボネート(A)と、ポリウレタン(B)と、を含む脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体は、脂肪族ポリカーボネートを単独で使用する場合に比べ耐屈曲性、耐加水分解性、印刷性等の優れた耐久性を有する。
【0009】
また、本発明による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物は、脂肪族ポリカーボネートを含有することで、環境にやさしいポリウレタンとして使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願人は、脂肪族ポリカーボネート樹脂とポリウレタンとを化学的にまたは物理的に混合して使用することで、脂肪族ポリカーボネート樹脂を単独で使用する場合に比べ耐屈曲性、引張強度及び伸び率、弾性等の機械的強度を著しく向上させることができることを見出し、本発明をなすに至った。
【0011】
特に、脂肪族ポリカーボネート樹脂とポリウレタンが相互侵入型高分子架橋構造を有するように製造することで、機械的物性が非常に向上することを見出し、本発明をなすに至った。
【0012】
本発明の一様態は、脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体に関するものであって、前記脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体は、脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂とポリウレタン(B)樹脂が、ブレンディング、コンパウンディング、ハイブリッドまたは相互侵入型高分子架橋(IPN)構造を成すものであることができる。
【0013】
前記脂肪族ポリカーボネート(A)は、重量平均分子量が1,000〜300,000g/molであることができる。
【0014】
本発明において、重量平均分子量は、粉体試料をTHFに溶かした後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC;アジレント テクノロジーズ 1260 インフィニティ)を用いて測定した(カラムとしてはPLgel mixed B(7.5mm×300mm)、標準試料としてはポリスチレン(Agilent EasyCal)を使用した)。
【0015】
より具体的に、本発明において、ブレンディング、コンパウンディング及びハイブリッド(hybrid)構造の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体を製造する時に使用される脂肪族ポリカーボネート(A)は、重量平均分子量が1,000〜300,000g/molであることができる。また、前記相互侵入型高分子架橋(IPN)構造の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体を製造する時に使用される脂肪族ポリカーボネート(A)は、重量平均分子量が1,000〜300,000g/molであることができるが、これに制限されるものではない。
【0016】
前記ポリウレタン(B)は、重量平均分子量が10,000〜1,000,000g/molであることができる。
【0017】
前記ブレンディング及びコンパウンディングは、脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂とポリウレタン(B)樹脂とを80℃〜200℃で溶融混練し、押出機により行われることができる。押出工程では、単純溶融混練段階を経る単純押出や、架橋及び鎖延長反応が行われる反応押出技術が適用されることができる。反応押出は、表面の界面エネルギーを低めて相分離を防止するとともに、均一な相が形成されるようにするため、「脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物」の物性向上及び有機/無機添加剤の分散に寄与することができる。
【0018】
前記ハイブリッド及び相互侵入型架橋構造は、溶媒を含んで架橋構造を形成したものを意味する。
【0019】
前記相互侵入型高分子架橋構造は、少なくとも1成分以上が架橋構造を有し、他の成分の存在下で少なくとも1成分以上が重合若しくは架橋されて、高分子鎖間に相互侵入が行われた多成分系高分子であって、架橋構造により高分子鎖の程度が大きい。したがって、高分子ブレンドで頻繁に発生する相分離が抑制され、2成分が連続相を成す二重相連続性(dual phase continuity)構造を有するため、様々な物性が向上されることが期待される。
【0020】
前記相互侵入型高分子架橋構造に製造するために、脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂、ポリオールとイソシアネート化合物とを反応させたウレタンプレポリマー、及び硬化剤を反応させることで脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体を製造することができる。
【0021】
または、前記相互侵入型高分子架橋構造に製造するために、脂肪族ポリカーボネート、ポリオール化合物、及びポリオール化合物の水酸基当量に対して0.9〜1.2倍当量の硬化剤をメチルエチルケトン(MEK)等の溶剤に溶かした後、80℃で所定時間反応させるか、120〜200℃で反応押出させることができる。
【0022】
または、脂肪族ポリカーボネートとエポキシ化合物を溶剤に溶かした後、硬化剤を当量に応じて添加することで架橋構造を形成するか、脂肪族ポリカーボネート、エポキシ化合物、及び硬化剤を入れて120〜220℃で反応押出させることができる。
【0023】
または、脂肪族ポリカーボネートとアクリル化合物を溶剤に溶かした後、反応開始剤または触媒を当量に応じて添加することで架橋構造を形成するか、脂肪族ポリカーボネート、アクリル化合物、及び開始剤または触媒を入れて120〜200℃で反応押出させることができる。
【0024】
前記脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体の全重量に対して、脂肪族ポリカーボネート(A)の重量が5〜95重量%、ポリウレタン(B)の重量が5〜95重量%であることができる。より具体的には、脂肪族ポリカーボネート(A)の重量が20〜80重量%、ポリウレタン(B)の重量が20〜80重量%であることができる。上記範囲内で、目的とする物性を満たすことができる。
【0025】
本発明の他の様態は、脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体を製造するための脂肪族ポリカーボネート(A)とポリウレタン(B)とを含む脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物に関する。
【0026】
本発明の第1様態による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物は、脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂とポリウレタン(B)樹脂とがブレンディングまたはコンパウンディングされたものであることができる。
【0027】
また、本発明の第2様態による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物は、脂肪族ポリカーボネート(A)と、ポリウレタン(B)樹脂と、これらを溶解できる溶媒と、を含み、ハイブリッドまたは相互侵入型高分子架橋構造を成すものであることができる。前記溶媒としては、ケトン系、アセテート系、エーテル系から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物が使用できるが、これに制限されるものではない。
【0028】
この際、前記脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物の固形分含量は30〜50重量%であることができ、製造しようとする成形品の用途及び製造方法に応じて変わり得る。
【0029】
これに制限されるものではないが、本発明の第1様態及び第2様態による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物において、前記脂肪族ポリカーボネート(A)の重量平均分子量は1,000〜300,000g/molであり、前記ポリウレタン(B)の重量平均分子量は10,000〜1,000,000g/molであることができる。前記範囲内で、様々な分野に適用されることができる。
【0030】
また、前記ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物の全重量に対して、脂肪族ポリカーボネート(A)の重量が5〜95重量%であり、ポリウレタン(B)の重量が5〜95重量%であることができる。前記含量範囲内で、優れた機械的物性を示すことができる。
【0031】
また、本発明の第3様態による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物は、脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂と、ポリオールとイソシアネート化合物とを反応させたウレタンプレポリマーと、硬化剤と、を含むことができる。
【0032】
また、本発明の第4様態による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物は、脂肪族ポリカーボネート(A)樹脂と、ポリオールと、硬化剤と、を含むことができる。
【0033】
また、本発明の第5様態による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物は、第3様態及び第4様態において、エポキシ化合物、アクリル化合物から選択される何れか1つまたはこれらの混合物をさらに含むことができる。
【0034】
また、本発明の第6様態による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物は、前記第3様態、第4様態及び第5様態において、溶媒をさらに含むことができる。
【0035】
また、本発明の第7様態による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物は、前記第3様態、第4様態及び第5様態において、開始剤または触媒をさらに含むことができる。
【0036】
以下、本発明の脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体及び脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物に使用される各構成についてより具体的に説明する。
【0037】
本発明の脂肪族ポリカーボネート(A)は、二酸化炭素と、ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C2‐C20)アルキレンオキシド;ハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシまたは(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシで置換されているかまたは置換されていない(C4‐C20)シクロアルキレンオキシド;及びハロゲン、(C1‐C20)アルキルオキシ、(C6‐C20)アリールオキシ、(C6‐C20)アル(C1‐C20)アルキル(アラルキル)オキシまたは(C1‐C20)アルキルで置換されているかまたは置換されていない(C8‐C20)スチレンオキシドからなる群から選択される1種または互いに異なる2種以上のエポキシド化合物との共重合反応により製造されることができる。
【0038】
この際、前記エポキシド化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、オクテンオキシド、デセンオキシド、ドデセンオキシド、テトラデセンオキシド、ヘキサデセンオキシド、オクタデセンオキシド、ブタジエンモノオキシド、1,2‐エポキシド‐7‐オクテン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルノルマルプロピルエーテル、グリシジル2次ブチルエーテル、グリシジルノルマルまたはイソペンチルエーテル、グリシジルノルマルヘキシルエーテル、グリシジルノルマルヘプチルエーテル、グリシジルノルマルオクチルまたは2‐エチル‐ヘキシルエーテル、グリシジルノルマルまたはイソノニルエーテル、グリシジルノルマルデシルエーテル、グリシジルノルマルドデシルエーテル、グリシジルノルマルテトラデシルエーテル、グリシジルノルマルヘキサデシルエーテル、グリシジルノルマルオクタデシルエーテル、グリシジルノルマルイコシルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t‐ブチルグリシジルエーテル、2‐エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシド、α-ピネンオキシド、2,3‐エポキシドノルボルネン、リモネンオキシド、ディルドリン、2,3‐エポキシドプロピルベンゼン、スチレンオキシド、フェニルプロピレンオキシド、スチルベンオキシド、クロロスチルベンオキシド、ジクロロスチルベンオキシド、1,2‐エポキシ‐3‐フェノキシプロパン、ベンジルオキシメチルオキシラン、グリシジル‐メチルフェニルエーテル、クロロフェニル‐2,3‐エポキシドプロピルエーテル、エポキシプロピルメトキシフェニルエーテル、ビフェニルグリシジルエーテル、グリシジルナフチルエーテル、グリシドール酢酸エステル、グリシジルプロピオネート、グリシジルブタノエート、グリシジルノルマルペンタノエート、グリシジルノルマルヘキサノエート、グリシジルヘプタノエート、グリシジルノルマルオクタノエート、グリシジル2‐エチルヘキサノエート、グリシジルノルマルノナノエート、グリシジルノルマルデカノエート、グリシジルノルマルドデカノエート、グリシジルノルマルテトラデカノエート、グリシジルノルマルヘキサデカノエート、グリシジルノルマルオクタデカノエート、グリシジルイコサノエートからなる群から1種または2種以上選択されることができる。
【0039】
本発明の一様態において、前記脂肪族ポリカーボネート(A)はポリアルキレンカーボネートであることができる。ここで、アルキレンは、エチレン、プロピレン、1‐ブチレン、シクロヘキセンオキシド、アルキルグリシジルエーテル、n‐ブチル、及びn‐オクチルを含むものであって、これに限定されない。
【0040】
本発明における脂肪族ポリカーボネートは、ポリプロピレンカーボネートまたはポリエチレンカーボネートであることができる。
【0041】
本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネートは、重量平均分子量(Mw)が1,000〜300,000であることを特徴とし、好ましくは30,000〜250,000である。重量平均分子量の範囲は、製造方法及び製造しようとする物質に応じて変わり得る。また、ポリアルキレンカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は20〜105℃であり、メルトインデックス(150℃/5kg)が0.01〜350のものが使用できる。前記範囲のポリアルキレンカーボネート樹脂を使用することが、ペレット状に加工するにおいて有利である。
【0042】
本発明の一実施例による相互侵入型架橋構造を有する脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体を製造するための組成物は、脂肪族ポリカーボネート100重量部に対して、ポリオール化合物5〜950重量部と、ポリオールの水酸基当量に対して0.9〜1.2倍当量の硬化剤と、を含有するものであることができる。前記範囲を外れる場合、未反応ポリイソシアネートが残留するか、硬化による架橋度が足りなくなる。
【0043】
本発明の一実施例による相互侵入型高分子架橋構造を有する組成物は、硬化剤として、イソシアネート系、メラミン系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、及びメルカプタン系化合物から選択される何れか1つまたは2つ以上の化合物が使用できる。
【0044】
この際、硬化剤は、イソシアネート系化合物及びメラミン系化合物を順に反応させることがより好ましい。2つ以上の硬化剤を同時に投入して架橋反応させると、2つ以上の硬化剤の反応速度によってIPNの構造が変わるため、所望の構造を得るために反応を調節することが困難である。したがって、1つの硬化剤を使用して反応させた後、順に他の硬化剤を入れて反応させることで、均一な構造を有するIPNを得ることができる。
【0045】
本発明において、イソシアネート系硬化剤としては、2,4‐トリレンジイソシアネート、2,6‐トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3‐キシレンジイソシアネート、1,4‐キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアネート、1,3‐ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5‐ナフタレンジイソシアネート、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタントリイソシアネートから選択される何れか1つ以上が使用できる。
【0046】
本発明において、メラミン系化合物としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、及びヘキサヘキシルオキシメチルメラミンから選択される何れか1つ以上が使用できる。
【0047】
本発明において、ポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群から選択される何れか1つ以上が使用できる。
【0048】
この際、ポリオール化合物は、重量平均分子量200〜30,000の低分子量のポリオールであることができる。前記範囲を外れる場合、硬化反応による架橋が容易ではない。分子量が低すぎると、硬化反応により生成された高分子の分子量が5万を超えることが困難であり、3万以上のポリオールを使用すると、ポリアルキレンカーボネート分子の間への効果的な侵入が行われにくいため、硬化反応後に効果的なIPN構造を有することが困難である。
【0049】
本発明の一様態において、前記イソシアネート化合物は、2,4‐トリレンジイソシアネート、2,6‐トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3‐キシレンジイソシアネート、1,4‐キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン‐4,4‐ジイソシアネート、1,3‐ビスイソシアネートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5‐ナフタレンジイソシアネート、2,2,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4‐トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びトリフェニルメタントリイソシアネートから選択される何れか1つまたは2つ以上の化合物であることができる。
【0050】
本発明の一様態において、前記硬化剤は、イソシアネート系、メラミン系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、及びメルカプタン系化合物から選択される何れか1つまたは2つ以上の化合物であることができる。
【0051】
本発明の一様態において、前記エポキシ化合物は、グリシジルエーテル系、グリシジルエステル系、グリシジルアミン系、直鎖状脂肪族化合物及び脂環族化合物から選択される何れか1つまたは2つ以上の化合物であることができる。
【0052】
本発明の一様態において、前記アクリル化合物は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、デシルメタクリレート、及び2‐エチルブチルメタクリレートから選択される何れか1つまたは2つ以上の化合物であることができる。
【0053】
本発明の一様態において、前記開始剤または触媒としては、該当分野で通常的に使用されるものであれば制限されずに使用可能である。具体例として、スズオクチレート、モノブチルスズトリアセテート、モノブチルスズモノオクチレート、モノブチルスズモノアセテート、モノブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクタノエート、ジブチルスズジステアレート、ジブチルスズジラウレート及びジブチルスズマレエート等の有機スズ化合物、テトライソプロピルチタネート及びテトラ‐n‐ブチルチタネート等の有機チタン化合物、及びトリエチルアミン、N,N‐ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N,N´,N´‐テトラメチルエチレンジアミン及びトリエチレンジアミン等の3級アミンから選択される1つ以上が使用できる。
【0054】
本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体は、脂肪族ポリカーボネートと、グリシジルエーテル系、グリシジルエステル系、グリシジルアミン系、直鎖状脂肪族化合物及び脂環族化合物から選択されるエポキシ化合物と、これらと重合または架橋若しくは反応できる硬化剤と、を含んで相互侵入型架橋構造を有することができる。この際、前記エポキシ化合物は、重量平均分子量が100〜10,000の低分子量のものが、脂肪族ポリカーボネート分子の間への侵入が効率的に行われるため、硬化反応後に優れたIPN構造を有することができる。
【0055】
本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体は、脂肪族ポリカーボネートと、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘプチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、デシルメタクリレート、及び2‐エチルブチルメタクリレートからなるアルキルアクリレートまたはアルキルメタクリレートから選択される何れか1つ以上のアクリル化合物と、これらと重合または架橋若しくは反応できる硬化剤と、を含んで相互侵入型架橋構造を有することができる。この際、前記エポキシ化合物は、重量平均分子量が100〜10,000の低分子量のものが、脂肪族ポリカーボネート分子の間への侵入が効率的に行われるため、硬化反応後に優れたIPN構造を有することができる。
【0056】
前記の脂肪族ポリカーボネートと、ポリオール化合物、エポキシ系化合物及びアクリル系化合物から選択される何れか1つ以上の化合物と、これらと重合、架橋若しくは反応できる硬化剤と、を含む相互侵入型架橋構造を有するポリアルキレンカーボネート樹脂組成物は、反応押出により相互侵入型架橋構造を有することが好ましく、溶液反応により形成されてもよいが、これに限定されない。
【0057】
本発明の一実施例による相互侵入型高分子架橋構造を有する脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体は、顔料、染料、充填剤、酸化防止剤、紫外線遮断剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、無機充填剤、混練剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂、レベリング剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、及び潤滑剤から選択される何れか1つまたは2つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【0058】
本発明による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物及びそれを用いて製造された脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン重合体は、様々な産業分野に適用可能である。
【0059】
より具体的に、本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物を用いて、押出、射出、キャスト等の方法により成形品を製造することができ、製造される成形品の種類に応じて選択して使用することができる。
【0060】
本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物を用いて製造された成形品は、擬革、フィルム、発泡フォーム、シート等を含むが、これに制限されるものではない。
【0061】
また、本発明の一実施例による脂肪族ポリカーボネート‐ポリウレタン組成物は、インク組成物、塗料組成物、接着剤組成物等の様々な分野で使用可能である。
【0062】
以下、本発明は下記の実施例によりさらに容易に理解される。これは本発明を例示するためのものであって、本発明の保護範囲を制限するためのものではない。
【0063】
[実施例1]
重量平均分子量2,000g/molのポリカーボネートジオール(G3452、旭化成)100重量部に対して、4,4‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)23重量部、及びジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.1重量部を反応器に入れ、ブラベンダーミキサーを用いて120℃、60rpmで撹拌しながら1時間反応させることで、ウレタンプレポリマーを得た。前記ウレタンプレポリマー及び1,4‐ブタンジオール(BD)を入れ、190℃、60rpmで撹拌しながら5分間反応させることで、ポリウレタン樹脂を得た。この際、イソシアネートインデックス(NCO index、イソシアネートとジオールの当量比)は1.2であり、ポリオール、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、及び1,4‐ブタンジオール(BD)のモル比は1.3:4.8:2.7である。前記ポリウレタン及び重量平均分子量30,000g/molのポリプロピレンカーボネート(SKイノベーション)を70:30の重量比でブレンディングして、ポリプロピレンカーボネート‐ポリウレタン組成物を製造した。
【0064】
[実施例2]
重量平均分子量2,000g/molのポリカーボネートジオール(G3452、旭化成)100重量部に対して、4,4‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)23重量部、及びジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.1重量部を反応器に入れ、ブラベンダーミキサーを用いて120℃、60rpmで撹拌しながら1時間反応させることで、ウレタンプレポリマーを得た。前記ウレタンプレポリマー70重量部、重量平均分子量30,000g/molのポリプロピレンカーボネート(SKイノベーション)30重量部、及び1,4‐ブタンジオール(BD)50重量部を反応器に入れた。この際、イソシアネートインデックス(NCO index、イソシアネートとジオールの当量比)が1.2であり、ポリオール、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、及び1,4‐ブタンジオール(BD)のモル比は1.3:4.8:2.7である。前記反応混合物を190℃、60rpmで撹拌しながら5分間反応させることで、ハイブリッド重合されたポリプロピレンカーボネート‐ポリウレタン共重合体を製造した。
【0065】
[比較例1]
重量平均分子量2,000g/molのポリカーボネートジオール(G3452、旭化成)100重量部に対して、4,4‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)23重量部、及びジブチルスズジラウレート(DBTDL)0.1重量部を反応器に入れ、ブラベンダーミキサーを用いて120℃、60rpmで撹拌しながら1時間反応させることで、ウレタンプレポリマーを得た。前記ウレタンプレポリマー及び1,4‐ブタンジオール(BD)を入れて190℃、60rpmで撹拌しながら5分間反応させることで、ポリウレタン樹脂を製造した。
【0066】
(評価)
前記実施例及び比較例で製造された反応物をPETフィルム上にコーティングした後、乾燥して、下記表1に示す厚さの試験片を製造した。前記試験片のそれぞれの物性をASTM規格に従う方法で測定した。この際、MD及びTD方向に区分して測定した。また、下記方法により、接着性及び耐加水分解性を評価した。
【0067】
(1)接着性
製造された試験片を下記表2に示す温度条件で30秒間50barの圧力で押した後、常温で5秒間冷却させてから、剥離試験機を用いて180℃、200mm/minの条件で最大接着力を測定した。
【0068】
(2)耐加水分解性
水槽上に試験片をかけて60℃で5日間オーブンに置いた後、試験前の引張強度と比較して変化率を測定した。
【0070】
【表2】
前記表1及び2に示すように、本発明による実施例1及び2は、引張強度、伸び率、引裂強度及び硬度などの機械的物性に優れており、このような優れた機械的物性を実現しながらも引張強度及び伸び率の変化率が低くくて、耐加水分解性が向上されるだけでなく、最大接着力が85.75(N/cm)で、優れた接着性を示した。これに対し、比較例1は、本発明によるポリアルキレンカーボネートとブレンディングまたはハイブリッド重合していない単独ポリウレタンを使用して、機械的物性、耐加水分解性及び接着性が実施例に比べ著しく劣っていることを確認することができた。
【0071】
上述のように本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、添付の請求範囲の範囲に定義された本発明の思想及び範囲を逸脱することなく本発明を多様に変形実施できるであろう。したがって、本発明は上記の実施例に限定されない。