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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-113559(P2015-113559A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】自動ドアシステム
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20150526BHJP
   E05F 15/632 20150101ALI20150526BHJP
【FI】
   E06B5/00 A
   E05F15/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-253847(P2013-253847)
(22)【出願日】2013年12月9日
(71)【出願人】
【識別番号】501013156
【氏名又は名称】寺岡ファシリティーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古野 元昭
(72)【発明者】
【氏名】馬場 良治
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 倫哲
(72)【発明者】
【氏名】岸本 哲史
【テーマコード(参考)】
2E039
2E052
【Fターム(参考)】
2E039AA01
2E052AA02
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA11
2E052EB01
2E052EC02
2E052GA06
(57)【要約】
【課題】 ドアに設けられた太陽電池の発電でドアの開閉を行うことができる自動ドアシステムを提供すること。
【解決手段】 建造物の壁面部Aに形成された開口A’に、固定ドア12,13と、固定ドア12,13に対して進退することにより出入口を開閉する可動ドア14,15とを備えた自動ドアシステム10を設置した。そして、固定ドア12,13を、複数のセル21を備えた太陽電池20と、太陽電池20を支持する固定ドア本体12dで構成し、太陽電池20を、固定ドア12,13の前方に対して傾斜させた状態で固定ドア本体12dに設置した。また、可動ドア14,15が駆動機構26の駆動によって移動するようにするとともに、太陽電池20が発生する電気をバッテリ32に充電し、この電気を駆動機構26の駆動電力として利用するようにした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の壁面部に形成された開口に設置されて出入口を形成する自動ドアシステムであって、
受光面を有する複数のセルを備えた太陽電池と、前記太陽電池を支持する固定ドア本体を備え、前記開口の一方に設置される固定ドアと、
前記固定ドアに対して進退することにより前記出入口を開閉する可動ドアと、
前記可動ドアを移動させる駆動機構と、
前記太陽電池が発生する電気を充電しその充電した電気を前記駆動機構の駆動電力として供給するバッテリとを備え、
前記太陽電池が、前記受光面を前記固定ドアの前方に対して傾斜させた状態で前記固定ドア本体に設置されていることを特徴とする自動ドアシステム。
【請求項2】
前記太陽電池を、前記複数のセルの少なくとも受光面を透明の保護材で被覆して構成した請求後1に記載の自動ドア。
【請求項3】
前記固定ドアと前記可動ドアの上部と、前記開口の上縁部との間に前記駆動機構を配置する駆動機構配置部を設けて、前記駆動機構配置部の外面に太陽電池を設置した請求項1または2に記載の自動ドアシステム。
【請求項4】
前記可動ドアを、太陽電池と、この太陽電池を支持する可動ドア本体で構成した請求項1ないし3のうちのいずれか一つに記載の自動ドアシステム。
【請求項5】
前記可動ドアに前記可動ドアの太陽電池に接続された可動側電気接点を設けるとともに、前記可動ドアが閉じられているときに前記可動側電気接点に接触する固定側電気接点を所定部分に設けて、前記固定側電気接点を前記バッテリに接続した請求項4に記載の自動ドアシステム。
【請求項6】
前記固定ドアの太陽電池から突出する配線を前記バッテリ側に延ばすための配線通路を前記固定ドア本体に形成した請求項1ないし5のうちのいずれか一つに記載の自動ドアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動電源として太陽電池を用いた自動ドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、太陽電池を用いて発電した電力を用いることが種々の装置において行われているが、自動ドアにおいては、近年においても商用電源が用いられている。一方、ドアの中には、太陽電池を設けることにより、発電可能になったものも開発されている(例えば、特許文献1参照)。このドアは、枠体に設けられるガラスまたはアルミ板の一部または全部を太陽電池に置き換えるとともに、太陽電池に電源コントローラを設け、太陽電池で発電された直流電力を電源コントローラで調整し、コンセントまたは出力コネクタ端子を介して種々の電気器具などで使用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−360421号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、前述した従来のドアで用いられる太陽電池は、発電量が少ないためドア自体は手動で開閉するようになっている。
【0005】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、ドアに設けられた太陽電池の発電でドアの開閉を行うことができる自動ドアシステムを提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係る自動ドアシステムの構成上の特徴は、建造物の壁面部(A)に形成された開口(A’)に設置されて出入口を形成する自動ドアシステム(10)であって、受光面を有する複数のセル(21,33)を備えた太陽電池(20,20a,60)と、太陽電池を支持する固定ドア本体(12d,13d)を備え、開口の一方に設置される固定ドア(12,13,62)と、固定ドアに対して進退することにより出入口を開閉する可動ドア(14,15,44,45)と、可動ドアを移動させる駆動機構(26)と、太陽電池が発生する電気を充電しその充電した電気を駆動機構の駆動電力として供給するバッテリ(32)とを備え、太陽電池が、受光面を固定ドアの前方に対して傾斜させた状態で固定ドア本体に設置されていることにある。
【0007】
本発明に係る自動ドアシステムでは、出入口に設けられるドアを固定ドアと可動ドアで構成して、固定ドアに複数のセルを備えた太陽電池を配置し、この太陽電池が発生する電気を利用して可動ドアを移動させて出入口を開閉するようにしている。また、太陽電池の各セルは、受光面を固定ドアの前方に対して傾斜させた状態で配置されるため、太陽光を取り込み易くすることができる。このセルの受光面は、自動ドアシステムが設置される場所に応じて、傾斜の方向や角度を任意に設定することができ、これによって、効率のよい発電が可能になる。
【0008】
セルの受光面の傾斜の方向としては種々の方向にすることができるが、固定ドアの前方に対して水平方向よりも上方または左右方向に傾斜させることが好ましい。セルの受光面を固定ドアの前方に対して水平方向よりも上方に向けた場合には、上方に位置する太陽の光を受けやすくなる。また、自動ドアシステムが南向きに設置されている場合に、セルの受光面を固定ドアの前方に対して左側に向けた場合には午前に太陽の光を受けやすくなり、セルの受光面を固定ドアの前方に対して右側に向けた場合には午後に太陽の光を受けやすくなる。さらに、固定ドアに複数の太陽電池を設ける場合には、各太陽電池のセルの受光面を交互に左右に向けて配置することもできる。また、各太陽電池のセルの受光面をそれぞれ異なる方向に傾斜させて時間帯に応じて太陽光の受光量が各太陽電池によって異なるようにすることもできる。
【0009】
本発明に係る自動ドアシステムの他の構成上の特徴は、太陽電池を、複数のセルの少なくとも受光面を透明の保護材(22a,22b,34a,34b)で被覆して構成したことにある。
【0010】
本発明によると、複数のセルの少なくとも受光面が破損することを防止できる。また、固定ドア本体の表面に、太陽電池を保護するためのガラス等の保護材を設けなくても済むようになる。さらに、太陽電池を、透明の保護材に複数のセルを配置して構成したため、セル以外の部分は透けて見えるようになり、固定ドアはデザイン的にも優れたものになる。この場合の保護材は、ガラスや樹脂製の板で構成することができ、二枚一組にして二枚の保護材の間に各セルを配置してもよいし、一枚で構成してもよい。保護材を一枚の板で構成する場合には、外側に配置してセルを外部から保護できるようにする。
【0011】
本発明に係る自動ドアシステムのさらに他の構成上の特徴は、固定ドアと可動ドアの上部と、開口の上縁部との間に駆動機構を配置する駆動機構配置部(17)を設けて、駆動機構配置部の外面(16a)に太陽電池を設置したことにある。
【0012】
自動ドアシステムには、可動ドアを移動させるためのモータやレールからなる駆動機構が必要であるが、本発明では、この駆動機構を配置する駆動機構配置部を固定ドアと可動ドアの上部に位置する、いわゆる無目に設けて、無目の外面に太陽電池を設置している。このため、外部から見ると無駄なスペースと思える無目の外面を太陽電池を配置するためのスペースとして有効利用することができ、発電量も増加する。本発明では、無目の外面に配置される太陽電池を構成する各セルは、受光面を水平方向に向けてもよいし、上方や左右方向に傾斜させてもよい。なお、本発明において外面とは建造物の外側に向かった面である。
【0013】
本発明に係る自動ドアシステムのさらに他の構成上の特徴は、可動ドア(44,45)を、太陽電池と、この太陽電池を支持する可動ドア本体で構成したことにある。
【0014】
本発明によると、固定ドアだけでなく、可動ドアにも太陽電池を設けたため、さらに発電量を増加させることができる。本発明に係る可動ドアにおいても、太陽電池を構成する各セルは、受光面を水平方向に向けてもよいし、上方や左右に傾斜させてもよい。
【0015】
本発明に係る自動ドアシステムのさらに他の構成上の特徴は、可動ドアに可動ドアの太陽電池に接続された可動側電気接点(48d,58c)を設けるとともに、可動ドアが閉じられているときに可動側電気接点に接触する固定側電気接点(47c,57c)を所定部分に設けて、固定側電気接点をバッテリに接続したことにある。
【0016】
本発明によると、可動ドアに設けられた可動側電気接点と固定側電気接点の間に配線を設けることなく、可動ドアに設置された太陽電池が発生する電気をバッテリに充電することができる。このため、太陽電池を設けることによって、可動ドアの移動に配線による支障が生じることはない。なお、可動側電気接点は、可動ドアが閉じるときに移動する方向に向いた状態で可動ドアの所定部分に設けられ、固定側電気接点は、可動側電気接点に対向した状態で、固定ドアと可動ドアを支持する躯体部分に設けられる。
【0017】
本発明に係る自動ドアシステムのさらに他の構成上の特徴は、固定ドアの太陽電池から突出する配線をバッテリ側に延ばすための配線通路を固定ドア本体に形成したことにある。
【0018】
固定ドアは、静止しているため配線を用いて太陽電池とバッテリを接続することが好ましい。そして、固定ドアに配線通路を形成して、配線を配線通路内に通すことにより配線をコンパクトに収容でき、配線に縺れや損傷が生じることを防止できる。また、建造物の壁面部に配線通路を形成する場合には、大掛かりな工事が必要になるが、本発明では、配線通路を固定ドア本体に形成するため、配線通路の形成が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る自動ドアシステムを示した正面図である。
図2】固定ドアと可動ドアを上方から見た状態を示した平面図である。
図3】一方の固定ドアを示した断面図である。
図4】太陽電池を示した正面図である
図5】太陽電池の端子箱側部分を示した平面図である。
図6】太陽電池をポケット部材に取り付ける状態を示した斜視図である。
図7】駆動機構を示した斜視図である。
図8】無目に取り付けられた太陽電池を示した断面図である。
図9】無目に取り付けられた太陽電池の固定状態を示した断面図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る自動ドアシステムに備わった可動ドアと接点装置を示した説明図である。
図11】接点装置の固定側接点部材を示した側面図である。
図12】接点装置の可動側接点部材を示した斜視図である。
図13】接点装置の変形例を示した説明図である。
図14】本発明の第3実施形態に係る自動ドアシステムに備わった固定ドアを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る自動ドアシステム10を示している。この自動ドアシステム10は、建造物の壁面部Aに形成された開口A’に設置されており、図1は、壁面部Aの外部側から自動ドアシステム10を見た状態を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の各方向は、図1の方向に基づいたものとし、図1の手前側が前方、奥側が後方であるとする。自動ドアシステム10は、開口A’の内周面に沿って設置された支持枠11に、一対の固定ドア12,13と、一対の可動ドア14,15と、無目16を組み付けて構成されている。
【0021】
支持枠11は、開口A’の左右両側に配置された立桟11a,11bと、開口A’の上下両側に配置された横桟11c(図3参照),11dと、立桟11a,11bの上部前部側に掛け渡された仕切り桟11eとで構成されており、高さよりも横幅が長い矩形に形成されている。そして、横桟11cの下部に左右に延びるスライド溝11f(図3参照)が形成され、横桟11dの上面における後部に左右に延びるスライド溝11gが形成されている。
【0022】
固定ドア12は、横桟11dと仕切り桟11eの間で、立桟11aに沿って左側に設置され、固定ドア13は、横桟11dと仕切り桟11eの間で、立桟11bに沿って右側に設置されている。可動ドア14,15は、図2(下側が前方で上側が後方)に示したように,固定ドア12,13よりも後方に配置されており、可動ドア14は、横桟11dと横桟11cの間における中央部分と固定ドア12の後面側との間でスライド溝11f,11gに沿って移動可能に設置され、可動ドア15は、横桟11dと横桟11cの間における中央部分と固定ドア13の後面側との間でスライド溝11f,11gに沿って移動可能に設置されている。
【0023】
固定ドア12は、図3に示したように、前面に配置された透明の強化ガラス12aを、支持枠12cに固定して、内部に空間が箱状に形成された固定ドア本体12dを形成し、その固定ドア本体12dの内部に、6個の太陽電池20を上下に設置して構成されている。太陽電池20は、図4および図5に示したように、左右に配置されて直列に接続された5個のセル21の表面と裏面に、高透過性の強化ガラスからなる板状の保護材22a,22bを一体に固定して本体部分が構成されている。そして、保護材22a,22bの右端部からセル21に接続された配線21a,21bの先端部分を突出させて、その配線21a,21bの先端部分を、端子箱23を介して外部に延ばしている。端子箱23は、配線21a,21bを後面側から押し込んで内部に挿入できる溝穴23aが形成された略筒状に形成されており、溝穴23aの上下両端からそれぞれ配線21a,21bを突出させている。
【0024】
固定ドア本体12dの支持枠12cには、図6に示した一対のポケット部材24,25が、対向して左右に配置されており、この一対のポケット部材24,25は、上下に6組取り付けられている。ポケット部材24は、右側と上下が開放された断面形状がコ字状の位置決め部24aの下端部に落下防止用のフタ24bを固定して構成されている。ポケット部材25は、位置決め部24aと左右対称に配置される位置決め部25aとその下端部に固定されたフタ25bで構成されており、位置決め部25aの右側面には上下に間隔をおいて2つの線通穴25c,25dが形成されている。位置決め部24a,25aは、それぞれ内部に太陽電池20の左右の端部を挿し込める大きさに形成され、線通穴25c,25dの間隔は、端子箱23の上下方向の長さよりも少し長くなっている。このポケット部材24,25は、ステンレス鋼、スチール、アルミニウムなどの金属からなっており、支持枠12cの色と同じ色またはその色と調和のとれる色が施されている。
【0025】
そして、ポケット部材24は、支持枠12cの左側部に上下に等間隔でビスによって固定され、ポケット部材25は、支持枠12cの右側部に上下に等間隔でビスによって固定されている。対向する各一対のポケット部材24,25は、それぞれ下部が前方に位置し、上部が後方に位置するように傾斜した状態で支持枠12cに固定されている。6個の太陽電池20は、それぞれ一対のポケット部材24,25に支持された状態で固定ドア本体12dに組み込まれる。この場合、図6に矢印で示したように、太陽電池20を上方からポケット部材24,25に近づける。
【0026】
そして、配線21bをポケット部材25の内部側から線通穴25dに通し、太陽電池20をポケット部材24,25に挿し込んだのちに、配線21aをポケット部材25の内部側から線通穴25cに通す。これによって、太陽電池20は、ポケット部材24,25に支持される。ついで、太陽電池20とポケット部材24,25をコーキング材で固定する。この状態では、配線21a,21bは、ポケット部材25に覆われて見えなくなる。他の太陽電池20も同様にして、ポケット部材24,25に取り付けることにより、図3に示した固定ドア12が得られる。
【0027】
この場合、各太陽電池20の傾斜角度は、垂直に対して30度程度傾斜しており、各太陽電池20の間隔は、太陽電池20に対して太陽光が直交して当たる場合に、下側に位置する太陽電池20のセル21に上側に位置する太陽電池20のセル21の影がかからないようになっている。また、図示は省略するが、固定ドア本体12dの右側には、ポケット部材25から引き出された配線21a,21bを通す配線通路が形成されており、各太陽電池20の配線21a,21bは、配線通路内で上方に延びている。
【0028】
固定ドア13は、固定ドア12と同様、前面に配置された透明の強化ガラス13aを、支持枠13cに固定して、内部に空間が形成された固定ドア本体13dを形成し、その固定ドア本体13dの内部に、太陽電池20を設置して構成されているが、太陽電池20を構成するセル21および太陽電池20の個数がそれぞれ固定ドア12とは異なっている。固定ドア13は、固定ドア12と同じ大きさに形成され、固定ドア13の太陽電池20には6個のセル21が備わり、固定ドア13には上下に配置された12個の太陽電池20が備わっている。このため、固定ドア13の太陽電池20およびその太陽電池20に備わったセル21は、固定ドア12の太陽電池20およびその太陽電池20に備わったセル21よりも小型に形成されている。また、固定ドア13の太陽電池20は、垂直に近い2〜10度程度傾斜している。固定ドア13のそれ以外の部分の構成や組付け方法は固定ドア12と同じであるため、説明は省略する。
【0029】
可動ドア14は、透明の強化ガラス14aを支持枠14bに固定して構成され、可動ドア15は、透明の強化ガラス15aを支持枠15bに固定して構成されている。この可動ドア14,15は、無目16の内部に設けられた上レール(図示せず)に支持された状態で、駆動機構26(図7参照)の作動によって、互いに接近したり離れたりする。無目16の内部には、図7に示したように空間からなる駆動機構配置部17が形成されており、この駆動機構配置部17に駆動機構26が配置されている。駆動機構26は、モータ26a、駆動プーリ26b、ガイドプーリ26c、ベルト26d、起動センサ29およびコントローラ30を備えている。
【0030】
図7は、建造物の内部側から駆動機構配置部17を見た状態を示しており、モータ26aは、図7の状態で、駆動機構配置部17の右端側に配置されており、回転軸(図示せず)を左側に突出させている。このモータ26aは正逆反転可能に回転する。また、駆動プーリ26bは、モータ26aの左側近傍に取り付けられて、所定の歯車を介してモータ26aの回転軸に転結されている。このため、モータ26aの作動に応じて駆動プーリ26bは回転する。ガイドプーリ26cは、駆動機構配置部17の左端側に配置され、駆動プーリ26bとの間に、ベルト26dが掛け渡されている。このため、駆動プーリ26bの回転力がベルト26dを介してガイドプーリ26cに伝わり、ガイドプーリ26cは駆動プーリ26bと同じ方向に回転する。
【0031】
ベルト26dの下方に位置する部分は連結部27によって可動ドア14に連結され、ベルト26dの上方に位置する部分は連結部28によって可動ドア15に連結されている。連結部27は、ベルト26dの下方に位置する部分に固定されて下方に延びる連結片27aと、可動ドア14の上端部の左右に取り付けられた一対のドアハンガ27bと、一対のドアハンガ27bに掛け渡された一対の連結棒27cとで構成されており、連結片27aの下端部は一対の連結棒27cに固定されている。連結部28は、連結部27と同様、連結片28aと、一対のドアハンガ28bと、一対の連結棒28cとで構成されている。連結片28aは、ベルト26dの上下の幅分、連結片27aよりも上下方向の長さが長くなって上端部がベルト26dの上部に位置する部分に固定され、一対のドアハンガ28bは可動ドア15の上端部の左右に取り付けられている。そして、連結片28aの下端部は一対の連結棒27cに固定されている。
【0032】
このため、モータ26aの作動により、ベルト26dが、図7の状態から反時計周り方向に回転すると、可動ドア14は右側に移動し、可動ドア15は左側に移動する。これによって、可動ドア14,15の間に出入口が開口する。また、その状態からモータ26aが反転してベルト26dが時計周り方向に回転すると、可動ドア14は左側に移動し、可動ドア15は右側に移動する。これによって、出入口は閉じられる。起動センサ29は、駆動機構配置部17の中央に設置され、可動ドア14,15の近傍に人が近づいたときに、その人を検知する。
【0033】
コントローラ30は、起動センサ29が人を検知したときに、モータ26aの作動を制御して可動ドア14,15を開閉させる制御装置であり、CPU、ROM、RAMおよびタイマを備えている。ROMには、CPUが実行するためのプログラムが記憶され、RAMには、CPUによるプログラムの実行時に使用される各種のデータが記憶される。CPUは、ROMに記憶されたプログラムやRAMに記憶されたデータにしたがって、モータ26aの作動を制御する。また、コントローラ30には、配線31を介してバッテリ32が接続されている。このバッテリ32には、固定ドア12,13から延びてくる配線21a,21bも接続されており、固定ドア12,13の太陽電池20が発生する電気が充電される。
【0034】
無目16の外面16aは、図8に示したように、上部よりも下部が前方に位置する庇状の傾斜面に形成されている。そして、外面16aの左右にそれぞれ太陽電池20aが設置されている。太陽電池20aは、8個のセル33の表面と裏面に、高透過性の強化ガラスからなる保護材34a,34b(図9参照)を一体に固定して構成されている。また、外面16aには、2個の太陽電池20aを取り付けるための2つの窓穴35が形成されている。太陽電池20aの窓穴35への設置は、図9に示したように、支持部材36を用いて行われる。支持部材36は、浅い凹部を備えた箱状の支持部36aの開口縁部に外側に延びるフランジ状の固定片36bを形成して構成されており、内部に太陽電池20aを余裕を持って収容できる大きさに形成されている。
【0035】
そして、まず、支持部材36の底面の中央に太陽電池20aを設置して、支持部材36の周側部と太陽電池20aの間に厚みが5mm程度の角ゴム37を押し込む。太陽電池20aの保護材34a,34bは、この角ゴム37によって、割れを防止される。つぎに、角ゴム37の上にガラスシール37aを充填して太陽電池20aを固定する。そして、太陽電池20aが固定された支持部材36を、外面16aの内側から窓穴35に合わせ、固定片36bを溶接によって外面16aに固定する。これによって、太陽電池20aは、受光面を外部に向けた状態で外面16aに取り付けられる。この太陽電池20aの傾斜角度も垂直に対して30度程度に設定されている。
【0036】
また、無目16における外面16aの下方には、点検用開口38が形成され、点検用開口38に点検蓋38aが着脱可能に設けられている。なお、図示は省略するが、支持部材36には線通穴が形成されており、太陽電池20aから延びる配線は、この線通穴を通ってバッテリ32に接続される。配線をバッテリ32に接続する作業は、点検用開口38を開けた状態で行われる。
【0037】
以上のように、自動ドアシステム10を構成したため、固定ドア12,13の太陽電池20および無目16の外面16aに設置された太陽電池20aが発生する電気をバッテリ32に充電させて、その電気をモータ26aの駆動電力として用いることができる。これによって、自動ドアシステム10を適正な状態で作動させることができる。なお、コントローラ30には、商用電源も接続されており、諸事情により、バッテリ32の充電量が不足している場合には、商用電源に切り換えられる。
【0038】
このように、本実施形態に係る自動ドアシステム10では、出入口に設けられるドアを左右両側に配置された固定ドア12,13と、固定ドア12,13に対して進退することにより出入口を開閉する可動ドア14,15で構成して、固定ドア12,13にそれぞれ太陽電池20を設置している。また、無目16の外面16aにも太陽電池20aを設置している。そして、太陽電池20,20aが発生する電気をモータ26aの駆動電力として用いて可動ドア14,15を移動させて出入口を開閉するようにしている。
【0039】
また、太陽電池20,20aの各セル21,33は、受光面を自動ドアシステム10の前方に対して上方に傾斜させた状態で配置されているため、太陽光を取り込み易くなる。また、固定ドア12,13に対して進退する可動ドア14,15は建造物の内部と外部を遮断できる板状のものであればよいため軽量することができる。このため、太陽電池20,20aは効率よく発電し、可動ドア14,15は少ない電力で開閉するようになる。この結果、自動ドアシステム10は安定して作動するようになる。
【0040】
また、太陽電池20,20aを、複数のセル21,33の表裏両面を保護材22a,22b,34a,34bで被覆して構成しているため、セル21,33が破損することを防止できる。さらに、無目16の外面16aに太陽電池20aを設置したことにより、無目16の外面16aを有効利用することができる。また、太陽電池20から突出する配線21a,21bを通す配線通路を固定ドア本体12d,13dに形成したため、大掛かりな工事をすることなく配線21a,21bをコンパクトに収容できる。さらに、太陽電池20,20aのセル21,33が表面に透けて見えるため、固定ドア12,13はデザイン的にも優れたものになる。
【0041】
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態に係る自動ドアシステムの要部を示している。この自動ドアシステムでは、一対の可動ドア44,45にそれぞれ太陽電池(図示せず)が設置されており、この太陽電池が発生する電気は接点装置46を介してバッテリに供給される。可動ドア44,45にそれぞれ設置された太陽電池は、垂直に配置されて受光面を前方に向けており、これによって可動ドア44,45の厚みの増加を最小限にしている。また、接点装置46は、可動ドア44,45の上方に設けられた上レール41に固定された固定側接点部材47と、可動ドア44に固定された可動側接点部材48と、可動ドア45に固定された可動側接点部材49で構成されている。
【0042】
固定側接点部材47は、図11に示したように、矩形ブロック状の本体47aの裏面上部に、側方視がL形のフック47bを設けて構成されており、本体47aの左右両側面の下部に電気接点47cが形成されている。また、本体47aの上部側中央には前後に貫通するねじ穴47dが形成されている。固定側接点部材47は、フック47bを上方から上レール41に引っ掛け、ねじ穴47dにねじ47eを螺合させ、その先端を上レール41の前面に押し付けることにより固定されている。
【0043】
可動側接点部材48は、図12に示したように、四角板状の固定片48aと、固定片48aの上面に固定され右側が開口した四角箱状の本体48bと、本体48bの内部と外部との間で進退可能になった接点形成部48cからなっており、接点形成部48cの先端面で電気接点48dが構成されている。この可動側接点部材48は、電気接点48dを固定側接点部材47の左側の電気接点47cに対向させた状態で、可動ドア44の上端面における右側部分に固定片48aをねじ(図示せず)で固定することにより取り付けられている。
【0044】
可動側接点部材49は、可動側接点部材48と同じ構成をしており、電気接点を固定側接点部材47の右側の電気接点47cに対向させた状態で、可動ドア45の上端面における左側部分に取り付けられている。なお、接点装置46は無目16の後面に設けられるカバー(図示せず)によって覆われて外部からは見えなくなっている。この自動ドアシステムでは、可動ドア44,45が閉じているときに、接点装置46が接続状態になってバッテリが充電される。
【0045】
第2実施形態に係る自動ドアシステムのそれ以外の部分の構成は、前述した自動ドアシステム10と同一である。この第2実施形態に係る自動ドアシステムによると、固定ドア12,13や無目16に加えて、可動ドア44,45にも太陽電池を設けたため、さらに発電量を大きくすることができる。また、可動ドア44,45に設置された太陽電池とバッテリの接続を、接点装置46を用いて行うため、可動ドア44,45の移動に配線による支障が生じることはない。この第2実施形態に係る自動ドアシステムのそれ以外の作用効果は、前述した自動ドアシステム10と同様である。また、第2実施形態の変形例として、太陽電池を上方に傾斜させて受光面が斜め上方を向くようにすることもできる。
【0046】
図13に、前述した接点装置46の変形例を示している。この変形例に係る接点装置56は、上レール41に固定される固定側接点部材57と、可動ドア44,45にそれぞれ固定される可動側接点部材58(一方しか図示せず)で構成されている。固定側接点部材57は、上部(図示省略)が前述した固定側接点部材47の上部と同様の構成をしており、その下部に筒状の接点形成部57aが形成されている。そして、接点形成部57aの内周面に電気接点57cが形成されている。可動側接点部材58は、四角板状の固定片58aの上面に矩形ブロック状の本体58bを形成し、本体58bの右側面から棒状の電気接点58cを突出させて構成されている。
【0047】
もう一方の可動側接点部材も可動側接点部材58と同じもので構成され、可動側接点部材58と左右対称に配置されて可動ドア45に取り付けられる。この接点装置56では、可動ドア44,45が閉じているときに、電気接点58cが接点形成部57aの内部に入ることにより、接点装置56が接続状態になってバッテリが充電される。この接点装置56を用いた場合も、前述した第2実施形態に係る自動ドアシステムと同様の作用効果を得ることができる。
【0048】
(第3実施形態)
図14は、本発明の第3実施形態に係る自動ドアシステムに備わった固定ドア62を示している。この固定ドア62では、太陽電池60が左右方向でなく、上下方向に配置されており、上下方向に配置された6列の太陽電池60が左右に配置されている。また、各太陽電池60は交互に左右に傾斜して配置されており隣り合った2個の太陽電池60の横断面は、V形に形成されている。各太陽電池60の傾斜角度は、固定ドア62の前面に対して30度程度に設定されている。また、ポケット部材64,65は、支持枠62cの上下にそれぞれ取り付けられ、太陽電池60の配線(図示せず)を通す配線通路は、支持枠62cの上部に設けられている。
【0049】
この固定ドア62のそれ以外の部分の構成は、前述した固定ドア12,13と同一である。なお、第3実施形態に係る自動ドアシステムにも一対の固定ドアが備わっており、もう一方の固定ドアも固定ドア62と同様に構成されている。また、第3実施形態に係る自動ドアシステムの固定ドア62以外の部分の構成は、前述した自動ドアシステム10と同一である。
【0050】
第3実施形態に係る自動ドアシステムによると、固定ドア62に対して東から西に移動する太陽の位置に応じて受光し易い太陽電池60が代わっていくため、太陽電池60全体としては、バラつきの少ない平均した受光が可能になる。このため、太陽の位置に関係なく効率のよい発電が可能になる。また、太陽電池60を上下方向に配置したことにより、デザインがさらに興趣に富むものとなる。第3実施形態に係る自動ドアシステムのそれ以外の作用効果は、前述した自動ドアシステム10と同様である。この第3実施形態に係る自動ドアシステムの変形例として、前述した第2実施形態のように、可動ドアに太陽電池を設置してもよい。この場合の太陽電池は垂直に設置してもよいし、傾斜させて設置してもよい。
【0051】
本発明に係る自動ドアシステムは、前述した各実施形態や変形例に限定するものでなく、適宜変更して実施することが可能である。例えば、前述した実施形態では、固定ドアと可動ドアをそれぞれ一対としているが、固定ドアと可動ドアをそれぞれ一つにして自動ドアシステムを構成してもよい。また、太陽電池20,20a等の傾斜角度は、任意に設定でき、例えば、垂直に対して、2〜60度程度にできるが、傾斜角度が大きくなるとドアの厚みが増加することと、受光量とを考慮すると、30度程度に設定することが好ましい。さらに、太陽電池20,20a等は、自動ドアシステムが設置される方向に応じて受光し易い任意の向きに設置することができる。
【0052】
前述した第1実施形態では、固定ドア13の太陽電池20も傾斜させているが、この太陽電池20は垂直に配置してもよい。また、前述した実施形態では、固定ドア12,13等の前面に、強化ガラス12a,13a等を設けているが、防犯上問題のない場所に自動ドアシステム10等を設置する場合には、強化ガラス12a,13a等は省略することができる。さらに、太陽電池20,20a等の裏面の保護材22b,34bは省略することができ、太陽電池が強化ガラス等で保護される場合には、表面の保護材22a,34aも省略することができる。また、太陽電池の保護材としては板状の部材に限らず、セル21等を内部に埋め込める樹脂材料で構成することもできる。
【0053】
前述した第2実施形態では、可動ドア44,45の太陽電池が発生する電気をバッテリに充電するために、接点装置46,56を用いているが、この接点装置46,56に代えて、摺接することにより常時接続される接点装置を用いることもできる。これによると、可動ドア44,45の太陽電池が発生する電気を常時バッテリに充電することができる。また、太陽電池20aの取付けを支持部材36を用いて行っているが、この太陽電池20aもポケット部材を用いてスライドさせることにより無目16の外面16aに取り付けることができる。さらに、太陽電池20,20a等を回転可能に設置して、任意の角度に調節することもできる。
【符号の説明】
【0054】
10…自動ドアシステム、12,13,62…固定ドア、12d,13d…固定ドア本体、14,15,44,45…可動ドア、16a…外面、17…駆動機構配置部、20,20a,60…太陽電池、21,33…セル、21a,21b…配線、22a,22b,34a,34b…保護材、26…駆動機構、32…バッテリ、47c,48d,57c,58c…電気接点、A…壁面部、A’…開口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図7
図14