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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-114059(P2015-114059A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20150526BHJP
【FI】
   F24F7/06 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-257341(P2013-257341)
(22)【出願日】2013年12月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 康司
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BK04
3L058BK05
(57)【要約】
【課題】 油分を捕集する部材の着脱時に、本部材と回転するフィルタが接触することを防止するレンジフードを提供する。
【解決手段】 レンジフード1は、空気の流れを発生させるファン4と、ファンと連通する連通口6を有する内面パネル5と、孔を有する円盤状のフィルタ10と、フィルタを回転させる電動機20と、フィルタの周縁端部12を囲むフランジ部32と、フランジ部の下端部でフランジ部より内側に延在する延在部33とを有する油分捕集部材30と、周縁端部より外側であってフランジ部よりも内側に位置する衝突阻止部70と、油分捕集部材の一方の延在部を支持する支持部50と、油分捕集部材の他方を係合する係合部60と、を備え、係合部が油分捕集部材の他方から係合を離れた場合に、フランジ部の端部が衝突阻止部に当接し、衝突阻止部は、フランジ部が周縁端部に衝突することを阻止する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の流れを発生させるファンと、
前記ファンと連通する連通口を有する内面パネルと、
前記連通口に位置し、孔を有する円盤状のフィルタと、
前記フィルタを回転させる電動機と、
前記フィルタの周縁端部を囲むフランジ部と、前記フランジ部の下端部で前記フランジ部より内側に延在する延在部とを有する油分捕集部材と、
前記周縁端部より外側であって前記フランジ部よりも内側に位置する衝突阻止部と、
前記油分捕集部材の一方の前記延在部を支持する支持部と、
前記油分捕集部材の他方を係合する係合部と、
を備え、
前記係合部が前記油分捕集部材の他方から係合を離れた場合に、前記フランジ部の端部が前記衝突阻止部に当接し、前記衝突阻止部は、前記フランジ部が前記周縁端部に衝突することを阻止する、
レンジフード。
【請求項2】
さらに前記延在部が前記支持部との接触を離れた場合に、前記フランジ部の端部は前記衝突阻止部に当接することを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記衝突阻止部は前記内面パネルから隆起し、前記フランジ部の端部は、前記衝突阻止部の隆起した斜面に当接することを特徴とする請求項1または2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記フランジ部の端部は、前記係合部が前記油分捕集部材の他方を係合している場合に、前記衝突阻止部の下端より上方に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のレンジフード。
【請求項5】
前記衝突阻止部は、前記油分捕集部材の一方側に、前記周縁端部における前記支持部との最近点を挟んで2つ設けられ、
前記衝突阻止部に当接する前記端部の前記延在部からの高さは、前記最近点付近の前記端部の前記延在部からの高さより高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のレンジフード。
【請求項6】
空気の流れを発生させるファンと、
前記ファンと連通する連通口を有する内面パネルと、
前記連通口に位置し、孔を有する円盤状のフィルタと、
前記フィルタを回転させる電動機と、
前記フィルタの周縁端部を囲むフランジ部と、前記フランジ部の下端部で前記フランジ部より内側に延在する延在部とを有する油分捕集部材と、
前記油分捕集部材を支持する支持部と、
前記周縁端部より外側であって前記フランジ部よりも内側に位置し、前記油分捕集部材がレンジフードから取り外される過程において前記フランジ部が前記周縁端部に衝突することを阻止する衝突阻止部と、
を備えるレンジフード。
【請求項7】
前記衝突阻止部は、前記内面パネルから下方に延出し、前記フランジ部の端部が当接する傾斜部を有することを特徴とする請求項6に記載のレンジフード。
【請求項8】
前記フランジ部の端部は、前記油分捕集部材が前記レンジフードに装着されている場合に、前記衝突阻止部の下端より上方に位置することを特徴とする請求項6または7に記載のレンジフード。
【請求項9】
前記衝突阻止部は、前記周縁端部より外側であって前記フランジ部よりも内側に複数設けられることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のレンジフード。
【請求項10】
少なくとも2つの前記衝突阻止部は、前記周縁端部の1点と前記少なくとも2つの前記衝突阻止部の2点の3点を通る円弧の曲率が前記フランジ部の曲率より小さくなるように配置されることを特徴とする請求項9に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関し、特にフィルタを回転させて油分を捕集する油捕集装置およびそれを備えたレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
調理器の上方または周囲に設置され、調理により発生した煙や油粒子、臭気を捕集して排気または室内に循環するレンジフードには、捕集した空気から油を分離回収するための油捕集装置が設けられている。この油捕集装置は、油捕集率を高めることが当該装置の空気の流れの下流側の送風機やダクト等の汚れを防止し、これらのメンテナンス周期の長期化や長寿命化に貢献することから、円盤状のフィルタを高速回転させて油分を捕集することで高い油捕集率を実現する高捕集型油捕集装置を搭載したレンジフードを本出願人自ら出願している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2011−290150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなレンジフードでは、高速回転する円盤状のフィルタの周囲やその下方に位置して油脂分を回収する部材を設けて、フィルタで捕獲し飛散する油脂分を捕集し、油脂分がレンジフードから滴下することを防止する。また、かかる油分を捕集する部材は、空気中から分離回収した油脂分を蓄える油溜まりの機能も有しているため、定期的にこの部材を取り外して溜まった油を廃棄する必要がある。また、フィルタを洗う際にもまずこの部材を取り外した後に円盤状のフィルタを取り外す必要がある。
【0005】
そして、かかる油分を捕集する部材を取り外す際には、回転するフィルタの周囲を囲むように設けられている本部材がフィルタに接触しないように注意を払って取り外すことになるが、操作を誤ると接触してしまい、フィルタに傷が付いてしまったり、最悪な場合には変形をきたしてしまったりと、不慮の接触による損傷が発生する可能性があった。そこで、本部材の着脱時に、本部材とフィルタが接触しないようにすることが望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、油分を捕集する部材の着脱時に、本部材と回転するフィルタが接触することを防止するレンジフードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、空気の流れを発生させるファンと、そのファンと連通する連通口を有する内面パネルと、連通口に位置し、孔を有する円盤状のフィルタと、そのフィルタを回転させる電動機と、フィルタの周縁端部を囲むフランジ部とそのフランジ部の下端部でフランジ部より内側に延在する延在部とを有する油分捕集部材と、周縁端部より外側であってフランジ部よりも内側に位置する衝突阻止部と、油分捕集部材の一方の延在部を支持する支持部と、油分捕集部材の他方を係合する係合部と、を備え、係合部が油分捕集部材の他方から係合を離れた場合に、フランジ部の端部が衝突阻止部に当接し、衝突阻止部は、フランジ部が周縁端部に衝突することを阻止するレンジフードが提供される。
これによれば、油分捕集部材の着脱時に、油分捕集部材のフランジ部が衝突阻止部に当接し、フランジ部が周縁端部に衝突することを阻止することで、本部材と回転するフィルタが接触することを防止するレンジフードを提供することができる。
【0008】
さらに、延在部が支持部との接触を離れた場合に、フランジ部の端部は衝突阻止部に当接することを特徴としてもよい。
これによれば、油分捕集部材がレンジフードからの接触を離れて以降の取り外される途中であっても、フランジ部が衝突阻止部に当接することで、本部材と回転するフィルタが接触することを防止することができる。
【0009】
さらに、衝突阻止部は内面パネルから隆起し、フランジ部の端部は、衝突阻止部の隆起した斜面に当接することを特徴としてもよい。
これによれば、フランジ部が隆起した斜面に当接することで、本部材と回転するフィルタが接触することを円滑に防止することができる。
【0010】
さらに、フランジ部の端部は、係合部が油分捕集部材の他方を係合している場合に、衝突阻止部の下端より上方に位置することを特徴としてもよい。
これによれば、フランジ部の端部が必ず衝突阻止部に接触する高さであり、効果的に本部材と回転するフィルタが接触することを防止することができる。
【0011】
さらに、衝突阻止部は、油分捕集部材の一方側に、周縁端部における支持部との最近点を挟んで2つ設けられ、衝突阻止部に当接する端部の延在部からの高さは、最近点付近の端部の延在部からの高さより高いことを特徴としてもよい。
これによれば、一方側のフランジ部の中央部分を両端部分より低くすることで、円盤状のフィルタとの間隔距離を大きく取ることができるため、薄型のフード部においても、効果的に本部材と回転するフィルタが接触することを防止することができる。
【0012】
上記課題を解決するために、空気の流れを発生させるファンと、そのファンと連通する連通口を有する内面パネルと、連通口に位置し、孔を有する円盤状のフィルタと、そのフィルタを回転させる電動機と、フィルタの周縁端部を囲むフランジ部とフランジ部の下端部でフランジ部より内側に延在する延在部とを有する油分捕集部材と、その油分捕集部材を支持する支持部と、周縁端部より外側であってフランジ部よりも内側に位置し、油分捕集部材がレンジフードから取り外される過程においてフランジ部が周縁端部に衝突することを阻止する衝突阻止部と、を備えるレンジフードが提供される。
これによれば、衝突阻止部が、油分捕集部材がレンジフードから取り外される過程において、フランジ部が周縁端部に衝突することを阻止することで、本部材と回転するフィルタが接触することを防止するレンジフードを提供することができる。
【0013】
さらに、衝突阻止部は、内面パネルから下方に延出し、フランジ部の端部が当接する傾斜部を有することを特徴としてもよい。
これによれば、フランジ部が傾斜した部分に当接することで、本部材と回転するフィルタが接触することを円滑に防止することができる。
【0014】
さらに、フランジ部の端部は、油分捕集部材がレンジフードに装着されている場合に、衝突阻止部の下端より上方に位置することを特徴としてもよい。
これによれば、フランジ部の端部が必ず衝突阻止部に接触する高さであり、効果的に本部材と回転するフィルタが接触することを防止することができる。
【0015】
さらに、衝突阻止部は、周縁端部より外側であってフランジ部よりも内側に複数設けられることを特徴としてもよい。
これによれば、いずれの方向からも、本部材と回転するフィルタが接触することを防止することができる。
【0016】
さらに、少なくとも2つの衝突阻止部は、周縁端部の1点と少なくとも2つの衝突阻止部の2点の3点を通る円弧の曲率がフランジ部の曲率より小さくなるように配置されることを特徴としてもよい。
これによれば、いずれの方向からも、確実に本部材と回転するフィルタが接触することを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、油分を捕集する部材の着脱時に、本部材と回転するフィルタが接触することを防止するレンジフードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る第一実施例のレンジフードの(A)底面図、(B)整流板を取り外した場合の底面図。
図2】本発明に係る第一実施例のレンジフードの、整流板と油分捕集部材を取り外した場合の、(A)底面図、(B)右下から見た斜視図。
図3】本発明に係る第一実施例のレンジフードの、整流板と油分捕集部材を取り外した場合の、(A)フィルタ付近の拡大底面図、(B)フィルタ付近の右下から見た拡大斜視図。
図4】本発明に係る第一実施例における、油分捕集部材が装着状態のレンジフードの(A)断面図(図2(A)のB−B断面における)、(B)油分捕集部材付近の同拡大断面図(同断面における)。
図5】本発明に係る第一実施例の油分捕集部材の、(A)平面図、(B)正面図、(C)背面図、(D)右側面図、(E)左上から見た斜視図、(F)右後から見た斜視図。
図6】本発明に係る第一実施例の油分捕集部材の、(A)断面図(図5(A)のA−A断面における)、(B)正面側の被係合部付近の拡大断面図(同断面における)、(C)平面側の被支持部付近の拡大断面図(同断面における)。
図7】本発明に係る第一実施例のレンジフードの衝突阻止部付近の拡大断面図(図2(A)のB−B断面における)。
図8】本発明に係る第一実施例のレンジフードの、油分捕集部材が取り外される時の、(A)右下から見た斜視図、(B)右下から見た拡大斜視図。
図9】本発明に係る第一実施例における、係合部の係合が離れた時のレンジフードの(A)断面図(図2(A)のB−B断面における)、(B)油分捕集部材付近の同拡大断面図(同断面における)。
図10】本発明に係る第二実施例のレンジフードにおける衝突阻止部の配置のコンセプトを説明する説明図と配置のバリエーションを示す図。(A)周縁端部の1点と衝突阻止部の2点の3点を通る円弧の曲率がフランジ部の曲率より小さい場合、(B)周縁端部の1点と衝突阻止部の2点の3点を通る円弧の曲率がフランジ部の曲率より等しい場合、(C)衝突阻止部が3つの場合、(D)衝突阻止部が4つの場合、(E)衝突阻止部が5つの場合、(F)衝突阻止部が6つの場合。
図11】本発明に係る第二実施例のレンジフードにおける油分捕集部材付近の、(A)底面図、(B)断面図((A)のC−C断面における)、(C)斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例について説明する。
<第一実施例>
図1乃至図4を参照し、本実施例にかかるレンジフード1について説明する。レンジフード1は、下方または周囲で行われる調理によって発生する湯気や油煙等を捕集するための、上方に凹状の内面パネル5を内面に有する薄型のフード部2を有する。フード部2は、上部後方に位置する内面パネル5の連通口6付近で、排気ダクト(図示せず)に接続される送風機ボックス3と連結されている。送風機ボックス3は、幕板9の背面側に位置し、内部にシロッコファンであり空気の流れD1を発生させるファン4を有する。従って、ファン4が稼働すると連通口6は負圧となり、内面パネル5の下方の空気は連通口6を通して吸入され、排気ダクトを通して外部に排出される。連通口6は、ファン4と連通し、ファン4が発生させた空気の流れD1の流路上であって、ファン4より空気の流れの上流側に位置する。
【0020】
レンジフード1は、連通口6の位置に、空気の流れD1を通過させる孔11を有する円盤状のフィルタ10と、円盤状のフィルタ10の中心にシャフトを連結され、フィルタ10を回転させる電動機20と、電動機20を内面パネル5に取り付けるための電動機取付具40と、内面パネル5に取り付けられ、フィルタ10の外周縁を囲むようにして配置される油分捕集部材30と、を備える。従って、レンジフード1は、ファン4が発生させる空気の流れD1の流路上であって、ファン4よりその流れの上流側に存在し、その空気の流れを図視で下から上に通過させる孔11を有するフィルタ10を、回転可能に備える。
【0021】
内面パネル5の下方の空気は、調理によって発生する湯気や油煙等を含んでおり、ファン4が稼働すると、連通口6に存在する、即ちファン4が発生させた空気の流れD1の流路上であってファン4より上流側に位置するフィルタ10の孔11に吸引され、その孔11を通過することになる。フィルタ10は、電動機20により回転可能に設けられており、レンジフード1が稼働すると、ファン4が空気の流れD1を発生させる共に電動機20がフィルタ10を回転させる。レンジフード1は、フィルタ10を回転させることにより、空気に含まれる油分を油分捕集部材30に捕集する。また、フィルタ10は、電動機20のシャフト21の先端部分に、着脱具14により着脱自在に取り付けられる。
【0022】
かかるレンジフード1は、従来のスロットフィルタやHEPAフィルタ等を用い、スリットや目を細かくしたり、重ね合わせて複層としたりすることにより油捕集効率を向上させることに比べ、圧力損失が小さい状態で高い油捕集効率を有することができる。よって、従来のフィルタと比較して低い通気抵抗を維持したまま高い油捕集効率を得ることができる。また、フィルタに油分が付着し目詰まりを起こすことが少なくなることにより、フィルタ自体の洗浄の労力が低減し、使用するに従って圧力損失が増加することを防止でき、さらに、空気流路におけるフィルタより下流部分にほとんど油分が付着しないため、フィルタより下流部分を清掃/洗浄する手間を大幅に軽減するレンジフードを提供できる。
【0023】
一方、その代り、フィルタ10より上流側に位置し、フィルタ10により捕獲された油分が捕集される油分捕集部材30には、短期間に油脂分が溜まり易い。そのため、溜まった油脂を捨てるために頻繁に油分捕集部材30を着脱する必要がある。
【0024】
レンジフード1は、さらに、油分捕集部材30の背面側を支持する支持部50と、油分捕集部材30の正面側を係合する係合部60とを備える。油分捕集部材30は、その背面側の一部を支持部50により支持され、その正面側の一部を係合部60により係合されることで、レンジフード1に取り付けられる。
【0025】
図5乃至図7も参照しながら、油分捕集部材30、支持部50、係合部60、および衝突阻止部70について説明する。油分捕集部材30は、中央部にファン4により生ずる空気の流れを通す通気開口部35と、その周りにほぼ同じ幅を有する円弧状部分と背面側に油溜まり31となる直線状部分とからなり、全体として環状をなす。油分捕集部材30は、フィルタ10の周縁端部12の外側および下方の周囲を取り囲むように配置される。フィルタ10は、通気開口部35の中を流れる空気が含む油分を捕獲し、周縁端部12の方へ飛散させる。油分捕集部材30は、フィルタ10が捕獲し飛散させた油分等を捕集する。
【0026】
油分捕集部材30は、フィルタ10の周縁端部12を外側から囲み、飛散した油分を受け止めるフランジ部32と、油脂分がレンジフードから滴下することを防止するため、フランジ部32の下端部でフランジ部32より内側(中心側)に延在し、フィルタ10の周縁端部12の下側を覆う延在部33と、延在部33からフランジ部32と同じ側へ(上方へ)立ち上り、通気開口部35を囲むように延在部33の内縁端部からフィルタ10側に立ち上がる立ち上り部34とを有し、フィルタ10から捕集した油を留めておく油溜まり31を形成する。フィルタ10の周縁端部12を外側から囲むように配置されるフランジ部32と立ち上り部34は、円弧状部分においては、平面視で周縁端部12を挟みほぼ等しい距離を有する。
【0027】
油分捕集部材30は、正面側の延在部33とフランジ部32との角部に、係合部60と係合するために凹部となった被係合部36を有する。被係合部36の高さは、凸状の係合部が嵌り込む程度である。また、油分捕集部材30は、背面側直線状部分の延在部33とフランジ部32との角部に、支持部50に支持される被支持部331を有する。被支持部331は、支持部50の板厚分だけ窪んでおり、延在部33の下面と支持部50の下面は面一となる。
【0028】
フランジ部32の延在部33からの高さ(端部321の高さ)は、油分捕集部材30がレンジフード1に取り付けられた時には、フィルタ10の周縁端部12よりも高い位置になる高さとなることが好ましい。これにより、フィルタ10の前面で飛散した油分を確実に捕集することができる。従って、フランジ部32の高さを低くすると、着脱時に油分捕集部材30がフィルタ10の周縁端部12に接触することが避けられるが、あまり低くすることはできない。
【0029】
また、フランジ部32の端部321は、係合部60が油分捕集部材30の正面側を係合している場合に、即ち、油分捕集部材30がレンジフード1に取り付けられている状態において、後述する衝突阻止部70の下端より上方に位置する。これによれば、フランジ部32の端部321が必ず衝突阻止部70に接触する高さであり、効果的に油分捕集部材30と回転するフィルタ10が接触することを防止することができる。なお、衝突阻止部70の下端とは、本実施例の場合、内面パネル5から下方へ隆起した頂部のことを言う。また、立ち上り部34の延在部33からの高さは、フィルタ10の下面に触れず、延在部33に滴下した油分が落下しない程度の高さである。
【0030】
フランジ部32の背面側直線状部分は、被支持部331と対応する幅において、他の部分より高さHだけ低くなっている。換言すれば、背面側直線状部分の両端付近は、中央部分よりHだけ高くなっている。この背面側直線状部分の両端付近の2か所の端部が、衝突阻止部70と当接する。フィルタ10の周縁端部12における支持部50との最近点NP(図3(A)に図示)付近となる部分において、フランジ部32の端部321の延在部33からの高さが、背面側直線状部分の両端付近の衝突阻止部70に当接する端部321の延在部33からの高さより低いことで、円盤状のフィルタ10との間隔距離を大きく取ることができるため、薄型のフード部においても、効果的に油分捕集部材30と回転するフィルタ10が接触することを防止することができる。もちろん、これに限定されず、背面側直線状部分はすべて同じ高さであってもよい。
【0031】
衝突阻止部70は、内面パネル5において、底面視でフィルタ10の周縁端部12より外側であってフランジ部32よりも内側(フィルタの回転中心側)に位置して、内面パネル5から下方へ隆起して設けられる。より詳細には、衝突阻止部70の下端が内面パネル5において、底面視でフィルタ10の周縁端部12より外側であってフランジ部32よりも内側(フィルタの回転中心側)に位置して、内面パネル5から下方へ隆起して設けられる。すなわち、衝突阻止部70の少なくとも下端が、フィルタ10の周縁端部12より外側であって、フランジ部32よりも内側に位置していればよい。衝突阻止部70は、隆起して設けられるので、斜面をなす傾斜部71を有する。
【0032】
油分捕集部材30がレンジフード1に取り付けられた状態において、衝突阻止部70の下端(隆起した部分の頂部)は、フランジ部32の上端となる端部321よりも低い位置にある。本実施例においては、衝突阻止部70は、油分捕集部材30の背面側であって支持部50近傍に、周縁端部12における支持部50との最近点NPを挟んで両側に2つ設けられる。このように設けられることで、油分捕集部材30を着脱する場合、着脱する方向(背面側/正面側方向)に如何に動かそうとも、フランジ部32が周縁端部12に衝突することを阻止し、油分捕集部材30と回転するフィルタ10が接触することを防止することができる。
【0033】
支持部50は、連通口6より背面側近傍に備えられ、油分捕集部材30の延在部33に形成された被支持部331を支持する。係合部60は、連通口6より正面側近傍に前後方向(正面・背面方向)に出没自在に備えられ、バネ等の弾性部材によって、油分捕集部材30の被係合部36を付勢して設けられる。油分捕集部材30を取り外そうとする者は、付勢力に抗して係合部60を操作して、係合部60と被係合部36の係合を外す。係合部60は、これに限定されず、油分捕集部材30の装着時には被係合部36に係合し、取り外そうとする場合には容易に係合を離れるようになっていればよい。
【0034】
以上は、係合部60が油分捕集部材30の被係合部36を係合している状態、即ち油分捕集部材30がレンジフード1に装着されている状態を説明したが、以降では、図8および図9を参照して、油分捕集部材30をレンジフード1から取り外す場合について説明する。本図は、係合部60が油分捕集部材30の被係合部36から係合を離れ、支持部50だけで油分捕集部材30を支えている状態を示す。
【0035】
使用者(油分捕集部材30を着脱する者)が、油分捕集部材30をレンジフード1から取り外そうとして、係合部60を操作して、係合部60と油分捕集部材30の被係合部36との係合を外す。係合部60が油分捕集部材30の正面側から係合を離れた場合、油分捕集部材30は、背面側の片方を支持部50によって支持されているだけなので、重力により正面側だけが下に落ちようとする。通常、使用者は、落ちてくる油分捕集部材30の正面側を手で支えて、かつ手前方向(正面方向)であってやや斜め下方向へ油分捕集部材30を取り出そうとする。
【0036】
この際、フランジ部32の背面側は被支持部331からある程度の高さを有するため、何も無い場合にはその端部321がフィルタ10の周縁端部12に引っ掛かり易い。しかし、衝突阻止部70がフィルタ10の周縁端部12より外側であってフランジ部32よりも内側に、内面パネル5から下方へ隆起して、フランジ部32の端部321が当接するように設けられている。そうすると、衝突阻止部70は、油分捕集部材30がレンジフード1から取り外される過程においてフランジ部32が周縁端部12に衝突することを阻止する。これによれば、油分捕集部材30の着脱時に、油分捕集部材30のフランジ部32が衝突阻止部70に当接し、フランジ部32が周縁端部12に衝突することを阻止することで、油分捕集部材30と回転するフィルタ10が接触することを防止することができる。
【0037】
また、使用者が油分捕集部材30をレンジフード1から完全に取り外す際背面側を持ち上げるような操作を行ったような場合、図9(B)が示すように、さらに延在部33(被支持部331)が支持部50との接触を離れた場合にも、フランジ部32の端部321は衝突阻止部70に当接する。これによれば、油分捕集部材30がレンジフード1からの接触を離れて以降の取り外される途中であっても、フランジ部32が衝突阻止部70に当接することで、油分捕集部材30と回転するフィルタ10が接触することを防止することができる。そして、使用者がこのように傾いた油分捕集部材30を正面側へ引き出すことで、油分捕集部材30は、フィルタ10が接触することなく、レンジフード1から完全に取り外すことができる。
【0038】
また、衝突阻止部70は、内面パネル5から下方へ隆起し、フランジ部32の端部321が、着脱される場合衝突阻止部70の隆起した斜面をなす傾斜部71に当接するように設けられる。なお、傾斜部71は、内面パネル5から下方へ隆起した頂部から近傍のフランジ部32の方であって隆起のふもとの方へ傾斜する面を形成する。また、衝突阻止部70は、内面パネル5から下方へ延出し、傾斜部を有してもよい。これによれば、フランジ部が隆起または延出したことにより形成された斜面の傾斜部に当接して摺動することで、油分捕集部材30と回転するフィルタ10が接触することを円滑に防止することができる。また、フランジ部が衝突阻止部70の傾斜部に当接して摺動することで、油分捕集部材30を取り外す方向へと案内することができ、取り外し時の操作性を向上させることができる。
【0039】
<第二実施例>
図10および図11を参照し、本実施例にかかる衝突阻止部について説明する。なお、重複記載を避けるために、上記実施例とは異なるところを主に説明する。なお、本図は、説明のために、レンジフードから特に油分捕集部材30Aとフィルタ10A付近を切り出して描いた図である。
【0040】
衝突阻止部70Aは、底面視でフィルタ10Aの周縁端部12Aより外側であってフランジ部32Aよりも内側(回転中心側)に複数設けられる点は、上記実施例と同じである。一方、上記実施例では衝突阻止部70は2か所であって、両方とも背面側に設けられていたが、本実施例では衝突阻止部70Aは3か所以上であって、いずれかの側に偏っていない。これによれば、いずれの方向からも、油分捕集部材30Aと回転するフィルタ10Aが接触することを防止することができる。
【0041】
図10(A)が示すように、少なくとも2つの衝突阻止部70Aは、周縁端部12の1点PTと、少なくとも2つの衝突阻止部70の2点の3点を通る円弧CA1の曲率が、フランジ部32Aの曲率より小さくなるように配置されることが好ましい。これによれば、仮に油分捕集部材30Aが平行にどの方向に移動したとしても、確実に油分捕集部材30Aと回転するフィルタ10Aが接触することを防止することができる。
【0042】
なお、図10(B)は、周縁端部12A’の1点PTと、2つの衝突阻止部70A’の2点の3点を通る円弧CA2の曲率が、フランジ部32A’の曲率とほぼ同じである場合を示している。かかる場合は、フランジ部32A’は、衝突阻止部70A’と接触すると共に、周縁端部12A’にもほぼ接触する。従って、周縁端部の1点PTと、2つの衝突阻止部の2点の3点を通る円弧の曲率が、フランジ部の曲率より大きい場合には、フランジ部は、衝突阻止部と接触する前に周縁端部に接触してしまうことが分かる。
【0043】
図10(C)は、互いが回転中心を中心として120°の関係にある3つの衝突阻止部70Bを示す。また、図10(D)は、互いが回転中心を中心として90°の関係にある4つの衝突阻止部70Cを示す。また、図10(E)は、互いが回転中心を中心として72°の関係にある5つの衝突阻止部70Dを示す。また、図10(F)は、互いが回転中心を中心として60°の関係にある6つの衝突阻止部70Eを示す。いずれの衝突阻止部も、少なくとも2つの衝突阻止部は、周縁端部の1点と、少なくとも2つの衝突阻止部の2点の3点を通る円弧の曲率が、フランジ部の曲率より小さくなるように配置されている。
【0044】
図11は、図10(F)に示した衝突阻止部70Eを6つ備える油分捕集部材30Eおよびフィルタ10Eの周辺を示す。衝突阻止部70Eは、内面パネル5Eから下方に延出し、フィルタ10Eの周縁端部12Eより下方に位置する下端を有する。また、衝突阻止部70Eは、回転中心とは反対側(外側)に傾斜部71Eを有する。これによれば、いずれの方向から油分捕集部材が接近したとしても、確実に油分捕集部材30Eと回転するフィルタ10Eが接触することを防止することができる。
【0045】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。即ち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に関し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 レンジフード
2 フード部
3 送風機ボックス
4 ファン
5 内面パネル
6 連通口
7 整流板
9 幕板
10 フィルタ
11 孔
12 周縁端部
14 着脱具
20 電動機
30 油分捕集部材
31 油溜まり
32 フランジ部
321 フランジ部の端部
33 延在部
331 被支持部
34 立ち上り部
35 通気開口部
36 被係合部
40 電動機取付具
50 支持部
60 係合部
70 衝突阻止部
71 傾斜部
D1 空気の流れる方向
NP 最近点
CA 円弧
PT 周縁端部の点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11