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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-114558(P2015-114558A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】フレキソ感光性樹脂版製版装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/30 20060101AFI20150526BHJP
   G03F 7/00 20060101ALI20150526BHJP
【FI】
   G03F7/30 501
   G03F7/00 502
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-257498(P2013-257498)
(22)【出願日】2013年12月12日
(11)【特許番号】特許第5683029号(P5683029)
(45)【特許公報発行日】2015年3月11日
(71)【出願人】
【識別番号】593008427
【氏名又は名称】日本電子精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】丸野 正徳
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 明
【テーマコード(参考)】
2H096
2H196
【Fターム(参考)】
2H096AA02
2H096GA24
2H096GA27
2H096GA33
2H196AA02
2H196GA24
2H196GA27
2H196GA33
(57)【要約】
【課題】樹脂版の取り回しが容易であり、且つ樹脂版の大きさが制限されないフレキソ感光性樹脂製版装置を提供すること。
【解決手段】感光性樹脂版の未硬化部を除去するための洗浄ゾーンと、前記洗浄ゾーンに隣接して設けられ前記洗浄ゾーンにて未硬化部が除去された感光性樹脂版を表面洗浄するリンスゾーンと、からなる洗浄部と、前記洗浄部の下方に設けられた、感光性樹脂版を搬送するための搬送部とを備え、前記洗浄ゾーンには、1つ以上の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、該洗浄ブラシユニットを水平方向に駆動させる洗浄ブラシユニット駆動機構とが備えられており、前記リンスゾーンには、1つ以上のロータリーブラシを有するロータリーブラシユニットが備えられており、前記搬送部は、感光性樹脂版を固定する固定手段を有する無端ベルトと、該無端ベルトを前記洗浄部下方で水平方向に移動させる無端ベルト駆動機構とを備えることを特徴とするフレキソ感光性樹脂製版装置とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性樹脂版の未硬化部を除去するための洗浄ゾーンと、前記洗浄ゾーンに隣接して設けられ前記洗浄ゾーンにて未硬化部が除去された感光性樹脂版を表面洗浄するリンスゾーンと、からなる洗浄部と、
前記洗浄部の下方に設けられた、感光性樹脂版を搬送するための搬送部とを備え、
前記洗浄ゾーンには、1つ以上の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、該洗浄ブラシユニットを水平方向に駆動させる洗浄ブラシユニット駆動機構とが備えられており、
前記リンスゾーンには、1つ以上のロータリーブラシを有するロータリーブラシユニットが備えられており、
前記搬送部は、感光性樹脂版を固定する固定手段を有する無端ベルトと、該無端ベルトを前記洗浄部下方で水平方向に移動させる無端ベルト駆動機構とを備えることを特徴とするフレキソ感光性樹脂製版装置。
【請求項2】
前記洗浄ゾーンには、複数の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、感光性樹脂版の表面に洗浄液を供給する洗浄液吐出口とが備えられており、
前記洗浄液吐出口の少なくとも1つは、隣接する洗浄ブラシの間から洗浄液を感光性樹脂版の表面に供給する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のフレキソ感光性樹脂製版装置。
【請求項3】
前記ロータリーブラシの毛がらせん状に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のフレキソ感光性樹脂製版装置。
【請求項4】
前記リンスゾーン側の前記無端ベルトの端部近傍に、前記リンスゾーンを通過した感光性樹脂版を前記無端ベルトから脱離するための脱離機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のフレキソ感光性樹脂製版装置。
【請求項5】
前記洗浄ブラシユニット駆動機構が、円運動を発生させる円運動発生機構と、該円運動駆動機構に直線往復運動を付与させる直線運動発生機構とからなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のフレキソ感光性樹脂製版装置。
【請求項6】
前記洗浄液吐出口から吐出された洗浄液を排出するための洗浄液排出口と、該洗浄液排出口に接続された洗浄液用フィルタータンクとを備えていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のフレキソ感光性樹脂製版装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂版の取り回しが容易であり、且つ樹脂版の大きさが制限されないフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。尚、本明細書において、感光性樹脂版の未硬化部を溶出して除去することを「洗浄」、感光性樹脂版の表面の異物(汚れ)を除去することを「リンス」という。
【背景技術】
【0002】
光硬化により製版材料に所定形状の印刷をされた感光性樹脂は、硬化部分を残し、未硬化部分を削除して凹凸が形成された感光性樹脂版とするために、通常、製版材料が溶剤現像型の場合には炭化水素系類を、また製版材料が水現像型の場合には温水+界面活性剤を、それぞれ使用してその表面をブラシで刷って洗浄することにより、印刷用版として調製されている。
【0003】
溶出(以下洗浄という)と表面洗浄(以下リンスという)を時系列的に行う実用化されている従来の感光性樹脂版洗浄装置の断面図を図9に示す。
この装置は洗浄ゾーン(A)とリンスゾーン(B)とが設けられており、洗浄ゾーン(A)には円運動する洗浄ブラシ(a)が配設されている。また洗浄液は循環ポンプにより吐出口(c)より吐出され、リンス液は吐出口(d)より吐出される。感光性樹脂版は、固定台(セッター)(S)に固定された状態で本装置の(C)部より挿入され、駆動搬送ローラ(b)により洗浄ゾーン(A)へと送られる。洗浄ゾーン(A)へ送られた感光性樹脂版(J)は、非画像部を削除し凹凸が形成されリンスゾーン(B)でリンス液により版表面をクリーニングした後、(D)部から取り出される。洗浄液は洗浄液排出口(i)より選択的に排出され、リンス液はリンス液排出口(h)より選択的に排出される。
【0004】
このような搬送方法を用いるものとして、本出願人は特許文献1を開示している。特許文献1記載の洗浄装置もまた、感光性樹脂版をセッターに固定して駆動搬送ロールにより洗浄ゾーンへ搬送するものである。
洗浄ゾーンにおける洗浄の際、洗浄ブラシが感光性樹脂版の表面を摺動すると、樹脂版に大きなトルクがかかる。樹脂版単独で洗浄ゾーンに挿入すると、このトルクにより樹脂版が動いてしまう。これを防ぐため、従来の洗浄装置においては、接着テープ等を介してセッターに感光性樹脂版を固定することにより、洗浄ブラシによるトルクによって樹脂版が移動しないようにしていた。
【0005】
しかしながら、このようなセッターを用いる特許文献1などの従来の製版装置は、以下のような問題を有していた。
【0006】
洗浄ブラシによるトルクによって樹脂版が移動しないようにするためには、セッターはある程度の大きさ及び重さを必要とするため、特に作業者が非力な場合、セッターの取り回しが容易ではないという欠点があった。また、セッターの大きさ以上の樹脂版を用いることができないため、用いる樹脂版の大きさが制限されるという問題もあった。
両者は相反する課題であり、取り回しを容易にするためにセッターを小さくすると樹脂版の大きさが制限され、一方、使用できる樹脂版の大きさの制限を広げようとすると、セッターが重くなり取り回しが困難となる。
さらに、樹脂版を搬送するための駆動搬送ローラが樹脂版の表面を摺動するため、樹脂版の表面が傷つく虞もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−134017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような問題点を解決すべくなされたものであって、樹脂版の取り回しが容易であり、且つ樹脂版の大きさが制限されないフレキソ感光性樹脂製版装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、感光性樹脂版の未硬化部を除去するための洗浄ゾーンと、前記洗浄ゾーンに隣接して設けられ前記洗浄ゾーンにて未硬化部が除去された感光性樹脂版を表面洗浄するリンスゾーンと、からなる洗浄部と、前記洗浄部の下方に設けられた、感光性樹脂版を搬送するための搬送部とを備え、前記洗浄ゾーンには、1つ以上の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、該洗浄ブラシユニットを水平方向に駆動させる洗浄ブラシユニット駆動機構とが備えられており、前記リンスゾーンには、1つ以上のロータリーブラシを有するロータリーブラシユニットが備えられており、前記搬送部は、感光性樹脂版を固定する固定手段を有する無端ベルトと、該無端ベルトを前記洗浄部下方で水平方向に移動させる無端ベルト駆動機構とを備えることを特徴とするフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記洗浄ゾーンには、複数の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、感光性樹脂版の表面に洗浄液を供給する洗浄液吐出口とが備えられており、前記洗浄液吐出口の少なくとも1つは、隣接する洗浄ブラシの間から洗浄液を感光性樹脂版の表面に供給する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記ロータリーブラシの毛がらせん状に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載のフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記リンスゾーン側の前記無端ベルトの端部近傍に、前記リンスゾーンを通過した感光性樹脂版を前記無端ベルトから脱離するための脱離機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【0013】
請求項5に係る発明は、前記洗浄ブラシユニット駆動機構が、円運動を発生させる円運動発生機構と、該円運動駆動機構に直線往復運動を付与させる直線運動発生機構とからなることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記洗浄液吐出口から吐出された洗浄液を排出するための洗浄液排出口と、該洗浄液排出口に接続された洗浄液用フィルタータンクとを備えていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、感光性樹脂版の未硬化部を除去するための洗浄ゾーンと、前記洗浄ゾーンに隣接して設けられ前記洗浄ゾーンにて未硬化部が除去された感光性樹脂版を表面洗浄するリンスゾーンと、からなる洗浄部と、前記洗浄部の下方に設けられた、感光性樹脂版を搬送するための搬送部とを備え、前記洗浄ゾーンには、1つ以上の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、該洗浄ブラシユニットを水平方向に駆動させる洗浄ブラシユニット駆動機構とが備えられており、前記リンスゾーンには、1つ以上のロータリーブラシを有するロータリーブラシユニットが備えられており、前記搬送部は、感光性樹脂版を固定する固定手段を有する無端ベルトと、該無端ベルトを前記洗浄部下方で水平方向に移動させる無端ベルト駆動機構とを備えることにより、樹脂版を固定手段によって無端ベルトに固定した状態で洗浄部下方に該樹脂版を搬送し、洗浄部において樹脂版表面を洗浄及びリンスすることができる。このとき、樹脂版を固定及び搬送するためのセッターが必要ないので、セッターの取り回しが不要となり、作業性を向上させることができる。
さらに、セッターが不要であることにより、樹脂版の大きさが制限されないため、より広い範囲の大きさの樹脂版の洗浄が可能となる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、洗浄ゾーンには、複数の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、感光性樹脂版の表面に洗浄液を供給する洗浄液吐出口とが備えられており、前記洗浄液吐出口の少なくとも1つは、隣接する洗浄ブラシの間から洗浄液を感光性樹脂版の表面に供給する位置に設けられていることにより、洗浄液を感光性樹脂版の表面にまんべんなく均一に供給することができるので、洗浄ムラをなくすことができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、ロータリーブラシの毛がらせん状に配置されていることにより、中央部から外側へとリンス液の流れを形成することができるので、版表面に存在する異物(汚れ)をロータリーブラシ内に留めることなくロータリーブラシの外側へ排出することができる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、リンスゾーン側の前記無端ベルトの端部近傍に、前記リンスゾーンを通過した感光性樹脂版を前記無端ベルトから脱離するための脱離機構を備えていることにより、洗浄及びリンスした感光性樹脂版を自動で取り出すことができ、作業者が感光性樹脂版を無端ベルトから引き剥がす必要がなくなる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、洗浄ブラシユニット駆動機構が、円運動を発生させる円運動発生機構と、該円運動駆動機構に直線往復運動を付与させる直線運動発生機構とからなることにより、洗浄ブラシが感光性樹脂版に対して、トロコイド曲線を描くような軌跡で圧力をもって摺動するようになるから、従来の単一な円運動での摺動に比べて、感光性樹脂版を全体にムラ無く均一に洗浄することができ、洗浄時に版表面のドットを潰したり、版表面にブラシ目を付与させたりすることがなく、精度の高い感光性樹脂版を得ることが可能となる。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、洗浄液吐出口から吐出された洗浄液を排出するための洗浄液排出口と、該洗浄液排出口に接続された洗浄液用フィルタータンクとを備えていることにより、排水された洗浄液のスカムを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る感光性樹脂製版装置の全体構成を示す図である。
図2】本発明に係る感光性樹脂製版装置の平面図である。
図3】本発明に係る感光性樹脂製版装置の側面図である。
図4】洗浄ゾーンの洗浄ブラシユニットと洗浄ブラシユニット駆動機構の正面方向断面図である。
図5】洗浄ゾーンの洗浄ブラシユニットと洗浄ブラシユニット駆動機構の側面方向断面図である。
図6】本発明に係る装置の駆動機構の動作を説明する平面図である。
図7】ロータリーブラシの正面図であり、(a)その第1実施形態、(b)その第2実施形態を示す図である。
図8】洗浄液用フィルタータンクを備えた実施形態の感光性樹脂製版装置の(a)正面図、(b)側面図である。
図9】従来の感光性樹脂製版装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る感光性樹脂製版装置について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る感光性樹脂製版装置の全体構成を示す図である。図2は、本発明に係る感光性樹脂製版装置の平面図である。図3は、本発明に係る感光性樹脂製版装置の側面図である。
感光性樹脂製版装置は、洗浄部(1)と、洗浄部(1)の下方に設けられた、感光性樹脂版(J)を搬送するための搬送部(2)とを備えている。洗浄部(1)は、感光性樹脂版(J)の未硬化部を除去するための洗浄ゾーン(A)と、洗浄ゾーン(A)に隣接して設けられ洗浄ゾーン(A)にて未硬化部が除去された感光性樹脂版(J)を表面洗浄するリンスゾーン(B)とからなる。
【0024】
搬送部(2)は、感光性樹脂版を固定する固定手段(19)を有する無端ベルト(3)と、無端ベルト(3)を洗浄部(1)下方で水平方向に移動させる無端ベルト駆動機構(4)とを備えている(図4参照)。無端ベルト駆動機構(4)は、ローラ(4a)及びローラ(4a)を回転させるためのモータ(4b)からなる。
無端ベルト(3)は、図1における矢印方向に移動し、導入部(5a)、水切りローラ(6)、洗浄ゾーン(A)、リンスゾーン(B)を水平方向に移動し、排出部(5b)を通った後、下方へ旋回し、再び導入部(5a)へ戻るように構成されている。
【0025】
図4は、洗浄ゾーンの洗浄ブラシユニットと洗浄ブラシユニット駆動機構の正面方向断面図である。図5は、洗浄ゾーンの洗浄ブラシユニットと洗浄ブラシユニット駆動機構の側面方向断面図である。
洗浄ゾーン(A)は、1以上の洗浄ブラシ(14)を有する洗浄ブラシユニット(1a)と、洗浄ブラシユニット(1a)を水平方向に駆動させる洗浄ブラシユニット駆動機構(1b)とを備えている。
洗浄ブラシユニット(1a)は、多数の毛を基板(15)に植設した洗浄ブラシ(14)が、毛先を下方向に向けて配設されている。
この洗浄ブラシ(14)の配置位置としては、感光性樹脂版(J)の表面に対して一定の圧力をもって摺動される位置に毛先が配置されるように設けられていればよく特に限定はされない。
【0026】
洗浄ブラシ(14)の毛の素材としては、より好ましくは6.10ナイロン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、或いはその他親水性合成樹脂等、水中への浸潤によってそのガラス転移点温度が変化しない耐水性の合成樹脂を使用するのが望ましい。すなわち、6.10ナイロン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)は、水中に浸潤(20℃、65%)させてもそのガラス転移点温度が変化せず、これら樹脂を素材としたブラシでは水中においても非常に腰が強い状態を発現できる。従って、水に浸潤させた状態で感光性樹脂版(J)の洗浄を行ったとしても、洗浄ブラシ(14)自体の腰が非常に強いため、良好な摺動、摩擦を行うことができる。
【0027】
洗浄ゾーン(A)の洗浄ブラシユニット駆動機構(1b)について説明する。
洗浄ブラシユニット駆動機構(1b)は、洗浄ブラシ(14)を水平方向に駆動させるためのものであり、円運動を発生させる円運動発生機構と、該円運動駆動機構に直線往復運動を付与させる直線運動発生機構とからなる。
【0028】
洗浄ブラシユニット駆動機構(1b)の円運動発生機構は、洗浄ブラシ(14)に円運動を発生させるための第一モーター(16)を備えている。
第一モーター(16)はガイドプレート(20)の上面に固定されており、その回転軸は該ガイドプレート(20)を貫通している。
第一モーター(16)の回転軸には偏心クランク(17)が取り付けられており、この偏心クランク(17)のもう一方の軸(偏心軸)の先端には、ブラシ取付板(18)及び基板(15)を介して、洗浄ブラシ(14)が毛先を下方向に向けて着脱自在に取り付けられている。
【0029】
直線往復運動発生機構は、上記円運動発生機構に直線往復運動を発生させる機構であり、具体的には、ガイドプレート(20)を直線往復運動させることにより、ガイドプレート(20)に固定された第一モーター(16)及びこれに連結された洗浄ブラシ(14)に直線往復運動を与える。
【0030】
直線往復運動発生機構は、ガイドプレート(20)に直線往復運動を発生させるための第二モーター(23)を備えている。
第二モーター(23)の回転軸には偏心クランク(24)が取り付けられており、この偏心クランク(24)のもう一方の軸(偏心軸)にはベアリング(25)が外嵌されている。
ガイドプレート(20)の上面には、このベアリング(25)の動きを規制するためのベアリングガイド(26)が設けられている。
ベアリングガイド(26)は、左右両側に立ち上がり部を有する断面凹字状に形成されており、左右の立ち上がり部の間の部分、即ち直線状の溝(26a)がガイドプレート(20)の長手方向と直角方向に指向されている。
【0031】
ベアリング(25)はベアリングガイド(26)の溝(26a)内に嵌まっており、その結果、第二モーター(23)が回転した時、ベアリング(25)は溝(26a)内においてのみ移動するようになっている。
ベアリング(25)の外径と溝(26a)の幅は略等しくなっており、ベアリング(25)が移動する際に、その外輪は溝(26a)の左右の内面に当接しながら回転する。
【0032】
ガイドプレート(20)の長手側の二辺には、各辺につき3個ずつ合計6個のガイドローラ(27)が取着されている。
これらのガイドローラ(27)は、ガイドプレート(20)の長手側の二辺に沿うように互いに平行に配置された一対のガイド枠(28)に沿って回動するように配置される。そして、これらガイドローラ(27)の回動に伴って、ガイドプレート(20)はガイド枠(28)に沿って直線往復運動をする。
ガイド枠(28)は、洗浄部(1)の所定位置に固定された固定基板(29)の上部に固定されており、第二モーター(23)も固定基板(29)の上部に固定されている。従って、ガイド枠(28)及び第二モーター(23)は、駆動機構の作動によってもその位置を変えることはない。
【0033】
以下、上記した駆動機構の動作を説明する。
第一モーター(16)が駆動されると、その回転軸の回転に伴って偏心クランク(17)が回転し、これに伴って偏心クランク(17)のもう一方の軸(偏心軸)の先端に取着されたブラシ取付板(18)が第一モーター(16)の回転軸を中心とする円運動をする。これによって、ブラシ取付板(18)の下面に取り付けられた洗浄ブラシ(14)も円運動を行うこととなる。
【0034】
第二モーター(23)が駆動されると、その回転軸の回転に伴って偏心クランク(24)が回転し、これに伴って偏心クランク(24)のもう一方の軸(偏心軸)に外嵌されたベアリング(25)が第二モーター(23)の回転軸を中心とする円運動をする。
このとき、ベアリング(25)がガイドプレート(20)上面に固定されたベアリングガイド(26)の溝(26a)内に嵌まっているため、ベアリング(25)の円運動は、ガイドプレート(20)のガイド枠(28)に沿った直線往復運動に変換される。
すなわち、図6の上図に示されるように、ベアリング(25)が矢印Aの如く円運動をすると、この円運動はガイドプレート(20)の矢印Bの直線運動に変換され、ガイドプレート(20)は下図の如く移動する。
【0035】
このように、ガイドプレート(20)がガイド枠(28)に沿って直線往復運動をすると、ガイドプレート(20)の上部に固定された第一モーター(16)は、ガイドプレート(20)と共にその長手方向に直線往復運動をする。
このとき、上記した如く第一モーター(16)の駆動により洗浄ブラシ(14)が円運動を行っているので、洗浄ブラシ(14)は円運動をしながら感光性樹脂版(J)の長手方向に直線往復運動をすることとなる。
【0036】
洗浄ブラシユニット(1a)の上流及び下流には、感光性樹脂版(J)の表面に洗浄液を供給する洗浄液吐出口(7)が備えられており、循環ポンプにより洗浄液が洗浄液吐出口(7)から吐出される。さらに洗浄液吐出口(7)の少なくとも1つは、複数の隣接する洗浄ブラシ(14)の間から洗浄液を感光性樹脂版(J)の表面に供給する位置に設けられている。これにより、洗浄液が感光性樹脂版(J)表面の中央部の溶解樹脂濃度が濃く端部が薄いといった洗浄液の供給ムラを防ぐことができ、洗浄液を感光性樹脂版(J)表面に均一にまんべんなく供給することができ、洗浄ムラをなくすことができる。
洗浄ブラシ(14)が、感光性樹脂版(J)上で円運動及び直線運動することにより、感光性樹脂版(J)の未硬化部を除去する。未硬化部を除去した後の洗浄液は、洗浄ゾーン(A)の下部に設けられた洗浄液排水口(12)から洗浄タンクへ排出される。
【0037】
洗浄ゾーン(A)にて洗浄された感光性樹脂版(J)は、搬送部(2)により、洗浄部(1)の下流側に備えられたロータリーブラシ(9)、水切りローラ(8)を通って、リンスゾーン(B)に搬送される。
【0038】
リンスゾーン(B)は、1以上のロータリーブラシ(9)を有するロータリーブラシユニット(1c)を備えている。リンスゾーン(B)には、リンス液吐出口(10)が設けられており、リンス液吐出口(10)からリンス液が吐出され、ロータリーブラシ(9)により感光性樹脂版(J)表面がリンスされ、表面の異物が除去される。
【0039】
図7は、ロータリーブラシの正面図であり、(a)その第1実施形態、(b)その第2実施形態を示す図である。図示の如く、ロータリーブラシ(9)の毛(9a)はらせん状に配置されていることが好ましい。これにより、中央部から外側へとリンス液の流れを形成することができるので、版表面に存在する異物(汚れ)をロータリーブラシ(9)の外側へ排出することができる。
毛(9a)の配置は、図7(a)に示す如く、長手方向中央部を中心として対称に配置されていてもよく、図7(b)に示す如く、端部から他端まで一方向のらせん状に配置してもよい。
【0040】
再び図1を参照する。リンスゾーン(B)にてリンスされた感光性樹脂版(J)は、絞りローラ(11)によって、リンス液が絞られ、排出口(5b)から排出される。無端ベルト(3)は下流側端部にて下方に旋回しており、この端部を通る時に排出された感光性樹脂版(J)は固定手段(19)から脱離し、無端ベルト(3)の端部の下方に設けられた受取部(21)に収容される。
リンスゾーン側の無端ベルト(3)の端部近傍には、リンスゾーン(B)を通過した感光性樹脂版(J)を無端ベルト(3)から脱離するための脱離機構(22)が備えられている。脱離機構(22)は、感光性樹脂製版装置の下流側端部に突出して設けられた当て部(22a)を備えており、下流側端部を通る時に排出された感光性樹脂版(J)は、当て部(22a)に接触することにより固定手段(19)から脱離し、無端ベルト(3)の端部の下方に設けられた受取部(21)に収容される。
【0041】
上記したように、無端ベルト(3)は、その外側表面に、感光性樹脂版(J)を固定するための固定手段(19)を有している(図4参照)。図4においては、固定手段(19)が接着テープ等の粘着層である場合を示しているが、固定手段(19)は、粘着層に限定されるものではなく、感光性樹脂版(J)を固定することができるものであれば特に限定されない。
感光性樹脂版(J)を固定手段(19)によって無端ベルト(3)の外側表面に固定し、無端ベルト(3)を移動させることで、感光性樹脂版(J)を搬送することができる。感光性樹脂版(J)は、固定手段(19)により無端ベルト(3)に固定されているので、洗浄部(1)の洗浄ブラシ(14)が感光性樹脂版(J)の表面を摺動する際に発生するトルクによって感光性樹脂版(J)が動いてしまうことを防止することができる。
また、従来のように駆動搬送ローラを直接感光性樹脂版の表面に摺動させることにより感光性樹脂版を搬送する必要がないので、ローラ摺動による樹脂版表面の傷つきや樹脂凹凸部のコンタミネーションの発生を防ぐことができる。
【0042】
さらに、従来は、セッター(固定台)に感光性樹脂版を載置及び固定して、駆動搬送ローラを用いて樹脂版を搬送していたが、本発明においては、無端ベルト(3)に感光性樹脂版(J)を載置及び固定して、無端ベルト(3)を無端ベルト駆動機構(4)により回転させて樹脂版を搬送するので、セッターの取り回しが必要なく、作業者の負担を軽減し、作業性を向上させることができる。
また、従来のセッター方式では、取り回しを考慮するとセッターは大きさが制限されるため、同時に樹脂版の大きさも制限されていた。一方、本発明の無端ベルト方式では、無端ベルトの幅方向の大きさを変えることで、樹脂版も大きくすることができ、使用できる樹脂版の範囲が広いという利点がある。
【0043】
無端ベルト(3)の材質は、金属製であってもよく、樹脂製であってもよい。強度や耐錆性を考慮するとステンレス製であることが好ましい。
【0044】
図8は、洗浄液用フィルタータンクを備えた実施形態の感光性樹脂製版装置の(a)正面図、(b)側面図である。
本発明のフレキソ感光性樹脂製版装置は、洗浄液吐出口(7)から吐出された洗浄液を排出するための洗浄液排出口(12)と、洗浄液排出口(12)に接続された洗浄液用フィルタータンク(30)とを備えていることが好ましい。洗浄液供給系統に洗浄液用フィルタータンク(30)を設けることにより、排水された洗浄液のスカムを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のフレキソ感光性樹脂製版装置は、光硬化により製版材料に所定形状の印刷をされた感光性樹脂版の表面をブラシで刷って洗浄することにより印刷用版として調製するための装置として用いられ、特に水現像型の感光性樹脂版に対して用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 洗浄部
1a 洗浄ブラシユニット
1b 洗浄ブラシユニット駆動機構
1c ロータリーブラシユニット
2 搬送部
3 無端ベルト
4 無端ベルト駆動機構
7 洗浄液吐出口
9 ロータリーブラシ
9a 毛
10 リンス液吐出口
14 洗浄ブラシ
19 固定手段
22 脱離機構
30 洗浄液用フィルタータンク
A 洗浄ゾーン
B リンスゾーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2014年10月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性樹脂版の未硬化部を除去するための洗浄ゾーンと、前記洗浄ゾーンに隣接して設けられ前記洗浄ゾーンにて未硬化部が除去された感光性樹脂版を表面洗浄するリンスゾーンと、からなる洗浄部と、
前記洗浄部の下方に設けられた、感光性樹脂版を搬送するための搬送部とを備え、
前記洗浄ゾーンには、1つ以上の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、該洗浄ブラシユニットを水平方向に駆動させる洗浄ブラシユニット駆動機構とが備えられており、
前記リンスゾーンには、1つ以上のロータリーブラシを有するロータリーブラシユニットが備えられており、前記ロータリーブラシの毛がらせん状に配置されており、
前記搬送部は、感光性樹脂版を固定する固定手段を有する無端ベルトと、該無端ベルトを前記洗浄部下方で水平方向に移動させる無端ベルト駆動機構とを備えることを特徴とするフレキソ感光性樹脂製版装置。
【請求項2】
前記洗浄ゾーンには、複数の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、感光性樹脂版の表面に洗浄液を供給する洗浄液吐出口とが備えられており、
前記洗浄液吐出口の少なくとも1つは、隣接する洗浄ブラシの間から洗浄液を感光性樹脂版の表面に供給する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のフレキソ感光性樹脂製版装置。
【請求項3】
前記搬送部の下流側端部に、前記リンスゾーンを通過した感光性樹脂版を前記無端ベルトから脱離するための脱離機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキソ感光性樹脂製版装置。
【請求項4】
前記洗浄ブラシユニット駆動機構が、円運動を発生させる円運動発生機構と、該円運動発生機構に直線往復運動を付与させる直線運動発生機構とからなることを特徴とする請求項1乃至いずれかに記載のフレキソ感光性樹脂製版装置。
【請求項5】
前記洗浄液吐出口から吐出された洗浄液を排出するための洗浄液排出口と、該洗浄液排出口に接続された洗浄液用フィルタータンクとを備えていることを特徴とする請求項1乃至いずれかに記載のフレキソ感光性樹脂製版装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、樹脂版の取り回しが容易であり、且つ樹脂版の大きさが制限されないフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。尚、本明細書において、感光性樹脂版の未硬化部を溶出して除去することを「洗浄」、感光性樹脂版の表面の異物(汚れ)を除去することを「リンス」という。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明は、上述したような問題点を解決すべくなされたものであって、樹脂版の取り回しが容易であり、且つ樹脂版の大きさが制限されないフレキソ感光性樹脂製版装置を提供するものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
請求項1に係る発明は、感光性樹脂版の未硬化部を除去するための洗浄ゾーンと、前記洗浄ゾーンに隣接して設けられ前記洗浄ゾーンにて未硬化部が除去された感光性樹脂版を表面洗浄するリンスゾーンと、からなる洗浄部と、前記洗浄部の下方に設けられた、感光性樹脂版を搬送するための搬送部とを備え、前記洗浄ゾーンには、1つ以上の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、該洗浄ブラシユニットを水平方向に駆動させる洗浄ブラシユニット駆動機構とが備えられており、前記リンスゾーンには、1つ以上のロータリーブラシを有するロータリーブラシユニットが備えられており、前記ロータリーブラシの毛がらせん状に配置されており、前記搬送部は、感光性樹脂版を固定する固定手段を有する無端ベルトと、該無端ベルトを前記洗浄部下方で水平方向に移動させる無端ベルト駆動機構とを備えることを特徴とするフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項2に係る発明は、前記洗浄ゾーンには、複数の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、感光性樹脂版の表面に洗浄液を供給する洗浄液吐出口とが備えられており、前記洗浄液吐出口の少なくとも1つは、隣接する洗浄ブラシの間から洗浄液を感光性樹脂版の表面に供給する位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載のフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項に係る発明は、前記搬送部の下流側端部に、前記リンスゾーンを通過した感光性樹脂版を前記無端ベルトから脱離するための脱離機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項に係る発明は、前記洗浄ブラシユニット駆動機構が、円運動を発生させる円運動発生機構と、該円運動発生機構に直線往復運動を付与させる直線運動発生機構とからなることを特徴とする請求項1乃至いずれかに記載のフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項に係る発明は、前記洗浄液吐出口から吐出された洗浄液を排出するための洗浄液排出口と、該洗浄液排出口に接続された洗浄液用フィルタータンクとを備えていることを特徴とする請求項1乃至いずれかに記載のフレキソ感光性樹脂製版装置に関する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、感光性樹脂版の未硬化部を除去するための洗浄ゾーンと、前記洗浄ゾーンに隣接して設けられ前記洗浄ゾーンにて未硬化部が除去された感光性樹脂版を表面洗浄するリンスゾーンと、からなる洗浄部と、前記洗浄部の下方に設けられた、感光性樹脂版を搬送するための搬送部とを備え、前記洗浄ゾーンには、1つ以上の洗浄ブラシを有する洗浄ブラシユニットと、該洗浄ブラシユニットを水平方向に駆動させる洗浄ブラシユニット駆動機構とが備えられており、前記リンスゾーンには、1つ以上のロータリーブラシを有するロータリーブラシユニットが備えられており、前記搬送部は、感光性樹脂版を固定する固定手段を有する無端ベルトと、該無端ベルトを前記洗浄部下方で水平方向に移動させる無端ベルト駆動機構とを備えることにより、樹脂版を固定手段によって無端ベルトに固定した状態で洗浄部下方に該樹脂版を搬送し、洗浄部において樹脂版表面を洗浄及びリンスすることができる。このとき、樹脂版を固定及び搬送するためのセッターが必要ないので、セッターの取り回しが不要となり、作業性を向上させることができる。
さらに、セッターが不要であることにより、樹脂版の大きさが制限されないため、より広い範囲の大きさの樹脂版の洗浄が可能となる。
また、ロータリーブラシの毛がらせん状に配置されていることにより、中央部から外側へとリンス液の流れを形成することができるので、版表面に存在する異物(汚れ)をロータリーブラシ内に留めることなくロータリーブラシの外側へ排出することができる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項に係る発明によれば、リンスゾーン側の前記無端ベルトの端部近傍に、前記リンスゾーンを通過した感光性樹脂版を前記無端ベルトから脱離するための脱離機構を備えていることにより、洗浄及びリンスした感光性樹脂版を自動で取り出すことができ、作業者が感光性樹脂版を無端ベルトから引き剥がす必要がなくなる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
請求項に係る発明によれば、洗浄ブラシユニット駆動機構が、円運動を発生させる円運動発生機構と、該円運動発生機構に直線往復運動を付与させる直線運動発生機構とからなることにより、洗浄ブラシが感光性樹脂版に対して、トロコイド曲線を描くような軌跡で圧力をもって摺動するようになるから、従来の単一な円運動での摺動に比べて、感光性樹脂版を全体にムラ無く均一に洗浄することができ、洗浄時に版表面のドットを潰したり、版表面にブラシ目を付与させたりすることがなく、精度の高い感光性樹脂版を得ることが可能となる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項に係る発明によれば、洗浄液吐出口から吐出された洗浄液を排出するための洗浄液排出口と、該洗浄液排出口に接続された洗浄液用フィルタータンクとを備えていることにより、排水された洗浄液のスカムを低減することができる。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
図1】本発明に係る感光性樹脂製版装置の全体構成を示す図である。
図2】本発明に係る感光性樹脂製版装置の平面図である。
図3】本発明に係る感光性樹脂製版装置の側面図である。
図4】洗浄ゾーンの洗浄ブラシユニットと洗浄ブラシユニット駆動機構の正面方向断面図である。
図5】洗浄ゾーンの洗浄ブラシユニットと洗浄ブラシユニット駆動機構の側面方向断面図である。
図6】本発明に係る装置の駆動機構の動作を説明する平面図である。
図7】ロータリーブラシの正面図であり、(a)その第1実施形態、(b)その第2実施形態を示す図である。
図8】洗浄液用フィルタータンクを備えた実施形態の感光性樹脂製版装置の(a)正面図、(b)側面図である。
図9】従来の感光性樹脂製版装置の一例を示す図である。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
以下、本発明に係る感光性樹脂製版装置について説明する。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
図1は、本発明に係る感光性樹脂製版装置の全体構成を示す図である。図2は、本発明に係る感光性樹脂製版装置の平面図である。図3は、本発明に係る感光性樹脂製版装置の側面図である。
感光性樹脂製版装置は、洗浄部(1)と、洗浄部(1)の下方に設けられた、感光性樹脂版(J)を搬送するための搬送部(2)とを備えている。洗浄部(1)は、感光性樹脂版(J)の未硬化部を除去するための洗浄ゾーン(A)と、洗浄ゾーン(A)に隣接して設けられ洗浄ゾーン(A)にて未硬化部が除去された感光性樹脂版(J)を表面洗浄するリンスゾーン(B)とからなる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
洗浄ゾーン(A)の洗浄ブラシユニット駆動機構(1b)について説明する。
洗浄ブラシユニット駆動機構(1b)は、洗浄ブラシ(14)を水平方向に駆動させるためのものであり、円運動を発生させる円運動発生機構と、該円運動発生機構に直線往復運動を付与させる直線運動発生機構とからなる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
再び図1を参照する。リンスゾーン(B)にてリンスされた感光性樹脂版(J)は、絞りローラ(11)によって、リンス液が絞られ、排出口(5b)から排出される。無端ベルト(3)は下流側端部にて下方に旋回しており、この端部を通る時に排出された感光性樹脂版(J)は固定手段(19)から脱離し、無端ベルト(3)の端部の下方に設けられた受取部(21)に収容される。
リンスゾーン側の無端ベルト(3)の端部近傍には、リンスゾーン(B)を通過した感光性樹脂版(J)を無端ベルト(3)から脱離するための脱離機構(22)が備えられている。脱離機構(22)は、感光性樹脂製版装置の下流側端部に突出して設けられた当て部(22a)を備えており、下流側端部を通る時に排出された感光性樹脂版(J)は、当て部(22a)に接触することにより固定手段(19)から脱離し、無端ベルト(3)の端部の下方に設けられた受取部(21)に収容される。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
図8は、洗浄液用フィルタータンクを備えた実施形態の感光性樹脂製版装置の(a)正面図、(b)側面図である。
本発明のフレキソ感光性樹脂製版装置は、洗浄液吐出口(7)から吐出された洗浄液を
排出するための洗浄液排出口(12)と、洗浄液排出口(12)に接続された洗浄液用フィルタータンク(30)とを備えていることが好ましい。洗浄液供給系統に洗浄液用フィルタータンク(30)を設けることにより、排水された洗浄液のスカムを低減することができる。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
本発明のフレキソ感光性樹脂製版装置は、光硬化により製版材料に所定形状の印刷をされた感光性樹脂版の表面をブラシで刷って洗浄することにより印刷用版として調製するための装置として用いられ、特に水現像型の感光性樹脂版に対して用いることができる。