【解決手段】本発明の実施形態の一例であるラベル10は、ラベル基材11と、ラベル基材11の一方の面上に形成された粘着剤層12とを備える。粘着剤層12は、エマルジョン型粘着剤を用いて形成され、ゲル分率が30〜50重量%の範囲内である。ラベル10は、乾電池51に装着される乾電池用ラベルであって、ラベル基材11の表面側にデザイン印刷層13及び表面保護層14を備え、ラベル基材11の裏面側に金属蒸着層(金属層)20及び保護層21を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照しながら、本発明の実施形態の一例について、以下詳細に説明する。
【0013】
図1及び
図2は、本発明の実施形態の一例であるラベル10を示す。
ラベル10は、ラベル基材11と、ラベル基材11の一方の面上に形成された粘着剤層12とを備える。以下では、粘着剤層12が形成されるラベル基材11の一方の面を「裏面」とし、裏面と反対側の面を「表面」とする。ラベル10は、乾電池51(
図3等参照)に装着される乾電池用ラベルであって、ラベル基材11の表面側にデザイン印刷層13及び表面保護層14を備え、ラベル基材11の裏面側に金属蒸着層(金属層)20及び保護層21を備えている。なお、
図1の矢印で示す方向が、乾電池51に装着されたときに、円筒型の乾電池51の軸方向(以下、「上下方向」という)に沿った方向となる。
【0014】
ラベル10は、例えば、ラベル基材11の裏面上の全域に形成された金属蒸着層20を備える。金属蒸着層20上には、保護層21を介して粘着剤層12が形成されることが好適である。保護層21は、例えば、金属蒸着層20上の全域に形成される。粘着剤層12は、所定のパターンで形成されてもよいが、好ましくは保護層21上の全域に形成される。
【0015】
ラベル10は、例えば、デザイン等に応じて所望のパターンでラベル基材11の表面上に形成されたデザイン印刷層13を備える。但し、接着性の観点から、後述するオーバーラップ部22(
図4等参照)の内側に位置するラベル端部(以下、「巻付始端部」という)には、デザイン印刷層13を形成しないことが好適である。表面保護層14は、例えばデザイン印刷層13を覆って形成され、デザイン印刷層13を保護する機能を有する。但し、乾電池51の上面及び下面に装着される部分には、表面保護層14を形成しないことが好適である。
【0016】
ラベル10は、粘着剤層12を保護するために剥離紙100上に仮貼着されていることが好適であり、乾電池51に装着する際に剥離紙100から剥離される。詳しくは後述するように、ラベル10は、長尺状の剥離紙100上に複数並んで配置されている。
【0017】
[ラベル基材11]
ラベル基材11は、特に限定されず、従来公知のラベル基材を使用することができる。ラベル基材11としては、例えば、プラスチックフィルム、不織布、紙、合成紙、発泡樹脂シートなどが挙げられる。中でも、プラスチックフィルムが好ましい。
【0018】
上記プラスチックフィルムを形成する樹脂の種類は、要求物性、用途、コストなどに応じて、適宜選択することが可能であり、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂などが挙げられる。中でも、ラベリング適性の観点から、ポリエステル系樹脂が好ましい。即ち、上記プラスチックフィルムは、ポリエステル系樹脂からなるポリエステル系フィルムが好ましく、より好ましくはPET系フィルムである。上記樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0019】
上記プラスチックフィルムは、単層構成であってもよいし、積層構成を有していてもよい。即ち、上記プラスチックフィルムは、単層フィルムであってもよいし、要求物性、用途などに応じて、複数のフィルム層を積層した積層フィルムであってもよい。また、積層フィルムの場合、同種の樹脂からなるフィルム層を積層していてもよいし、異なる樹脂からなるフィルム層を積層していてもよい。
【0020】
上記プラスチックフィルムは、無延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。中でも、プラスチックフィルムがシュリンクフィルム(熱収縮性フィルム)である場合には、シュリンク特性(熱収縮特性)を発揮する観点から、1軸、2軸又は多軸に延伸したフィルムであることが好ましい。上記プラスチックフィルムが積層フィルムの場合には、積層フィルム中の少なくとも1層のフィルム層が延伸されていることが好ましい。上記プラスチックフィルムとしては、1軸又は2軸延伸フィルムが好ましく、中でも、一方向にのみ熱収縮性を有する観点から、フィルムの1軸方向に強く延伸しているフィルム(実質的に1軸延伸されたフィルム)がより好ましい。
【0021】
上記プラスチックフィルムは、溶融製膜又は溶液製膜などの慣用の方法によって作製することができる。また、市販のプラスチックフィルム(シュリンクフィルムなど)を用いることも可能である。積層構成のプラスチックフィルムを作製する場合、積層の方法としては、慣用の方法、例えば共押出法、ドライラミネート法などを用いることが可能である。プラスチックフィルムに延伸を施す方法としては、例えば、長手方向(フィルムの製造ライン方向であってMD方向とも称する)及び幅方向(長手方向と直交する方向であってTD方向とも称する)の2軸延伸、長手方向又は幅方向の1軸延伸等を用いることができる。延伸方式は、例えば、ロール方式、テンター方式、チューブ方式等を用いることができる。例えば、長手方向に熱収縮性を有する実質的に1軸延伸されたシュリンクフィルムの延伸処理は、幅方向に1.01〜1.5倍、好ましくは1.05〜1.3倍程度、長手方向に2〜6倍、好ましくは2.5〜5倍程度延伸することにより行うことができる。
【0022】
本実施形態では、乾電池51への密着性等の観点から、シュリンクフィルムが好ましい。中でも、乾電池51へのラベリング適性の観点から、ポリエステル系シュリンクフィルムがより好ましく、PET系シュリンクフィルムが特に好ましい。シュリンクフィルムは、140℃のグリセリン浴で10秒間熱収縮した際の熱収縮率(140℃×10秒)が、長手方向に30〜60%、幅方向に0〜10%であることが好ましい。また、80℃のグリセリン浴で10秒間熱収縮した際の熱収縮率(80℃10秒間)は、長手方向に−1〜5%、幅方向に−1〜5%であることが好ましい。シュリンクラベルは、その長手方向が乾電池51の周方向に、幅方向が乾電池51の上下方向にそれぞれ沿うように装着されることが好ましい。
【0023】
特に乾電池用ラベルや後述のPOPラベルの場合、ラベル基材11には、コシの強いフィルムを用いることが好ましい。具体的には、ラベル10が貼着される物品の曲面に沿う方向のリングクラッシュ法における圧縮強度が10〜50Nの範囲内にあるフィルムを用いることが好ましい。フィルムの当該圧縮強度は、より好ましくは5〜40N、特に好ましくは15〜35Nである。圧縮強度が当該範囲内であれば、ラベリング適性やラベルの自立性が良好になると共に、改良された粘着剤層12によって物品との良好な接着状態を維持できる。
【0024】
本明細書において、ラベル基材の「リングクラッシュ法における圧縮強度」とは、紙及び板紙の圧縮強さ試験方法であるリングクラッシュ法(JIS P8126)に準拠して測定される圧縮強度を意味する。測定条件等は、下記の通りである。
[試験片]
TD方向(幅方向)長さ:152.5mm
MD方向(長手方向)長さ:12.5mm
圧縮方向:MD方向
[測定速度]
13mm/min
[測定機器]
株式会社島津製作所製オートグラフAGX
【0025】
なお、ラベル基材11は、透明又は不透明のいずれでもよい。透明性に優れたラベル基材11の場合、ラベル基材11のヘイズ値[JIS K 7136準拠、厚み40μm換算、単位:%]は、20%未満が好ましく、より好ましくは10%未満である。ヘイズ値が20%以上の場合には、裏刷り(ラベル基材を通して印刷を見せるタイプ)のラベルの場合、製品とした際に、印刷が曇り、加飾性が低下することがある。但し、ヘイズ値が20%以上の場合であっても、上記裏刷り用途以外の用途においては十分に使用可能である。上記透明性に優れたラベル基材11は、無色であることが好ましいが、透明性を損なわない範囲で着色されていてもよい。
【0026】
ラベル基材11の厚みは、特に限定されないが、20〜100μmが好ましく、より好ましくは25〜60μmであり、特に好ましくは30〜50μmである。ラベル基材11の表面及び裏面には、必要に応じて、コロナ放電処理やプライマー処理等の慣用の表面処理が施されていてもよい。
【0027】
[粘着剤層12]
粘着剤層12は、エマルジョン型粘着剤を用いて形成される。粘着剤層12は、常温で粘着性を有する層であって、これによりラベル10を物品に貼り付けることができる。即ち、ラベル10は、いわゆるタックラベルである。
【0028】
粘着剤層12は、例えば、金属蒸着層20及び保護層21が形成されたラベル基材11の裏面上に、エマルジョン型粘着剤を塗布し、これを乾燥して形成する、又は剥離紙100の表面上にエマルジョン型粘着剤を塗布し、これを乾燥して形成することができる。エマルジョン型粘着剤の塗布方法は、特に制限されず、例えばコンマコーター、ブレードコーター、グラビアコーター等のロールコーター、スロットダイコーター、リップコーター、カーテンコーター等のコーティング装置を用いた方法が適用できる。
【0029】
粘着剤層12に適用されるエマルジョン型粘着剤は、ラジカル重合性不飽和単量体を重合してなる樹脂成分(ポリマーエマルジョン)、界面活性剤、及び水を含む。また、エマルジョン型粘着剤は、粘着性付与剤を含むことが好ましい。また、エマルジョン型粘着剤には、樹脂成分の架橋性官能基等と反応する硬化剤を添加することが好ましい。硬化剤には、例えば、オキサゾリン系化合物、カルボジイミド系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、イソシアネート系化合物、メラミン系化合物、金属錯体等の金属系化合物、アミン系化合物等を用いることができる。
【0030】
上記ポリマーエマルジョンは、重合開始剤の存在下、従来公知の乳化重合法により得ることができる。例えば、ラジカル重合性不飽和単量体、界面活性剤、及び水を用いて平均粒子径0.5〜2μm程度の単量体エマルジョンを作製した後、ラジカル重合を行う。単量体エマルジョンの作製には、例えば、超音波乳化機やホモミキサー等の分散機を使用することができる。なお、ポリマーエマルジョンの分子量や分子量分布を制御するために連鎖移動剤として、メルカプタン系、チオグリコール系、β−メルカプトプロピオン酸系のアルキルエステルを使用してもよい。
【0031】
上記ラジカル重合性不飽和単量体は、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とするものが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等の直鎖又は分岐脂肪族アルコールのアクリル酸エステル、及びこれらに対応するメタクリル酸エステルなどが例示できる。
【0032】
上記ラジカル重合性不飽和単量体は、カルボキシル基含有単量体を0.1〜20重量%含有することが好ましい。カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸などが例示できる。また、ラジカル重合性不飽和単量体としては、上記以外の単量体を必要に応じて使用することもできる。
【0033】
上記界面活性剤としては、ラジカル重合性不飽和単量体(樹脂成分)を水媒体中に乳化分散させる機能を有するものであれば特に限定されず、反応性界面活性剤、非反応性界面活性剤のいずれであってもよい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。界面活性剤の使用量は、特に制限されないが、ラジカル重合性不飽和単量体に対して0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0034】
上記粘着付与剤としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂などが好適である。
【0035】
粘着剤層12は、30〜50重量%のゲル分率を有する。粘着剤層12のゲル分率を当該範囲内に調整することで、ラベル基材にコシの強いフィルムを適用した場合であっても粘着剤層12の接着力を向上させ曲面を有する物品(例えば、曲率半径が1〜50mm)に良好に貼着することができ、特に、乾電池51等の曲率半径が小さい物品(例えば、曲率半径が3〜10mm)に対しても良好な装着形態が得られる。特に、曲率半径の小さい物品(曲率半径が2〜35mm)への装着について、粘着剤層12のゲル分率は、35〜45重量%が特に好ましい。粘着剤層12のゲル分率は、上記ポリマーエマルジョンの組成や分子量、上記硬化剤の種類や含有量などを変更することによって調整することができる。
【0036】
本明細書において、粘着剤層の「ゲル分率」とは、下記の方法により測定・定義されるゲル分率を意味する。
ゲル分率(重量%):粘着剤層を200メッシュの金網で包んだものの重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。粘着剤層を200メッシュの金網で包んだものを、テトラヒドロフランに24時間浸漬させた後、1時間超音波照射を行い、テトラヒドロフランから取り出して、テトラヒドロフランを乾燥、除去させた後の重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。そして、下記式より、ゲル分率を求める。
ゲル分率=(浸漬後重量−金網の重量)/(浸漬前重量−金網の重量)×100
【0037】
[デザイン印刷層13]
デザイン印刷層13は、商品名やデザイン、使用上の注意事項等を表示するための層である。デザイン印刷層13は、デザイン等のパターンに応じて印刷インキをラベル基材11上に塗布した後、乾燥や紫外線(UV)照射によってインキ成分を固化することで形成される。デザイン印刷層13の形成には、従来公知の印刷インキを用いることができる。この印刷インキを用いて、グラビア印刷、フレキソ印刷、又は凸版輪転印刷等を行なうことで、ラベル基材11の表面にデザイン印刷層13が形成される。
【0038】
デザイン印刷層13の厚みは、例えば0.5〜10μm程度であり、好ましくは1〜5μm程度である。デザイン印刷層13は、金属蒸着層20よりも表側に設けられていればよいが、好ましくは
図2に示すようにラベル基材11を介して金属蒸着層20と反対側(ラベル基材11の表面側)に設けられる。これにより、良好な金属光沢が得られる。なお、上記のように、巻付始端部にはデザイン印刷層13を形成しないことが好適である。これにより、オーバーラップ部22の接着力が向上する。
【0039】
[表面保護層14]
表面保護層14は、例えば、デザイン印刷層13を保護するために設けられる。また、滑り性や表面光沢性を改良する役割を果たす場合もある。表面保護層14は、デザイン印刷層13を透視できる程度に透明性を有する層であれば特に限定されないが、例えば、ラベル基材11を構成するフィルムとして例示したもののうち、透明性を有するフィルムをラミネートして形成されてもよいし、周知慣用の透明性を有する印刷インキ(例えば、色材を含まないインキ)を用いてグラビア印刷法やフレキソ印刷法、凸版輪転印刷法等によって形成されてもよい。
【0040】
表面保護層14の厚みは、例えば0.1〜5μm程度であり、好ましくは0.5〜3μm程度である。表面保護層14は、上記のように、デザイン印刷層13上において、乾電池51の上面及び下面に装着される部分以外に形成されることが好適である。乾電池51の上面及び下面に装着される部分は、熱収縮することにより上面及び下面に密着するため、当該部分に表面保護層14を設けないことでラベル基材11の熱収縮が容易になり、良好な装着形態が得られ易くなる。
【0041】
[金属蒸着層20]
金属蒸着層20は、ラベル10に金属光沢を付与するために設けられる。金属蒸着層20は、上記のように、ラベル基材11を介してデザイン印刷層13と反対側に設けられることが好適である。金属蒸着層20は、例えば、厚みが0.005μm〜0.2μmであり、好ましくは0.015μm〜0.15μmであり、より好ましくは0.035μm〜0.1μmの薄膜層である。金属蒸着層20は、アルミニウム、ニッケル、スズ、銀等の金属をラベル基材11の裏面上に真空蒸着することにより形成できる。特に、アルミニウムを主成分とすることが好ましい。なお、金属蒸着層に代えて、アルミニウム箔等の金属箔を積層して金属層を形成することもできる。
【0042】
ところで、アルミニウムは、乾電池51の発電要素を収納するケース表面の金属である鉄やニッケルよりも電気化学的に卑である。したがって、金属蒸着層20と乾電池51の表面とが電気的に接触する(短絡する)と、局部電池が形成されて電気化学的に卑なアルミニウムの溶出が起こる。これにより、金属蒸着層20は部分的に金属光沢を失い、外観上の不具合を生じることになる。
【0043】
[保護層21]
保護層21は、金属蒸着層20と粘着剤層12との間に形成され、金属蒸着層20の金属光沢を維持する役割を果たす。即ち、保護層21は、金属蒸着層20と粘着剤層12とが触れることを防止して、金属蒸着層20を保護するために設けられる。粘着剤層12は、上記のように、水分を吸収し易いことから、金属蒸着層20と粘着剤層12とを接触させると、粘着剤層12が吸収した水分の影響により金属蒸着層20と乾電池51の表面とが短絡して金属光沢が失われる。ラベル10によれば、保護層21を形成することにより、当該短絡を防止することが可能となる。
【0044】
保護層21は、環境負荷低減、疎水性等の観点から、紫外線硬化樹脂を主成分とすることが好適である。紫外線硬化樹脂としては、金属蒸着層20及び粘着剤層12との密着性が良好であり、水分を吸収し難いものであれば特に限定されず、例えばアクリル系樹脂を用いることができる。樹脂成分以外の成分としては、光重合開始剤、粘着付与剤、ワックス、可塑剤、架橋剤、微粉末シリカなどの充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、増感剤などが例示できる。中でも、光重合開始剤、粘着付与剤を含有することが好ましい。紫外線硬化樹脂の樹脂成分としては、エポキシ基やビニルエーテル基を有するカチオン重合性化合物、アクリロイル基やビニル基を有するラジカル重合性化合物などが挙げられる。例えば、当該カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられ、当該ラジカル重合性化合物としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、エステルアクリレート系、アクリレート系の化合物などが挙げられる。紫外線硬化型樹脂の光重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、シラノール/アルミニウム錯体、スルホン酸エステル、イミドスルホネートなどの光カチオン重合開始剤が挙げられる。
【0045】
保護層21は、例えば、未硬化状態の樹脂成分(紫外線照射により架橋するアクリル系プレポリマー等)、光重合開始剤、粘着性付与剤等を含有する液状物を、金属蒸着層20が形成されたラベル基材11の裏面上に塗布した後、紫外線を照射して樹脂成分を硬化させることで形成される。紫外線照射装置としては、特に限定されず、例えばメタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の高圧放電ランプや、ケミカルランプ、LEDランプ、ブラックライトランプ、捕虫用蛍光ランプ等の低圧放電ランプなどを用いることができる。上記液状物としては、顔料などの着色剤を含む紫外線硬化型インキ、実質的に着色剤を含まない紫外線硬化型インキ(着色剤を含まないインキは、一般にメジウムインキとも呼ばれる)などの公知の紫外線硬化型インキを用いることができる。上記液状物の塗布方法は、特に限定されず、公知の印刷法、コート法などを用いることができるが、所望の範囲に塗布し易いことから、印刷法を用いることが好ましい。
【0046】
保護層21の厚みは、例えば0.1〜5μm程度であり、好ましくは0.5〜3μm程度である。
【0047】
[ラベル10の製造方法]
ラベル10は、一方の面上にデザイン印刷層13及び表面保護層14を、他方の面上に金属蒸着層20、保護層21、及び粘着剤層12をそれぞれ形成した長尺状のラベル基材(以下、「長尺ラベル基材(11)」という。長尺ラベル基材(11)を個々のラベルサイズにカットしたものがラベル基材11である。)を準備し、これを個々のラベルサイズにカットすることで製造される。長尺ラベル基材(11)は、粘着剤層12により長尺状の剥離紙100上に仮貼着された状態で個々のラベルサイズにカットされる。また、当該カット時等において必要により不要部が除去される(カス上げ工程)。こうして、長尺状の剥離紙100上に、複数のラベル10が並んだ長尺体(以下、「長尺体(10)」という)が得られる。後述するように、この長尺体(10)をラベラーに供給して、連続的にラベル付き乾電池50を製造する。
【0048】
図3及び
図4は、本発明の実施形態の一例であるラベル付き乾電池50を示す。
ラベル付き乾電池50は、上記構成を備えたラベル10と、乾電池51とを備えるラベル付き物品である。本実施形態で例示する乾電池51は、円筒型乾電池であって、乾電池51の上下方向に沿った側面は一定の曲率半径を有する曲面である。乾電池51の側面の曲率半径は、そのサイズによって異なるが、例えば3〜5mmである。
【0049】
ラベル付き乾電池50において、ラベル10は、乾電池51の側面に巻き付けられて、粘着剤層12により乾電池51の側面に貼り付いている。ラベル10は、一部が重なり合ってオーバーラップする筒状体とされ、乾電池51の側面全体を覆うことが好適である。即ち、ラベル10には、乾電池51の曲面に沿った方向のラベルの一端部(巻付始端部)の上に、ラベルの他端部(巻付終端部)が重なって、オーバーラップ部22が形成されている。筒状にされたラベル10の上端部及び下端部は、熱収縮により乾電池51の上面及び下面にそれぞれ密着している。
【0050】
ラベル付き乾電池50では、ラベル10の巻付終端部が巻付始端部上に強く接着しており、オーバーラップ部22における巻付終端部の大きな浮きは見られない(
図4参照)。ラベル10は巻付終端部において浮き上がり易いが、粘着剤層12のゲル分率を30〜50重量%に調整したことにより当該浮き上がりが抑制されている。即ち、ラベル10を用いることで、乾電池51の側面のような曲率半径の小さな曲面に対しても良好な密着性が得られ、見栄えの良い装着形態を実現することができる。ラベル10は、ラベル基材11がコシの強いフィルムである場合に特に効果的である。
【0051】
[ラベル付き乾電池50の製造方法]
ラベル付き乾電池50は、従来公知のラベラーを用いて製造できる。ラベラーには、上記長尺体(10)及び乾電池51が供給される。剥離紙100から剥がされたラベル10は、その上下端部を乾電池51の上下から突出させた状態で側面に巻き付けられ、粘着剤層12により乾電池51の側面に貼り付けられる。このとき、オーバーラップ部22が形成される。続いて、ラベル10を加熱することで突出したラベル10の上下端部を熱収縮させて、乾電池51の上面、下面に密着させる。こうして、ラベル10が乾電池51に装着されたラベル付き乾電池50が製造される。特に、本発明に係るラベル10においては、ラベル基材としてコシの強い一軸延伸のPET系フィルムを用いることができるので、剥離紙100からラベル10を容易に剥がすことができる(ラベリング適性がよい)。
【0052】
上記実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更することができる。
以下、
図5〜
図7を参照しながら、設計変更の一例について説明する。ここでは、上記実施形態と相違する点について説明し、上記実施形態と同様の構成要素には同じ符号を用いて重複する説明を省略する。
【0053】
図5に示すラベル30は、金属蒸着層20及び保護層21を有さず、ラベル基材11の裏面上の一部だけに粘着剤層31が形成されている点、及びオーバーラップ部22を有さない点で、ラベル10と異なる。なお、
図5の矢印で示す方向が、物品に装着されたときにラベル付き物品(ラベル)の上下方向に沿った方向となる。粘着剤層31は、例えば、ラベル基材11の下部側半分だけに形成される。なお、粘着剤層31は、粘着剤層12と同様のエマルジョン型粘着剤を用いて形成され、そのゲル分率は30〜50重量%の範囲内に調整されている。
【0054】
ラベル30は、POPラベルとして用いることができる。例えば、
図6に示すように、容器61の本体部の上端から一部(上部側半分)を突出させた状態で、ラベル30を容器61に貼り付けることができる。ラベル付き容器60において、ラベル30が貼り付けられている部分は曲率半径が小さな曲面(例えば、1〜50mm)であるが、ラベル30は改良された粘着剤層31により、このような曲面に対してもラベル端部の浮き上がりがなく良好な密着性を有する。なお、ラベル30が装着される容器は、
図6に例示する容器61に限定されない。
【0055】
POPラベルとして用いられるラベル30の場合、ラベル基材11の裏面上の粘着剤層31が形成されない部分(上部側半分)にも、デザイン印刷層13及び表面保護層14を形成してもよい。また、ラベル30のラベル基材11には、コシの強いPET系フィルムを適用することが自立性の観点から好ましく、乾電池用ラベルのように熱収縮性を有する必要はない。なお、本実施形態では、粘着剤層31をラベル裏面上の一部にだけ形成した例を示したが、突出部分の裏面に粘着性を有さなければこの形態に限らず、例えば、ラベル裏面の全域に粘着剤層31を形成し、突出部分に対応する領域に粘着性を消失させるコーティング剤を形成してもよい。
【0056】
図7に示すラベル付き容器70は、ボトル状の容器71の曲面にラベル40が貼り付けられたものである。ラベル40には、例えば、ラベル30と同様の層構成を有するものが適用できる。但し、この場合、粘着剤層はラベル基材の裏面上の全域に形成されることが好ましい。ラベル40の場合も、改良された粘着剤層により、曲率半径の小さな曲面に対してもラベル端部の浮き上がりがなく良好な密着性を有する。
【0057】
本発明のラベルが貼着される物品としては、上記物品に限定されず、例えば、調味料、化粧品、医薬品、生活雑貨、文房具、食品、飲料などが収納された曲面を有する容器が挙げられる。本発明のラベルは、曲率半径が1〜50mm、より好ましくは2〜35mm、特に好ましくは3〜10mmである曲面を有する容器に対して好適である。なお、物品の形状は、円筒状に限らず、楕円形、多角形等の種々の形状が挙げられ、部分的に曲率半径の小さな曲面を有している形状であればよい。特に、乾電池、リップスティック等の円柱状の細物(例えば、曲率半径が、3〜10mm)に対して好適である。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
<実施例1>
ラベル基材として、一軸延伸されたPET系フィルムを準備した。アクリル系樹脂を主成分とするポリマーエマルジョン、界面活性剤、粘着性付与剤、及び水を含有するエマルジョン型粘着剤B1を準備し、これを剥離紙に塗布した後、当該粘着剤を乾燥してラベル基材と貼り合せることにより、厚みが20μmの粘着剤層を有するラベルA1を得た。エマルジョン型粘着剤B1を用いて形成した粘着剤層のゲル分率は、30重量%であった。
【0060】
<実施例2>
上記エマルジョン型粘着剤B1のポリマーエマルジョンの組成や分子量、硬化剤の添加やその含有量などを変更することによって、粘着剤層のゲル分率を35重量%とした以外は、実施例1と同様にして、ラベルA2を得た。
【0061】
<実施例3>
上記エマルジョン型粘着剤B1のポリマーエマルジョンの組成や分子量、硬化剤の添加やその含有量などを変更することによって、粘着剤層のゲル分率を40重量%とした以外は、実施例1と同様にして、ラベルA3を得た。
【0062】
<実施例4>
上記エマルジョン型粘着剤B1のポリマーエマルジョンの組成や分子量、硬化剤の添加やその含有量などを変更することによって、粘着剤層のゲル分率を45重量%とした以外は、実施例1と同様にして、ラベルA4を得た。
【0063】
<実施例5>
上記エマルジョン型粘着剤B1のポリマーエマルジョンの組成や分子量、硬化剤の添加やその含有量などを変更することによって、粘着剤層のゲル分率を50重量%とした以外は、実施例1と同様にして、ラベルA5を得た。
【0064】
<比較例1>
上記エマルジョン型粘着剤B1のポリマーエマルジョンの組成や分子量、硬化剤の添加やその含有量などを変更することによって、粘着剤層のゲル分率を55重量%とした以外は、実施例1と同様にして、ラベルX1を得た。
【0065】
<比較例2>
エマルジョン型粘着剤Y1を用いて、ゲル分率が25重量%の粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ラベルX2を得た。
【0066】
<比較例3>
エマルジョン型粘着剤Y2を用いて、ゲル分率が20重量%の粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして、ラベルX3を得た。
【0067】
[粘着剤層のゲル分率(重量%)の測定]
実施例及び比較例で作製したラベルから、粘着剤層を1.0g採取し、これを測定用サンプルとした。上記測定用サンプルを200メッシュの金網で包んだものの重量を測定し、浸漬前重量とした。上記測定用サンプルを200メッシュの金網で包んだものを、テトラヒドロフランに23℃雰囲気下で24時間浸漬させた後、1時間超音波照射を行い、テトラヒドロフランから取り出して80℃で24時間乾燥させ、テトラヒドロフランを除去した。上記浸漬後の測定用サンプルと200メッシュの金網との重量を測定し、浸漬後重量とした。そして、下記式より、ゲル分率を求めた。
ゲル分率=(浸漬後重量−金網の重量)/(浸漬前重量−金網の重量)×100
【0068】
[浮き評価(巻付試験)]
実施例及び比較例で作製したラベルから、サンプル[長手方向36mm×幅方向45mm]を採取した。上記サンプルから剥離紙を剥離し、単四電池(曲率半径=5mm)に、粘着剤層が内側となるように(単四電池の外面と粘着剤層が接するように)巻き付けた。なお、巻付終端部と巻付始端部とでオーバーラップが形成するように巻き付けた。その後、ラベル上下端部を加熱し、単四電池の上面及び下面にラベルを装着した。その後、常温で24時間保管した。その後、所定条件(i)(ii)で72時間保管した後の、当該保管後のラベルのオーバーラップ部分の巻付終端部の浮きを測定した。所定条件(i)(常温)で72時間保管した後の浮きを、常温保管後の浮き(mm)とした。また、所定条件(ii)(温度80℃、相対湿度50%の条件)で72時間保管した後の浮きを、80℃50%保管後の浮き(mm)とした。
【0069】
実施例及び比較例のラベルについて、上記評価結果等を表1に示した。
【表1】
【0070】
表1に示すように、実施例のラベルA1〜A5は、いずれも巻付終端部の浮きが0.2mm以下と小さく、物品に対する良好な密着性を有することが分かった(特に乾電池の場合、当該浮きが0.2mmを超えると品質不良となり得る)。粘着剤層のゲル分率が35〜45%である場合、常温及び高温高湿環境のいずれにおいても特に良好な密着性が得られた。一方、粘着剤層のゲル分率が30%未満又は50%を超える比較例のラベルX1〜X3は、巻付終端部の浮きが0.2mmよりも大きくなり、実施例のラベルと比べて物品に対する密着力に劣ることが分かった。