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特開2015-114718携帯型情報処理装置、そのアンテナ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-114718(P2015-114718A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】携帯型情報処理装置、そのアンテナ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20150526BHJP
   H04B 1/38 20150101ALI20150526BHJP
【FI】
   G06F1/00 312Z
   G06F1/00 312E
   G06F1/00 312G
   H04B1/38
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-254391(P2013-254391)
(22)【出願日】2013年12月9日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100132595
【弁理士】
【氏名又は名称】袴田 眞志
(72)【発明者】
【氏名】尾家 正樹
(72)【発明者】
【氏名】西岡 善夫
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011AA06
5K011DA02
5K011JA12
5K011KA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アンテナを搭載する筐体を厚くすることなく、電波に関する法令に定められる基準を満たすことが可能な携帯型情報処理装置を提供する。
【解決手段】携帯型情報処理装置1は、キーボード17が配置される第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを備えた本体側筐体12に対して、タッチスクリーン16が配置されるディスプレイ側筐体11が回動可能に構成されており、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能に構成され、ノートPC構成では、前記第2の面が底面となり、タブレットPC構成では前記第1の面が底面となるように構成され、前記本体側筐体の内部に前記第1の面方向に指向性のある第1のアンテナ31と前記第2の面方向に指向性のある第2のアンテナ32とを配置し、前記ノートPC構成では前記第1のアンテナを使用し、前記タブレットPC構成では、前記第2のアンテナを使用する。
【選択図】図1−B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボードが配置される第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを備えた本体側筐体に対して、タッチスクリーンが配置されるディスプレイ側筐体が回動可能に構成されており、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能に構成され、かつ、ノートPC構成では、前記第2の面が底面となり、タブレットPC構成では前記第1の面が底面となるように構成された携帯型情報処理装置であって、
前記本体側筐体の内部に配置され、前記第1の面方向に指向性のある第1のアンテナと、
前記本体側筐体の内部に配置され、前記第2の面方向に指向性のある第2のアンテナと、
前記第1のアンテナ又は前記第2のアンテナを使用して無線通信を行う無線通信モジュールと、
前記ノートPC構成では、前記第1のアンテナを前記無線通信モジュールに接続し、前記タブレットPC構成では、前記第2のアンテナを前記無線通信モジュールに接続する切替手段と、
を備えたことを特徴とする携帯型情報処理装置。
【請求項2】
前記第1のアンテナおよび第2のアンテナは、パッチアンテナであることを特徴とする請求項1に記載の携帯型情報処理装置。
【請求項3】
前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナは略同一の構成を有し、これらの電波放射面側が互いに逆方向となるように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の携帯型情報処理得装置。
【請求項4】
さらに、前記ディスプレイ側筐体の前記タッチスクリーンが配置される面と対向する面側が閉じられるのを検出する検出手段を備え、
前記切替手段は、前記検出手段が前記ディスプレイ側筐体の前記タッチスクリーンが配置される面と対向する面側が閉じられるのを検出した場合には、前記第2のアンテナを前記無線通信モジュールに接続し、前記検出手段が前記ディスプレイ側筐体の前記タッチスクリーンが配置される面と対向する面側が閉じられるのを検出していない場合には、前記第1のアンテナを前記無線通信モジュールに接続することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の携帯型情報処理装置。
【請求項5】
前記ディスプレイ側筐体は、前記本体側筐体に対して略360度回動可能であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の携帯型情報処理装置。
【請求項6】
キーボードが配置される第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを備えた本体側筐体に対して、タッチスクリーンが配置されるディスプレイ側筐体が回動可能に構成されており、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能に構成され、ノートPC構成では、前記第2の面が底面となり、タブレットPC構成では前記第1の面が底面となるように構成された携帯型情報処理装置のアンテナ制御方法であって、
無線通信手段が、前記本体側筐体の内部に配置され、前記第1の面方向に指向性のある第1のアンテナ又は前記本体側筐体の内部に配置され、前記第2の面方向に指向性のある第2のアンテナを使用して無線通信を行う工程と、
切替手段が、前記ノートPC構成では、前記第1のアンテナを前記無線通信手段に接続し、前記タブレットPC構成では、前記第2のアンテナを前記無線通信手段に接続する工程と、を含むことを特徴とする携帯型情報処理装置のアンテナ制御方法。
【請求項7】
キーボードが配置される第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを備えた本体側筐体に対して、タッチスクリーンが配置されるディスプレイ側筐体が回動可能に構成されており、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能に構成され、ノートPC構成では、前記第2の面が底面となり、タブレットPC構成では前記第1の面が底面となるように構成された携帯型情報処理装置に搭載されるプログラムであって、
無線通信手段が、前記本体側筐体の内部に配置され、前記第1の面方向に指向性のある第1のアンテナ又は前記本体側筐体の内部に配置され、前記第2の面方向に指向性のある第2のアンテナを使用して無線通信を行う工程と、
切替手段が、前記ノートPC構成では、前記第1のアンテナを前記無線通信手段に接続し、前記タブレットPC構成では、前記第2のアンテナを前記無線通信手段に接続する工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型情報処理装置、そのアンテナ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や情報処理装置などのような人体に接近した状態で使用される無線通信機器が普及するにつれて、これらの通信機器から発射される電波の人体に対する影響についての関心が高まっている。そのため、多くの国では、人体に吸収される電波の電力量の指標であるSAR(Specific Absorption Rate)の許容量について基準を定めている。SARは、単位質量の人体組織に単位時間に吸収されるエネルギーを意味する。周波数が高くなるほど人体に対する影響(吸収率)が大きい。例えば、日本では総務省令・無線設備規則によって、携帯無線通信を行う陸上移動局は人体の特定の部位に対するSARである局所SARを所定値以下とすることが義務づけられている。EUでは2.0mW/g以下、FCCでは1.6mW/g以下となっている。
【0003】
例えば、ノートPCやタブレットPCではその特有の操作方式によりSARが問題になることがある。具体的には、例えば、ユーザはタブレットPCを膝の上に載せて操作する場合がある。この体勢では、ノートPCやタブレットPCの筐体が、ユーザの膝、胸部又は腹部などに接触又は接近する可能性がある。
【0004】
人体の特定の部位に対するSARを所定値以下にするためには、例えば、全方向に指向性のあるアンテナを筐体に内蔵した場合には、アンテナと筐体の底面との距離を所定値以上とするか、又は、無線モジュールの送信電力を下げる必要がある。
【0005】
しかしながら、アンテナと筐体の底面との距離を所定値以上とするためには、筐体を厚くする必要があるため、筐体を薄くすることができないという問題がある。また、無線モジュールの送信電力を下げる方法では、送信パフォーマンスが低下するという問題がある。
【0006】
ところで、近時、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能なコンバーチブル型PCと呼ばれる携帯型情報処理装置がある。コンバーチブル型PCでは、ノートPC構成の状態で、タッチスクリーンが配置されるディスプレイ側筐体を、キーボードやタッチパッドが配置される本体側筐体に対して、ヒンジにより水平軸に360度回転させてタブレットPC構成とするものがある。かかるタイプのコンバーチブル型PCでは、タブレットPC構成の場合は、本体側筐体のキーボードやタッチパッドが配置された面が底面となる。そのため、ノートPC構成で使用する場合とタブレットPC構成で使用する場合とで、底面が異なることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−284854号公報
【特許文献2】特開2001−119230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、無線通信用のアンテナを搭載し、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能な携帯型情報処理装置において、アンテナを搭載する筐体を厚くすることなく、電波に関する法令に定められる基準を満たすことが可能な携帯型情報処理装置、そのアンテナ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、キーボードが配置される第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを備えた本体側筐体に対して、タッチスクリーンが配置されるディスプレイ側筐体が回動可能に構成されており、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能に構成され、ノートPC構成では、前記第2の面が底面となり、タブレットPC構成では前記第1の面が底面となるように構成された携帯型情報処理装置であって、前記本体側筐体の内部に配置され、前記第1の面方向に指向性のある第1のアンテナと、前記本体側筐体の内部に配置され、前記第2の面方向に指向性のある第2のアンテナと、前記第1のアンテナ又は前記第2のアンテナを使用して無線通信を行う無線通信モジュールと、前記ノートPC構成では、前記第1のアンテナを前記無線通信モジュールに接続し、前記タブレットPC構成では、前記第2のアンテナを前記無線通信モジュールに接続する切替手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1のアンテナおよび第2のアンテナは、パッチアンテナであることが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1のアンテナおよび前記第2のアンテナは略同一の構成を有し、それらの電波放射面側が互いに逆方向となるように配置されていることが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、さらに、前記ディスプレイ側筐体の前記タッチスクリーンが配置される面と対向する面側が閉じられるのを検出する検出手段を備え、前記切替手段は、前記検出手段が前記ディスプレイ側筐体の前記タッチスクリーンが配置される面と対向する面側が閉じられるのを検出した場合には、前記第1のアンテナを前記無線通信モジュールに接続し、前記検出手段が前記ディスプレイ側筐体の前記タッチスクリーンが配置される面と対向する面側が閉じられるのを検出していない場合には、前記第2のアンテナを前記無線通信モジュールに接続することが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ディスプレイ側筐体は、前記本体側筐体に対して略360度回動可能であることが望ましい。
【0014】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、キーボードが配置される第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを備えた本体側筐体に対して、タッチスクリーンが配置されるディスプレイ側筐体が回動可能に構成されており、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能に構成され、ノートPC構成では、前記第2の面が底面となり、タブレットPC構成では前記第1の面が底面となるように構成された携帯型情報処理装置のアンテナ制御方法であって、前記無線通信手段が、前記本体側筐体の内部に配置され、前記第1の面方向に指向性のある第1のアンテナ又は前記本体側筐体の内部に配置され、前記第2の面方向に指向性のある第2のアンテナを使用して無線通信を行う工程と、切替手段が、前記ノートPC構成では、前記第1のアンテナを前記無線通信手段に接続し、前記タブレットPC構成では、前記第2のアンテナを前記無線通信手段に接続する工程と、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、キーボードが配置される第1の面と前記第1の面に対向する第2の面とを備えた本体側筐体に対して、タッチスクリーンが配置されるディスプレイ側筐体が回動可能に構成されており、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能に構成され、ノートPC構成では、前記第2の面が底面となり、タブレットPC構成では前記第1の面が底面となるように構成された携帯型情報処理装置に搭載されるプログラムであって、無線通信手段が、前記本体側筐体の内部に配置され、前記第1の面方向に指向性のある第1のアンテナ又は前記本体側筐体の内部に配置され、前記第2の面方向に指向性のある第2のアンテナを使用して無線通信を行う工程と、切替手段が、前記ノートPC構成では、前記第1のアンテナを前記無線通信手段に接続し、前記タブレットPC構成では、前記第2のアンテナを前記無線通信手段に接続する工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、無線通信用のアンテナを搭載し、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能な携帯型情報処理装置において、アンテナを搭載する筐体を厚くすることなく、電波に関する法令に定められる基準を満たすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1-A】図1−Aは、実施の形態に係る携帯型情報処理装置が閉じた位置の斜視図である。
図1-B】図1−Bは、図1−Aの実施の形態の構成に係る携帯型情報処理装置が閉じた位置にある斜視図である。
図1-C】図1−Cは、図1−Aの実施の形態の構成に係る携帯型情報処理装置が開いた位置にある斜視図である。
図1-D】図1−Dは、図1−Aの実施の形態の他の構成に係る携帯型情報処理装置のキーボードが上向きの状態にある斜視図である。
図1-E】図1−Eは、図1−Aの実施の形態の他の構成に係る携帯型情報処理装置のタッチスクリーンが上向きの状態にある斜視図である。
図2図2は、本実施の形態に係る第1及び第2のアンテナの電波の出射方向及び人体との位置関係を説明するための模式図である。
図3図3は、携帯型情報処理装置のハードウェアの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明に係る携帯型情報処理装置、そのアンテナ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、システム及び方法の実施形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施形態の一例を示すものであって、本明細書の特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、システム及び方法についての選択した実施形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、又は他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの又は実質的に同一のものが含まれる。
【0019】
図1−A〜図1−Eを参照して、本実施の形態に係る携帯型情報処理装置の外観構成を説明する。本実施の形態の携帯型情報処理装置は、いわゆるコンバーチブル型PCであり、ノートPC及びタブレットPCとして使用することができる。
【0020】
図1−Aは、実施の形態に係る携帯型情報処理装置が閉じた位置の斜視図である。図1−Bは、図1−Aの実施の形態の構成に係る携帯型情報処理装置が閉じた位置にある斜視図である。図1−Cは、図1−Aの実施の形態の構成に係る携帯型情報処理装置が開いた位置にある斜視図である。図1−Dは、図1−Aの実施の形態の他の構成に係る携帯型情報処理装置のキーボードが上向きの状態にある斜視図である。図1−Eは、図1−Aの実施の形態の他の構成に係る携帯型情報処理装置のタッチスクリーンが上向きの状態にある斜視図である。
【0021】
図1−A〜図1−Eに示すように、携帯型情報処理装置1は、LCD13とLCD13上に配置されたタッチセンサ14で構成されるタッチスクリーン16が配置されたディスプレイ側筐体11と、キーボード17及びタッチパッド18を含む入力ユニット19が配置された本体側筐体12と、を備え、ディスプレイ側筐体11と本体側筐体12は、一対のヒンジ(hinge)20を介して接続されている。ディスプレイ側筐体11は、タッチスクリーン16が配置される第1の面(前面)11aと、第1の面11aに対向する第2の面(背面)11bと、を有している。また、本体側筐体12は、入力ユニット19が配置される第1の面(前面)12aと、第1の面12aと対向する第2の面(背面)12bとを有している。
【0022】
携帯型情報処理装置1は、本体側筐体12内に、CPU、第1のアンテナ31及び第2のアンテナ32、及び無線通信モジュール等を搭載した回路基板等備えている。第1のアンテナ31および第2のアンテナ32は同一の構成を有しており、これらの電波放射面側が互いに逆方向となるようにZ軸方向に重ねて配置されている(図2参照)。第1のアンテナ31及び第2のアンテナ32は、例えば、パッチアンテナで構成することができる。第1のアンテナ31は、本体側筐体12の第1の面12a方向に指向性を有しており、第2のアンテナ32は、本体側筐体12の第2の面12b方向に指向性を有している。なお、第1及び第2のアンテナ31、32は、Z軸方向に重ねて配置する替わりに、X軸方向やY軸方向に並べて配置してもよい。
【0023】
タッチスクリーン16は、図1−Aに示すように、携帯型情報処理装置1が閉じた位置にある場合に、本体側筐体12と対向する。タッチスクリーン16は、CPUによって制御可能となるように接続されており、データを携帯型情報処理装置1のユーザに提示する。
【0024】
一対のヒンジ20は、ディスプレイ側筐体11の端部11cと本体側筐体12の端部12cで連結されている。ディスプレイ側筐体11は、本体側筐体12に対して、一対のヒンジ20の周りを回動することができる。ディスプレイ側筐体11は、本体側筐体12に対して(X軸の周りを)実質的に360度回動可能となっている。
【0025】
図1−B〜図1−Dは、本体側筐体12に対して異なった角度で開くことができるディスプレイ側筐体11の操作例を示している。図1−Eは、さらに、上方を向いているタッチスクリーン16を示している。ユーザは、例えば、指等の指示体を用いてタッチスクリーン16にタッチ操作を行うことができる。
【0026】
上記構成の携帯型情報処理装置1は、図1−Bに示す状態では、ノートPC構成となり、通常のノートPCとして、入力ユニット19による操作及びタッチスクリーン16による操作で使用することができる。また、図1−D及び図1−Eに示すように、ディスプレイ側筐体11を本体側筐体12に対して360度回転させて、本体側筐体14の上にディスプレイ側筐体15を重ねるように折り畳み、タッチスクリーン16を、表を向くようにすればタブレットPC構成となる。
【0027】
本体側筐体12の内部の第2の面12a側には、携帯型情報処理装置1がタブレットPC構成となったことを検出するためのLIDセンサ(不図示)が設けられている。ディスプレイ側筐体11の第2の面11b側には、ディスプレイ側筐体11が360度回動して、ディスプレイ側筐体11の第2の面側11bが閉じられた場合(タブレットPC構成)に、本体側筐体12の第2の面12側に設けられたLIDセンサと対応する位置に永久磁石40が埋め込まれている。携帯型情報処理装置1では、LIDセンサの検出結果に基づいて、ノートPC構成であるか、又は、タブレットPC構成であるかを検出することが可能となっている。
【0028】
ノートPC構成として使用する場合は、図1−Bに示すように、本体側筐体12の第2の面12bが底面となる。また、タブレットPC構成として使用する場合は、図1−Eに示すように、本体側筐体12の第1の面12aが底面となる。すなわち、ノートPC構成とタブレットPC構成とでは使用する場合に底面が異なることになる。ノートPC構成では、第1のアンテナ31を無線通信モジュールに接続して第1のアンテナ31を使用する。他方、タブレットPC構成では、第2のアンテナ32を無線通信モジュールに接続して第2のアンテナ32を使用する。
【0029】
図2は、本実施の形態に係る第1及び第2のアンテナ31,32の電波の出射方向及び人体との位置関係を説明するための模式図である。ところで、人体の特定の部位に対するSARを所定値以下にする必要があるが、全方向に指向性のあるアンテナを使用した場合には、アンテナと筐体の底面との距離を所定値以上とする必要がある。本体側筐体12の厚さ(Z軸方向の幅)を薄く構成した場合において、ノートPC構成及びタブレットPC構成で使用する場合、例えば、ユーザが膝の上において使用する場合には、アンテナと筐体の底面との距離が所定値以下となってしまう。
【0030】
そこで、本実施の形態では、上述したように、ノートPC構成では、第1のアンテナ31を無線通信モジュールに接続して、第1のアンテナ31を使用することにより、電波E1の出射方向を人体(例えば、膝)と反対方向の本体側筐体12の第1の面12a側とする。他方、タブレットPC構成では、第2のアンテナ32を無線通信モジュールに接続して、第2のアンテナ32を使用することにより、電波E2の出射方向を、人体と反対方向の本体側筐体12の第2の面12b側とする。これにより、例えば、ユーザが携帯型情報処理装置1を膝の上に置いてノートPC構成又はタブレットPC構成で使用する場合でも、人体の特定の部位に対するSARを所定値以下とすることができる。
【0031】
図3は、上記携帯型情報処理装置1のハードウェアの概略構成を示すブロック図である。本体側筐体12には、入力ユニット19,CPU21,CPUブリッジ22,I/Oブリッジ23、メイン・メモリ24、エンベデッド・コントローラ25、電源装置26、I/Oコントローラ27、ビデオ・コントローラ28、HDD29、無線通信モジュールである無線LANモジュール30、第1のアンテナ31、第2のアンテナ32、切替部33、及びLIDセンサ35等が設けられている。ディスプレイ側筐体11には、LCD13とタッチセンサ14とで構成されるタッチスクリーン16が設けられている。
【0032】
CPU21は、ノートPCの中枢機能を担う演算処理装置で、例えば、Windows(登録商標)等のOS、BIOS、デバイス・ドライバ、あるいはアプリケーション・プログラムなどを実行する。CPU21は、CPUブリッジ22及びI/Oブリッジ23を中心に構成されるチップ・セットにさまざまなバスを経由して接続された各デバイスを制御する。
【0033】
CPUブリッジ22は、メイン・メモリ24へのアクセス動作を制御するためのメモリ・コントローラ機能や、CPU21と他のデバイスとの間のデータ転送速度の差を吸収するためのデータ・バッファ機能などを含む。メイン・メモリ24はCPUブリッジ22に接続され、CPU21が実行するプログラムの読み込み領域、処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。ビデオ・コントローラ28はCPUブリッジ22に接続され、ビデオ・チップ(図示せず)及びVRAM(図示せず)を実装しており、CPU21からの描画命令を受けて描画すべきイメージを生成してVRAMに書き込み、VRAMから読み出したイメージを描画データとしてLCD13に送る。
【0034】
無線LANモジュール30は、I/Oブリッジ23及び切替部33に接続されている。無線LANモジュール30は、切替部33を介して接続される第1のアンテナ31又は第2のアンテナ32の動作を制御して、所定周波数帯域のチャネルを使用して無線通信を行うことが可能となっている。
【0035】
また、I/Oブリッジ23は、シリアルATAインターフェース及びUSBインターフェース(図示せず)としての機能も含み、シリアルATAを介してハードディスク・ドライブ(HDD)29、及び光学ドライブ(図示せず)などと接続される。HDD29には、OS、デバイス・ドライバ、あるいはアプリケーション・プログラムなどが格納される。さらにI/Oブリッジ23には、LPCバス40を介してエンベデッド・コントローラ(EC)25、I/Oコントローラ27などが接続されている。I/Oコントローラ27にはタッチセンサ14が接続されている。I/Oコントローラ27はタッチセンサ14の動作を制御する。エンベデッド・コントローラ(EC)25には入力ユニット19、電源装置26、及びLIDセンサ35等が接続されている。エンベデッド・コントローラ25は、入力ユニット19、電源装置26、及びLIDセンサ35等の動作を制御する。
【0036】
LIDセンサ35は、切替部33に接続されている。LIDセンサ35は、ディスプレイ側筐体11の第2の面11b側が閉じられたか否かを検出し、その検知結果(例えば、閉じ検出「1」、閉じ不検出「0」)を切替部33に出力する。本実施の形態では、ディスプレイ側筐体11の第2の面11b側が閉じられた状態をタブレットPC構成、閉じられていない状態をノートPC構成としている。
【0037】
ディスプレイ側筐体11の第2の面側12には永久磁石40が埋め込まれており、ディスプレイ側筐体11の第2の面11b側が閉じられた状態で、永久磁石40は本体側筐体12の第2の面12b側に配置されたLIDセンサ35に接近する。ディスプレイ側筐体11の第2の面側11bが開かれると、永久磁石40はLIDセンサ35から離れる。LIDセンサ35は、永久磁石40からの磁力を感知することにより、永久磁石40が自らに接近しているか否かを検出することができ、そこからディスプレイ側筐体11の第2の面側11bが閉じられた状態か開かれた状態かを知ることができる。
【0038】
切替部33は、無線LANモジュール30、LIDセンサ35、第1のアンテナ31,及び第2のアンテナ32に接続されている。切替部33は、LIDセンサ35から出力される検出結果に基づいて、第1のアンテナ31又は第2のアンテナ32に接続を切り替える。LIDセンサ35でディスプレイ側筐体11の第2の面側11a側が閉じられたことを検出された場合(例えば、閉じ検出「1」)には、すなわち、タブレットPC構成の場合には、切替部33は、第2のアンテナ32に接続を切り替え、無線LANモジュール30に第2のアンテナ32を接続する。他方、LIDセンサ35でディスプレイ側筐体11の第2の面11b側が閉じられたことが検出されない場合(例えば、閉じ不検出「0」)には、すなわち、ノートPC構成の場合には、切替部33は、第1のアンテナ31に接続を切り替え、無線LANモジュール30に第1のアンテナ31を接続する。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態によれば、キーボード17が配置される第1の面12aと第1の面12aに対向する第2の面12bとを備えた本体側筐体12に対して、タッチスクリーン16が配置されるディスプレイ側筐体11が回動可能に構成されており、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能に構成され、ノートPC構成では、第2の面12bが底面となり、タブレットPC構成では第1の面12aが底面となるように構成された携帯型情報処理装置1において、本体側筐体11の内部に配置され、第1の面12a方向に指向性のある第1のアンテナ31と、本体側筐体11の内部に配置され、第2の面12b方向に指向性のある第2のアンテナ32と、第1のアンテナ31又は第2のアンテナ32を使用して無線通信を行う無線LANモジュール30と、ノートPC構成では、第1のアンテナ31を無線LANモジュール30に接続し、タブレットPC構成では、第2のアンテナ32を無線LANモジュールに接続する切替部33と、を備えているので、無線通信用のアンテナを搭載し、ノートPC及びタブレットPCとして使用可能な携帯型情報処理装置において、アンテナを搭載する筐体を厚くすることなく、電波に関する法令に定められる基準(例えば、SAR)を満たすことが可能となる。
【0040】
また、第1のアンテナ31および第2のアンテナ32としてパッチアンテナを使用することとしたので、特定方向に指向性のあるアンテナを使用することが可能となる。
【0041】
また、第1のアンテナ31および第2のアンテナ32は略同一の構成を有し、それらの電波放射面側が互いに逆方向となるように配置されていることとしたので、同一のアンテナを使用することが可能となる。
【0042】
また、ディスプレイ側筐体11のタッチスクリーン16が配置される第1の面11aと対向する第2の面11b側が閉じられるのを検出するためのLIDセンサ35を備え、切替部33は、LIDセンサ35がディスプレイ側筐体11の第2の面11b側が閉じられるのを検出した場合には、タブレットPC構成であると判断して、第2のアンテナ32を無線LANモジュール30に接続し、LIDセンサ35がディスプレイ側筐体11の第2の面11b側が閉じられるのを検出していない場合には、ノートPC構成であるとして、第1のアンテナ31を無線LANモジュール30に接続することとしたので、タブレットPC構成とノートPC構成を簡単に検出することが可能となる。
【0043】
なお、上記した実施の形態では、ディスプレイ側筐体12を入力ユニット19が配置される本体側筐体12に対して、ヒンジ20により360度回転させてタブレットPC構成となる場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、ノートPC構成とタブレットPC構成とで底面が異なるコンバーチブル型PCの全てに適用可能であり、本実施の形態と異なる回転機構を使用したものにも適用可能である。
【0044】
なお、上記実施の形態では、無線通信モジュールとして、無線LANモジュールについて説明したが、本発明はこれに限られるわけではなく、他の無線通信モジュールにも適用可能である。
【0045】
また、上記実施の形態では、携帯型情報処理装置としてコンバーチブル型のノートPCについて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、PDAや携帯電話等の他の携帯型情報処理装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明に係る携帯型情報処理装置、そのアンテナ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムは、電波に関する法令に定められる基準を満たす必要がある場合に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 携帯型情報処理装置
11 ディスプレイ側筐体
12 本体側筐体
13 LCD
16 タッチスクリーン
17 キーボード
18 タッチパッド
19 入力ユニット
20 ヒンジ
21 CPU
22 CPUブリッジ
23 I/Oブリッジ
24 メイン・メモリ
25 エンベデッド・コントローラ
26 電源装置
27 I/Oコントローラ
28 ビデオ・コントローラ
29 HDD
30 無線LANモジュール
31 第1のアンテナ
32 第2のアンテナ
33 切替部
35 LIDセンサ
図1-A】
図1-B】
図1-C】
図1-D】
図1-E】
図2
図3