(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-115213(P2015-115213A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】ケーブル嵌合コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 4/48 20060101AFI20150526BHJP
H01R 12/57 20110101ALI20150526BHJP
【FI】
H01R4/48 A
H01R12/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-256868(P2013-256868)
(22)【出願日】2013年12月12日
(71)【出願人】
【識別番号】513314171
【氏名又は名称】宏致電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACES ELECTRONICS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】林 耕司
【テーマコード(参考)】
5E123
【Fターム(参考)】
5E123AB20
5E123AB43
5E123BA06
5E123BA07
5E123BB01
5E123BB12
5E123CB22
5E123CB31
5E123CB38
5E123CD01
5E123DB09
5E123DB11
5E123EA27
(57)【要約】
【課題】製造コストを低減でき、長期間強い嵌合力を維持することができるケーブル嵌合コネクタを提供する。
【解決手段】平板状の基底部20と、前記基底部の一端部から立上がる立上部22と、前記立上部の上端に続く屈曲部24を有し、前記立上部にワイヤーが貫通する貫通口が形成され、前記屈曲部は先端部24cが前記基底部の表面に近接または接触するように屈曲した少なくとも1つのコンタクト10,12と、内部に収容部14を有し前記貫通口が露出した状態で、前記収容部に前記少なくとも1つのコンタクトを収容する筐体4を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基底部と、前記基底部の一端部から立上がる立上部と、前記立上部の上端に続く屈曲部を有し、前記立上部にワイヤーが貫通する貫通口が形成され、前記屈曲部は先端部が前記基底部の上面に近接または接触するように屈曲した少なくとも1つのコンタクトと、
内部に収容部を有し前記貫通口が露出した状態で、前記収容部に前記少なくとも1つのコンタクトを収容する筐体と、
を備えることを特徴とするケーブル嵌合コネクタ。
【請求項2】
前記コンタクトは、前記屈曲部が前記収容部の内壁に接触しない状態で収容されていることを特徴とする請求項1記載のケーブル嵌合コネクタ。
【請求項3】
前記屈曲部は、前記立上部の上端から前記基底部の他端部の方向に延びる上面部と、前記上面部の端部から前記立上部側に屈折し、更に前記基底部の前記他端部の方向に屈折する屈折部とを備えることを特徴とする請求項1または2記載のケーブル嵌合コネクタ。
【請求項4】
前記基底部には、幅方向に延びる少なくとも1つの凸部が形成され、前記屈曲部の前記先端部は、前記少なくとも1つの凸部の近傍の前記基底部の上面に近接または接触することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のケーブル嵌合コネクタ。
【請求項5】
前記基底部は、前記一端部に形成された第1基板接続端子と、前記他端部に形成された第2基板接続端子とを備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のケーブル嵌合コネクタ。
【請求項6】
前記第1基板接続端子は、その上面が前記基底部の上面よりも下側に位置するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載のケーブル嵌合コネクタ。
【請求項7】
前記コンタクトは、金属製の板状部材をプレス加工することにより形成されることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のケーブル嵌合コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを嵌合するケーブル嵌合コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーブルを嵌合し基板に接続するケーブル嵌合コネクタが存在する(特許文献1参照)。このケーブル嵌合コネクタにおいては、樹脂製のハウジング内に形成された収容部に配置されたコンタクトの一部を、収容部の内壁に押し当ててコンタクトによるケーブルの嵌合力を強化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 7,780,468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のケーブル嵌合コネクタにおいては、コンタクトの一部を樹脂製のハウジングの内壁に押し当てることにより、コンタクトによるケーブルの嵌合力を強化しているため、長期間使用する場合には、樹脂製のハウジングの経年劣化により当初の嵌合力を維持することができなくなる虞がある。またケーブルを嵌合するコンタクトと、ケーブルを基板に接続するコンタクトを別部品により形成する場合があり、この場合には製造コストの増大を招いていた。
【0005】
本発明の目的は、製造コストを低減でき、長期間強い嵌合力を維持することができるケーブル嵌合コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のケーブル嵌合コネクタは、平板状の基底部と、前記基底部の一端部から立上がる立上部と、前記立上部の上端に続く屈曲部を有し、前記立上部にワイヤーが貫通する貫通口が形成され、前記屈曲部は先端部が前記基底部の表面に近接または接触するように屈曲した少なくとも1つのコンタクトと、内部に収容部を有し前記貫通口が露出した状態で、前記収容部に前記少なくとも1つのコンタクトを収容する筐体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、製造コストを低減でき、長期間強い嵌合力を維持することができるケーブル嵌合コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係るケーブル嵌合コネクタの斜視図である。
【
図2】実施の形態に係るケーブル嵌合コネクタの断面図(
図1に示すA−A断面図)である。
【
図3】実施の形態に係るケーブル嵌合コネクタ内に設けられているコンタクトの斜視図である。
【
図4】実施の形態に係るコンタクトの斜視図である。
【
図5】実施の形態に係るケーブル嵌合コネクタにケーブルを嵌合した状態を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態に係るコンタクトにケーブルを嵌合した状態を示す断面図(
図5に示すB−B断面図)である。
【
図7】実施の形態に係るコンタクトにケーブルを嵌合した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係るケーブル嵌合コネクタについて説明する。
図1は実施の形態に係るケーブル嵌合コネクタの斜視図である。
図1に示すように、ケーブル嵌合コネクタ2は、略直方体形状を有する樹脂製の筐体4を有している。筐体4の長手方向の一方の端面の下端部には、ケーブルの先端部を挿入する半円形状の挿入口6,8が形成されている。
【0010】
図2は、
図1に示すA−A断面図である。
図2に示すように、筐体4の内部には、コンタクト10,12を収容する収容部14が形成されている。
図3は、収容部14内に併設されているコンタクト10,12の斜視図である。ここでコンタクト10,12は、金属製の板状部材をプレス加工することにより形成されたものであり、コンタクト12の形状は、コンタクト10の形状と同一であるため、コンタクト10のみについて形状の説明を行う。
【0011】
図4に示すように、コンタクト10は、平板状の基底部20と、基底部20の一端部から立上がる立上部22と、立上部22の上端に続く屈曲部24を有している。立上部22にはワイヤー40(
図5参照)が貫通する矩形状の貫通口26が形成されている。屈曲部24は、立上部22の上端から基底部20の他端部の方向に延びる上面部24aと、上面部24aの端部から立上部側に屈折し、更に基底部20の他端部の方向に屈折する屈折部24bとを備えている。また基底部20には、幅方向に延びる2つの凸部20aが形成され、屈曲部24の先端部24cは、2つの凸部20aの間において基底部20の上面に近接または接触している。
【0012】
また基底部20は、一端部の貫通口26の下部に形成され基底部20の長手方向に延びる第1基板接続端子28と、他端部に形成され基底部20の長手方向に延びる第2基板接続端子30とを備えている。ここで第1基板接続端子28は、プレス加工によりコンタクト10を形成する際に、貫通口26を形成するために打ち抜いた板状部材の領域により形成されており、第1基板接続端子28の上面は、基底部20の上面よりも下側に位置するように形成されている。また第2基板接続端子30の上面も基底部20の上面よりも下側に位置するように形成されている。なお、第1基板接続端子28及び第2基板接続端子30の下面は基板に接続される。
【0013】
コンタクト10,12は、筐体4の内部に形成された収容部14に、貫通口26を挿入口6,8に対向させ、筐体4から貫通口26を露出させ、更に第1基板接続端子28及び第2基板接続端子30を筐体4から露出させて収容されている。またコンタクト10,12は、屈曲部24が収容部14の内壁に接触しない状態で収容されている
図5は、実施の形態に係るケーブル嵌合コネクタ2にケーブル40を嵌合した状態を示す斜視図であり、
図6は、
図5に示すB−B断面図であり、
図7は、コンタクト10にケーブル40を嵌合した状態を示す斜視図である。なお、コンタクト12の形状は、コンタクト10の形状と同一であるため、
図7においては、コンタクト10のみを図示している。
【0014】
ケーブル嵌合コネクタ2の筐体4に形成されている挿入口6,8からケーブル40の先端部を挿入して押し込むと、ケーブル40の先端部がコンタクト10,12の貫通口26を貫通し、コンタクト10,12の屈曲部24を押し上げ、屈曲部24の先端部24cと基底部20の上面の間に進入する。この場合に屈曲部24の弾性力によりケーブル40の先端部が屈曲部24の先端部24cと基底部20の上面の2つの凸部20aにおいて確実に嵌合される。
【0015】
本実施の形態に係るケーブル嵌合コネクタ2によれば、一部品により形成されたコンタクト10,12により、ケーブル40を嵌合するとともに、第1基板接続端子28及び第2基板接続端子30により基板との接続を行うため、製造コストの低減を図ることができる。またコンタクトの嵌合力をコンタクト10,12の形状、即ち屈曲部24の形状により得ていることから、樹脂製の筐体の内壁にコンタクトの一部を押し当てることにより、コンタクトの嵌合力を強化している場合と異なり、長期間にわたって強力な嵌合力を維持することができる。
【0016】
また、第1基板接続端子28は、その上面が基底部20の上面よりも下側に位置するように形成されているため、第1基板接続端子28がケーブル40の挿入の妨げにならない。
【0017】
なお、上述の実施の形態においては、筺体4内に2つのコンタクト10,12を併設し
ているが、1つのコンタクトを設けてもよいし、または3つ以上のコンタクトを併設するようにしてもよい。
【0018】
また、上述の実施の形態に係るケーブル嵌合コネクタ2にケーブル40の先端部を嵌合し、第2基板接続端子30に他のケーブルの端部を半田付けして使用してもよい。
【符号の説明】
【0019】
2…ケーブル嵌合コネクタ、4…筐体、6,8…挿入口、10,12…コンタクト、14…収容部、20…基底部、22…立上部、24…屈曲部、26…貫通口、28…第1基板接続端子、30…第2基板接続端子、40…ケーブル