【課題】導電ワイヤーケーブル(100)の端部に取り付けられるように構成され、ケーブル(100)を取り囲む絶縁ジャケット(126)を有する電気端子(128)を提供すること。
【解決手段】電気端子(128)は、絶縁ジャケット(126)に貫入するように構成された尖った端部を有するプロング(182)を画定し、それによって導電ワイヤーケーブル(100)の長手方向軸線(A)周りの電気端子(128)の回転を阻止する。電気端子(128)は、電気コネクタ本体(192)の空胴(198)内のロック縁部(216)に係合するように構成された突出する三角形状のロックタング(204)を画定することができ、それによって空胴(198)からの電気端子(128)の取外しを阻止する。
ワイヤーケーブル(100)の端部に取り付けられるように構成され、前記導電ワイヤーケーブル(100)を少なくとも部分的に取り囲む絶縁ジャケット(126)を有する電気端子(128)であって、
対応する、嵌合する端子(130)に取り付けられるように構成された接続部分と、
前記ワイヤーケーブル(100)の前記端部に取り付けられるように構成された取付け部分(180)と、を備え、前記取付け部分(180)が、前記絶縁ジャケット(126)に貫入するように構成された尖った端部を有するプロング(182)を画定し、これにより前記導電ワイヤーケーブル(100)の長手方向軸線(A)周りの前記電気端子(128)の回転を阻止する、電気端子(128)。
前記ワイヤーケーブル(100)が、内部絶縁体(112)によって取り囲まれた導体(102)と、前記内部絶縁体(112)を長手方向に取り囲むシールド導体(124)とを含む、請求項1に記載の電気端子(128)。
前記プロング(182)の前記端部が、前記シールド導体(124)および前記内部絶縁体(112)に貫入するが、前記導体(102)に接触しない、請求項2に記載の電気端子(128)。
前記シュラウドが、前記第2の電気端子(130)と前記導体(102)との間の接続部の位置近傍にエンボス部分(184)を画定し、前記エンボス部分(184)が、前記接続部と前記シュラウドとの間の距離を増大させ、これにより前記接続部と前記シュラウドとの間の容量結合を低減させる、請求項4に記載の電気端子(128)。
前記電気端子(128)が、電気コネクタ本体(192)の空胴(198)内に配置されるように構成され、前記電気端子(128)が、前記電気端子(128)から突出する三角形状のロックタング(204)を画定し、前記三角形状のロックタング(204)が、前記空胴(198)内のロック縁部(216)に係合するように構成され、これにより前記空胴(198)からの前記電気端子(128)の取外しを阻止する、請求項2から5のいずれか一項に記載の電気端子(128)。
前記三角形状のロックタング(204)が、前記電気端子(128)に取り付けられた第1の固定縁部と、前記電気端子(128)に取り付けられず、前記電気端子(128)の長手方向軸線(A)に対して鋭角を画定する第2の自由縁部(206)と、前記電気端子(128)に取り付けられず、前記長手方向軸線(A)に対して実質的に垂直である第3の自由縁部(208)とを含み、前記第2の自由縁部(206)および前記第3の自由縁部(208)が、前記電気端子(128)から突出する、請求項6に記載の電気端子(128)。
ワイヤーケーブル(100)の端部に取り付けられるように構成され、電気コネクタ本体(192)の空胴(198)内に配置されるように構成された電気端子(128)であって、
対応する、嵌合する端子(130)に取り付けられるように構成された接続部分と、
前記ワイヤーケーブル(100)の前記端部に取り付けられるように構成された取付け部分(180)と、を備え、前記取付け部分(180)が、前記電気端子(128)から突出する三角形状のロックタング(204)を画定し、前記三角形状のロックタング(204)が、前記空胴(198)内のロック縁部(216)に係合するように構成され、これにより前記空胴(198)からの前記電気端子(128)の取外しを阻止する、電気端子(128)。
前記三角形状のロックタング(204)が、前記電気端子(128)に取り付けられた第1の固定縁部と、前記電気端子(128)に取り付けられず、前記電気端子(128)の長手方向軸線(A)に対して鋭角を画定する第2の自由縁部(206)と、前記電気端子(128)に取り付けられず、前記長手方向軸線(A)に対して実質的に垂直である第3の自由縁部(208)とを含み、前記第2の自由縁部(206)および前記第3の自由縁部(208)が、前記電気端子(128)から突出する、請求項8に記載の電気端子(128)。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0010]一実施形態による撚線導体を有するワイヤーケーブルアセンブリのワイヤーケーブルの斜視切欠図である。
【
図2】[0011]一実施形態による
図1のワイヤーケーブルの横断面図である。
【
図3】[0012]一実施形態による
図1のワイヤーケーブルの捩じれ長さを示すワイヤーケーブルの部分切欠図である。
【
図4】[0013]別の実施形態によるソリッド導体を有するワイヤーケーブルアセンブリのワイヤーケーブルの斜視切欠図である。
【
図5】[0014]別の実施形態による
図4のワイヤーケーブルの横断面図である。
【
図6】[0015]さらに別の実施形態によるソリッドドレインワイヤーを有するワイヤーケーブルアセンブリのワイヤーケーブルの斜視切欠図である。
【
図7】[0016]さらに別の実施形態による
図6のワイヤーケーブルの横断面図である。
【
図8】[0017]さらに別の実施形態による
図6のワイヤーケーブルの横断面図である。
【
図9】[0018]いくつかの高速デジタル伝送規格の信号の立上り時間および所望のケーブルインピーダンスを示す表である。
【
図10】[0019]いくつかの実施形態による
図1〜7のワイヤーケーブルの様々な性能特性を示す表である。
【
図11】[0020]いくつかの実施形態による
図1〜7のワイヤーケーブルの差分挿入損失と信号周波数の関係を示すグラフである。
【
図12】[0021]一実施形態によるワイヤーケーブルアセンブリの分解斜視図である。
【
図13】[0022]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリの構成要素のサブセット(subset)の分解斜視図である。
【
図14】[0023]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリのレセプタクル端子およびプラグ端子の斜視図である。
【
図15】[0024]一実施形態によるキャリアストリップに収容された
図12のワイヤーケーブルアセンブリのレセプタクル端子の斜視図である。
【
図16】[0025]一実施形態によるレセプタクル端子ホルダ内に包まれた
図15のレセプタクル端子アセンブリの斜視図である。
【
図17】[0026]一実施形態によるレセプタクル端子カバーを含む
図16のレセプタクル端子アセンブリの斜視図である。
【
図18】[0027]一実施形態による
図13のワイヤーケーブルアセンブリの斜視組立図である。
【
図19】[0028]一実施形態によるキャリアストリップに収容された
図12のワイヤーケーブルアセンブリのプラグ端子の斜視図である。
【
図20】[0029]一実施形態によるプラグ端子ホルダ内に包まれた
図19のプラグ端子アセンブリの斜視図である。
【
図21】[0030]一実施形態による
図13のワイヤーケーブルアセンブリのプラグコネクタシールドの半体の斜視図である。
【
図22】[0031]一実施形態による
図13のワイヤーケーブルアセンブリのプラグコネクタシールドのもう1つの半体の斜視図である。
【
図23】[0032]一実施形態による
図13のワイヤーケーブルアセンブリのレセプタクルコネクタシールドの半体の斜視図である。
【
図24】[0033]一実施形態による
図13のワイヤーケーブルアセンブリのレセプタクルコネクタシールドのもう1つの半体の斜視図である。
【
図25】[0034]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリのプラグコネクタの斜視図である。
【
図26】[0035]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリのレセプタクルコネクタ本体の横断面図である。
【
図27】[0036]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリのレセプタクルコネクタの斜視図である。
【
図28】[0037]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリのレセプタクルコネクタ本体の斜視図である。
【
図29】[0038]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリのプラグコネクタ本体の斜視図である。
【
図30】[0039]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリのプラグコネクタの横断面図である。
【
図31】[0040]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリの斜視図である。
【
図32】[0041]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリの代替斜視図である。
【
図33】[0042]一実施形態による
図12のワイヤーケーブルアセンブリの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0043]USB3.0とHDMI(登録商標)1.3の両方の性能仕様に対応するために最高5ギガビット/秒(Gb/s)(50億ビット/秒)の速度でデジタル信号を搬送することが可能なワイヤーケーブルアセンブリが、本明細書に提示されている。ワイヤーケーブルアセンブリは、1対の導体(ワイヤーペア)を有するワイヤーケーブルと、ワイヤーペアを電磁干渉から絶縁してケーブルの特性インピーダンスを決定するための導電シートおよび編組導体とを含む。ワイヤーペアは、ワイヤーペアとシールドとの間で一貫した径方向の距離を提供するのを助ける誘電体ベルト内に包まれる。ベルトはまた、捩じられた場合にワイヤーペア間の一貫した捩じれ角度を維持するのを助けることができる。ワイヤーペアとシールドとの間の一貫した径方向の距離および一貫した捩じれ角度は、ワイヤーケーブルに、より一貫したインピーダンスを提供する。ワイヤーケーブルアセンブリはまた、ワイヤーペアに接続されたプラグ端子の鏡像の(mirrored)対を有する電気プラグコネクタ、および/またはプラグコネクタのプラグ端子に嵌合するように構成されたワイヤーペアに接続されたレセプタクル端子の鏡像の対を有する電気レセプタクルコネクタを含むことができる。レセプタクル端子およびプラグ端子はそれぞれ、略矩形の横断面を有し、第1の電気コネクタと第2の電気コネクタが嵌合されたとき、レセプタクル端子の大きい方の幅(換言すれば、主幅)が、プラグ端子の主幅に対して実質上垂直になり、レセプタクル端子とプラグ端子との間の接点は、レセプタクル端子およびプラグ端子の外側に位置する。レセプタクルコネクタとプラグコネクタはどちらも、レセプタクル端子またはプラグ端子を長手方向に取り囲んでワイヤーケーブルの編組導体に接続されたシールドを含む。ワイヤーケーブルアセンブリはまた、レセプタクル端子またはプラグ端子およびシールドを収容する絶縁コネクタ本体を含むことができる。
【0013】
[0044]
図1および
図2は、ワイヤーケーブルアセンブリ内で使用されるワイヤーケーブル100aの非限定的な例を示す。ワイヤーケーブル100aは、以下第1の導体102aと呼ぶ第1の内部導体と、以下第2の導体104aと呼ぶ第2の内部導体とを備える、1対の中心導体を含む。第1の導体102aおよび第2の導体104aは、めっきされていない銅または銀めっきされた銅など、優れた導電性を有する導電材料から形成される。本明細書では、銅は、元素の銅または銅ベースの合金を指す。さらに、本明細書では、銀は、元素の銀または銀ベースの合金を指す。銅および銀めっきされた銅の導体の設計、構造、および供給源は、当業者にはよく知られている。
図1および
図2に示す例では、ワイヤーケーブル100a内の第1の導体102aおよび第2の導体104aはそれぞれ、7本の撚線106からなることができる。第1の導体102aおよび第2の導体104aの撚線106はそれぞれ、0.12ミリメートル(mm)の直径を有することを特徴とすることができ、これは、米国ワイヤーゲージ規格(AWG)で第28番ワイヤーとほぼ同等である。別法として、第1の導体102aおよび第2の導体104aは、30AWGまたは32AWGなどのより小さいゲージを有する撚線ワイヤーから形成することもできる。
【0014】
[0045]
図2に示すように、中心の1対の第1の導体102aおよび第2の導体104aは、長さLにわたって、たとえば8.89mmに1回ずつ長手方向に捩じられる。第1の導体102aおよび第2の導体104aを捩じることで、この中心の対によって搬送される信号の低周波の電磁干渉を低減させるという利益が提供される。しかし、本発明者らは、第1の導体102aと第2の導体104aが互いに捩じれていないワイヤーケーブルでも十分な信号伝送性能を提供することができることを見出した。第1の導体102aおよび第2の導体104aを捩じらないことで、捩じり工程をなくすことによって、ワイヤーケーブルの製造コストを低減させるという利益を提供することができる。
【0015】
[0046]
図1および
図2をもう一度参照すると、第1の導体102aおよび第2の導体104aはそれぞれ、それぞれの第1の誘電体絶縁体および第2の誘電体絶縁体内に密閉される。以下、これらの絶縁体を、第1の絶縁体108および第2の絶縁体110と呼ぶ。第1の絶縁体108と第2の絶縁体110は、ともに接合される。第1の絶縁体108および第2の絶縁体110は、ワイヤーケーブル100aを終端させるためにケーブルの端部で取り除かれる部分を除いて、ワイヤーケーブル100aの長さ全体に及ぶ。第1の絶縁体108および第2の絶縁体110は、ポリプロピレンなどの可撓性の誘電体材料から形成される。第1の絶縁体108および第2の絶縁体110は、約0.85mmの厚さを有することを特徴とすることができる。
【0016】
[0047]第1の絶縁体108を第2の絶縁体110に接合することで、第1の導体102aと第2の導体104aとの間の間隔を維持するのを助ける。またそれにより、第1の導体102aと第2の導体104aが捩じられたときに、第1の導体102aと第2の導体104aとの間の捩じれ角度Θ(
図3参照)を一貫して保つことができる。絶縁体が接合された1対の導体を製造するのに必要とされる方法は、当業者にはよく知られている。
【0017】
[0048]第1の導体102aおよび第2の導体104aならびに第1の絶縁体108および第2の絶縁体110は、ワイヤーケーブル100aを終端させるためにケーブルの端部で取り除かれる部分を除いて、第3の誘電体絶縁体内に完全に密閉される。以下、第3の誘電体絶縁体をベルト112と呼ぶ。第1の絶縁体108および第2の絶縁体110ならびにベルト112は、誘電体構造113をともに形成する。
【0018】
[0049]ベルト112は、ポリエチレンなどの可撓性の誘電体材料から形成される。
図2に示すように、ベルトは、2.22mmの直径Dを有することを特徴とすることができる。第1の絶縁体108および第2の絶縁体110の端部を第1の導体102aおよび第2の導体104aから剥ぎ取ってワイヤーケーブル100aの終端を形成するとき、第1の絶縁体108および第2の絶縁体110からのベルト112の取外しを容易にするために、接合された第1の絶縁体108および第2の絶縁体110の外側表面に、タルクベースの粉末などの剥離剤114を塗布することができる。
【0019】
[0050]ベルト112は、ワイヤーケーブル100aを終端させるためにケーブルの端部で取り除くことができる部分を除いて、導電シート内に完全に密閉される。以下、この導電シートを、内部シールド116と呼ぶ。内部シールド116は、ベルト112の周りに単層として長手方向に巻かれており、したがって、中心の1対の第1の導体102aおよび第2の導体104aに対して略平行に延びる単一のシーム118を形成する。内部シールド116は、ベルト112の周りに渦巻き状または螺旋状に巻かれるのではない。内部シールド116のシーム縁部は重なり合うことができ、したがって内部シールド116は、ベルト112の外側表面の少なくとも100パーセントを覆う。内部シールド116は、アルミニウム処理を施した二軸延伸PETフィルムなどの可撓性の導電材料から形成される。二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、MYLARという商標で一般に知られており、以下、アルミニウム処理を施した二軸延伸PETフィルムを、アルミニウム処理を施したMYLARフィルムと呼ぶ。アルミニウム処理を施したMYLARフィルムは、主表面の一方のみに施された導電性のアルミニウム被覆を有し、他方の主表面は、アルミニウム処理が施されておらず、したがって導電性をもたない。片側にアルミニウム処理を施したMYLARフィルムの設計、構造、および供給源は、当業者にはよく知られている。内部シールド116のうち、アルミニウム処理が施されていない表面は、ベルト112の外側表面に接触する。内部シールド116は、0.04mm以下の厚さを有することを特徴とすることができる。
【0020】
[0051]ベルト112は、第1の導体102aおよび第2の導体104aと内部シールド116との間で一貫した径方向の距離を維持するという利点を提供する。ベルト112は、第1の導体102aおよび第2の導体104aの捩じれ角度Θを一貫して保つという利点をさらに提供する。従来技術に見られる遮蔽ツイストペアケーブルには、典型的に、撚対線とシールドとの間の誘電体として空気しかない。第1の導体102aおよび第2の導体104aと内部シールド116との間の距離、ならびに第1の導体102aおよび第2の導体104aの有効捩じれ角度Θの両方が、ワイヤーケーブルのインピーダンスに影響を及ぼす。したがって、第1の導体102aおよび第2の導体104aと内部シールド116との間でより一貫した径方向の距離を有するワイヤーケーブルが、より一貫したインピーダンスを提供する。また、第1の導体102aおよび第2の導体104aの捩じれ角度Θがより一貫していることで、より一貫したインピーダンスが提供される。
【0021】
[0052]別法として、第1の絶縁体と第2の絶縁体との間で一貫した横方向の距離を維持し、第1の絶縁体および第2の絶縁体と内部シールドとの間で一貫した径方向の距離を維持するように、第1の絶縁体および第2の絶縁体を包む単一の誘電体構造を組み込むワイヤーケーブルを考えることもできる。この誘電体構造もまた、第1の導体および第2の導体の捩じれ角度Θを一貫して保つことができる。
【0022】
[0053]
図1および
図2に示すように、ワイヤーケーブル100aは追加として、内部シールド116の外側に配置された接地導体を含む。以下、この接地導体を、ドレインワイヤー120aと呼ぶ。ドレインワイヤー120aは、第1の導体102aおよび第2の導体104aに対して略平行に延び、内部シールド116のアルミニウム処理を施した外側表面に密接に接触し、または少なくとも電気的に連通する。
図1および
図2の例では、ワイヤーケーブル100aのドレインワイヤー120aは、7本の撚線122からなることができる。ドレインワイヤー120aの撚線122はそれぞれ、0.12mmの直径を有することを特徴とすることができ、これは、28AWGの撚線ワイヤーと概して同等である。別法として、ドレインワイヤー120aは、30AWGまたは32AWGなどのより小さいゲージを有する撚線ワイヤーから形成することもできる。ドレインワイヤー120aは、めっきされていない銅ワイヤーまたはスズめっきされた銅ワイヤーなどの導電ワイヤーから形成される。銅およびスズめっきされた銅の導体の設計、構造、および供給源は、当業者にはよく知られている。
【0023】
[0054]
図1および
図2に示すように、ワイヤーケーブル100aは、ワイヤーケーブル100aを終端させるためにケーブルの端部で取り除くことができる部分を除いて、内部シールド116およびドレインワイヤー120aを密閉するために、編組ワイヤー導体をさらに含む。以下、この編組ワイヤー導体を、外部シールド124と呼ぶ。外部シールド124は、銅またはスズめっきされた銅など、複数の布状の導体から形成される。本明細書では、スズは、元素のスズまたはスズベースの合金を指す。そのような外部シールドを提供するために使用される編組導体の設計、構造、および供給源は、当業者にはよく知られている。外部シールド124は、内部シールド116とドレインワイヤー120aの両方に密接に接触し、または少なくとも電気的に連通する。外部シールド124を形成するワイヤーは、内部シールド116の外側表面の少なくとも65パーセントに接触することができる。外部シールド124は、0.30mm以下の厚さを有することを特徴とすることができる。
【0024】
[0055]
図1および
図2に示すワイヤーケーブル100aは、外部誘電体絶縁体をさらに含む。以下、この外部誘電体絶縁体を、ジャケット126と呼ぶ。ジャケット126は、ワイヤーケーブル100aを終端させるためにケーブルの端部で取り除くことができる部分を除いて、外部シールド124を密閉する。ジャケット126は、ワイヤーケーブル100aに対して電気絶縁と環境保護の両方を提供する外部絶縁層を形成する。ジャケット126は、架橋結合ポリエチレンなどの可撓性の誘電体材料から形成される。ジャケット126は、約0.1mmの厚さを有することを特徴とすることができる。
【0025】
[0056]ワイヤーケーブル100aは、内部シールド116がベルト112に密着し、外部シールド124がドレインワイヤー120aおよび内部シールド116に固定され、ジャケット126が外部シールド124に固定され、したがってこれらの要素間の空隙の形成が最小または小型になるように構築される。これにより、ワイヤーケーブル100aに改善された透磁性が提供される。
【0026】
[0057]ワイヤーケーブル100aは、95オームの特性インピーダンスを有することを特徴とすることができる。
【0027】
[0058]
図4および
図5は、電気デジタルデータ信号を伝送するワイヤーケーブル100bの別の非限定的な例を示す。
図4および
図5に示すワイヤーケーブル100bは、第1の導体102bおよび第2の導体104bがそれぞれ、裸の(めっきされていない)銅ワイヤーまたは銀めっきされた銅ワイヤーなどのソリッドワイヤー導体を備えることを除いて、
図1および
図2に示すワイヤーケーブル100aと同一の構造であり、このソリッドワイヤー導体は約0.321立方ミリメートル(mm
2)の横断面を有し、これは、28AWGのソリッドワイヤーと概して同等である。別法として、第1の導体102bおよび第2の導体104bは、30AWGまたは32AWGなどのより小さいゲージを有するソリッドワイヤーから形成することもできる。ワイヤーケーブル100bは、95オームのインピーダンスを有することを特徴とすることができる。
【0028】
[0059]
図6および
図7は、電気デジタルデータ信号を伝送するワイヤーケーブル100cの別の非限定的な例を示す。
図6および
図7に示すワイヤーケーブル100cは、ドレインワイヤー120bが、めっきされていない銅の導体、スズめっきされた銅の導体、または銀めっきされた銅の導体などのソリッドワイヤー導体を備えることを除いて、
図4および
図5に示すワイヤーケーブル100bと同一の構造であり、このソリッドワイヤー導体は約0.321mm
2の横断面を有し、これは、28AWGのソリッドワイヤーと概して同等である。別法として、ドレインワイヤー120bは、30AWGまたは32AWGなどのより小さいゲージを有するソリッドワイヤーから形成することもできる。ワイヤーケーブル100cは、95オームのインピーダンスを有することを特徴とすることができる。
【0029】
[0060]
図8は、電気デジタルデータ信号を伝送するワイヤーケーブル100dのさらに別の非限定的な例を示す。
図8に示すワイヤーケーブル100dは、
図1〜7に示すワイヤーケーブル100a、100b、100cと類似の構造であるが、ワイヤーケーブル100dは、複数対の第1の導体102bおよび第2の導体104bを含む。ベルト112はまた、複数のワイヤーペア導体を有するワイヤーケーブルに対する従来技術に見られるワイヤーペアの分離を維持するためのスペーサの必要をなくす。
図8に示す例は、ソリッドワイヤー導体102b、104b、および120bを含む。しかし、代替実施形態は、撚線ワイヤー102a、104a、および120aを含むことができる。
【0030】
[0061]
図9は、USB3.0およびHDMI(登録商標)1.3の性能仕様に対する信号立上り時間(ピコ秒(ps)単位)および差分インピーダンス(オーム(Ω)単位)の要件を示す。
図9はまた、USB3.0とHDMI(登録商標)1.3の両方の規格を同時に満たすことが可能なワイヤーケーブルに対する要件の組合せを示す。ワイヤーケーブル100a〜100cは、
図9に示すUSB3.0およびHDMI(登録商標)1.3の信号立上り時間および差分インピーダンス要件の組合せを満たすことが予期される。
【0031】
[0062]
図10は、0〜7500MHz(7.5GHz)の信号周波数範囲にわたってワイヤーケーブル100a〜100cに予期される差分インピーダンスを示す。
【0032】
[0063]
図11は、0〜7500MHz(7.5GHz)の信号周波数範囲にわたって7mの長さを有するワイヤーケーブル100a〜100cに対して予期される挿入損失を示す。
【0033】
[0064]したがって、
図10および
図11に示すように、最高7メートルの長さを有するワイヤーケーブル100a〜100cは、最高5ギガビット/秒の速度および20dB未満の挿入損失でデジタルデータを伝送することが可能であることが予期される。
【0034】
[0065]
図12の非限定的な例に示すように、ワイヤーケーブルアセンブリはまた、電気コネクタを含む。このコネクタは、レセプタクルコネクタ128、またはレセプタクルコネクタ128を受け入れるように構成されたプラグコネクタ130とすることができる。
【0035】
[0066]
図13に示すように、レセプタクルコネクタ128は、2つの端子、すなわちワイヤーケーブル100の第1の内部導体102に接続される第1のレセプタクル端子132と、第2の内部導体(斜視図のため図示せず)に接続される第2のレセプタクル端子134とを含む。
図14に示すように、第1のレセプタクル端子132は、略方形の横断面を有する第1の片持ち梁部分136を含み、第1の片持ち梁部分136は、第1の片持ち梁部分136の自由端部付近で第1の片持ち梁部分136から垂れ下がる凸状の第1の接点138を画定する。第2のレセプタクル端子134はまた、略方形の横断面を有する類似の第2の片持ち梁部分140を含み、第2の片持ち梁部分140は、第2の片持ち梁部分140の自由端部付近で第2の片持ち梁部分140から垂れ下がる凸状の第2の接点142を画定する。第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134はそれぞれ、ワイヤーケーブル100の内部導体の端部を受け取って第1の内部導体102および第2の内部導体104を第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134に取り付けるための表面を提供するように構成された取付け部分144を備える。
図14に示すように、取付け部分144は、L字形状を画定する。第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134は、長手方向軸Aに対して左右対称性を有して長手方向軸Aおよび互いに対して実質上平行である鏡像の(mirrored)端子対を形成する。図示の実施形態では、第1の片持ち梁部分136と第2の片持ち梁部分140との間の距離は、中心から中心まで2.85mmである。
【0036】
[0067]
図15に示すように、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134は、導電材料シートからスタンピング処理によって形成され、スタンピング処理では、このシートを切断して曲げ、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134を形成する。スタンピング処理はまた、キャリアストリップ(換言すれば、支持ストリップ)146を形成し、キャリアストリップ146に第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134が取り付けられる。第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134は、原料の厚さの少なくとも80%以上のせん断を提供するファインブランキング処理を使用して形成される。これにより、片持ち梁部分の小さい方の縁部上により平滑な表面が提供され、レセプタクルコネクタ128とプラグコネクタ130との間で接続による摩耗を低減させる接点が提供される。次いで、後の形成動作において、取付け部分144がL字状に曲げられる。
【0037】
[0068]
図16に示すように、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134は、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134を部分的に包むレセプタクル端子ホルダ148を形成するインサート成形処理のために、キャリアストリップ146に取り付けられたままである。レセプタクル端子ホルダ148は、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134がキャリアストリップ146から分離された後、第1のレセプタクル端子132と第2のレセプタクル端子134との間の空間関係を維持する。レセプタクル端子ホルダ148はまた、第1の内部導体102および第2の内部導体104がワイヤーケーブル100から第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134の取付け部分144へ移行する際に、第1の内部導体102と第2の内部導体104との間で一貫した間隔を維持するのを助ける1対のワイヤー案内チャネル150を画定する。レセプタクル端子ホルダ148は、液晶ポリマーなどの誘電体材料から形成される。この材料は、ポリアミドまたはポリブチレンテレフタレートなどの他のエンジニアリングプラスチックに比べて、成形、加工、および電気誘電体特性において、性能上の利点を提供する。
【0038】
[0069]
図17に示すように、キャリアストリップ146の一部分が取り除かれ、次いで、レセプタクル端子カバー152がレセプタクル端子ホルダ148に取り付けられる。レセプタクル端子カバー152は、レセプタクルコネクタ128が取り扱われている間、及びプラグコネクタ130がレセプタクルコネクタ128と接続または切断されているとき、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134を屈曲から保護するように構成される。レセプタクル端子カバー152は、プラグコネクタ130がレセプタクルコネクタ128に接続されるときに第1の片持ち梁部分136および第2の片持ち梁部分140が曲がることを可能にする1対の溝154を画定する。レセプタクル端子カバー152はまた、レセプタクル端子ホルダ148と同じ液晶ポリマー材料から形成することができるが、別法として、他の誘電体材料を使用することもできる。レセプタクル端子カバー152は、細長いスロット156を画定し、スロット156は、レセプタクル端子ホルダ148によって画定された細長いポスト158に嵌合される。レセプタクル端子カバー152は、ポスト158をスロット156内に超音波溶接することによって、レセプタクル端子ホルダ148に接合される。別法として、レセプタクル端子ホルダ148をレセプタクル端子カバー152につなぐ他の手段を用いることもできる。
【0039】
[0070]キャリアストリップ146の残り部分を第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134から取り除いてから、第1の内部導体102および第2の内部導体104を第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134に取り付ける。
【0040】
[0071]
図18に示すように、第1の内部導体102および第2の内部導体104は、超音波溶接処理を使用して、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134の取付け部分144に取り付けられる。導体を端子に音波で溶接することで、はんだ付けなどの他のつなぎ処理より導体と端子との間の接合部の質量の良好な制御が可能になり、したがって、導体と端子との間の接合部に関連する静電容量に関して良好な制御が提供される。またこれにより、はんだを使用することによって引き起こされる環境上の問題が回避される。
【0041】
[0072]再び
図13に戻ると、プラグコネクタ130もまた、2つの端子、すなわちワイヤーケーブル100の第1の内部導体102に接続される第1のプラグ端子160と、第2の内部導体(図示せず)に接続される第2のプラグ端子162とを含む。
図14に示すように、第1のプラグ端子160は、略方形の横断面を有する第1の細長い平坦部分164を含む。第2のプラグ端子162もまた、類似の第2の細長い平坦部分166を含む。これらのプラグ端子の平坦部分は、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134の第1の接点138および第2の接点142を受け取ってそれに接触するように構成される。平坦部分の自由端部は、傾斜した形状を有し、それにより、プラグコネクタ130とレセプタクルコネクタ128が嵌合されるとき、嵌合する第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134は、第1の平坦部分164および第2の平坦部分166の自由端部の上に乗り上げることが可能になる。第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162はそれぞれ、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134の取付け部分144と同様に、第1の内部導体102および第2の内部導体104の端部を受け取って第1の内部導体102および第2の内部導体104を第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162に取り付けるための表面を提供するように構成された取付け部分144を備える。
図14に示すように、取付け部分144は、L字形状を画定する。第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162は、長手方向軸Aに対して左右対称性を有して長手方向軸Aおよび互いに対して実質上平行であるミラー端子対を形成する。図示の実施形態では、第1の平坦部分と第2の平坦部分との間の距離は、中心から中心まで2.85mmである。本発明者らは、コンピュータシミュレーションから得られたデータを通して、ミラー状の平行なレセプタクル端子およびプラグ端子が、ワイヤーケーブルアセンブリのインピーダンスおよび挿入損失に強い影響を有することを観察した。
【0042】
[0073]
図19に示すように、プラグ端子は、導電材料シートからスタンピング処理によって形成され、スタンピング処理では、このシートを切断して曲げ、プラグ端子を形成する。スタンピング処理はまた、キャリアストリップ168を形成し、キャリアストリップ168にプラグ端子が取り付けられる。次いで、後の形成動作において、取付け部分144がL字状に曲げられる。
【0043】
[0074]
図20に示すように、プラグ端子は、第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162を部分的に包むプラグ端子ホルダ170を形成するインサート成形処理のために、キャリアストリップ168に取り付けられたままである。プラグ端子ホルダ170は、第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162がキャリアストリップ168から分離された後、第1のプラグ端子160と第2のプラグ端子162との間の空間関係を維持する。プラグ端子ホルダ170は、レセプタクル端子ホルダ148と同様に、第1の内部導体102および第2の内部導体104がワイヤーケーブル100から第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134の取付け部分144へ移行する際に、第1の内部導体102と第2の内部導体104との間で一貫した分離を維持するのを助ける1対のワイヤー案内チャネル150を画定する。プラグ端子ホルダ170は、液晶ポリマーなどの誘電体材料から形成される。
【0044】
[0075]キャリアストリップ168をプラグ端子から取り除いてから、第1の内部導体102および第2の内部導体104を第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162に取り付ける。
【0045】
[0076]
図18に示すように、ワイヤーケーブル100の第1の内部導体102および第2の内部導体104は、超音波溶接処理を使用して、第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162の取付け部分144に取り付けられる。
【0046】
[0077]
図13および
図14に示すように、第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162ならびに第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134は、レセプタクルコネクタ128およびプラグコネクタ130内で、レセプタクルコネクタ128とプラグコネクタ130が嵌合されたときに、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134の主幅(major widths)が、第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162の主幅に対して実質的に垂直になるように向けられる。本明細書では、実質的に垂直とは、主幅が絶対的な垂直の±15°であることを意味する。本発明者らは、第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162と第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134との間のこの向きが、挿入損失に対して強い影響を有することを観察した。また、レセプタクルコネクタ128とプラグコネクタ130が嵌合されたとき、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134は、第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162に重なる。レセプタクルコネクタ128およびプラグコネクタ130は、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134の第1の接点138および第2の接点142のみが、第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162の平坦なブレード部分に接触し、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134と第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162との間に画定される接触面積が、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134と第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162との間で重なり合う面積より小さくなるように構成される。したがって、ワイプ距離と呼ばれこともあるこの接触面積は、端子間の重なりではなく、第1の接点138および第2の接点142の面積によって決まる。したがって、レセプタクル端子およびプラグ端子は、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134の第1の接点138および第2の接点142が、第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162に完全に係合される限り、一定の(換言すれば、不変の)接触面積を提供するという利益を提供する。プラグ端子とレセプタクル端子がミラー対であるため、第1のレセプタクル端子132と第1のプラグ端子160との間の第1の接触面積と、第2のレセプタクル端子134と第2のプラグ端子162との間の第2の接触面積とは、実質的に等しい。本明細書では、実質的に等しいとは、第1の接触面積と第2の接触面積との間の接触面積の差が0.1mm
2未満であることを意味する。本発明者らは、コンピュータシミュレーションから得られたデータを通して、プラグ端子とレセプタクル端子との間の接触面積および第1の接触面積と第2の接触面積との間の差が、ワイヤーケーブルアセンブリの挿入損失に対して強い影響を有することを観察した。
【0047】
[0078]第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162は、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134内に受け取られない。したがって、プラグコネクタ130がレセプタクルコネクタ128に嵌合されたとき、第1の接触面積は、第1のプラグ端子160の外側に位置し、第2の接触面積は、第2のプラグ端子162の外側に位置する。
【0048】
[0079]第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134ならびに第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162は、銅ベースの材料のシートから形成することができる。第1の片持ち梁部分136および第2の片持ち梁部分140ならびに第1の平坦部分164および第2の平坦部分166は、銅/ニッケル/銀ベースのめっきを使用して選択的にめっきすることができる。これらの端子は、5のスキン厚さまでめっきすることができる。第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134ならびに第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162は、レセプタクルコネクタ128およびプラグコネクタ130が約0.4ニュートン(45グラム)という小さい法線方向の挿入力を呈するように構成される。法線方向の力が小さいことで、接続/切断サイクル中にめっきの摩耗を低減させるという利益が提供される。
【0049】
[0080]
図13に示すように、プラグコネクタ130は、ワイヤーケーブル100の外部シールド124に取り付けられるプラグシールド172を含む。プラグシールド172は、第1のプラグ端子160および第2のプラグ端子162ならびにプラグ端子ホルダ170から分離され、これらを長手方向に取り囲む。レセプタクルコネクタ128はまた、ワイヤーケーブル100の外部シールド124に取り付けられるレセプタクルシールド174を含み、レセプタクルシールド174は、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134、レセプタクル端子ホルダ148、ならびにレセプタクル端子カバー152から分離され、これらを長手方向に取り囲む。レセプタクルシールド174およびプラグシールド172は、互いに摺動可能に接触するように構成され、嵌合したとき、取り付けられたワイヤーケーブル100の外部シールド間に電気的導通を提供し、プラグコネクタ128およびレセプタクルコネクタ130に対して電磁遮蔽を提供する。
【0050】
[0081]
図13、
図21、および
図22に示すように、プラグシールド172は、2つの部分から作られる。
図21に示す第1のプラグシールド172Aは、ワイヤーケーブル100を受け取るように構成された取付け部分180に隣接して、2対の圧着ウィング、すなわち導体クリンプウィング176および絶縁体クリンプウィング178を含む。導体クリンプウィング176は、オフセットされたバイパス(bypass)型のクリンプウィングであり、導体クリンプウィング176がワイヤーケーブル100に圧着されたとき、ワイヤーケーブル100の露出した外部シールド124を取り囲むように構成される。ワイヤーケーブル100のドレインワイヤー120aは、ワイヤーケーブル100の外部シールド124と内部シールド116との間に挟まれているため、ドレインワイヤー120aは、第1のプラグシールド172Aが外部シールド124に圧着されたとき、第1のプラグシールド172Aに電気的に結合される。これにより、圧着前にシールドに対してドレインワイヤー120aを方向付けしなくても、プラグシールド172がドレインワイヤー120aに結合されるという利益が提供される。
【0051】
[0082]取付け部分180および導体クリンプウィング176の内部は、第1のプラグシールド172Aとワイヤーケーブル100の外部シールド124との間の電気接続性を改善するように構成された複数の偏菱形の窪みを画定することができる。そのような偏菱形の窪みは、開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,485,853号に記載されている。
【0052】
[0083]絶縁クリンプウィングもまた、オフセットされたバイパス型のウィングであり、プラグシールド172がワイヤーケーブル100に圧着されたとき、ワイヤーケーブル100のジャケット126を取り囲むように構成される。絶縁クリンプウィングはそれぞれ、少なくともワイヤーケーブル100の外部絶縁体に貫入するように構成された尖った端部を有するプロング182をさらに含む。プロング182は、プラグシールド172とワイヤーケーブル100との間に力が印加されたときにプラグシールド172がワイヤーケーブル100から分離されるのを阻止する。プロング182はまた、プラグシールド172がワイヤーケーブル100の長手方向軸Aの周りで回転するのを阻止する。プロング182はまた、ワイヤーケーブル100の外部シールド124、内部シールド116、またはベルト112に貫入することができるが、第1の絶縁体108および第2の絶縁体110には貫入するべきではない。図示の例は2つのプロング182を含むが、第1のプラグシールド172Aによって画定された単一のプロング182のみを使用する本発明の代替実施形態を考えることができる。
【0053】
[0084]第1のプラグシールド172Aは、プラグ端子の取付け部分144と第1の内部導体102および第2の内部導体104との間の接続部近傍に位置するエンボス付き部分184を画定する。エンボス付き部分184により、取付け部分144と第1のプラグシールド172Aとの間の距離が増大し、したがって取付け部分144と第1のプラグシールド172Aとの間の容量結合が低減される。
【0054】
[0085]第1のプラグシールド172Aは、
図22に示す第2のプラグシールド172B内に画定された対応する複数の孔188に連結するように構成された複数の突起218または隆起186をさらに画定する。隆起186は、孔188内へスナップフィットし、したがって第2のプラグシールド172Bを第1のプラグシールド172Aに機械的に固定しかつ電気的に接続するように構成される。
【0055】
[0086]
図13、
図23、および
図24に示すように、レセプタクルシールド174は、同様に、2つの部分から作られる。
図23に示す第1のレセプタクルシールド174Aは、ワイヤーケーブル110を受け取るように構成された取付け部分180に隣接して、2対の圧着ウィング、すなわち導体クリンプウィング176および絶縁体クリンプウィング178を含む。導体クリンプウィング176は、オフセットされたバイパス型のクリンプウィングであり、導体クリンプウィング176がワイヤーケーブル100に圧着されたとき、ワイヤーケーブル100の露出した外部シールド124を取り囲むように構成される。取付け部分144および導体クリンプウィング176の内部は、第1のレセプタクルシールド174Aとワイヤーケーブル100の外部シールド124との間の電気接続性を改善するように構成された複数の偏菱形の窪みを画定することができる。
【0056】
[0087]絶縁クリンプウィングもまた、オフセットされたバイパス型のウィングであり、レセプタクルシールド174がワイヤーケーブル100に圧着されたとき、ワイヤーケーブル100のジャケット126を取り囲むように構成される。絶縁クリンプウィングは、少なくともワイヤーケーブル100の外部絶縁体に貫入するように構成された尖った端部を有するプロング182をさらに含む。プロング182はまた、ワイヤーケーブル100の外部シールド124、内部シールド116、またはベルトに貫入することができる。図示の例は2つのプロング182を含むが、単一のプロング182のみを使用する本発明の代替実施形態を考えることができる。
【0057】
[0088]第1のレセプタクルシールド174Aは、第2のレセプタクルシールド174B内に画定された対応する複数の孔188に連結して第2のレセプタクルシールド174Bを第1のレセプタクルシールド174Aに固定するように構成された複数の突起218または隆起186を画定する。第1のレセプタクルシールド174Aは、第1のレセプタクル端子132および第2のレセプタクル端子134の取付け部分144と第1の内部導体102および第2の内部導体104との間の接続部近傍に、エンボス付き部分を画定しないことがある。なぜなら、レセプタクルシールド174内でプラグシールド172の挿入に対応するため、接続部とレセプタクルシールド174との間の距離は、より大きいからである。
【0058】
[0089]図示の例のプラグシールド172の外側は、レセプタクルシールド174の内側に摺動可能に係合するように構成されるが、レセプタクルシールド174の外側がプラグシールド172の内側に摺動可能に係合する代替実施形態を考えることができる。
【0059】
[0090]レセプタクルシールド174およびプラグシールド172は、銅ベースの材料のシートから形成することができる。レセプタクルシールド174およびプラグシールド172は、銅/ニッケル/銀またはスズベースのめっきを使用してめっきすることができる。第1のレセプタクルシールド174Aおよび第2のレセプタクルシールド174Bならびに第1のプラグシールド172Aおよび第2のプラグシールド172Bは、当業者にはよく知られているスタンピング処理によって形成することができる。
【0060】
[0091]本明細書に示すプラグコネクタおよびレセプタクルコネクタの例は、ワイヤーケーブルに接続されているが、回路基板上の導電トレースに接続されたプラグコネクタおよびレセプタクルコネクタの他の実施形態を考えることができる。
【0061】
[0092]振動および切断に対する耐性など、自動車環境における適用要件を満たすために、ワイヤーケーブルアセンブリ100は、
図12に示すように、プラグコネクタ本体190およびレセプタクルコネクタ本体192をさらに含むことができる。プラグコネクタ本体190およびレセプタクルコネクタ本体192は、ポリエステル材料などの誘電体材料から形成される。
【0062】
[0093]再び
図12に戻ると、レセプタクルコネクタ本体192は、レセプタクルコネクタ128を受け取る空胴194を画定する。レセプタクルコネクタ本体192はまた、プラグコネクタ本体190を受け入れるように構成されたシュラウドを画定する。レセプタクルコネクタ本体192は、プラグコネクタ本体190とレセプタクルコネクタ本体192が完全に嵌合されたときにレセプタクルコネクタ本体192をプラグコネクタ本体190に固定するように構成されたロッキングアーム196を有する低プロファイルのラッチング機構をさらに画定する。プラグコネクタ本体190は、同様に、プラグコネクタ130を受け取る空胴198を画定する。プラグコネクタ本体190は、プラグコネクタ本体190とレセプタクルコネクタ本体192が完全に嵌合されたときにレセプタクルコネクタ本体192をプラグコネクタ本体190に固定するようにロッキングアーム196によって係合されるロックタブ200を画定する。ワイヤーケーブルアセンブリ100はまた、レセプタクルコネクタ128およびプラグコネクタ130をそれぞれのコネクタ本体空胴194、198内で保持するコネクタ位置保証デバイス202を含む。
【0063】
[0094]
図25に示すように、第1のプラグシールド172Aは、第1のプラグシールド172Aから突出する三角形のロックタング204を画定し、ロックタング204は、プラグコネクタ本体190の空胴198内でプラグコネクタ130を固定するように構成される。ロックタング204は、第1のプラグシールド172Aに取り付けられ、プラグシールド172の長手方向軸Aに対して実質上平行に位置する固定縁部(図示せず)と、第1のプラグシールド172Aに取り付けられず、長手方向軸Aに対して鋭角を画定する前縁部206と、同じく第1のプラグシールド172Aに取り付けられず、長手方向軸Aに対して実質上垂直に位置する後縁部208とを含む。前縁部206および後縁部208は、第1のプラグシールド172Aから突出する。
図26に示すように、プラグコネクタ本体190の空胴198は、狭い部分210および広い部分212を含む。プラグコネクタ130が狭い部分210内へ最初に挿入されるとき、ロックタング204の前縁部206は、狭い部分210の上壁214に接触してロックタング204を圧縮し、プラグコネクタ130が空胴198の狭い部分210を通過することを可能にする。ロックタング204が空胴198の広い部分212に入ったとき、ロックタング204は、圧縮されていない形状に戻る。次いで、ロックタング204の後縁部208は、空胴198の広い部分212の背壁216に接触し、プラグコネクタ130がプラグコネクタ本体空胴198の狭い部分210を通って戻るのを阻止する。ロックタング204は圧縮することができ、したがって、空胴198の広い部分212の前方にピッキング器具を挿入することによって、空胴198からプラグコネクタ130を取り除くことができる。
【0064】
[0095]
図27に示すように、レセプタクルシールド174は、レセプタクルコネクタ本体192の空胴194内でレセプタクルコネクタ128を固定するように構成された類似のロックタング204を画定する。レセプタクルコネクタ本体192の空胴194は、類似の上壁および背壁を有する類似の広い部分および狭い部分を含む。ロックタング204は、第1のプラグシールド172Aおよび第1のレセプタクルシールド174Aを形成するスタンピング処理中に形成することができる。
【0065】
[0096]
図12をもう一度参照すると、レセプタクルシールド174はまた、1対の突起218を含み、1対の突起218は、レセプタクルコネクタ本体192の空胴194内でレセプタクルコネクタ128を位置合わせして向きを決めるようにレセプタクルコネクタ本体空胴194の側壁内に画定された1対の溝220に連結するように構成される。プラグシールド172は、同様に、1対の突起218を画定し、1対の突起218は、プラグコネクタ本体190の空胴198内でプラグコネクタ130を位置合わせして向きを決めるようにプラグコネクタ本体空胴198の側壁内に画定された1対の溝(斜視図のため図示せず)に連結するように構成される。
【0066】
[0097]
図12に示すレセプタクルコネクタ本体192およびプラグコネクタ本体190の例は、単一の空胴のみを含むが、複数の空胴を含み、したがってコネクタ本体が、複数のプラグコネクタ128およびレセプタクルコネクタ130を含み、または別法としてプラグコネクタ128またはレセプタクルコネクタ130に加えて他のコネクタタイプを収容する、コネクタ本体の他の実施形態を考えることができる。
【0067】
[0098]
図28に示すように、レセプタクルコネクタ本体192は、レセプタクルコネクタ本体192から外側へ延びるロックタブ200を画定する。
【0068】
[0099]
図29に示すように、プラグコネクタ本体190は、長手方向に延びるロックアーム196を含む。ロックアーム196の自由端部222は、レセプタクルコネクタ本体192のロックタブ200に係合するように構成された内側へ延びるロック先端部224を画定する。ロックアーム196の自由端部222はまた、外側へ延びる止め部226を画定する。ロックアーム196は、ロックアーム196が静止状態から枢動するときにロックアーム196の自由端部222に押さえ力(hold-down force)230をかけるように構成されたU字状の弾性ストラップ(換言すれば、帯状部)228によって、ソケットコネクタ本体に一体接続される。プラグコネクタ本体190は、固定端部間でプラグコネクタ本体190に接続される横方向押さえ梁232を一体としてさらに含み、横方向押さえ梁232は、レセプタクルコネクタ本体192とプラグコネクタ本体190との間に印加される長手方向の分離力234が第1の閾値を超過したときに止め部226に係合するように構成される。いかなる特定の動作理論を利用するものでもないが、分離力234が印加されたとき、U字状のストラップ228の前部分236は、ロックアーム196の自由端部222上の止め部226が押さえ梁232に接触するまで、分離力234によって移動する。止め部226と押さえ梁232との間のこの接触により、ロック先端部224にかかる押さえ力230が増大し、それによってロック先端部224とロックタブ200の係合が維持され、これによってレセプタクルコネクタ本体192からのプラグコネクタ本体190の分離を阻止する。
【0069】
[00100]プラグコネクタ本体190は、肩部238をさらに備え、肩部238は、U字状のストラップ228に対して略共平面であり、U字状のストラップ228に係合するように構成される。いかなる特定の動作理論を利用するものでもないが、レセプタクルコネクタ本体192とプラグコネクタ本体190との間に印加される長手方向の分離力が第2の閾値を超過したとき、U字状のストラップ228の前部分236は、前部分236が肩部238の面に接触するまで移動し、それによってロック先端部224にかかる押さえ力230が増大し、ロック先端部224とロックタブ200の係合が維持される。第2の閾値の分離力234は、第1の閾値の分離力234より大きい。止め部226およびU字状のストラップ228は、押さえ力230を増大させるのを助けるため、自動車の規格を満たすことができるポリエステル材料を使用して、分離力に耐えることが可能な低プロファイルのロッキング機構を有するコネクタ本体を提供することが可能である。
【0070】
[00101]ロックアーム196はまた、U字状のストラップ228の後方に配置された押下式ハンドル240を含む。ロック先端部224は、ロック先端部224とロックタブ200の係合解除を可能にするように、ハンドルを押下することによって、ロックタブ200から離れるように外側へ移動可能である。
図30に示すように、ロックアーム196は、ロック先端部224と押下式ハンドル240との間に配置された内側へ延びる支点242をさらに含む。
【0071】
[00102]こうして、ワイヤーケーブルアセンブリ100a〜100cが提供される。ワイヤーケーブル100a〜100cは、5Gb/s以上のデータ速度でデジタルデータ信号を伝送することが可能である。ワイヤーケーブル100a〜100cは、カテゴリー7ケーブルなどの類似のデータ転送速度に対応することが可能な他の高速ケーブルで使用される複数の撚対線ではなく、1対の導体を介してこの速度で信号を伝送することが可能である。ワイヤーケーブル100a〜100cのように、単一の対を使用することで、複数の撚対線を有する他のワイヤーケーブル100a内の撚対線間で生じるクロストークの可能性をなくすという利点が提供される。また、ワイヤーケーブル100a〜100c内で単一のワイヤーペアを使用することで、ワイヤーケーブル100a〜100cの質量が低減される。これは、自動車および航空宇宙産業などの重量に影響されやすい適用分野では重要な要因である。第1の導体102a、102bおよび第2の導体104a、104bと内部シールド116との間のベルト112は、特に自動車の配線用ハーネスアセンブリ内でワイヤーケーブル100a〜100cを引き回す際に必要とされるように、ケーブルが曲がっているとき、第1の導体102a、102bおよび第2の導体104a、104bと内部シールド116との間で一貫した径方向の距離を維持するのを助ける。第1の導体102a、102bおよび第2の導体104a、104bと内部シールド116との間で一貫した径方向の距離を維持することで、一貫したケーブルインピーダンスおよびより信頼性が高いデータ転送速度が実現される。ベルト112、および第1の絶縁体108と第2の絶縁体110の接合は、特に普通なら第1の導体102と第2の導体104との間でワイヤーの分離を引き起こすはずの角度で車両を通って引き回されることによってケーブルが曲がっているとき、この場合も、ワイヤーペア内の第1の導体102a、102bと第2の導体104a、104bとの間で捩じれ角度Θを維持するのを助ける。またこれにより、一貫したケーブルインピーダンスが提供される。レセプタクルコネクタ128およびプラグコネクタ130は、ワイヤーケーブル内で協働し、一貫したケーブルインピーダンスを提供する。したがって、ワイヤーケーブル100a〜100cが曲がっているときでも、一貫したインピーダンスおよび挿入損失特性を有し、5Gb/s以上の速度でデジタルデータを伝送することが可能なワイヤーケーブルアセンブリ100a〜100cを提供するのは、第1の絶縁体108および第2の絶縁体110の接合、ならびにベルト112、内部シールド116、端子132、134、160、162などの要素の組合せであり、いずれか1つの特定の要素ではない。
【0072】
[00103]本発明について、その好ましい実施形態の点から説明したが、そのように限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲に記載の範囲にのみ限定されるものとする。さらに、第1、第2などの用語の使用は、何らかの重要な順序を示すものではなく、第1、第2などの用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用した。さらに、a、anなどの用語の使用は、数量の限定を示すものではなく、言及する項目の少なくとも1つの存在を示すものである。