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特開2015-115321リチウム電池用有機‐無機複合層および電極モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-115321(P2015-115321A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】リチウム電池用有機‐無機複合層および電極モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/13 20100101AFI20150526BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20150526BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20150526BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20150526BHJP
   H01M 2/16 20060101ALI20150526BHJP
【FI】
   H01M4/13
   H01M4/62 Z
   H01M10/058
   H01M10/0525
   H01M2/16 L
   H01M2/16 P
   H01M2/16 M
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-247800(P2014-247800)
(22)【出願日】2014年12月8日
(31)【優先権主張番号】102145454
(32)【優先日】2013年12月10日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】潘 恩郁
(72)【発明者】
【氏名】蘇 俊▲うぇい▼
(72)【発明者】
【氏名】呂 奇明
(72)【発明者】
【氏名】羅 仁志
【テーマコード(参考)】
5H021
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H021AA06
5H021CC02
5H021CC04
5H021EE02
5H021EE10
5H021EE15
5H021EE22
5H021HH01
5H021HH03
5H029AJ02
5H029AJ06
5H029AJ11
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AL07
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ13
5H029DJ04
5H029DJ08
5H029EJ05
5H029EJ12
5H029EJ14
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ05
5H050AA02
5H050AA12
5H050AA14
5H050AA15
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB08
5H050DA09
5H050DA19
5H050EA12
5H050EA24
5H050EA28
5H050FA04
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
(57)【要約】
【課題】有機‐無機複合層の無機粒子の加工性を上げ、且つ沈降を減らすことのできるリチウム電池用有機‐無機複合層および電極モジュールを提供する。
【解決手段】リチウム電池用有機‐無機複合層は、有機ポリマーと、複数の複合無機粒子とを含む。有機ポリマーと複合無機粒子の重量比は、10:90〜95:5であり、これらの複合無機粒子は、千鳥状に積み重ねられた少なくとも2つの構造形態を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ポリマーおよび複数の複合無機粒子を含み、前記有機ポリマーと前記複合無機粒子の重量比が、10:90〜95:5であり、前記複合無機粒子が、千鳥状に積み重ねられた少なくとも2つの構造形態を有するリチウム電池用有機‐無機複合層。
【請求項2】
前記有機ポリマーと前記複合無機粒子の前記重量比が、60:40〜80:20である請求項1に記載のリチウム電池用有機‐無機複合層。
【請求項3】
前記複合無機粒子が、第1複合無機粒子および第2複合無機粒子を有し、前記第1複合無機粒子と前記第2複合無機粒子の重量比が、10:90〜90:10である請求項1または2に記載のリチウム電池用有機‐無機複合層。
【請求項4】
前記第1複合無機粒子の材料が、粘土であり、前記第2複合無機粒子の材料が、酸化アルミニウムである請求項3に記載のリチウム電池用有機‐無機複合層。
【請求項5】
前記第2複合無機粒子の粒子サイズが、10nm〜500nmである請求項3または4に記載のリチウム電池用有機‐無機複合層。
【請求項6】
前記複合無機粒子の粒子サイズが、10nm〜1μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム電池用有機‐無機複合層。
【請求項7】
前記有機ポリマーが、フッ素含有ポリエチレン重合体およびその共重合体から選ばれた少なくとも1つの高分子材料である請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム電池用有機‐無機複合層。
【請求項8】
前記有機ポリマーが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはフッ素ポリマーバインダーである請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウム電池用有機‐無機複合層。
【請求項9】
前記複合無機粒子の前記構造形態が、球状、板状、薄片状、または棒状である請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウム電池用有機‐無機複合層。
【請求項10】
陽極板と、
陰極板と、
前記陽極板と前記陰極板の間にあるセパレータと、
前記陽極板と前記セパレータの間、および/または前記陰極板と前記セパレータの間に配置された有機‐無機複合層と
を含み、前記有機‐無機複合層が、有機ポリマーおよび複数の複合無機粒子を含み、前記有機ポリマーと前記複合無機粒子の重量比が、10:90〜95:5であり、前記複合無機粒子が、千鳥状に積み重ねられた少なくとも2つの構造形態を有する電極モジュール。
【請求項11】
前記有機ポリマーと前記複合無機粒子の前記重量比が、60:40〜80:20である請求項10に記載の電極モジュール。
【請求項12】
前記複合無機粒子が、第1複合無機粒子および第2複合無機粒子を有し、前記第1複合無機粒子と前記第2複合無機粒子の重量比が、10:90〜90:10である請求項10または11に記載の電極モジュール。
【請求項13】
前記第1複合無機粒子の材料が、粘土であり、前記第2複合無機粒子の材料が、酸化アルミニウムである請求項12に記載の電極モジュール。
【請求項14】
前記第2複合無機粒子の粒子サイズが、10nm〜500nmである請求項12または13に記載の電極モジュール。
【請求項15】
前記複合無機粒子の粒子サイズが、10nm〜1μmである請求項10〜14のいずれか1項に記載の電極モジュール。
【請求項16】
前記有機ポリマーが、フッ素含有ポリエチレン重合体およびその共重合体から選ばれた少なくとも1つの高分子材料である請求項10〜15のいずれか1項に記載の電極モジュール。
【請求項17】
前記有機ポリマーが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはフッ素ポリマーバインダーである請求項10〜16のいずれか1項に記載の電極モジュール。
【請求項18】
前記複合無機粒子の前記構造形態が、球状、板状、薄片状、または棒状である請求項10〜17のいずれか1項に記載の電極モジュール。
【請求項19】
前記有機‐無機複合層の厚さが、0.1μm〜10μmの間である請求項10〜18のいずれか1項に記載の電極モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機‐無機複合層に関するものであり、特に、リチウム電池用有機‐無機複合層およびその電極モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のリチウム電池に内部短絡が発生した時、短時間で大量の熱が放出されるため、構造内のポリオレフィン材質のセパレータが高温に耐えられず、溶けたり、変形したりする。局部的な蓄熱を遮断できない、あるいは、内部短絡を止めることができない場合、リチウム電池の活物質が分解して高圧ガスを形成し、爆発等の危険が生じることもある。したがって、国際的なリチウム電池の製造企業は全て、リチウム電池の短絡をいかにして軽減するかという安全問題に対する研究に大量の資金を投入している。パナソニック(Panasonic)が開発したHRL(heat-resistance layer)をリチウム電池の内部に導入することによって、セパレータの機械特性を強化することができるため、電池の加熱による正極と負極間の直接接触によって生じる内部短絡現象を防ぐことができる。その結果、電池の安全性が高まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、断熱材料は、主に、高含量の無機粒子と低含量の有機ポリマーバインダーで構成されるため、電池の内部抵抗が上がりやすい。さらに、無機粒子は、充放電プロセスで使用すると剥がれやすくなるため、保護機能が失われてしまう。さらに、無機粒子は、凝集して沈降しやすいため、加工に不便である。その結果、断熱材料の効果に影響を与える。
【0004】
以上のように、現在、断熱層を有する現在の市販電池のインピーダンスを向上させるとともに、加工性に優れ、且つ電池の安全性を維持することのできる新しい材料成分が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、リチウム電池用有機‐無機複合層を提供する。リチウム電池用有機‐無機複合層は、有機ポリマーと、複数の複合無機粒子とを含む。有機ポリマーと複合無機粒子の重量比は、10:90〜95:5であり、これらの複合無機粒子は、千鳥状(staggered configuration)に積み重ねられた少なくとも2つの構造形態を有する。
【0006】
本発明は、電極モジュールを提供する。電極モジュールは、陽極板と、陰極板と、陽極板と陰極板の間にあるセパレータと、有機‐無機複合層とを含む。有機‐無機複合層は、陽極板とセパレータの間、および/または陰極板とセパレータの間に配置され、有機‐無機複合層は、有機ポリマーと、複数の複合無機粒子とを含み、有機ポリマーと複合無機粒子の重量比は、10:90〜95:5であり、複合無機粒子は、千鳥状に積み重ねられた少なくとも2つの構造形態を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、複合無機粒子は、千鳥状に積み重ねられた少なくとも2つの構造形態を有するため、それにより、三次元空間を形成することができる。したがって、無機粒子の分散性を上げ、無機粒子の沈降を減らすことができるため、さらに、有機‐無機複合層の加工性を上げることができる。
【0008】
本発明についての詳細を説明するため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の1つの実施形態に係るリチウム電池用有機‐無機複合層の概略図である。
図2A】本発明の別の実施形態に係る異なる電極モジュールの概略図である。
図2B】本発明の別の実施形態に係る異なる電極モジュールの概略図である。
図2C】本発明の別の実施形態に係る異なる電極モジュールの概略図である。
図2D】本発明の別の実施形態に係る異なる電極モジュールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明において、説明の目的で、開示される実施形態が十分に理解されるよう、多数の具体的詳細を示す。しかしながら、これら具体的詳細がなくとも、1つまたはそれ以上の実施形態が実施され得ることは明らかである。別の場合では、図面を簡潔にするため、周知の構造および装置は概略的に示される。
【0011】
図1は、本発明の1つの実施形態に係るリチウム電池用有機‐無機複合層の概略図である。
【0012】
図1を参照すると、本実施形態のリチウム電池用有機‐無機複合層100は、有機ポリマー102と、複数の複合無機粒子104とを含み、有機ポリマー102は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはフッ素ポリマーバインダー等のフッ素含有ポリエチレン重合体およびその共重合体から選ばれる少なくとも1つの高分子材料である。フッ素ポリマーバインダーは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)共重合体、ポリペルフルオロアルコキシ(PFA)樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)共重合体、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、その他のフッ素ポリマーバインダー、またはこれらの組み合わせを含む。さらに、有機ポリマー102と複合無機粒子104の重量比は、10:90〜95:5である。複合無機粒子104の密着性を上げる観点から見ると、有機ポリマー102と複合無機粒子104の重量比は、60:40〜80:20であるのが好ましい。本実施形態において、複合無機粒子104の構造形態に関わらず、粒子サイズは、例えば、10nm〜1μmの間である。複合無機粒子104は、千鳥状に積み重ねられた少なくとも2つの構造形態を有し、構造形態は、例えば、球状、板状、薄片状、または棒状である。本実施形態において、例として2つの構造を使用する。つまり、複合無機粒子104は、それぞれ、第1複合無機粒子106および第2複合無機粒子108である。しかしながら、本発明はこれに限定されない。さらに、有機ポリマー102中の複合無機粒子104が千鳥状に積み重ねられている場合、第1複合無機粒子106と第2複合無機粒子108の重量比は、10:90〜90:10であってもよい。さらに、図1を例に挙げると、第1複合無機粒子106は、薄片状であり、その材料は、粘土またはその他の適切な材料から選ぶことができる;第2複合無機粒子108は、球状であり、その材料は、酸化アルミニウムまたはその他の適切な材料から選ぶことができ、第2複合無機粒子108の粒子サイズは、例えば、10nm〜500nmの間である。
【0013】
図2A図2Dは、本発明の別の実施形態に係る異なる電極モジュールの概略図である。
【0014】
図2Aを参照すると、第1電極モジュール200は、陽極板202と、陰極板204と、陽極板202と陰極板204の間にあるセパレータ206と、有機‐無機複合層208とを含む。有機‐無機複合層208は、陽極板202とセパレータ206の間に配置され、電極モジュール200を製造する時は、まず、有機‐無機複合層208を陽極板202にコーティングしてから、そのセパレータ206と陰極板204を結合する。有機‐無機複合層208の成分は、上述した実施形態の有機‐無機複合層100の説明を参照することができるため、ここでは繰り返し説明しない。本実施形態において、有機‐無機複合層208の厚さは、0.1μm〜10μmの間である。
【0015】
図2Bにおいて、第2電極モジュール210もまた、陽極板202と、陰極板204と、セパレータ206と、有機‐無機複合層208とを含む。しかしながら、有機‐無機複合層208は、陰極板204とセパレータ206の間に配置され、電極モジュール210を製造する時、まず、有機‐無機複合層208を陰極板204にコーティングしてから、そのセパレータ206を陽極板202と結合する。
【0016】
図2Cにおいて、第3電極モジュール220の陽極板202、陰極板204、セパレータ206、および有機‐無機複合層208の配置順序は、第2電極モジュール210の配置順序と同じである。しかしながら、電極モジュール220を製造する時、まず、有機‐無機複合層208をセパレータ206にコーティングしてから、有機‐無機複合層208と陰極板204を結合する。
【0017】
図2Dにおいて、第4電極モジュール230もまた、陽極板202と、陰極板204と、セパレータ206とを含む。しかしながら、陰極板204とセパレータ206の間に有機‐無機複合層208aが配置され、陽極板202とセパレータ206の間に有機‐無機複合層208bが配置される。そのため、電極モジュール230を組み立てる時、まず、有機‐無機複合層208aおよび208bをセパレータ206の2つの側にコーティングしてから、有機‐無機複合層208aおよび208bを陽極板202および陰極板204と結合する。有機‐無機複合層208aおよび208bの各成分は、上述した実施形態の有機‐無機複合層100の説明を参照することができるため、ここでは繰り返し説明しない。
【0018】
以上のように、本発明において、リチウム電池用有機‐無機複合層は、千鳥状に積み重ねられた様々な構造形態を有する有機ポリマーと複合無機粒子によって形成される。複合層は、千鳥状に積み重ねられた少なくとも2つの構造形態を有するため、それにより、三次元空間を形成することができる。その結果、無機粒子の分散性を上げるだけでなく、無機粒子の沈降を減らすこともできるため、さらに、有機‐無機複合層の加工性を上げることができる。また、このような有機‐無機複合層は、無機材料の比率を減らすことによって、複合層と基板の表面の密着性を向上させることができる。リチウムイオン電池の電極モジュールに応用した時、導電機能を有するリチウムイオンは、十分な空間を有し、無機粒子(例えば、薄片状の粘土)の表面に大量に積み重ねることができるため、イオン移動を増やし、電池のインピーダンスを減らすことができると同時に、電池の安全性を高めることもできる。
[実施例]
【0019】
以下、いくつかの実験例を挙げて、本発明の効果を証明する。しかしながら、下記の実験例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0020】
1.溶液の作製
【0021】
(1)200nmのリチウムイオンで置換されたナノクレイ溶液の作製:25gの粘土(モンモリロナイト粘土(montmorillonite clay)、Nanocorより購入、寸法:200nm)を500gの脱イオン水に分散させてから、0.1%のリチウムイオンを添加し、その後、475gのジメチルアセトアミド(DMAc)を添加する。そして、水溶液をDMAcに置換および位相反転して均一に分散させた後、固形分が5%のリチウムイオンで置換されたナノクレイ溶液Aが得られる。
【0022】
(2)Al23溶液の作製:25gのAl23を225gのDMAc溶液に分散させる。そして、混合物を室温(約25℃)で攪拌し、10%のAl23溶液が得られる。
【0023】
(3)PVDF溶液の作製:120gのPVDF(Kurehaより購入したKF1300)を585gのDMAc溶媒に溶解する。そして、混合物を室温(約25℃)で攪拌し、17%のPVDF溶液が得られる。
【0024】
2.塗料の作製
【0025】
塗料1
【0026】
100gのリチウムイオンで置換されたナノクレイ溶液Aを380gのDMAc溶媒に添加する。そして、50gのAl23溶液を137gのPVDF溶液にさらに添加して、混合物を均一に混合する。
【0027】
塗料2
【0028】
100gのリチウムイオンで置換されたナノクレイ溶液Aを1238gのDMAc溶媒に添加する。そして、250gのAl23溶液を412gのPVDF溶液にさらに添加して、混合物を均一に混合する。
【0029】
比較塗料1
【0030】
100gのリチウムイオンで置換されたナノクレイ溶液Aを585gのDMAc溶媒および70gのPVDF溶液に添加して、混合物を均一に混合する。
【0031】
比較塗料2
【0032】
100gのAl23溶液を667gのDMAcおよび430gのPVDF溶液に添加して、混合物を均一に混合する。
【0033】
比較塗料3
【0034】
3.86gの0.1wt%リチウム塩溶液(0.1wt%LiOH・H2O)を100g粘土(モンモリロナイト粘土、Southern Clayより購入、寸法:20nm)のDMAc溶液に段階的に添加する。混合物を30分間均一に攪拌して、リチウムイオンで置換されたナノクレイ溶液Bを得る。次に、70gのDMAc溶液をリチウムイオンで置換されたナノクレイ溶液Bに添加した後、56.13gのPVDF溶液を添加して、混合物を均一に混合する。
【0035】
3.塗料分散液のポットライフテスト
【0036】
塗料1〜2および比較塗料1〜3を1時間超音波振動した後に放置し、その変化を観察する。結果は、以下の表1に示した通りである。
【0037】
【表1】
【0038】
表1からわかるように、本発明の各成分は、使用期間が長いため、成分が均一に分散されて、沈澱しにくい。そのため、有機‐無機複合層の加工性が向上する。
【0039】
4.電池の組み立て
【0040】
実験例1
【0041】
塗料1を陽極板の表面にコーティングする。陽極板は、MGPA(メソフェーズ(mesophase)黒鉛負極、製造者:China Steel Chemical Corporation)である。140℃で10分間ベーキングした後、変性されたMGPA陽極板を得る。変性されたMGPA陽極板および変性されていないLNCM(リチウムマンガンニッケルコバルト正極、製造者:Umicore)陰極板を寸法が50mm×40mm×1.5mmのアルミ箔袋薄型電池に組み立てる。ポリエチレンセパレータ(Asahiより購入したN9620)をセパレータとして使用する。電解質液の有機溶媒は、炭酸エチレン(EC)/炭酸ジエチレン(DEC)/炭酸プロピレン(PC)(2:3:5)であり、リチウム塩は、LiPF6である。
【0042】
実験例2
【0043】
実験例1と同じ方法で電池を組み立てる。ただし、塗料1を塗料2に置き換える。
【0044】
比較例1
【0045】
実験例1と同じ方法で電池を組み立てる。ただし、塗料1を使用せず、変性されていないMGPA陽極板を代わりに使用する。
【0046】
比較例2〜3
【0047】
実験例1と同じ方法で電池を組み立てる。ただし、塗料1をそれぞれ比較塗料1〜2に置き換える。
【0048】
5.電池性能試験
【0049】
実験例1〜2および比較例1〜3のそれぞれの薄型電池を8時間放置した後、1kHz交流インピーダンス測定装置を使用して、それぞれの電池インピーダンスを測定する。0.1C/0.1Cの充放電サイクルで薄型電池をフォーマットして、その電気特性と不可逆容量を測定し、表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表2からわかるように、本発明の各実験例の電極モジュールの1回目の充放電サイクルと2回目の充放電サイクルの不可逆容量は、あまり変化していない。さらに、電極板にコーティングされた各コーティング層の厚さが大きくなればなるほど、電池の性能が良い。
【0052】
6.変性されたPPセパレータの作製
【0053】
実験例3
【0054】
塗料1を超音波槽で1時間攪拌し、一晩放置した後、塗料1を浸漬塗布方法でポリプロピレンセパレータ(Asahiより購入したN9620)にコーティングする。80℃で10分間ベーキングして、変性されたPPセパレータを得る。
【0055】
実験例4
【0056】
実験例3と同じ方法で変性されたPPセパレータを作製する。ただし、塗料1を塗料2に置き換える。
【0057】
比較例4
【0058】
変性されていないPPセパレータを1つ作製する。
【0059】
比較例5〜7
【0060】
実験例3と同じ方法で変性されたPPセパレータを作製する。ただし、塗料1をそれぞれ比較塗料1〜3に置き換える。
【0061】
7.セパレータの抵抗値の分析
【0062】
実験例3〜4および比較例4〜7のそれぞれのセパレータを寸法3cm×3cmに切断する。各セパレータの抵抗値を定電位定電流分析器(Autolab)で測定する。電解質は、1.1M LiClO4/DMAcである。実験結果は、表3に示した通りである。
【0063】
【表3】
【0064】
表3からわかるように、本発明において、実験例の抵抗値は全て、比較例の抵抗値よりも低い。さらに、本発明において提供する有機‐無機複合層は、有機‐無機複合層とセパレータを結合した後、セパレータを遮断しないため、さらに、断熱層として使用することができる。リチウム電池を例に挙げると、リチウム電池の加熱による内部セパレータの収縮および亀裂によって電池の短絡が生じることにより激しい発熱性燃焼や爆発が起こることを防ぐことができるため、電池の安全性を高めることができる。
【0065】
以上のように、本発明において提供する有機‐無機複合層は、安全機能層として電極層の表面またはセパレータの表面にコーティングすることができるため、リチウム電池の内部セパレータが熱により収縮し、亀裂が生じた時、有機‐無機複合層が断熱層としてセパレータを保護する効果を提供することができ、電池の短絡による激しい発熱性燃焼や爆発を防ぐことができる。
【0066】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【符号の説明】
【0067】
100、208、208a、208b 有機‐無機複合層
102 有機ポリマー
104 複合無機粒子
106 第1構造形態無機粒子
108 第2構造形態無機粒子
200、210、220、230 電極モジュール
202 陽極板
204 陰極板
206 セパレータ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
【外国語明細書】
2015115321000001.pdf