【解決手段】複数の受け渡し位置であるロードポート61〜61及びロードロック室81の間でウェーハWの搬送を行うウェーハ搬送装置であって、周囲を壁部31〜34によって覆われることで内部を略閉止空間とされており、ガイドレール26に沿って移動してロードポート及びロードロック室81に相対可能とされた移動室3と、先端部のピック25においてウェーハを保持し得る搬送アーム24とを具備し、少なくともピックをウェーハとともに移動室3内に収容可能としており、壁部31,33に形成された開口31a,33aを通じピックを出入させることで、移動室を相対させたロードポート及びロードロック室との間で搬送アームを用いてウェーハの受け渡しを可能に構成した。
前記移動室内にガスを供給するためのガス供給手段と、前記移動室内よりガスを排出するためのガス排出手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の基板搬送装置。
前記移動室内のガスを取り出し、取り出したガスの少なくとも一部を、フィルタを通過させた上で前記移動室内に再び導入させるガス循環手段を備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の基板搬送装置。
前記移動室内において、前記搬送アーム上の基板と相対し得る位置に、基板の表面を加熱するための加熱手段を備えていることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の基板搬送装置。
前記ガス供給手段、前記ガス排出手段及び前記加熱手段の制御を行うための制御手段を備え、当該制御手段が、前記ガス供給手段、前記ガス排出手段及び前記加熱手段の動作タイミングを制御するためのタイミング制御部をさらに備えていることを特徴とする請求項5記載の基板搬送装置。
請求項1〜7の何れかに記載の基板搬送装置と、当該基板搬送装置の周囲を覆う筐体とを具備し、前記筐体を構成する少なくとも一部の筐体壁の外側に隣接して前記受け渡し位置が設定されており、前記基板搬送装置の移動室は、前記開口を備える壁部が前記筐体を構成する前記少なくとも一部の筐体壁の内側に近接した状態を維持しながら、前記軌道に沿って移動可能に構成されていることを特徴とするEFEM。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
<第1実施形態>
第1実施形態の基板搬送装置は基板としてのウェーハWを搬送するウェーハ搬送装置2として構成されており、
図1で示すEFEM1の構成要素の1つとなっている。EFEM1は、機械装置部分である本体11とこの動作を制御するための制御手段9とから構成されており、本体11は内部にウェーハ搬送装置2を備え、これを用いて所定の受け渡し位置間でウェーハWを搬送することができるようになっている。また、ウェーハ搬送装置2を囲むように筐体51が設けられており、この筐体51はウェーハ搬送装置2の四方を囲む筐体壁51a〜51dと天井壁51e(
図4参照)とを備えることで、内部で略閉止空間を形成されたウェーハ搬送室5を構成している。さらに、1つの筐体壁51aの外側に隣接して複数(図中では3つ)のロードポート61〜61が設けられており、これらと上記ウェーハ搬送室5、及びその内部に設けられたウェーハ搬送装置2によってEFEM1の本体11を構成している。
【0028】
なお、図中ではロードポート61上にFOUP62が載置された状態を模式的に示している。各ロードポート61は扉61aを備えており、この扉61aがFOUP62に設けられた蓋部62aと連結してともに移動することで、FOUP62がウェーハ搬送室5に対して開放されるようになっている。FOUP62内には、対をなして1枚のウェーハWを支持する載置部62b,62bが上下方向に多数設けられており、これらを用いることで多数のウェーハWを格納することができる。また、FOUP62内には通常窒素ガスが充填されるとともに、ロードポート61を介してFOUP62内の雰囲気を窒素置換することも可能となっている。
【0029】
また、ロードポート61と対向する筐体壁51cの外側に隣接して処理装置8の一部を構成するロードロック室81が接続できるようになっており、ロードロック室81の扉81aを開放することで、ウェーハ搬送室5とロードロック室81とを連通した状態とすることが可能となっている。処理装置8としては種々様々なものを使用できるが、一般には、ロードロック室81と隣接して搬送室82が設けられ、さらに搬送室82と隣接して複数(図中では3つ)の処理ユニット83が設けられる構成となっている。搬送室82と、ロードロック室81や処理ユニット83〜83との間には、それぞれ扉82a,83a〜83aが設けられており、これを開放することで各々の間を連通させることができ、搬送室82内に設けられた搬送ロボット82bを用いてロードロック室81及び処理ユニット83〜83の間でウェーハWを移動させることが可能となっている。
【0030】
ウェーハ搬送装置2は概ね、所定の軌道を構成するガイドレール26と、このガイドレール26に沿って
図2に示すように移動可能とされた移動室3と、その内部に設けられた搬送アーム24とから構成されている。
【0031】
図3は、このウェーハ搬送装置2の移動室3の近傍を拡大して模式的に示した平面図であり、
図4は、これをガイドレール26の延在方向より見た場合を模式的に示した正面図である。以下、これら
図3及び
図4を用いてウェーハ搬送装置2の詳細な構造について説明を行う。
【0032】
まず、筐体51内において、ロードポート61側の筐体壁51aよりロードロック室81側の筐体壁51cの間に亘り床面F上に固定台21が設けられ、この固定台21上でガイドレール26及びローラ27を介して矩形板状に形成された可動台22が支持されている。固定台21は、可動台22の高さを底上げするために用いられており、必要に応じて高さを調整することが可能である。ガイドレール26は、筐体壁51a,51c(
図1参照)と平行になるように直線状に配置されることで直線状の軌道を構成しており、可動台22は図示しない駆動手段によって、ガイドレール26に沿って移動可能とされている。
【0033】
可動台22の中央には、略円柱形状に構成されたベース23が設けられ、このベース23の上部には搬送アーム24が支持されている。搬送アーム24は、一般的に知られている種々の構造とすることができ、例えば、SCARA型の水平多関節ロボットや、リンク式のアームロボットなどを好適に使用することができる。この実施形態では、搬送アーム24を主として複数のアーム要素24a〜24cとから構成し、これらを相対移動させることで、アーム要素22全体を伸長させることができるように構成している。末端のアーム要素24cの先にはU字形に形成された板状のピック25が設けられており、その上面にウェーハWを載置することが可能となっている。また、搬送アーム24はベース23に対して、水平旋回することが可能となっており、ピック25を筐体壁51a,51cのいずれの方向に向けることも可能となっている。
【0034】
上記のように構成することで、ウェーハ搬送装置2は、搬送アーム24を構成するピック25上に載置したウェーハWを、筐体壁51a,51cに平行な方向と、直交する方向の2軸に移動させることが可能となっている。さらに、ベース23は昇降動作も可能となっており、この動作を組み合わせることで、ピック25によりウェーハWを持ち上げることも、ピック25上のウェーハWを所定の受け渡し位置に移載させることも可能となっている。本実施形態におけるEFEM1においては、複数のロードポート61に設置されるFOUP62及びこれに対向するロードロック室81(
図1参照)が、ウェーハWを受け渡すための受け渡し位置として設定されており、この間でウェーハ搬送装置2を用いてウェーハWを移動させることが可能となっている。
【0035】
さらに、可動台22上には、搬送アーム24の四方を囲むように壁部31〜34が配置されるとともに、天井壁35がこれらに接続するように設けられることで、これら壁部31〜34と天井壁35と可動台22とによって直方体状の移動室3を構成している。移動室3は、内部が略閉止された略閉止空間とされ、内部に上述した搬送アーム24及びベース23を収容しているとともに、これらとともにガイドレール26に沿って移動可能となっている。移動室3内の空間は、高さ方向の寸法を搬送アーム24の昇降に必要な程度の大きさとされ、ガイドレール26の延在する方向の寸法を搬送アーム24がピック25上でウェーハWを保持した状態で回動するために必要な程度の大きさとされることで、必要以上に大きな容積とならないようにしている。
【0036】
移動室3を構成する壁部31〜34のうち、ロードポート61側の壁部31と、ロードロック室81側の壁部33には、搬送アーム24先端のピック25を、ウェーハWを載置させた状態で出入させることのできる開口31a,33aがそれぞれ形成されている。これらの開口31a,33aは、搬送アーム24の出入に必要な程度の大きさとされ、不必要に大きくしていないことから、移動室3内をほぼ密閉された略閉止空間とすることが可能となっている。
【0037】
また、開口31a,33aの形成された壁部31,33は、ロードポート61が隣接して設けられた筐体壁51aと、ロードロック室81が隣接して設けられた筐体壁51cの内側にそれぞれ近接して設けられており、ガイドレール26に沿って移動する間も筐体壁51a又は筐体壁51cに近接した状態を維持することが可能とされていることから、移動室3の位置や動作に関わらず、移動室3の外側より内側に向けたガス及びパーティクルの侵入を抑制することができるようになっている。すなわち、移動室3は、筐体壁51a及び筐体壁51cと協働してより密閉度の高い略密閉空間を形成している。
【0038】
また、移動室3を構成する天井壁35の上部には、中央と、四隅の5箇所に、ガス供給口41a〜41aが設けられるとともに、これらのガス供給口41a〜41aは、図示しないガス供給源との間で配管であるフレキシブルチューブ41b〜41bによって接続されている。フレキシブルチューブ41b〜41bは、少なくとも一部をコイル状に巻かれた形状とされており、移動室3の移動に伴って伸縮することが可能となっている。これらガス供給源、ガス供給口41a、及び、フレキシブルチューブ41bはガス供給手段41を構成しており、制御手段9(
図1参照)からの命令に基づいてガスの供給と供給の停止、並びにガスの流量を制御することが可能となっている。ガスを供給することにより、移動室3の内部では、ガス供給口41a〜41aより下方に向けてそれぞれガスが噴出し、それまで内部に留まっていたガスを押し出しながら、新たに供給したガスの濃度を高めることが可能である。本実施形態においてはガス供給手段41を用いて供給するガスを窒素ガスにしているが、これに限ることなく他のガスを用いることもできる。
【0039】
さらに、移動室3を構成する壁部34には、ガスを排出するためのガス排出手段としての排気ダンパ42が設けられている。この排気ダンパ42は図示しないシャッタを備えており、制御手段9からの命令に基づいて動作して、シャッタを開放することによって移動室3の内部と外部とを連通させることが可能となっている。この場合、上述したガス供給手段41によるガスの供給と併用することにより、排気ダンパ42より専らガスの排出を行わせて、効率よく移動室3内のガスパージを行うことが可能となっている。
【0040】
また、
図1に示すように、移動室3を、ガイドレール26の一方の端部側に設定した待機位置に移動させた場合、排気ダンパ42を筐体51の筐体壁51dに設けられた排気ダクト43に接続することが可能となっている。この状態において、排気ダクト43に設けられた開閉バルブ43aを開放することによって、移動室3の内部をウェーハ搬送室5の外部と連通させることができる。こうすることで、ガスパージによって移動室3内のガスを直接EFEM1の外部に放出することができ、移動室3の内部のクリーン度が低い初期状態等において、ウェーハ搬送室5の内部空間を汚すことなく外部にガスを放出するような場合に利用することができる。もちろん、移動室3内のクリーン度がウェーハ搬送室5の内部のクリーン度よりも良好な場合には、移動室3の排気ダクト43よりウェーハ搬送室5の内部に向けてガスを排出するようにしてもよい。
【0041】
また、上述したウェーハ搬送装置2を含むEFEM1の本体部11を制御するために、このEFEM1は
図1に示すような制御手段9を備えている。制御手段9は、CPU、メモリ及びインターフェースを備えた通常のマイクロプロセッサ等により構成されるもので、メモリには予め処理に必要なプログラムが格納してあり、CPUは逐次必要なプログラムを取り出して実行し、周辺ハードリソースと協働して所期の機能を実現するものとなっている。
【0042】
制御手段9は、移動室位置制御部91、アーム位置制御部92、昇降位置制御部93、ガス供給制御部94、ガス排出制御部95、及び、タイミング制御部96を含むように構成されている。
【0043】
移動室位置制御部91は、図示しない駆動手段に駆動指令を与えることで移動室3をガイドレール26に沿って移動させ、任意の位置で停止させることが可能となっている。アーム位置制御部92は、ベース23内に備えられたアクチュエータ(図示せず)に駆動指令を与えることで、搬送アーム24の向きの変更や、任意の長さへの伸長や短縮の動作を行わせるようになっている。昇降位置制御部93は、ベース23に組み込まれた昇降用のアクチュエータ(図示せず)に駆動指令を与えることで昇降動作を行わせて、搬送アーム24を任意の高さ位置にすることができる。ガス供給制御部94は、ガス供給手段41に命令を与えることでガスの供給を制御するものであり、ガス供給の開始と停止に加えて、ガスの流量を変更することが可能となっている。ガス排出制御部95は、駆動指令を出力することにより、移動室3に設けられた排気ダンパ42のシャッタ開閉及び、筐体51に設けられた排気ダクト43の開閉バルブ43aの開閉を行うことが可能となっている。タイミング制御部96は、内部に記憶されたタイミングデータに基づいた所定のタイミングでガスの供給及び排出を行わせるべく、ガス供給制御部94やガス排出制御部95に動作命令を与える。ガス供給制御部94やガス排出制御部95は、それぞれ与えられた動作命令に従って、制御の開始または停止、あるいは制御内容の変更を行うようにしており、連動した制御を行うことができるようになっている。
【0044】
上記のように構成したウェーハ搬送装置2を、制御手段9による制御によって動作させることで、以下のようにしてウェーハWの搬送を行うことが可能となる。
【0045】
ここでは、一例として、一方の受け渡し位置であるロードポート61に接続されたFOUP62より、ロードロック室81にウェーハWを搬送する場合について説明を行う。
【0046】
まず、
図1に示すように、ウェーハ搬送装置2は、移動室位置制御部91からの駆動指令に基づき、移動室3をガイドレール26の一方の端部近傍(図中の上側)の待機位置まで移動させる。そして、ガス供給制御部94からの動作命令に基づいてガス供給手段41より窒素ガスを供給させる。さらに、タイミング制御部96からの命令に応じてガス排出制御部95より駆動指令が出力されることで、移動室3に設けられた排気ダンパ42のシャッタと、筐体51に設けられた排気ダクト43の開閉バルブ43aとを開放する。こうすることで、移動室3の内部に窒素ガスが供給されるとともに、それまで移動室3の内部に留まっていたガスが排気ダンパ42を介して筐体51の外部に排出されることで、移動室3内のガスパージが行われる。
【0047】
所定時間が経過して、窒素ガスの濃度が一定以上に高まったところで、ガス排出制御部95からの駆動指令に基づいて、排気ダンパ42のシャッタと排気ダクト43とを閉止させる。なお、上述したように、移動室3内の容積は十分に小さなものであることから、ガスパージに要する窒素ガスの量は、ウェーハ搬送室5内の全体をガスパージする場合に比べて遙かに少量ですみ、ガスに要する費用並びにガスパージのための時間を節約することが可能となっている。
【0048】
排気ダンパ42のシャッタと排気ダクト43を閉じた場合、移動室3内は略密閉空間であることから、窒素ガスの供給を継続して行うことで移動室3の内部の圧力を外部よりも高めた陽圧とすることができる。こうすることで、開口31a,33aを通じて移動室3内へ、水分を含んだ空気やパーティクルの侵入を抑制することができるようになっている。さらに、ガス供給手段41からの窒素ガスの供給は継続して行わせるものの、ガス供給制御部94からの動作命令に基づき、移動室3の内部を陽圧に維持できる程度に流量を減らす。こうすることで、窒素ガスの使用量を更に削減することが可能である。上述したようなガス供給制御部94及びガス排出制御部95による制御のタイミングはタイミング制御部96によって決定されるが、これに限らず、タイマー等を用いて構成することもできる。
【0049】
上記のように移動室3内の窒素ガス濃度を高めた後、移動室位置制御部91からの駆動指令に基づいて移動室3を移動させ、
図2のように、搬送対象であるウェーハWが収容されたFOUP62が載置されたロードポート61に相対させる。
【0050】
次に、制御手段9(
図1参照)からの命令により、ロードポート61の扉61aと、FOUP62の蓋部62aとを開放させ、昇降位置制御部93(
図1参照)により、搬送アーム24先端のピック25を搬送対象であるウェーハWよりも僅かに下方に位置させる。そして、
図5に示すように、アーム位置制御部92(
図1参照)により搬送アーム24を伸長させることで、搬送アーム24の先端を開口31aより進出させ、FOUP62内へと進入させる。この際、ピック25はウェーハWの直ぐ下に僅かな隙間を持ちながら進入することになる。さらに、昇降位置制御部93(
図1参照)により、搬送アーム24を上昇させることで、ウェーハWを持ち上げてピック25上で支持させる。
【0051】
この状態より、アーム位置制御部92(
図1参照)により搬送アーム24を短縮させることで、
図6に示すように、ピック25とその上部に載置されたウェーハWとを開口31aを通じて移動室3の内部に引き込み、収容することができる。ウェーハWは、FOUP62を出て直ぐに移動室3内に収容されることで、ほとんど筐体51内の空気雰囲気に晒されることがない。従って、ウェーハWの表面へのパーティクルの付着を抑制するとともに、空気雰囲気による酸化や水分の付着をも抑制することができる。ウェーハWを移動室3内に収容した後には、ロードポート61の扉61aとFOUP62の蓋部62aとを閉止し、FOUP62内をできるだけ清浄に保つようにしている。さらに、FOUP62内部より流出した窒素を補うため、蓋部62aを閉止した後にロードポート61より新たな窒素ガスを供給させることも好ましい。
【0052】
次に、移動室位置制御部91(
図1参照)からの駆動指令に基づいて、移動室3をガイドレール26に沿って移動させてロードロック室81に相対させた状態として、ロードロック室81の扉81aを開放させる。さらに、
図7に示すように、アーム位置制御部92(
図1参照)からの駆動指令に基づいて、搬送アーム24をロードロック室81側に回動させて伸長させる。そして、搬送アーム24先端のピック25とウェーハWとを開口33aより進出させ、ロードロック室81内に進入させる。さらに、昇降位置制御部93(
図1参照)からの命令によって、搬送アーム24を下降させることでピック25上よりウェーハをロードロック室81内の図示しない載置台上へと移載する。
【0053】
上述したように、このウェーハ搬送装置2を用いることで、ウェーハWをFOUP62よりロードロック室81に搬送する際に、ウェーハ搬送室5の内部全体の雰囲気を置換しなくても、搬送アーム24を覆うように構成された移動室3内の局所的な雰囲気を置換することで、ウェーハWの表面状態を適切に維持することが可能となる。
【0054】
また、ウェーハWをロードロック室81よりFOUP62に搬送する場合にも、上述した動作を逆に行わせることで、同様にウェーハWの周辺の局所的な雰囲気を置換させることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態における基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置2は、複数の受け渡し位置であるロードポート61〜61及びロードロック室81の間で基板としてのウェーハWの搬送を行うものであって、周囲を壁部31〜34によって覆われることで内部を略閉止空間とされており、所定の軌道を構成するガイドレール26に沿って移動してロードポート61〜61及びロードロック室81に相対可能とされた移動室3と、先端部のピック25においてウェーハWを保持し得る搬送アーム24とを具備し、ピック25をウェーハWとともに移動室3内に収容可能としており、壁部31,33に形成された開口31a,33aを通じピック25を出入させることで、移動室3を相対させたロードポート61〜61及びロードロック室81との間でウェーハWの受け渡しを可能に構成したものである。
【0056】
このように構成しているため、ロードポート61〜61及びロードロック室81の1つに移動室3を相対させた状態として開口31a,33aを通じ搬送アーム24先端のピック25によってウェーハWを受け取り、ピック25をウェーハWとともに移動室3の内部に収容し、他のロードポート61〜61又はロードロック室81に相対するように移動室3を移動させ、開口31a,33aを通じ搬送アーム24よりウェーハWを受け渡すことが可能である。移動室3内は略閉止空間とされていることから、ウェーハWをほとんど外気にさらすことなく受け渡しを行うことができるため、外気に含まれるパーティクルの付着を抑制することが可能である。さらには、移動室3内を窒素ガスによりパージしていることから、表面の特性変化の制御や、受け渡し後に行うウェーハWへの処理の準備工程として利用することが可能となる。また、搬送時のウェーハW周辺を窒素雰囲気に変更するために、略閉止空間とされた移動室3内のみのガスパージを行うことで足りるため、供給するガスの量を少なくしてコストの低減及び時間の短縮を図ることが可能である。
【0057】
また、移動室3内にガスを供給するためのガス供給手段41と、移動室3内よりガスを排出するためのガス排出手段としての排気ダンパ42を備えるように構成しているため、排気ダンパ42を用いて移動室3内のガスを排出するとともに、ガス供給手段41を用いて窒素ガスを移動室3内に供給することで、移動室3内のガスパージを行って窒素ガスの濃度を高めた窒素ガス雰囲気とすることができ、搬送中のウェーハWの表面の性状の変化を一層抑制することが可能となる。
【0058】
そして、移動室3内の気圧を移動室3の外部の気圧よりも高く設定するように構成していることから、ガス供給手段41以外からの移動室3内へのガスの流入を抑制して、外部より移動室3内にパーティクルが侵入し、ウェーハW表面に付着することを抑制することができる。
【0059】
さらに、本願実施形態におけるEFEM1は、上記のウェーハ搬送装置2と、このウェーハ搬送装置2の周囲を覆う筐体51とを具備し、筐体51を構成する筐体壁51a,51cの外側に隣接して受け渡し位置であるロードポート61〜61及びロードロック室81が設定されており、ウェーハ搬送装置2の移動室3は、開口31a,33aを備える壁部31,33が筐体51を構成する筐体壁51a,51cの内側に近接した状態を維持しながら、ガイドレール26に沿って移動可能となるように構成していることから、ウェーハ搬送装置2を構成する移動室3が、開口31a,33aの設けられた壁部31,33を筐体壁51a,51cの内側に近接させた状態で移動するため、開口31a,33aを通じた移動室3内へのガスやパーティクルの侵入を抑えるとともに、移動室3内に供給した窒素ガスの流出を抑制してガス供給量の節約を図ることも可能となっている。
【0060】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態の基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置102及びこれを備えるEFEM101を示す模式図である。この図において、第1実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0061】
EFEM101は、本体111とこれを制御する制御手段109より構成されており、本体111は移動室103を含むウェーハ搬送装置102を備えるものとなっている。この実施形態におけるウェーハ搬送装置102は、移動室103を構成するロードポート61側の壁部31に、開口31aを開閉可能とする開閉扉136A,136Bを設けるとともに、ロードロック室81側の壁部33に、開口33aを開閉可能とする開閉扉137を設けている点に特徴がある。
【0062】
開閉扉136A,136B,137は、図示しないアクチュエータによって、それぞれガイドレール26の延在する方向に独立してスライド移動することが可能とされている。なお、開閉扉136A,136B,137は、開口31a,33aの開閉が可能である限り、他の方向にスライド移動するように構成しても良く、スライドに代えて回転を行わせることや、リンク機構等を用いてより複雑な動作を行わせることも許容される。
【0063】
そして、制御手段109は開閉扉制御部197を備えており、この開閉扉制御部197から上記アクチュエータに対して駆動指令を出力することで、開閉扉136A,136B,137をスライド移動させて、開口31a,33aを開放又は閉止させることが可能となっている。また、制御手段109が備えるタイミング制御部196は、第1実施形態において述べたガス供給制御部94及びガス排出制御部95による制御タイミングを司ることに加えて、開閉扉136A,136B,137の開閉動作のタイミングも司るようにしている。
【0064】
開閉扉136A,136B,137を用いて開口31a,33aを閉止することによって、より移動室3内の密閉度を高めることができるため、搬送アーム24を開口31a,33aより突出させる必要がない場合には、開閉扉136A,136B,137を閉止することにより、移動室103の内部の窒素ガスの濃度を高めたり、使用量を削減したりすることも可能である。
【0065】
以上のように構成した場合においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0066】
さらには、本実施形態における基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置102は、開口31a,33aを開閉するための開閉扉136A,136B,137を備えるように構成しているため、開口31a,33aより搬送アーム24の先端を進出させる必要がない場合には、開閉扉136A,136B,137によって開口31a,33aを閉じることで、より移動室3内の密閉度を高めて、外部からのガスやパーティクルの侵入を抑制することができるとともに、移動室103内に供給する窒素ガスの使用量の削減や濃度を高めることが可能となっている。
【0067】
<第3実施形態>
図9及び
図10は、第3実施形態の基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置202及びこれを備えるEFEM201を示す模式図である。この図において、上述の第1及び第2実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0068】
EFEM201は、本体211とこれを制御する制御手段9(
図1参照)より構成されており、本体211は移動室203を含むウェーハ搬送装置202を備えるものとなっている。この実施形態におけるウェーハ搬送装置202は、移動室203を構成するロードポート261側の壁部231に、開口231aを開閉可能とする開閉扉236を備えている点に特徴がある。
【0069】
また、
図9(a)に示すように、ロードポート261は、FOUP62の蓋部62aと連結することのできる扉261aを備えている。扉261aの下方には、水平方向に延びる支持基部261bが一体的に設けられており、その端部にはローラ261cが設けられている。そして、このローラ261cがT字状に形成されたレール261dに係合することで、レール261dに沿って位置規制されながら移動できるように構成されている。さらに、支持基部261bには図示しないアクチュエータが接続されており、制御手段9(
図1参照)からの命令に応じて、支持基部261bとともに蓋部261aを移動させることが可能となっている。また、扉261aには適宜の連結手段が設けられており、一方の面でFOUP62の蓋部62aと連結して、他方の面で開閉扉236と連結することが可能となっている。
【0070】
扉261aは、以下のように動作することで、FOUP62の蓋部62aと、開閉扉236とを開放することが可能となっている。まず、
図9(a)のように、ロードポート261上にFOUP62を載置させることにより、扉261aの一方の面にFOUP62の蓋部62aが接触して互いに連結される。そして、
図9(b)のように扉261aが、FOUP62より離間する方向(図中の右方向)に移動して、FOUP62の本体より蓋部62aを離間させるとともに、扉261aの他方の面を開閉扉236に接触させて両者を連結させる。そして
図10(a)のように、僅かに移動室203の壁部231より離間させて、開閉扉236を開口231aより離間させた状態とする。そして、
図10(b)のように、ウェーハ搬送室5の筐体壁51aと移動室3の壁部231との間で、蓋部62aと開閉扉236とを連結させた状態で扉261aを下降させる。こうすることで開口231aとFOUP62の内部とが互いに開放された状態とすることができる。
【0071】
なお、この構造を採用する場合には、扉261aを下方に引き込む空間を確保するため、設計によっては、ウェーハ搬送室5の筐体壁51aと移動室3の壁部231との間の距離が大きくなることもある。その場合には、移動室203と筐体壁51aのいずれか一方、あるいは双方より板状のカバー部材を突出させて、シール部Xを構成すれば良い。
【0072】
このように構成した場合であっても、上述した第1及び第2実施形態と同様の効果を得ることが可能であり、さらには、開閉扉236の開閉を簡単な構造で実現することができコスト削減を図ることが可能になるとともに、開閉扉236の開放をFOUP62の蓋部62aの開放と連動させて行わせることで、外部からのガスやパーティクルの侵入を一層抑制することが可能となる。
【0073】
<第4実施形態>
図11は、第4実施形態の基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置302及びこれを備えるEFEM301を示す模式図である。この図において、上述の第1〜第3実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0074】
EFEM301は、本体311とこれを制御する制御手段9より構成されており、本体311は移動室303を含むウェーハ搬送装置302を備えるものとなっている。この実施形態におけるウェーハ搬送装置302は、上述した第1実施形態における構成を基礎として、移動室303の天井壁35の直下にフィルタ部材344を配置している点に特徴がある。
【0075】
フィルタ部材344は、天井壁35とほぼ同じ大きさに形成されており、ガス供給手段41を構成するガス供給口41a〜41aより供給されるガスが、フィルタ部材344を介して、移動室303の内部に供給されるようにしている。
【0076】
このように構成した場合であっても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることが可能であり、さらには、ガス供給手段41によって供給されるガスにパーティクルが含まれる場合であっても、これを除去したより清浄なガスを移動室303の内部に導入して、ウェーハWの汚染をより一層抑制することが可能となる。
【0077】
<第5実施形態>
図12及び
図13は、第5実施形態の基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置402及びこれを備えるEFEM401を示す模式図である。この図において、上述の第1〜第4実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0078】
EFEM401は、本体411とこれを制御する制御手段409より構成されており、本体411は移動室403を含むウェーハ搬送装置402を備えるものとなっている。この実施形態におけるウェーハ搬送装置402は、上述した第4実施形態における構成を基礎として、移動室403の下方よりガスを取り込んで移動室403の上部より再度導入させるガス循環手段445を備えている点に特徴がある。
【0079】
ガス循環手段445は、移動室403の外周に沿って設けられた循環ダクト445aと、ファン445bとから構成されており、ファン445bを作動させることにより、壁部34の下方に設けられた開口を通じて移動室403内よりガスを取り出し、天井壁35に設けられた開口よりガスを再び導入させるようになっている。天井壁35より導入されたガスは、フィルタ344を通じて移動室403の内部に導入されるため、より清浄なものとすることができる。なお、ファン445bによって取り出されたガスの全てを移動室403内に戻すことは必須ではなく、必要に応じて取り出したガスの一部を移動室403内に戻し、残りを外部に排出させるようにしてもよい。
【0080】
このようなガス循環手段445を動作させるために、制御手段409はガス循環制御部498を備えており、ガス循環制御部498からの駆動指令に応じてファン445bが作動することで、ガスの循環の開始と停止、さらには循環を行わせる際のガスの流量を変更することが可能となっている。加えて、制御手段409が備えるタイミング制御部496は、ガス供給制御部94とガス排出制御部95による制御タイミングに加えて、ガス循環制御部498による制御タイミングをも司るようにしている。
【0081】
以上のように構成した場合においても、上述した第4実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0082】
さらには、本実施形態における基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置402は、移動室403内のガスを取り出し、取り出したガスの少なくとも一部を、フィルタ344を通過させた上で移動室403内に再び導入させるガス循環手段445を備えるように構成しているため、移動室403内の雰囲気をより清浄にして、ウェーハWへのパーティクルの付着を一層抑制することが可能となる。
【0083】
<第6実施形態>
図14は、第6実施形態の基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置502及びこれを備えるEFEM501を示す模式図である。この図において、上述の第1〜第5実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0084】
EFEM501は、本体511とこれを制御する制御手段9(
図1参照)より構成されており、本体511は移動室503を含むウェーハ搬送装置502を備えるものとなっている。この実施形態におけるウェーハ搬送装置502は、第1実施形態における構成を基礎として、移動室503の形状及びこれを支持するための支持構造を変更したものとなっている。
【0085】
具体的には、この実施形態におけるウェーハ搬送装置502は、筐体51の下面を構成する底壁部521を床面F上に設置し、底壁部521の上部にガイドレール26及びローラ27,27を介して可動台22を設けている。すなわち、この実施形態では、第1実施形態における固定台21(
図4参照)による底上げ構造を備えていない。そして、可動台22上にベース23を設けており、そのベース23の上部には、移動室503が設けられている。移動室503は、底壁536と天井壁535に加えて、搬送アーム24の四方を囲う壁部531,533等によって構成されており、その内部で略閉止空間を形成されている。底壁536に設けられた開口を通じて、ベース23の上部より支柱526が上方に向かって立ち上がっており、この支柱526の上部で搬送アーム24は支持されている。そして、支柱526内に組み込まれた適宜の伝達機構によって、ベース23から搬送アーム24に駆動力が伝達され、搬送アーム24の伸縮を行うことが可能となっている。
【0086】
一般に、搬送アーム24と、これを駆動するための機構を備えるベース23とから構成される部分を指して、搬送ロボットと称することが多いことからすると、本実施形態における構成は、搬送ロボットの一部をなす搬送アーム24を移動室503内に収容し、他の部分をなすベース23を移動室外に備える構成としたものと換言することができる。
【0087】
このようにベース23を移動室503の外部に配置する構造とすることも可能であり、こうした場合であっても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
<第7実施形態>
【0088】
図15は、第7実施形態の基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置602及びこれを備えるEFEM601を示す模式図である。この図において、上述の第1〜第6実施形態と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0089】
EFEM601は、本体611とこれを制御する制御手段609より構成されており、本体611は移動室603を含むウェーハ搬送装置602を備えるものとなっている。この実施形態におけるウェーハ搬送装置602は、第1実施形態における構成を基礎として、移動室603の内部に加熱手段としての加熱ランプ646を設けている点に特徴がある。
【0090】
加熱ランプ646は、ベース23の側方より立ち上げた支持アーム646aによって支持されており、ベース23の上にウェーハWを位置させた際に、そのウェーハWの表面に相対し得る位置に設けられている。なお、支持アーム646aをベース23より離間させて、可動台22上より直接立ち上げる構成としてもよい。
【0091】
制御手段609は、加熱ランプ制御部699を備えており、加熱ランプ制御部699を通じて加熱ランプ646に電流が与えられることで、加熱ランプ646より発せられる輻射熱によってウェーハWの表面が加熱されるようになっている。なお、加熱手段として、加熱ランプ646以外にも、一般によく知られている電熱線ヒータなど様々なものを用いることが可能である。
【0092】
加熱ランプ646によってウェーハWの表面を加熱することで、付着していた水分を蒸発させて除去させることができる上に、処理装置8(
図1参照)に移載した後の処理のための予備加熱として利用することが可能となっている。加えて、制御手段609が備えるタイミング制御部696は、ガス供給制御部94とガス排出制御部95による制御タイミングに加えて、加熱ランプ制御部699による制御タイミングをも司るようにしている。こうすることで、ウェーハWを移動室602に引き込んだ際に、ウェーハW表面の加熱と、ウェーハW表面へのガスの供給などを適宜のタイミングで行うことが可能となり、後工程に備えた予備工程として好適に作用させることが可能となっている。
【0093】
以上のように構成した場合においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0094】
さらには、本実施形態における基板搬送装置としてのウェーハ搬送装置602は、移動室603内において、搬送アーム24上のウェーハWと相対し得る位置に、ウェーハWの表面を加熱するための加熱手段としての加熱ランプ646を備えるように構成しているため、搬送過程において搬送アーム24上のウェーハWの表面を加熱ランプ646によって加熱することができるため、水分を除去して水分によるウェーハW表面の特性変化を抑制することや、受け渡し後に行う処理工程のために予備加熱を行うことも可能である。
【0095】
加えて、ガス供給手段41、ガス排出手段としての排気ダクト42(
図1参照)及び加熱ランプ646の制御を行うための制御手段609を備え、この制御手段609が、ガス供給手段41、排気ダクト42及び加熱ランプ646の動作タイミングを制御するためのタイミング制御部696をさらに備えるように構成しているため、ウェーハW及び他の処理工程に適した動作タイミングでウェーハWの加熱と移動室603内のガスパージを行うことが可能となっている。
【0096】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0097】
例えば、上述した実施形態では、ウェーハW周辺の雰囲気を置換するためのガスとして窒素ガスを使用していたが、処理に応じて空気やオゾン等種々様々なガスを用いることができる。また、ウェーハ搬送室5内よりも、クリーン度の高い清浄エアを用いることも、加熱手段によって高温にされた加熱エアであっても使用することができる。
【0098】
また、上述の実施形態では、ロードポート61上に設けたFOUP62とロードロック室81との間で、ウェーハWの搬送を行うものとしていたが、FOUP62,62間での受け渡しを行わせる場合などにも用いることができる。FOUP62,62間での移載のみを行わせる場合には、移動室3の一方の壁部31にのみ開口31aを設ける構成とすることでも足りる。
【0099】
さらには、上述の実施形態では、所定の軌道を構成するガイドレール26を直線状に形成し、これに沿って移動室3も直線状に移動するようにしていたが、ガイドレール26の形状はこれに限ることなく、複数の直線や曲線を組み合わせたものとして、移動室3を他方向に移動させるようにすることもできる。また、ガイドレール26を上下方向に延在するように配置すれば、移動室3を上下方向に移動させることもできる。移動室3の移動方向の規制が可能であれば、ガイドレール26に限らず、ガイドローラやワイヤ等の他の手段によって軌道を構成することもできる。
【0100】
また、上述の実施形態では、ピック25を移動室3内に引き込んだ際に、搬送アーム24全体が移動室3内に収容されるように構成していたが、搬送中のウェーハW周辺の雰囲気を適切に保つためには、少なくとも搬送アーム24先端のピック25をウェーハWとともに移動室3内に収容可能とすることで足りる。具体的には、上述した第6実施形態に係る構成を基に、
図16に示すように変形した基板搬送装置702として構成することもできる。この変形例においては、移動室703は搬送アーム24先端付近のみを収容可能に構成されるとともに、搬送アーム24とともに支柱526を軸として回動可能となっている。この構成によれば、搬送アーム24によるウェーハWの搬送に合わせて移動室703が向きを変更することで、FOUP62とロードロック室81間でウェーハWを殆ど外気に晒すことなく搬送することができる。同様に、搬送アーム24の移動に応じて移動室703が移動するように構成してもよい。これらの場合には、上述した実施形態に比べて移動室703を更に小型化することができ、ガスの使用量を一層削減することも可能となる。
【0101】
そして、第2実施形態又は第3実施形態として記載した開口31a,33a,231a,233aを閉止するための開閉扉136A,136B,137,236を備える構成を前提として、移動室3の壁部31,33をロードポート61に直接的に接続し得る構成とした場合、あるいは、両者の隙間を塞ぐシール部材を備える構成とした場合には、外気に晒すことなく移動室3の内部とFOUP62の内部とを連通させることが可能となる。このような構成とした場合には、筐体51を不要として、さらに製造コストを低減することも可能となる。
【0102】
また、上述の実施形態では基板としてウェーハWを用いるものを前提としていたが、本発明はガラス基板等様々な精密加工品を対象とする基板搬送装置に用いることができる。
【0103】
さらには、搬送アーム24としては、上述したリンク式アームロボットや、SCARA型多関節ロボットに限ることなく多様なものを使用することもできる。
【0104】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。