特開2015-116091(P2015-116091A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シンフォニアテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015116091-電力変換装置 図000003
  • 特開2015116091-電力変換装置 図000004
  • 特開2015116091-電力変換装置 図000005
  • 特開2015116091-電力変換装置 図000006
  • 特開2015116091-電力変換装置 図000007
  • 特開2015116091-電力変換装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-116091(P2015-116091A)
(43)【公開日】2015年6月22日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20150526BHJP
【FI】
   H02M3/28 P
   H02M3/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-258150(P2013-258150)
(22)【出願日】2013年12月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(72)【発明者】
【氏名】井熊 俊明
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA04
5H730AA20
5H730AS02
5H730BB27
5H730BB57
5H730BB98
5H730DD02
5H730DD16
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE59
5H730EE60
5H730FD31
5H730FF06
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】所望の直流電流を得るために必要な交流を供給することができる電力変換装置を提供することである。
【解決手段】制御装置4は、PWM方式を用いてインバータ3を制御する。制御装置4において、決定部41は、インバータ3の出力電圧(交流電圧)から生成される直流電流24iの電流目標値51が基準レベル53以上である場合、搬送波60の周波数をf1(Hz)に決定し、電流目標値51が基準レベル53よりも低い場合、搬送波60の周波数をf1(Hz)よりも低いf2(Hz)に決定する。基準レベル53は、電流目標値51が直流電流24iのレベルが第1の範囲に存在するか第1の範囲よりも低い第2の範囲に存在するかを判断するためのしきい値である。発振器42は、決定部41の決定に応じて、f1又はf2(Hz)の搬送波60を生成する。PWM制御部43は、電流目標値51と搬送波60とを用いてPWM信号61〜64を生成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の直流電流を交流電流に変換するインバータと、
前記インバータをPWM方式を用いて制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記交流電流から変換されることにより生成される第2の直流電流の目標値が、前記第2の直流電流のレベルが第1の範囲に存在するか前記第1の範囲よりも低い第2の範囲に存在するかを判断するための基準レベル以上である場合、前記PWM方式で用いられる搬送波の周波数を第1の周波数に決定し、前記目標値が前記基準レベルよりも低い場合、前記搬送波の周波数を前記第1の周波数よりも低い第2の周波数に決定する決定部と、
前記決定部により決定された周波数に応じて、前記第1の周波数を有する搬送波又は前記第2の周波数を有する搬送波を生成する発振器と、
前記目標値と前記発振器により生成された搬送波とを用いて所定のデッドタイムを含むPWM信号を生成し、生成した前記PWM信号を前記インバータに供給するPWM制御部とを備える、電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記搬送波の周波数をf(Hz)、前記所定のデッドタイムをDT(sec)、前記所定のデッドタイムに起因して発生する交流電流をId(A)、前記PWM信号の1周期あたりの前記交流電流の平均値の所望値をI(A)とした場合、前記決定部は、下記式(1)を満たす周波数を前記第2の周波数として決定する、電力変換装置。
I=|Id|×DT×f ・・・(1)
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置であって、
前記インバータは、
第1のスイッチング素子を含む第1のアームと、第2のスイッチング素子を含み前記第1のアームの低電位側に直列に接続される第2のアームとを備える第1のレグと、
第3のスイッチング素子を含む第3のアームと、第4のスイッチング素子を含み前記第3のアームの低電位側に直列に接続される第4のアームとを備える第2のレグとを備え、
前記PWM制御部は、位相シフトPWM方式に基づいて、前記第1の周波数を有するPWM信号又は前記第2の周波数を有するPWM信号を生成し、生成したPWM信号を前記第1〜第4のスイッチング素子の各々に供給する、電力変換装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
前記決定部は、前記第1の周波数と、前記目標値と、前記第2の直流電流の検出値とを用いて、前記第2の周波数を決定する、電力変換装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、
前記決定部は、前記目標値が前記基準レベルよりも小さく、かつ、前記第2の直流電流の検出値が前記基準レベルよりも小さい場合、前記搬送波の周波数を前記第2の周波数に決定する、電力変換装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置であって、さらに、
前記インバータにより変換された交流電圧の電圧レベルを変換するトランスと、
前記トランスにより変換された交流電圧を用いて、前記第2の直流電流を生成するコンバータとを備える、電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DC−DCコンバータは、直流電圧を変換する機器である。DC−DCコンバータにおいて、インバータを用いて直流をいったん交流に変換し、コンバータを用いてこの交流を再び直流に変換するタイプ(スイッチングレギュレータ)が知られている。
【0003】
DC−DCコンバータに用いられるインバータは、フルブリッジ回路を備えており、このフルブリッジ回路をPWM方式又は位相シフトPWM方式で駆動する。
【0004】
特許文献1には、フルブリッジ回路を備える位相シフト型高周波インバータが開示されている。このインバータは、PWM信号の周波数を変更することにより、対になって制御される2つのスイッチング素子の各々に電流が流れる期間を一致させる。これにより、このインバータに接続される負荷の共振周波数の変動に対応することができる。
【0005】
また、フルブリッジ回路を備えるインバータにおいて、直列に接続されるスイッチング素子が同時にオン状態となることを防ぐために、デッドタイムがPWM信号に設けられる。インバータにより生成される交流電圧は、理想的には、デッドタイムにおいて0となる。しかし、実際には、インバータの後段に接続されるトランスなど、負荷のリアクタンス成分などが原因となって、デッドタイムにパルス電圧が発生し、このパルス電圧がインバータから交流電圧として出力される。
【0006】
デッドタイムに起因するパルス電圧が、インバータから一定の周期で出力されるため、DC−DCコンバータは、一定レベル以上の直流電流を継続的に出力する。インバータを使用する従来のDC−DCコンバータは、出力することができる直流電流の最小値が、デッドタイムで発生する交流電圧(パルス電圧)に依存するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−94913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、所望の直流電流を得るために必要な交流を供給することができる電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電力変換装置は、第1の直流電流を交流電流に変換するインバータと、インバータをPWM方式を用いて制御する制御装置とを備える。制御装置は、交流電流から変換されることにより生成される第2の直流電流の目標値が、第2の直流電流のレベルが第1の範囲に存在するか第1の範囲よりも低い第2の範囲に存在するかを判断するための基準レベル以上である場合、PWM方式で用いられる搬送波の周波数を第1の周波数に決定し、目標値が基準レベルよりも低い場合、搬送波の周波数を第1の周波数よりも低い第2の周波数に決定する決定部と、決定部により決定された周波数に応じて、第1の周波数を有する搬送波又は第2の周波数を有する搬送波を生成する発振器と、目標値と発振器により生成された搬送波とを用いて所定のデッドタイムを含むPWM信号を生成し、生成したPWM信号をインバータに供給するPWM制御部とを備える。
【0010】
この構成によれば、制御装置は、目標値が基準レベルよりも小さい場合、PWM信号の周波数を第1の周波数から第2の周波数に低くする。第2の直流電流のうちデッドタイムに発生する交流電流から生成される成分のレベルを、PWM信号が第1の周波数を有するときよりも小さくすることができる。これにより、目標値が基準レベルよりも低い場合であっても、目標値に応じた第2の直流電流を生成するための交流電流を供給することができる。
【0011】
また、搬送波の周波数をf(Hz)、所定のデッドタイムをDT(sec)、所定のデッドタイムに起因して発生する交流電流をId(A)、PWM信号の1周期あたりの前記交流電流の平均値の所望値をI(A)とした場合、決定部は、下記式(1)を満たす周波数を第2の周波数として決定する。
【0012】
I=|Id|×DT×f ・・・(1)
【0013】
この構成によれば、第2周波数を有する搬送波から生成されるPWM信号でインバータを駆動させた場合、交流電流の絶対値の平均値を所望値に制御することができる。従って、目標値が基準レベルよりも小さい場合に、直流電流のうち、デッドタイムで発生する交流電圧から生成される成分を抑制することができる。
【0014】
また、インバータは、第1のレグと、第2のレグとを備える。第1のレグは、第1のスイッチング素子を含む第1のアームと、第2のスイッチング素子を含み第1のアームの低電位側に直列に接続される第2のアームとを備える。第2のレグは、第3のスイッチング素子を含む第3のアームと、第4のスイッチング素子を含み第3のアームの低電位側に直列に接続される第4のアームとを備える第2のレグとを備える。PWM制御部は、位相シフトPWM方式に基づいて、第1の周波数を有するPWM信号又は第2の周波数を有するPWM信号を生成し、生成したPWM信号を第1〜第4のスイッチング素子の各々に供給する。
【0015】
この構成によれば、制御装置は、インバータを位相シフトPWM方式で駆動することができる。デッドタイムが、第1のスイッチング素子に供給されるPWM信号と第2のスイッチング素子に供給されるPWM信号との位相差よりも短くなるため、直流電流のうち、デッドタイムで発生する交流電圧から生成される成分の割合を低くすることができる。
【0016】
また、決定部は、第1の周波数と、目標値と、第2の直流電流の検出値とを用いて、第2の周波数を決定する。
【0017】
この構成によれば、第2の直流電流の検出値が第2の周波数の決定に用いられることにより、デッドタイムに発生する交流電圧の影響を加味した上で、第2の周波数を決定することができる。
【0018】
また、決定部は、目標値が基準レベルよりも小さく、かつ、第2の直流電流の検出値が基準レベルよりも小さい場合、搬送波の周波数を第2の周波数に決定する。
【0019】
この構成によれば、第1の周波数及び第2の周波数のいずれを使用するかが、電流目標値だけでなく、第2の直流電流の検出値に基づいて決定されるため、第2の周波数を使用するか否かの判断精度を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る電力変換装置は、さらに、インバータにより変換された交流電圧の電圧レベルを変換するトランスと、トランスにより変換された交流電圧を用いて、第2の直流電流を生成するコンバータとを備える。
【0021】
この構成によれば、トランスの1次コイルと2次コイルとが物理的に接触しないため、本発明の電力変換装置を非接触充電システムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態に係る電力変換装置を用いる非接触充電システムの構成を示す機能ブロック図である。
図2図1に示すインバータの構成を示す機能ブロック図である。
図3図1に示す制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4図2に示すPWM信号及びインバータからの出力電圧の時間変化を示すグラフである。
図5図2に示すPWM信号及びデッドタイムに起因して発生する交流電圧の時間変化を示すグラフである。
図6図5に示すデッドタイムに起因して発生する交流電圧の平均値の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0024】
[1.非接触充電システム100の構成]
[1.1.全体構成]
図1は、本実施の形態に係る交流電力供給装置11を用いる非接触充電システム100の構成を示す機能ブロック図である。図1に示すように、非接触充電システム100は、自動車7と商用電源とを電源ケーブルなどを介して物理的に接続することなく、自動車7に搭載されたバッテリ14に電力を供給する。なお、本実施の形態では、非接触充電システム100を例にして説明するが、これに限られず、充電システムは、負荷電流の共振型であればよい。
【0025】
非接触充電システム100は、交流電力供給装置11と、トランス12と、コンバータ13と、バッテリ14とを備える。
【0026】
交流電力供給装置11は、商用電源(例えば、AC100V)から、商用電源と異なる電圧を有する交流22を生成する電力変換装置である。交流22は、交流電圧22v及び交流電流22iを含む。交流電力供給装置11は、駐車場の地上又は地中に設けられる。
【0027】
交流電力供給装置11は、コンバータ2と、インバータ3と、制御装置4とを備える。コンバータ2は、商用電源から直流電圧21vを生成する。インバータ3は、後述するフルブリッジ回路を備えており、直流電圧21vを交流電流22iに変換する。制御装置4は、位相シフトPWM方式を用いて、インバータ3を制御する。
【0028】
トランス12は、交流電圧22vの電圧レベルを変換して交流電圧23vを生成する。トランス12の1次コイル12aは、交流電力供給装置11に接続され、交流電力供給装置11とともに地中に設けられる。2次コイル12bは、自動車7に搭載される。なお、図1において、1次コイル12a及び2次コイル12b以外のトランス12の構成要素の表示を省略している。
【0029】
コンバータ13は、トランス12により変換された交流電圧23vを用いて直流電圧24vを生成する。コンバータ13は、直流電圧24v及び直流電流24iを含む直流24をバッテリ14に供給する。バッテリ14は、コンバータ13から供給される直流電流24iによって充電される。
【0030】
[1.2.インバータ3の構成]
図2は、インバータ3の構成を示す機能ブロック図である。インバータ3は、コンバータ2の両端に並列に接続される1対のレグ3a及び3bを備えるフルブリッジ回路である。
【0031】
レグ3aは、コンバータ2の両端に直列に接続されるアーム31及び32を備える。アーム32は、アーム31よりも低電位側に接続される。出力端子35が、アーム31とアーム32との間に設けられる。アーム31は、スイッチング素子311と、スイッチング素子311と逆並列に接続されるダイオード312とを備える。アーム32は、スイッチング素子321と、スイッチング素子321と逆並列に接続されるダイオード322とを備える。
【0032】
レグ3bは、コンバータ2の両端に直列に接続されるアーム33及び34を備える。アーム34は、アーム33よりも低電位側に接続される。出力端子36が、アーム33とアーム34との間に設けられる。アーム33は、スイッチング素子331と、スイッチング素子331と逆並列に接続されるダイオード332とを備える。アーム34は、スイッチング素子341と、スイッチング素子341と逆並列に接続されるダイオード342とを備える。
【0033】
スイッチング素子311,321,331,341は、高周波(数10kHz以上)に対応した半導体デバイスであり、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子311,321,331,341のゲートは、制御装置4に接続され、PWM信号61〜64を受ける。
【0034】
[1.3.トランス12の構成]
トランス12は、共振型であり、1次コイル12aと、2次コイル12bとを備える。1次コイル12aは、インバータ3の出力端子35及び36の間に、インバータ3の負荷として接続される。2次コイル12bは、自動車7が駐車場の所定の位置に停止したときに1次コイル12aと対向する。2次コイル12bは、対向する1次コイル12aから電磁誘導方式により電力の供給を受け、コンバータ13へ交流電圧23vを出力する。
【0035】
[1.4.コンバータ13の構成]
コンバータ13は、整流器131とコンデンサ132とを備える。2次コイル12bの両端が整流器131に接続されており、整流器131は、トランス12から出力される交流電圧23vを入力する。整流器131は、交流電圧23vを用いて、直流電圧24vを生成する。コンデンサ132は、整流器131から出力される直流電圧24vを平滑化する。
【0036】
整流器131の高電位側の出力には、変流器133が接続される。電流計134は、変流器133の出力を用いて、コンバータ13から出力される直流電流24iを検出する。電流計134は、直流電流24iの検出値13aを制御装置4へ供給する。
【0037】
なお、交流電力供給装置11と自動車7とは、無線通信装置(図示省略)を備えており、相互に通信可能である。電流計134により検出された検出値13aは、無線通信により制御装置4へ送信される。
【0038】
[1.5.制御装置4の構成]
図3は、制御装置4の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御装置4は、電流目標値51及び周波数指令値52に基づくPWM信号61〜64を生成する。PWM信号61〜64は、スイッチング素子311,321,331,341のゲートにそれぞれ供給される。電流目標値51は、コンバータ13からバッテリ14に供給される直流電流24i(図2参照)の指令値である。周波数指令値52は、PWM信号61〜64の生成に用いられる搬送波60のデフォルトの周波数f1(Hz)を示す。
【0039】
制御装置4は、決定部41と、発振器42と、PWM制御部43とを備える。
【0040】
決定部41は、検出値13a、電流目標値51、及び基準レベル53に基づいて、搬送波60の周波数をf1(Hz)とするか、f1(Hz)よりも低いf2(Hz)とするかを決定する。基準レベル53は、直流電流24iのレベルが大電流範囲に存在するか小電流範囲に存在するかを判断するためのしきい値である。小電流範囲は、大電流範囲よりも電流のレベルが低い。大電流範囲は、例えば、急速充電の際にバッテリ14に供給される電流のレベルを示す。小電流範囲は、例えば、バッテリ14が満充電の状態に近い場合にバッテリ14に供給される電流のレベルを示す。
【0041】
発振器42は、決定部41により決定された周波数に応じて、f1(Hz)を有する搬送波60又はf2(Hz)を有する搬送波60を生成する。
【0042】
PWM制御部43は、発振器42により生成された搬送波60から、所定のデッドタイムを含むPWM信号61〜64を生成してスイッチング素子311,321,331,341のゲートに供給する。
【0043】
以下、決定部41の構成について説明する。決定部41は、比較器411,412と、AND回路413と、演算器414,418と、ACR(Automatic Current Regulator)415と、リミッタ416と、スイッチ417とを備える。
【0044】
比較器411は、電流目標値51を基準レベル53と比較し、その比較結果をAND回路413に供給する。比較器411は、電流目標値51が基準レベル53以上である場合、論理レベル「0」の信号を供給する。比較器411は、電流目標値51が基準レベル53よりも低い場合、論理レベル「1」の信号を供給する。
【0045】
比較器412は、検出値13aを基準レベル53と比較し、その比較結果をAND回路413に供給する。比較器412は、検出値13aが基準レベル43以上である場合、論理レベル「0」の信号を供給する。比較器412は、検出値13aが基準レベル53よりも低い場合、論理レベル「1」の信号を供給する。
【0046】
AND回路413は、比較器411の比較結果と比較器412の比較結果との論理和を、切り換え信号としてスイッチ417に供給する。電流目標値51が基準レベル53よりも低く、かつ、検出値13aが基準レベル53よりも低い場合(比較器411及び412の両者から論理レベル「1」の信号が供給された場合)、AND回路413は、論理レベル「1」の切り換え信号を出力する。上記以外の場合、AND回路413は、論路レベル「0」の切り換え信号を出力する。
【0047】
演算器414は、電流目標値51から検出値13aを減算して差分信号54を生成する。ACR415は、差分信号54を増幅して周波数制御信号55を生成する。周波数制御信号55の詳細は、後述する。リミッタ416は、周波数制御信号55のレベルをゼロレベルよりも低いマイナスの所定範囲となるように調整し、調整された周波数制御信号55を端子417bに供給する。
【0048】
スイッチ417は、論理レベル「1」の切り換え信号がAND回路413から供給された場合、端子417aを演算器418に接続させる。端子417aには、ゼロレベルの周波数制御信号55が供給される。一方、論理レベル「1」の切り換え信号が供給された場合、スイッチ417は、端子417bを演算器418と接続させる。端子417bには、ゼロレベルよりも低い周波数制御信号55が供給される。
【0049】
演算器418は、周波数指令値52と、スイッチ417から供給される周波数制御信号55とを加算して周波数指令値52aを生成し、その生成された周波数指令値52aを発振器42に供給する。
【0050】
以下、PWM制御部43の構成について説明する。PWM制御部43は、演算器431と、ACR432と、位相制御部433と、NOT回路434,435と、デッドタイム挿入回路436〜439とを備える。
【0051】
演算器431は、電流目標値51から検出値13aを減算して差分信号56を生成する。ACR432は、演算器431から供給される差分信号56を増幅して、位相シフトPWM方式のパラメータである位相差θを示す位相制御信号57を生成する。位相制御部433は、ACR432から供給される位相制御信号57を用いて、搬送波60の位相をシフトさせる。
【0052】
デッドタイム挿入回路436は、発振器42により生成された搬送波60に所定のデッドタイムを付与して、PWM信号61を生成する。
【0053】
NOT回路434は、発振器42により生成された搬送波60の信号レベルを反転させる。デッドタイム挿入回路437は、反転された搬送波60に所定のデッドタイムを付与してPWM信号62を生成する。
【0054】
デッドタイム挿入回路438は、位相制御部433により位相をシフトされた搬送波60に所定のデッドタイムを付与してPWM信号63を生成する。
【0055】
NOT回路435は、位相制御部433により位相をシフトされた搬送波60の信号レベルを反転させる。デッドタイム挿入回路439は、反転された搬送波60に所定のデッドタイムを付与してPWM信号64を生成する。
【0056】
[2.搬送波60の周波数]
制御装置4は、PWM信号61〜64の生成に用いられる搬送波60の周波数をf1(Hz)又はf1(Hz)よりも低いf2(Hz)に決定する。
【0057】
具体的には、決定部41は、電流目標値51が基準レベル53以上である場合、搬送波60の周波数をf1(Hz)に決定し、電流目標値51が基準レベル53よりも低い場合、搬送波60の周波数をf2(Hz)に決定する。これにより、インバータ3は、デッドタイムに発生する交流電圧の影響を抑制でき、直流電圧24vを生成するために必要な交流電圧22vを、トランス12を介してコンバータ13に供給することができる。以下、その理由を説明する。
【0058】
[2.1.デッドタイムに発生する交流電圧の影響]
デッドタイムに発生する交流電圧及び交流電流の影響を説明する。上述のように、インバータ3は、数10kHz以上の高周波で駆動する。しかし、PWM信号61〜64の周波数が高くなるにつれて、PWM信号61〜64の1周期におけるデッドタイムの割合が増加する。この結果、電流目標値51に応じた直流電流24iを生成することが困難となる場合がある。
【0059】
図4は、PWM信号61〜64及び交流電圧22vの時間変化を示すグラフである。図4に示すように、PWM信号61とPWM信号63との位相差(PWM信号62とPWM信号64との位相差)は、θである。
【0060】
制御装置4は、位相差θを制御することにより、PWM信号61及び64(あるいは、PWM信号62及び63)が共にハイレベルとなる期間を調整する。出力端子35と出力端子36との間に電流が流れる期間を制御することで、交流電圧22v及び交流電流22iを発生させることができる。
【0061】
位相差θを増加させた場合、PWM信号61及び64(あるいは、PWM信号62及び63)が共にハイレベルとなる期間が増加する。出力端子35と出力端子36との間に電流が流れる期間が増加するため、交流電圧22vがA(V)又は−A(V)となる期間TAも同様に増加する。逆に、位相差θを減少させた場合、期間TAも同様に減少する。このように、位相差θに応じて、交流電圧22vの実効値を変化させることができる。
【0062】
デッドタイムDT1は、スイッチング素子311及び321が同時にオンされることを防ぐために、PWM信号61及び62に付与される。デッドタイムDT2は、スイッチング素子331及び341が同時にオンされることを防ぐために、PWM信号63及び64に付与される。デッドタイムDT1は、デッドタイムDT2よりも短い。この理由は、図2に示すスイッチング素子311,321,331,341の各々に対して、図示しないスナバ回路が接続されているためである。スナバ回路は、コンデンサを含んでおり、このコンデンサは、PWM信号の電圧変化に応じてパルス電流を発生する。デットタイムDT2をデッドタイムDT1よりも長くすることにより、スナバ回路のコンデンサを原因とするパルス電流の影響を抑制することができる。なお、図4では、デッドタイムDT1及びDT2に発生する交流電圧22vの表示を省略している。
【0063】
図5は、位相差θ=0のときにおける交流電圧22v及び交流電流22iの時間変化を示すグラフである。図5において、デッドタイムDT1は、デッドタイムDT2と一部重複している。
【0064】
位相差θ=0のとき、PWM信号61及び64が共にハイレベルとなる期間が存在しないため、出力電圧35と出力電圧36との間に電位差が発生しない。この結果、交流電圧22vの実効値は、理想的には0となり、交流電流22iも0となる。従って、コンバータ13から直流24は出力されない。しかし実際には、図5に示すように、デッドタイムDT2において交流電圧22vが発生し、デッドタイムDT2に発生した交流電圧22vに応じた交流電流22iが発生する。
【0065】
以下、デッドタイムDT2に発生する交流電圧22vを「デッドタイム電圧」と呼び、デッドタイムDT2に発生する交流電圧22vに応じて発生する交流電流22iを「デッドタイム電流」と呼ぶ。また、デッドタイムDT1は、デッドタイムDT2よりも短いため、デッドタイムDT1に発生する交流電圧22v及び交流電流22iは、デッドタイムDT2に発生した交流電圧22v及び交流電流22iに比べて無視できると仮定する。
【0066】
デッドタイム電圧は、トランス12の1次コイル12aなど、交流電力供給装置11に含まれるリアクタンス成分により発生する。このリアクタンス成分は、交流電力供給装置11の構成に基づいて定まるため、デッドタイム電圧は、PWM信号の周波数及び位相差θに依存しない。つまり、インバータ3は、デッドタイム電圧の実効値よりも小さい実効値を有する交流電圧22vを生成することができない。この結果、位相差θ=0の場合においても、トランス12は、デッドタイム電圧を変換して交流電圧23vを生成する。コンバータ13は、生成された交流電圧23vを用いて、直流電圧24vを生成する。
【0067】
位相差θが0でない場合においても、上記と同様に、デッドタイム電圧及びデッドタイム電流が発生する。つまり、直流電流24iは、位相差θに関係なく、デッドタイム電流から生成される直流成分(デッドタイム成分)を含む。
【0068】
PWM信号の周波数が高くなるにつれて、1周期あたりのデッドタイムの割合が増加するため、PWM信号の1周期におけるデッドタイム電圧の平均値及びデッドタイム電流の平均値は、周波数が高くなるにつれて増加する。この結果、デッドタイム成分のレベルが上昇する。特に、電流目標値51が基準レベル53よりも低い場合、電流目標値51に応じた直流電流24iにおいて、デッドタイム成分の割合が高くなる。これにより、非接触充電システム100は、電流目標値51に応じた直流電流24iを生成することが困難となる。
【0069】
[2.2.搬送波60の周波数の決定]
そこで、制御装置4は、電流目標値51に応じて、PWM信号の1周期あたりにおけるデッドタイム電圧及びデッドタイム電流の平均値を変化させる。これにより、交流電力供給装置11は、電流目標値51に応じた直流電流24iを生成することが可能な交流電圧22vを供給することができる。
【0070】
電流目標値51が基準レベル53以上であるとき、直流電流24iにおいてデッドタイム成分の割合が比較的低い。この場合、制御装置4は、周波数f1(Hz)を有するPWM信号61〜64を用いてインバータ3を駆動させたとしても、電流目標値51に応じた直流電流24iを生成することができる。従って、制御装置4は、搬送波60の周波数をf1(Hz)に決定する。
【0071】
一方、電流目標値51が基準レベル53よりも低いとき、直流電流24iにおいてデッドタイム成分の割合が高い。この場合、制御装置4は、周波数f1(Hz)を有するPWM信号61〜64を用いてインバータ3を駆動させたとしても、電流目標値51に応じた直流電流24iを生成することが困難である。従って、制御装置4は、デッドタイム電圧の平均値及びデッドタイム電流の平均値を下げるために、搬送波60の周波数をf2(Hz)に決定する。
【0072】
図6は、PWM信号61〜64の1周期あたりのデッドタイム電流の平均値を示す図である。図6において、上段のグラフは、PWM信号61〜64の周波数がf1(Hz)である時のデッドタイム電流の平均値Iaveを示し、下段のグラフは、PWM信号61〜64の周波数がf2(Hz)である時の平均値Iaveを示している。さらに、デッドタイム電流は、デッドタイムDT2に発生する矩形波であると仮定している。
【0073】
上記のように仮定した場合、デッドタイム電流の平均値Iaveは、下記式(2)のように表される。
【0074】
Iave=|Idt|×DT×f ・・・(2)
【0075】
式(2)において、Idtは、デッドタイム電流を示し、DTは、デッドタイムの長さを示し、fは、PWM信号61〜64の周波数を示す。
【0076】
図6において、平均値Iaveを一点鎖線で示す。f2(Hz)がf1(Hz)よりも小さいため、平均値Iaveは、PWM信号61〜64の周波数がf1(Hz)であるときより、f2(Hz)であるときの方が小さくなることが分かる。
【0077】
デッドタイム電流の平均値Iaveを低下させることにより、直流電流24iに含まれるデッドタイム成分のレベルを、電流目標値51よりも小さくすることができる。つまり、交流電力供給装置11は、電流目標値51に応じた直流電流24iを生成するために必要な交流22を供給することができる。
【0078】
また、周波数f2(Hz)は、以下のようにして決定される。上述のように、電流目標値51が基準レベル53よりも低い場合、平均値Iaveを下げる必要がある。電流目標値51が基準レベル53よりも低い場合における平均値Iaveの所望値を、Ifとする。所望値Ifは、周波数f1を有するPMW信号における平均値Iaveよりも小さい値を有する。この場合において、制御装置4は、下記式(3)を満たす周波数fを、周波数f2として決定する。
【0079】
If=|Idt|×DT×f ・・・(3)
【0080】
デッドタイムDTは、固定値であり、Idtは、交流電力供給装置11の構成に基づいて特定することができる。従って、周波数fを一意に特定することができる。
【0081】
上記のようにして、搬送波60の周波数を決定することにより、位相差θがデッドタイムDT2よりも大きい状態が維持され、交流電圧22vにおいて、位相シフトPWM方式により生成される交流電圧の寄与を、デッドタイム電圧の寄与よりも大きくすることができる。
【0082】
[3.制御装置4の動作]
図3を参照しながら、制御装置4の動作を説明する。制御装置4の初期状態として、搬送波の周波数がデフォルトのf1(Hz)に設定されていると仮定する。つまり、図3に示すように、スイッチ417が、演算器418と端子417aとを接続している。
【0083】
[3.1.搬送波60の周波数の決定]
決定部41において、比較器411は、電流目標値51が基準レベル53よりも低い場合、論理レベル「1」の信号を出力する。比較器411は、電流目標値51が基準レベル53以上である場合、論理レベル「0」の信号を出力する。
【0084】
比較器412は、検出値13aが基準レベルよりも低い場合、論理レベル「1」の信号を出力する。比較器412は、検出値13aが基準レベル53以上である場合、論理レベル「0」の信号を出力する。
【0085】
AND回路413は、比較器411及び412の両者から論理レベル「1」の信号が供給された場合、f2(Hz)の搬送波60を生成するために、論理レベル「1」の切り換え信号をスイッチ417に供給する。一方、AND回路413は、比較器411及び412の少なくとも一方から論理レベル「0」の信号が供給された場合、f1(Hz)の搬送波60を生成するために、論理レベル「0」の切り換え信号をスイッチ417に供給する。
【0086】
このように、電流目標値51と基準レベル53との比較結果だけでなく、検出値13a(直流電流24i)と基準レベル53との比較結果を用いて、搬送波60の周波数を決定することにより、搬送波60の周波数をf1(Hz)とするかf2(Hz)とするかを決定する精度を向上させることができる。
【0087】
なお、決定部41は、比較器412及びAND回路413を備えていなくてもよい。この場合、比較器411の比較結果を示す信号が、スイッチ417に供給される。
【0088】
スイッチ417は、論理レベル「0」の切り換え信号が供給された場合、演算器418と端子417aとの接続を継続する。この結果、演算器418には、端子417a及びスイッチ417を介して、ゼロレベルの周波数制御信号55が供給される。演算器418は、周波数指令値52とゼロレベルの周波数制御信号55とを加算して、周波数指令値52aを生成するが、生成された周波数指令値52aのレベルは、f1(Hz)を示す周波数指令値52のレベルと同じである。従って、発振器42は、周波数f1(Hz)を有する搬送波60を生成し、生成した搬送波60をPWM制御部43に供給する。
【0089】
一方、スイッチ417は、論理レベル「1」の切り換え信号が供給された場合、演算器418と端子417bとを接続させる。端子417bには、ゼロレベル以下の周波数制御信号55が供給される。
【0090】
ゼロレベル以下の周波数制御信号55は、決定部41において、以下のようにして生成される。演算器414は、電流目標値51から検出値13aを減算して差分信号54を生成する。ACR415は、その生成された差分信号54を非反転増幅することにより、周波数制御信号55を生成する。リミッタ416は、周波数制御信号55のレベルが0よりも低い値を有するように、周波数制御信号55のレベルを調整して端子417bに供給する。
【0091】
検出値13aが電流目標値51以上である場合には、周波数制御信号55は、差分信号54と同様に、マイナスのレベルを有する。逆に、検出値13aが電流目標値51よりも小さい場合、周波数制御信号55は、差分信号54と同様に、プラスのレベルを有する。しかし、リミッタ416により、周波数制御信号55は、ゼロレベルよりも低いレベルに調整される。従って、周波数制御信号55は、ゼロレベルよりも低いレベルを有する。
【0092】
演算器418が、ゼロレベルよりも低い周波数制御信号55を周波数指令値52に加算することにより、周波数f2(Hz)を示す周波数指令値52aが生成される。発振器42は、この周波数指令値52aに応じて、周波数f2(Hz)を有する搬送波60を生成する。
【0093】
[3.2.PWM制御部43の動作]
PWM制御部43において、演算器431は、検出値13aを電流目標値51から減算して差分信号56を生成し、その生成された差分信号56をACR432に供給する。ACR432は、差分信号56を増幅して、位相差θを示す位相制御信号57を生成する。位相制御部433は、ACR432から供給される位相制御信号57に基づいて、搬送波60の位相をシフトさせる。
【0094】
PWM制御部43におけるPWM信号61〜64の生成について、信号ごとに説明する。
【0095】
スイッチング素子311に供給されるPWM信号61の生成について説明する。搬送波がデッドタイム挿入回路436に供給される。デッドタイム挿入回路436は、デッドタイムDT1を搬送波60の信号レベルが増加する領域(立ち上がり領域)に挿入することにより、PWM信号61を生成する。
【0096】
スイッチング素子321に供給されるPWM信号62の生成について説明する。NOT回路434が、発振器42から供給される搬送波60の論理レベルを反転させる。デッドタイム挿入回路437は、デッドタイムDT1を論理レベルが反転された搬送波60の立ち上がり領域に挿入することにより、PWM信号62を生成する。
【0097】
スイッチング素子331に供給されるPWM信号63の生成について説明する。デッドタイム挿入回路438は、位相制御部44により位相をシフトされた搬送波60の立ち上がり領域に、デッドタイムDT2を挿入することにより、PWM信号63を生成する。
【0098】
スイッチング素子341に供給されるPWM信号64の生成について説明する。NOT回路435が、位相がシフトされた搬送波60の論理レベルを反転させる。デッドタイム挿入回路439は、デッドタイムDT2を、NOT回路435から供給される搬送波60の立ち上がり領域に挿入することにより、PWM信号64を生成する。
【0099】
このようにして、図4に示すようなPWM信号61〜64が生成される。スイッチング素子311,321,331,341が、PWM信号61〜64に応じてオン/オフを切り替えることにより、直流電圧21vから交流22が生成される。
【0100】
以上説明したように、制御装置4は、電流目標値51が基準レベル53以上である場合、周波数f1(Hz)の搬送波60を用いてPWM信号61〜64を生成し、電流目標値51が基準レベル53よりも小さい場合、周波数f1(Hz)よりも低いf2(Hz)の搬送波60を用いてPWM信号61〜64を生成する。これにより、PWM信号61〜64の1周期におけるデッドタイム電流(デッドタイム電圧)の平均値を変化させることができるため、交流電力供給装置11は、電流目標値51に応じた直流電流24iを生成するために必要な交流22を供給することができる。
【0101】
[変形例]
上記実施の形態においては、制御装置4が、位相シフトPWM方式によりインバータ3を制御する例を説明した。しかし、制御装置4は、通常のPWM方式でインバータ3を制御してもよい。この場合であっても、PWM信号61及び62には、デッドタイムDT1が挿入され、PWM信号63及び64には、デッドタイムDT2が挿入される。従って、デッドタイムに起因して発生するデッドタイム電流(デッドタイム電圧)の平均値を変化させることで、電流目標値51に応じた直流電流24iを生成するために必要な交流22を供給することができる。
【0102】
上記実施の形態においては、電流目標値51及び検出値13aを用いて周波数制御信号55を生成する例を説明した。しかし、周波数制御信号55の生成に、検出値13aを用いなくてもよい。この場合、決定部41は、演算器414を備えなくてもよい。
【0103】
上記実施の形態においては、トランス12、送電側回路125、コンバータ13、及びバッテリ14が自動車に搭載される例を説明したが、これに限られない。交流電力供給装置11、トランス12、及びコンバータ13を、ACアダプタなどの充電用の機器として一体化してもよい。
【0104】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0105】
100 非接触充電システム
2,13 コンバータ
3 インバータ
3a,3b レグ
4 制御装置
11 交流電力供給装置
12 トランス
31,32 アーム
41 決定部
42 発振器
43 PWM制御部
311,321,331,341 スイッチング素子
411,412 比較器
414,418,431 演算器
415,432 ACR
417 スイッチ
433 位相制御部
436〜438 デッドタイム挿入回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6