【解決手段】加工装置1は、フープ材2に軸部材を圧入する圧入機20(工作機)と、フープ材2に挿入されて圧入機20に対するフープ材2の位置決めを行うロケートピン36を有し、圧入機20が取り付けられた第一ステージ30と、圧入機20ごと第一ステージ30をスライド移動可能に支持するベースプレート13と、を備えている。第一ステージ30とベースプレート13との間に、第一溝部51aと、第一溝部51aに配置される第一転動体53と、を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術にあっては、フープ材の各加工工程を行う加工装置間に累積ピッチ誤差程度の弛みをもたせたバッファ部を設けるため、各加工装置間にスペースが必要となる。したがって、加工装置を並んで配置して加工装置ユニットを形成したときに、加工装置ユニットが大型化するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みたものであって、ワークの加工位置を精度よく位置決めできる小型な加工装置および加工装置ユニットの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の加工装置は、ワークを加工する工作機と、前記ワークに挿入されて前記工作機に対する前記ワークの位置決めを行うロケートピンを有し、前記工作機が取り付けられた第一ステージと、前記工作機ごと前記第一ステージをスライド移動可能に支持する支持部材と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
本発明によれば、ワークを加工する工作機と、工作機に対するワークの位置決めを行うロケートピンを有し、工作機が取り付けられた第一ステージと、工作機ごと第一ステージをスライド移動可能に支持する支持部材と、を備えているので、ワークの位置決め孔に対してロケートピンを挿入することにより、第一ステージが工作機ごと支持部材に対してスライド移動し、ワークの加工位置に対して工作機の位置決めをすることができる。とりわけ、ワークが例えばフープ材等の長尺部材であり、ワークの搬送方向に沿って複数の加工装置を並んで配置し、各加工装置による加工を同時に行う場合であっても、各加工装置の第一ステージが工作機ごとスライド移動して、各加工装置におけるフープ材の各加工位置に対して、それぞれ工作機の位置決めをすることができる。このため、従来技術のように各加工装置間にスペースを設ける必要がないので、加工装置を並んで配置したときに、従来技術よりも小型化ができる。したがって、ワークの加工位置を精度よく位置決めできる小型な加工装置とすることができる。
【0010】
また、前記第一ステージと前記支持部材との間に、第一溝部と、前記第一溝部に配置される第一転動体と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、第一ステージと支持部材との間に、第一溝部と第一転動体とを設けることにより、支持部材に対して工作機ごと第一ステージがスライド移動し、ワークとの位置決めを行うことができる加工装置の構成を簡単に実現できる。したがって、シンプルかつ低コストであるとともに、メンテナンスが容易な加工装置とすることができる。
【0012】
また、前記第一転動体は、球体であることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、第一転動体が球体であるので、支持部材に対して工作機ごと第一ステージが滑らかにスライド移動できるとともに、ワークに対して負荷を与えることなく精度よく位置決めできる。
【0014】
また、前記支持部材を挟んで前記第一ステージとは反対側に、前記第一ステージと連結された第二ステージを備えたことを特徴としている。
【0015】
本発明によれば、支持部材を挟んで第一ステージとは反対側に、第一ステージと連結された第二ステージを備えているので、第一ステージと第二ステージとにより支持部材を挟持した状態となる。これにより、例えば、工作機からワークに対して大きな荷重が発生したり、工作機から振動が発生したりした場合であっても、支持部材から第一ステージが脱落等するのを確実に防止できる。したがって、信頼性の高い加工装置とすることができる。
【0016】
また、前記第二ステージと前記支持部材との間に、第二溝部と、前記第二溝部に配置される第二転動体と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、支持部材から第一ステージが脱落等するのを確実に防止できる。また、第二ステージと支持部材との間に、第二溝部と第二溝部に配置される第二転動体とを備えているので、支持部材に対して第二ステージが抵抗となることなく、工作機ごと第一ステージおよび第二ステージがスライド移動できる。
【0018】
また、前記第二転動体は、球体であることを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、第二転動体が球体であるので、支持部材から第一ステージが脱落等するのを確実に防止しつつ、支持部材に対して工作機ごと第一ステージおよび第二ステージが滑らかにスライド移動できる。
【0020】
また、本発明の加工装置ユニットは、上述の加工装置を複数備え、前記工作機は、前記ワークとして長尺のフープ材を加工し、複数の前記加工装置は、前記フープ材を搬送する搬送方向に沿って並んで配置されていることを特徴としている。
【0021】
本発明によれば、各加工装置の第一ステージは、それぞれ工作機ごとスライド移動して、フープ材の各加工位置に対する圧入機の位置決めをすることができるので、フープ材の搬送方向に沿って複数の加工装置を並んで配置したときに、従来技術のように各加工装置間にフープ材の位置決め孔のピッチ誤差を吸収するためのスペースを設ける必要がない。したがって、複数の加工装置を並んで配置したときに、フープ材の各加工位置に対する工作機の位置決めをすることができるとともに、小型な加工装置ユニットとすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ワークを加工する工作機と、工作機に対するワークの位置決めを行うロケートピンを有し、工作機が取り付けられた第一ステージと、工作機ごと第一ステージをスライド移動可能に支持する支持部材と、を備えているので、ワークの位置決め孔に対してロケートピンを挿入することにより、第一ステージが工作機ごと支持部材に対してスライド移動し、ワークの加工位置に対して工作機の位置決めをすることができる。とりわけ、ワークが例えばフープ材等の長尺部材であり、ワークの搬送方向に沿って複数の加工装置を並んで配置し、各加工装置による加工を同時に行う場合であっても、各加工装置の第一ステージが工作機ごとスライド移動して、各加工装置におけるフープ材の各加工位置に対して、それぞれ工作機の位置決めをすることができる。このため、従来技術のように各加工装置間にスペースを設ける必要がないので、加工装置を並んで配置したときに、従来技術よりも小型化ができる。したがって、ワークの加工位置を精度よく位置決めできる小型な加工装置とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、この発明の実施形態について、図面を用いて説明する。以下では、まず加工装置について説明した後、この加工装置を複数備えた加工装置ユニットについて説明する。
図1は、実施形態に係る加工装置1の側面部分断面図である。
図1に示すように、加工装置1は、例えば平坦面を有する作業台3上に設置される。加工装置1は、ワークであるステンレス等の金属材料からなる長尺薄板状のフープ材2に対して、軸部材4(
図2参照)を圧入するための装置である。
【0025】
フープ材2は、巻回されたロール状態から引き出され、後述のフープガイドレール5によって幅方向の両縁部が支持された状態で、フープ材2の長手方向に沿って搬送されて加工装置1にセットされる。
図1において、フープ材2の搬送方向は、紙面の表裏方向と一致しており、搬送方向の上流側が紙面表側、搬送方向の下流側が紙面裏側となっている。また、以下の説明における上下方向は、
図1における上下方向と一致しており、かつ重力上下方向と一致している。また、フープ材2の搬送方向および上下方向と直交する方向を前後方向と定義し、
図1における右方を前方とし、左方を後方とする。以下の説明では、搬送方向をXとし、前後方向をYとし、上下方向をZとし、XYZの直交座標系を用いて説明する。
【0026】
図2は、
図1における領域Sの拡大図であって、加工装置1にセットされたフープ材2の拡大図である。なお、
図2では、分かり易くするために、フープ材2の厚さを誇張して図示している。
図2に示すように、フープ材2は、長尺の部材であり、例えばプレス加工や機械加工等を施すことにより、フープ材2の長手方向に沿って複数の完成部品が形成される。
フープ材2は、軸部材4が圧入される圧入孔2aと、後述のロケートピン36が挿入される位置決め孔2bと、を有している。圧入孔2aおよび位置決め孔2bは、加工装置1により行われる圧入工程よりも前の工程において、例えばプレス加工により形成されている。
圧入孔2aおよび位置決め孔2bは、フープ材2から形成される複数の完成部品の数に対応して、それぞれフープ材2の長手方向に沿って複数設けられている。
【0027】
図1に示すように、加工装置1は、主に支持台10と、圧入機(請求項の「工作機」に相当。)20と、可動ステージユニット50と、により構成されている。以下に、加工装置1の各構成部品について詳細に説明する。
【0028】
支持台10は、例えば4本の脚部11と、脚部11によって支持されるベースプレート13(請求項の「支持部材」に相当。)と、を有している。支持台10は、作業台3上に載置される。ベースプレート13は、平面視で矩形状をした板状部材であり、水平となるように設置される。
ベースプレート13には、上下方向Zに貫通する貫通孔15が形成されている。貫通孔15には、後述する可動ステージユニット50の水平方向へのスライド移動を規制する規制軸59が挿通される。
【0029】
圧入機20は、例えばフープ材2に対して軸部材4(
図2参照)を圧入するための機械である。
圧入機20は、圧入機本体部21を備えている。圧入機本体部21は、支持ブラケット22を介して、後述の可動ステージユニット50上に設置されている。
圧入機本体部21は、例えば空気圧等により上下方向Zに沿って圧入ロッド23aを可動させるエアシリンダ23を備えている。圧入機20は、エアシリンダ23によって圧入ロッド23aを下降させるとともに、フープ材2の圧入孔2a(
図2参照)上に設置された軸部材4を押圧することにより、フープ材2に対して軸部材4を圧入している。
【0030】
可動ステージユニット50は、主に第一ステージ30と、第一リテーナプレート51と、第一転動体53と、第二ステージ40と、第二リテーナプレート55と、第二転動体57と、規制軸59と、を備えている。
【0031】
第一ステージ30は、平面視で矩形状をした板状の第一ステージ本体31と、第一ステージ本体31上に設けられた加工ステージ33と、を備えている。
第一ステージ30には、圧入機20が取り付けられている。より具体的には、第一ステージ30の第一ステージ本体31上に、圧入機本体部21が支持ブラケット22を介して、例えば不図示のボルト等により締結固定されている。
【0032】
加工ステージ33は、第一ステージ本体31上であって、圧入機20の圧入機本体部21よりも下方に設けられている。
図2に示すように、加工ステージ33は、加工面33aと、逃げ部34と、吸引口35と、ロケートピン36と、を有している。
【0033】
加工面33aは、ロール状態から引き出したフープ材2を載置可能なように、平坦に形成されている。
加工ステージ33は、加工面33aに載置されたフープ材2の幅方向における両縁部に対応した位置に、逃げ部34を有している。逃げ部34は、例えば、加工面33aから一段下がった段差となっている。逃げ部34は、フープ材2を支持するフープガイドレール5が下降し、加工ステージ33上にフープ材2がセットされる際に、加工ステージ33とフープガイドレール5とが干渉するのを回避している。
【0034】
吸引口35は、加工ステージ33上にセットされたフープ材2の下方であって、フープ材2の圧入孔2aに対応した位置に形成されている。吸引口35は、不図示のエアポンプと連通しており、フープ材2の圧入孔2aを介して、不図示のパーツフィーダより供給された軸部材4を吸引している。これにより、軸部材4は、フープ材2の圧入孔2aに対応した位置において、起立した状態で配置される。
【0035】
ロケートピン36は、逃げ部34よりも加工ステージ33の内側において、前後方向Yに離間して一対設けられており、それぞれ加工面33aから上方に立設されている。
ロケートピン36の基端部36aは、円柱状に形成されている。ロケートピン36の基端部36aの直径は、フープ材2の位置決め孔2bに対して、わずかに隙間を有したいわゆる隙間嵌めにより挿入可能となっている。フープ材2は、加工ステージ33において、一対のロケートピン36の基端部36aが位置決め孔2bに隙間嵌めされることにより、圧入孔2aの位置決めがなされる。
【0036】
ロケートピン36は、基端部36aよりも上部が、先端部36bに向かって漸次縮径する円錐状に形成されている。したがって、ロケートピン36は、フープガイドレール5が下降し、加工ステージ33上にフープ材2がセットされる際に、先端部36bによってフープ材2の位置決め孔2b内に誘導されて挿入される。このとき、後述するように、可動ステージユニット50は、ベースプレート13に対して水平方向(すなわちXY平面)に沿ってスライド移動する。これにより、ロケートピン36が移動し、ロケートピン36とフープ材2の位置決め孔2bとの間のズレが吸収されて、フープ材2の位置決め孔2bにロケートピン36が容易に挿入される。
【0037】
図3は、
図1におけるA−A線に沿った断面図である。なお、
図3において、第一ステージ30および第一ステージ本体31を二点鎖線で図示している。
第一ステージ30とベースプレート13との間には、第一リテーナプレート51と、第一転動体53と、が設けられている。
【0038】
図3に示すように、第一リテーナプレート51は、所定の厚みを有するとともに、外形がベースプレート13と同等に形成された矩形板状の部材であって、支持台10に対して例えば不図示のボルト等により固定されている。
第一リテーナプレート51には、第一溝部51aが形成されている。第一溝部51aは、例えば搬送方向Xに沿って延在するとともに、前後方向Yに所定間隔を空けて六本平行に設けられている。第一溝部51aは、第一リテーナプレート51を上下方向Zに貫通して形成されている。
また、第一リテーナプレート51には、ベースプレート13の貫通孔15と同軸の貫通孔51bが形成されている。
【0039】
第一転動体53は、例えば鉄やステンレス等の金属材料により形成された球体であって、第一溝部51a内に配置されている。
第一転動体53は、第一溝部51a内において搬送方向Xに隙間を形成可能なように、所定個数配置されている。これにより、第一転動体53は、第一溝部51a内を搬送方向Xに沿って転動可能となっている。
また、第一転動体53は、第一溝部51aの幅よりもわずかに小径となっている。これにより、第一転動体53は、第一溝部51a内を前後方向Yに転動可能となっている。
【0040】
また、第一転動体53は、第一リテーナプレート51の厚さよりも大径となっている。これにより、第一転動体53は、第一リテーナプレート51よりも上方に位置する第一ステージ30と、第一リテーナプレート51よりも下方に位置するベースプレート13との間に介在するとともに、第一ステージ30がベースプレート13に対して、XY平面に沿って滑らかにスライド移動可能としている。
【0041】
図1に示すように、ベースプレート13よりも下方(ベースプレート13を挟んで第一ステージ30とは反対側)であって、支持台10の脚部11よりも内側には、第二ステージ40が設けられている。第二ステージ40は、外形がベースプレート13よりも小さくなっている。
第二ステージ40には、ベースプレート13の貫通孔15と同軸の貫通孔42が形成されている。
【0042】
第二ステージ40とベースプレート13との間には、第二リテーナプレート55と、第二転動体57と、が設けられている。
第二リテーナプレート55は、所定の厚みを有するとともに、外形が第二ステージ40と同等に形成された矩形板状の部材であって、第二ステージ40に対して例えばボルト等により固定されている。
第二リテーナプレート55には、第二溝部55aが形成されている。第二溝部55aは、例えば搬送方向Xに沿って延在するとともに、前後方向Yに所定間隔を空けて四本平行に設けられている。第二溝部55aは、第二リテーナプレート55を上下方向Zに貫通して形成されている。
また、第二リテーナプレート55には、ベースプレート13の貫通孔15と同軸の貫通孔55bが形成されている。
【0043】
第二転動体57は、第一転動体53と同一の球体である。第二転動体57は、第二溝部55a内において搬送方向Xに隙間を形成可能なように、所定個数配置されている。これにより、第二転動体57は、第二溝部55a内を搬送方向Xに沿って転動可能となっている。
また、第二転動体57は、第二溝部55aの幅よりもわずかに小径となっている。これにより、第二転動体57は、第二溝部55a内を前後方向Yに転動可能となっている。
【0044】
また、第二転動体57は、第二リテーナプレート55の厚さよりも大径となっている。これにより、第二転動体57は、第二リテーナプレート55よりも下方に位置する第二ステージ40と、第二リテーナプレート55よりも上方に位置するベースプレート13との間に介在するとともに、第二ステージ40がベースプレート13に対して、XY平面に沿って滑らかにスライド移動可能となっている。
【0045】
第一ステージ30と第二ステージ40とは、二本の規制軸59により結合されている。
規制軸59の一端には、第一ステージ30に対して螺着されるネジ部59aが形成されている。また、規制軸59の他端には、径方向の外側に張り出すとともに他の部分よりも外形が大きい調整ノブ59bが形成されている。
【0046】
規制軸59は、第二ステージ40の貫通孔42から挿通され、第二リテーナプレート55の貫通孔55b、ベースプレート13の貫通孔15および第一リテーナプレート51の貫通孔51bを通じて、ネジ部59aが第一ステージ30の第一ステージ本体31に螺着される。これにより、第一ステージ30と第二ステージ40とは、第一リテーナプレート51、第一転動体53、ベースプレート13、第二リテーナプレート55および第二転動体57を介在させた状態で、規制軸59により連結される。
【0047】
また、調整ノブ59bを把持して規制軸59を回転させることにより、第一ステージ30と第二ステージ40とを連結する規制軸59の軸力を調節できる。これにより、第一転動体53および第二転動体57の転がり抵抗を調節できるので、ベースプレート13に対する可動ステージユニット50のスライド移動のし易さを所望に設定できる。
【0048】
上述のように、可動ステージユニット50は、第一ステージ30と第二ステージ40とによりベースプレート13を挟持した状態で、XY平面に沿ってスライド移動可能に設置されるので、例えば、圧入機20からフープ材2に対して大きな荷重が発生したり、圧入機20から振動が発生したりした場合であっても、第二ステージ40がストッパとして機能して第一ステージ30が浮き上がるのを防止できる。また、可動ステージユニット50がベースプレート13に対して所定距離だけスライド移動すると、各貫通孔51b,15,55bの内周面に規制軸59が干渉するので、可動ステージユニット50が所定距離以上スライド移動するのを防止できる。したがって、ベースプレート13から可動ステージユニット50が脱落するのを確実に防止できる。
【0049】
(加工装置ユニット)
図4は、加工装置ユニット100を模式的に図示した概略構成図である。なお、
図4以降の各図では、分かり易くするために、必要に応じて例えばフープ材2やロケートピン36、後述のテンションピン9a、基準ピン7等の各部品の大きさを誇張して図示している。また、
図4における可動ステージユニット50については、第一ステージ30と第一転動体53とを図示して簡略化している。
続いて、上述の加工装置1を複数備えた加工装置ユニット100について説明する。
図4に示すように、加工装置ユニット100は、第一から第三の加工装置1(1A,1B,1C)と、フープ材2を搬送方向Xに沿って移動させる不図示の搬送ローラと、不図示のパーツフィーダと、搬送方向Xに沿って延在してフープ材2をガイドするフープガイドレール5と、第三の加工装置1Cよりも搬送方向Xの下流側に配置された基準ピン7と、第一の加工装置1Aよりも搬送方向Xの上流側に配置されたテンションユニット9と、により構成されている。
【0050】
各加工装置1A〜1Cは、それぞれフープ材2に対して、軸部材4(
図2参照)を圧入している。本実施形態では、各加工装置1A〜1Cによって、フープ材2の異なる位置にそれぞれ軸部材4を圧入している。
不図示の搬送ローラは、前後方向Yに沿って回転軸を有する筒状の回転体であり、外周面がフープ材2に対して接している。搬送ローラは、順次各加工装置1A〜1Cが加工可能なように、搬送方向Xに沿ってフープ材2を搬送している。
不図示のパーツフィーダは、各加工装置1A〜1Cにおけるフープ材2の加工位置(すなわち、圧入孔2a)に対して、フープ材2の圧入孔2aに圧入される軸部材4を供給している。
【0051】
図2に示すように、フープガイドレール5は、フープ材2の幅方向における両縁部に対応した位置に設けられている。フープガイドレール5には、上下方向における中間部に、搬送方向Xに沿って案内溝5aが形成されている。案内溝5a内には、フープ材2の両縁部が配置される。これにより、フープ材2は、搬送方向Xに沿って移動可能なようにフープガイドレール5によって支持される。
【0052】
また、フープガイドレール5は、フープ材2を支持した状態で上下方向Zに沿って移動可能となっている。フープガイドレール5が最上位にあるとき、フープ材2は、可動ステージユニット50から離間するとともに搬送方向Xに沿って搬送ローラによって牽引されて移動する。また、フープガイドレール5が最下位にあるとき、フープ材2は、ロケートピン36が挿入され、可動ステージユニット50の加工ステージ33上において加工位置(すなわち、圧入孔2a)が位置決めされた状態でセットされる。
【0053】
基準ピン7は、フープガイドレール5が最下位にあるときに、第三の加工装置1Cよりも搬送方向Xの下流側に位置するフープ材2の位置決め孔2bにフープ材2の位置決め孔2bに挿入されて、加工装置ユニット100に対するフープ材2の位置決めを行っている。
テンションユニット9は、テンションピン9aを備えている。テンションユニット9のテンションピン9aは、フープガイドレール5が最下位にあるときに、第一の加工装置1Aよりも上流側に位置するフープ材2の位置決め孔2bに挿入される。このとき、テンションユニット9は、搬送方向Xの上流側(
図4における左側)に移動してフープ材2に張力を付与し、フープ材2に弛みが発生するのを抑制している。
基準ピン7およびテンションピン9aの形状は、ロケートピン36と同一のため、説明を省略する。
【0054】
図5から
図8は、加工装置1および加工装置ユニット100の作用説明図である。なお、
図5から
図8の各図は、
図4に対応している。
続いて、上述のように構成された加工装置1および加工装置ユニット100により、フープ材2へ軸部材4を圧入するときの作用について、
図4から
図8を用いて説明する。
まず、
図4に示すように、フープガイドレール5が最上位にある状態において、基準ピン7と、第三の加工装置1Cよりも搬送方向Xの下流側に位置するフープ材2の位置決め孔2bとの位置が略一致するように、フープ材2を所定距離だけ搬送する。
【0055】
次いで、
図5に示すように、フープガイドレール5を下方に移動させ、可動ステージユニット50の第一ステージ30上にフープ材2をセットする。
このとき、第三の加工装置1Cよりも搬送方向Xの下流側においてフープ材2の位置決め孔2bに基準ピン7が入り込むとともに、第一の加工装置1Aよりも搬送方向Xの上流側においてフープ材2の位置決め孔2bにテンションピン9aが入り込む。
【0056】
さらに、このとき、各加工装置1A〜1Cの第一ステージ30上において、各加工装置1A〜1Cのロケートピン36が、それぞれ対応するフープ材2の位置決め孔2bに入り込む。
ここで、フープ材2は長尺の部材であるため、位置決め孔2b間に大きなピッチ誤差が発生する。したがって、従来技術にあっては、位置決め孔2b間において、フープ材2に弛みを発生させてピッチ誤差を吸収するためのスペース(バッファ部)を設ける必要があった。
【0057】
これに対して、本実施形態の加工装置1は、ベースプレート13に対して可動ステージユニット50がXY平面に沿ってスライド移動可能に設けられている。したがって、各加工装置1A〜1Cの可動ステージユニット50は、位置決め孔2bに対してロケートピン36を挿入することにより、圧入機20ごとXY平面に沿ってスライド移動する。これにより、各加工装置1A〜1Cは、位置決め孔2b間のピッチ誤差を吸収しつつ、フープ材2のそれぞれの圧入孔2aに対して圧入機20の位置決めをすることができる。
【0058】
次いで、テンションユニット9が搬送方向Xの下流側から上流側に向かって所定距離だけ移動する。これにより、フープ材2に対して張力が付与され、フープ材2の弛みが除去される。
次いで、
図6に示すように、不図示のパーツフィーダにより、各加工装置1A〜1Cにおけるフープ材2の圧入孔2aに対して軸部材4を供給する。このとき、軸部材4は、加工ステージ33の吸引口35(
図2参照)によりフープ材2の圧入孔2aを介して吸引され、起立した状態で配置される。
【0059】
次いで、
図7に示すように、圧入機20のエアシリンダ23にエアを供給して圧入ロッド23aを下降させ、フープ材2の圧入孔2a上に設置された軸部材4を押圧することにより、フープ材2に対して軸部材4を圧入する。このとき、例えば不図示の変位センサを用いて、フープ材2からの軸部材4の突出量や軸部材4の移動量等を測定することにより、軸部材4の圧入不良を検出してもよい。
【0060】
次いで、
図8に示すように、圧入機20の圧入ロッド23aを上昇させる。次いで、テンションユニット9によるフープ材2へのテンションの付与を解除する。次いで、フープガイドレール5を上方に移動させ、可動ステージユニット50の第一ステージ30上からフープ材2を離間させる。以上で、加工装置1および加工装置ユニット100により、フープ材2へ軸部材4を圧入する工程が終了する。以降、加工装置1および加工装置ユニット100は、不図示の搬送ローラを駆動してフープ材2を搬送し、
図4の状態としてから上記動作を繰り返し行うことで、フープ材2へ軸部材4を圧入する工程を順次行うことができる。
【0061】
本実施形態の加工装置1によれば、フープ材2に軸部材4を圧入する圧入機20と、圧入機20に対するフープ材2の圧入孔2aの位置決めを行うロケートピン36を有し、圧入機20が取り付けられた第一ステージ30と、圧入機20ごと第一ステージ30をスライド移動可能に支持するベースプレート13と、を備えているので、フープ材2の位置決め孔2bに対してロケートピン36を挿入することにより、第一ステージ30が圧入機20ごとベースプレート13に対してスライド移動し、フープ材2の圧入孔2aに対して圧入機20の位置決めをすることができる。とりわけ、フープ材2が長尺部材であり、フープ材2の搬送方向Xに沿って複数の加工装置1A〜1Cを並んで配置し、各加工装置1A〜1Cによる加工を同時に行う場合であっても、各加工装置1A〜1Cの第一ステージ30が圧入機20ごとスライド移動して、各加工装置1A〜1Cにおけるフープ材2の圧入孔2aに対して、それぞれ圧入機20の位置決めをすることができる。このため、従来技術のように各加工装置間にスペースを設ける必要がないので、複数の加工装置1を並んで配置したときに、従来技術よりも小型化ができる。したがって、フープ材2の加工位置を精度よく位置決めできる小型な加工装置1および加工装置ユニット100とすることができる。
【0062】
また、第一ステージ30とベースプレート13との間に、第一溝部51aと第一転動体53とを設けることにより、ベースプレート13に対して圧入機20ごと第一ステージ30がスライド移動し、フープ材2との位置決めを行うことができる加工装置1の構成を簡単に実現できる。したがって、シンプルかつ低コストであるとともに、メンテナンスが容易な加工装置1とすることができる。
【0063】
また、第一転動体53が球体であるので、ベースプレート13に対して圧入機20ごと第一ステージ30が滑らかにスライド移動できるとともに、フープ材2に対して負荷を与えることなく精度よく位置決めできる。
【0064】
また、ベースプレート13を挟んで第一ステージ30とは反対側に、第一ステージ30と連結された第二ステージ40を備えているので、第一ステージ30と第二ステージ40とによりベースプレート13を挟持した状態となる。これにより、例えば、圧入機20からフープ材2に対して大きな荷重が発生したり、圧入機20から振動が発生したりした場合であっても、ベースプレート13から第一ステージ30が脱落等するのを確実に防止できる。したがって、信頼性の高い加工装置1とすることができる。
【0065】
また、第二ステージ40とベースプレート13との間に、第二溝部55aと第二溝部55aに配置される第二転動体57とを備えているので、ベースプレート13に対して第二ステージ40が抵抗となることなく、圧入機20ごと第一ステージ30がスライド移動できる。
【0066】
また、第二転動体57が球体であるので、ベースプレート13から第一ステージ30が脱落等するのを確実に防止しつつ、ベースプレート13に対して圧入機20ごと第一ステージ30が滑らかにスライド移動できる。
【0067】
また、本実施形態の加工装置ユニット100は、各加工装置1A〜1Cの第一ステージ30が、それぞれ圧入機20ごとスライド移動し、フープ材2の各圧入孔2aに対する圧入機20の位置決めをすることができるので、フープ材2の搬送方向Xに沿って複数の加工装置1(1A〜1C)を並んで配置したときに、従来技術のように各加工装置1A〜1C間にフープ材2の位置決め孔2bのピッチ誤差を吸収するためのスペースを設ける必要がない。したがって、複数の加工装置1(1A〜1C)を並んで配置したときに、フープ材2の各圧入孔2aに対する圧入機20の位置決めをすることができるとともに、小型な加工装置ユニット100とすることができる。
【0068】
なお、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0069】
実施形態では、加工装置1に実装される工作機として、フープ材2に軸部材4を圧入する圧入機20を例に説明をしたが、圧入機20に限定されない。したがって、工作機は、例えば、フープ材2に穴あけ加工を行うドリルや、プレス機等であってもよい。
【0070】
実施形態では、三台の加工装置1(1A〜1C)により加工装置ユニット100を構成していたが、加工装置1の台数は実施形態に限定されない。
また、実施形態では、加工装置ユニット100を構成する複数の加工装置1として、例えば、フープ材2に穴あけ加工を行うドリルを備えた加工装置と、実施形態に係る圧入機20を備えた加工装置1とを混在させて採用してもよい。
また、実施形態では、三台の加工装置1(1A〜1C)がそれぞれ一本の軸部材4をフープ材2に対して圧入していたが、複数本の軸部材4をフープ材2に対して圧入してもよい。
【0071】
実施形態では、第一ステージ30と第二ステージ40とによりベースプレート13を挟持することで可動ステージユニット50を構成していたが、第二ステージ40を設けなくてもよい。ただし、第一ステージ30の脱落を確実に防止できるという点で、第二ステージ40を設けた実施形態に優位性がある。
【0072】
実施形態では、第一ステージ30とベースプレート13との間に、第一溝部51aを有する第一リテーナプレート51を設け、第一転動体53を第一溝部51a内に配置していた。これに対して、例えば、第一ステージ30とベースプレート13との間に第一リテーナプレート51を設けることなく、第一ステージ30またはベースプレート13に第一溝部51aを直接形成し、第一転動体53を第一溝部51a内に配置してもよい。同様に、例えば、第二ステージ40とベースプレート13との間に第二リテーナプレート55を設けることなく、第二ステージ40またはベースプレート13に第二溝部55aを直接形成し、第二転動体57を第二溝部55a内に配置してもよい。
【0073】
実施形態では、第一転動体53および第二転動体57として、球体を採用していたが、球体に限定されない。したがって、第一転動体53および第二転動体57は、例えば円柱状の部材等であってもよい。
また、例えば、第一ステージ30とベースプレート13との間、および第二ステージ40とベースプレート13との間に、第一転動体53および第二転動体57を介在させることなく、第一ステージ30および第二ステージ40がベースプレート13に対してスライド移動可能となっていてもよい。
より具体的には、例えば、第一ステージ30および第二ステージ40から尖頭状のピン部材をベースプレート13の四隅に向かって立設するとともに、ベースプレート13の四隅にピン部材を当接させて摩擦抵抗を低減することにより、第一ステージ30および第二ステージ40がベースプレート13に対してスライド移動可能となっていてもよい。
また、第一ステージ30および第二ステージ40とベースプレート13との間に磁石を設け、磁力により反発させて空間を設けることにより、第一ステージ30および第二ステージ40がベースプレート13に対してスライド移動可能となっていてもよい。また、第一ステージ30および第二ステージ40とベースプレート13との間に空気や水等の流体を介在させて摩擦抵抗を低減することにより、第一ステージ30および第二ステージ40がベースプレート13に対してスライド移動可能となっていてもよい。
【0074】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。