特開2015-116882(P2015-116882A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015116882-車両のシートベルト装置 図000003
  • 特開2015116882-車両のシートベルト装置 図000004
  • 特開2015116882-車両のシートベルト装置 図000005
  • 特開2015116882-車両のシートベルト装置 図000006
  • 特開2015116882-車両のシートベルト装置 図000007
  • 特開2015116882-車両のシートベルト装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-116882(P2015-116882A)
(43)【公開日】2015年6月25日
(54)【発明の名称】車両のシートベルト装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/46 20060101AFI20150529BHJP
   B60R 22/24 20060101ALI20150529BHJP
【FI】
   B60R22/46
   B60R22/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-260284(P2013-260284)
(22)【出願日】2013年12月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 亮之
(72)【発明者】
【氏名】荻野 貴士
(72)【発明者】
【氏名】荘司 馨
【テーマコード(参考)】
3D018
【Fターム(参考)】
3D018CB02
3D018CB05
3D018CC01
3D018MA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、リトラクタに装備されるプリテンショナのチューブ部材の過大な振れが抑えられる車両のシートベルト装置を提供する。
【解決手段】本発明は、車体1に形成された乗降口11を開閉するドア15と、ドアに設けられたリトラクタ装置25とを有し、リトラクタ装置は、ドアに取着されるフレーム70と、同フレームに組み付けられシートベルト33が引出可能なリトラクタ80と、所定以上の衝撃力が車体に加わると、リトラクタから引き出されたシートベルトを引き込むプリテンショナ90とを有し、プリテンショナは、一端部がリトラクタに接続され、他端部が周囲に延び、シートベルトを引込む引込み力を発生可能なチューブ部材92を有し、リトラクタとチューブ部材の他端部との間は、ドアの開閉方向におけるチューブ部材の振れを抑える振れ抑制部60を有するものとした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に形成された乗降口を開閉するドアと、
前記ドアに設けられたリトラクタ装置とを有し、
前記リトラクタ装置は、ドアに取着されるフレームと、同フレームに組み付けられシートベルトが引出可能なリトラクタと、所定以上の衝撃力が車体に加わると、前記リトラクタから引き出されたシートベルトを引き込むプリテンショナとを有し、
前記プリテンショナは、一端部が前記リトラクタに接続され、他端部が周囲に延び、前記シートベルトを引込む引込み力を発生可能なチューブ部材を有し、
前記リトラクタと前記チューブ部材の他端部との間は、前記ドアの開閉方向における前記チューブ部材の振れを抑える振れ抑制部を有する
ことを特徴とする車両のシートベルト装置。
【請求項2】
前記リトラクタは、前記シートベルトを巻き戻す巻戻しユニットを有し、
前記チューブ部材の他端部は、前記巻戻しユニットの近辺を通るように配置され、
前記振れ抑制部は、前記巻戻しユニットの前記ケーシングから前記チューブ部材の他端部へ延び、先端部に前記チューブ部材の他端部を保持する保持部を有した保持部材で構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両のシートベルト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアにリトラクタ装置を設けた車両のシートベルト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ピックアップトラックには、車体に形成された乗降口に、二枚のドアで中央から開閉する横開き式のドア、いわゆる観音開き式のドアが装備されたものがある。
観音開き式ドアを有する車両は、一般に乗降口にセンタピラーが無いため、フロントシートに着座した乗員を拘束するシートベルト装置は、リヤドアに内蔵される。具体的には、特許文献1に開示されている三点式シートベルト装置のようにリトラクタ装置は、ドアに取着されるフレームに、シートベルトを引出可能に収容したリトラクタを組み付けた構造が用いられる。そして、リトラクタ装置をドアに設け、リトラクタから引き出されるシートベルトの先端部をドア下部に設けたアンカ部に固定し、ラップベルト部分とショルダベルト部分との境界にタングを設けている。つまり、シートベルトをリトラクタから引き出し、タングをフロントシート脇のバックルへ差し込んで接続すると、ラップベルト部分は乗員の腰部を跨り、ショルダベルト部分は乗員の肩部を跨り、フロントシートに乗員を拘束する。
【0003】
ところで、近時、シートベルト装置では、特許文献2のように安全性を一層高めるために、リトラクタにプリテンショナを装備することが行われている。
プリテンショナは、所定以上の衝撃力が加わると、リトラクタから引き出されたシートベルトを引き込んで、シートに着座している乗員を抑え付ける働きをもつ。具体的にはプリテンショナは、一般に火薬などのガス発生剤、点火部をもち、内部に中継部材となる多くのボールを移動可能に収めたチューブ部材を有している。そして、チューブ部材の一端部は、シートベルト装置のリトラクタに接続され、ガスの発生でボールを変位させることによって、シートベルトを巻回しているスプールを巻き取り方向へ回動変位させ、リトラクタから引き出されたシートベルトを引き込む構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011− 16531号公報
【特許文献2】特開2010− 69900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リトラクタに装備されるプリテンショナのチューブ部材は、ボールの移動が内部でスムーズに行われるよう、チューブ部材を変形させるような据付けは禁じられる。このため、プリテンショナのチューブ部材は、一端部だけを支持させて、他端部を周囲に延ばして配設するという片側支持の構造が用いられる。
ところで、ドアにプリテンショナを装備したリトラクタを配置する場合、車体にプリテンショナを装備したリトラクタを配置したときとは異なり、ドアの開閉時、過大な衝撃力がプリテンショナのチューブ部材に加わりやすい。特に観音ドアの場合、プリテンショナは、リトラクタと共にドアの自由端へ寄せて配置されるので、過大な衝撃力が加わりやすい。
【0006】
ところが、リトラクタに装備されるプリテンショナのチューブ部材は、一端部だけが支持される部品のため、衝撃力が加わると、 チューブ部材の他端側がドア開閉方向に過大に振れて、チューブ部材の一端部に過大な応力させ、チューブ部材を損傷させるおそれがある。このため、リトラクタに装備されるプリテンショナのドアへの採用は難しいとされていた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、リトラクタに装備されるプリテンショナのチューブ部材の過大な振れが抑えられる車両のシートベルト装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明に係る態様は、車体に形成された乗降口を開閉するドアと、ドアに設けられたリトラクタ装置とを有し、リトラクタ装置は、ドアに取着されるフレームと、同フレームに組み付けられシートベルトが引出可能なリトラクタと、所定以上の衝撃力が車体に加わると、リトラクタから引き出されたシートベルトを引き込むプリテンショナとを有し、プリテンショナは、一端部がリトラクタに接続され、他端部が周囲に延び、シートベルトを引込む引込み力を発生可能なチューブ部材を有し、リトラクタとチューブ部材の他端部との間は、ドアの開閉方向におけるチューブ部材の振れを抑える振れ抑制部を有するものとした。
【0009】
請求項2に記載の発明に係る態様は、リトラクタが、シートベルトを巻き戻す巻戻しユニットを有し、チューブ部材の他端部は、巻戻しユニットの近辺を通るように配置され、振れ抑制部は、巻戻しユニットのケーシングからチューブ部材の他端部へ延び、先端部にチューブ部材の他端部を保持する保持部を有した保持部材で構成されるものとした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、リトラクタに装備されるプリテンショナのチューブ部材は、振れ抑制部により、ドア開閉方向の過大な振れを抑えることができる。
それ故、ドア開閉時、過大な衝撃力が、片側支持となるチューブ部材に加わることがあっても、チューブ部材には過大な応力が発生せずにすみ、プリテンショナ付リトラクタのドアへの採用が実現できる。
【0011】
請求項2の発明によれば、簡単な構造で、チューブ部材における、ドア開閉方向の過大な振れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る態様となる観音開き式ドアを有した車両を示す斜視図。
図2】同リヤドアの内面に装備されているシートベルト装置を示す正面図。
図3図2中のリトラクタ装置を拡大して示す斜視図。
図4図3中の矢視Aから見たときのリトラクタ装置の斜視図。
図5】振れ抑制部の構造を示す分解斜視図。
図6図5中のB−B線に沿う振れ抑制部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図1から図6に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は、本発明を適用した車両、例えばピックアップトラックを示している。
同トラックの概略を説明すると、図1中1は車体である。車体1は、前部にキャビン3を有し、後部に荷台5を有している。キャビン3のフロア3aには、フロントシート7、リヤシート9が据え付けられている。ちなみにフロントシート7,リヤシート9は、いずれもシートクッション8aとシートバック8bと有して構成される。
【0014】
キャビン3の車幅方向側部には、フロントシート7からリヤシート9の有る地点までを開口した乗降口11が形成されている。ちなみに乗降口11には、センタピラーは無い。乗降口11には、フロントシート7に着座する乗員用となるフロントドア13、リヤシート9に着座する乗員用となるリヤドア15が設けられている。このうちフロントドア13の前部は、ヒンジ(図示しない)を介して、乗降口11の前部に回動自在に支持される。これにより、フロントドア13は、後側から開閉される。リヤドア15の後部は、ヒンジ(図示しない)を介して、乗降口11の後部に回動自在に支持される。これにより、リヤドア15は、前側から開閉される。つまり、二枚のドア13,15は、中央から開閉する観音ドアとなる。
【0015】
フロントドア13、リヤドア15は、いずれもドアアウタパネル13a,15aとドアインナパネル13b,15bとを組み合わせて構成されるドア本体13c、15cと、ドア本体13c、15cの上部に設けたドアウインド13d、15dと、ドアインナパネル13b,15bの内面を覆い隠すように設けたドアトリム13e,15eを有している。
リヤドア15には、フロントシート7に着座される乗員用シートベルト装置、例えば三点式のシートベルト装置21が組み込まれている。図示はしないがリヤシート9に着座される乗員用のシートバルト装置は、リヤピラー1aに設けられる。
【0016】
図2には、このフロントシート用のシートベルト装置21が示されている。図2は、リヤドア15の正面、さらに述べればドアトリム15eを取り外して、ドアインナパネル15bのパネル面を露出させた状態を示している。
図2を参照して、シートベルト装置21の各部の構造を説明すると、25はドアインナパネル15bの前部下段に位置するドアインナパネル部分に据付けられたリトラクタ装置、27は同リトラクタ装置25の上段に位置するドアインナパネル部分に据付けられたインナハンドル構造部(例えばインナハンドル27a、ハンドル変位をドアロックへ伝えるレバー機構27bなどを有する)、30はドアインナパネル15bの前部上段に位置するドアインナパネル部分から、アジャスタ機構部30a(例えばガイドレールを用いたスライド構造)を介して、吊り下げられたベルトガイドを示している。
【0017】
図3には、このうちのリトラクタ装置25の外観を拡大した斜視図が示されている。また図4には、異なる方向となる図3中の矢視A方向から見たリトラクタ装置25の外観が斜視図で示されている。
リトラクタ装置25を説明すると、リトラクタ装置25は、フレーム70、リトラクタ80、プリテンショナ90などといった部品の組み合わせから構成される。
【0018】
各部品を説明すると、例えばフレーム70は、上下方向に帯形に延び、上部がL形に曲成したプレート部材で形成されるドア取着用フレーム部71(以下、単にフレーム部71という)と、同フレーム部71の一側面に組み付く枠形のメインフレーム部72とを有して構成される。フレーム部71の上部のうち、メインフレーム部72側へL形に張り出るプレート部分には、ベルトガイド口73が設けられ、フレーム部71の最上部には上部ステー74が設けられ、上部ステー74には取付孔74a(図4)が設けられている。フレーム部71の最下部には、下部ステー75が設けられ、下部ステー75には取付孔75aが設けられている。そして、上部ステー74は、メインフレーム部72をドアインナパネル15bに向けた姿勢で、ドアインナパネル15bから隆起したパネル部分16に配置され、ボルト部材78によりボルト固定されている。下部ステー75も、同様にボルト部材78によりパネル部分16に固定されている。
【0019】
リトラクタ80は、図3および図4に示されるようにメインフレーム部72内に組み付けられたスプールユニット81と、メインフレーム部72の一側壁72aに組み付けられた巻戻しユニット82とを有している。スプールユニット81は、シートベルト33を巻回したスプール35を有して構成される。巻戻しユニット82は、例えば合成樹脂製の短筒形のケーシング82a内に、シートベルト33の巻戻しを行う巻取りばね機構82bなど各種機器を収めて構成される。この巻戻しユニット82とスプール35との相互が連結され、リトラクタ80の上部から、シートベルト33が引き出せるようにしている。
【0020】
このリトラクタ80から引き出されたシートベルト33の先端部は、図2に示されるようにベルトガイド口73、インナハンドル構造部27とドアインナパネル部分との間の間隙、ベルトガイド30を通り、例えばラッププリテンショナ39を介して、リヤドア15の下部側に設けてあるアンカ部32に連結されている。引き出されたシートベルト33のうち、ラップベルト部分33aとショルダベルト部分33bとの境界には、タング41が組み付けられている。これにより、リトラクタ80からシートベルト33を引き出しながら、タング41を、フロントシート7のシートクッション8aの側部、具体的には乗降口11と反対側となるクッション側部に配置したバックル43(図1)へ差し込み接続すると、ラップベルト部分33aが、フロントシート7に着座した乗員の腰部を跨るように配置され、ショルダベルト部分33bが、同じく乗員の肩部を跨るように配置され、フロントシート7に着座した乗員を拘束する。
【0021】
プリテンションナは、図3および図4に示されるようにリトラクタ80の上部とベルトガイド口73との間を利用して、リトラクタ80に組み付けられている。プリテンショナ90は、所定以上の衝撃力が加わると、スプール35を巻き込み方向に強制的に変位させるインフレータ式の機器が用いられている。
例えばプリテンショナ90は、図4に示されるように例えば金属管で形成され、内部に多数個のボール91(中継部材)が変位可能に収められ、一端部にボール出口をなす切欠き部92aが形成された細長のチューブ部材92と、チューブ部材92の他端部に収められたガス発生部94a(火薬などのガス発生剤で構成)と、ガス発生剤を点火する点火部94と、ガス発生部94aとボール列端との間に介在されたピストン部(図示しない)などを有して構成される。
【0022】
ここでは、チューブ部材92は、切欠き部92aの有る一端側が上側から下側に向かうL形に曲成され、それに続く管部分がC形に曲成されている。このうちチューブ部材92の一端側は、メインフレーム部72のうち、メインフレーム部72を挟んだ巻戻しユニット82とは反対側の他側壁72bの外面に沿わせられている。さらに述べれば、チューブ部材92の一端側は、フレーム部71側で上下方向に沿って配置され、切欠き部92aが他側壁72bの中央側に向けて配置されている。この切欠き部92aを有する端部分は、他側壁72bの外面全体に据付けた変換機構部93を介して、スプール35に接続されている。ちなみにチューブ部材92の端部と変換機構部93との間は、ブラケット93xで固定されている。
【0023】
変換機構部93は、例えばスプール35の回転方向沿いにボール路を形成する回動変位可能なリングギヤ93a(図4中に一点鎖線で概略に図示)、リングギヤ93aの回動変位をスプール35へ伝えるピニオンギヤ93b(図4中に一点鎖線で概略に図示)を有して構成される。残るチューブ部材92の他端側は、メインフレーム部72の直上に配置される。例えばチューブ部材92の他端側は、メインフレーム部72の他側壁72bおよび端壁72cの直上、さらには巻戻しユニット82の直上に沿って延びるように周囲に配置されている。つまり、チューブ部材92の他端側の全体は、リトラクタ80の上方に配置される。
【0024】
このプリテンショナ90は、衝突などにより車体1に所定以上の衝撃力が加わると、チューブ部材92の内部でガスが発生し、このガス発生でピストン部(図示しない)を介してボール91を変位させる。このボール91が、切欠き部92aを通じ、変換機構部93のボール路へ移動し、スプール35を、リングギヤ93aおよびピニオンギヤ93bを介して、巻き取り方向に変位させる。つまり、ボール91の変位が、引き込み力として、スプール35に伝達され、引き出されたシートベルト33を引き込む。これにより、車体1に所定以上の衝撃力が加わると、フロントシート7に着座している乗員は、プリテンショナ90により、シートベルト33で、フロントシート7に抑え付けられる。
【0025】
また図3および図4に示されるようにチューブ部材92には、振れ抑制構造60(本願の振れ抑制部に相当)が設けられている。
すなわち、プリテンショナ90は、リヤドア15の開閉時、ドア開閉方向から衝撃力が加わる。特にチューブ部材92は、ボール91の導出する側だけを支持させる片側支持で、他端側が振れやすい構造なので、リヤドア15の開閉操作によっては、過度な衝撃力がチューブ部材92へ加わり、チューブ部材92が、一端側を支点としてドア開閉方向に過度に振れるおそれがある。
【0026】
そのため、本実施形態のチューブ部材92の自由端側(他端側)には、チューブ部材92の振れを抑える振れ抑制構造60が設けられている。この振れ抑制構造60には、例えば図5および図6に示されるような構造が用いられている。
同構造には、例えば巻戻しユニット82のケーシング82aのうち、チューブ部材92の他端部が通過する上部外周面に、クリップ部61を設けた構造が用いられる。
【0027】
具体的には例えばクリップ部61は、基部がケーシング82aに一体に固定され、先端部がチューブ部材92の他端部へ向かって突き出るクリップ部材62(本願の保持部材に相当)が用いられている。クリップ部材62は、先端部に、チューブ部材92を直径方向両側から弾性的に挟み付ける一対の挟持部63が形成されている。また挟持部63の先端部内面には、クリップ部材62の基部との間、つまり上下方向両側からチューブ部材92を挟み付ける一対の爪部64が設けられている。これら、一対の爪部64、一対の挟持部63、クリップ部材62の基部がなすC形部から、チューブ部材92を外側から保持可能な保持部65を形成している。
【0028】
この保持部65にて、チューブ部材92の他端側の管部分が保持されている。
このようにケーシング82a(リトラクタ80)とチューブ部材92との間に振れ抑制構造60を設けたことにより、プリテンショナ90のチューブ部材92の振れは抑えられる。
それ故、リヤドア15の開閉時、ドア開閉方向に過大な衝撃力が生じたとしても、振れ抑制構造60にてチューブ部材92の自由端側(他端側)における過大な振れを抑えることができる。これにより、振れを要因としたチューブ部材92の損傷を防ぐことができる。
【0029】
特にチューブ部材92の自由端側をコンパクトに配置するため、巻戻しユニット82の周辺を通す構造は、巻戻しユニット82のケーシング82aの一部にクリップ部材62を形成するだけでよく、簡単な構造ですむ。
なお、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば一実施形態では、観音式ドアを一例に挙げたが、これに限らず、二枚のドアが同一方向に開く横開き式のドアにも適用してもよい。また一実施形態では、単に保持部にてチューブ部材で保持する構造の例を挙げたが、振れ止めの構造は、こうした構造に限らず、他の構造を用いても構わない。もちろん、チューブ部材の外周面と保持部との間に緩衝材を介在させ、加わる衝撃力を緩衝して、チューブ部材を衝撃から保護するようにしてもよい。むろん、本発明を二点式シートベルト装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 車体
11 乗降口
15 リヤドア(ドア)
25 リトラクタ装置
33 シートベルト
60 振れ抑制構造(振れ抑制部)
62 クリップ部材(保持部材)
70 フレーム
80 リトラクタ
90 プリテンショナ
92 チューブ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6