(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-117073(P2015-117073A)
(43)【公開日】2015年6月25日
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20150529BHJP
【FI】
B65G1/00 501F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-86412(P2012-86412)
(22)【出願日】2012年4月5日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】山本 眞
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA08
3F022BB09
3F022CC02
3F022EE05
3F022FF01
3F022JJ08
3F022JJ09
3F022MM01
3F022MM11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被搬送物の収納スペースを確保できると共に、被搬送物の搬送効率の向上を図れる搬送システムを提供する。
【解決手段】半導体製造装置50,52のロードポート54,56に被搬送物10を搬入及び搬出するスタッカクレーン30と、ロードポート54,56の上方に設けられたレールR2に沿って走行し、被搬送物10を把持するグリッパを昇降させて被搬送物10を搬送するビークル40と、半導体製造装置50,52の近傍に設けられ、被搬送物10を収納すると共にスタッカクレーン30により被搬送物10の出し入れが可能とされている収納棚20とを備え、スタッカクレーン30及びビークル40により、ロードポート54,56に対して被搬送物10の搬入及び搬出が可能とされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置のロードポートに被搬送物を搬入すると共に、前記ロードポートから前記被搬送物を搬出するスタッカクレーンと、
前記ロードポートの上方に設けられた軌道に沿って走行し、前記被搬送物を把持するグリッパを昇降させて前記被搬送物を搬送する天井搬送車と、
前記半導体製造装置の近傍に設けられ、前記被搬送物を収納すると共に前記スタッカクレーンによる前記被搬送物の出し入れが可能とされている収納棚と、
を備え、
前記ロードポートにおいて、前記スタッカクレーン及び前記天井搬送車による前記被搬送物の搬入及び搬出が可能とされていることを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
前記収納棚の少なくとも一部は、前記天井搬送車の前記グリッパによる前記被搬送物の出し入れが可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
【請求項3】
前記半導体製造装置は、所定の間隔をあけて互いに対向して配置されており、
前記スタッカクレーンは、対向する前記半導体製造装置の間において当該対向方向と略直交する方向に移動可能とされており、各前記半導体製造装置の各前記ロードポートに前記被搬送物を搬入及び搬出することを特徴とする請求項1又は2記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の搬送システムとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の搬送システムは、物品を収納する循環式の複数の棚を有する倉庫と、倉庫の外部において物品を搬送するための天井搬送車及び無人搬送車とを含んで構成されており、倉庫の上下に設けられた搬出入口を天井搬送車及び無人搬送車との移載に用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−31216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体デバイスの製造においては、処理の高速化が進められている。そのため、半導体製造装置におけるタクトタイムの短縮が求められているが、それと同時に工程間における半導体ウェハの搬送時間の短縮も求められている。また、近年の半導体ウェハの大型化に伴い、それを収納する容器(例えばFOUP:Front Opening Unified Pod等)も大型化する。そのため、半導体製造工場においては、FOUPを収納するスペースが従来よりも必要とされるが、限られたスペースにおいてFOUPを収納するスペースを確保することは容易ではない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、被搬送物の収納スペースを確保できると共に、被搬送物の搬送効率の向上を図れる搬送システムを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る搬送システムは、半導体製造装置のロードポートに被搬送物を搬入すると共に、ロードポートから被搬送物を搬出するスタッカクレーンと、ロードポートの上方に設けられた軌道に沿って走行し、被搬送物を把持するグリッパを昇降させて被搬送物を搬送する天井搬送車と、半導体製造装置の近傍に設けられ、被搬送物を収納すると共にスタッカクレーンによる被搬送物の出し入れが可能とされている収納棚と、を備え、ロードポートにおいて、スタッカクレーン及び天井搬送車による被搬送物の搬入及び搬出が可能とされていることを特徴とする。
【0007】
この搬送システムでは、半導体製造装置の近傍に被搬送物を収納する収納棚が設けられている。これにより、被搬送物を収納するスペースを確保できる。また、収納棚を半導体製造装置の近傍に配置しているため、収納棚とロードポートとの間での被搬送物の移載を迅速に行える。また、ロードポートにおいて、スタッカクレーン及び天井搬送車による被搬送物の搬入及び搬出が可能とされている。そのため、天井搬送車により直接ロードポートに被搬送物の搬入及び搬出ができる。これにより、被搬送物をスタッカクレーンに渡すために一時的に被搬送物を保管する時間の短縮が図れ、且つ、スタッカクレーンによる移載の時間も短縮できるため、被搬送物を迅速に搬送できる。また、被搬送物の移載の自由度の向上も図れる。したがって、被搬送物の搬送効率の向上が図れる。
【0008】
収納棚の少なくとも一部は、天井搬送車のグリッパによる被搬送物の出し入れが可能に設けられている。このように、天井搬送車が収納棚にアクセスできる構成とすることにより、収納棚を、スタッカクレーンと天井搬送車との間で被搬送物をやり取りするためのポートとして機能させることができる。これにより、被搬送物の搬送をより効率的に実施できる。
【0009】
半導体製造装置は、所定の間隔をあけて互いに対向して配置されており、スタッカクレーンは、対向する半導体製造装置の間において当該対向方向と略直交する方向に移動可能とされており、各半導体製造装置の各ロードポートに被搬送物を搬入及び搬出する。このような構成により、1台のスタッカクレーンにより複数のロードポートにおいて被搬送物の搬入及び搬出することができるので、クリーンルーム、ひいては半導体製造工場の省スペース化を図ることができると共に、被搬送物の移載時間の短縮が図れる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被搬送物の収納スペースを確保できると共に、被搬送物の搬送効率の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る搬送システムを上から見た図である。
【
図2】
図1に示す搬送システムを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る搬送システムを上から見た図である。
図2は、
図1に示す搬送システムを示す斜視図である。
図1及び
図2に示す搬送システム100は、半導体デバイスを製造するためのクリーンルームに設けられている。搬送システム100は、被搬送物10を収納する収納棚20と、スタッカクレーン30と、ビークル(天井搬送車)40と、を備えている。クリーンルームには、半導体製造装置50,52が配置されている。半導体製造装置50,52には、この半導体製造装置50,52に被搬送物10を搬入及び搬出するためのロードポート54,56がそれぞれ設置されている。
【0014】
搬送システム100は、MCS(Material Control System)により制御される。MCSは、スタッカクレーン30及びビークル40を制御するコントローラと、MES(Manufacturing Execution System)との間に設けられ、MESからの各種指示をコントローラに適時伝達し、コントローラからの報告をまとめてMESに伝達する機能を有する。MESは、工場現場における様々な情報を統括して管理する統合生産情報システムであり、MCS及び半導体製造装置50,52の情報管理を行う。
【0015】
被搬送物10は、複数枚の半導体ウェハを収容した容器(いわゆるFOUP(Front OpeningUnified Pod))である。被搬送物10の上面10aには、後述するビークル40のグリッパ44によって保持されるフランジ部10bが設けられている。また、被搬送物10の側面(後面)10cには、半導体ウェハを出し入れするための着脱自在の蓋(図示しない)が取り付けられている。
【0016】
収納棚20は、被搬送物10を一時的に収納する棚である。収納棚20は、半導体製造装置50,52の近傍に配置されている。本実施形態では、収納棚20は、半導体製造装置50,52のロードポート54,56を挟んで配置されている。収納棚20には、被搬送物10が載置される載置部22が高さ方向に複数列(ここでは3列)設けられている。載置部22には、その上面から上方に突出するピン24が設けられている。ピン24は、被搬送物10の底面に設けられた位置決め穴(図示しない)と係合する。このピン24により、収納棚20において被搬送物10が位置決めされる。なお、載置部22には、被搬送物10の底面の下方に、スタッカクレーン30の移載アーム39c(後述)が挿入される隙間が設けられている。
【0017】
収納棚20の上部は、開放されている。すなわち、収納棚20の少なくとも一部は、ビークル40のグリッパ44による被搬送物10の出し入れが可能とされている。収納棚20において、被搬送物10は、その前面(蓋が取り付けられている側面10cとは反対側の面)がスタッカクレーン30側を向くように載置される。収納棚20は、半導体製造装置50,52の設置位置や台数、クリーンルームの構造に応じて設置数や設置位置が適宜設定される。また、収納棚20は、天井に吊り下げられていてもよいし、床に支持部材などを介在させて固定されていてもよい。
【0018】
スタッカクレーン30は、クリーンルーム内をレールR1に沿って移動する走行台車32と、この走行台車32に立設された2基の支柱装置34と、支柱装置34に対して上下方向に移動可能に設けられた昇降台36と、昇降台36上に設置された移載装置38とを含んで構成されている。また、スタッカクレーン30は、図示しないが、昇降台36上に設置されたターンテーブルや、スタッカクレーン30の動作を制御するコントローラなどを備えている。
【0019】
スタッカクレーン30は、クリーンルーム内に敷設されたレールR1に沿って直線移動する。レールR1は、対向して配置された半導体製造装置50,52の間において、この対向方向に直交する方向に沿って敷設されている。すなわち、スタッカクレーン30は、半導体製造装置50,52の対向方向に略直交する方向に沿って移動可能に設けられている。なお、ここで言う対向とは、半導体製造装置50,52とが完全に向き合っている必要はなく、所定の間隔をあけて配置されている状態であればよい。
【0020】
移載装置38は、スカラーアーム39を有している。スカラーアーム39は、基端側アーム39aと、先端側アーム39bと、移載アーム39cとにより構成されている。移載アーム39cの上面は、被搬送物10を載置する載置面を構成している。スカラーアーム39は、移載アーム39cが走行台車32の移動方向に直交する方向(被搬送物10が出し入れされる方向)に直線移動する。
【0021】
スタッカクレーン30は、次のように動作する。すなわち、スタッカクレーン30は、所定の収納棚20の前に停止し、収納棚20に収納されている所定の被搬送物10を移載アーム39cにより取り出す。続いて、スタッカクレーン30は、走行台車32によりレールR1に沿って移動し、例えば半導体製造装置50のロードポート54に被搬送物10を移載する。また、スタッカクレーン30は、例えば半導体製造装置52のロードポート56の前に停止し、ロードポート56に載置された被搬送物10を移載アーム39cにより搬出する。続いて、スタッカクレーン30は、搬送先(例えば収納棚20)まで走行台車32によりレールR1に沿って移動し、被搬送物10を移載する。
【0022】
また、スタッカクレーン30は、ターンテーブルにより回転可能に設けられている。そのため、スタッカクレーン30は、ターンテーブルにより向きを適宜変えることで、半導体製造装置50側及び半導体製造装置52側のいずれか一方側に向かってスカラーアーム39を移動させる。これにより、スタッカクレーン30は、対向して配置された半導体製造装置50,52のロードポート54,56のそれぞれに対して、被搬送物10の搬入及び搬出を行う。
【0023】
なお、
図1においては、スタッカクレーン30を1台しか図示していないが、スタッカクレーン30は、レールR1上に1台設置されていてもよいし、複数台設置されていてもよい。
【0024】
ビークル40は、OHT(Overhead Hoist Transport)であり、被搬送物10を走行レール(軌道)R2に沿って搬送する。走行レールR2は、クリーンルームの天井に設置されたものであり、半導体製造装置50,52のロードポート54,56の上方に配置されている。
【0025】
ビークル40は、グリッパ44を有している。グリッパ44は、フランジ部10bを把持することで、被搬送物10を保持する。グリッパ44は、昇降部(図示しない)により複数本のベルト46が同期して繰り出されることで、所定の位置から下降する。また、グリッパ44は昇降部により複数本のベルト46が同期して巻き取られることで、所定の位置まで上昇する。
【0026】
ビークル40は、次のように動作する。すなわち、ビークル40は、被搬送物10を搬送元(例えば被搬送物のストッカ)から搬送し、例えば半導体製造装置50のロードポート54の上方に停止して、搬送してきた被搬送物10を下降させ、ロードポート54上に載置する。また、ビークル40は、被搬送物10を搬送元から搬送し、所定の収納棚20の上方に停止して、搬送してきた被搬送物10を下降させ、収納棚20の所定の位置に被搬送物10を載置する。
【0027】
また、ビークル40は、例えば半導体製造装置52のロードポート56の上方に停止し、当該ロードポート56に載置されている被搬送物10をグリッパ44で把持し、保持した状態で上昇させて被搬送物10を所定の搬送先に搬送する。また、ビークル40は、例えば収納棚20の上方に停止し、当該収納棚20に収納されている被搬送物10をグリッパ44で把持し、保持した状態で上昇させて被搬送物10を所定の搬送先に搬送する。
【0028】
以上説明したように、本実施形態では、半導体製造装置50,52の近傍に収納棚20が配置されている。この収納棚20により、被搬送物10を収納するスペースを確保できる。また、収納棚20を半導体製造装置50,52の近傍に配置しているため、収納棚20とロードポート54,56との間での被搬送物10の移載を迅速に行える。
【0029】
また、本実施形態では、ビークル40が、ロードポート54,56に対して被搬送物10を直接搬入及び搬出する。例えば早急に処理が必要とされる緊急ロット用の被搬送物10を搬送する場合、従来では、ビークル40により所定のポートに当該被搬送物10を搬送して載置し、その後にスタッカクレーン30によりその被搬送物10を所定のロードポートに搬入していた。そのため、被搬送物10の搬送にどうしても時間がかかっていた。
【0030】
これに対して、本実施形態では、スタッカクレーン30を介さずにビークル40によりロードポート54,56に直接被搬送物10を搬入及び搬出できるため、被搬送物10を一時的に保管する時間やスタッカクレーン30による移載時間が短縮される。したがって、被搬送物10の搬送時間を短縮でき、被搬送物10を迅速に搬送できる。また、被搬送物10の搬送の自由度の向上が図れる。以上のように、本実施形態では、被搬送物10の搬送効率の向上が図れる。
【0031】
また、本実施形態では、収納棚20の上部が開放されている。これにより、ビークル40が、収納棚20において、被搬送物10の出し入れを行える。したがって、収納棚20を、スタッカクレーン30とビークル40との間で被搬送物10をやり取りするためのポートとして機能させることができる。これにより、被搬送物10の搬送をより効率的に実施できる。
【0032】
本実施形態では、スタッカクレーン30は、対向して配置された半導体製造装置50,52の間に配置されており、半導体製造装置50,52の間を移動可能とされている。これにより、1台のスタッカクレーン30により複数のロードポート54,56にアクセスできるため、クリーンルーム(半導体製造工場)の省スペース化をより一層図ることができる。また、スタッカクレーン30がロードポート54,56の双方にアクセスできるため、被搬送物10の移載時間を短縮できる。
【0033】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、2台の半導体製造装置50,52が配置された構成を一例に説明したが、半導体製造装置の設置数などは、半導体製造工場の設計に応じて適宜設定されればよい。また、被搬送物10を一時的に保管するインターベイストッカが設けられていてもよい。インターベイストッカには、スタッカクレーン30及びビークル40がアクセス可能とされる。
【符号の説明】
【0034】
100…搬送システム、10…被搬送物、20…収納棚、30…スタッカクレーン、40…ビークル(天井搬送車)、44…グリッパ、50,52…半導体製造装置、54,56…ロードポート。