(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-117083(P2015-117083A)
(43)【公開日】2015年6月25日
(54)【発明の名称】エレベータ装置
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20150529BHJP
【FI】
B66B3/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-260007(P2013-260007)
(22)【出願日】2013年12月17日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000232944
【氏名又は名称】日立水戸エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高松 博美
(72)【発明者】
【氏名】倉金 健文
(72)【発明者】
【氏名】加島 悠平
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303BA05
3F303CA03
3F303CB25
3F303CB31
3F303CB33
3F303DB26
3F303DC21
3F303DC25
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車いす利用者の利便性を向上したエレベータ装置を提供する。
【解決手段】乗りかご内の乗員数を検出する乗員数検出手段と、乗車イス利用者用かご内行き先階釦7と、乗りかご内へ伝送する音声情報および表示情報を制御するかご端末装置2と、多重伝送路により、かご端末装置と接続された号機制御装置9と、を備えたエレベータ装置において、乗員数検出手段により検出した乗りかご内の乗員数が、予め登録された乗員数を越えた場合であって、乗りかごが、車イス利用者用かご内行き先階釦7により指定された目的階に到着し、かつ、号機制御装置9が乗りかごのドア開の開始を検出した場合、号機制御装置が、予め記憶している車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報をかご端末装置2に伝送し、乗りかご内に設けられたかご内音声案内装置4およびかご表示器5に、車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を出力することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかご内の乗員数を検出する乗員数検出手段と、
乗りかご内に設けられた車イス利用者用かご内行き先階釦と、
乗りかご内へ伝送する音声情報および表示情報を制御するかご端末装置と、
多重伝送路により、前記かご端末装置と接続された号機制御装置と、を備えたエレベータ装置において、
前記乗員数検出手段により検出した乗りかご内の乗員数が、予め登録された乗員数を越えた場合であって、
前記乗りかごが、前記車イス利用者用かご内行き先階釦により指定された目的階に到着し、かつ、前記号機制御装置が乗りかごのドア開の開始を検出した場合、
前記号機制御装置が、予め記憶している車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を前記かご端末装置に伝送し、
乗りかご内に設けられたかご内音声案内装置およびかご表示器に、前記車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を出力することを特徴とするエレベータ装置。
【請求項2】
乗りかご内の乗員数を検出する乗員数検出手段と、
乗りかご内に設けられた車イス利用者用かご内行き先階釦と、
ホールへ伝送する音声情報および表示情報を制御するホール端末装置と、
多重伝送路により、前記ホール端末装置と接続された号機制御装置と、を備えたエレベータ装置において、
前記乗員数検出手段により検出した乗りかご内の乗員数が、予め登録された乗員数を越えた場合であって、
前記車イス利用者用かご内行き先階釦により指定された目的階到着のための減速開始を前記号機制御装置が検出した場合、
前記号機制御装置が、予め記憶している車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を前記ホール端末装置に伝送し、
ホールに設けられたホール側音声案内装置およびホール表示器に、前記車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を出力することを特徴とするエレベータ装置。
【請求項3】
乗りかご内の乗員数を検出する乗員数検出手段と、
乗りかご内に設けられた車イス利用者用かご内行き先階釦と、
乗りかご内へ伝送する音声情報および表示情報を制御するかご端末装置と、
ホールへ伝送する音声情報および表示情報を制御するホール端末装置と、
多重伝送路により、前記かご端末装置および前記ホール端末装置と接続された号機制御装置と、を備えたエレベータ装置において、
前記乗員数検出手段により検出した乗りかご内の乗員数が、予め登録された乗員数を越えた場合であって、
前記車イス利用者用かご内行き先階釦により指定された目的階到着のための減速開始を前記号機制御装置が検出した場合、
前記号機制御装置が、予め記憶している車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を前記かご端末装置および前記ホール端末装置に伝送し、
乗りかご内に設けられたかご内音声案内装置とかご内表示器、およびホールに設けられたホール側音声案内装置とホール表示器に、前記車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を出力することを特徴とするエレベータ装置。
【請求項4】
前記乗員数検出手段により検出される乗りかご内の乗員数は、前記乗りかごの最大積載重量に対する、かご内荷重検出装置により検出した重量の比率から算出されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエレベータ装置。
【請求項5】
前記乗員数検出手段により検出される乗りかご内の乗員数は、前記乗りかごの最大積載重量に対する、かご内荷重検出装置により検出した重量の比率と、
前記号機制御装置に接続された外部情報端末から伝送される天候情報と、に基づき算出されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエレベータ装置。
【請求項6】
前記乗員数検出手段により検出される乗りかご内の乗員数は、乗りかご内に設けられたカメラ画像の画像認識により乗員数を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のエレベータ装置。
【請求項7】
ホールに設けられた車イス利用者用ホール釦と、
前記車イス利用者用ホール釦の押下情報を制御するホール端末装置と、
乗りかご内へ伝送する音声情報および表示情報を制御するかご端末装置と、
多重伝送路により、前記ホール端末装置および前記かご端末装置と接続された号機制御装置と、を備えたエレベータ装置において、
前記車イス利用者用ホール釦が押下された階到着のための減速開始を前記号機制御装置が検出した場合、
前記号機制御装置が、予め記憶している車イス利用者乗車案内の音声情報および表示情報を前記かご端末装置に伝送し、
乗りかご内に設けられたかご内音声案内装置およびかご内表示器に、前記車イス利用者乗車案内の音声情報および表示情報を出力することを特徴とするエレベータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車いす利用者の利便性を向上したエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータ装置においては、例えば、建物の入退出管理システムと連動しているエレベータであれば、エレベータのドアの開放時間を建物の住居者の状況に応じて最適に設定することができるなど、利用者の利便性を向上したエレベータ装置が実用化されている。しかし、個人認証された利用者のみが対象であるなど、その利用は限定的なものであった。また、エレベータドアの開放時間の制御以外においても、例えば、目の不自由な人が行き先階釦を押した際に操作音を発生させたり、エレベータの乗りかご内に、かご内表示器やかご内音声案内装置などを設置し、車イス利用者がエレベータを乗降車する際に、エレベータ内の他の乗客やホールでエレベータ待ちをしている利用者に対して、適宜、必要な表示や音声等による案内を行うなど、身障者に対する利便性を向上するような具体的な提案は少なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−208707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、エレベータ利用者が車イス利用者や高齢者である場合などに、建物の入り口からエレベータ乗場までの間を移動する時間を、建物の入管理システムと連動し、乗籠を手配する際に、状況に応じてドアの開放時間を選択することができるエレベータ装置が開示されている。
【0005】
しかし、エレベータ装置の通常の運行サービスの中で、車イス利用者が降車する時の案内を提示する機能に関する記載はない。例えばエレベータの利用者が車イス利用者であった場合、厚意で乗車順を優先的に誘導されるので、乗車時は奥に押し込まれてしまう事が多い。その為、車イス利用者の乗降の際には大きな声で乗客を誘導し前方を空けてもらう必要があるなど不便が発生する事がある。
【0006】
本発明の目的は、車イス利用者がエレベータから降車する際に、適切なタイミングで乗りかご内やホールに車イス利用者の降車案内(告知)を行い、他の乗客やホールでエレベータ待ちをしている利用者を誘導し、車イス利用者のスムーズな降車を可能とすることにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、車イス利用者がエレベータに乗車する際に、適切なタイミングで乗りかご内に車イス利用者の乗車案内(告知)を行い、他の乗客を誘導し、車イス利用者のスムーズな乗車を可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、乗りかご内の乗員数を検出する乗員数検出手段と、乗りかご内に設けられた車イス利用者用かご内行き先階釦と、乗りかご内へ伝送する音声情報および表示情報を制御するかご端末装置と、多重伝送路により、前記かご端末装置と接続された号機制御装置と、を備えたエレベータ装置において、前記乗員数検出手段により検出した乗りかご内の乗員数が、予め登録された乗員数を越えた場合であって、前記乗りかごが、前記車イス利用者用かご内行き先階釦により指定された目的階に到着し、かつ、前記号機制御装置が乗りかごのドア開の開始を検出した場合、前記号機制御装置が、予め記憶している車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を前記かご端末装置に伝送し、乗りかご内に設けられたかご内音声案内装置およびかご表示器に、前記車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を出力することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、乗りかご内の乗員数を検出する乗員数検出手段と、乗りかご内に設けられた車イス利用者用かご内行き先階釦と、ホールへ伝送する音声情報および表示情報を制御するホール端末装置と、多重伝送路により、前記ホール端末装置と接続された号機制御装置と、を備えたエレベータ装置において、前記乗員数検出手段により検出した乗りかご内の乗員数が、予め登録された乗員数を越えた場合であって、前記車イス利用者用かご内行き先階釦により指定された目的階到着のための減速開始を前記号機制御装置が検出した場合、前記号機制御装置が、予め記憶している車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を前記ホール端末装置に伝送し、ホールに設けられたホール側音声案内装置およびホール表示器に、前記車イス利用者降車案内の音声情報および表示情報を出力することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ホールに設けられた車イス利用者用ホール釦と、前記車イス利用者用ホール釦の押下情報を制御するホール端末装置と、乗りかご内へ伝送する音声情報および表示情報を制御するかご端末装置と、多重伝送路により、前記ホール端末装置および前記かご端末装置と接続された号機制御装置と、を備えたエレベータ装置において、前記車イス利用者用ホール釦が押下された階到着のための減速開始を前記号機制御装置が検出した場合、前記号機制御装置が、予め記憶している車イス利用者乗車案内の音声情報および表示情報を前記かご端末装置に伝送し、乗りかご内に設けられたかご内音声案内装置およびかご内表示器に、前記車イス利用者乗車案内の音声情報および表示情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車イス利用者がエレベータから降車する際に、適切なタイミングで乗りかご内に車イス利用者の降車案内(告知)を行い、他の乗客を誘導し、車イス利用者のスムーズな降車が可能となる。
【0012】
また、本発明によれば、車イス利用者がエレベータから降車する際に、適切なタイミングでホールに車イス利用者の降車案内(告知)を行い、ホールでエレベータ待ちをしている利用者を誘導し、車イス利用者のスムーズな降車が可能となる。
【0013】
また、本発明によれば、車イス利用者がエレベータに乗車する際に、適切なタイミングで乗りかご内に車イス利用者の乗車案内(告知)を行い、他の乗客を誘導し、車イス利用者のスムーズな乗車が可能となる。
【0014】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータ装置の概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るエレベータ装置の制御ブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るエレベータ装置における号機制御装置の処理フローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係るエレベータ装置におけるかご端末装置およびホール端末装置の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータ装置の概略構成を示す図である。機械室8内に設けられ、エレベータ全体を制御する号機制御装置9は、多重伝送路A10を介して乗りかご1に設置されているかご端末装置2に接続され、また多重伝送路B11を介して各階乗り場に設置されているホール端末装置A12、ホール端末装置B13、ホール端末装置C14に接続される。かご端末装置2には、かご内行き先階釦6と、車イス利用者用かご内行き先階釦7と、乗り込み状況検出装置すなわち乗員数検出手段であるかご内荷重検出装置3と、かご内出力装置であるかご内表示器5およびかご内音声案内装置4などが接続されている。ホール端末装置A12には、ホール釦A18、車イス利用者用ホール釦A21、ホール出力装置であるホール表示器A15およびホール側音声案内装置A24が接続されている。また、別の階に設置されているホール端末装置B13には、ホール釦B19、車イス利用者用ホール釦B22、ホール出力装置であるホール表示器B16およびホール側音声案内装置B25が接続されている。さらに別の階に設置されているホール端末装置C14には、ホール釦C20、車イス利用者用ホール釦C23、ホール出力装置であるホール表示器C17およびホール側音声案内装置C26が接続されている。
【0018】
図2は、上述したエレベータ装置でのデータの流れを示す制御ブロック図である。号機制御部B300は、号機エレベータ装置の全体的な制御を行う既存の機能の他に、詳細を後述する利用者向けの表示・放送データなどが格納された記憶部B400と、車イス利用者有で所定人数以上(3名として実施例を示す)の利用であるかを荷重検出部B1000及び、車イス行き先呼び登録部B800からの入力データより判定する検出部B200と、そのエレベータの乗りかごの位置に応じて、放送のタイミングを判断する決定部B100により構成される。号機制御部B300は通信部AB500および通信部BB600を用いて、かご端末制御部B700およびホール端末制御部B1400に平常時から常に定期的にスピーカーや表示器などの出力装置にデータを伝送しており、また各階ホールでのホール呼び釦が押されたことや、乗りかご内運転盤での行き先呼び釦が押されたことを示すデータを号機制御装置に伝送している。例えば乗りかごの車イス利用者が乗り込み、車いす行き先呼び釦を押せば、車いす行き先呼び登録部B800でデータとして、かご端末制御部B700に入力され、号機制御部B300へデータ伝送される。また同時に荷重検出部B1000で取り込んだ荷重データも、かご端末制御部B700を介して号機制御部B300に伝送される。この荷重データと車いす行き先呼びデータにより、号機制御部B300は車イス利用者を含んだ複数名の利用者が乗り込んだことを検出し、乗りかごが車イス行き先呼びに応じて運転を行った際に、例えば車イス行き先呼び登録階が3階とすれば3階に到着するために、減速運転となったことを放送タイミング決定部B100で検出する。この場合にはホール端末制御B1400に対して、記憶部に格納した表示・放送データを伝送処理する。さらに乗りかごが車イス行き先呼び階に到着しドア開動作の直前を検出しが場合には、かご端末に対して、記憶部に格納された表示・放送データを伝送処理する。
【0019】
図3は、本発明の号機制御装置の処理フローチャートである。まずステップS100では乗員数検出手段である荷重検出装置からのデータを基に、本実施例では3名以上の利用者数であるか否かを判定する。この判定すなわち乗員数検出は、例えば、乗りかごの最大積載重量に対する、かご内荷重検出装置により検出した重量の比率から算出する。この比率は、例えば、乗員ひとりあたり、およそ65kgとして計算することにより乗員数が算出できる。3名に満たなければ本処理からリターンする。3名以上であればステップS200へ移行する。ステップS200では乗りかご内の車いす運転盤の車イス行き先釦が押されているか否かを判定する。これが押されていればステップS300へ移行し、押されていなければ本処理からリターンする。ステップS300では車イス行き先呼び釦に対しての運転を行い、その目的階に到着のため減速を開始したか否かを判定する。減速開始と判定されればステップS400へ移行する。減速開始のタイミングでなければステップS500へ移行する。ステップS400では号機制御装置が予め記憶している車イス利用者の降車案内の音声情報および表示情報を、ホール端末に対し伝送する。この音声情報および表示情報は、例えば、「間もなく車イスの方が降車しますので扉の前を空けて(譲って)お待ち下さい。」等とする。その後本処理からリターンする。
【0020】
ステップS500では車イス行き先呼び階に到着し、乗りかごのドアが開く直前のタイミングを検出したか否かを判定する。乗りかごのドア開の開始を検出したのであればステップS600で、号機制御装置が予め記憶している車イス利用者の降車案内の音声情報および表示情報を、かご端末に対し伝送する。この音声情報および表示情報は、例えば、「間もなく車イスの方が降車しますのでスペースを空けて(譲って)下さい。」等とする。本処理を定期的に号機制御装置のOSからコールして繰り返す。
【0021】
図4は、本発明のかご端末装置およびホール端末装置の処理フローチャートである。ステップS1000では放送データの受信有無判定を行う。放送データの受信を受信テーブルへのデータ展開状況で確認した場合には、ステップS1100へ移行する。受信していなければステップS1200へ移行する。ステップS1100では受信した放送データを基にスピーカーへ音声出力を行う。次にステップS1200では放送完了したかどうかの判定を行う。放送が完了していればステップS1300で受信した放送データテーブルをクリア処理する。放送が未完了であればステップS1400へ移行する。ステップS1400では放送データの受信有無判定を行う。放送データの受信を受信テーブルへのデータ展開状況で確認した場合には、ステップS1500へ移行し受信した表示データを基に表示器へ表示出力を行う。次に新たな表示データが受信されるまではその表示を継続する。ステップS1400では表示データを受信していなければ本処理から抜ける。本処理を定期的に号機制御装置のOSからコールして繰り返す。
【0022】
なお、
図4に示した処理フローチャートの一連の処理、すなわち
図4のフローチャートにおけるエントリーからリターンまでの処理は、10msec〜100msec毎に、より好適には40msec程度毎に繰り返すことで、より誤動作が少なく信頼性の高い処理が可能となる。
【0023】
以上で説明したように、本発明によれば、乗りかご内に乗りこんだ人数を検出すると、かご内荷重検出装置の情報と乗りかご内に設置された車イス運転盤の車イス行き先呼び釦を含む情報をかご端末装置に一旦入力し、多重伝送を用いて号機制御装置へ伝送する。号機制御装置では、乗り込んだ人数が所定の人数以上かつ、車イス行き先呼びがある場合には、ある程度混雑気味と判断し、ホールとかご内に設置された出力装置(表示器およびスピーカー)に適切なタイミングで車イス利用者の降車がある旨を出力するデータを伝送する。つまり、ホールとかご内に設置したホール端末装置とかご端末装置では、受信したデータを基に出力装置への出力を行うことで、車イス利用者に対して、必要に応じたサービスを行うことができる。
【0024】
従来のエレベータ装置では、車イス利用者に応じて、乗りかご内やホールでエレベータ待ちをしている利用者へ、車イス利用者の乗降車を知らせる機能が無かったため、本発明により、同乗客を誘導しスムーズな案内を確保することで車イス利用者が慌てることなく降車でき、エレベータを安全に利用することができる。
【0025】
また、本発明により、かご内荷重検出装置を利用して乗りかご内が混雑状況を判断し、案内を行うことができるため、無駄な案内すなわち無駄な表示および無駄な放送を減らすことができる。
【0026】
本実施例では、乗員数検出手段として、乗りかごに設けられたかご内荷重検出装置を用いた例を示したが、例えば、雨天時には傘を持つ人が多く、乗員ひとりあたりの重量が増加することが考えられるため、号機制御装置を外部情報端末と接続し、インターネット回線等を通じて、号機制御装置に天候情報を伝送することにより、乗員数を算出する際に天候情報を含めた算出が可能となり、より精度の高い乗員数を検出することができる。
【0027】
また、本実施例では、乗員数検出手段として、乗りかごに設けられたかご内荷重検出装置を用いた例を示したが、例えば、乗りかご内にビデオカメラを設置し、ビデオカメラから得られた画像を画像処理することにより、乗りかご内の乗員数を算出しても良い。この場合は、乗員ひとりひとりの体重差による乗員数算出の誤差がなくなり、より精度の高い乗員数検出が可能となる。
【0028】
また、本実施例では、車イス利用者を対象とした実施例を用いて説明したが、乳幼児を乗せたベビーカーを押す母親などに対しても、同様にエレベータ装置の利便性を向上することができる。
【実施例2】
【0029】
実施例1では、車イス利用者がエレベータから降車する際に、適切なタイミングで乗りかご内やホールに車イス利用者の降車案内(告知)を行い、他の乗客やホールでエレベータ待ちをしている利用者を誘導し、車イス利用者のスムーズな降車を可能とする例を説明したが、本実施例では、ホールでエレベータ待ちをしている車イス利用者がスムーズに乗車できる実施例について説明する。
【0030】
本実施例におけるエレベータ装置は、ホールに設けられた車イス利用者用ホール釦と、車イス利用者用ホール釦の押下情報を制御するホール端末装置と、乗りかご内へ伝送する音声情報および表示情報を制御するかご端末装置と、多重伝送路により、前記ホール端末装置および前記かご端末装置と接続された号機制御装置と、を備えたエレベータ装置において、車イス利用者用ホール釦が押下された階到着のための減速開始を前記号機制御装置が検出した場合、号機制御装置が、予め記憶している車イス利用者乗車案内の音声情報および表示情報をかご端末装置に伝送し、乗りかご内に設けられたかご内音声案内装置およびかご内表示器に、車イス利用者乗車案内の音声情報および表示情報を出力する構成となっている。
【0031】
本実施例におけるエレベータ装置は、実施例1において説明した
図1〜
図4と同様の構成を有している。すなわち、ホールでエレベータ待ちをしている車イス利用者が、車イス利用者用ホール釦を押し、号機制御装置が車イス利用者の待機している階へ到着するための減速開始を検知した場合、かご内に設置された出力装置(表示器およびスピーカー)に適切なタイミングで車イス利用者の乗車がある旨を音声情報および表示情報としてかご端末装置に伝送し、かご内に設置されたかご内表示器およびかご内音声案内装置に出力する。この音声情報および表示情報は、例えば、「間もなく車イスの方が乗車しますのでスペースを空けて(譲って)下さい。」等とする。
【0032】
上記により、車イス利用者がエレベータに乗車する際に、適切なタイミングで乗りかご内に車イス利用者の乗車案内(告知)を行い、他の乗客を誘導し、車イス利用者のスムーズな乗車が可能となる。
【0033】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…乗りかご、2…かご端末装置、3…かご内荷重検出装置、4…かご内音声案内装置、5…かご内表示器、6…かご内行き先階釦、7…車イス利用者用かご内行き先階釦、8…機械室、9…号機制御装置、10…多重伝送路A、11…多重伝送路B、12…ホール端末装置A、13…ホール端末装置B、14…ホール端末装置C、15…ホール表示器A、16…ホール表示器B、17…ホール表示器C、18…ホール釦A、19…ホール釦B、20…ホール釦C、21…車イス利用者用ホール釦A、22…車いす利用者用ホール釦B、23…車いす利用者用ホール釦C、24…ホール側音声案内装置A、25…ホール側音声案内装置B、26…ホール側音声案内装置C。