【解決手段】長さ方向に続く立上り部形成予定領域1とその片側又は両側に連設された床面貼着部形成予定領域2と、これらの予定領域相互間又はこれらの予定領域相互間と立上り部形成予定領域に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3a,3bとを有する略平坦な帯状シートS
帯状シートが、その長さ方向に続く立上り部形成予定領域と、その両側に連設された床面貼着部形成予定領域と、これらの予定領域相互間と立上り部形成予定領域の幅方向中間に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部とを有するものであり、
この帯状シートの立上り部形成予定領域をその幅方向中間の折曲げ予定部で折返すと共に、両側の床面貼着部形成予定領域を予定領域相互間の折曲げ予定部で両外側へ略直角に折曲げることによって、立上り部と床面貼着部とを備えた略逆T字状の排水仕切材を形成することを特徴とする、請求項1に記載の排水仕切材の床面への施工方法。
帯状シートが、その長さ方向に続く立上り部形成予定領域と、その片側に連設された床面貼着部形成予定領域と、これらの予定領域相互間に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部とを有するものであり、
この帯状シートを一対用いて、それぞれの帯状シートを予定領域相互間の折曲げ予定部で略直角に折曲げると共に、双方の帯状シートの立上り部形成予定領域を背中合わせにして立上り部形成予定領域の少なくとも上端部同士を当接させることによって、立上り部と床面貼着部とを備えた略逆T字状の排水仕切材を形成することを特徴とする、請求項1に記載の排水仕切材の床面への施工方法。
帯状シートが、その長さ方向に続く床面貼着部形成予定領域と、その片側又は両側に連設された立上り部形成予定領域と、これらの予定領域相互間又はこれらの予定領域相互間と立上り部形成予定領域に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部とを有するものであり、
この帯状シートの床面貼着部形成予定領域の片側又は両側の立上り部形成予定領域を予定領域相互間の折曲げ予定部で折り起こし、立上り部形成予定領域に折曲げ予定部が設けられている帯状シートの場合は更に立上り部形成予定領域をその折曲げ予定部で折曲げ、両側の立上り部形成予定領域の側端同士を接合するか、又は、片側の立上り部形成予定領域の側端を床面貼着部形成予定領域に接合することによって、中空の立上り部と床面貼着部とを備えた排水仕切材を形成することを特徴とする、請求項1に記載の排水仕切材の床面への施工方法。
請求項1に記載の排水仕切材の床面への施工方法に用いられる略平坦な帯状シートであって、その長さ方向に続く立上り部形成予定領域と、その片側又は両側に連設された床面貼着部形成予定領域と、これらの予定領域相互間又はこれらの予定領域相互間と立上り部形成予定領域に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部とを有することを特徴とする帯状シート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この実施形態に係る施工方法は、
図2に示す横断面形状を有する略平坦な帯状シートS
1を折曲げることによって、立上り部10と床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状と認められる形状)の排水仕切材P
1を形成し、その床面貼着部20,20を床面Fに貼着して施工するものである。
【0022】
この実施形態の施工方法に用いる帯状シートS
1は、
図2に示すように、その長さ方向(紙面に対して垂直方向)に続く立上り部形成予定領域1と、その両側に連設された床面貼着部形成予定領域2,2と、これらの予定領域1,2相互間と立上り部形成予定領域1の幅方向中間にそれぞれ形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3a,3a,3bとを有する略平坦な帯状シートであって、予定領域1,2相互間の折曲げ予定部3a,3aは、略直角に折曲げ易くなるように帯状シートS
1の上面にV溝状に形成されており、立上り部形成予定領域1の幅方向中間の折曲げ予定部3bは、下側に折返し易くなるように帯状シートS
1の下面に凹溝状に形成されている。そして、立上り部形成予定領域1の折曲げ予定部3bを挟んで両側の下面には、長さ方向に続く嵌合用の複数の凸条4a,4aと凹条4b,4bが左右対称の位置に形成されている。
なお、V溝状の折曲げ予定部3a,3aを帯状シートS
1の下面に形成し、凹溝状の折曲げ予定部3bを帯状シートS
1の上面に形成してもよい。
【0023】
図1に示す実施形態の施工方法は、上記帯状シートS
1を使用し、その立上り部形成予定領域1を幅方向中間の折曲げ予定部3bで下側に折返して重ね合わせ、嵌合用の凸条4a,4aと凹条4b,4bを嵌合させると共に、両側の床面貼着部形成予定領域2,2を折曲げ予定部3a,3aで両外側へ略直角(直角と認められる角度)に折曲げることによって、二重壁状の立上り部10と、その下端から両外側へ突出する細帯状の床面貼着部20,20とを備えた、略逆T字状(横断面が逆T字状と認められる形状)の排水仕切材P
1を形成し、この排水仕切材P
1を集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20,20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着して施工するものである。
【0024】
この施工方法にあっては、
図1に示すように、排水仕切材P
1の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
1の床面貼着部20,20の側端との突き合わせ部分を、コーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などを用いて接合することにより、防水性を付与することが望ましい。
【0025】
また、排水仕切材P
1の二重壁状の立上り部10は、凸条4a,4aと凹条4b,4bを嵌合させることで、床面貼着部20,20が床面Fに貼着固定されるまでの間に立上り部10が両側に開かないようにしているが、必要に応じて二重壁状の立上り部10の互いに当接する内面同士を接着剤などで接合してもよく、このように接合する場合は嵌合用の凸条4aと凹条4bを省略してもよい。また嵌合用の凸条4aと凹条4bに抜け止め部(不図示)を設けて、二重壁状の立上り部10が両側に開かないようにしてもよい。凸条4aと凹条4bの形成個数は特に限定されないが、嵌合させる作業性と嵌合力の強さとのバランスを考慮すると、凸条4aと凹条4bを二つずつ形成することが望ましい。
なお、凸条4aと凹条4bは、この実施形態のように、立上り部形成予定領域1の下面に全長に亘って連続して形成することが、嵌合力を高める上で望ましいが、長さ方向に断続的に形成したり、部分的に形成してもよい。
【0026】
上記帯状シートS
1は、全体を軟質の塩化ビニル系樹脂やオレフィン系樹脂、ゴムなどの軟質材料で形成したものであるが、折曲げ予定部3a,3bのみを折曲げ可能な上記の軟質材料で形成し、折曲げ予定部3a,3bを除いた立上り部形成予定領域1と床面貼着部形成予定領域2,2を剛性のある合成樹脂や金属などの硬質材料で形成してもよい。後者の場合は、折曲げ予定部3a,3bをV溝状や凹溝状に形成する必要はなく、立上り部形成予定領域1や床面貼着部形成予定領域2と同じ厚さの直線状の折曲げ予定部を軟質材料で形成すればよい。
【0027】
帯状シートS
1の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の種々の製造方法の中から適当なものを選択して製造すればよい。例えば、全体が上記の軟質樹脂からなる帯状シートS
1の場合は、軟質樹脂を溶融押出成形して製造すればよく、また、折曲げ予定部3a,3bが軟質樹脂からなり、立上り部形成予定領域1と床面貼着部形成予定領域2が硬質樹脂からなる帯状シートの場合は、軟質樹脂と硬質樹脂を並列に2色押出成形して製造すればよい。
【0028】
帯状シートS
1を折曲げて形成される排水仕切材P
1の立上り部10の高さ寸法は20〜50mmであることが望ましく、この程度の高さ寸法があれば、排水の越流を阻止して充分な排水仕切性能を発揮することができる。また、排水仕切材P
1の幅寸法(両側の床面貼着部20,20の合計幅寸法)は70〜150mmであることが望ましく、この程度の幅寸法があれば、排水仕切材P
1の床面貼着部20,20を貼着剤で床面Fに強固に貼着固定することができる。従って、帯状シートS
1の立上り部形成予定領域1の幅寸法は40〜100mmに設定することが望ましく、その両側の床面貼着部2,2のそれぞれの幅寸法は35〜75mmに設定することが望ましい。また、排水仕切材の施工場所が、自家使用部分と隣家使用部分との境界にある隔て板と近接している場合は、床シートFSの側端と排水仕切材の床面貼着部20の側端との接合の作業性を考慮し、床面貼着部2の幅寸法を前記の35〜75mmに代えて、100mm程度とすることも好ましい。
【0029】
排水仕切材P
1の長さは、例えば、集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに排水仕切材P
1を貼着する場合には、その境界付近の床面Fの出幅寸法に合わせて600〜1500mmの範囲内とするのが一般的である。従って、施工現場で帯状シートS
1を床面Fの出幅寸法に合わせた長さに切断し、これを折曲げ予定部3a,3bで折曲げて排水仕切材P
1を形成すればよい。
【0030】
帯状シートS
1の厚さは1.5〜3.0mmであることが望ましく、この程度の厚さであれば、折曲げ予定部3a,3bで折曲げることによって実用強度のある排水仕切材P
1を形成することができる。しかも、巻き取りが容易であるため、帯状シートS
1をコンパクトに巻き取って包装、保管、運搬することができ、また、床シートFSと同程度の厚さであるため、排水仕切材P
1の床面貼着部20,20の側端と床シートFSの側端との接合作業も容易に行うことができる。
【0031】
図1の実施形態に係る排水仕切材P
1の床面Fへの施工方法は、長さ方向に続く立上り部形成予定領域1と、その両側に連設された床面貼着部形成予定領域2,2と、これらの予定領域1,2相互間及び立上り部形成予定領域1の幅方向中間に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3a,3a,3bと、立上り部形成予定領域1の下面に形成された嵌合用の凸条4a,4a及び凹条4b,4bとを有する
図2の略平坦な帯状シートS
1を用いるので、この略平坦な帯状シートS
1を長尺のまま巻き取ってコンパクトに包装、保管、輸送することができる。従って、帯状シートS
1の包装費、保管費、運搬費が安くなり、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
1が変形したり破損したりする心配がなく、また、長尺の帯状シートS
1を必要な長さにカットして使用するので従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。
【0032】
そして、この帯状シートS
1の立上り部形成予定領域1を、前述のように幅方向中間の折曲げ予定部3bで下側に折返して重ね合わせ、凸条4a,4aと凹条4b,4bを嵌合させると共に、両側の床面貼着部形成予定領域2,2を予定領域相互間の折曲げ予定部3a,3aで両外側へ略直角(直角と認められる角度)に折曲げることによって、二重壁状の立上り部10と細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状と認められる形状)の排水仕切材P
1を簡単に形成し、その床面貼着部20,20を床面Fに貼着することによって略逆T字状(横断面が逆T字状と認められる形状)の排水仕切材P
1を床面Fに効率良く施工することができる。このようにして排水仕切材P
1を床面Fに貼着施工すると、排水仕切材P
1の立上り部10によって排水の越流が阻止され、優れた排水仕切機能が発揮される。
【0033】
図3は本発明の他の実施形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この実施形態に係る施工方法は、
図4に示す横断面形状を有する略平坦な帯状シートS
2を折曲げることによって、逆V字状の立上り部10とその下端両側の細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状に類似すると認められる形状)の排水仕切材P
2を形成し、その床面貼着部20,20を床面Fに貼着して施工するものである。
【0034】
図4に示す帯状シートS
2は、前述の
図2に示す帯状シートS
1の嵌合用の凸条4a及び凹条4bを省略したものであって、長さ方向(紙面に対して垂直方向)に続く立上り部形成予定領域1と、その両側に連設された床面貼着部形成予定領域2,2と、これらの予定領域1,2相互間と立上り部形成予定領域1の幅方向中間にそれぞれ形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3a,3a,3bとを有する略平坦な帯状シートであり、予定領域1,2相互間の折曲げ予定部3a,3aは、略直角に折曲げ易くなるように帯状シートS
2の上面にV溝状に形成され、立上り部形成予定領域1の幅方向中間の折曲げ予定部3bは、下側に鋭角的に折返し易くなるように帯状シートS
2の下面に凹溝状に形成されている。
なお、V溝状の折曲げ予定部3a,3aを帯状シートS
2の下面に形成してもよいし、凹溝状の折曲げ予定部3bを帯状シートS
2の上面に形成してもよい。
【0035】
この
図3に示す実施形態の施工方法は、上記帯状シートS
2を使用し、その立上り部形成予定領域1を幅方向中間の折曲げ予定部3bで下側に鋭角的に折返すと共に、両側の床面貼着部形成予定領域2,2を折曲げ予定部3a,3aで両外側へ略直角(直角に近いと認められる鈍角)に折曲げることによって、逆V字状の立上り部10とその下端から両外側へ突出する細帯状の床面貼着部20,20とを備えた、略逆T字状(横断面が逆T字状に類似すると認められる形状)の排水仕切材P
2を形成し、この排水仕切材P
2を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20,20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
2を床面Fに施工するものである。
【0036】
そして、この実施形態の施工方法においても、排水仕切材P
2の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
2の床面貼着部20,20の側端との突き合わせ部分をコーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などを用いて接合している。
【0037】
排水仕切材P
2の立上り部10の高さ寸法は、排水の越流を阻止して充分な排水仕切性能を発揮させるために20〜50mmとすることが望ましく、床面貼着部20,20のそれぞれの幅寸法は、床面Fに強固に貼着固定するために35〜75mmとすることが望ましい。また、逆V字状の立上り部10の下端の開き寸法は20〜50mmとすることが望ましい。従って、帯状シートS
2の立上り部形成予定領域1の幅寸法は44〜112mmに設定することが望ましく、その両側の床面貼着部形成予定領域2,2のそれぞれの幅寸法は35〜75mmに設定することが望ましい。また、排水仕切材の施工場所が、自家使用部分と隣家使用部分との境界にある隔て板と近接している場合は、、床シートFSの側端と排水仕切材の床面貼着部20の側端との接合の作業性を考慮し、床面貼着部2の幅寸法を前記の35〜75mmに代えて、100mm程度とすることも好ましい。
尚、帯状シートS
2の材質、厚さ、製造方法などは、前述した帯状シートS
1のそれらと実質的に同じであるから、説明を省略する。
【0038】
図3に示す実施形態の施工方法は、帯状シートS
2を前記のように折曲げることで、逆V字状の立上り部10と細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状に類似する認められる形状)の排水仕切材P
2を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工でき、しかも、使用する帯状シートS
2を長尺のまま巻き取ってコンパクトに包装、保管、輸送できるので、包装費、保管費、運搬費が安くなり、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
2が変形したり破損する心配もない。また、長尺の帯状シートS
2を必要な長さにカットして使用するから、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。そして、帯状シートS
2を折り曲げて形成される排水仕切材P
2は逆V字状の立上り部10を有し、その下端の開き寸法が前記のように20〜50mmであるから、立上り部10が左右に倒れる心配がなく、しかも、20〜50mmの範囲内で開き寸法を増減して排水仕切材P
2の全体の幅寸法を調整し、両側の床面貼着部20,20の側端と床シートFS,FSの側端とをうまく突き合わせてコーキング材C,Cなどで接合できるので、施工性が良好である。
【0039】
図5は本発明の更に他の実施形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この実施形態に係る施工方法は、
図6に示す横断面形状を有する略平坦な帯状シートS
3を折曲げることによって、
図5に示すように、上端部の両側面に水返し部5,5を有する二重壁状の立上り部10と、上面に堤部6と線状突起7を有する細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状に類似すると認められる形状)の排水仕切材P
3を形成し、その床面貼着部20,20を床面Fに貼着して施工するものである。
【0040】
図6に示す帯状シートS
3は、基本的な構成が
図2に示す帯状シートS
1と共通するものであって、長さ方向(紙面に対して垂直方向)に続く立上り部形成予定領域1と、その両側に連設された床面貼着部形成予定領域2,2と、これらの予定領域1,2相互間と立上り部形成予定領域1の幅方向中間にそれぞれ形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3a,3a,3bとを有する略平坦な帯状シートであり、予定領域1,2相互間の折曲げ予定部3a,3aは、略直角に折曲げ易くなるように帯状シートS
3の上面(下面でもよい)にV溝状に形成され、立上り部形成予定領域1の幅方向中間の折曲げ予定部3bは、下側に折返し易くなるように帯状シートS
3の下面(上面でもよい)に凹溝状に形成されている。
【0041】
そして、立上り部形成予定領域1の幅方向中間の折曲げ予定部3bを挟んで両側の上面には、立上り部形成予定領域1を下側に折曲げて立上り部10を形成したときに立上り部10の上端部両側面の水返し部5、5となる隆起部5,5が、立上り部形成予定領域1の長さ方向に連続して形成されており、これらの隆起部5,5から折曲げ予定部3a,3aに至る立上り部形成予定領域1の上面は、立上り部10の両側面が凹湾曲面となるように、少し凹湾曲している。
【0042】
また、床面貼着部形成予定領域2,2の側縁部の上面には、側端側から内側に向かって徐々に高くなる傾斜面を備えた断面形状が直角三角形の堤部6,6が、床面貼着部形成予定領域2,2の長さ方向に連続して形成されており、帯状シートS
3を折曲げて排水仕切材P
3を形成したときに、立上り部10と堤部6,6との間の床面貼着部20,20の上に浅い排水溝部30,30が形成されるようになっている。
【0043】
さらに、堤部6,6と折曲げ予定部3a,3aとの間の床面貼着部形成予定領域2,2の上面には、二等辺三角形の断面形状を有する線状突起7,7が少なくとも1本づつ(
図5,
図6では2本づつ)、床面貼着部形成予定領域2,2の長さ方向に連続して形成されている。
【0044】
帯状シートS
3の立上り部形成予定領域1に形成される隆起部5,5(排水仕切材P
3の立上り部10の上端部両側面の水返し部5,5)の隆起寸法は2〜5mmとすることが望ましく、この程度の隆起寸法であれば、帯状シートS
3の巻き取りに支障をきたすことがなく、しかも、排水仕切材P
3の立上り部10を越えようとする排水を水返し部5,5でほぼ確実に返して越流を阻止することができる。
【0045】
また、堤部6,6の高さ寸法(床面貼着部形成予定領域2,2の上面からの高さ寸法)も2〜5mmとすることが望ましく、この程度の高さであれば、帯状シートS
3の巻き取りに支障をきたすことがなく、しかも、排水仕切材P
3を床面に施工したときに堤部6,6の斜面を乗り越えて排水溝部30に流入した排水を返さないように堰止めて、排水溝部30を通じて確実に排水することができる。
【0046】
また、線状突起7は主として排水溝30の内部を流れる排水を整流するものであるから、その高さ寸法を1〜3mmとして良好な整流作用を発揮できるようにすることが望ましい。
【0047】
なお、帯状シートS
3の材質、厚さ、立上り部形成予定領域1の幅寸法、製造方法などは、前記帯状シートS
1のそれらと実質的に同じであり、また、排水仕切材P
3の幅寸法(両側の床面貼着部20,20の合計幅寸法)や立上り部10の高さ寸法も、前記排水仕切材P
1のそれらと実質的に同じであるから、説明を省略する。
【0048】
図5に示す実施形態の施工方法は、上記の帯状シートS
3を使用し、その立上り部形成予定領域1を幅方向中間の折曲げ予定部3bで下側に折返して重ね合わせ、嵌合凸条4a,4aと嵌合凹条4b,4bを嵌合させると共に、両側の床面貼着部形成予定領域2,2を折曲げ予定部3a,3aで両外側へ略直角(直角と認められる角度)に折曲げることによって、上端部の両側面に水返し部5,5を有する二重壁状の立上り部10と、上面に堤部6と線状突起7を有する細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状に類似すると認められる形状)の排水仕切材P
3を形成し、この排水仕切材P
3を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20,20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
3を床面Fに施工するものである。
【0049】
そして、この施工方法においても、排水仕切材P
3の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
2の床面貼着部20,20の側端との突き合わせ部分をコーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などを用いて接合している。
【0050】
上記のように、
図5に示す実施形態の施工方法は、帯状シートS
3を折曲げることで、上端部の両側面に水返し部5,5を有する二重壁状の立上り部10と、上面に堤部6と線状突起7を有する細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状に類似すると認められる形状)の排水仕切材P
3を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工することができ、しかも、使用する帯状シートS
3を長尺のまま巻き取ってコンパクトに包装、保管、輸送できるので、包装費、保管費、運搬費が安くなり、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
3が変形したり破損する心配がない。また、長尺の帯状シートS
3を床面Fの出幅寸法などに合わせて必要な長さにカットして使用するので、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。
【0051】
特に、この実施形態の施工方法によって床面Fに貼着、施工される排水仕切材P
3は、立上り部10の上端部の両側面に水返し部5,5を有し、床面貼着部20,20の上面とその側端縁に線状突起7,7と堤部6,6を有し、堤部6,6と立上り部10との間の床面貼着部20,20の上に排水溝部30,30が形成されたものであるから、床シートFSから排水仕切材P
3の堤部6の斜面を乗り越えて排水溝部30に流入した排水が立上り部10を越えて流出しようとしても、立上り部10の上端部の水返し部5で排水溝部30に返され、堤部6によって排水が床シートFSに戻らないように堰止められて排水溝部30を流れ、線状突起7で整流されてスムーズに排水溝部30の下流側端部まで流下して排水される。従って、優れた排水仕切効果と排水効果が奏される。その場合、この排水仕切材P
3のように立上り部10の両側面が凹湾曲面になっていると、堤部6と線状突起7を順次乗り越えて流勢を減じながら立上り部10に当たった排水が、立上り部10の凹湾曲面に沿って巻き上がり、立上り部10の上端部の水返し部5で反転してスムーズに排水溝部30に返されるので、排水の越流をより確実に阻止できるようになる。
【0052】
図7は本発明の更に他の実施形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この施工方法は、
図8に示す横断面形状を有する略平坦な一対の帯状シートS
4a,S
4bを用いて施工するものである。
【0053】
この
図8に示す一対の帯状シートS
4a,S
4bは、その長さ方向(紙面に対して垂直方向)に続く立上り部形成予定領域1と、その片側に連設された床面貼着部形成予定領域2と、これらの予定領域1,2の相互間に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3aとを有する略平坦な帯状シートであって、折曲げ予定部3aは略直角に折曲げ易くなるように、帯状シートS
4aの上面(下面でもよい)と、帯状シートS
4bの下面(上面でもよい)にV溝状に形成されている。そして、帯状シートS
4a,S
4bの立上り部形成予定領域1,1の対向面には、長さ方向に続く嵌合用の複数の凹条4b,4bと凸条4a,4aが、対向する位置に形成されている。
【0054】
図7に示す実施形態の施工方法は、この一対の帯状シートS
4a,S
4bを使用し、それぞれの帯状シートS
4a,S
4bを予定領域1,2相互間の折曲げ予定部3aで略直角(直角と認められる角度)に折曲げると共に、双方の帯状シートS
4a,S
4bの立上り部形成予定領域1,1を背中合わせにして、嵌合用の凸条4a,4aと凹条4b,4bを嵌合し、立上り部形成予定領域1,1の対向面同士を全面的に当接させることによって、二重壁状の立上り部10とその下端から両外側へ折曲がる細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状と認められる形状)の排水仕切材P
4を形成し、この排水仕切材P
4を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20,20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
4を床面Fに施工するものである。
【0055】
この施工方法の場合も、
図7に示すように、排水仕切材P
4の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
4の床面貼着部20,20の側端との突き合わせ部分を、コーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などで接合することが望ましい。そして、必要とあらば、
図7に仮想線で示すように、二重壁状の立上り部10の上端縁の全長に亘って、逆U字状の断面を有する合成樹脂製又は金属製のキャップ材40を被着して接着剤などで接合し、二重壁状の立上り部10の隙間から水が侵入しないように防水すると共に、二重壁状の立上り部10が両側に開かないように挟むことが望ましい。
【0056】
尚、二重壁状の立上り部10の内側の当接面は接着剤などで接合してもよく、その場合は嵌合用の凸条4aと凹条4bを省略してもよい。また、嵌合用の凸条4aと凹条4bに抜け止め部(不図示)を設けて、二重壁状の立上り部10が両側に開かないようにしてもよい。凸条4aと凹条4bの形成個数は、嵌合させる作業性と嵌合力の強さとのバランスを考慮すると、二つずつ形成することが望ましいが、それより多くても少なくてもよい。
【0057】
排水仕切材P
4の立上り部10の高さ寸法は、排水の越流を阻止して充分な排水仕切性能を発揮させるために20〜50mmとすることが望ましく、また、床面貼着部20,20のそれぞれの幅寸法は、床面Fに強固に貼着固定するために35〜75mmとすることが望ましい。従って、帯状シートS
4a,S
4bの立上り部形成予定領域1の幅寸法を20〜50mmに設定し、その片側の床面貼着部2の幅寸法を35〜75mmに設定することが望ましい。また、排水仕切材の施工場所が、自家使用部分と隣家使用部分との境界にある隔て板と近接して射る場合は、床シートFSの側端と排水仕切材の床面貼着部20の側端との接合の作業性を考慮し、床面貼着部2の幅寸法を前記の35〜75mmに代えて、100mm程度とすることも好ましい。
尚、帯状シートS
4a,S
4bの材質、厚さ、製造方法などは、前述した帯状シートS
1のそれらと実質的に同じであるから、説明を省略する。
【0058】
上記のように、
図7に示す実施形態の施工方法は、一対の帯状シートS
4a,S
4bを略直角(直角と認められる角度)に折曲げ、双方の立上り部形成予定領域1,1を背中合わせに当接して嵌合用の凸条4aと凹条4bを嵌合させることで、二重壁状の立上り部10と細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状に類似すると認められる形状)の排水仕切材P
4を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工することができ、更に、排水仕切材P
4の二重壁状の立上り部10の上端縁にキャップ材40を被着する場合は、二重壁状の立上り部10の隙間から水が侵入したり、二重壁状の立上り部10が両側に開いたりするのを確実に防止することができる。しかも、この施工方法に用いる帯状シートS
4a,S
4bは、その幅寸法が前述の帯状シートS
1,S
2,S
3の略半分と細いので、それぞれ長尺のまま巻き取ってより一層コンパクトに包装、保管、輸送することができ、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
4a,S
4bが変形したり破損する心配がなく、また、長尺の帯状シートS
4a,S
4bを必要な長さにカットして使用するので、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。
【0059】
図9は本発明の更に他の実施形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この施工方法は、
図10に示す横断面形状を有する略平坦な一対の帯状シートS
5a,S
5bを用いて施工するものである。
【0060】
この
図10に示す一対の帯状シートS
5a,S
5bは、前述の
図8に示す帯状シートS
4a,S
4bの嵌合用の凸条4aと凹条4bを省略したものであって、長さ方向(紙面に対して垂直方向)に続く立上り部形成予定領域1と、その片側に連設された床面貼着部形成予定領域2と、これらの予定領域1,2の相互間に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3aとを有する略平坦な帯状シートであり、折曲げ予定部3aは略直角に折曲げ易くなるように、帯状シートS
5a,S
5aの片面(上面でも下面でもよい)にV溝状に形成されている。尚、これらの帯状シートS
5a,S
5bは同じものであり、帯状シートS
5bは帯状シートS
5aを裏返して図示したものに他ならない。
【0061】
図9に示す実施形態の施工方法は、この一対の帯状シートS
5a,S
5bを使用し、それぞれの帯状シートS
5a,S
5bを予定領域1,2の相互間の折曲げ予定部3aで略直角(直角に近いと認められる鈍角)に折曲げると共に、双方の帯状シートS
5a,S
5bの立上り部形成予定領域1,1を背中合わせにして上端部同士を当接させ、望ましくは接着剤などで接合することによって、横断面が逆V字状の立上り部10と、その下端から両外側へ折曲がる細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状に類似すると認められる形状)の排水仕切材P
5を形成し、この排水仕切材P
5を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20,20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
5を床面Fに施工するものである。
【0062】
この施工方法の場合も、
図9に示すように、排水仕切材P
5の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
5の床面貼着部20,20の側端との突き合わせ部分を、コーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などで接合することが望ましく、必要とあらば、
図9に仮想線で示すように、逆V字状の立上り部10の上端縁の全長に亘って、逆V字状の断面を有する合成樹脂製又は金属製のキャップ材40を被着して接着剤などで接合し、逆V字状の立上り部10の上端の隙間から水が侵入しないように防水すると共に、逆V字状の立上り部10が両側に開かないように挟むことが望ましい。また、逆V字状の立上り部10の上端は、帯状シートS
5a,S
5bのいずれか一方の立上り部形成予定領域1の側端部に係合部(不図示)を設けると共に、いずれか他方の立上り部形成予定領域1の側端部に被係合部(不図示)を設けて、被係合部に係合部を係合させることにより、両側に開かないようにしてもよい。
【0063】
排水仕切材P
5の立上り部10の高さ寸法は、排水の越流を阻止して充分な排水仕切性能を発揮させるために20〜50mmとすることが望ましく、床面貼着部20,20のそれぞれの幅寸法は、床面Fに強固に貼着固定するために35〜75mmとすることが望ましく、逆V字状の立上り部10の下端の開き寸法は20〜50mmとすることが望ましい。従って、帯状シートS
5a,S
5bの立上り部形成予定領域1の幅寸法は22〜56mmに設定することが望ましく、その片側の床面貼着部2の幅寸法は35〜75mmに設定することが望ましい。また、排水仕切材の施工場所が、自家使用部分と隣家使用部分との境界にある隔て板と近接している場合は、床シートFSの側端と排水仕切材の床面貼着部20の側端との接合の作業性を考慮し、床面貼着部2の幅寸法を前記の35〜75mmに代えて、100mm程度とすることも好ましい。
尚、帯状シートS
5a,S
5bの材質、厚さ、製造方法などは、前述した帯状シートS
1のそれらと実質的に同じであるから、説明を省略する。
【0064】
上記のように、
図9に示す実施形態の施工方法は、一対の帯状シートS
5a,S
5bを略直角(直角に近いと認められる鈍角)に折曲げ、双方の立上り部形成予定領域1,1を背中合わせにして上端部を当接することで、逆V字状の立上り部10とその下端から両側に折曲がる細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状に類似すると認められる形状)の排水仕切材P
5を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工することができ、更に、排水仕切材P
5の立上り部10の上端縁にキャップ材40を被着する場合は、逆V字状の立上り部10の上端の隙間から水が侵入したり、逆V字状の立上り部10が両側に開いたりするのを確実に防止することができる。しかも、この施工方法に用いる帯状シートS
5a,S
5bは、その幅寸法が前述の帯状シートS
1,S
2,S
3の略半分と細いので、それぞれ長尺のまま巻き取ってより一層コンパクトに包装、保管、輸送することができ、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
5a,S
5bが変形したり破損する心配がなく、また、長尺の帯状シートS
5a,S
5bを必要な長さにカットして使用するので、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。さらに、逆V字状の立上り部10の下端の開き寸法(20〜50mm)の範囲内で排水仕切材P
5の全体の幅寸法を増減調節し、両側の床面貼着部20,20の側端と床シートFS,FSの側端とをうまく突き合わせてコーキング材C,Cなどで接合できるので、施工性が良好である。
【0065】
図11は本発明の更に他の実施形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この実施形態に係る施工方法は、
図12に示す横断面形状を有する略平坦な一対の帯状シートS
6a,S
6bを用いて施工するものである。
【0066】
この
図12に示す一対の帯状シートS
6a,S
6bは、その長さ方向(紙面に対して垂直方向)に続く立上り部形成予定領域1と、その片側に連設された床面貼着部形成予定領域2と、これらの予定領域1,2の相互間に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3aとを有する略平坦な帯状シートであって、折曲げ予定部3aは略直角に折曲げ易くなるように、帯状シートS
6aの上面(下面でもよい)と、帯状シートS
5bの下面(上面でもよい)にV溝状に形成されており、帯状シートS
6a,S
6bの立上り部形成予定領域1,1の対向面には、長さ方向に続く嵌合用の複数の凹条4b,4bと凸条4a,4aが、対向する位置に形成されている。
【0067】
そして、帯状シートS
6a,S
6bの立上り部形成予定領域1,1の対向面と反対側の面の側端部には、排水仕切材P
6を形成したときに立上り部10の上端部両側面の水返し部5、5となる隆起部5,5が、立上り部形成予定領域1,1の長さ方向に連続して形成されており、これらの隆起部5,5から折曲げ予定部3a,3aに至る立上り部形成予定領域1,1の表面(対向面と反対側の面)は凹湾曲面となっている。
【0068】
また、帯状シートS
6a,S
6bの床面貼着部形成予定領域2,2の側縁部の表面(対向面と反対側の隆起部5,5が形成されて方の表面)には、側端側から立上り部形成予定領域1,1の方に向かって徐々に高くなる傾斜面を備えた断面形状が直角三角形の堤部6,6が、床面貼着部形成予定領域2,2の長さ方向に連続して設けられており、これらの帯状シートS
6a,S
6bを用いて
図11に示す排水仕切材P
6を形成したときに、立上り部10と堤部6,6との間の床面貼着部20,20の上に浅い排水溝部30,30が形成されるようになっている。
【0069】
さらに、帯状シートS
6a,S
6bの堤部6,6と折曲げ予定部3a,3aとの間の床面貼着部形成予定領域2,2の表面には、二等辺三角形の断面形状を有する線状突起7,7が少なくとも1本づつ(
図11,
図12では2本づつ)、床面貼着部形成予定領域2,2の長さ方向に連続して形成されている。
【0070】
帯状シートS
6a,S
6bの立上り部形成予定領域1,1に形成される隆起部5,5の隆起寸法は、前記帯状シートS
3の隆起部5,5と同様に2〜5mmとすることが望ましく、この程度の隆起寸法であれば、帯状シートS
6a,S
6bの巻き取りに支障をきたすことがなく、しかも、排水仕切材P
6を形成したときに、立上り部10を越えようとする排水を隆起部5,5(水返し部5,5)でほぼ確実に返して越流を阻止することができる。
【0071】
また、堤部6,6の高さ寸法も、前記帯状シートS
3の堤部6,6と同様に2〜5mmとすることが望ましく、この程度の高さであれば、帯状シートS
6a,S
6bの巻き取りに支障をきたすことがなく、しかも、排水仕切材P
3を床面に施工したときに堤部6,6の斜面を乗り越えて排水溝部30に流入した排水を返さないように堰止めて、排水溝部30を通じて確実に排水することができる。
さらに、線状突起7の高さ寸法も、前記帯状シートS
3の線状突起7と同様に1〜3mmとして、良好な整流作用を発揮できるようにすることが望ましい。
【0072】
なお、帯状シートS
6a,S
6bの材質、厚さ、製造方法などは、前記帯状シートS
1のそれらと実質的に同じであり、帯状シートS
6a,S
6bの立上り部形成予定領域1,1及び床面貼着部形成予定領域2,2の幅寸法は、前記帯状シートS
4a,S
4bのそれらと同じであり、排水仕切材P
6の幅寸法(両側の床面貼着部20,20の合計幅寸法)や立上り部10の高さ寸法も、前記排水仕切材P
4のそれらと実質的に同じであるから、説明を省略する。
【0073】
図11に示す実施形態の施工方法は、上記一対の帯状シートS
6a,S
6bを使用し、それぞれの帯状シートS
6a,S
6bを予定領域1,2の相互間の折曲げ予定部3aで略直角(直角と認められる角度)に折曲げると共に、双方の帯状シートS
6a,S
6bの立上り部形成予定領域1,1を背中合わせにして、嵌合用の凸条4a,4aと凹条4b,4bを嵌合し、立上り部形成予定領域1,1の対向面同士を全面的に当接させることによって、上端部の両側面に水返し部5,5を有する二重壁状の立上り部10と、上面に堤部6と線状突起7を有する細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状に類似すると認められる形状)の排水仕切材P
6を形成し、この排水仕切材P
6を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20,20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
6を床面Fに施工するものである。
【0074】
そして、この施工方法においても、
図11に示すように、排水仕切材P
6両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
6の床面貼着部20,20の側端との突き合わせ部分を、コーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などで接合している。
【0075】
尚、二重壁状の立上り部10の内側の当接面は接着剤などで接合してもよく、その場合は嵌合用の凸条4aと凹条4bを省略してもよい。また、嵌合用の凸条4aと凹条4bに抜け止め部(不図示)を設けて、二重壁状の立上り部10が両側に開かないようにしてもよい。凸条4aと凹条4bの形成個数は、嵌合させる作業性と嵌合力の強さとのバランスを考慮すると、二つずつ形成することが望ましいが、それより多くても少なくてもよい。また、必要とあらば、立上り部10の上端縁の全長に亘って、水返し部5,5を覆う合成樹脂製又は金属製のキャップ材(不図示)を被着して接着剤などで接合し、二重壁状の立上り部10の隙間から水が侵入しないように防水すると共に、二重壁状の立上り部10が両側に開かないように挟むことが望ましい。
【0076】
上記のように、
図11に示す実施形態の施工方法は、一対の帯状シートS
6a,S
6bを使用し、上端部の両側面に水返し部5,5を有する二重壁状の立上り部10と、上面に堤部6と線状突起7を有する細帯状の床面貼着部20,20とを備えた略逆T字状(横断面が逆T字状に類似すると認められる形状)の排水仕切材P
6を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工でき、しかも、この施工方法に用いる帯状シートS
6a,S
6bは、その幅寸法が前述の帯状シートS
1,S
2,S
3の略半分と細いので、それぞれ長尺のまま巻き取ってより一層コンパクトに包装、保管、輸送することができ、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
6a,S
6bが変形したり破損する心配がなく、また、長尺の帯状シートS
6a,S
6bを必要な長さにカットして使用するので、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。
【0077】
特に、この実施形態の施工方法によって床面Fに貼着、施工される排水仕切材P
6は、立上り部10の上端部の両側面に水返し部5,5を有し、床面貼着部20,20の上面とその側端縁に線状突起7,7と堤部6,6を有し、堤部6,6と立上り部10との間の床面貼着部20,20の上に排水溝部30,30が形成されたものであるから、床シートFSから排水仕切材P
6の堤部6の斜面を乗り越えての排水溝部30に流入した排水が立上り部10を越えて流出しようとしても、立上り部10の上端部の水返し部5で排水溝部30に返され、堤部6によって排水が床シートFSに戻らないように堰止められて排水溝部30を流れ、線状突起7で整流されてスムーズに排水溝部30の下流側端部まで流下して排水される。従って、優れた排水仕切効果と排水効果が奏される。その場合、この排水仕切材P
6のように立上り部10の両側面が凹湾曲面になっていると、堤部6と線状突起7を順次乗り越えて流勢を減じながら立上り部10に当たった排水が、立上り部10の凹湾曲面に沿って巻き上がり、水返し部5で反転してスムーズに排水溝部30に返されるので、排水の越流をより確実に阻止できるようになる。
【0078】
図13は本発明の更に他の実施形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この実施形態に係る施工方法は、
図14に示す横断面形状を有する略平坦な帯状シートS
7を用いて施工するものである。
【0079】
この
図14に示す帯状シートS
7は、その長さ方向(紙面に対して垂直方向)に続く床面貼着部形成予定領域2と、その両側に連設された立上り部形成予定領域1,1と、これらの予定領域1,2の相互間にそれぞれ形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3a,3aとを有する略平坦な帯状シートであって、予定領域1,2相互間の折曲げ予定部3a,3aは、鋭角に折曲げ易くなるように帯状シートS
7の上面(下面でもよい)にV溝状に形成されている。そして、片側の立上り部形成予定領域1の側端には、略円形の断面形状を有する係合凸縁部8aが立上り部形成予定領域1の長さ方向に連続して形成されており、反対側の立上り部形成予定領域1の側端には、上記係合凸縁部8aと係合する略C字状の断面形状を備えた係合凹縁部8bが立上り部形成予定領域1の長さ方向に連続して形成されている。
【0080】
図13に示す実施形態の施工方法は、上記の帯状シートS
7を用いて、床面貼着部形成予定領域2の両側の立上り部形成予定領域1,1を折曲げ予定部3a,3aで内側斜め上方に鋭角的に折り起こし、片側の立上り部形成予定領域1の側端に形成された係合凸縁部8aを、反対側の立上り部形成予定領域1の側端に形成された係合凹縁部8bに外れないように係合させて、双方の立上り部形成予定領域1,1の側端同士を接合することにより、中空の二等辺三角形の断面形状を有する三角筒状の立上り部10とその底部の床面貼着部20とを備えた排水仕切材P
7を形成し、この排水仕切材P
7を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
7を床面Fに施工するものである。
【0081】
そして、この実施形態の施工方法においても、排水仕切材P
7の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
7の底部の床面貼着部20の両側端との突き合わせ部分をコーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などを用いて接合することが望ましく、また、必要とあらば、
図13に仮想線で示すように、排水仕切材P
7の立上り部10の上端部の全長に亘って、略逆V字状の断面を有する合成樹脂製又は金属製のキャップ材40を被着して接着剤などで接合し、立上り部10の上端部の係合箇所(係合凸縁部8aと係合凹縁部8bとの係合箇所)から水が侵入しないように防水すると共に、立上り部10が両側に開かないように挟むことが望ましい。
【0082】
排水仕切材P
7の立上り部10の高さ寸法は、排水の越流を阻止して充分な排水仕切性能を発揮させるために20〜50mmとすることが望ましく、また、床面貼着部20の幅寸法は、床面Fに強固に貼着固定するために50〜100mmとすることが望ましい。従って、帯状シートS
7の床面貼着部形成予定領域2の幅寸法は50〜100mmに設定することが望ましく、その両側の立上り部形成予定領域1,1のそれぞれの幅寸法は32〜70mmに設定することが望ましい。この実施形態の帯状シートS
7は、高さ寸法が略50mmの中空の正三角形の断面形状を有する排水仕切材P
7を形成できるように、床面貼着部形成予定領域2とその両側の立上り部形成予定領域1,1の幅寸法を等しく57mmに設定している。
【0083】
帯状シートS
7の材質、厚さ、製造方法などは、前記帯状シートS
1のそれらと実質的に同じであるので説明を省略するが、係合凸縁部8aや係合凹縁部8bは、強固に係合できるように、硬質合成樹脂などの硬質材料で形成することが望ましい。また、係合凸縁部8aや係合凹縁部8bの断面形状は、この実施形態のような略円形や略C字状に限定されるものではなく、互いに外れないように強固に係合できる種々の断面形状とすればよいが、この実施形態のように、略円形の断面形状を有する係合凸縁部8aを略C字状の断面形状を有する係合凹縁部8bに係合させて、中空の正三角形の断面形状を備えた排水仕切材P
7を形成する場合は、
図14に示すように、略C字状の係合凹縁部8bの切欠き部分8cを立上り部形成予定領域1に対して略60°の角度で傾斜する方向に形成し、係合凸縁部8aと係合凹縁部8bの係合作業をし易くすることが望ましい。
【0084】
図13に示す実施形態の施工方法は、帯状シートS
7を前記のように折曲げ、片側の立上り部形成予定領域1の側端の係合凸縁部8aと反対側の立上り部形成予定領域1の側端の係合凹縁部8bを係合させることで、中空の二等辺三角形の断面形状を有する立上り部10とその底部の床面貼着部20とを備えた排水仕切材P
7を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工でき、しかも、使用する略平坦な帯状シートS
7を長尺のまま巻き取ってコンパクトに包装、保管、輸送できるので、包装費、保管費、運搬費が安くなり、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
7が変形したり破損する心配がない。また、長尺の帯状シートS
7を必要な長さにカットして使用するから、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。
【0085】
さらに、この施工方法で形成される排水仕切材P
7の立上り部10は、中空の二等辺三角形の断面形状を有するものであるから、安定性がよく強度があり、外力が作用しても簡単に変形するようなことはない。しかも、この排水仕切材P
7は、例えば排水の越流を立上り部10で阻止する必要がなくなった場合や、何らかの理由で立上り部10が不要になった場合には、係合凸縁部8aと係合凹縁部8bの係合を解除することで立上り部10を簡単に展開して平坦にすることができる。また、排水仕切材P
7の立上り部10の上端縁にキャップ材40を被着する場合は、立上り部10の上端の係合部分の隙間から水が侵入したり、立上り部10が両側に開いたりするのを確実に防止することができる。
【0086】
図15は本発明の更に他の実施形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この実施形態に係る施工方法は、
図16に示す横断面形状を有する略平坦な帯状シートS
8を用いて施工するものである。
【0087】
この
図16に示す帯状シートS
8は、その長さ方向(紙面に対して垂直方向)に続く床面貼着部形成予定領域2と、その片側(
図16では左側)に連設された狭幅の立上り部形成予定領域1と、反対側(
図16では右側)に連設された広幅の立上り部形成予定領域1と、これらの予定領域1,2の相互間にそれぞれ形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3a,3aと、広幅の立上り部形成予定領域1の途中に間隔をあけて形成された長さ方向に続く直線状の2つの折曲げ予定部3b,3bとを有する略平坦な帯状シートであって、折曲げ予定部3a,3a,3b,3bはいずれも直角に折曲げ易くなるように帯状シートS
8の上面(下面でもよい)にV溝状に形成されており、右側の広幅の立上り部形成予定領域1は2つの折曲げ予定部3b,3bによって3つの小領域1a,1b,1cに区分されている。そして、左側の狭幅の立上り部形成予定領域1の側端には、略円形の断面形状を有する係合凸縁部8aが立上り部形成予定領域1の長さ方向に連続して形成されており、右側の広幅の立上り部形成予定領域1の側端(小領域1cの側端)には、上記係合凸縁部8aと係合する略C字状の断面形状を備えた係合凹縁部8bが立上り部形成予定領域1の長さ方向に連続して形成されている。この係合凹縁部8bの切欠き部分8cは、
図16に示すように右側の立上り部形成予定領域1の小領域1cの外側方に向かって形成されており、左側の立上り部形成予定領域1と右側の立上り部形成予定領域1の小領域1cを、
図15に示すように上下方向にまっすぐに接合できるようになっている。
【0088】
この帯状シートS
8は、折曲げ予定部3a,3a,3b,3bで直角に折曲げて係合凸縁部8aと係合凹縁部8bを係合させると、
図15に示すような中空方形の断面形状を有する排水仕切材P
8が形成されるように、床面貼着部形成予定領域2の幅寸法が右側の立上り部形成予定領域1の小領域1bの幅寸法と同一に設定され、左側の立上り部形成予定領域1の幅寸法と右側の立上り部形成予定領域1の小領域1cの幅寸法との合計寸法が、右側の立上り部形成予定領域1の小領域1aの幅寸法と同一に設定されている。
なお、中空の二等辺台形の断面形状を有する排水仕切材を形成したい場合は、帯状シートS
8の床面貼着部形成予定領域2の幅寸法を、右側の立上り部形成予定領域1の小領域1bの幅寸法よりも大きく設定すればよい。
【0089】
図15に示す実施形態の施工方法は、上記の帯状シートS
8を用いて、床面貼着部形成予定領域2の両側の立上り部形成予定領域1,1を折曲げ予定部3a,3aで直角に折り起こし、更に、右側の立上り部形成予定領域1を途中の折曲げ予定部3b,3bで直角に折曲げて、小領域1cの側端の係合凸縁部8aと左側の立上り部形成予定領域1の側端の係合凹縁部8bを係合させて接合することにより、中空方形の断面形状を有する四角筒状の立上り部10とその底部の床面貼着部20とを備えた排水仕切材P
8を形成し、この排水仕切材P
8を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
8を床面Fに施工するものである。
【0090】
そして、この施工方法の場合も、
図15に示すように、排水仕切材P
8の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
8の底部の床面貼着部20の両側端との突き合わせ部分をコーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などを用いて接合することが望ましい。
【0091】
排水仕切材P
8の立上り部10の高さ寸法は、排水の越流を阻止して充分な排水仕切性能を発揮させるために20〜50mmとすることが望ましく、また、床面貼着部20の幅寸法は、床面Fに強固に貼着固定するために50〜100mmとすることが望ましい。従って、帯状シートS
8の床面貼着部形成予定領域2の幅寸法と右側の立上り部形成予定領域1の小領域1bの幅寸法を50〜100mmに設定し、左側の立上り部形成予定領域1の幅寸法と右側の立上り部形成予定領域1の小領域1cとの合計寸法、及び、右側の立上り部形成予定領域1の小領域1aの幅寸法を、20〜50mmに設定することが望ましい。
【0092】
帯状シートS
8の材質、厚さ、製造方法などは、前記帯状シートS
1のそれらと実質的に同じであるので説明を省略する。また、係合凸縁部8aや係合凹縁部8bは、強固に係合できるように、前記帯状シートS
7のそれらと同じ硬質合成樹脂などの硬質材料で形成することが望ましい。なお、係合凸縁部8aや係合凹縁部8bの断面形状は、この実施形態のような略円形や略C字状に限定されるものではなく、互いに外れないように強固に係合できる種々の断面形状とすればよい。
【0093】
図15に示す実施形態の施工方法は、帯状シートS
8を前記のように折曲げ、片側の立上り部形成予定領域1の側端の係合凸縁部8aと反対側の立上り部形成予定領域1(小領域1c)の側端の係合凹縁部8bを係合させて接合することで、中空方形の断面形状を有する立上り部10とその底部の床面貼着部20とを備えた排水仕切材P
8を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工でき、しかも、使用する略平坦な帯状シートS
8を長尺のまま巻き取ってコンパクトに包装、保管、輸送できるので、包装費、保管費、運搬費が安くなり、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
8が変形したり破損する心配がない。また、長尺の帯状シートS
8を必要な長さにカットして使用するから、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。さらに、この施工方法で形成される排水仕切材P
8は、例えば排水の越流を立上り部10で阻止する必要がなくなった場合や、何らかの理由で立上り部10が不要になった場合には、係合凸縁部8aと係合凹縁部8bの係合を解除することによって、立上り部10を簡単に展開して平坦にすることができる。なお、立上り部10を展開する可能性がない場合は、係合凸縁部8aと係合凹縁部8bの係合が解除されないように、接着剤などで接合固定して排水仕切材P
8の強度を高めるのがよい。
【0094】
図17は本発明の更に他の実施形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この実施形態に係る施工方法は、
図18に示す横断面形状を有する略平坦な帯状シートS
9を用いて施工するものである。
【0095】
この
図18に示す帯状シートS
9は、その長さ方向(紙面に対して垂直方向)に続く床面貼着部形成予定領域2と、その片側に連設された立上り部形成予定領域1と、これらの予定領域1,2の相互間に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3aと、立上り部形成予定領域1の幅方向の中間に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3bとを有する略平坦な帯状シートであって、折曲げ予定部3a,3bはいずれも鋭角的に折曲げ易くなるように帯状シートS
9の上面(下面でもよい)にV溝状に形成されている。そして、立上り部形成予定領域1の側端には、ほぞ状の係合凸縁部8dが立上り部形成予定領域1の長さ方向に連続して形成されており、床面貼着部形成予定領域2の途中の上面には、上記係合凸縁部8aと係合するほぞ溝状の係合溝部8eが床面貼着部形成予定領域2の長さ方向に連続して形成されている。
【0096】
図17に示す実施形態の施工方法は、上記の帯状シートS
9を用いて、床面貼着部形成予定領域2の片側の立上り部形成予定領域1を折曲げ予定部3aで鋭角的に折り起こし、更に、立上り部形成予定領域1の幅方向中間の折曲げ予定部3bで立上り部形成予定領域1を鋭角的に折曲げて、立上り部形成予定領域1の側端の係合凸縁部8dを床面貼着部形成予定領域2の係合溝部8eに係合させて接合することにより、中空の二等辺三角形の断面形状を有する立上り部10を床面貼着部20の片側端部に備えた排水仕切材P
9を形成し、この排水仕切材P
9を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
9を床面Fに施工するものである。
【0097】
そして、この施工方法の場合も、
図17に示すように、排水仕切材P
9の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
9の底部の床面貼着部20の両側端との突き合わせ部分をコーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などを用いて接合することが望ましい。
【0098】
排水仕切材P
9の立上り部10の高さ寸法は、排水の越流を阻止して充分な排水仕切性能を発揮させるために20〜50mmとすることが望ましく、床面貼着部20の幅寸法は、床面Fに強固に貼着固定するために70〜150mmとすることが望ましい。また、立上り部10の下端の開き寸法は、立上り部10の安定性や強度を高めるために20〜50mmとすることが望ましい。
従って、帯状シートS
9の床面貼着部形成予定領域2の幅寸法は70〜150mmに設定することが望ましく、立上り部形成予定領域1の幅寸法は44〜112mmに設定することが望ましい。
【0099】
帯状シートS
9の材質、厚さ、製造方法などは、前記帯状シートS
1のそれらと実質的に同じであるので説明を省略する。また、係合凸縁部8dや係合溝部8eは、
図17,
図18に示すようなほぞ状のものやほぞ溝状のものに限らず、互いに外れないように強固に係合できる種々の形状の係合凸縁部及び係合溝部となし得るものである。
【0100】
図15に示す実施形態の施工方法は、帯状シートS
9を前記のように折曲げ、
その立上り部形成予定領域1の側端の係合凸縁部8dを床面貼着部形成予定領域2の係合溝部に係合させて接合することより、中空の二等辺三角形の断面形状を有する立上り部10を床面貼着部20の片側端部に備えた排水仕切材P
9を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工でき、しかも、使用する略平坦な帯状シートS
9は長尺のまま巻き取ってコンパクトに包装、保管、輸送できるので、包装費、保管費、運搬費が安くなり、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
9が変形したり破損する心配がない。また、長尺の帯状シートS
9を必要な長さにカットして使用するので、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。更に、この施工方法で形成される排水仕切材P
9は、例えば排水の越流を立上り部10で阻止する必要がなくなった場合や、何らかの理由で立上り部10が不要になった場合に、係合凸縁部8dと係合溝部8eの係合を解除することによって、立上り部10を簡単に展開して平坦にすることができる。なお、立上り部10を展開する可能性がない場合は、係合凸縁部8dと係合溝部8eの係合が解除されないように、接着剤などで接合固定して排水仕切材P
9の強度を高めるのがよい。
【0101】
図19は本発明の更に他の実施形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この実施形態に係る施工方法は、
図20に示す横断面形状を有する略平坦な帯状シートS
10を用いて施工するものである。
【0102】
この
図20に示す帯状シートS
10は、基本的な構成が
図18に示す帯状シートS
9と共通するものであって、その長さ方向(紙面に対して垂直方向)に続く床面貼着部形成予定領域2と、その片側に連設された立上り部形成予定領域1と、これらの予定領域1,2の相互間に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3aと、立上り部形成予定領域1の幅方向の中間に形成された長さ方向に続く直線状の折曲げ予定部3bとを有する略平坦な帯状シートであり、折曲げ予定部3a,3bはいずれも鋭角的に折曲げ易くなるように帯状シートS
10の上面(下面でもよい)にV溝状に形成されている。また、立上り部形成予定領域1の側端には、ほぞ状の係合凸縁部8dが立上り部形成予定領域1の長さ方向に連続して形成されており、床面貼着部形成予定領域2の途中の上面には、上記係合凸縁部8aと係合するほぞ溝状の係合溝部8eが床面貼着部形成予定領域2の長さ方向に連続して形成されている。
【0103】
そして、立上り部形成予定領域1の折曲げ予定部3bの近傍箇所(係合凸縁部8d側の近傍箇所)の下面には、この帯状シートS
10を折曲げて
図19に示す排水仕切材P
10を形成したときに水返し部5aとなる、断面形状が略三角形の下向きに突き出した隆起部5aが、立上り部形成予定領域1の長さ方向に連続して形成されており、この隆起部5aの係合凸縁部8d側の斜面は凹湾曲面に形成されている。
また、床面貼着部形成予定領域2の側縁部の上面には、側端側から内側に向かって徐々に高くなる傾斜面を備えた断面形状が直角三角形の堤部6が、床面貼着部形成予定領域2の長さ方向に連続して形成されており、この帯状シートS
10を折曲げて排水仕切材P
10を形成したときに、立上り部10と堤部6との間の床面貼着部20の上に浅い排水溝部30が形成されるようになっている。
更に、堤部6と係合溝部8eとの間の床面貼着部形成予定領域2の上面には、二等辺三角形の断面形状を有する少なくとも1本の線状突起7(
図19,
図20では2本)が、床面貼着部形成予定領域22の長さ方向に連続して形成されている。
【0104】
帯状シートS
10の立上り部形成予定領域1に形成される隆起部5a(排水仕切材P
10の立上り部10の上端部片側の水返し部5a)の隆起寸法は、前記帯状シートS
3の隆起部5と同様に、2〜5mmとすることが望ましく、この程度の隆起寸法であれば、帯状シートS
10の巻き取りに支障をきたすことがなく、しかも、排水仕切材P
10の立上り部10を越えようとする排水を水返し部5aでほぼ確実に返して越流を阻止することができる。
また、堤部6の高さ寸法(床面貼着部形成予定領域2の上面からの高さ寸法)も、前記帯状シートS
3の堤部6と同様に、2〜5mmとすることが望ましく、この程度の高さであれば、帯状シートS
10の巻き取りに支障をきたすことがなく、しかも、排水仕切材P
10を床面に施工したときに堤部6の斜面を乗り越えて排水溝部30に流入する排水を戻さないように堰止めて、排水溝部30を通じて確実に排水することができる。
また、線状突起7の高さ寸法も、前記帯状シートS
3の線状突起7と同様に、1〜3mmとし、良好な整流作用を発揮できるようにすることが望ましい。
【0105】
なお、帯状シートS
10の材質、厚さ、製造方法などは、前記帯状シートS
1のそれらと実質的に同じであり、また、帯状シートS
10の床面貼着部形成予定領域2の幅寸法、立上り部形成予定領域1の幅寸法は、前記帯状シートS
9のそれらと同じであり、また、排水仕切材P
10の床面貼着部20の幅寸法、立上り部10の高さ寸法、立上り部10の下端の開き寸法は、前記排水仕切材P
9のそれらと同じであるから、説明を省略する。
【0106】
図19に示す実施形態の施工方法は、上記の帯状シートS
10を用いて、床面貼着部形成予定領域2の片側の立上り部形成予定領域1を折曲げ予定部3aで鋭角的に折り起こし、更に、立上り部形成予定領域1の幅方向中間の折曲げ予定部3bで立上り部形成予定領域1を鋭角的に折曲げて、係合凸縁部8dを係合溝部8eに係合させて接合することにより、上端部の片側面に水返し部5aを有する断面形状が中空の二等辺三角形の立上り部10を、上面に堤部6と線状突起7を有する床面貼着部20の片側端部に具備した排水仕切材P
10を形成し、この排水仕切材P
10を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
10を床面Fに施工するものである。
【0107】
この施工方法においても、
図17に示すように、排水仕切材P
3の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
2の床面貼着部20,20の側端との突き合わせ部分をコーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などを用いて接合することが望ましい。
【0108】
上記のように、
図17に示す実施形態の施工方法は、帯状シートS
10を折曲げて係合凸縁部8dと係合溝部8eを係合させることで、上端部の片側面に水返し部5aを有する断面形状が中空の二等辺三角形の立上り部10が、上面に堤部6と線状突起7を有する床面貼着部20の片側端部に設けられた排水仕切材P
10を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工することができ、しかも、使用する帯状シートS
10は長尺のまま巻き取ってコンパクトに包装、保管、輸送できるので、包装費、保管費、運搬費が安くなり、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
10が変形したり破損する心配がない。また、長尺の帯状シートS
10を床面Fの出幅寸法などに合わせて必要な長さにカットして使用するので、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。
【0109】
特に、この実施形態の施工方法によって床面Fに貼着、施工される排水仕切材P
10は、立上り部10の上端部の片側面に斜面が凹湾曲面とされた水返し部5aを有し、床面貼着部20の上面とその側端縁に線状突起7と堤部6を有し、堤部6と立上り部10との間の床面貼着部20の上に浅い排水溝部30が形成されたものであるから、片側の床シートFSから排水仕切材P
10の堤部6の斜面を乗り越えて排水溝部30に流入した排水が立上り部10を越えて流出しようとしても、立上り部10の上端部の水返し部5aで滑らかに反転して排水溝部30に返され、堤部6によって排水が床シートFSに戻らないように堰止められて排水溝部30を流れ、線状突起7で整流されてスムーズに排水溝部30の下流側端部まで流下して排水される。従って、優れた排水仕切効果と排水効果が奏される。
また、この施工方法で形成される排水仕切材P
10も、係合凸縁部8dと係合溝部8eの係合を解除することによって、立上り部10を簡単に展開して平坦にすることができる
【0110】
図21は本発明の一参考形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この施工方法は
図22に示す立上り部形成用の帯状シートS
11aと床面貼着部形成用の帯状シートS
11bを用いて施工されるものである。
【0111】
図22に示す立上り部形成用の帯状シートS
11aは、容易に湾曲変形させることができる軟質の塩化ビニル系樹脂やオレフィン系樹脂、もしくはゴムなどの軟質材料で形成されたものであって、その両側端には、略円形の断面形状を有する係合凸縁部8a,8aが帯状シートS
11aの長さ方向に連続して形成されている。
【0112】
一方、床面貼着部形成用の帯状シートS
11bは、上記の軟質材料、或いは、剛性のある合成樹脂や金属などの硬質材料で形成されたものであって、この帯状シートS
11bは上記帯状シートS
11aよりも幅寸法が大きく、その上面には、上記係合凸縁部8a,8aと係合する上窄まりの略円形の中空断面を備えた係合溝部8f,8fが、上記帯状シートS
11bの幅寸法よりも小さい間隔をあけて、帯状シートS
11bの長さ方向に連続して互いに平行に形成されている。
【0113】
図21に示す排水仕切材P
11の施工方法は、上記一組の帯状シートS
11a,S
11bを用いて、立上り部形成用の帯状シートS
11aを凸湾曲させながら、その両側端の係合凸縁部8a,8aを床面貼着部形成用の帯状シートS
11bの係合溝部8f,8fに係合させて接合することにより、ドーム状に凸湾曲した中空の立上り部10を帯状の床面接着部20の幅方向中央部に備えた排水仕切材P
11を形成し、この排水仕切材P
11を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
11を床面Fに施工するものである。
【0114】
そして、この施工方法においても、
図21に示すように、排水仕切材P
11の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
11の床面貼着部20の両側端との突き合わせ部分をコーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などを用いて接合することが望ましい。
【0115】
排水仕切材P
11の立上り部10の高さ寸法は、排水の越流を阻止して充分な排水仕切性能を発揮させるために20〜50mmとすることが望ましく、床面貼着部20の幅寸法は、床面Fに強固に貼着固定するために70〜150mmとすることが望ましい。また、立上り部10の下端の開き寸法は、立上り部10の安定性や強度の観点から50〜100mmとすることが望ましい。
従って、床面貼着部形成用の帯状シートS
11bの幅寸法を70〜150mmに設定すると共に、係合溝部8f,8fの相互間隔を50〜100mmに設定することが望ましく、かつ、この相互間隔の係合溝部8f,8fに立上り部形成用の帯状シートS
11aの両側端の係合凸縁部8a,8aを係合させたときに、高さ寸法が20〜50mmのドーム状の立上り部10が形成されるように、立上り部形成用の帯状シートS
11aの幅寸法を設定することが望ましい。
また、床面貼着部形成用の帯状シートS
11bの厚さは、前述の帯状シートS
1と同様に1.5〜3.0mmとすることが望ましいが、立上り部形成用の帯状シートS
11aの厚さは、容易に凸湾曲できるように上記より薄くして1.0〜2.0mmとすることが望ましい。
【0116】
図21に示す施工方法で施工される排水仕切材P
11は、立上り部形成用の帯状シートS
11aを凸湾曲させてドーム状の立上り部10を形成しているが、立上り部形成用の帯状シートとして、その幅方向の中間に前述の折曲げ予定部を形成した帯状シートを使用し、この帯状シートを折曲げ予定部で逆V字状に折り曲げて、その両側端の係合凸縁部を床面貼着部形成用の帯状シートの係合溝部に係合させることにより、逆V字状の立上り部を帯状の床面貼着部の中央部に備えた排水仕切材を形成するようにしてもよい。
【0117】
なお、帯状シートS
11a,S
11bの製造方法は、前記帯状シートS
1のそれと実質的に同じであるので説明を省略する。
また、係合凸縁部8aや係合溝部8fは、
図21,
図22に示すような形状のものに限らず、例えば
図17,
図18に示すほぞ状の係合凸縁部8dやほぞ溝状の係合溝部8eなど、互いに外れないように強固に係合できる種々の形状の係合凸縁部及び係合溝部となし得るものである。
【0118】
図21に示す施工方法は、立上り部形成用の帯状シートS
11aを凸湾曲させながら両側端の係合凸縁部8a,8aを床面貼着部形成用の帯状シートS
11bの係合溝部8f,8fに係合させて接合することにより、ドーム状に凸湾曲した中空の立上り部10を帯状の床面接着部20の幅方向中央部に備えた排水仕切材P
11を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工することができ、しかも、この施工方法に用いる帯状シートS
11a,S
11bは、その幅寸法が前述の帯状シートS
1などに比べると略半分と細いので、それぞれ長尺のまま巻き取ってより一層コンパクトに包装、保管、輸送することができ、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
11a,S
11bが変形したり破損する心配はない。そして、これらの長尺の帯状シートS
11a,S
11bを必要な長さにカットして使用するので、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。
【0119】
図23は本発明の他の参考形態に係る排水仕切材の床面への施工方法を説明するための断面図であって、この施工方法は
図24に示す立上り部形成用の帯状シートS
12aと床面貼着部形成用の帯状シートS
12bを用いて施工されるものである。
【0120】
図24に示す床面貼着部形成用の帯状シートS
12bは、両側縁の上面に、側端側から中央側に向かって徐々に高くなる傾斜面を備えた断面形状が直角三角形の堤部6,6が帯状シートS
12bの長さ方向に連続して設けられている点、及び、これらの堤部6,6と係合溝部8f,8fとの間の帯状シートS
12bの上面に、二等辺三角形の断面形状を有する線状突起7,7が少なくとも1本づつ帯状シートS
12bの長さ方向に連続して形成されている点を除いて、基本的な構成が
図22に示す床面貼着部形成用の帯状シートS
11bと同一のものである。
また、
図24に示す立上り部形成用の帯状シートS
12aは、
図22に示す立上り部形成用の帯状シートS
11aと同じものである。
【0121】
堤部6,6の高さ寸法は、前記帯状シートS
3の堤部6,6と同様に2〜5mmとすることが望ましく、この程度の高さであれば、帯状シートS
11bの巻き取りに支障をきたすことがなく、しかも、排水仕切材P
12を床面に施工したときに、堤部6,6の斜面を乗り越えて立上り部10と堤部6,6との間の排水溝部30に流入した排水を戻さないように堰止めて、排水溝部30を通じて確実に排水することができる。
また、線状突起7の高さ寸法も、前記帯状シートS
3の線状突起7と同様に1〜3mmとして、良好な整流作用を発揮できるようにすることが望ましい。
【0122】
図23に示す施工方法は、上記一組の帯状シートS
12a,S
12bを用いて、立上り部形成用の帯状シートS
12aを凸湾曲させながら、その両側端の係合凸縁部8a,8aを床面貼着部形成用の帯状シートS
12bの係合溝部8f,8fに係合させて接合することにより、ドーム状に凸湾曲した中空の立上り部10を帯状の床面接着部20の幅方向中央部に備えた排水仕切材P
12を形成し、この排水仕切材P
11を例えば集合住宅のバルコニーなどにおける自家使用部分と隣家使用部分との境界付近の床面Fに配置して、その床面貼着部20を接着剤や粘着剤などの貼着剤(不図示)で床面Fに貼着することにより、排水仕切材P
12を床面Fに施工するものである。このように施工された排水仕切材P
12は、
図23に示すように、立上り部10と堤部6,6との間に浅い排水溝部30が形成されている。
【0123】
そして、この施工方法においても、
図23に示すように、排水仕切材P
12の両側の床面Fに合成樹脂製の床シートFS,FSを貼着剤(不図示)で貼着し、これらの床シートFS,FSの側端と排水仕切材P
12の床面貼着部20の両側端との突き合わせ部分をコーキング材C,Cや、シーリング材、接着剤、樹脂溶接棒などを用いて接合することが望ましい。
【0124】
上記のように、
図23に示す施工方法は、一組の帯状シートS
12a,S
12bを用いて、中空ドーム状の立上り部10を、上面に堤部6,6と線状突起7,7を有する帯状の床面貼着部20の幅方向中央に備えた排水仕切材P
12を簡単に形成して、床面Fに効率良く貼着施工でき、しかも、この施工方法に用いる帯状シートS
12a,S
12bは、その幅寸法が前述の帯状シートS
1などに比べると略半分と細いので、それぞれ長尺のまま巻き取ってより一層コンパクトに包装、保管、輸送することができ、簡略な包装でも保管中や運搬中に帯状シートS
12a,S
12bが変形したり破損する心配がない。また、長尺の帯状シートS
12a,S
12bを必要な長さにカットして使用するので、従来の定尺の排水仕切材のようにカット余りが生じる無駄も殆どない。
【0125】
特に、この実施形態の施工方法によって床面Fに貼着、施工される排水仕切材P
12は、床面貼着部20の上面とその両側端縁に線状突起7,7と堤部6,6を有し、堤部6,6と立上り部10との間の床面貼着部20の上に排水溝部30,30が形成されたものであるから、床シートFSから排水仕切材P
12の堤部6,6の斜面を乗り越えて立上り部10に当たった排水が、堤部6によって床シートFSに戻らないように堰止められて排水溝部30を流れ、線状突起7で整流されてスムーズに排水溝部30の下流側端部まで流下して排水される。従って、優れた排水仕切効果と排水効果が奏される。