【解決手段】照明システム1は、複数の照明装置2と全体制御装置3とを備えている。各照明装置2は照度センサーを有している。全体制御装置3は、複数の照明装置2の少なくとも一つの光度を制御するとともに、対象物の位置を推定する。全体制御装置3は、対象物の位置を推定する場合には、複数の照明装置2から選択した注目装置2の光度を所定周波数で周期変動する。そして、全体制御装置3は、複数の照明装置2における、注目装置2に隣接する複数の隣接装置2の照度センサーでの検出照度に含まれる、所定周波数を有する周波数成分の強度に基づいて、対象物の位置を推定する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施の形態1>
<システム構成について>
図1は実施の形態1に係る照明システム1の構成を示す図である。本実施の形態に係る照明システム1は、例えば、オフィス、学校等に導入される照明システムである。照明システム1は、複数の照明装置2と、当該複数の照明装置2を制御する全体制御装置3とを備えている。複数の照明装置2は、オフィス等の室内100の天井面110を格子状に区画した場合の複数の格子点にそれぞれ配置されている。つまり、複数の照明装置2は、天井面110において行列状に配置されている。
【0029】
照明システム1では、照明装置2の光度(明るさ)が制御される。さらに、照明システム1では、照明装置2が使用されて、室内100での人の位置が推定される。以後、本実施の形態に係る照明システム1での位置の推定対象である人を「対象物」と呼ぶことがある。
【0030】
室内100の床面120には、複数の作業机150が配置されている。各作業机150には、パーソナルコンピュータ160が配置されている。各パーソナルコンピュータ160は、例えば有線LAN(Local Area Network)170で全体制御装置3に接続されている。
【0031】
<照明装置について>
図2は各照明装置2の構成を示す図である。
図2に示されるように、各照明装置2は、照明器具(「灯具」とも呼ばれる)20と、通信モジュール21とを備えている。本実施の形態では、照明器具20と通信モジュール21とは一体化されている。
【0032】
照明器具20は、光を照射する光源201と、当該光源201に電力を供給する電源回路200とを備えている。光源201としては、例えば、Hf(High Frequency)蛍光ランプ、LEDランプ等が採用される。光源201としてHf蛍光ランプが採用された場合は、電源回路200としてはインバータが用いられる。また、光源201としてLEDランプが採用された場合は、電源回路200としては定電流回路が用いられる。
【0033】
複数の照明装置2がそれぞれ備える複数の光源201は、
図3に示されるように、天井面110を格子状に区画した場合の複数の格子点にそれぞれ配置されている。これにより、複数の光源201は、天井面110において行列状に配置される。
図3及び以後の図では、便宜上、光源201を点光源として示している。また白丸で示される光源201は点灯状態の光源201を示しており、黒丸で示される光源201は消灯状態の光源201を示している。
【0034】
通信モジュール21は、制御部210と、通信部211と、メモリ212と、照度センサー213とを備えている。通信モジュール21は、全体制御装置3等の外部機器と通信を行うとともに、照明器具20の光度を制御する。
【0035】
通信部211は、全体制御装置3等の外部機器と通信を行う。通信部211と外部機器との通信では、無線通信及び電力線15を介した電力線通信(PLC:Power Line Communication)の少なくとも1つが使用される。本実施の形態では、通信部211は、無線通信及び電力線通信を使用して全体制御装置3等の外部機器と通信する。電力線15には商用電源180が接続されている。照明器具20の電源回路200には、電力線15を通じて商用電源180からの電力が供給される。
【0036】
制御部210は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されている。制御部210は、通信部211を制御するとともに、照明器具20の電源回路200を制御する。照明器具20では、電源回路200が制御されることによって、光源201の光度が制御される。制御部210内のCPUが、メモリ212に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部210の各種機能が実現される。
【0037】
照度センサー213は、室内100における、自身が属する照明装置2が存在している領域の照度を検出する。照明装置2は、室内100の天井面110に取り付けられていることから、照度センサー213は天井面110の照度を検出するとも言える。照明装置2が有する照度センサー213は、当該照明装置2が有する光源201からの直接光を受光しないように、当該光源201の近くにおいて天井に配置されている。照度センサー213での検出照度は制御部210に入力される。制御部210は、入力された検出照度を通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。
【0038】
<全体制御装置について>
図4は全体制御装置3の構成を示す図である。全体制御装置3は、一種のコンピュータであって、
図4に示されるように、制御部30と、通信部31と、メモリ32と、表示部33とを備えている。全体制御装置3は、各照明装置2と通信を行うことによって、各照明装置2を制御する。
【0039】
通信部31は、照明装置2等の外部機器と通信を行う。通信部31と外部機器との通信では、無線通信及び電力線通信の少なくとも1つが使用される。本実施の形態では、通信部31は、無線通信及び電力線通信を使用して照明装置2等の外部機器と通信する。
【0040】
制御部30は、CPU等で構成されており、通信部31及び表示部33を制御する。制御部30内のCPUが、メモリ32に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部30の各種機能が実現される。
【0041】
制御部30は、各照明装置2から送信される、照度センサー213での検出照度に基づいて、各照明装置2の光度を制御するための光度制御信号を生成する。制御部30で生成された、ある照明装置2についての光度制御信号は、通信部31によって当該照明装置2に送信される。
【0042】
全体制御装置3から光度制御信号を受信した照明装置2では、通信部211が、受信した光度制御信号を制御部210に出力する。制御部210は、入力された光度制御信号に基づいて電源回路200を制御する。これにより、光源201の光度が、全体制御装置3からの光度制御信号に応じた光度に設定される。
【0043】
また全体制御装置3の制御部30は、各照明装置2から送信される、照度センサー213での検出照度に基づいて、室内100での対象物の位置を推定する。そして、制御部30は、対象物の位置の推定結果に基づいて、複数の照明装置2のうちの少なくとも一つの照明装置2の光度を制御する。具体的には、制御部30は、対象物の位置の推定結果に基づいて、光度の制御対象の照明装置2(以後、「制御対象装置2」と呼ぶことがある)を決定するとともに当該照明装置2についての光度制御信号を生成する。制御部30は、制御対象装置2の光度制御信号を生成すると、通信部31を通じて当該制御対象装置2に当該光度制御信号を送信する。これにより、制御対象装置2の光度は、全体制御装置3で得られた、対象物の位置の推定結果に基づいて制御される。
【0044】
なお、室内100に配置された複数の照明装置2において、通信距離あるいは障害物等の問題で、全体制御装置3と直接通信することができない照明装置2が存在する場合に、当該照明装置2が、全体制御装置3と直接通信することが可能な他の通信装置2を通じて全体制御装置3と通信できるように、照明システム1を構成しても良い。
【0045】
本実施の形態では、全体制御装置3は、対象物の位置を推定する場合には、光度制御信号を利用して、特定の照明装置2の光度を、
図5に示されるように、現在の値I0を中心(基準)にして、所定の振幅Aとなるように所定周波数f(=1/T)で周期変動する。所定周波数fで周期変動された光度の波形は正弦波となっている。そして、全体制御装置3は、当該特定の照明装置2から出力される光を受光する照明装置2の照度センサー213での検出照度から、所定周波数fを有する周波数成分を抽出し、当該周波数成分の強度(振幅)に基づいて対象物の位置を推定する。この位置推定処理については後で詳細に説明する。
【0046】
このようにして、全体制御装置3は、各照明装置2から通知される、照度センサー213の検出照度に基づいて各照明装置2の光度を制御するとともに、対象物の位置の推定結果に基づいて各照明装置2の光度を制御する。
【0047】
<作業面の照度について>
図6は複数の光源201のうちの一つの光源201だけが点灯している様子を示している。光源201の左横に示される数値は、当該光源201の直下の作業面(本実施の形態では、作業机150の表面)での照度(単位はlx(ルクス))を示している。
図6の例では、複数の光源201は、紙面の左右方向では1.85mごとに配置され、紙面の上下方向では1.6mごとに配置されている。また天井面110の床面120からの高さは例えば2.7mである。そして、作業面の床面120からの高さは例えば0.7mである。
【0048】
図6に示されるように、点灯している光源201の直下の作業面の照度は249(lx)となっている。そして、点灯している光源201の周囲に位置する光源201の直下の作業面の照度は、点灯している光源201からの距離の2乗に反比例するとともに、点灯している光源201からの光の当該作業面に対する入射角Nのコサイン(cosN)に比例する。そして、点灯している光源201の周囲に位置する光源201の直下の作業面が、点灯している光源201から離れるほど、cosNが小さくなる。したがって、
図6に示されるように、点灯している光源201の周囲に位置する光源201の直下の作業面の照度は、当該作業面が点灯している光源201から離れるほど低下する。
【0049】
ここで、作業に適した照度については、JIS(日本工業規格)照度基準で定められている。例えば、オフィスの会議室での作業に適した照度は750(lx)となっている。ある作業面において適切な照度を得るためには、当該作業面の直上の光源201が点灯するだけでは困難であり、当該光源201の周囲の複数の光源201も点灯する必要がある。
【0050】
図7は、9つの光源201が全て点灯しているときの各光源201の直下の作業面の照度を説明するための図である。
図6の上側には、点灯パターンP1〜P9のそれぞれでの各光源201の直下の作業面の照度が示されている。また
図7の下側には、9つの光源201が全て点灯しているときの各光源201の直下の作業面の照度が示されている。
【0051】
点灯パターンP1では、中央の光源201(左から2列目であって上から2行目の光源201)だけが点灯している。点灯パターンP2では、左から2列目であって上から1行目の光源201だけが点灯している。点灯パターンP3では、左から2列目であって上から3行目の光源201だけが点灯している。点灯パターンP4では、左から1列目であって上から2行目の光源201だけが点灯している。点灯パターンP5では、左から1列目であって上から1行目の光源201だけが点灯している。点灯パターンP6では、左から1列目であって上から3行目の光源201だけが点灯している。点灯パターンP7では、左から3列目であって上から2行目の光源201だけが点灯している。点灯パターンP8では、左から3列目であって上から1行目の光源201だけが点灯している。点灯パターンP9では、左から3列目であって上から3行目の光源201だけが点灯している。
【0052】
図7に示されるように、点灯している9つの光源201のそれぞれについて、当該光源201の直下の作業面の照度は、点灯パターンP1〜P9における、当該光源201の直下の作業面の照度を重ね合わせる(足し合わせる)ことによって得られる。
図7の例では、点灯している9つの光源201のうちの中央の光源201の直下の作業面の照度が867(lx)となっており、オフィスの会議室での作業に適した照度(750(lx))よりも大きくなっている。
【0053】
このように、ある光源201の直下の作業面の照度は、当該ある光源201の影響だけではなく、当該ある光源201の周囲の光源201の影響を受けることになる。全体制御装置3は、この点を考慮して、各照明装置2から通知される検出照度を使用して、作業面の照度が適切になるように、各照明装置2の光源201の光度を制御する。これにより、例えば、窓に近い光源201が、昼間では暗く、夜間では明るくなり、窓に近い作業机150の表面の照度が昼夜を問わず適切となる。
【0054】
<対象物の有無に起因する検出照度の変化について>
図8は、互いに隣り合う照明装置2A,2Bの下方に対象物500が存在しない様子を示す図である。
図9,10は、照明装置2A,2Bの下方に対象物500が存在する様子を示す図である。
図9には、照明装置2Aと照明装置2Bとの間の直下に対象物500が存在する様子が示されている。
図10には、照明装置2Aの直下に対象物500が存在する様子が示されている。
【0055】
図8〜10の例では、照明装置2Aの光源201が点灯し、照明装置2Bの光源201が消灯している。また、床(床面120)の反射率はR1であり、天井(天井面110)の反射率はR2であり、対象物500の反射率はR3である。
【0056】
図8の例では、照明装置2Aの光源201から斜め下方向に出力された照射光300aが床面120で反射し、その反射光300bが照明装置2Bに向かって進んでいる。また
図8の例では、照明装置2Aの光源201から真下に出力された照射光310aが床面120で反射し、その反射光310bが照明装置2Aに向かって進んでいる。
【0057】
図8の例において、点灯している照明装置2Aの光源201の光度をI1とする。また、照明装置2Aと、照明装置2Aからの照射光300aの床面120での反射点400との間の距離をL1とし、反射点400と照明装置2Bとの間の距離をL2とし、床面120から照明装置2Aまでの高さをhとする。また、照射光300aの床面120に対する入射角をθ1とし、反射光300bの床面120に対する出射角をθ2とする。θ1=θ2=θ、L1=L2=Lとすると、床面120の反射点400での水平面照度E1は、以下の式(1)で表される。
【0059】
また、照明装置2Bでの水平面照度E2は、以下の式(2)で表される。
【0061】
そして、照明装置2Aでの水平面照度E0は、以下の式(3)で表される。
【0063】
図9の例では、照明装置2Aの光源201から斜め下方向に出力された照射光301aが、照明装置2A,2Bの下方に存在する対象物500で反射し、その反射光301bは照明装置2Bに向かって進んでいる。また、照明装置2Aの光源201から斜め下方向に出力された照射光302aは、照明装置2A,2Bの下方に存在する対象物500で反射し、その反射光302bは照明装置2Aに向かって進んでいる。なお、照明装置2Aの光源201から真下に出力された照射光310aは、
図8の例と同様に、床面120で反射し、その反射光310bが照明装置2Aに向かって進んでいる。
【0064】
図10の例では、照明装置2Aの光源201から真下に出力された照射光310aが、照明装置2Aの直下に存在する対象物500で反射し、その反射光310bが照明装置2Aに向かって進んでいる。照明装置2Aの光源201から斜め下方向に出力された照射光300aは、
図8の例と同様に、床面120で反射し、その反射光300bが照明装置2Bに向かって進んでいる。
【0065】
以上の説明から理解できるように、照明装置2A,2Bの下方に対象物500が存在するか否かによって、照明装置2Aからの照射光が反射する反射体の種類、照明装置2Aから反射体までの距離、照明装置2Aからの照射光についての反射体での入射角、反射光の進行方向等が変化する。したがって、照明装置2A,2Bの下方に対象物500が存在するか否かによって、照明装置2Aでの水平面照度E0及び照明装置2Bでの水平面照度E1が変化する。よって、照明装置2A,2Bの下方に対象物500が存在するか否かによって、照明装置2A,2Bの照度センサー213での検出照度が変化する。
【0066】
ここで、照明装置2Aの光度が周波数f1で周期変動されている場合を考える。照明装置2Aについての、周波数f1で周期変動されている光度の振幅(最大値と最小値の差)をΔI1[f1]とする。また、照明装置2Aでの水平面照度E0に含まれる、周波数f1を有する周波数成分の強度(振幅)をΔE0[f1]とする。また、床面120の反射点400での水平面照度E1に含まれる、周波数f1を有する周波数成分の強度(振幅)をΔE1[f1]とする。そして、照明装置2Bでの水平面照度E2に含まれる、周波数f1を有する周波数成分の強度(振幅)をΔE2[f1]とする。
【0067】
図8の例でのΔE0[f1]、ΔE1[f1]及びΔE2[f1]は、以下の式(4)〜(6)でそれぞれ表される。
【0069】
上述のように、照明装置2A,2Bの下方に対象物500が存在するか否かによって、照明装置2Aでの水平面照度E0及び照明装置2Bでの水平面照度E2が変化することから、照明装置2A,2Bの下方に対象物500が存在するか否かによって、ΔE0[f1]及びΔE2[f1]が変化する。よって、照明装置2A,2Bの下方に対象物500が存在するか否かによって、照明装置2Aの照度センサー213での検出照度に含まれる、周波数f1を有する周波数成分の強度(振幅)と、照明装置2Bの照度センサー213での検出照度に含まれる、周波数f1を有する周波数成分の強度(振幅)が変化する。照明装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる、周波数f1を有する周波数成分の強度については、対象物500の反射率、床の反射率、対象物500の位置、対象物500の高さ等によって、大きくなったり、小さくなったりする。
【0070】
このように、照明装置2の光度が周波数fで周期変動されている場合には、当該照明装置2から出力される光を受光する照明装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる、周波数fを有する周波数成分の強度が対象物500の影響を受けて変化することがある。本実施の形態では、この点に鑑みて、全体制御装置3の制御部30が、光度が周波数fで周期変動されている照明装置2から出力される光を受光する照明装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる、周波数fを有する周波数成分の強度の変化に基づいて、対象物500の位置を推定する。以下に全体制御装置3での対象物500の位置推定処理について詳細に説明する。
【0071】
<位置推定処理の基本的な考え方について>
図11は、本実施の形態に係る位置推定処理の基本的な考え方を説明するための図である。本実施の形態では、全体制御装置3の制御部30は、対象物500の位置を推定する場合には、天井面110に配置された複数の照明装置2から一つの注目装置2Tを選択する。そして、制御部30は、選択した注目装置2Tと、当該注目装置Tに隣接する複数の照明装置2とを使用して、対象物500の位置を推定する。以後、注目装置Tに隣接する照明装置2を「隣接装置2」と呼ぶことがある。
【0072】
位置推定処理では、制御部30は、注目装置2Tと複数の隣接装置2(
図11に示される隣接装置2a〜2h)のうち、注目装置2Tだけの光度を、所定の振幅となるように周波数fで周期変動する。このとき、制御部30は、室内100に存在する人が、注目装置2Tの光度の周期変動を感知できないように、注目装置2Tの光度を周期変動する。照明装置2の光度の周期変動周波数や振幅を調整することによって、室内100に存在する人が、注目装置2Tの光度の周期変動を感知できないようにすることが可能である。そして、制御部30は、注目装置2T及び複数の隣接装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる、周波数fを有する周波数成分の強度に基づいて、対象物500の位置を推定する。
【0073】
具体的には、制御部30は、複数の隣接装置2のそれぞれについて、当該隣接装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる、周波数fの周波数成分の強度を求める。照明装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる、周波数fの周波数成分の強度については、フーリエ変換等を用いて当該検出照度を周波数解析することによって求めることができる。そして、制御部30は、各隣接装置2について求めた周波数成分の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断する。
【0074】
また制御部30は、注目装置2Tの照度センサー213での検出照度に含まれる、周波数fの周波数成分の強度を求める。そして、制御部30は、求めた周波数成分の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断する。以後、照度センサー213での検出照度に含まれる、周波数F(Fは任意の符号)を有する周波数成分を「周波数成分[F]」と呼ぶことがある。
【0075】
制御部30は、隣接装置2について求めた周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、当該隣接装置2と注目装置2Tの間の直下に存在する対象物500の影響を受けた、注目装置2Tからの光を、当該隣接装置2が受光していると判断して、当該隣接装置2と注目装置2Tとの間の直下に対象物500が存在すると推定する。
【0076】
また制御部30は、注目装置2T及び複数の隣接装置2において、注目装置2Tだけの周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、注目装置2Tの直下に対象物500が存在すると推定する。
【0077】
図11及び実施の形態1で参照する後述の図では、検出照度に含まれる周波数成分[f]の変化量がしきい値よりも大きい照度センサー213が黒丸で示されている。また、検出照度に含まれる周波数成分[f]の変化量がしきい値以下の照度センサー213が白丸で示されている。
【0078】
図11の例では、複数の隣接装置2a〜2hのうち、隣接装置2a,2b,2d,2e,2f,2hについての周波数成分[f]の変化量がしきい値よりも大きくなっている。したがって、制御部30は、隣接装置2aと注目装置Tの間の直下600aと、隣接装置2bと注目装置Tの間の直下600bと、隣接装置2dと注目装置Tの間の直下600dと、隣接装置2eと注目装置Tの間の直下600eと、隣接装置2fと注目装置Tの間の直下600fと、隣接装置2hと注目装置Tの間の直下600hとに対象物500が存在していると推定する。
【0079】
また
図12の例では、複数の隣接装置2a〜2hのうち、隣接装置2b,2d,2fについての周波数成分[f]の変化量がしきい値よりも大きくなっている。したがって、制御部30は、隣接装置2bと注目装置Tの間の直下600bと、隣接装置2dと注目装置Tの間の直下600dと、隣接装置2fと注目装置Tの間の直下600fとに対象物500が存在していると推定する。
【0080】
そして、
図13の例では、注目装置2T及び複数の隣接装置2a〜2hにおいて、注目装置2Tだけの周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きくなっている。したがって、制御部30は、注目装置2Tの直下600Tに対象物500が存在すると推定する。
【0081】
本実施の形態では、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量は、当該照度センサー213での現在の検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度についての基準強度からの変化量である。そして、本実施の形態では、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度についてのプラス側の変化量に対応したプラス側しきい値と、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度についてのマイナス側の変化量に対応したマイナス側しきい値とが設けられている。
【0082】
ここで、照度センサー213での現在の検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度をSとし、基準強度をSrefとし、プラス側しきい値をSth1とし、マイナス側しきい値をSth2する。制御部30は、(S−Sref)>Sth1を満足する場合には、言い換えれば、S>(Sref+Sth1)を満足する場合には、当該照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度についてのプラス側の変化量(より詳細には、当該強度についての基準強度に対するプラス側の変化量)がしきい値よりも大きいと判定する。
【0083】
また制御部30は、(Sref−S)>Sth2を満足する場合には、言い換えれば、S<(Sref−Sth2)を満足する場合には、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度についてのマイナス側の変化量(より詳細には、当該強度についての基準強度に対するマイナス側の変化量)がしきい値よりも大きいと判断する。
【0084】
そして制御部30は、(S−Sref)>Sth1を満足せず、かつ(Sref−S)>Sth2を満足しない場合には、言い換えれば、S>(Sref+Sth1)を満足せず、かつS<(Sref−Sth2)を満足しない場合には、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]についての変化量がしきい値以下であると判断する。プラス側しきい値Sth1とマイナス側しきい値Sth2は、互いに同じであっても良いし、互いに異なっていても良い。
【0085】
本実施の形態では、注目装置2Tの照度センサー213で検出される検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度と比較される基準強度は、室内100に対象物500が存在しない状況で、ある照明装置2だけの光度が周波数fで周期変動されている場合に、当該ある照明装置2の照度センサー213で検出される検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度である。言い換えれば、注目装置2Tの照度センサー213で検出される検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度と比較される基準強度は、ある照明装置2だけの光度が周波数fで周期変動されている場合において、当該ある照明装置2の照度センサー213で検出される検出照度が対象物500の影響を受けないときの当該検出照度に含まれる周波数成分[f]の照度である。
【0086】
また、本実施の形態では、隣接装置2の照度センサー213で検出される検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度と比較される基準強度は、室内100に対象物500が存在しない状況で、ある照明装置2だけの光度が周波数fで周期変動されている場合に、当該ある照明装置2に隣接する照明装置2の照度センサー213で検出される検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度である。言い換えれば、隣接装置2の照度センサー213で検出される検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度と比較される基準強度は、ある照明装置2だけの光度が周波数fで周期変動されている場合において、当該ある照明装置2と隣接する照明装置2の照度センサー213で検出される検出照度が対象物500の影響を受けないときの当該検出照度に含まれる周波数成分[f]の照度である。
【0087】
照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の変化量は、当該周波数成分[f]の周波数fに依存することから、基準強度は周波数成分[f]の周波数fに応じて設定される。また、注目装置2Tの照度センサー213で検出される検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度と比較される基準強度と、隣接装置2の照度センサー213で検出される検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度と比較される基準強度とは、互いに異なる値となる。本実施の形態では、基準強度は全体制御装置3のメモリ32に記憶されている。制御部30は、照明装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断する際には、メモリ32内から、周波数f及び当該照明装置2に応じた基準強度を読み出す。
【0088】
なお、上記の例では、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]についてのプラス側の変化量とマイナス側の変化量にそれぞれ対応するプラス側及びマイナス側しきい値を設けているが、当該プラス側の変化量と当該マイナス側の変化量に共通の一つのしきい値を設けても良い。この場合には、制御部30は、例えば、照度センサー213での現在の検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度と基準強度との差分の絶対値がしきい値よりも大きければ、当該周波数成分[f]の変化量がしきい値よりも大きいと判断する。そして、制御部30は、当該差分の絶対値がしきい値以下であれば、当該周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値以下であると判断する。
【0089】
<位置推定処理の実施例について>
図11〜13を用いて説明した「位置推定処理の基本的な考え方」では、位置推定処理において注目装置2Tとそれに隣接する8つの隣接装置2とが使用されていたが、実際の位置推定処理では、
図14に示されるように、注目装置Tとそれに隣接する3つの隣接装置2α,2β,2γとから成る、行列状に配置された4つの照明装置2が処理単位グループ700とされる。そして、制御部30では、処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行される。複数の処理単位グループ700の間では、注目装置2Tの光度の周期変動周波数が共通している。以下に実際の位置推定処理について説明する。
【0090】
図15は、制御部30での対象物500の位置推定処理を示すフローチャートである。制御部30は、
図15に示される一連の処理を定期的にあるいは不定期的に繰り返して行う。
【0091】
図15に示されるように、制御部30は、ステップs1において、室内100に配置された複数の照明装置2から注目装置2Tを選択する。本実施の形態では、ステップs1が複数回実行されることによって、制御部30は、複数の照明装置2を順番に一つずつ注目装置2Tとして選択する。例えば、制御部30は、行列状に配置された複数の照明装置2を、ラスタスキャン方向に沿って一つずつ順番に注目装置2Tとして選択する。
【0092】
具体的には、
図16に示されるように、制御部30は、行列状に並ぶ複数の照明装置2のうちの四隅の照明装置2の一つを基準照明装置2Rとする。そして、制御部30は、基準照明装置2Rから、複数の照明装置2が一列に並ぶ方向に沿って延びる行方向800及び列方向810を定義する。制御部30は、基準照明装置2Rを含む行に属する複数の照明装置2を行方向800に沿って基準照明装置2Rから順番に一つずつ注目装置2Tとして選択する。そして、制御部30は、その行の最後の照明装置2を注目装置2Tとして選択すると、次の行に属する複数の照明装置2を、行方向800に沿って、当該次の行の先頭の照明装置2から順番に一つずつ注目装置2Tとして選択する。以後、制御部30は、最後の行に属する複数の照明装置2における最後の照明装置2を注目装置2Tとして選択するまで同様に動作する。
【0093】
なお、制御部30が注目装置2Tを選択する順番はこれ以外でも良い。例えば、制御部30は、基準照明装置2Rを含む列に属する複数の照明装置2を列方向810に沿って基準照明装置2Rから順番に一つずつ注目装置2Tとして選択し、その列の最後の照明装置2を注目装置2Tとして選択すると、次の列に属する複数の照明装置2を、列方向810に沿って、当該次の列の先頭の照明装置2から順番に一つずつ注目装置2Tとして選択しても良い。
【0094】
制御部30は、ステップs1において注目装置2Tを選択すると、ステップs2において、選択した注目装置2Tと、当該注目装置2Tに隣接し、かつ互いに隣接する3つの照明装置2とから成る処理単位グループ700を決定する。具体的には、
図17に示されるように、制御部30は、注目装置2Tと、注目装置2Tと行方向800で隣接する隣接装置2αと、注目装置2Tと列方向810で隣接する隣接装置2βと、注目装置2Tと斜め方向で隣接する隣接装置2γとで構成された処理単位グループ700を定める。つまり、制御部30は、注目装置2Tを含む行列状に配置された4つの照明装置2から成る処理単位グループ700を決定する。
【0095】
次にステップs3において、制御部30は、光度制御信号を使用して、注目装置2Tの光度を周波数fで周期変動する。なお、ステップs3は、ステップs2の前に実行されても良い。
【0096】
次にステップs4において、制御部30は、ステップs2で定めた処理単位グループ700に含まれる4つの照明装置2のそれぞれに対して、通信部31を通じて、照度センサー213での検出照度の出力指示を行う。全体制御装置3から出力指示を受信した照明装置2では、制御部210が照度センサー213での検出照度を通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。全体制御装置3の通信部211が受信した検出照度は制御部30に入力される。これにより、制御部30は、注目装置2Tの光度が周波数fで周期変動されている場合での処理単位グループ700の各照明装置2の検出照度を取得することができる。制御部30は、処理単位グループ700の各照明装置2の検出照度を取得すると、光度制御信号を使用して、注目装置2Tの光度の周期変動を停止する。
【0097】
次にステップs5において、制御部30は、処理単位グループ700の各照明装置2の検出照度に含まれる周波数fの周波数成分(周波数成分[f])の強度を求める。そして、制御部30は、求めた各周波数成分[f]の強度の変化量を求める。
【0098】
次にステップs6において、制御部30は、ステップs5で求めた各周波数成分[f]の強度の変化量としきい値とを比較することによって、対象物500の位置を推定する。
【0099】
具体的には、制御部30は、
図18に示されるように、隣接装置2αについて求めた周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、隣接装置2αと注目装置2Tの間の直下に対象物500が存在すると推定する。また制御部30は、
図18に示されるように、隣接装置2βについて求めた周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、隣接装置2βと注目装置2Tの間の直下に対象物500が存在すると推定する。また制御部30は、
図19に示されるように、隣接装置2γについて求めた周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、隣接装置2γと注目装置2Tの間の直下に対象物500が存在すると推定する。また制御部30は、
図20に示されるように、注目装置2T及び複数の隣接装置2α,2β,2γにおいて、注目装置2Tだけの周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、注目装置2Tの直下に対象物500が存在すると推定する。
【0100】
なお、
図19に示されるように、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の中央部の直下に対象物500が存在する場合には、注目装置2Tと隣接装置2αとの間の直下に対象物500が存在しないときであっても、隣接装置2αでの検出照度が対象物500の影響を受けて、当該検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きくなる可能性が高い。よって、この場合には、注目装置2Tと隣接装置2αとの間の直下に対象物500が存在すると誤って推定する可能性が高い。
【0101】
同様に、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の中央部の直下に対象物500が存在する場合には、注目装置2Tと隣接装置2βとの間の直下に対象物500が存在しないときであっても、隣接装置2βでの検出照度が対象物500の影響を受けて、当該検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きくなる可能性が高い。よって、この場合には、注目装置2Tと隣接装置2βとの間の直下に対象物500が存在すると誤って推定する可能性が高い。
【0102】
そこで、隣接装置2α,2β,2γのそれぞれについての周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、対象物500の位置を詳しく推定するのではなく、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の直下に対象物500が存在すると大まかに推定しても良い。
【0103】
ステップs6において、対象物500の位置が推定されると、ステップs7において、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したかを判断する。制御部30は、ステップs7においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したと判断すると、対象物500の位置推定処理を終了する。一方で、制御部30は、ステップs7においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択してないと判断すると、ステップs1を再度実行して、
図21に示されるように、ラスタスキャン方向に沿って次の一つの照明装置2を注目装置2Tとして選択する。以後、制御部30は同様に動作する。
【0104】
このように、本実施の形態では、処理単位グループ700がラスタスキャン方向に沿って照明装置2を一つずつ移動しながら位置推定処理が実行される。
【0105】
ここで、上述の説明から理解できるように、一つの処理単位グループ700に対する位置推定処理では、隣接装置2αと隣接装置2γとの間の直下に対象物500が存在するか否かを推定できない。しかしながら、本実施の形態では、処理単位グループ700がラスタスキャン方向に沿って照明装置2を一つずつ移動することから、ある処理単位グループ700での隣接装置2α,2γは、当該ある処理単位グループ700の次の処理単位グループ700(右隣の処理単位グループ)では、注目装置2T及び隣接装置2βとなる。したがって、ある処理単位グループ700での隣接装置2αと隣接装置2γとの間の直下に対象物500が存在するか否かの推定は、その次の処理単位グループ700での位置推定処理で実行されることになる。
【0106】
また、一つの処理単位グループ700に対する位置推定処理では、隣接装置2βと隣接装置2γとの間の直下に対象物500が存在するか否かを推定できない。しかしながら、ある処理単位グループ700での隣接装置2β,2γは、当該ある処理単位グループ700の次の行での同じ位置にある処理単位グループ700(真下の処理単位グループ700)では、注目装置2T及び隣接装置2αとなる。したがって、ある処理単位グループ700での隣接装置2βと隣接装置2γとの間の直下に対象物500が存在するか否かの推定は、次の行での同じ位置にある処理単位グループ700での位置推定処理で実行されることになる。
【0107】
なお、ステップs2において、制御部30は、選択した注目装置2Tによっては、当該注目装置2Tを含む処理単位グループ700を4つの照明装置2で構成できないことがある。例えば、各行の最後の照明装置2が注目装置2Tである場合には、当該注目装置2Tと行方向800で隣接する照明装置2α及び当該注目装置2Tと斜め方向で隣接する照明装置2γが存在しないことから、処理単位グループ700は当該注目装置2Tと、それと列方向で隣接する照明装置2βとだけで構成される。この場合には、制御部30は、上記と同様にして、注目装置2Tの光度が周波数fで周期変動されている場合での照明装置2βの検出照度を取得し、当該検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量に基づいて、注目装置2Tと照明装置2βとの間に対象物500が存在するか否かを推定する。
【0108】
また、各列の最後の照明装置2が注目装置2Tである場合には、当該注目装置2Tと列方向810で隣接する照明装置2β及び当該注目装置2Tと斜め方向で隣接する照明装置2γが存在しないことから、処理単位グループ700は当該注目装置2Tと、それと行方向で隣接する照明装置2αとだけで構成される。この場合には、制御部30は、注目装置2Tの光度が周波数fで周期変動されている場合での照明装置2αの検出照度を取得し、当該検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量に基づいて、注目装置2Tと照明装置2αとの間に対象物500が存在するか否かを推定する。
【0109】
また、ステップs7において、すべての照明装置2が注目装置2Tとして選択されていないと判断された場合にはすぐにステップ1が実行されても良いし、ステップs1が所定時間ごとに実行されるようにしても良い。
【0110】
以上のように、本実施の形態では、照明装置2が使用されて対象物500の位置が推定されることから、照明装置2とは別に、赤外線センサーなどの位置検出用のセンサー等を用意する必要がない。よって、簡単な構成で対象物500の位置を推定することができる。
【0111】
また、太陽光などの外乱光が窓等から室内100に入射されると、照度センサー213の検出照度が外乱光の影響を受けることがある。したがって、太陽光等の外乱光が時間等に応じて変化すると照度センサー213の検出照度が変化することがある。しかしながら、本実施の形態では、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数fの周波数成分の強度の変化に基づいて対象物500の位置を推定していることから、周波数f、つまり注目装置2Tの光度の周期変動周波数fを、外乱光が時間等に応じて変化する際の周波数と異ならせることによって、対象物500の位置推定に外乱光が与える影響を抑制することができる。よって、対象物500の位置推定精度が向上する。
【0112】
なお、位置推定処理においては、注目装置2Tでの検出照度に含まれる周波数fの周波数成分の強度は使用されなくても良い。この場合には、上述の
図13のように、注目装置2Tの直下に対象物500が存在する場合には、対象物500の位置が推定しにくくなるものの、ある程度の精度で対象物500の位置推定を行うことができる。
【0113】
また、制御部30は、対象物500の位置推定結果に基づいて、対象物500の室内100での密度(密集度)を推定しても良い。例えば、互いに隣接する2つの照明装置2の間の直下には1つの対象物500しか存在できない場合には、制御部30は、処理単位グループ700についての対象物500の位置推定結果から、当該処理単位グループ700に含まれる3つの隣接装置2α〜2γにおいて、注目装置2Tとの間の直下に対象物500が存在すると推定された隣接装置2の数Zを求める。制御部30は、この数Zを、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の直下に存在する対象物500の数とする。これにより、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の直下に存在する対象物500の数、つまり対象物500の密度が推定される。なお、制御部30は、処理単位グループ700について、それに含まれる注目装置2Tの直下に対象物500が存在すると推定した場合には、当該処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の直下には一つの対象物500が存在すると推定する。
【0114】
このような密度推定処理が各処理単位グループ700について実行されることにより、対象物500の室内100全体での密度(密集度)が推定される。
【0115】
<対象物の位置推定結果を利用した照明装置の光度制御>
制御部30は、対象物500の位置推定結果を利用して、各照明装置2の光度を制御する。例えば、制御部30は、対象物500が存在すると推定した場所の照度は適切となるものの、それ以外の場所の照度はできるだけ小さくなるように、各照明装置2の光度を制御する。制御部30は、
図15に示される位置推定処理を行うと、当該位置推定処理の結果に基づいて制御対象装置2を決定する。そして、制御部30は、各制御対象装置2についての光度制御信号を生成する。制御部30は、制御対象装置2の光度制御信号を生成すると、通信部31を通じて当該制御対象装置2に当該光度制御信号を送信する。これにより、対象物500が存在すると推定された場所だけの照度が確保され、つまり必要最小限の場所だけの照度が確保され、その結果、照明システム1全体での消費電力を低減することができる。
【0116】
<検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の算出例>
上記のように、照明装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度についてはフーリエ級数等を用いて求めることができる。以下に、一例として、フーリエ変換を用いた周波数成分[f]の強度の算出例について説明する。
【0117】
照度センサー213での検出照度をF(x)で表すと、F(x)はフーリエ級数を用いて以下の式(7)で表すことができる。
【0119】
係数An及びBnは、検出照度F(x)に含まれる周波数成分を、余弦波成分と正弦波成分に分けて考えた際の当該余弦波成分及び当該正弦波成分の強度(振幅)をそれぞれ示している。また、係数√(An
2+Bn
2)は、検出照度F(x)に含まれる周波数成分を正弦波成分として考えた際の当該正弦波成分の強度(振幅)を示している。
【0120】
ここで、フーリエ変換等が用いられる場合、照度センサー213での検出照度は所定周期でサンプリングされることになる。注目装置2Tの光度の周期変動の開始タイミングと、検出照度のサンプリングの開始タイミングとが同期していない場合には、両者の開始タイミングの間の時間関係がばらつくことから、検出照度のサンプリングの開始タイミングに応じてAn及びBnは変化する。言い換えれば、注目装置2Tの光度の周期変動の開始タイミングと、検出照度のサンプリングの開始タイミングとが同期している場合には、検出照度のサンプリングの開始タイミングに応じてはAn及びBnは変化しない。
【0121】
一方で、√(An
2+Bn
2)については、注目装置2Tの光度の周期変動の開始タイミングと、検出照度のサンプリングの開始タイミングとが同期していない場合であっても、検出照度のサンプリングの開始タイミングに応じては変化しない。
【0122】
そこで、注目装置2Tの光度の周期変動の開始タイミングと、検出照度のサンプリングタイミングとを同期させる場合には、AnあるいはBnのどちらか一方だけを求めて、その一方を、検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度として位置推定に使用する。ここで、注目装置2Tの光度の周期変動の開始タイミングと、検出照度のサンプリングタイミングとを同期させるとは、両者の開始タイミングを同じにする必要はなく、両者の開始タイミングの間の時間関係を一定にすれば良い。
【0123】
一方で、注目装置2Tの光度の周期変動の開始タイミングと、検出照度のサンプリングタイミングとを同期させない場合には、√(An
2+Bn
2)を、検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度として位置推定に使用する。
【0124】
前者の場合には、注目装置2Tの光度の周期変動の開始タイミングと、検出照度のサンプリングの開始タイミングとを同期させる必要があるものの、AnあるいはBnのどちらか一方だけを求めるだけで良いことから、演算負荷を低減できる。一方で、後者の場合には、注目装置2Tの光度の周期変動の開始タイミングと、検出照度のサンプリングの開始タイミングとを同期させる必要はないものの、An及びBnの両方を求める必要があることから、演算負荷が少し増加する。
【0125】
なお、注目装置2Tの光度の周期変動の開始タイミングと、検出照度のサンプリングタイミングとを同期させる場合には、An及びBnのどちらか一方が“0”となるように、注目装置2Tの光度の周期変動の開始タイミングと、検出照度のサンプリングタイミングとを同期させることが望ましい。この場合には、An及びBnのうち“0”でない方の係数を大きくすることができるとともに、An及びBnのうち“0”の方の係数の演算が不要となる。
【0126】
<実施の形態1の各種変形例>
<第1変形例>
上記の例では、1つの処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行されていたが、複数の処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行されても良い。以下に、本変形例に係る位置推定処理を
図15を参照して説明する。
【0127】
ステップs1において、制御部30は、天井面110に配置された複数の照明装置2から複数の注目装置2Tを選択する。そして、制御部30は、ステップs2において、選択した複数の注目装置2Tをそれぞれ含む複数の処理単位グループ700を決定する。
【0128】
次にステップs3において、制御部30は、光度制御信号を使用して、選択した複数の注目装置2Tの光度を周波数fで周期変動する。
【0129】
ここで、ステップs2で決定した複数の処理単位グループ700において、互いに近い位置に存在する2つの処理単位グループ700が含まれる場合を考える。このような場合において、各注目装置2Tの光度が同じ周波数fで周期変動すると、互いに近い位置に存在する2つの処理単位グループ700では、一方の処理単位グループ700の照明装置2が受光する、当該一方の処理単位グループ700の注目装置2Tからの光が、他方の処理単位グループ700の注目装置2Tから出力される光と干渉する可能性が高い。
【0130】
そこで、本変形例では、ステップs1で選択する複数の注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tが属する処理単位グループ700の各照明装置2が、当該注目装置2Tとは別の各注目装置2Tからの光をほとんど受光しないように、当該複数の注目装置2Tの間の距離を確保する。言い換えれば、ステップs1で選択する複数の注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tが属する処理単位グループ700の各照明装置2が当該注目装置2Tから受光する光と、当該注目装置2Tとは別の各注目装置2Tが発する光とが干渉しないように、当該複数の注目装置2Tの間の距離を確保する。具体的には、本変形例では、制御部30は、ステップs1で選択する複数の注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tと、それに最も近い他の注目装置2Tとの間に少なくとも2つの照明装置2が存在するようにする。
【0131】
図22は、ステップs1で決定された2つの注目装置2Tの間に2つの照明装置2が存在する様子を示す図である。
図23は、ステップs1で決定された2つの注目装置2Tの間に3つの照明装置2が存在する様子を示す図である。
図24は、ステップs1で決定された3つの注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tと、それに最も近い注目装置2Tとの間に2つの照明装置2が存在する様子を示している。
【0132】
このように、ステップs1で選択される複数の注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tと、それに最も近い他の注目装置2Tとの間に少なくとも2つの照明装置2が存在する場合には、各処理単位グループ700に含まれる注目装置2Tからの光が、他の処理単位グループ700に含まれる各照明装置2に届きにくくなる。よって、本変形例のように、各注目装置2Tの光度が同じ周波数fで周期変動される場合であっても、処理単位グループ700の各照明装置2が受光する、当該処理単位グループ700の注目装置2Tからの光が、他の処理単位グループ700の注目装置2Tから出力される光と干渉することを抑制することができる。
【0133】
ステップs3が実行されると、ステップs4において、制御部30は、ステップs2で定めた複数の処理単位グループ700のそれぞれについて、当該処理単位グループ700に含まれる4つの照明装置2のそれぞれに対して、通信部31を通じて、照度センサー213での検出照度の出力指示を行う。全体制御装置3から出力指示を受信した照明装置2では、制御部210が照度センサー213での検出照度を通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。全体制御装置3の通信部211が受信した検出照度は制御部30に入力される。これにより、制御部30は、各処理単位グループ700について、当該処理単位グループ700の注目装置2Tの光度が周波数fで周期変動されている場合での当該処理単位グループ700の各照明装置2の検出照度を取得することができる。制御部30は、各処理単位グループ700の各照明装置2の検出照度を取得すると、光度制御信号を使用して、各注目装置2Tの光度の周期変動を停止する。
【0134】
次にステップs5において、制御部30は、各処理単位グループ700について、当該処理単位グループ700の各照明装置2の検出照度に含まれる周波数fの周波数成分(周波数成分[f])の強度を求める。そして、制御部30は、求めた各周波数成分[f]の強度の変化量を求める。
【0135】
次にステップs6において、制御部30は、ステップs2で決定した複数の処理単位グループ700のそれぞれについて、当該処理単位グループ700に関して求めた各周波数成分[f]の強度の変化量としきい値とを比較することによって、対象物500の位置を推定する。
【0136】
ステップs6において、ステップs2で決定された各処理単位グループ700について対象物500の位置が推定されると、ステップs7において、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したかを判断する。制御部30は、ステップs7においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したと判断すると、対象物500の位置推定処理を終了する。一方で、制御部30は、ステップs7においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択してないと判断すると、ステップs1を再度実行する。ここでは、天井面110に配置された複数の照明装置2のうち、未だ注目装置2Tとされてない照明装置2から、新たな複数の注目装置2Tが選択される。以後、制御部30は同様に動作する。
【0137】
このように、本変形例では、複数の処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行されることから、上述のように一つの処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行される場合と比較して、室内100全体に対する対象物500の位置推定をすぐに完了させることができる。よって、室内100の対象物500が移動する場合であっても、対象物500の位置を精度良く推定することができる。
【0138】
また、本変形例では、処理単位グループ700の各照明装置2が受光する、当該処理単位グループ700の注目装置2Tからの光が、他の処理単位グループ700の注目装置2Tから出力される光と干渉することを抑制することができる。したがって、複数の注目装置2Tの光度を同じ周波数で同時に周期変動させていることに起因して対象物500の位置推定の精度が劣化することを抑制することができる。
【0139】
<第2変形例>
上述のステップs1において、天井面110に配置された複数の照明装置2のすべてが注目装置2Tとされ、当該複数の照明装置2の光度が同時に周期変動されている状態で取得された各照明装置2の検出照度に基づいて対象物500の位置が推定されれば、室内100全体に対する対象物500の位置推定が非常に短い時間で完了する。
【0140】
しかしながら、上述のように、天井面110に配置された複数の照明装置2の光度を同じ周波数で周期変動させると、複数の照明装置2からの光が干渉し易くなることから、当該複数の照明装置2の光度が同じ周波数で同時に周期変動されている状態で取得された各照明装置2の検出照度に基づいて対象物500の位置が推定されると、精度の良い位置推定が難しくなる。
【0141】
一方で、照明装置2からの光は、当該照明装置2に隣接する照明装置2には届き易いが、当該照明装置2から二つ離れた照明装置2には届きにくい。したがって、ある照明装置2からの光が他の照明装置2からの光の干渉を受けるか否かについては、当該ある照明装置2に隣接する照明装置2からの光だけを考えるだけでも問題とならない。
【0142】
そこで、本変形例では、一つの照明装置2と、当該一つの照明装置2に隣接する8つの照明装置2とから成る装置グループを考える。そして、天井面110に配置された複数の照明装置2に対して定めることが可能な各装置グループにおいて、当該装置グループを構成する行列状の9つの照明装置2の光度の周期変動周波数を互いに異なるようにする。これにより、天井面110に配置された複数の照明装置2の光度を同時に周期変動させている状態であっても、当該複数の照明装置2のそれぞれが発する光は、他の照明装置2が発する光と干渉しにくくなる。よって、天井面110に配置された複数の照明装置2の光度が同時に周期変動されている状態での各照明装置2の検出照度を使用して対象物500の位置推定を行ったとしても、精度の良い位置推定を行うことが可能となる。
【0143】
例えば、天井面110に配置された複数の照明装置2の光度についての周期変動周波数を互いに異なるようにすれば、各装置グループにおいて、当該装置グループを構成する行列状の9つの照明装置2の光度の周期変動周波数が互いに異なるようになる。
【0144】
図25は、天井面110に配置された20個の照明装置2−1〜2−20の光度についての周期変動周波数を互いに異なるようにした様子を示す図である。
図25では、各照明装置2の下に、その照明装置2の光度の周期変動周波数を示している。
図25に示されるように、室内100に20個の照明装置2−1〜2−20が配置されている場合には、当該20個の照明装置2−1〜2−20に対して6個の装置グループ910〜960を定めることができる。装置グループ910〜960のそれぞれでは、それを構成する9個の照明装置2の光度の周期変動周波数は互いに異なっている。例えば、装置グループ910を構成する照明装置2−1,2−2,2−3,2−5,2−6,2−7,2−9,2−10,2−11の光度の周期変動周波数は、それぞれ、周波数f1,f2,f3,f5,f6,f7,f9,f10,f11となっている。
【0145】
以下に、
図15を参照して、本変形例に係る位置推定処理について説明する。ステップs1において、制御部30は、天井面110に配置されている複数の照明装置2のすべてを注目装置2Tとして選択する。そして、ステップs2において、制御部30は、選択した複数の注目装置2Tをそれぞれ含む複数の処理単位グループ700を定める。
【0146】
次にステップs3において、制御部30は、光度制御信号を使用して、選択した複数の注目装置2Tの光度を周期変動する。これにより、天井面110に配置されている複数の照明装置2のすべての光度が周期変動される。
【0147】
ステップs3では、制御部30は、天井面110に配置されている複数の照明装置2に対して設定可能な各装置グループについて、当該装置グループを構成する9つの照明装置2の光度の周期変動周波数が互いに異なるように、決定した複数の処理単位グループ700に含まれる注目装置2Tの光度の周期変動周波数を決定する。本変形例では、天井面110に配置されている複数の照明装置2のすべてが注目装置2Tとされていることから、制御部30は、各装置グループについて、当該装置グループを構成する9つの照明装置2の光度の周期変動周波数が互いに異なるように、天井面110に配置されている各照明装置2の周期変動周波数を決定する。制御部30は、例えば上述の
図25のように、天井面110に配置された複数の照明装置2の光度についての周期変動周波数を互いに異なるようにする。
【0148】
ステップs3が実行されると、ステップs4において、制御部30は、ステップs2で定めた複数の処理単位グループ700のそれぞれについて、当該処理単位グループ700に含まれる4つの照明装置2のそれぞれに対して、通信部31を通じて、照度センサー213での検出照度の出力指示を行う。つまり、制御部30は、天井面110に配置された複数の照明装置2のすべてに対して照度センサー213での検出照度の出力指示を行う。
【0149】
全体制御装置3から出力指示を受信した照明装置2では、制御部210が照度センサー213での現在の検出照度を通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。全体制御装置3の通信部211が受信した検出照度は制御部30に入力される。これにより、制御部30は、天井面110に配置された複数の照明装置2の光度が同時に周期変動されている状態での当該複数の照明装置2の検出照度を取得することができる。
【0150】
制御部30は、天井面110に配置された複数の照明装置2のすべての検出照度を取得すると、光度制御信号を使用して、各注目装置2Tの光度の周期変動を停止する。つまり、制御部30は、天井面110に配置された複数の照明装置2の光度のすべての周期変動を停止する。
【0151】
次にステップs5において、制御部30は、各処理単位グループ700について、当該処理単位グループ700の各照明装置2の検出照度に含まれる周波数fの周波数成分(周波数成分[f])の強度を求める。そして、制御部30は、求めた各周波数成分[f]の強度の変化量を求める。
【0152】
次にステップs6において、制御部30は、ステップs2で決定した複数の処理単位グループ700のそれぞれについて、当該処理単位グループ700に関して求めた各周波数成分[f]の強度の変化量としきい値とを比較することによって、対象物500の位置を推定する。これにより、各処理単位グループ700についての位置推定処理が終了し、その結果、室内100全体に対する対象物500の位置推定が終了する。
【0153】
このように、本変形例では、一つの照明装置2と、当該一つの照明装置2に隣接する8つの照明装置2とから成る各装置グループにおいて、当該装置グループを構成する9つの照明装置2の光度の周期変動周波数が互いに異なるように、各処理単位グループ700に含まれる注目装置2Tの光度の周期変動周波数が決定されている。そして、対象物500の位置が推定される場合には、各処理単位グループ700に含まれる注目装置2Tの光度が同時に周期変動されている。したがって、複数の照明装置2の光度が同時に周期変動されている状態で当該複数の照明装置2のそれぞれの検出照度を取得することができる。よって、各照明装置2の検出照度をすぐに取得することができ、その結果、室内100全体に対する対象物500の位置推定に必要な時間が短縮される。一方で、装置グループを構成する9つの照明装置2の光度の周期変動周波数が互いに異なるように設定されていることから、複数の照明装置2の光度が同時に周期変動されている状態であっても、当該複数の照明装置2の間での照射光の干渉を抑制することができる。よって、対象物500の位置精度が向上する。
【0154】
なお、照明装置2の光度の周期変動に使用できる周波数の種類には限りがあることから、天井面110に配置される複数の照明装置2の数が多くなると、当該複数の照明装置2の光度に対して異なる周期変動周波数を割り当てることが難しくなる。
【0155】
そこで、
図26に示されるように、各装置グループについて、当該装置グループを構成する9つの照明装置2の光度の周期変動周波数が互いに異なるように、9種類の周期変動周波数を用いて、各処理単位グループ700に含まれる注目装置2Tの光度の周期変動周波数を決定しても良い。つまり、各装置グループについて、当該装置グループを構成する9つの照明装置2の光度の周期変動周波数が互いに異なるように、9種類の周期変動周波数を用いて、天井面110に配置された複数の照明装置2の光度の周期変動周波数を決定しても良い。
図26では、照明装置2の下方に当該照明装置2の光度の周期変動周波数が示されている。
【0156】
図26の例では、照明装置2の光度の周期変動周波数として周波数f1〜f9が使用されている。そして、
図26の例では、周波数fz(1≦z≦9)が、行方向及び列方向のそれぞれにおいて、照明装置2に対して照度の周期変動周波数として2つ置きに割り当てられている。これにより、天井面110に配置された複数の照明装置2に対して設定することが可能な各装置グループについて、当該装置グループを構成する9つの照明装置2の光度の周期変動周波数がそれぞれ周波数f1〜f9となる。
【0157】
例えば、装置グループ970を構成する照明装置2−1,2−2,2−3,2−8,2−9,2−10,2−15,2−16,2−17の照度の周期変動周波数は、それぞれ周波数f1〜f9となっている。また、装置グループ980を構成する照明装置2−31,2−32,2−33,2−38,2−39,2−40,2−45,2−46,2−47の照度の周期変動周波数は、それぞれ周波数f6,f4,f5,f9,f7,f8,f3,f1,f2となっている。また、装置グループ990を構成する照明装置2−12,2−13,2−14,2−19,2−20,2−21,2−26,2−27,2−28の照度の周期変動周波数は、それぞれ周波数f5,f6,f4,f8,f9,f7,f2,f3,f1となっている。
【0158】
このように、本変形例では、各装置グループにおいて、当該装置グループを構成する9つの照明装置2の光度の周期変動周波数が互いに異なるように、9種類の周期変動周波数を用いて、各処理単位グループ700に含まれる注目装置2Tの光度の周期変動周波数が決定されているため、天井面110に配置される照明装置2の数にかかわらず、各装置グループについて、当該装置グループを構成する9つの照明装置2の光度の周期変動周波数が互いに異なるようにすることができる。
【0159】
<第3変形例>
上記の例では、全体制御装置3が、照明装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断していたが、照明装置2が、自身の照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断しても良い。以下に、この場合の照明システム1での位置推定処理を説明する。
【0160】
まず制御部30は、上述のステップs1と同様に、室内100に配置された複数の照明装置2から注目装置2Tを選択する。
【0161】
次に、制御部30は、上述のステップs2と同様に、選択した注目装置2Tを含む処理単位グループ700を決定する。
【0162】
次に、制御部30は、上述のステップs3と同様に、光度制御信号を使用して、注目装置2Tの光度を周波数fで周期変動する。
【0163】
次に、制御部30は、決定した処理単位グループ700に含まれる4つの照明装置2のそれぞれに対して、当該照明装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かの判断を行うことを指示する信号(以後、「第1判断指示信号」と呼ぶ)を通信部31を通じて送信する。全体制御装置3から第1判断指示信号を受信した照明装置2では、制御部210が、メモリ212内の基準強度を使用して、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断する。そして、制御部210は、その判断結果を、通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。
【0164】
処理単位グループ700に含まれる各照明装置2から判断結果を受信した全体制御装置3では、制御部30は、光度制御信号を使用して、注目装置2Tの光度の周期変動を停止する。そして、制御部30は、処理単位グループ700に含まれる各照明装置2から受信した判断結果に基づいて、上記と同様にして、対象物500の位置を推定する。
【0165】
次に、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したかを判断する。制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したと判断すると、対象物500の位置推定処理を終了する。一方で、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択してないと判断すると、ラスタスキャン方向に沿って次の一つの照明装置2を注目装置2Tとして選択する。以後、制御部30は同様に動作する。
【0166】
このように、照明装置2が、自身の照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断することによって、全体制御装置3での処理負荷を軽減することができる。本変形例のように、照明装置2において、制御部210が、メモリ212内の基準強度を使用して、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断し、通信部211がその判断結果を全体制御装置3に送信する場合には、各照明装置2の制御部210、通信部211及びメモリ212と全体制御装置3とが、照明装置2の照度センサー213での検出照度に基づいて対象物500の位置を推定する装置として機能する。
【0167】
なお、照明装置2では、制御部210が照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f]の強度の変化量を求めて、通信部211がその変化量を全体制御装置3に送信しても良い。そして、全体制御装置3では、制御部30が、照明装置2から通知された変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断しても良い。この場合であっても、全体制御装置3での処理負荷を軽減することができる。
【0168】
<実施の形態2>
実施の形態2に係る照明システム1では、上述の実施の形態1に係る照明システム1と異なった方法で、対象物500の位置推定が行われる。以下に本実施の形態に係る照明システム1について、実施の形態1に係る照明システム1との相違点を中心に説明する。
【0169】
本実施の形態では、制御部30は、注目装置2Tに隣接する複数の隣接装置2の光度を互いに異なる複数種類の周波数でそれぞれ周期変動する。そして、制御部30は、注目装置2Tでの検出照度に含まれる、当該複数種類の周波数をそれぞれ有する複数の周波数成分の強度に基づいて対象物500の位置を推定する。
【0170】
<位置推定処理の基本的な考え方について>
図27は、本実施の形態に係る位置推定処理の基本的な考え方を説明するための図である。本実施の形態に係る位置推定処理では、制御部30は、注目装置2Tと、当該注目装置2Tに隣接する複数の隣接装置2とから成る複数の照明装置2の光度を、所定の振幅となるように複数種類の周波数でそれぞれ周期変動する。このとき、制御部30は、実施の形態1と同様に、室内100に存在する人が、照明装置2の光度の周期変動を感知できないように、各照明装置2の光度を周期変動する。そして、制御部30は、注目装置2Tの照度センサー213での検出照度に含まれる、当該複数種類の周波数をそれぞれ有する複数の周波数成分の強度に基づいて、対象物500の位置を推定する。
【0171】
具体的には、制御部30は、注目装置2Tの照度センサー213での検出照度に含まれる、複数種類の周波数をそれぞれを有する複数の周波数成分の強度を求める。そして、制御部30は、注目装置2Tについて求めた複数の周波数成分の強度のそれぞれについて、当該強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断する。なお、注目装置2Tについて求めた周波数成分の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かの判断方法は実施の形態1と同様である。ただし、注目装置2Tの光度の周期変動周波数をfaとすると、注目装置2Tでの検出照度に含まれる周波数成分[fa]の強度と比較される基準強度は、室内100に対象物500が存在しない状況で、ある照明装置2だけの光度が周波数faで周期変動されている場合に、当該ある照明装置2の照度センサー213で検出される検出照度に含まれる周波数成分[fa]の強度である。また、隣接装置2の光度の周期変動周波数をfbとすると、注目装置2Tでの検出照度に含まれる周波数成分[fb]の強度と比較される基準強度は、室内100に対象物500が存在しない状況で、ある照明装置2だけの光度が周波数fbで周期変動されている場合に、当該ある照明装置2と隣接する照明装置2の照度センサー213で検出される検出照度に含まれる周波数成分[fb]の強度である。
【0172】
制御部30は、注目装置2Tについて求めた、ある周波数を有する周波数成分の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、当該ある周波数で光度が周期変動された隣接装置2と注目装置2Tの間の直下に存在する対象物500の影響を受けた、当該隣接装置2からの光を注目装置2Tが受光していると判断して、当該隣接装置2と注目装置2Tとの間の直下に対象物500が存在すると推定する。
【0173】
また制御部30は、注目装置2Tについて求めた複数の周波数成分のうち、注目装置2Tの光度が周期変動された周波数を有する周波数成分のみが、その強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、注目装置2Tの直下に対象物500が存在すると推定する。
【0174】
図27では、照明装置2の近くに、当該照明装置2の光度の周期変動周波数が示されている。
図27では、注目装置2Tの光度が周波数f5で周期変動されている。そして、注目装置2Tに隣接する複数の隣接装置2a〜2hの光度が、周波数f1,f2,f3,f6,f9,f8,f7,f4でそれぞれ周期変動されている。制御部30は、注目装置2Tでの検出照度に含まれる、周波数f1〜f9をそれぞれ有する複数の周波数成分の強度、つまり複数の周波数成分[f1]〜[f9]の強度を求める。また
図27では、注目装置2Tでの検出照度に含まれる、ある周波数を有する周波数成分の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、当該ある周波数で光度が周期変動された隣接装置2が発する光が太い矢印で示されている。本実施の形態で参照する後述の図においても同様である。
【0175】
図27の例では、注目装置2Tでの検出照度に含まれる複数の周波数成分[f1]〜[f9]のうち、周波数成分[f1]、周波数成分[f2]、周波数成分[f6]、周波数成分[f9]、周波数成分[f8]及び周波数成分[f4]の強度の変化量がしきい値よりも大きくなっている。したがって、制御部30は、隣接装置2aと注目装置Tの間の直下600aと、隣接装置2bと注目装置Tの間の直下600bと、隣接装置2dと注目装置Tの間の直下600dと、隣接装置2eと注目装置Tの間の直下600eと、隣接装置2fと注目装置Tの間の直下600fと、隣接装置2hと注目装置Tの間の直下600hとに対象物500が存在していると推定する。
【0176】
また
図28の例では、注目装置2Tでの検出照度に含まれる複数の周波数成分[f1]〜[f9]のうち、周波数成分[f6]、周波数成分[f8]及び周波数成分[f4]の強度の変化量がしきい値よりも大きくなっている。したがって、制御部30は、隣接装置2dと注目装置2Tの間の直下600dと、隣接装置2fと注目装置2Tの間の直下600fと、隣接装置2hと注目装置2Tの間の直下600hとに対象物500が存在していると推定する。
【0177】
そして、
図29の例では、注目装置2Tでの検出照度に含まれる複数の周波数成分[f1]〜[f9]のうち周波数成分[f5]だけ、その強度の変化量がしきい値よりも大きくなっている。したがって、制御部30は、注目装置2Tの直下600Tに対象物500が存在すると推定する。
【0178】
<位置推定処理の実施例について>
図27〜29を用いて説明した「位置推定処理の基本的な考え方」では、位置推定処理において注目装置2Tとそれに隣接する8つの隣接装置2とが使用されていたが、実際の位置推定処理では、実施の形態1と同様に、注目装置Tとそれに隣接する3つの隣接装置2α,2β,2γとから成る、行列状に配置された4つの照明装置2が処理単位グループ700とされる。そして、処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行される。各処理単位グループ700では、注目装置2Tの光度とそれに隣接する3つの隣接装置2の光度とが周波数f1〜f4でそれぞれ周期変動される。以下に実際の位置推定処理について説明する。
【0179】
図30は、制御部30での対象物500の位置推定処理を示すフローチャートである。制御部30は、
図30に示される一連の処理を定期的にあるいは不定期的に繰り返して行う。
【0180】
図30に示されるように、制御部30は、ステップs11において、室内100に配置された複数の照明装置2から注目装置2Tを選択する。本実施の形態では、ステップs11が複数回実行されることによって、制御部30は、複数の照明装置2を順番に一つずつ注目装置2Tとして選択する。例えば、制御部30は、実施の形態1と同様に、行列状に配置された複数の照明装置2を、ラスタスキャン方向に沿って一つずつ順番に注目装置2Tとして選択する。
【0181】
次にステップs12において、制御部30は、選択した注目装置2Tと、当該注目装置2Tに隣接し、かつ互いに隣接する3つの照明装置2とから成る処理単位グループ700を決定する。具体的には、上述の
図17と同様に、制御部30は、注目装置2Tと、注目装置2Tと行方向800で隣接する隣接装置2αと、注目装置2Tと列方向810で隣接する隣接装置2βと、注目装置2Tと斜め方向で隣接する隣接装置2γとで構成された処理単位グループ700を定める。
【0182】
次にステップs13において、制御部30は、光度制御信号を使用して、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2の光度を、所定の振幅となるように周波数f1〜f4でそれぞれ周期変動する。
【0183】
次にステップs14において、制御部30は、ステップs11で選択した注目装置2Tに対して、通信部31を通じて、照度センサー213での検出照度の出力指示を行う。全体制御装置3から出力指示を受信した注目装置2Tでは、制御部210が照度センサー213での検出照度を通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。全体制御装置3の通信部31が受信した検出照度は制御部30に入力される。これにより、制御部30は、注目装置2T及び隣接装置2α,2β,2γの光度が周波数f1〜f4でそれぞれ周期変動されている状態での注目装置2Tの検出照度を取得することができる。制御部30は、注目装置2Tの検出照度を取得すると、光度制御信号を使用して、処理単位グループ700の各照明装置2の光度の周期変動を停止する。
【0184】
次にステップs15において、制御部30は、注目装置2Tでの検出照度に含まれる周波数成分[f1]〜[f4]の強度を求める。そして、制御部30は、周波数成分[f1]〜[f4]の強度のそれぞれの変化量を求める。
【0185】
次にステップs16において、制御部30は、ステップs15で求めた周波数成分[f1]〜[f4]の強度の変化量としきい値とを比較することによって、対象物500の位置を推定する。
【0186】
具体的には、制御部30は、
図31に示されるように、周波数成分[f2]の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、隣接装置2αと注目装置2Tの間の直下に対象物500が存在すると推定する。また制御部30は、
図31に示されるように、周波数成分[f4]の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、隣接装置2βと注目装置2Tの間の直下に対象物500が存在すると推定する。また制御部30は、
図32に示されるように、周波数成分[f3]の強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、隣接装置2γと注目装置2Tの間の直下に対象物500が存在すると推定する。また制御部30は、
図33に示されるように、周波数成分[f1]〜[f4]うち周波数成分[f1]だけ、その強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、注目装置2Tの直下に対象物500が存在すると推定する。
【0187】
なお、
図32に示されるように、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の中央部の直下に対象物500が存在する場合には、注目装置2Tと隣接装置2αとの間の直下に対象物500が存在しないときであっても、隣接装置2αからの光が対象物500の影響を受けて、注目装置2Tでの検出照度に含まれる周波数成分[f2]の強度の変化量がしきい値よりも大きくなる可能性が高い。よって、この場合には、注目装置2Tと隣接装置2αとの間の直下に対象物500が存在すると誤って推定する可能性が高い。
【0188】
同様に、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の中央部の直下に対象物500が存在する場合には、注目装置2Tと隣接装置2βとの間の直下に対象物500が存在しないときであっても、隣接装置2βからの光が対象物500の影響を受けて、注目装置2Tでの検出照度に含まれる周波数成分[f4]の強度の変化量がしきい値よりも大きくなる可能性が高い。よって、この場合には、注目装置2Tと隣接装置2βとの間の直下に対象物500が存在すると誤って推定する可能性が高い。
【0189】
そこで、周波数成分[f2]〜[f4]のそれぞれの強度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、実施の形態1と同様に、対象物500の位置を詳しく推定するのではなく、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の直下に対象物500が存在すると大まかに推定しても良い。
【0190】
ステップs16において、対象物500の位置が推定されると、ステップs17において、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したかを判断する。制御部30は、ステップs17においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したと判断すると、対象物500の位置推定処理を終了する。一方で、制御部30は、ステップs17においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択してないと判断すると、ステップs11を再度実行して、上述の
図21に示されるように、ラスタスキャン方向に沿って次の一つの照明装置2を注目装置2Tとして選択する。以後、制御部30は同様に動作する。
【0191】
なお、上述のステップs2と同様に、ステップs12において、制御部30は、選択した注目装置2Tによっては、当該注目装置2Tを含む処理単位グループ700を決定できないことがある。この場合には、ステップs13〜s16が実行されずにステップs17が実行される。
【0192】
また、ステップs17において、すべての照明装置2が注目装置2Tとして選択されていないと判断された場合にはすぐにステップ11が実行されても良いし、ステップs11が所定時間ごとに実行されるようにしても良い。
【0193】
以上のように、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、照明装置2が使用されて対象物500の位置が推定されることから、照明装置2とは別に、赤外線センサーなどの位置検出用のセンサー等を用意する必要がない。よって、簡単な構成で対象物500の位置を推定することができる。
【0194】
また、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、処理単位グループ700の各照明装置2の光度の周期変動周波数を、外乱光が時間等に応じて変化する際の周波数と異ならせることによって、対象物500の位置推定に外乱光が与える影響を抑制することができる。よって、対象物500の位置推定精度が向上する。
【0195】
なお、位置推定処理においては、注目装置2Tの光度を周期変動せずに、注目装置2Tの検出照度に含まれる、隣接装置2の光度の周期変動周波数と同じ周波数を有する周波数成分の強度だけが使用されても良い。この場合には、
図33のように、注目装置2Tの直下に対象物500が存在する場合には、対象物500の位置が推定しにくくなるものの、ある程度の精度で対象物500の位置推定を行うことができる。
【0196】
また、制御部30は、実施の形態1と同様にして、対象物500の位置推定結果に基づいて、対象物500の室内100での密度(密集度)を推定しても良い。
【0197】
<実施の形態2の各種変形例>
<第1変形例>
上記の例では、1つの処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行されていたが、実施の形態1の第1変形例と同様に、複数の処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行されても良い。以下に、本変形例に係る位置推定処理を
図30を参照して説明する。
【0198】
ステップs11において、制御部30は、天井面110に配置された複数の照明装置2から複数の注目装置2Tを選択する。そして、制御部30は、ステップs12において、選択した複数の注目装置2Tをそれぞれ含む複数の処理単位グループ700を決定する。
【0199】
次にステップs13において、制御部30は、光度制御信号を使用して、決定した複数の処理単位グループ700のそれぞれについて、当該処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2の光度を周波数f1〜f4でそれぞれ周期変動する。
【0200】
ここで、ステップs12で決定した複数の処理単位グループ700において、互いに近い位置に存在する2つの処理単位グループ700が含まれる場合を考える。このような場合において、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2の光度を周期変動する4種類の周波数が複数の処理単位グループ700の間で共通であれば、互いに近い位置に存在する2つの処理単位グループ700では、一方の処理単位グループ700の注目装置2Tが受光する、当該一方の処理単位グループ700の照明装置2からの光が、他方の処理単位グループ700の照明装置2から出力される光と干渉する可能性が高い。
【0201】
そこで、本変形例では、上述の実施の形態1の第1変形例と同様に、制御部30は、ステップs11で選択する複数の注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tと、それに最も近い他の注目装置2Tとの間に少なくとも2つの照明装置2が存在するようにする。
【0202】
例えば、制御部30は、ステップs11において2つの注目装置2Tを選択する場合には、上述の
図22のように、当該2つの注目装置2Tの間に、例えば2つの照明装置2が存在するようにする。
【0203】
また制御部30は、ステップs11において2つの注目装置2Tを選択する場合には、上述の
図23のように、当該2つの注目装置2Tの間に、例えば3つの照明装置2が存在するようにする。
【0204】
また制御部30は、ステップs11において3つの注目装置2Tを選択する場合には、上述の
図24のように、当該3つの注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tと、それに最も近い他の注目装置2Tとの間に2つの照明装置2が存在するようにする。
【0205】
このように、ステップs11で選択される複数の注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tと、それに最も近い他の注目装置2Tとの間に少なくとも2つの照明装置2が存在する場合には、各処理単位グループ700に含まれる照明装置2からの光が、他の処理単位グループ700に含まれる注目装置2Tに届きにくくなる。よって、本変形例のように、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2の光度を周期変動する4種類の周波数が複数の処理単位グループ700の間で共通である場合であっても、処理単位グループ700の注目装置2Tが受光する、当該処理単位グループ700の照明装置2からの光が、他の処理単位グループ700の照明装置2から出力される光と干渉することを抑制することができる。
【0206】
ステップs13が実行されると、ステップs14において、制御部30は、ステップs11で選択した複数の注目装置2Tに対して、通信部31を通じて、照度センサー213での検出照度の出力指示を行う。全体制御装置3から出力指示を受信した各注目装置2Tでは、制御部210が照度センサー213での検出照度を通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。全体制御装置3の通信部211が受信した検出照度は制御部30に入力される。これにより、制御部30は、ステップs12で決定した複数の処理単位グループ700のそれぞれについて、当該処理単位グループ700を構成する注目装置2T及び隣接装置2α,2β,2γの光度が周波数f1〜f4でそれぞれ周期変動されている状態での当該注目装置2Tの検出照度を取得することができる。制御部30は、各注目装置2Tの検出照度を取得すると、光度制御信号を使用して、各処理単位グループ700の各照明装置2の光度の周期変動を停止する。
【0207】
次にステップs15において、制御部30は、各注目装置2Tでの検出照度に含まれる周波数成分[f1]〜[f4]の強度を求める。そして、制御部30は、各注目装置2Tについての周波数成分[f1]〜[f4]の強度のそれぞれの変化量を求める。
【0208】
次にステップs16において、制御部30は、ステップs12で決定した複数の処理単位グループ700のそれぞれについて、当該処理単位グループ700に含まれる注目装置2Tについて求めた周波数成分[f1]〜[f4]の強度の変化量としきい値とを比較することによって、対象物500の位置を推定する。
【0209】
ステップs16において、ステップs12で決定された各処理単位グループ700について対象物500の位置が推定されると、ステップs17において、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したかを判断する。制御部30は、ステップs17においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したと判断すると、対象物500の位置推定処理を終了する。一方で、制御部30は、ステップs17においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択してないと判断すると、ステップs11を再度実行する。ここでは、天井面110に配置された複数の照明装置2のうち、未だ注目装置2Tとされてない照明装置2から、新たな複数の注目装置2Tが選択される。以後、制御部30は同様に動作する。
【0210】
このように、本変形例では、複数の処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行されることから、上述のように一つの処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行される場合と比較して、室内100全体に対する対象物500の位置推定をすぐに完了させることができる。よって、室内100の対象物500が移動する場合であっても、対象物500の位置を精度良く推定することができる。
【0211】
また、本変形例では、処理単位グループ700の注目装置2Tが受光する、当該処理単位グループ700の照明装置2からの光が、他の処理単位グループ700の照明装置2から出力される光と干渉することを抑制することができるため、対象物500の位置推定の精度が劣化することを抑制することができる。
【0212】
また、ステップs12で決定される複数の処理単位グループ700の間において、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2の光度を周期変動する4種類の周波数が共通となっていることから、位置推定処理に必要な周期変動周波数の種類を少なくすることができる。
【0213】
なお、
図34に示されるように、ステップs11において選択される複数の注目装置2Tに、それらの間に1つの照明装置2しか存在しない2つの注目装置2Ta,2Tbを含めることも可能である。この場合には、干渉を抑制するために、一方の注目装置2Taを含む処理単位グループ700aを構成する4つの照明装置2の光度を周期変動する4種類の周波数から成る周波数グループと、他方の注目装置2Tbを含む処理単位グループ700bを構成する4つの照明装置2の光度を周期変動する4種類の周波数から成る周波数グループとが互いに異なるようにする。例えば、
図34に示されるように、一方の注目装置2Taを含む処理単位グループ700aを構成する4つの照明装置2の光度を周期変動する4種類の周波数として周波数f1〜f4を採用し、他方の注目装置2Tbを含む処理単位グループ700bを構成する4つの照明装置2の光度を周期変動する4種類の周波数として周波数f5〜f8を採用する。
【0214】
<第2変形例>
上記の例では、全体制御装置3が、注目装置2の照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f1]〜[f4]の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断していたが、注目装置2Tが、自身の照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f1]〜[f4]の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断しても良い。以下に、この場合の照明システム1での位置推定処理を説明する。
【0215】
まず制御部30は、上述のステップs11と同様に、室内100に配置された複数の照明装置2から注目装置2Tを選択する。そして、制御部30は、上述のステップs12と同様に、選択した注目装置2Tを含む処理単位グループ700を決定する。
【0216】
次に、制御部30は、上述のステップs13と同様に、光度制御信号を使用して、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2の光度を周波数f1〜f4でそれぞれ周期変動する。
【0217】
次に、制御部30は、注目装置2Tに対して、当該注目装置2Tの照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f1]〜[f4]のそれぞれの強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かの判断を行うことを指示する信号(以後、「第2判断指示信号」と呼ぶ)を通信部31を通じて送信する。
【0218】
全体制御装置3から第2判断指示信号を受信した注目装置2Tは、制御部210が、メモリ212内の基準強度を使用して、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f1]〜[f4]のそれぞれの強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断する。そして、制御部210は、その判断結果を、通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。
【0219】
注目装置2Tから判断結果を受信した全体制御装置3では、制御部30は、光度制御信号を使用して、処理単位グループ700に含まれる各照明装置2の光度の周期変動を停止する。そして、制御部30は、注目装置2Tから受信した判断結果に基づいて、上記と同様にして、対象物500の位置を推定する。
【0220】
次に、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したかを判断する。制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したと判断すると、対象物500の位置推定処理を終了する。一方で、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択してないと判断すると、ラスタスキャン方向に沿って次の一つの照明装置2を注目装置2Tとして選択する。以後、制御部30は同様に動作する。
【0221】
このように、注目装置2Tが、自身の照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f1]〜[f4]の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断することによって、全体制御装置3での処理負荷を軽減することができる。本変形例のように、照明装置2において、制御部210が、メモリ212内の基準強度を使用して、照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f1]〜[f4]の強度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断し、通信部211がその判断結果を全体制御装置3に送信する場合には、各照明装置2の制御部210、通信部211及びメモリ212と全体制御装置3とが、照明装置2の照度センサー213での検出照度に基づいて対象物500の位置を推定する装置として機能する。
【0222】
なお、注目装置2Tでは、制御部210が照度センサー213での検出照度に含まれる周波数成分[f1]〜[f4]の強度の変化量を求めて、通信部211がその変化量を全体制御装置3に送信しても良い。そして、全体制御装置3では、制御部30が、注目装置2Tから通知された変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断しても良い。この場合であっても、全体制御装置3での処理負荷を軽減することができる。
【0223】
<実施の形態3>
実施の形態3に係る照明システム1では、上述の実施の形態1及び2に係る照明システム1と異なった方法で、対象物500の位置推定が行われる。以下に本実施の形態に係る照明システム1について、実施の形態1に係る照明システム1との相違点を中心に説明する。
【0224】
実施の形態1で説明したように、照明装置2の照度センサー213での検出照度は、当該照明装置2の下方に存在する対象物500の影響を受けて変化することがある。本実施の形態では、この点に鑑みて、全体制御装置3の制御部30が、照明装置2の照度センサー213での検出照度の変化に基づいて、対象物500の位置を推定する。
【0225】
本実施の形態では、制御部30は、注目装置2Tに隣接する複数の隣接装置2の光度を、当該注目装置2Tの光度よりも小さく設定する。本実施の形態では、注目装置2Tに隣接する隣接装置2を「第1隣接装置2」と呼ぶ。さらに、制御部30は、注目装置2Tに隣接する複数の第1隣接装置2に隣接する複数の照明装置2の光度を、当該注目装置2Tの光度よりも小さく設定する。本実施の形態では、第1隣接装置2に隣接する照明装置2を「第2隣接装置2」と呼ぶ。そして、制御部30は、注目装置2Tに隣接する複数の第1隣接装置2の照度センサー213での検出照度に基づいて、対象物500の位置を推定する。本実施の形態では、各照明装置2の光度は周期変動されない。
【0226】
<位置推定処理の基本的な考え方について>
図35は本実施の形態に係る位置推定処理の基本的な考え方を説明するための図である。本実施の形態では、全体制御装置3の制御部30は、対象物500の位置を推定する場合には、天井面110に配置された複数の照明装置2から一つの注目装置2Tを選択して、注目装置2Tの光源201を所定の光度で点灯する。また、制御部30は、注目装置2Tに隣接する複数の第1隣接装置2(第1隣接装置2a〜2h)の光源201の光度と、当該複数の第1隣接装置2に隣接する複数の第2隣接装置2(第2隣接装置2i〜2x)の光源201の光度とを、注目装置2Tの光源201の光度よりも小さく設定する。そして、制御部30は、複数の第1隣接装置2での検出照度に基づいて対象物500の位置を推定する。
【0227】
制御部30は、複数の第1隣接装置2のそれぞれでの検出照度が注目装置2T以外の照明装置2が発する光の影響をほとんど受けないように、複数の第1隣接装置2の光度と複数の第2隣接装置2の光度とを、注目装置2Tの光度よりも小さく設定する。これにより、各第1隣接装置2での検出照度が受ける、注目装置2T以外の照明装置2が発する光の影響を無視することができる。つまり、各第1隣接装置2での検出照度は、実質的には、天井面110に配置された複数の照明装置2のうち注目装置2Tだけが発する光の影響を受けることになる。本実施の形態では、例えば、複数の第1隣接装置2及び複数の第2隣接装置2の光源201を消灯することによって、当該複数の第1隣接装置2及び当該複数の第2隣接装置2の光源201の光度を、注目装置2Tの光源201の光度よりも小さく設定する。
【0228】
制御部30は、対象物500の位置を推定する際には、複数の第1隣接装置2のそれぞれについて、当該第1隣接装置2の照度センサー213での検出照度の変化量を求める。そして、制御部30は、各第1隣接装置2について求めた変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断する。また制御部30は、注目装置2Tの照度センサー213での検出照度の変化量を求める。そして、制御部30は、求めた変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断する。
【0229】
制御部30は、第1隣接装置2について求めた検出照度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、当該第1隣接装置2と注目装置2Tの間の直下に存在する対象物500の影響を受けた、注目装置2Tからの光を当該第1隣接装置2が受光していると判断して、当該第1隣接装置2と注目装置2Tとの間の直下に対象物500が存在すると推定する。
【0230】
また制御部30は、注目装置2T及び複数の第1隣接装置2において、注目装置2Tだけの検出照度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、注目装置2Tの直下に対象物500が存在すると推定する。
【0231】
ここで、
図35及び後述の図では、検出照度の変化量がしきい値よりも大きい照度センサー213が黒丸で示され、検出照度の変化量がしきい値以下の照度センサー213が白丸で示されている。また、消灯している光源201が黒丸で示され、点灯している光源201が白丸で示されている。
【0232】
図35の例では、複数の第1隣接装置2a〜2hのうち、第1隣接装置2a,2b,2d,2e,2f,2hについての検出照度の変化量がしきい値よりも大きくなっている。したがって、制御部30は、第1隣接装置2aと注目装置2Tの間の直下600aと、第1隣接装置2bと注目装置2Tの間の直下600bと、第1隣接装置2dと注目装置2Tの間の直下600dと、第1隣接装置2eと注目装置2Tの間の直下600eと、第1隣接装置2fと注目装置2Tの間の直下600fと、第1隣接装置2hと注目装置2Tの間の直下600hとに対象物500が存在していると推定する。
【0233】
また
図36の例では、複数の第1隣接装置2a〜2hのうち、第1隣接装置2d,2hについての検出照度の変化量がしきい値よりも大きくなっている。したがって、制御部30は、第1隣接装置2dと注目装置2Tの間の直下600dと、第1隣接装置2hと注目装置2Tの間の直下600hとに対象物500が存在していると推定する。
【0234】
そして、
図37の例では、注目装置2T及び複数の第1隣接装置2a〜2hにおいて、注目装置2Tだけの検出照度の変化量がしきい値よりも大きくなっている。したがって、制御部30は、注目装置2Tの直下600Tに対象物500が存在すると推定する。
【0235】
なお、位置推定処理において、注目装置2Tでの検出照度は使用されなくても良い。この場合には、
図37のように注目装置2Tの直下に対象物500が存在する場合には、対象物500の位置が推定しにくくなるものの、ある程度の精度で対象物500の位置推定を行うことができる。
【0236】
検出照度の変化量としきい値との比較については、周波数成分[f]の強度の変化量としきい値との比較と同様に行うことができる。
【0237】
本実施の形態では、照度センサー213での検出照度の変化量は、当該照度センサー213での現在の検出照度についての基準照度からの変化量である。そして、本実施の形態では、照度センサー213での検出照度についてのプラス側の変化量に対応したプラス側しきい値と、照度センサー213での検出照度についてのマイナス側の変化量に対応したマイナス側しきい値とが設けられている。
【0238】
ここで、照度センサー213での現在の検出照度をDEとし、基準照度をDErefとし、プラス側しきい値をDEth1とし、マイナス側しきい値をDEth2する。制御部30は、(DE−DEref)>DEth1を満足する場合には、言い換えれば、DE>(DEref+DEth1)を満足する場合には、当該照度センサー213での検出照度のプラス側の変化量(より詳細には、当該検出照度についての基準照度に対するプラス側の変化量)がしきい値よりも大きいと判定する。
【0239】
また制御部30は、(DEref−DE)>DEth2を満足する場合には、言い換えれば、DE<(DEref−DEth2)を満足する場合には、照度センサー213での検出照度についてのマイナス側の変化量(より詳細には、当該検出照度についての基準照度に対するマイナス側の変化量)がしきい値よりも大きいと判断する。
【0240】
そして制御部30は、(DE−DEref)>DEth1を満足せず、かつ(DEref−DE)>DEth2を満足しない場合には、言い換えれば、DE>(DEref+DEth1)を満足せず、かつDE<(DEref−DEth2)を満足しない場合には、照度センサー213での検出照度についての変化量がしきい値以下であると判断する。プラス側しきい値DEth1とマイナス側しきい値DEth2は、互いに同じであっても良いし、互いに異なっていても良い。
【0241】
本実施の形態では、注目装置2の照度センサー213で検出される検出照度と比較される基準照度は、室内100に対象物500が存在しない状況において、ある照明装置2を所定の光度で点灯し、当該ある照明装置2以外の照明装置2のすべてを消灯した場合に、当該ある照明装置2の照度センサー213で検出される検出照度である。言い換えれば、注目装置2の照度センサー213で検出される検出照度と比較される基準照度は、ある照明装置2を点灯し、当該ある照明装置2以外の照明装置2をすべて消灯した場合での当該ある照明装置2の照度センサー213で検出される検出照度が対象物500の影響を受けないときの当該検出照度である。
【0242】
また、隣接装置2の照度センサー213で検出される検出照度と比較される基準照度は、室内100に対象物500が存在しない状況において、ある照明装置2を所定の光度で点灯し、当該ある照明装置2以外の照明装置2のすべてを消灯した場合に、当該ある照明装置2と隣接する照明装置2の照度センサー213で検出される検出照度である。言い換えれば、隣接装置2の照度センサー213で検出される検出照度と比較される基準照度は、ある照明装置2を点灯し、当該ある照明装置2以外の照明装置2をすべて消灯した場合での当該ある照明装置2と隣接する照明装置2の照度センサー213で検出される検出照度が対象物500の影響を受けないときの当該検出照度である。基準照度は、全体制御装置3のメモリ32に記憶されている。制御部30は、照明装置2の照度センサー213での検出照度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断する際には、メモリ32内から当該照明装置2に応じた基準照度を読み出す。
【0243】
なお、上記の例では、照度センサー213での検出照度についてのプラス側の変化量とマイナス側の変化量にそれぞれ対応するプラス側及びマイナス側しきい値を設けているが、当該プラス側の変化量と当該マイナス側の変化量に共通の一つのしきい値を設けても良い。この場合には、制御部30は、例えば、照度センサー213での現在の検出照度と基準照度との差分の絶対値がしきい値よりも大きければ、当該検出照度の変化量がしきい値よりも大きいと判断する。そして、制御部30は、当該差分の絶対値がしきい値以下であれば、当該検出照度の変化量がしきい値以下であると判断する。
【0244】
<位置推定処理の実施例について>
上述の
図35〜37を用いて説明した「位置推定処理の基本的な考え方」では、位置推定処理において注目装置2Tとそれに隣接する8つの第1隣接装置2とが使用されていたが、実際の位置推定処理では、実施の形態1及び2と同様に、注目装置Tとそれに隣接する3つの第1隣接装置2α,2β,2γとから成る、行列状に配置された4つの照明装置2が処理単位グループ700とされる(上述の
図14参照)。そして、処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行される。以下に実際の位置推定処理について説明する。
【0245】
図38は、制御部30での対象物500の位置推定処理を示すフローチャートである。制御部30は、
図38に示される一連の処理を定期的にあるいは不定期的に繰り返して行う。
【0246】
図38に示されるように、制御部30は、ステップs21において、室内100に配置された複数の照明装置2から注目装置2Tを選択する。本実施の形態では、ステップs21が複数回実行されることによって、制御部30は、複数の照明装置2を順番に一つずつ注目装置2Tとして選択する。例えば、実施の形態1及び2と同様に、制御部30は、行列状に配置された複数の照明装置2を、ラスタスキャン方向に沿って一つずつ順番に注目装置2Tとして選択する。なお、制御部30が注目装置2Tを選択する順番はこれ以外でも良い。
【0247】
制御部30は、ステップs21において注目装置2Tを選択すると、ステップs22において、上述の
図17に示されるように、選択した注目装置2Tと、当該注目装置2Tに隣接し、かつ互いに隣接する3つの第1隣接装置2α,2β及び2γとから成る処理単位グループ700を決定する。
【0248】
次にステップs23において、制御部30は、光度制御信号を使用して、注目装置2Tの光度を所定値に設定する。また、制御部30は、
図39に示されるように、光度制御信号を使用して、第1隣接装置2α,2β,2γと、当該第1隣接装置2α,2β,2γに隣接する複数の第2隣接装置2zを消灯する。これにより、第1隣接装置2α,2β,2γのそれぞれの検出照度は、注目装置2T以外の照明装置2が発する光の影響をほとんど受けなくなる。
【0249】
次にステップs24において、制御部30は、ステップs22で定めた処理単位グループ700に含まれる4つの照明装置2のそれぞれに対して、通信部31を通じて、照度センサー213での検出照度の出力指示を行う。全体制御装置3から出力指示を受信した照明装置2では、制御部210が照度センサー213での検出照度を通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。全体制御装置3の通信部31が受信した検出照度は制御部30に入力される。これにより、制御部30は、注目装置2Tの光度が所定値に設定されている状況での処理単位グループ700の各照明装置2の検出照度を取得することができる。制御部30は、処理単位グループ700の各照明装置2の検出照度を取得すると、光度制御信号を使用して、注目装置2T、複数の第1隣接装置2α,2β,2γ及び複数の第2隣接装置2zの光度を元に戻す。
【0250】
なお、注目装置2Tの光度を所定値に設定するとともに第1隣接装置2α,2β,2γ及び第2隣接装置2zを消灯してから、注目装置2T、第1隣接装置2α,2β,2γ及び第2隣接装置2zの光度を元に戻すまでの処理は非常に短時間で行われる。したがって、室内100に存在する人は、注目装置2T、第1隣接装置2α,2β,2γ及び第2隣接装置2zの光度が変化したことをほとんど感じることがない。
【0251】
次にステップs25において、制御部30は、処理単位グループ700の各照明装置2の検出照度の変化量を求める。
【0252】
次にステップs26において、制御部30は、ステップs25で求めた、処理単位グループ700の各照明装置2での検出照度の変化量としきい値とを比較することによって、対象物500の位置を推定する。
【0253】
具体的には、制御部30は、
図40に示されるように、第1隣接装置2αについて求めた検出照度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、第1隣接装置2αと注目装置2Tの間の直下に対象物500が存在すると推定する。また制御部30は、
図40に示されるように、第1隣接装置2βについて求めた検出照度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、第1隣接装置2βと注目装置2Tの間の直下に対象物500が存在すると推定する。また制御部30は、
図41に示されるように、第1隣接装置2γについて求めた検出照度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、第1隣接装置2γと注目装置2Tの間の直下に対象物500が存在すると推定する。また制御部30は、
図42に示されるように、注目装置2T及び複数の第1隣接装置2α,2β,2γにおいて、注目装置2Tだけの検出照度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、注目装置2Tの直下に対象物500が存在すると推定する。
【0254】
なお、
図41に示されるように、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の中央部の直下に対象物500が存在する場合には、注目装置2Tと第1隣接装置2αとの間の直下に対象物500が存在しないときであっても、第1隣接装置2αでの検出照度が対象物500の影響を受けて、当該検出照度の変化量がしきい値よりも大きくなる可能性が高い。よって、この場合には、注目装置2Tと第1隣接装置2αとの間の直下に対象物500が存在すると誤って推定する可能性が高い。
【0255】
同様に、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の中央部の直下に対象物500が存在する場合には、注目装置2Tと第1隣接装置2βとの間の直下に対象物500が存在しないときであっても、第1隣接装置2βでの検出照度が対象物500の影響を受けて、当該検出照度の変化量がしきい値よりも大きくなる可能性が高い。よって、この場合には、注目装置2Tと第1隣接装置2βとの間の直下に対象物500が存在すると誤って推定する可能性が高い。
【0256】
そこで、第1隣接装置2α,2β,2γのそれぞれについての検出照度の変化量がしきい値よりも大きい場合には、対象物500の位置を詳しく推定するのではなく、処理単位グループ700を構成する4つの照明装置2で囲まれた範囲の直下に対象物500が存在すると大まかに推定しても良い。
【0257】
ステップs26において、対象物500の位置が推定されると、ステップs27において、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したかを判断する。制御部30は、ステップs27においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したと判断すると、対象物500の位置推定処理を終了する。一方で、制御部30は、ステップs27においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択してないと判断すると、ステップs21を再度実行して、上述の
図21に示されるように、ラスタスキャン方向に沿って次の一つの照明装置2を注目装置2Tとして選択する。以後、制御部30は同様に動作する。ステップs22において、上述の
図21に示される処理単位グループ700が決定された場合には、ステップs23では、第1隣接装置2α,2β,2γ及びそれらに隣接する複数の第2隣接装置2zが
図43に示されるように消灯される。
【0258】
なお、複数の第1隣接装置2α,2β,2γと、それらに隣接する複数の第2隣接装置2zとを消灯するだけでは、注目装置2Tに隣接する照明装置2が消灯しない可能性がある。例えば、
図44に示されるように処理単位グループ700が決定されると、注目装置2Tの左上の照明装置2yは、第1隣接装置2α,2β,2γのいずれにも隣接しないことから、消灯されない。
【0259】
注目装置2Tに隣接する照明装置2が消灯しない場合には、注目装置2Tでの検出照度が当該隣接する照明装置2が発する光の影響を受ける可能性が高い。上記のように、第1隣接装置2での検出照度だけではなく、注目装置2Tでの検出照度にも基づいて対象物500の位置が推定される際には、注目装置2Tの検出照度が他の照明装置2が発する光の影響を受けると、対象物500の位置を正確に推定できない可能性がある。
【0260】
そこで、制御部30は、本例のように注目装置2Tでの検出照度にも基づいて対象物500の位置を推定する場合には、ステップs23において、第1隣接装置2α,2β,2γに隣接せず、かつ注目装置2Tに隣接する照明装置2(例えば
図44の照明装置2y)が存在するときには、当該照明装置2も消灯する。つまり、制御部30は、処理単位グループ700に隣接する複数の照明装置2をすべて消灯する。これにより、処理単位グループ700を構成する各照明装置2での検出照度は、注目装置2T以外の照明装置2が発する光の影響を受けにくくなる。よって、対象物500の位置推定精度が向上する。
【0261】
また、実施の形態1及び2と同様に、ステップs22において、制御部30は、選択した注目装置2Tによっては、当該注目装置2Tを含む処理単位グループ700を決定できないことがある。この場合には、制御部30では、ステップs23〜s26が実行されずにステップs27が実行される。
【0262】
また、ステップs27において、すべての照明装置2が注目装置2Tとして選択されていないと判断された場合にはすぐにステップ21が実行されても良いし、ステップs21が所定時間ごとに実行されるようにしても良い。
【0263】
また、ステップs23では、注目装置2T以外の照明装置2がすべて消灯されても良い。この場合には、処理単位グループ700を構成する各照明装置2での検出照度は、注目装置2T以外の照明装置2が発する光の影響を全く受けないことから、対象物500の位置推定精度がさらに向上する。
【0264】
以上のように、本実施の形態では、実施の形態1及び2と同様に、照明装置2が使用されて対象物500の位置が推定されることから、照明装置2とは別に、赤外線センサーなどの位置検出用のセンサー等を用意する必要がない。よって、簡単な構成で対象物500の位置を推定することができる。
【0265】
なお、制御部30は、実施の形態1と同様にして、対象物500の位置推定結果に基づいて、対象物500の室内100での密度(密集度)を推定しても良い。
【0266】
<実施の形態3の各種変形例>
<第1変形例>
上記の例では、1つの処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行されていたが、実施の形態1及び2の第1変形例と同様に、複数の処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行されても良い。以下に、本変形例に係る位置推定処理を上述の
図38を参照して説明する。
【0267】
ステップs21において、制御部30は、天井面110に配置された複数の照明装置2から複数の注目装置2Tを選択する。そして、制御部30は、ステップs22において、選択した複数の注目装置2Tをそれぞれ含む複数の処理単位グループ700を決定する。
【0268】
次にステップs23において、制御部30は、光度制御信号を使用して、決定した複数の処理単位グループ700に含まれる注目装置2Tの光度を所定値に設定する。また、制御部30は、決定した複数の処理単位グループ700のそれぞれについて、当該処理単位グループ700に含まれる第1隣接装置2α,2β,2γと、当該第1隣接装置2α,2β,2γに隣接する複数の第2隣接装置2zを消灯する。なお、各処理単位グループ700について、当該処理単位グループ700の第1隣接装置2α,2β,2γに隣接せず、かつ当該処理単位グループ700の注目装置2Tに隣接する照明装置2が存在するときには、制御部30は当該照明装置2も消灯する。
【0269】
ここで、ステップs22で決定した複数の処理単位グループ700において、互いに近い位置に存在する2つの処理単位グループ700が含まれる場合を考える。このような場合には、互いに近い位置に存在する2つの処理単位グループ700では、一方の処理単位グループ700の照明装置2が受光する、当該一方の処理単位グループ700の注目装置2Tからの光が、他方の処理単位グループ700の注目装置2Tから出力される光と干渉する可能性が高い。
【0270】
そこで、本変形例では、上述の実施の形態1及び2の第1変形例と同様に、制御部30は、ステップs21で選択する複数の注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tと、それに最も近い他の注目装置2Tとの間に少なくとも2つの照明装置2が存在するようにする。
【0271】
例えば、制御部30は、ステップs21において2つの注目装置2Tを選択する場合には、上述の
図22のように、当該2つの注目装置2Tの間に、例えば2つの照明装置2が存在するようにする。
【0272】
また制御部30は、ステップs21において2つの注目装置2Tを選択する場合には、上述の
図23のように、当該2つの注目装置2Tの間に、例えば3つの照明装置2が存在するようにする。
【0273】
また制御部30は、ステップs21において3つの注目装置2Tを選択する場合には、上述の
図24のように、当該3つの注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tと、それに最も近い他の注目装置2Tとの間に2つの照明装置2が存在するようにする。
【0274】
このように、ステップs21で選択される複数の注目装置2Tのそれぞれについて、当該注目装置2Tと、それに最も近い他の注目装置2Tとの間に少なくとも2つの照明装置2が存在する場合には、各処理単位グループ700に含まれる注目装置2T2からの光が、他の処理単位グループ700に含まれる照明装置2に届きにくくなる。よって、処理単位グループ700の各照明装置2が受光する、当該処理単位グループ700の注目装置2Tからの光が、他の処理単位グループ700の注目装置2Tから出力される光と干渉することを抑制することができる。
【0275】
ステップs23が実行されると、ステップs24において、制御部30は、ステップs22で決定した複数の処理単位グループ700のそれぞれに含まれる各照明装置2に対して、通信部31を通じて、照度センサー213での検出照度の出力指示を行う。全体制御装置3から出力指示を受信した各照明装置2では、制御部210が照度センサー213での検出照度を通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。全体制御装置3の通信部211が受信した検出照度は制御部30に入力される。これにより、制御部30は、ステップs22で決定した複数の処理単位グループ700のそれぞれに含まれる各照明装置2での検出照度を取得することができる。制御部30は、各処理単位グループ700に含まれる各照明装置2の検出照度を取得すると、光度制御信号を使用して、各処理単位グループ700に含まれる各照明装置2の光度を元に戻す。
【0276】
次にステップs25において、制御部30は、各処理単位グループ700に含まれる各照明装置2での検出照度の変化量を求める。
【0277】
次にステップs26において、制御部30は、ステップs22で決定した複数の処理単位グループ700のそれぞれについて、当該処理単位グループ700に含まれる各照明装置2での検出照度の変化量としきい値とを比較することによって、対象物500の位置を推定する。
【0278】
ステップs26において、ステップs22で決定された各処理単位グループ700について対象物500の位置が推定されると、ステップs27において、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したかを判断する。制御部30は、ステップs27においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したと判断すると、対象物500の位置推定処理を終了する。一方で、制御部30は、ステップs27においてすべての照明装置2を注目装置2Tとして選択してないと判断すると、ステップs21を再度実行する。ここでは、天井面110に配置された複数の照明装置2のうち、未だ注目装置2Tとされてない照明装置2から、新たな複数の注目装置2Tが選択される。以後、制御部30は同様に動作する。
【0279】
このように、本変形例では、複数の処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行されることから、上述のように一つの処理単位グループ700ごとに位置推定処理が実行される場合と比較して、室内100全体に対する対象物500の位置推定をすぐに完了させることができる。よって、室内100の対象物500が移動する場合であっても、対象物500の位置を精度良く推定することができる。
【0280】
また、本変形例では、処理単位グループ700の各照明装置2が受光する、当該処理単位グループ700の注目装置2Tからの光が、他の処理単位グループ700の注目装置2Tから出力される光と干渉することを抑制することができるため、対象物500の位置推定の精度が劣化することを抑制することができる。
【0281】
<第2変形例>
上記の例では、全体制御装置3が、照明装置2の照度センサー213での検出照度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断していたが、照明装置2が、自身の照度センサー213での検出照度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断しても良い。以下に、この場合の照明システム1での位置推定処理を説明する。
【0282】
まず制御部30は、上述のステップs21と同様に、室内100に配置された複数の照明装置2から注目装置2Tを選択する。そして、制御部30は、上述のステップs22と同様に、選択した注目装置2Tを含む処理単位グループ700を決定する。
【0283】
次に、制御部30は、上述のステップs23と同様に、光度制御信号を使用して、注目装置2Tの光度を所定値に設定する。また、制御部30は、第1隣接装置2α,2β,2γと、当該第1隣接装置2α,2β,2γに隣接する複数の第2隣接装置2zとを消灯する。
【0284】
次に、制御部30は、決定した処理単位グループ700に含まれる4つの照明装置2のそれぞれに対して、当該照明装置2の照度センサー213での検出照度の変化量がしきい値よりも大きいか否かの判断を行うことを指示する信号(以後、「第3判断指示信号」と呼ぶ)を通信部31を通じて送信する。全体制御装置3から第3判断指示信号を受信した照明装置2では、制御部210が、メモリ212内の基準照度を使用して、照度センサー213での検出照度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断する。そして、制御部210は、その判断結果を、通信部211を通じて全体制御装置3に送信する。
【0285】
処理単位グループ700に含まれる各照明装置2から判断結果を受信した全体制御装置3では、制御部30は、光度制御信号を使用して、注目装置2T、複数の第1隣接装置2a,2β,2γ及び複数の第2隣接装置2zの光度を元に戻す。そして、制御部30は、処理単位グループ700に含まれる各照明装置2から受信した判断結果に基づいて、上記と同様にして、対象物500の位置を推定する。
【0286】
次に、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したかを判断する。制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択したと判断すると、対象物500の位置推定処理を終了する。一方で、制御部30は、すべての照明装置2を注目装置2Tとして選択してないと判断すると、ラスタスキャン方向に沿って次の一つの照明装置2を注目装置2Tとして選択する。以後、制御部30は同様に動作する。
【0287】
このように、照明装置2が、自身の照度センサー213での検出照度の変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断することによって、全体制御装置3での処理負荷を軽減することができる。
【0288】
なお、照明装置2では、制御部210が照度センサー213での検出照度の変化量を求めて、通信部211がその変化量を全体制御装置3に送信しても良い。そして、全体制御装置3では、制御部30が、照明装置2から通知された変化量がしきい値よりも大きいか否かを判断しても良い。この場合であっても、全体制御装置3での処理負荷を軽減することができる。
【0289】
<各実施の形態に共通する変形例>
上記の例では、対象物500の位置の推定に、室内100に設けられたすべての照明装置2が使用されているが、室内100に設けられた複数の照明装置2の一部だけが使用されて、対象物500の位置が推定されても良い。
【0290】
また、上記の例では、制御部30での対象物500の位置推定結果が照明装置2の光度の制御に使用されていたが、当該位置推定結果は他の目的で使用されても良い。例えば、対象物500である人の位置推定結果に基づいて、室内100の空調が制御されても良い。また、対象物500である人の位置推定結果に基づいて、離席及び在席状況が判断されても良い。また、対象物500の位置推定結果に基づいて、室内100に不審者が進入したか否かが判定されても良い。
【0291】
また上記の例では、対象物500が人であるが、人以外の物が対象物500とされても良い。例えば、人以外の動物が対象物500とされても良い。照明システム1が家庭に導入される場合には、室内で飼われているペットが対象物500とされても良い。
【0292】
以上のように、照明システム1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。