【解決手段】トナー濃度センサ56の出力が現像剤のトナーTnの濃度の大きな低下を示したとき(過去時間−14〜−7秒)、トナーTnを大量に補給して(過去時間−7〜0秒)トナー濃度の測定を開始する。現像剤が攪拌されながら現像器14内を一周する時間を20秒とし、この間のトナー濃度センサ56の出力の最大値と最小値を順次取得し、最大値と最小値との差分を演算し、演算した差分と基準値とのズレ量を調べ、ズレ量が許容値内に収斂したとき、一周分の攪拌が終了するのを待たずに印字処理を再開する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置がある。この装置は、一般に感光体を一様な帯電で初期化し、この感光体に光書込みにより静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像に現像し、そのトナー像を直接又は間接に用紙等の記録媒体に転写して定着器で定着させる。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置には、トナーのみから成る一成分現像剤を用いるものと、トナーとキャリアから成る二成分現像剤を用いるものとがある。一方、近年、印字(以下、印刷ともいう)処理の高速化に対する要望が強くなっている。
【0004】
印字処理の高速化に対処するには、キャリアとトナーとを混合して形成される二成分現像剤を用いると、よく対応できる。二成分現像剤のキャリアは、現像器内でトナーと混合撹拌されてトナーに所定の電荷を与える。
【0005】
電荷を与えられたトナーはキャリアの表面に一時的に付着する。キャリアは磁性体の現像ローラに付着して電荷を帯びたトナーを感光体上に運び、感光体上の静電潜像にトナーを転移させて静電潜像上にトナー像を現像させる。
【0006】
表面のトナーを放出したキャリアは現像ローラ上に残り、再び現像器内に戻って現像器に補給される新たなトナーと再び混合撹拌され、トナーに電荷を与え、そのトナーを感光体上に運ぶ、というように繰り返し使用される。現像器へのトナーの補給はトナー供給装置から行われる。
【0007】
ところで、近年、印字処理の高速化と並行して画像形成装置の小型化の要望も強い。この対策として画像形成部の小型化が進められている。画像形成部を小型化すると現像器も小型化される。現像器の小型化で現像器内に収容できる現像剤の量も減る傾向にある。
【0008】
そのため、トナー濃度センサを用いて現像器内のトナー濃度を推測し、印字により消費されたトナーをタイミングよく補給する必要がある。現像器内を循環する現像剤へ補給するトナーの補給タイミングや補給量が適切でないと、現像剤に部分的なトナー濃度ムラが発生する。
【0009】
現像器の現像剤中のトナー濃度が高すぎると地汚れ等が発生し、トナー濃度が低すぎると高濃度な画像が得られない。したがって高画質な画像を得るためには、感光体に供給される現像器内の現像剤のトナー濃度を一定範囲内に制御することが必要である。
【0010】
トナー濃度の制御には、トナーの補給タイミングや補給量の問題だけでなく、消費量が大きく補給量が十分でない場合に印字を中断して補給時間を確保するという処理も必要となる。
【0011】
そこで、小型の現像器内のトナー濃度ムラを解消する方法として、トナー濃度センサからトナー補給口までの領域の現像剤攪拌能力を、それ以外の領域の攪拌能力よりも弱めた現像器が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0012】
この現像器によれば、トナー濃度センサにより検知されたトナー濃度のまま現像剤をトナー補給口まで搬送し、現像剤のうちトナー濃度が低下した部分に適量のトナー補給を行うことができる。また、トナー補給後の攪拌搬送能力を強めることで、補給されたトナーを周囲の現像剤と均一に混合した状態で現像ローラに搬送できるというものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[実施例1]
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係るトナー補給方法を有するフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタ又は装置本体という)の内部構成を説明する断面図である。
【0023】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で中間転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0024】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の下部走行面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9k、9c、9m、9y)を多段式に並設して構成される。この画像形成部2は、
図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0025】
上記4個の現像装置9のうち上流側(図の左側)の3個の現像装置9c、9m及び9yは、それぞれ減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0026】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下イエロー(Y)のトナー用の現像装置9yを例にしてその構成を説明する。
【0027】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面に接して又は近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0028】
現像器14は、外部を覆う筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、詳しくは後述するが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0029】
この現像器14には、転写ベルトユニット3の上方に配置されているトナー供給部4のトナーカートリッジ21から、同図にK、C、M、Yで示すブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーが供給される。
【0030】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ22と従動ローラ23を備えている。
【0031】
駆動ローラ22には、転写ベルト8を介して二次転写ローラ24が圧接し、ここに搬送されて来る転写媒体である用紙に対し、転写ベルト8上の一次転写トナー像を二次転写する二次転写部を形成している。
【0032】
上記の転写ベルト8には、一次転写ローラ25がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ25は感光体ドラム10に対し、転写ベルト8を挟むように配置されている。
【0033】
一次転写ローラ25は、下方を循環移動する転写ベルト8の下部走行面8aにトナー像を直接転写(一次転写)する。転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく、上記の二次転写部まで搬送する。
【0034】
また、転写ベルト8には、従動ローラ23に掛け渡されている表面に当接してベルトクリーナ26が配置されている。ベルトクリーナ26の下方にはベルトクリーナ26が転写ベルト8から除去した廃トナーを収容する廃トナー回収容器27が着脱自在に配置されている。
【0035】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行面の上方に配置されている前述した4個のトナーカートリッジ21で構成されている。このトナー供給部4は、特には図示しないが、
図1に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0036】
トナー供給部4の4個のトナーカートリッジ21は、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナーを収容している。
【0037】
これらのトナーカートリッジ21は、プリンタ1本体に対し前面方向に、すなわち図の紙面奥行き方向手前側に挿脱して着脱自在である。トナーカートリッジ21には
図1では断面図のため見えないが、現像器9にトナーを補給するためのトナー補給口が形成されている。
【0038】
トナー補給口は、トナーカートリッジ21がプリンタ1本体に装着されたとき、現像器9の後方から上に延びだしているトナー補給路に連通し、このトナー補給路を介して現像器9にトナーを補給する。尚、
図1では断面図のため見えないが、トナー補給路は転写ベルトユニット3の後方に回り込んで配置されている。
【0039】
このトナー供給部4の左方には、ベルトクリーナ26の左方から上方にかけて電装部29が配設されている。電装部29には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤が装着されている。
【0040】
給紙部5は、1個の給紙カセット31を備えている。給紙カセット31の給紙口(図の右方)近傍には、用紙取出ローラ32、給送ローラ33、捌きローラ34、待機搬送ローラ対35が配置されている。
【0041】
待機搬送ローラ対35の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、前述した二次転写部が形成されている。この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。
【0042】
ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0043】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0044】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する返送開始路39a、それから下方に曲がる返送中間路39b、更に左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる返送終端路39cを有する返送路39を備えている。
【0045】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記返送終端路39cの出口は、給紙部5の給紙カセット31に対応する待機搬送ローラ対35への搬送路に合流している。
【0046】
図2は、上記のプリンタ1の制御装置を含む回路ブロック図である。
図2に示すように回路ブロックは、プリンタコントローラ部50が中心となっている。このプリンタコントローラ部50には、複数のバス45を介してネットワークコントローラ部47のI/F(インターフェイス)48、ヘッドコントローラ部49が接続されている。
【0047】
上記のネットワークコントローラ部47のI/F48には他のバス59を介して操作パネル部51が接続されている。また、I/F48には、例えばパーソナルコンピュータ等の図外のホスト機器から印字データ等の信号が入力される。
【0048】
ネットワークコントローラ部47は、I/F48を介して外部から入力される印字データをヘッドコントローラ部49に送信し、印字データに含まれるコマンドデータや操作パネル部51から入力される指示データをプリンタコントローラ部50に送信する。
【0049】
プリンタコントローラ部50には、バス45を介して、更に、EEPROM(electrically erasable programmable ROM) 52、ROM(read only memory)53、給紙モータ54が接続されている。
【0050】
プリンタコントローラ部50は、ROM53に格納されている制御プログラムを読出し、その読み出した制御プログラムにしたがって、YMCKごとのDDS(developer drum set、本例では現像装置9を指す)新旧検知センサ55等から受信するセンサ出力に応じて各部を制御する。
【0051】
また、プリンタコントローラ部50は、YMCKごとのトナー濃度センサ56(56y、56m、56c、56k)から受信するセンサ出力信号が、トナー補給閾値を超えるか否かを監視し、トナー補給閾値を超えたときは、YMCKごと対応するトナーカートリッジ28のモータ46(46y、46m、46c、46k)を駆動して補給用トナーを現像器14に補給する。
【0052】
また、プリンタコントローラ部50は、トナーの補給量よりも印字に使用された消費量のほうが多く、現像器14の現像剤のトナー濃度が低下して印字を中断しトナー補給を専門に行う状態になったとき、詳しくは後述するが、トナー濃度センサ56の出力を監視して無駄な攪拌を行うことなく可及的に短時間で印字を再開できるように全体を制御する。
【0053】
また、プリンタコントローラ部50は、ネットワークコントローラ部47から受信した印字データに基づいて、一方ではヘッドコントローラ部49を介しYMCKごとの光書込ヘッド13(13k、13c、13m、13y)の光書き込みを制御する。
【0054】
図3(a)は、上記現像器14を感光体ドラム10と共に示す拡大断面図であり、
図3(b)は、現像器14を
図3(a)の矢印cで示す向に切断して内部構成と現像剤の還流経路を示す断面図、
図3(c)はトナーカートリッジ21の構成と内部のトナーの態様を模式的に示す図である。
【0055】
なお、
図3(a),(b),(c)には
図1の構成と同一の構成部分には
図1と同一の番号を付与して示している。また、
図3(b)では
図3(a)に示すクリーニングブレード77の図示を省略し、トナー濃度センサ56も極く簡略に示している。
【0056】
図3(a),(b)に示すように、現像器14は、外壁63と内部隔壁64とで仕切られる2つの現像槽65(65a、65b)を備えている。上方の現像槽65aには、前述した現像ローラ15と第2の攪拌搬送スクリュー19が配置されている。
【0057】
現像ローラ15には、ドクターブレード66が当接している。下方の現像槽65aには前述した第1の攪拌搬送スクリュー18が配置されている。この現像槽65aにはトナー濃度センサ56がその検知面67を槽内に露出して配置されている。
【0058】
第2の攪拌搬送スクリュー19は、回転軸68とこの回転軸68に螺旋状に固設された螺旋状フィン69とで構成されている。第1の攪拌搬送スクリュー18は、回転軸71とこの回転軸71に螺旋状に固設された螺旋状フィン72とで構成されている。
【0059】
第2の攪拌搬送スクリュー19は、矢印dで示すように
図3(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽65a内の現像剤を螺旋状フィン69で攪拌しながら矢印e(e1、e2、e3)で示すように、
図3(a)の紙面奥行き方向手前から向こう側、
図3(b)では右から左方へ搬送し、その現像剤を現像ローラ15に供給する。
【0060】
現像ローラ15は、現像剤のトナーのみを感光体ドラム10に供給して、感光体ドラム10周面上の静電潜像をトナー像化(現像)する。トナーのみを感光体ドラム10に引き取られた現像ローラ15上の現像剤のキャリアは、現像槽65a内の現像剤に混合され、
図3(a)の紙面奥行き方向向こう側、
図3(b)では左端部の出口73で現像槽65bに送り戻す。
【0061】
現像槽65b内の第1の攪拌搬送スクリュー18は、矢印gで示すように
図3(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽65b内の現像剤を螺旋状フィン72で攪拌しながら矢印f(f1、f2、f3)で示すように
図3(a)の紙面奥行き方向向こう側から手前、
図3(b)では左から右方へ搬送する。
【0062】
もし、現像剤のトナー濃度が規定以下に薄くなっていれば、トナー濃度センサ56がトナー濃度低下を検出する。トナー濃度低下が検出されると、トナー供給部4の当該現像器14に対応するトナーカートリッジ21から不図示のトナー補給路を介して、
図3(b)に示すように、トナーTnが補給される。
【0063】
なお、
図3(b)には、トナー補給口を特には示していないが、トナー補給口は出口73とほぼ同じ位置に連結されている。つまり、現像でトナー濃度が低下した現像槽65a内の現像剤が現像槽65bに送り戻される出口73近傍で、補給トナーが補給されるようになっている。
【0064】
第1の攪拌搬送スクリュー18は、現像剤を攪拌搬送しながら、
図3(a)の紙面奥行き方向手前側、
図3(b)の右側の供給口74で、現像剤を現像槽65aに送り出す。このように、現像剤の還流とトナーの補給が繰り返されて、トナーによる現像が逐次進行する。
【0065】
上記のトナー濃度センサ56の検知面67は槽内に露出して配置されているので、現像剤が検知面67に滞留しやすい。現像剤が検知面67に滞留するとトナー濃度センサ56の検知精度が低下する。
【0066】
このトナー濃度センサ56の検知精度の低下を防止するために、現像槽65b内の第1の攪拌搬送スクリュー18の回転軸71には、トナー濃度センサ56の検知面67に対向して回転する位置に、ブレード保持部75とこのブレード保持部75に保持された弾性体シート(ブレード)76から成るクリーニングブレード77が固設されている。
【0067】
クリーニングブレード77は、第1の攪拌搬送スクリュー18の回転軸71と共に回転し、トナー濃度センサ56の検知面67を弾性体シート74により摺擦して、検知面67に滞留しようとする現像剤を払い飛ばして、直後に搬送されてくる現像剤と入替える。
【0068】
これにより、トナー濃度センサ56の検知面67に現像剤が滞留することによって生じる虞のあるトナー濃度の誤検知を防止している。なお、上記のようにクリーニングブレード77がトナー濃度センサ56の検知面67を周期的に摺擦することにより、検知面67上の現像剤の量が周期的に増減する。
【0069】
したがって、その現像剤量の周期的増減に合わせてトナー濃度センサ56の出力電圧も周期的に増減する。第1の攪拌搬送スクリュー18の回転、すなわちクリーニングブレード77の回転は比較的速いので、トナー濃度センサ56の出力電圧の周期的増減は比較的高速なパルス電圧として現れる。
【0070】
本例では、上記のパルス電圧を平均化して得られる電圧を、現像剤の実際のトナー濃度に対するトナー濃度センサ56の検知出力電圧としている。
【0071】
また、
図3(c)に示すように、トナーカートリッジ21には、装着部に装着する装着方向後端部(
図3(c)では左方端部)の下面に、
図1では図示を省略したトナー補給路78に連通する補給口79を備えている。
【0072】
トナー補給路78の終端は、
図3(b)に示した現像器14の上方の現像槽65aから下方の現像槽65bに現像剤が送り出される出口73の近傍に連絡している。トナーカートリッジ21の内部にはトナーTnが収容されており、このトナーTnを補給口79へ搬送する搬送スクリュー81が配設されている。
【0073】
搬送スクリュー81は、特には図示しないが、後端部に回転軸の一端に連結され、回転軸の他端はトナーカートリッジ21の後端面から外部に突出して、突端にギアを備えている。ギアは、装置本体1の駆動系の駆動ギアに係合して回転駆動され、その回転駆動を矢印hで示すように搬送スクリュー81に伝達する。
【0074】
トナーカートリッジ21のトナーTnは、搬送スクリュー81により、補給口79から、矢印jで示すようにトナー補給路78に送り出されて現像器14に補給される。トナーTnの補給が開始されると、先ず、トナー補給路78に備えられているシャッタが開く、搬送スクリュー81が一定時間回転して一定量のトナーTnを補給口79へと搬送して一定時間停止する。
【0075】
この間、シャッタが閉じ、制御装置のプリンタコントローラ部50は、トナー濃度センサ56からのトナー濃度検知信号を受け取り、検知されたトナー濃度が適正か否かを判断する。
【0076】
ところで、搬送スクリュー81の回転に応じてトナーカートリッジ21から補給されるトナーTnの供給量は必ずしも一定ではなく誤差がある。そのためトナー補給後のトナー濃度センサ56の出力は一定の期間乱高下を繰り返すことになる。
【0077】
また、現像剤のトナー濃度のムラは、トナーの消費状況、補給状況、攪拌状況に応じて現像槽内の位置によりばらつきあって全体が同時に同じ状態になるとは限らない。このため、短時間の攪拌によってトナー濃度ムラが解消する場合もあれば、長時間攪拌を行わなければトナー濃度ムラが解消されない場合もある。
【0078】
図4(a)は、印字する画像が低濃度の場合のトナー濃度センサの出力を示す図であり、
図4(b)は印字する画像が高濃度の場合のトナー濃度センサの出力を示す図である。尚、
図4(a),(b)は共に、横軸に時間(s:秒)を示し、縦軸にトナー濃度センサの出力(mV:ミリボルト)を示している。
【0079】
尚、
図4(a),(b)及び以下に説明する
図5において、トナー濃度センサの出力(mV:ミリボルト)を、グラフの中央に横に太く実線で示す基準値1.5Vに対して、強弱(高低)の出力をトナー濃度の高低と比例するように反転させて示している。
【0080】
また、横の時間軸には、右方に攪拌制御のための計測開始からの過去時間を示し、左端に現在の経過時間を示している。そして右端部から20秒間隔で、現像剤の現像器一周分のトナー濃度センサの出力時間を示している。
【0081】
印字画像が低濃度の場合、
図4(a)に示すように、計測開始から現在時間まで、トナー濃度センサの出力は、基準値の1.5mVの近傍に張り付いて、ほとんどムラ無く遷移している。したがって、この場合は、印字処理の続行が可能である。
【0082】
これに対して、印字画像が高濃度の場合は、先ず、
図4(b)の右端の20秒間に示すように、計測開始前の通常測定でトナー濃度センサの出力がトナー濃度の大きな低下を示し、これに対応して多量のトナーが補給されて、トナー濃度センサの出力がトナー濃度の大きな上昇を示している。
【0083】
そして、トナー補給の処理が終了した時点を過去時間の「0」として攪拌制御のための計測が開始されたのちも、2周+1/2周の間は、トナー濃度は僅かながらも収束しながら、まだ安定せず、トナー濃度センサの出力が大きく乱高下している。したがって、印字は開始されず攪拌のみが続いている。
【0084】
図5は、印字画像が
図4(b)の場合ほどではないが比較的高濃度の場合であり、この場合は、右端の20秒間に示す計測開始前の通常測定でトナー濃度センサの出力がトナー濃度のやや大きな低下を示し、これに対応してトナーが補給されて、トナー濃度センサの出力がトナー濃度のやや大きな上昇を示している。
【0085】
そして、トナー補給の処理が終了した時点を過去時間の「0」として攪拌制御のための計測が開始されたのちは、1.7周ほどでトナー濃度が安定領域にあることを示しているにも関わらす、その後も2.5周目になるまで攪拌が続いている状態を示している。つまり1.8周目から2.5周目まで印字処理を停止しての攪拌は無駄な時間となっている。
【0086】
上記の実測データを勘案して、トナー濃度センサ56の出力が基準値からずれた分を現像剤のトナー濃度ムラの大きさであると考えると、現像器14内の現像剤を攪拌している間の現在までの一周分のトナー濃度センサ56の出力を取得し、その出力の標準偏差を求め、この標準偏差が高いほどトナー濃度ムラが発生していると判断できる。
【0087】
そして、標準偏差が特定の値以下なったなら、トナー濃度ムラが解消されたと判断できる。ここで、濃度ムラ解消のための攪拌を止め、搬送と供給のための通常の攪拌モードに移って印字を再開すればよいことになる。
【0088】
これを換言すれば、印字処理を停止して処理を現像器14内の現像剤の攪拌専門に移行したとき、攪拌状態から2周目以降に、現在までの現像器14一周分のトナー濃度センサ56の出力を順次蓄積し、この出力の一周分の区間における最大値と最小値を取得する。
【0089】
この最大値と最小値の差の大きさが特定の範囲未満になった場合に、攪拌状態は十分であると判定することができる。これにより、トナー濃度センサ56の出力の収束が、例えば
図5の場合のように速い場合には、トナー濃度ムラ解消のための攪拌を無駄に行うことなく印字動作を再開できるようになる。
【0090】
以上説明したように、本実施例のトナー補給方法によれば、印字動作中にトナー補給の専門処理に入った場合でも、トナー農度ムラ解消までの攪拌を必要な分だけ行って余分な攪拌時間を省くので、印字中断時間がより短くなり、したがって、待ち時間もより少なくなって、ユーザの満足度が向上する。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0092】
トナー補給装置から現像器の現像槽にトナーを補給するトナー補給工程と、
該トナー補給工程により前記トナーを補給された前記現像槽の現像剤を攪拌する現像剤攪拌工程と、
該現像剤攪拌工程により攪拌される前記現像剤を前記現像槽において一周させる現像剤搬送工程と、
前記トナー補給工程により前記トナーが補給される前記現像槽の位置から前記現像剤搬送工程により前記現像槽を一周する前記現像剤の現像剤搬送方向下流の所定位置において搬送中の前記現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知工程と、
該トナー濃度検知工程により検知された前記現像剤のトナー濃度の最大値と最小値を取得する最大最小値取得工程と、
該最大最小値取得工程により取得された前記最大値と前記最小値との差分を取得する最大最小値差分取得工程と、
該最大最小値差分取得工程により取得された前記差分を所定の基準値と比較する差分基準値比較工程と、
該差分基準値比較工程による比較結果が、前記差分の前記基準値からのズレが許容値内に収斂したとき印字処理を進行させる印字処理進行工程と、
を含むことを特徴とするトナー補給方法。
[付記2]
【0093】
トナー補給装置から現像器の現像槽にトナーを補給するトナー補給手段と、
該トナー補給手段により前記トナーを補給された前記現像槽の現像剤を攪拌する現像剤攪拌手段と、
該現像剤攪拌手段により攪拌される前記現像剤を前記現像槽において一周させる現像剤搬送手段と、
前記トナー補給手段により前記トナーが補給される前記現像槽の位置から前記現像剤搬送手段により前記現像槽を一周する前記現像剤の現像剤搬送方向下流の所定位置において搬送中の前記現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知手段と、
該トナー濃度検知手段により検知された前記現像剤のトナー濃度の最大値と最小値を取得する最大最小値取得手段と、
該最大最小値取得手段により取得された前記最大値と前記最小値との差分を取得する最大最小値差分取得手段と、
該最大最小値差分取得手段により取得された前記差分を所定の基準値と比較する差分基準値比較手段と、
該差分基準値比較手段による比較結果が、前記差分の前記基準値からのズレが許容値内に収斂したとき印字処理を進行させる印字処理進行手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。