特開2015-11841(P2015-11841A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-11841(P2015-11841A)
(43)【公開日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】カードコネクタおよびコンタクト
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/72 20110101AFI20141216BHJP
【FI】
   H01R12/72
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-135835(P2013-135835)
(22)【出願日】2013年6月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】辻 淳也
(72)【発明者】
【氏名】片野 哲也
【テーマコード(参考)】
5E123
【Fターム(参考)】
5E123AB17
5E123AB37
5E123BA07
5E123BA09
5E123BB12
5E123CA17
5E123CB22
5E123CB31
5E123CB38
5E123CD01
5E123DB11
5E123EC13
5E123EC36
5E123FA07
5E123FA13
5E123GB16
5E123GB36
5E123GB42
5E123GB47
5E123GB53
5E123GB57
(57)【要約】
【課題】 本発明は、メモリカード等のカードが挿入されるカードコネクタ、およびそのコンタクトに関し、コンタクトの座屈や破損を防止する。
【解決手段】 本発明のコンタクトは、一枚の金属平板の打抜きおよび曲げ加工により形成され、挿入方向に挿入されてきたカードを受け入れる受容空間が形成されたハウジングに支持されるコンタクトである。このコンタクト22は、枠体222と、コンタクトアーム223と、延長部224を備えている。コンタクトアーム223は、挿入方向奥側に自由端223aを有し、枠体222の第1辺222aから奥側に向かって延びるとともに、例えば山形に曲げ加工されており、挿入されてきたカードに押されて弾性変形する。延長部224は、枠体222の第2辺222bから折り返されて第1辺222aに向かって延び、コンタクトアーム223がカードに押されて変形したときのコンタクトアーム223の自由端223aが摺動する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入方向に挿入されてきたカードを受け容れる受容空間が形成されたハウジングと、
前記ハウジングに支持されたコンタクトとを備え、
前記コンタクトが、一枚の金属平板の打抜きおよび曲げ加工により形成されたものであって、
前記ハウジングに固定された枠体と、
前記枠体の、前記挿入方向の第1辺から該挿入方向に沿って延びながら前記受容空間に入り込んだ後に該受容空間から外れるように曲げ加工され、該受容空間に挿入されてきたカードに押されて該受容空間から押し出される向きに弾性変形する、自由端を有するコンタクトアームと、
前記枠体の、前記挿入方向の第2辺から、加工前の金属板の前記第1辺から離れる向きに延びる部分が折り返されて該第1辺に向かって延び、前記コンタクトアームがカードに押されて変形するときの該コンタクトアームの前記自由端が摺動する延長部とを有することを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
前記コンタクトアームは側面視で山形をなす形状に曲げ加工されていることを特徴とする請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
一枚の金属平板の打抜きおよび曲げ加工により形成され、挿入方向に挿入されてきたカードを受け容れる受容空間が形成されたハウジングに支持されるコンタクトであって、
前記ハウジングに固定される枠体と、
前記枠体の、前記挿入方向の第1辺から該挿入方向に沿って延びながら前記受容空間に入り込んだ後に該受容空間から外れるように曲げ加工され、該受容空間に挿入されてきたカードに押されて該受容空間から押し出される向きに弾性変形する、自由端を有するコンタクトアームと、
前記枠体の、前記挿入方向の第2辺から、加工前の金属板の前記第1辺から離れる向きに延びる部分が折り返されて該第1辺に向かって延び、前記コンタクトアームがカードに押されて変形するときの該コンタクトアームの前記自由端が摺動する延長部とを有することを特徴とするコンタクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリカード等のカードが挿入されるカードコネクタ、およびそのコンタクトに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリカード等のカードは、例えばマイクロSIM(Subscriber Identity Module)カードからそれよりも小型のナノSIMカードへの移行のように、同一機能あるいは追加された機能を備えながら小型化されつつある。以下では、マイクロSIMカードとナノSIMカードを例に挙げて説明する。マイクロSIMカードに適応したカードコネクタを搭載した機器でそれよりも小型のナノSIMカードを使いたいという要請がある。この使用法は、一般には携帯電話会社による保証の対象外であり、ユーザの自己責任で行なわれている。そのような場合、アダプタが利用される。すなわち、ナノSIMカードをアダプタに装着し、そのアダプタに装着されたナノSIMカードをアダプタごと、マイクロSIMカードに適合したカードコネクタに差し込む。こうすることにより、マイクロSIMカード適応のカードコネクタでナノSIMカードを使うことができる。
【0003】
ここで、特許文献1には、カード挿入方向奥側に自由端を有する片持ち梁状のコンタクトを備えたカードコネクタが開示されている。
【0004】
上記のような用途に使われるアダプタについては寸法等の規格がない。このため、アダプタによっては、そのアダプタと、そのアダプタに装着されたナノSIMカードとの間に段差が生じることがある。この場合、そのアダプタ付きのナノSIMカードをカードコネクタから抜き取ろうとしたときに、コンタクトの自由端がその段差に引っ掛かって、コンタクトが座屈又は破損し、カードコネクタが故障するおそれがある。
【0005】
そこで、コンタクトの形状を変更し、両端を固定することにより自由端をなくした両持ち梁状のコンタクトを採用することが考えられる。この両持ち梁状のコンタクトを採用すれば、コンタクトの座屈、破損は防止される。しかしながら、両持ち梁状のコンタクトを採用すると、カードとの接触圧が過剰に高くなり、カードが破損するおそれや、カードの寿命を縮めるおそれがある。
【0006】
また、特許文献2には、箱型の接触部の前端から折り返され、山形に形成された片持ち梁状のコンタクト舌片の自由端付近が箱型の接触部の底板上を摺動する構造のコンタクトが開示されている。この構造のコンタクトの場合、コンタクト舌片が山形形状を有するため、コンタクト舌片の座屈等を回避することができる。
【0007】
しかしながら、カードコネクタ用のコンタクトは、1枚の金属板からリードフレーム状に多数形成される。しかるに、コンタクトは比較的長尺な部品であるため、特許文献2のコンタクト舌片のように金属板を折り返してコンタクトを形成することは材料となる金属板として大面積の金属板が必要となり、材料費の高騰につながり、好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−129028号公報
【特許文献2】特開平8−330009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、上記の座屈や破損が防止されたカードコネクタ、およびそのカードコネクタに採用されるコンタクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明のカードコネクタは、
挿入方向に挿入されてきたカードを受け容れる受容空間が形成されたハウジングと、
そのハウジングに支持されたコンタクトとを備え、
上記コンタクトが、一枚の金属平板の打抜きおよび曲げ加工により形成されたものであって、ハウジングに固定された枠体と、その枠体の、挿入方向の第1辺から挿入方向に沿って延びながら上記の受容空間に入り込んだ後にその受容空間から外れるように曲げ加工され、受容空間に挿入されてきたカードに押されて受容空間から押し出される向きに弾性変形する、自由端を有するコンタクトアームと、上記枠体の、挿入方向の第2辺から、加工前の金属板の第1辺から離れる向きに延びる部分が折り返されて上記第1辺に向かって延び、コンタクトアームがカードに押されて変形するときのコンタクトアームの自由端が摺動する延長部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明のカードコネクタは、自由端を有するコンタクトであるが、上記のように曲げ加工されているため、前述の座屈や破損のおそれはない。また、本発明では上記の延長部を備え、コンタクトがカードで押されて変形するときにコンタクトの自由端を摺動させている。これにより、カードとの接触圧を適度に保ちつつコンタクトの変形時の姿勢を安定化させている。ここで、延長部は折り返されているが、コンタクトの自由端を摺動させるだけの長さがあればよく、コンタクトアーム自体を折り返すことと比べると材料の無駄は僅かで済む。
【0012】
ここで、本発明のカードコネクタにおいて、上記コンタクトアームは側面視で山形をなす形状に曲げ加工されていることが好ましい。
【0013】
コンタクトアームは、例えば円弧状に曲げ加工されたものであってもよいが、山形となるように曲げ加工することにより、円弧状よりも自由端近傍が水平に近づき、延長部上での摺動が一層円滑となる。
【0014】
また、上記目的を達成する本発明のコンタクトは、一枚の金属平板の打抜きおよび曲げ加工により形成され、挿入方向に挿入されてきたカードを受け容れる受容空間が形成されたハウジングに支持されるコンタクトであって、
ハウジングに固定される枠体と、その枠体の、挿入方向の第1辺から挿入方向に沿って延びながら上記の受容空間に入り込んだ後にその受容空間から外れるように曲げ加工され、受容空間に挿入されてきたカードに押されて受容空間から押し出される向きに弾性変形する、自由端を有するコンタクトアームと、上記枠体の、挿入方向の第2辺から、加工前の金属板の第1辺から離れる向きに延びる部分が折り返されて上記第1辺に向かって延び、コンタクトアームがカードに押されて変形するときのコンタクトアームの自由端が摺動する延長部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明のカードコネクタおよびコンタクトによれば、コンタクトの座屈や破損が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態としてのカードコネクタの外観を示す斜視図である。
図2】カードコネクタからシェルを外してハウジングの上面側を示した斜視図である。
図3】カードコネクタからシェルを外してハウジングの上面側を示した平面図である。
図4】取り外したシェルを裏返しにしてシェルの内面を示した斜視図である。
図5】カードコネクタの、図3に示す矢印X−Xに沿う断面図である。
図6】カードコネクタに複数配列されているコンタクトのうちの1つのコンタクトの平面図(A)と矢印Y−Yに沿う断面図である。
図7】アダプタ付きのナノSIMカードが挿入された状態のカードコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態としてのカードコネクタの外観を示す斜視図である。
【0019】
また、図2および図3は、図1に外観を示したカードコネクタからシェルを外してハウジングの上面側を示した、それぞれ斜視図および平面図である。
【0020】
また、図4は、取り外したシェルを裏返しにしてシェルの内面を示した斜視図である。
【0021】
このカードコネクタ10は、回路基板(図示せず)に表面実装されるタイプのカードコネクタである。また、このカードコネクタ10は、本発明にいうカードの一例であるマイクロSIMカードが挿入されるカードコネクタである。このカードコネクタ10は、図1に示すように、ハウジング組立体20と金属製のシェル30とを有する。それらハウジング組立体20とシェル30との間には、マイクロSIMカード(図示せず)が差し込まれるカード挿入口11が設けられている。また、ハウジング組立体20には、このカード挿入口11の奥に、挿入されてきたマイクロSIMカードを受容する受容空間20Aが形成されている。
【0022】
ハウジング組立体20は、図2図3に示すように、ハウジング21と、そのハウジング21に対しインサート成形された複数のコンタクト22と、2つのスイッチそれぞれを構成する2つのスイッチコンタクト23,27を有する。
【0023】
図4に示すように、シェル30にも2つのスイッチコンタクト31,32が形成されている。それら2つのスイッチコンタクト31,32のうちの一方のスイッチコンタクト31は、ハウジング組立体20に備えられた一方のスイッチコンタクト23と組になって第1のスイッチを構成している。またこれと同様に、シェル30に形成されたもう一方のスイッチコンタクト32は、ハウジング組立体20に備えられたもう一方のスイッチコンタクト27と組になって第2のスイッチを構成している。
【0024】
図2図3に示すハウジング組立体20の説明に戻る。
【0025】
コンタクト22は、回路基板に接続される基板接続部221を有する。これらのコンタクト22は、挿入されたマイクロSIMカードに電気的に接触して、回路基板からマイクロSIMカードへの電源供給やマイクロSIMカードへのアクセスの中継を担っている。
【0026】
ハウジング組立体20に備えられた2つのスイッチコンタクト23,27のうちの一方のスイッチコンタクト23は、回路基板とマイクロSIMカードとの間の中継を担う複数のコンタクト22とともに、ハウジング21にインサート成形された金属部材である。このスイッチコンタクト23や複数のコンタクト22をインサート成形するにあたっては、一枚の金属板の打抜きおよび曲げ加工により、これらスイッチコンタクト23や複数のコンタクト22が繋がった形状のリードフレームが作製される。そして、そのリードフレームがインサート成形される。そして、成形後にリードフレームの必要な箇所が切断されてスイッチコンタクト23や複数のコンタクト22のそれぞれが回路的に独立して形成される。これらのコンタクト22の詳細については後で説明する。
【0027】
ハウジング組立体20に備えられた2つのスイッチコンタクト23,27のうちのもう一方のスイッチコンタクト27は、圧入によりハウジング21に固定されている。
【0028】
このハウジング組立体20にはさらに、スライダ24、カムバー25、およびコイルバネ26が備えられている。スライダ24は、ハウジング21に対し、マイクロSIMカードの挿入方向(矢印A方向)および抜取方向(矢印B方向)にスライドする部材である。このスライダ24は、コイルバネ26により抜取方向(矢印B方向)に付勢されている。このスライダ24は、挿入されてきたマイクロSIMカードに押されるカード受け部241と、いわゆるハートカム溝242を有する。ハートカム溝242には、カムバー25の先端部のカムピン251が入り込んでいる。
【0029】
マイクロSIMカードが挿入されてくると、そのマイクロSIMカードがカード受け部241に当接する。マイクロSIMカードがさらに挿入されると、スライダ24がマイクロSIMカードに押され、そのスライダ24がコイルバネ26の付勢力に抗して挿入方向(矢印A方向)にスライドする。このスライダ24が挿入方向最終位置までスライドすると、カムピン251がハートカム溝242のロック位置242aに入り込み、スライダ24はその最終位置までスライドした状態のままロックされる。挿入されているマイクロSIMカードを指で挿入方向に再度押すと、カムピン251がハートカム溝242のロック位置242aから外れる。その後、マイクロSIMカードから指を離すと、スライダ24がコイルバネ26に押されて抜取方向(矢印B方向)にスライドする。これにより、マイクロSIMカードがスライダ24に押されて、抜取方向(矢印B方向)に、カード挿入口11(図1参照)から一部が食み出した状態となるまで移動する。このマイクロSIMカードは、指あるいはピンセットなどの道具で摘んで抜き取られる。
【0030】
第1のスイッチを構成している、シェル30に備えられたスイッチコンタクト31は、マイクロSIMカードが挿入途中である所定の位置まで挿入されてきたときにそのマイクロSIMカードに押される。そして、そのマイクロSIMカードに押されたスイッチコンタクト31は、ハウジング組立体20に備えられたスイッチコンタクト23に接触する。これにより、マイクロSIMカードがその所定位置まで挿入されたことが検出される。すなわち、この第1のスイッチは、マイクロSIMカードが挿入途中の所定位置まで挿入されたことを検出するスイッチである。
【0031】
図2図3に示すハウジング組立体20には、複数のコンタクト22が、挿入方向(矢印A方向)手前側と奥側との2段に配列されている。これに対応して、マイクロSIMカードにも各コンタクト22との接触を担うパッド(図示せず)が2段に配列されている。このため、マイクロSIMカードが挿入方向(矢印A方向)に挿入されてくると、奥側のコンタクト22に接するべきパッドが、先ずは手前側に並ぶ複数のコンタクト22に接触する。このときに不用意に電源がオンになると、マイクロSIMカード内のデータが破壊されたり、又はマイクロSIMカードが破損するおそれがある。上記の第1のスイッチは、マイクロSIMカードが挿入方向途中位置まで挿入されてきたことを検出して、このような事故の発生を未然防止するためのものである。
【0032】
また、第2のスイッチを構成している、ハウジング組立体20に備えられたスイッチコンタクト27は、マイクロSIMカードが挿入方向奥まで挿入されたときにそのマイクロSIMカードに押されて、シェル30に形成されたスイッチコンタクト32に接触する。これにより、マイクロSIMカードの排出操作が始まったことが検出される。すなわち、この第2のスイッチは、マイクロSIMカードが挿入方向奥まで挿入されたことを検出することにより、マイクロSIMカードの排出操作の開始時点でカード排出を機器に知らせ、早期に電源をオフにできるようにするスイッチである。
【0033】
尚、ここでは、図1図4を参照して説明したカードコネクタ10にマイクロSIMカードが挿入されるものとして説明している。ただし、このカードコネクタ10には、ナノSIMカードがアダプタに装着されて、そのアダプタに装着された状態のナノSIMカードについてもそのアダプタと一体に挿入される。
【0034】
次に、コンタクトの構造について説明する。
【0035】
図5は、カードコネクタの、図3に示す矢印X−Xに沿う断面図である。
【0036】
図5(A)は、マイクロSIMカード挿入前、図5(B)はマイクロSIMカード挿入後のコンタクトの形状を示している。
【0037】
また、図6は、このカードコネクタに複数配列されているコンタクトのうちの1つのコンタクトの平面図(A)と、矢印Y−Yに沿う断面図である。尚、この図6において、図2図3に示すコンタクト22の基板接続部221は図示省略されている。
【0038】
図6(A)に示すように、このコンタクト22は、枠体222と、コンタクトアーム223と、延長部224を有する。
【0039】
枠体222は、前述のインサート成形により、ハウジング21(図2図3参照)に固定される。
【0040】
また、コンタクトアーム223は、枠体222の、挿入方向(矢印A方向)手前側の第1辺222aから挿入方向奥側に向かって延び、挿入方向奥側に自由端223aを有する。また、このコンタクトアーム223は挿入方向(矢印A方向)奥側に向かって延びながら、図2図3に示すハウジング21の受容空間20A(図5参照)に入り込んだ後にその受容空間20Aから外れるように曲げ加工されている。本実施形態では、コンタクトアーム223は、具体的には図5(A),図6(B)に示すように山形に加工されている。このコンタクトアーム223は、マイクロSIMカードが受容空間20Aに挿入されてくると、その受容空間20Aに挿入されてきたマイクロSIMカードに押されて受容空間20Aから押し出される向きに弾性変形し、図5(B)の形状となる。
【0041】
また、このコンタクト22の延長部224は、枠体222の挿入方向(矢印A方向)奥側の第2辺222b(図6(A)参照)から、加工前の金属板の、その第2辺222bよりもさらに奥側の部分が折り返されて第1辺222aに向かって延びている。この延長部224の上には、コンタクトアーム223の自由端223aが乗っている。この自由端223aは、マイクロSIMカードが挿入されていない状態では延長部224に接していてもよく、又は延長部224から多少浮いていてもよい。マイクロSIMカードが受容空間20Aに挿入されてくると、コンタクトアーム223がそのマイクロSIMカードに、受容空間から押し出される向きに押されて、図5(B)の形状に弾性変形する。このとき、コンタクトアーム223の自由端223aは、延長部224に接しその延長部224上を挿入方向(矢印A方向)奥向きに摺動する。この摺動により、コンタクトアーム223の姿勢が維持される。また、この摺動により、コンタクトアーム223の、マイクロSIMカードへの接触圧が適正な圧力に保たれる。
【0042】
マイクロSIMカードがカードコネクタ10から抜き取られると、コンタクトアーム223が変形から回復して、図5(A)に示す山形の形状に戻る。
【0043】
前述の通り、このカードコネクタ10には、マイクロSIMカードだけでなく、アダプタ付きのナノSIMカードが挿入されることがある。
【0044】
図7は、アダプタ付きのナノSIMカードが挿入された状態のカードコネクタの断面図である。図7(A)は、本実施形態のコンタクトを採用したときのカードコネクタの断面図である。また、図7(B)は、例えば前掲の特許文献1に開示されている形状のコンタクトを採用したときのカードコネクタの断面図であって、本発明に対する比較例に相当する。尚、ここでは、図7(A)と図7(B)とで対応する部材には形状等の相違があっても同一の符号を付している。
【0045】
ナノSIMカード50は、アダプタ51に装着され、そのアダプタ51に装着された状態のまま、ナノSIMカード50がカードコネクタ10に挿入される。ナノSIMカード50の、コンタクトアーム223に接するパッドの位置は、マイクロSIMカードとほぼ共通であり、コンタクトアーム223は、ナノSIMカード50のパッドに直接に接触する。
【0046】
このアダプタ51は、ナノSIMカード50とは寸法が一致せず、段差51aが形成されている。このため、図7(B)に示すような、従来型のコンタクトアーム223の場合、このアダプタ51付きのナノSIMカード50をこのカードコネクタ10から取り出そうとしたときに、問題が生じるおそれがある。すなわち、このアダプタ51付きのナノSIMカード50を取り出すときに、コンタクトアーム223の自由端223aがその段差51aに引っ掛かり、コンタクトアーム223が座屈又は破損するおそれがある。
【0047】
これに対し、図7(A)に示す形状のコンタクトアーム223の場合は、段差51aがあってもこのアダプタ51付きのナノSIMカード50を円滑に抜き取ることができる。
【0048】
尚、ここでは、マイクロSIMカード用のカードコネクタを例に挙げて説明したが、本発明は、マイクロSIMカード用のカードコネクタに限られるものではなく、カードが挿入されるカードコネクタ一般に広く適用することができる。
【0049】
また、本実施形態では、コンタクト22のコンタクトアーム223は挿入方向奥側に向って延びているが、挿入方向手前側に向って延びてもよい。この場合、コンタクト22の延長部224は、挿入方向手前側の第2辺から第1辺に向って延びる。
【0050】
さらに、延長部224は、折り返された後、第2辺の下を通って第1辺に向って延びているが、第2辺の上を通って延びてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 カードコネクタ
11 カード挿入口
20 ハウジング組立体
20A 受容空間
21 ハウジング
22 コンタクト
23,27,31,32 スイッチコンタクト
24 スライダ
25 カムバー
26 コイルバネ
30 シェル
50 ナノSIMカード
51 アダプタ
51a 段差
221 基板接続部
222 枠体
222a 第1辺
222b 第2辺
223 コンタクトアーム
223a 自由端
224 延長部
241 カード受け部
242 ハートカム溝
242a ロック位置
251 カムピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7