【解決手段】 本発明の乾電池外装用ラベル1は、熱収縮性フィルム5と、前記熱収縮性フィルム5の裏面側に設けられた金属蒸着層4と、前記金属蒸着層4の裏面側に設けられ且つ紫外線硬化型樹脂を含む絶縁層3と、前記絶縁層3の裏面側に設けられ且つ水性エマルジョン型粘着剤を含む接着層2と、前記熱収縮性フィルム5の表面側の少なくとも第1端部51に設けられ且つ紫外線硬化型樹脂を含む反り防止層6と、を有する。
前記反り防止層が、熱収縮性フィルムの表面側の少なくとも第1端部及びこの端部に対向する第2端部に設けられている、請求項1または2に記載の乾電池外装用ラベル。
前記熱収縮性フィルムの第1端部及びこの端部に対向する第2端部を除いて、前記デザイン印刷層の表面側に、紫外線硬化型樹脂を含む表面保護層が設けられている、請求項2または3に記載の乾電池外装用ラベル。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆる単3形、単4形などの乾電池の胴部には、熱収縮性のラベルが外装されている。
特許文献1には、熱収縮性フィルムと、前記熱収縮性フィルムの裏面に設けられた金属蒸着層と、前記金属蒸着層の裏面に設けられた接着層と、前記熱収縮性フィルムの表面に設けられたデザイン印刷層と、前記デザイン印刷層の表面に設けられた表面保護層と、からなり、上下端面の周縁における前記デザイン印刷層のインキ量を減少させた乾電池外装用ラベルが開示されている。
かかるラベルは、その上下端面の周縁における単位面積当たりのインキ量を減少させているので、ラベルの上端部及び下端部の収縮が阻害され難くなる。このため、このラベルを乾電池本体に巻き付けて加熱することにより、ラベルの上端部及び下端部が乾電池本体の頭部(正極面)及び底部(負極面)の周縁部に折れ曲がって密着した乾電池を得ることができる。
【0003】
ところで、前記ラベルの接着層は、一般に、溶剤型粘着剤から形成されているが、環境対策の観点などから、溶剤を使用しないことが望ましい。この点、溶剤型粘着剤に代えて水性エマルジョン型粘着剤を使用することが考えられる。
しかしながら、接着層を水性エマルジョン型粘着剤にて形成すると、乾電池本体と金属蒸着層との間に介在した水分を含む接着層が僅かに通電することにより、金属蒸着層が化学変化し、その金属光沢が低下するおそれがある。
なお、乾電池外装用ラベルは、その縁に爪などが引っ掛かること、乾電池の使用時に電池装填部へ引っ掛かることによるショート、異物侵入などを防止するために、乾電池本体の負極面などにおいて浮き上がらないように乾電池本体に装着できるものが望まれる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、乾電池外装用ラベルを構成する各層の「表面」は、そのラベルを乾電池本体に装着した際に外側となる面を指し、「裏面」は、その反対面を指す。また、熱収縮性フィルム又はラベルの「横方向」は、乾電池外装用ラベルを乾電池本体に巻き付けた際に乾電池本体の周方向となる方向であり、「縦方向」は、電池外装用ラベルの面内において前記横方向と直交する方向(乾電池本体の軸方向)である。
また、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
各図において示された部材及び層の寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0013】
[第1実施形態]
図1乃至
図4において、本発明の乾電池外装用ラベル1は、水性エマルジョン型粘着剤を含む接着層2、紫外線硬化型樹脂を含む絶縁層3、金属蒸着層4、熱収縮性フィルム5、紫外線硬化型樹脂を含む反り防止層6、デザイン印刷層7及び表面保護層8を有し、これらの層が裏面側からこの順で積層されている。本明細書において、乾電池外装用ラベルをラベルと記す場合がある。
ラベル1の平面視形状は、特に限定されないが、通常、矩形状である。
また、前記ラベル1は、通常、接着層2の裏面を離型紙上に仮貼付した状態で保管され且つ流通されるが、その離型紙は、図示しない。
【0014】
(熱収縮性フィルム及び金属蒸着層)
熱収縮性フィルム5の平面視形状は、ラベル1と同じ矩形状である。後述する重合接着部を形成するため、熱収縮性フィルム5の横方向の長さは、乾電池本体の胴部の周長よりも少し大きい。また、後述するように乾電池本体の負極面及び正極面の周縁部に折れ曲がらせるため、熱収縮性フィルム5の縦方向の長さは、乾電池本体の胴部の軸方向長さよりも少し大きい。
熱収縮性フィルム5は、少なくとも主延伸方向(主延伸方向は、ラベルを乾電池本体に巻き付けた際に乾電池本体の周方向に対応する)に熱収縮性を有するフィルムであれば、その材質は特に限定されない。熱収縮性フィルム5としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などからなる熱可塑性樹脂製フィルムなどが挙げられる。前記フィルムは、単層でもよいし、2層以上が積層接着された積層体でもよい。
また、熱収縮性フィルム5は、透明又は不透明のいずれでもよい。透明性に優れた熱収縮性フィルム5を用いる場合、そのヘイズ値(JIS K 7136準拠したヘイズ値であって、厚み40μmに換算。単位:%)は、20%未満が好ましく、より好ましくは10%未満である。裏刷りタイプのラベル(熱収縮性フィルムを通して印刷表示を見せるタイプのラベル)の場合、ヘイズ値が20%以上の熱収縮性フィルムを用いると、印刷表示が曇って見え、加飾性が低下することがある。もっとも、前記ヘイズ値が20%以上の熱収縮性フィルムは、裏刷りタイプ以外のラベルにおいて十分に使用可能である。
なお、本明細書において、透明は、無色透明又は有色透明の何れでもよい。
熱収縮性フィルム5の厚みは、特に限定されないが、例えば、20μm〜100μmであり、好ましくは、25μm〜60μmであり、より好ましくは、30μm〜50μmである。
熱収縮性フィルム5は、140℃のグリセリン浴で10秒間熱収縮させた際の熱収縮率(140℃×10秒間)が、主延伸方向で30%〜60%、主延伸方向と直交する方向で0〜10%であるものが好ましい。また、前記フィルム5は、80℃のグリセリン浴で10秒間熱収縮させた際の熱収縮率(80℃×10秒間)が、主延伸方向で−1%〜5%、主延伸方向と直交する方向で−1%〜5%であるものが好ましい。
熱収縮率(%)=[{(フィルムの主延伸方向(又は直交方向)の元の長さ)−(フィルムの主延伸方向(又は直交方向)の熱収縮後の長さ)}/(フィルムの主延伸方向(又は直交方向)の元の長さ)]×100。
【0015】
金属蒸着層4は、前記熱収縮性フィルム5の裏面側に設けられている。金属蒸着層4は、熱収縮性フィルム5の裏面全体又は裏面の一部分に積層されている。図示例では、金属蒸着層4は、熱収縮性フィルム5の裏面全体に直接積層されている。金属蒸着層4は、例えば、アルミニウム、ニッケル、スズ、銀などの金属をフィルムの裏面に蒸着させることによって形成できる。
金属蒸着層4の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.005μm〜0.2μmであり、好ましくは0.015μm〜0.15μmであり、より好ましくは0.035μm〜0.1μmである。
【0016】
(絶縁層)
絶縁層3は、前記金属蒸着層4の裏面側に設けられている。絶縁層3は、金属蒸着層4と接着剤層の間に介在するように設けられていればよく、従って、金属蒸着層4の裏面全体に少なくとも設けられている。例えば、金属蒸着層4が熱収縮性フィルム5の裏面全体に設けられている場合には、絶縁層3は、金属蒸着層4及び熱収縮性フィルム5の各裏面と同面積で設けられ、金属蒸着層4が熱収縮性フィルム5の裏面の一部分に設けられている場合には、少なくとも金属蒸着層4の裏面と同面積で設けられていればよいが、この場合でも、絶縁層3は、熱収縮性フィルム5の裏面と同面積で設けられていることが好ましい。図示例では、絶縁層3は、金属蒸着層4の裏面全体に直接積層されている。
【0017】
絶縁層3は、環境負荷低減、疎水性等の観点から、紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。絶縁層3を形成する紫外線硬化型樹脂は、金属蒸着層4及び接着層2との密着性が良好であり、水分を吸収し難いものであれば、特に限定されない。前記紫外線硬化型樹脂としては、例えば、光重合性オリゴマー(プレポリマー)や光重合性モノマーなどの樹脂成分、及び、光重合開始剤を含む樹脂組成物であり、必要に応じて、増感剤や滑剤等の添加剤、及び、顔料などの着色剤を含んでいてもよい。紫外線硬化型樹脂の樹脂成分としては、エポキシ基やビニルエーテル基を有するカチオン重合性化合物、アクリロイル基やビニル基を有するラジカル重合性化合物などが挙げられる。例えば、前記カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられ、前記ラジカル重合性化合物としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、エステルアクリレート系、アクリレート系の化合物などが挙げられる。紫外線硬化型樹脂の光重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、シラノール/アルミニウム錯体、スルホン酸エステル、イミドスルホネートなどの光カチオン重合開始剤が挙げられる。前記紫外線硬化型樹脂を含有した塗布液を、金属蒸着層4の裏面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜に紫外線を照射して硬化させることにより、絶縁層3を形成できる。紫外線照射装置としては、特に限定されず、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の高圧放電ランプ;ケミカルランプ、LEDランプ、ブラックライトランプ、捕虫用蛍光ランプ等の低圧放電ランプ;などを用いることができる。前記塗布液の具体例としては、顔料などの着色剤を含む紫外線硬化型インキ、実質的に着色剤を含まない紫外線硬化型インキ(着色剤を含まないインキは、一般にメジウムインキとも呼ばれる)などの公知の紫外線硬化型インキを用いることができる。前記塗布液の塗布方法は、特に限定されず、公知の印刷法、コート法などを用いることができるが、所望の範囲に塗布し易いことから、印刷法を用いることが好ましい。
絶縁層3の厚みは、特に限定されないが、余りに小さいと、絶縁効果を十分に奏さない虞があるため、その厚みは、0.1μm以上が好ましく、さらに、0.5μm以上がより好ましい。また、その厚みが余りに大きいと、熱収縮性フィルム5全体が熱収縮し難くなるため、絶縁層3の厚みは、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。
【0018】
(接着層)
接着層2は、絶縁層3の裏面側に設けられている。好ましくは、接着層2は、図示例の如く、絶縁層3の裏面全体に(熱収縮性フィルム5の裏面と同面積で)直接設けられている。
接着層2は、水性エマルジョン型粘着剤から形成されている。水性エマルジョン型粘着剤は、アクリル酸2−エチルヘキシルやアクリル酸n−ブチルなどの粘着性ポリマーが水に分散した粘着剤である。粘着ポリマーとしては、前記のようなアクリル系ポリマーのほか、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系、シリコーン系、ポリアミド系、フッ素系などの各種ポリマーを使用できる。水性エマルジョン型粘着剤の固形分含有量は、例えば、粘着剤全量に対して40質量%〜80質量%であり、好ましくは、40質量%〜60質量%である。
接着層2の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm〜30μmである。
【0019】
(反り防止層)
反り防止層6は、熱収縮性フィルム5の表面側に設けられている。反り防止層6は、熱収縮性フィルム5の表面側の少なくとも第1端部51に設けられ、好ましくは、少なくとも第1端部51及び第2端部52に設けられ、より好ましくは、熱収縮性フィルム5の第3端部53を除く熱収縮性フィルム5の表面全体に設けられている。後述するように、ラベル1を乾電池本体の胴部に巻き付けた際には、第3端部53の表面に第4端部54の裏面を重ね合わせて接着するが(この重ね合わせ接着部分を重合接着部という)、前記熱収縮性フィルム5の第3端部53の表面に反り防止層6を設けないことによって、前記重合接着部の厚みを比較的小さくできる。もっとも、反り防止層6は、熱収縮性フィルム5の表面全体に設けられていてもよい。図示例では、熱収縮性フィルム5の第3端部53と、熱収縮性フィルム5の各端部以外の内側領域の一部分とを除いて、熱収縮性フィルム5の表面に反り防止層6が直接設けられている。前記熱収縮性フィルム5の各端部以外の内側領域の一部分を、窓部Aという。
【0020】
ここで、前記第1端部51は、熱収縮性フィルム5の縦方向第1側であって、熱収縮性フィルム5の横方向に延びる第1縁51aを含む帯状領域である。前記第2端部52は、熱収縮性フィルム5の縦方向第2側であって、熱収縮性フィルム5の横方向に延びる第2縁52aを含む帯状領域である。前記第3端部53は、熱収縮性フィルム5の横方向第1側であって、熱収縮性フィルム5の縦方向に延びる第3縁53aを含む帯状領域である。また、後述する第4端部54は、熱収縮性フィルム5の横方向第2側であって、熱収縮性フィルム5の縦方向に延びる第4縁54aを含む帯状領域である。なお、前記第1端部51は、ラベル1を乾電池本体に装着する際の、乾電池本体の負極面に対応する端部であり、第2端部52は、乾電池本体の正極面に対応する端部である。
帯状の第1端部51、第2端部52、第3端部53及び第4端部54の幅は、それぞれ独立して、例えば、0.5mm〜10mmであり、好ましくは、0.5mm〜7mmである。
以下、熱収縮性フィルム5の第1端部51、第2端部52、第3端部53及び第4端部54を、ラベル1の第1端部51、第2端部52、第3端部53及び第4端部54という場合があるが、何れも同じ箇所を指している。
【0021】
反り防止層6は、紫外線硬化型樹脂から形成されている。反り防止層6を形成する紫外線硬化型樹脂は、光重合性オリゴマー(プレポリマー)や光重合性モノマーなどの樹脂成分、及び、光重合開始剤を含む樹脂組成物であり、必要に応じて、増感剤や滑剤等の添加剤、及び、顔料などの着色剤を含んでいてもよい。反り防止層6を形成する紫外線硬化型樹脂の具体例は、絶縁層3に例示のものを適宜用いることができる。反り防止層6の紫外線硬化型樹脂は、絶縁層3の紫外線硬化型樹脂と同様なものでもよいし、異なっていてもよい。異なる紫外線硬化型樹脂を用いる場合、反り防止層6の紫外線硬化型樹脂としては、硬化後、絶縁層3よりも大きな剛性を有する反り防止層6を形成し得る紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
反り防止層6は、紫外線硬化型樹脂を含有した塗布液を、熱収縮性フィルム5の表面の所要範囲に塗布して塗膜を形成し、この塗膜に紫外線を照射して硬化させることにより、形成することができる。所望の範囲に反り防止層6を容易に形成できることから、前記塗布液の塗布方法は、印刷法を用いることが好ましい。反り防止層6は、紫外線硬化型樹脂を含有した塗布液を印刷法によってベタ状に設けてもよいし、網状又はドット状に設けてもよい。
反り防止層6の厚みは、特に限定されないが、余りに小さいと、反り防止効果を十分に奏しない虞がある。かかる観点から、反り防止層6は、0.3μm以上が好ましく、さらに、1μm以上がより好ましい。また、反り防止層6の厚みが大きすぎると、反り防止層6が設けられた範囲に対応する熱収縮性フィルム5が部分的に熱収縮し難くなるため、反り防止層6の厚みは、8μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。
【0022】
また、絶縁層3と反り防止層6の関係において、反り防止層6の厚みは、絶縁層3の厚みよりも大きいことが好ましく、例えば、反り防止層6の厚みは、絶縁層3の厚みの1倍を超え2倍以下であり、好ましくは、絶縁層3の厚みの1倍を超え1.5倍以下である。
熱収縮性フィルム5の裏面側に設けられた絶縁層3は、ラベル1を乾電池本体に装着する際、ラベル1の端部の裏面側が収縮することを阻害する作用があり、その結果、ラベル1の端部が外側に曲がるようになる。他方、熱収縮性フィルム5の表面側に設けられた反り防止層6は、ラベル1を乾電池本体に装着する際、ラベル1の端部の表面側が収縮することを阻害する作用があり、その結果、ラベル1の端部が内側に曲がるようになる。ラベル1の端部が乾電池本体から浮き上がらせないようにラベル1を装着するためには、絶縁層3の作用と反り防止層6の作用を拮抗させるか又は反り防止層6の作用が絶縁層3よりも大きくなるようにすることが好ましい。
かかる観点から、反り防止層6が絶縁層3と同じ紫外線硬化型樹脂から形成されている場合には、反り防止層6の厚みを、上述のように、絶縁層3の厚みよりも大きくすることが好ましい。また、反り防止層6が絶縁層3よりも大きな剛性を示す紫外線硬化型樹脂から形成されている場合には、その剛性の程度差によるが、反り防止層6の厚みは、絶縁層3の厚みと同じ又はそれよりも小さくてもよい。もっとも、この場合でも、反り防止層6を絶縁層3の厚みよりも大きく形成することにより、ラベル1の端部の浮き上がりを確実に防止できる。ただし、反り防止層6の作用が大きくなり過ぎると、ラベル1の端部に皺が生じる虞があるので、反り防止層6は、絶縁層3の厚みの2倍以下が好ましい。
【0023】
(デザイン印刷層)
デザイン印刷層7は、熱収縮性フィルム5の表面側に設けられている。図示例では、デザイン印刷層7は、反り防止層6の表面と、窓部Aにおいて露出した熱収縮性フィルム5の表面と、に跨がって設けられている。従って、反り防止層6の表面全体には、デザイン印刷層7が直接積層されており、窓部Aにおいては、熱収縮性フィルム5の表面にデザイン印刷層7が直接積層されている。特に、窓部Aにおいては、後述する追加的な表示がラベル1に良好に印字されるようにデザイン印刷層7を網状又はドット状に設けておくことが好ましい。
デザイン印刷層7は、公知の印刷インキを用いて、所望の表示が単色又は多色刷りで印刷された層である。
デザイン印刷層7の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm〜5μmである。
また、デザイン印刷層7のインキ量は、デザイン印刷層7全体に亘ってほぼ均等であってもよいし、部分的にインキ量を変化させてもよい。例えば、熱収縮性フィルム5の第1端部51及び第2端部52に対応する範囲に、印刷インキを網状又はドット状に塗布し、それ以外の範囲に印刷インキをベタ状に塗布することにより、第1端部51及び第2端部52に対応する範囲のインキ量がそれ以外の範囲のインキ量よりも小さいデザイン印刷層7を形成できる。また、熱収縮性フィルム5の第1端部51及び第2端部52に対応する範囲に、印刷インキをベタ状に塗布し、それ以外の範囲に印刷インキを網状又はドット状に塗布することにより、第1端部51及び第2端部52に対応する範囲のインキ量がそれ以外の範囲のインキ量よりも大きいデザイン印刷層7を形成できる。
【0024】
(表面保護層)
表面保護層8は、デザイン印刷層7を保護するための層であって、必要に応じて設けられる。表面保護層8は、デザイン印刷層7の表面側に設けられている。表面保護層8は、デザイン印刷層7の表面全体に設けられていてもよいが、好ましくは、第1端部51を除くデザイン印刷層7の表面に設けられ、より好ましくは、第1端部51及び第2端部52を除くデザイン印刷層7の表面に設けられ、特に好ましくは、図示例のように、第1端部51、第2端部52及び第3端部53よりも少し内側の範囲を除くデザイン印刷層7の表面に直接設けられる。
表面保護層8を第1端部51に設けないことにより、絶縁層3の作用と反り防止層6の作用が拮抗し、ラベル1の端部を乾電池本体の負極面に良好に密着させることができ、さらに、表面保護層8を第1端部51及び第2端部52に設けないことにより、ラベル1の端部を乾電池本体の負極面及び正極面に良好に密着させることができる。なお、上述のように重合接着部の厚みを小さくすることが好ましいことから、反り防止層6と同様に、表面保護層8も熱収縮性フィルム5の第3端部53の表面には設けられていない。
また、前記窓部Aが形成される場合には、窓部Aにも表面保護層8を設けないことが好ましい。
【0025】
表面保護層8の形成材料は、特に限定されず、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応性硬化樹脂などを用いることができる。比較的硬く且つ剛性の大きい表面保護層8を形成できることから、表面保護層8は、紫外線硬化型樹脂から形成されていることが好ましい。
表面保護層8を形成する紫外線硬化型樹脂の具体例は、絶縁層3に例示のものを適宜用いることができる。表面保護層8の紫外線硬化型樹脂は、絶縁層3又は反り防止層6の紫外線硬化型樹脂と同様なものでもよいし、異なっていてもよい。
表面保護層8は、紫外線硬化型樹脂などを含有した塗布液を、デザイン印刷層7の表面の所要範囲に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させることにより、形成することができる。
表面保護層8の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5μm〜3μmである。
【0026】
(乾電池)
本発明のラベル1は、乾電池の構成部材として使用される。
本発明のラベル1は、単4形、単3形などの円筒状の乾電池のほか、直方体状の乾電池に適用することができるが、特に、曲率半径の小さい単4形の乾電池に適用することが効果的である。
本発明のラベル1を乾電池本体の胴部に巻き付けた後、加熱することにより、乾電池を得ることができる。
具体的には、
図5(a)に示すように、ラベル1の縦方向を乾電池本体9の軸方向と略平行にして、まず、ラベル1の第3端部53を、接着層2を介して乾電池本体9の胴部91に付着させる。次に、ラベル1を胴部91の周囲に巻き付け、ラベル1の第4端部54の接着層2を第3端部53の表面に重ね合わせて接着し、重合接着部Bを形成する(同図(b)参照)。ラベル1を巻き付けると、ラベル1の第1端部51は、筒状の状態で乾電池本体9の負極面92よりも下方に突出し、ラベル1の第2端部52は、筒状の状態で乾電池本体9の正極面93よりも上方に突出している。
この状態でラベル1を加熱収縮させることにより、ラベル1の第1端部51及び第2端部52が縮径して乾電池本体9の軸側に折れ曲がり、負極面92の周縁部及び正極面93の周縁部に密着する(同図(c)及び(d))。
このようにして、ラベル1が乾電池本体9の胴部91に巻き付けられ且つラベル1の第1端部51及び第2端部52が収縮して乾電池本体9の負極面92の周縁部に密着されている、本発明の乾電池10を得ることができる。
【0027】
本発明のラベル1は、接着層2として水性エマルジョン型粘着剤を使用しているので、溶剤揮発による作業環境の悪化を防止できる。
また、金属蒸着層4と接着層2の間に紫外線硬化型樹脂の絶縁層3が設けられているので、前記水性エマルジョン型粘着剤に含まれる水分によって金属蒸着層4の光沢が低下することを防止できる。
本発明のラベル1は、少なくとも第1端部51において、熱収縮性フィルム5を挟んで紫外線硬化型樹脂からなる絶縁層3と反り防止層6が設けられている。紫外線硬化型樹脂からなる絶縁層3は熱収縮性フィルム5の裏面側が熱収縮することを阻害し、紫外線硬化型樹脂からなる反り防止層6は熱収縮性フィルム5の表面側が熱収縮することを阻害する。これらが熱収縮性フィルム5を挟んで設けられていることにより、熱収縮性フィルム5の表裏面における熱収縮の阻害が拮抗し、第1縁51aを含むラベル1の第1端部51が外側に反ることなく乾電池本体9の負極面92に密着する。同様に、第2縁52aを含むラベル1の第2端部52が乾電池本体9の正極面93に密着するようになる。
なお、上記ラベル1は、窓部Aを有し、この窓部Aにおいては、表面保護層8及び反り防止層6が設けられておらず、熱収縮性フィルム5の表面に直接積層されたデザイン印刷層7の表面が露出している。かかるラベル1を乾電池本体9に装着した後、前記窓部Aに対応するデザイン印刷層7の表面に、追加的な表示を印刷することができる。追加的な表示は、例えば、製造年月日、製造ロット、消費期限などが挙げられる。
【0028】
本発明のラベルは、上記第1実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々に設計変更できる。以下、本発明のラベルの他の実施形態を説明するが、上記実施形態と同様の構成については、(それを説明したものとみなして)その説明を省略し、用語及び符号を援用する。
【0029】
[第2実施形態]
図6乃至
図8に示すように、第2実施形態のラベル1は、反り防止層6が熱収縮性フィルム5の表面側の第1端部51及び第2端部52のみに設けられている。
その余の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態のラベル1も、上記第1実施形態と同様に、乾電池本体9に巻き付けられ、それを加熱することによって、第1端部51が乾電池本体9の負極面92の周縁部に且つ第2端部52が乾電池本体9の正極面93の周縁部に密着する。
第2実施形態のラベル1も、加熱した際に、第1縁51aを含む第1端部51及び第2縁52aを含む第2端部52が浮き上がることなく負極面92及び正極面93に密着する。
【0030】
[第3実施形態]
図9及び
図10に示すように、第3実施形態のラベル1は、反り防止層6が熱収縮性フィルム5の表面側の第1端部51のみに設けられている。
その余の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第3実施形態のラベル1も、上記第1実施形態と同様に、乾電池本体9に巻き付けられ、それを加熱することによって、第1端部51が乾電池本体9の負極面92の周縁部に密着する。
第3実施形態のラベル1も、加熱した際に、第1縁51aを含む第1端部51が浮き上がることなく負極面92に密着する。
なお、第3実施形態のラベル1は、熱収縮性フィルム5の第2端部52の表面に反り防止層6が設けられていないので、装着後、第2端部52が正極面93から浮き上がる可能性がある。しかしながら、通常、正極面93の中央部には、正極端子93a(
図5参照)が上方に突出しているので、第2端部52が正極面93から少し浮き上がっていても、第2縁52aに爪が引っ掛かり難い。このため、少なくとも負極面92において第1縁51aを含むラベル1の第1端部51が乾電池本体9に密着した乾電池を提供することにより、実使用上の問題は生じない。