【解決手段】音波制御装置20は、音波出力部24、RF受信部22及び制御部211を備えている。音波出力部24は、動物を車両周りから忌避させる所定周波数の音波を出力する。RF受信部22は、車両に係る信号を受信する。制御部211は、RF受信部22が車両に係る信号を受信した場合、音波出力部24に動物を車両周りから忌避させる所定周波数の音波を出力させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る音波発生制御装置は、車両使用者が車両に乗車した後に音波の出力を開始するため、車両使用者は車体の死角により動物が車両周りから忌避したか否かを確認することができない。
【0005】
本願はかかる事情に鑑みてなされたものである。その目的は、乗車前に車両周りから動物が忌避したか否かを確認することができる音波制御装置及び音波制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る音波制御装置は、動物を車両周りから忌避させる所定周波数の音波を出力する音波出力部の動作を制御する音波制御装置において、前記車両に係る信号を受信する受信部と、該受信部が前記信号を受信した場合、前記音波出力部に前記音波を出力させる音波制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
本願の音波制御装置においては、受信部は、車両に係る信号を受信する。音波制御部は、受信部が車両に係る信号を受信した場合、音波出力部に一定周波数の音波を出力させる。これにより、車両使用者は、車両の内外から動物が忌避したか否かを確認することができる。
【0008】
本願に係る音波制御装置は、前記受信部は前記車両のドアの開錠に係る信号を受信するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
本願の音波制御装置においては、受信部は、車両のドアの施錠を解除するための準備に係る信号又は車両のドアの施錠を解除するための信号を受信する。これにより、例えば車両使用者が電子キーを所持した状態で車両に接近した場合又はドアのロックを解除した場合、音波制御部は、音波出力部に一定周波数の音波を出力させることができる。
【0010】
本願に係る音波制御装置は、前記車両内における車両使用者の存否を検出する検出部を備え、前記音波制御部は、前記検出部が車両使用者の存在を検出した場合、前記音波出力部に前記音波の出力を停止させるようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本願の音波制御装置においては、検出部は、車両内における車両使用者の存否を検出する。音波制御部は、検出部が車両使用者の存在を検出した場合、音波出力部に一定周波数の音波の出力を停止させる。これにより、音波制御装置は、車両使用者が車両に乗車し、動物の忌避を確認することが困難になった場合、音波の出力を停止して、無用な音波の発生を阻止することができる。
【0012】
本願に係る音波制御装置は、前記音波制御部は、前記音波出力部に音波を出力させてから所定時間が経過した場合、該音波出力部に該音波の出力を停止させるようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本願の音波制御装置においては、音波制御部は、音波出力部に音波を出力させてから一定時間が経過した場合、音波出力部に音波の出力を停止させる。これにより、音波制御装置は、動物を追い払うのに十分な一定時間が経過した場合、音波の出力を停止して、無用な音波の発生を阻止することができる。
【0014】
本願に係る音波制御システムは、動物を車両周りから忌避させる所定周波数の音波を出力する音波出力部の動作を制御する音波制御装置及び該音波制御装置と通信を行う通信装置を備え、前記音波制御装置及び通信装置の間で通信を行うことにより、該音波制御装置に前記音波出力部の動作を制御させる音波制御システムであって、前記音波制御装置は所定の信号を前記通信装置へ送信する送信部を有し、前記通信装置は、前記音波制御装置の送信部が送信した所定の信号を受信する受信部と、該受信部が所定の信号を受信した場合、応答信号を前記音波制御装置へ送信する送信部とを有し、前記音波制御装置は、前記通信装置の送信部が送信した応答信号を受信する受信部と、該受信部が応答信号を受信した場合、前記音波出力部に前記音波を出力させる音波制御部とを有することを特徴とする。
【0015】
本願の音波制御システムにおいては、音波制御装置及び通信装置を備えている。音波制御装置の送信部は、一定の信号を通信装置へ送信する。通信装置の受信部は音波制御装置の送信部が送信した一定の信号を受信する。通信装置の送信部は、受信部が一定の信号を受信した場合、応答信号を音波制御装置へ送信する。音波制御装置の受信部は、通信装置の送信部が送信した応答信号を受信する。音波制御装置の音波制御部は、受信部が応答信号を通信装置から受信した場合、音波出力部に一定周波数の音波を出力させる。これにより、車両使用者は、通信装置を所持している場合、車両に乗車する前に、動物が忌避したか否かを確認することができる。
【0016】
本願に係る音波制御システムは、前記音波制御装置は、前記受信部が前記通信装置の送信部から受信した応答信号の強度に基づいて、前記車両内における該通信装置の存否を検出する検出部を有し、前記音波制御部は、前記検出部が前記通信装置の存在を検出した場合、前記音波出力部に前記音波の出力を停止させるようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本願の音波制御システムにおいては、音波制御装置の検出部は、受信部が通信装置の送信部から受信した応答信号の強度に応じて、車両内における通信装置の存否を検出する。音波制御部は、検出部が通信装置の存在を検出した場合、音波出力部に一定周波数の音波を出力させる。これにより、通信装置を所持する車両使用者が車両に乗車した場合、出力部に一定周波数の音波の出力を停止させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本願に係る音波制御装置及び音波制御システムによれば、乗車前に車両周りから動物が忌避したか否かを確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施の形態に係る音波制御システムを、その図面を参照して説明する。本実施の形態に係る音波制御システムは、車両の床下、ボンネットの中等に潜んでいる動物を車両から追い払うための音波を制御する。ここでの動物は、猫、犬、ネズミ、蛇、カラス、昆虫等である。
【0021】
図1は、音波制御システム10のハードウェア構成例を示すブロック図である。音波制御システム10は、音波制御装置20及び電子キー(通信装置)30を含む。音波制御装置20及び電子キー30は、双方向通信を行なって、車両の内外へ音波の出力を開始し、開始した音波の出力を停止する。
【0022】
音波制御装置20は、車両に設置されている。他方、電子キー30は、可搬型のカード又はキーホルダの形状をなし、車両使用者により所持される。ここで、車両使用者は、車両が例えば乗用車である場合、運転者、助手席搭乗者及び後部座席搭乗者を含む。車両使用者は、車両が例えば運搬車両である場合、運転者及び助手席搭乗者を含む。車両使用者は、車両が例えば乗合自動車(定期バス、貸切バス)である場合、運転者、代替運転者、バスガイド乗務員、車掌及び搭乗員を含む。
【0023】
音波制御装置20は、車両制御部21、RF(Radio Frequency)受信部(受信部)22及びLF(Low Frequency)送信部(送信部)23を含む。
車両制御部21は、RF受信部22及びLF送信部23を介して電子キー30と無線通信を行うことにより、車両に設置された音波出力部24を制御する構成部である。なお、車両制御部21は、図示しない車両の構成部(例えば、ドアロック機構)も制御する。
【0024】
車両制御部21は、制御部(音波制御部、検出部)211、ROM(Read Only Memory)212及びRAM(Random Access Memory)213を含む。
制御部211は、ソフトウェアプログラムに記述された命令セットを実行するための演算処理装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro processing Unit)である。制御部211は、ROM212に記憶されたプログラムをRAM213に読み出し、RAM213に読み出したプログラムを実行する。
【0025】
ROM212は、不揮発性のEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、マスクROM、フラッシュメモリ等である。ROM212は、制御部211が実行するプログラム、音波制御装置20の識別情報、電子キー30の識別情報、車両内におけるRF受信部22及びLF送信部23の配置等を記憶している。
【0026】
RAM213は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)であり、制御部211が実行する処理の過程で必要な作業変数、情報等を一時的に記憶する。なお、RAM213の代わりにフラッシュメモリ、メモリカード等が用いられてもよい。
【0027】
RF受信部22は、UHF(Ultra High Frequency)帯(例えば315MHz)の無線通信を行う受信アンテナ、受信回路等を含む構成部である。RF受信部22は、電子キー30が送信した信号を受信し、受信した信号を情報に変換して制御部211へ出力する。
図1において、1つのRF受信部22が描かれているが、RF受信部22の数は複数であってもよい。かかる場合、RF受信部22は、車両における運転席ドア、助手席ドア、後部座席ドア、フロントダッシュボード、リアダッシュボード等に設置される。
【0028】
LF送信部23は、LF帯(例えば125kHz)の無線通信を行う送信アンテナ、送信回路等を含む構成部である。LF送信部23は、制御部211から入力した情報を信号に変換し、変換した信号を一定時間間隔で電子キー30へ送信する。LF送信部23が送信する電波の到達範囲は、例えば半径約1mの範囲である。なお、LF送信部23の電波強度を大きくすることにより、LF送信部23が送信する電波の到達範囲は、例えば半径5〜10mの範囲であってもよい。
図1において、1つのLF送信部23が描かれているが、LF送信部23の数は複数であってもよい。かかる場合、LF送信部23は、例えば運転席ドア、助手席ドア、フロントダッシュボード、リアダッシュボード等に設置される。
【0029】
音波出力部24は、音波制御装置20又は制御部211により制御される構成部であり、車両の内外に一定周波数の音波を出力する。音波出力部24は、例えば超音波及び可聴帯域の音波を発生するスピーカ等である。
音波出力部24が出力する音波の周波数は、追い払う対象の動物に応じて選択されてよい。音波出力部24が出力する音波の周波数は、例えば猫を追い払う場合には約6〜23kHz、犬を追い払う場合には約20〜25kHz、ネズミを追い払う場合には約30〜50kHz、カラスを追い払う場合には19〜40kHzである。なお、音波出力部24は、複数の異なる周波数の音波を同時に出力する構成であってもよい。
音波出力部24が出力する音波の周波数は、超音波域(20kHz以上)であることが好ましい。超音波は定常音として人の耳に聞こえないため、近隣に騒音の迷惑をかけることがない。
【0030】
音波出力部24が出力する音声は、追い払う対象の動物に応じて選択されてよい。音波出力部24が出力する音声は、例えば猫を追い払う場合、猫が苦手であると報告されている音声でもよい。当該音声は、ヒトの子どもが発する騒ぎ声、機械音等である。
図1において、1つの音波出力部24が描かれているが、音波出力部24の数は複数であってもよい。音波出力部24は、例えば車両の床下、ボンネットの中等、車両の内部に設置されてもよいし、車両の外部に設置されてもよい。
【0031】
なお、音波出力部24は、音波を連続的に出力してもよいし、間欠的に発生してもよい。音波出力部24は、間欠的に音波を出力する場合、周期的に音波を出力してもよいし、非周期的に音波を出力してもよい。音波出力部24は、間欠的に音波を出力する場合、出力する音波の周波数を時間経過につれて変更してよい。以下では、音波出力部24は、音波を連続的に出力するものとする。なお、音波出力部24は、連続的に音波を出力する場合においても、出力する音波の周波数を時間経過につれて変更してよい。
【0032】
電子キー30は、キー制御部31、RF送信部(送信部)32及びLF受信部(受信部)33を含む。
キー制御部31は、RF送信部32及びLF受信部33を介して音波制御装置20と無線通信を行うことにより、音波制御装置20を介して、音波出力部24を制御する構成部である。なお、キー制御部31は、図示しない車両の構成部(例えば、ドアロック機構)の制御に係る信号の送受信制御も行う。
【0033】
キー制御部31は、制御部311及びROM312を含む。
制御部311は、例えばMPUであり、ROM312、RF送信部32及びLF受信部33を制御する構成部である。
【0034】
ROM312は、不揮発性のEEPROM、フラッシュメモリ等であり、データを書き換えることができる構成部である。なお、ROM312は、例えばメモリカード等に代替されてもよい。ROM212は、音波制御装置20の識別情報、電子キー30の識別情報等を記憶している。
【0035】
RF送信部32は、UHF帯の無線通信を行う送信アンテナ、送信回路等を含む構成部である。RF送信部32は、制御部311から入力した情報を信号に変換し、変換した信号を音波制御装置20へ送信する。
【0036】
LF受信部33は、LF帯の無線通信を行う受信アンテナ、受信回路等を含む構成部である。LF受信部33は、音波制御装置20から信号を受信し、受信した信号を情報に変換して制御部311へ出力する。
【0037】
なお、音波制御装置20及び電子キー30は、各々が保持する音波制御装置20の識別情報と、電子キー30の識別情報とを用いて、相互に認証処理を実行する。音波制御システム10は、認証処理が正常に終了した場合、車両使用者の操作に応じて、次に示すように、ドアロック機構に車両のドアを施錠又は開錠させる。
車両に設けられたドアロック機構は、認証処理が正常に終了した場合、車両使用者が電子キー30を所持した状態で、ドアに接触するか、ドアに設けられたリクエストスイッチを押下したとき、ドアを開錠する。
【0038】
また、電子キー30は、車両のドアを施錠及び開錠するためのドアロック/アンロックボタン(図示せず)を含む。電子キー30の制御部311は、認証処理が正常に終了した場合、ドアロック/アンロックボタンが押下されたとき、RF送信部32を介して、車両のドアを施錠又は開錠するための信号を音波制御装置20へ送信する。音波制御装置20の制御部211は、RF受信部22を介して、車両のドアを施錠又は開錠するための信号を受信した場合、ドアロック機構にドアを施錠又は開錠させる。
【0039】
車両には、認証処理が正常に終了した場合、車両使用者が電子キー30を所持した状態で押下されることによりエンジンを始動する、エンジンスタートスイッチが設けられている。認証処理が正常に終了し、ドアが開錠されて、車両に乗車した車両使用者がエンジンスタートスイッチを押下した場合、エンジンが始動する。
【0040】
次に、音波制御システム10の動作の概要について説明する。なお、音波制御装置20の制御部211及び電子キー30の制御部311が、音波制御装置20の識別情報及び電子キー30の識別情報に基づいて実行する認証処理について、ここではその概要説明を省略する。
【0041】
音波制御装置20のLF送信部23は、電子キー30に対して応答を要求する要求信号を間欠的に送信している。車両使用者は、電子キー30を所持した状態で、車両に接近する。電子キー30の制御部311は、電子キー30のLF受信部33が音波制御装置20から要求信号を受信した場合、応答信号を生成し、生成した応答信号を、RF送信部32を介して音波制御装置20へ送信する。音波制御装置20の制御部211は、音波制御装置20のRF受信部22が電子キー30から応答信号を受信した場合、音波出力部24を駆動して、音波出力部24に音波を出力させる。
これにより車両使用者は、車両から動物が忌避することを車両外から確認することができる。
【0042】
車両使用者は、電子キー30を所持した状態で、車両の例えば運転者ドアに接触する。あるいは、車両使用者は、電子キー30を所持した状態で、車両の例えば運転者ドアに設けられたリクエストスイッチを押下する。車両のドアロック機構は、車両の運転者ドアを開錠する。車両使用者は、音波出力部24が音波を出力している状態で、運転者ドアを開けて車両の運転席に着座する。
【0043】
制御部211は、電子キー30の位置を算出する。制御部211は、算出した電子キー30の位置が例えば運転席である場合、車両使用者が車両に乗車したと判定する。制御部211は、車両使用者が車両に乗車したと判定した場合、音波出力部24を制御して、音波出力部24に音波の出力を停止させる。なお、制御部211は、音波出力部24に音波を出力させてから一定時間が経過した場合にも、音波出力部24に音波の出力を停止させる。これにより、車両使用者が車両に接近して音波出力部24が音波の出力を開始してから、車両使用者が乗車するまでの時間が一定時間より長い場合であっても、音波出力部24は確実に音波の出力を停止することができる。
車両使用者は、エンジンスタートスイッチを押下して、車両のエンジンを始動させる。
【0044】
図2は、制御部211が電子キー30の位置を算出するためのハードウェアを示す説明図である。例えば4つのLF送信部23が車両の異なる位置に設置されている。第一LF送信部231及び第二LF送信部232は、夫々例えば車両のフロントダッシュボード及び運転席ドアに設置されている。第三LF送信部233及び第四LF送信部234は、夫々例えば車両のリアダッシュボード及び助手席ドアに設置されている。例えば1つのRF受信部22が、車内天井の略中央に設置されている。
【0045】
制御部211は、タイミング制御を実行して、4つのLF送信部23夫々に順次バトンタッチさせるように要求信号を電子キー30へ送信させる。電子キー30のLF受信部33は、4つのLF送信部23夫々から順次要求信号を受信する。電子キー30の制御部311は、LF受信部33が順次受信した4つのLF送信部23の要求信号の強度をその都度計測する。電子キー30のRF送信部32は、4つのLF送信部23夫々が送信した要求信号の強度が含まれた応答信号を、LF受信部33による受信タイミングに合わせて、順次音波制御装置20へ送信する。
【0046】
音波制御装置20のRF受信部22は、電子キー30から順次応答信号を受信する。音波制御装置20の制御部211は、RF受信部22が受信した応答信号から、4つのLF送信部23夫々に送信させた要求信号の強度を抽出する。要求信号の強度は、電子キー30とLF送信部23との間の距離の2条に反比例して減衰する。そこで、制御部211は、車両の異なる位置に設けられた4つのLF送信部23夫々が送信した要求信号の強度から、4つのLF送信部23に対する電子キー30の位置を算出する。
【0047】
上述では、制御部211は、4つのLF送信部23を利用して電子キー30の位置を算出した。しかし、LF送信部23の数が4つに限らないことは勿論である。
また、上述では、制御部211は、要求信号の強度に基づいて電子キー30の位置を算出した。しかし、制御部211は、応答信号の強度に基づいて電子キー30の位置を算出してもよい。かかる場合、例えば4つのRF受信部22を車両の異なる位置に設置する。また、例えば1つのLF送信部23を車両に設置する。制御部211は、4つのRF受信部22夫々が受信する応答信号の強度に基づいて、電子キー30の位置を算出する。
【0048】
図3及び
図4は、音波出力開始処理及び音波出力停止処理の手順の一例を示すフローチャートである。
音波制御装置20の制御部211は、ROM212から音波制御装置20の識別情報及び電子キー30の識別情報を読み出す(ステップS1)。音波制御装置20の制御部211は、音波制御装置20の識別情報が含まれた要求信号を生成する(ステップS2)。ここで、要求信号は、電子キー30の識別情報が含まれた応答を要求する信号である。制御部211は、生成した要求信号を、タイミング制御により4つのLF送信部23から選択した1つのLF送信部23を介して電子キー30へ送信する(ステップS3)。
【0049】
電子キー30の制御部311は、LF受信部33を介して音波制御装置20から要求信号を受信する(ステップS4)。制御部311はROM312から音波制御装置20の識別情報及び電子キー30の識別情報を読み出す(ステップS5)。制御部311は、要求信号に含まれる音波制御装置20の識別情報と、ROM312から読み出した音波制御装置20の識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS6)。制御部311は、要求信号に含まれる音波制御装置20の識別情報と、ROM312から読み出した音波制御装置20の識別情報とが一致しないと判定した場合(ステップS6:NO)、処理を終了する。
【0050】
制御部311は、要求信号に含まれる音波制御装置20の識別情報と、ROM312から読み出した音波制御装置20の識別情報とが一致すると判定した場合(ステップS6:YES)、以下の処理を実行する。制御部311は、要求信号の強度を取得し、読み出した電子キー30の識別情報及び取得した要求信号の強度が含まれた応答信号を生成する(ステップS7)。制御部311は、生成した応答信号を、RF送信部32を介して音波制御装置20へ送信する(ステップS8)。
【0051】
音波制御装置20の制御部211は、RF受信部22を介して電子キー30から応答信号を受信する(ステップS9)。制御部211は、応答信号に含まれる電子キー30の識別情報と、ROM212から読み出した電子キー30の識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS10)。制御部211は、応答信号に含まれる電子キー30の識別情報と、ROM212から読み出した電子キー30の識別情報とが一致しないと判定した場合(ステップS10:NO)、処理を終了する。
【0052】
制御部211は、応答信号に含まれる電子キー30の識別情報と、ROM212から読み出した電子キー30の識別情報とが一致すると判定した場合(ステップS10:YES)、音波出力部24が音波を出力しているか否かを判定する(ステップS11)。制御部211は、音波出力部24が音波を出力していると判定した場合(ステップS11:YES)、ステップS13へ処理を進める。制御部211は、音波出力部24が音波を出力していないと判定した場合(ステップS11:NO)、音波出力部24を駆動して、音波出力部24に音波を出力させる(ステップS12)。
【0053】
その後、車両使用者は動物が車両の内外から忌避することを確認し、例えば運転席ドアへの接触等により運転席ドアを開錠する。そして、車両使用者は車両に乗車する。
なお、ドアの開錠は認証処理が正常に終了している場合に行われるので、認証処理に伴う要求信号及び応答信号の送受信は、ドアを開錠するための準備といえる。また、車両の始動は運転者が車両に乗車した場合に行われるので、認証処理に伴う要求信号及び応答信号の送受信は、車両を始動するための準備といえる。
【0054】
制御部211は、一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS13)。制御部211は、一定時間が経過したと判定した場合(ステップS13:YES)、ステップS17に処理を進める。制御部211は、一定時間が経過していないと判定した場合(ステップS13:NO)、複数のLF送信部23の配置及び受信した応答信号に含まれる各要求信号の強度に基づいて、電子キー30の位置を算出する(ステップS14)。
【0055】
制御部211は、電子キー30の位置の算出に成功したか否かを判定する(ステップS15)。制御部211は、電子キー30の位置の算出に成功していないと判定した場合(ステップS15:NO)、ステップS1へ処理を戻す。なお、制御部211は、例えば1つのLF送信部23に係る要求信号の強度のみを取得している場合、電子キー30の位置の算出に失敗する。しかし、制御部211は、ステップS1へ処理を戻すループ処理を実行することにより、例えば3つ以上のLF送信部23に係る要求信号の強度を取得する。これにより、制御部211は、電子キー30の位置の算出に成功するようになる。
【0056】
制御部211は、電子キー30の位置の算出に成功したと判定した場合(ステップS15:YES)、電子キー30が車両内に所在するか否かを判定する(ステップS16)。制御部211は、電子キー30が車両内に所在しないと判定した場合(ステップS16:NO)、ステップS1へ処理を戻す。制御部211は、電子キー30が車両内に所在すると判定した場合(ステップS16:YES)、音波出力部24に音波の出力を停止させ(ステップS17)、処理を終了する。
【0057】
本実施の形態では、音波制御装置20は、電子キー30から受信した応答信号に基づく認証処理に成功した場合、音波出力部24に音波を出力させた。しかし、音波制御装置20は、運転者ドアの施錠をアンロックするアンロック信号を電子キー30から受信した場合、音波出力部24に音波を出力させてもよい。
車両使用者は、車両に接近して、電子キー30のドアアンロックボタンを押下する。電子キー30の制御部311は、ドアアンロックボタンの押下を受け付けた場合、RF送信部32を介して、例えば運転者ドアの施錠を解除するアンロック信号を音波制御装置20に送信する。音波制御装置20の制御部211は、RF受信部22を介して、電子キー30からアンロック信号を受信する。音波制御装置20の制御部211は、電子キー30からアンロック信号を受信した場合、音波出力部24を駆動して、音波出力部24に音波を出力させる。
【0058】
本実施の形態では、音波制御装置20は、音波出力部24が音波を出力してから一定時間が経過した場合又は電子キー30が車両内に所在すると判定した場合、音波出力部24に音波の出力を停止させた。しかし、音波制御装置20は、車両使用者による座席への着座を検出した場合又はシートベルトの装着完了を検出した場合、音波出力部24に音波の出力を停止させてもよい。また、音波制御装置20は、座席ドアが開状態から閉状態へ変化した場合、エンジンスタートスイッチの押下を検出した場合又は車両内における車両使用者の存在を検出した場合、音波出力部24に音波の出力を停止させてもよい。更に、音波制御装置20は、動物が車両から忌避したことを検出した場合、音波出力部24に音波の出力を停止させてもよい。
【0059】
車両使用者による座席への着座を検出する場合、座席に車両使用者の着座を検出する圧力センサを設ける。音波制御装置20の制御部211は、圧力センサが一定値以上の圧力を検出した場合、音波出力部24に音波の出力を停止させる。
【0060】
車両使用者によるシートベルトの装着完了を検出する場合、座席のシートベルトの例えばバックルに、シートベルトの装着完了を検出するセンサを設ける。音波制御装置20の制御部211は、センサがシートベルトの装着完了を検出した場合、音波出力部24に音波の出力を停止させる。
【0061】
開状態から閉状態への座席ドアの状態変化を検出する場合、座席ドアにドアの開閉状態を検出するセンサを設ける。音波制御装置20の制御部211は、センサが開状態から閉状態へのドアの状態変化を検出した場合、音波出力部24に音波の出力を停止させる。
【0062】
エンジンスタートスイッチの押下を検出する場合、エンジンスタートスイッチが押下されたとき制御部211へ一定の信号を出力する回路を設ける。音波制御装置20の制御部211は、回路から一定の信号を入力した場合、音波出力部24に音波の出力を停止させる。
【0063】
車両内における車両使用者の存在を検出する場合、車両内に車両使用者の存否を検出する人感センサ(赤外線センサ、可視光センサ等)を設ける。音波制御装置20の制御部211は、人感センサが車両内における車両使用者の存在を検出した場合、音波出力部24に音波の出力を停止させる。
【0064】
動物が車両の内外から忌避したことを検出する場合、車両から遠ざかる物体を検出する物体センサを設ける。物体センサは、周囲に例えばマイクロ波を放射し、物体で反射したマイクロ波を検出する。あるいは、物体センサは、音波出力部24が出力し、物体で反射した音波を検出する。物体センサは、物体で反射したマイクロ波、音波等の波に起因する信号を音波制御装置20の制御部211へ出力する。制御部211は、マイクロ波、音波等が物体に放射された時刻と反射波に係る信号の受信時刻との差から物体の位置を算出する。制御部211は、物体の位置が車両から一定範囲より外側にある場合、動物が車両の内外から忌避したとみなし、音波出力部24に音波の出力を停止させる。なお、物体センサを複数台備えることで、制御部211は物体の三次元的な位置を算出してもよい。
【0065】
電子キー30に対する操作から、音波出力部24が出力する音波の周波数、音量、音色等を変更できるようにしてもよい。
音波制御システム10の使用地域、使用季節、使用時刻等に応じて、出現する動物の種類は異なると考えられる。そこで、電子キー30に対する操作で、音波出力部24が出力する音波の周波数、音量、音色等を、動物の種類に応じて変更することにより、音波制御システム10を使用環境にカスタマイズすることができる。
【0066】
本実施の形態では、音波制御システム10における音波出力部24の制御は、制御部211、311によるプログラムの実行により実現された。しかし、音波出力部24の制御は、電気回路により実現されてもよい。
【0067】
音波制御システム10によれば、乗車前に車両周りから動物が忌避したか否かを確認することができる。
車両使用者が電子キー30を所持した状態で車両に接近した場合又は電子キー30によりドアのロックを解除した場合、制御部211は、音波出力部24に一定周波数の音波を車両の内外に出力させる。これにより、車両の内外に潜む動物は音波の届かない領域へ忌避する。そのため、車両使用者は車両に潜り込んだ動物を車両から遠ざけることに成功したか否かを容易に確認することができる。
【0068】
車両使用者が動物の忌避を確認した後に乗車した場合、その後も継続して音波出力部24に音波を出力させる必要はない。また、運転席から見える範囲には死角があるため、乗車後の運転手にとって動物の忌避を確認することが困難になる乗車後に、継続して音波出力部24に音波を出力させる必要がなくなる。そこで、音波制御装置20は、電子キー30が車両内に所在すると判定した場合、車両使用者の乗車が完了したとみなして、音波出力部24に音波の出力を停止させることができる。
更に、動物を追い払うのに十分な一定時間が経過した場合も、音波出力部24に音波を出力させる必要がなくなる。かかる場合も、音波制御装置20は、音波出力部24に音波の出力を停止させることができる。
【0069】
開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0070】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。