【課題】 近位チューブ端1及び電極を含む遠位チューブ端を有する挿入チューブ、遠位灌注ライン端及び近位灌注ライン端を含み、チューブの中の孔を通して遠位灌注ライン端から液体を供給するように構成された第1の灌注ライン、並びに、近位電気ライン端、及び電極に連結された遠位電気ライン端を含む電気ラインを含む装置を提供する。
【解決手段】 装置は、固定子、近位電気ライン端に接続された回転子、及びスリップリングユニットの長手方向軸に沿って、固定子及び回転子のそれぞれの中心を貫通する中空のチャンネルを有するスリップリングユニットを含む。装置は、近位灌注ライン端と流体連通する回転継手、近位灌注ライン端のねじれを検知するように構成された角度センサ、及びねじれに応じて回転子を回転させるように連結された駆動機構を含む。
前記角度センサは、前記可撓性挿入チューブ内に装着されたポジションセンサを含み、前記ポジションセンサは、前記可撓性挿入チューブの配向の変化を測定することにより、前記ねじれを検知するように構成される、請求項1に記載の装置。
外リングによって取り囲まれた内リングを有する軸受を備え、前記内リングは前記近位灌注ライン端を包囲し、前記角度センサは前記外リングに装着された角度エンコーダを備え、前記角度エンコーダは前記内リングと前記外リングとの間の回転角を測定することにより、前記ねじれを検知するように構成される、請求項1に記載の装置。
前記コンソールはアブレーションモジュールと灌注モジュールとを備え、前記第2の電気ラインは前記アブレーションモジュールを前記固定子に接続し、前記回転継手は前記第2の灌注ラインを通じて前記灌注モジュールと流体連通している、請求項1に記載の装置。
前記近位チューブ端に連結されたハンドルを有し、前記検知されたねじれは前記ハンドルの回転角に一致し、かつ前記駆動機構はこれに応じて前記回転子を前記回転角だけ回転させるように構成される、請求項1に記載の装置。
前記角度センサは、前記ハンドルの中に装着されたポジションセンサを含み、前記ポジションセンサは、前記ハンドルの配向の変化を測定することによって前記ねじれを検知するように構成される、請求項11に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概論
心臓アブレーション等の種々の治療手技は、患者の体内に挿入されるカテーテル等の侵襲的医療用プローブを使用する。心臓でのアブレーション手技中に、アブレーションされる心臓表面、並びに表面の下層の心組織の局所的過熱が起こる場合がある。この表面過熱は、炭化として顕在化する場合があり、下層組織の過熱は、組織への他の損傷を引き起こし、組織の貫通さえももたらす場合もある。表面及び下層組織の温度を制御するために、アブレーションされる部位は、炭化を防止するために典型的には生理食塩水である灌注流体で灌注され得る。
【0015】
炭化の危険性に加えて、アブレーションされる部位内の血液の過熱が、潜在的に危険な血塊の形成を引き起こすことがあり、これは成長して心臓発作又は脳卒中を発症する可能性がある。場合によっては、その灌注は、血液を冷却及び希釈することにより、血液凝固の形成を低減させる可能性がある。
【0016】
侵襲プローブを用いるアブレーション手技中に、操作者(例えば、医師)は、プローブの遠位先端部を体腔内の所望の位置に位置決めするために、プローブのハンドルを回転させる場合がある。ハンドルは、遠位端を具備する挿入チューブに接続された第1の端部、灌注ラインに連結された第2の端部、及び電気ラインを典型的には有する。操作者がハンドルを回転させるにつれて、電気ライン及び灌注ラインのもつれを生じ得るねじれがある可能性がある。
【0017】
本発明の実施形態は、心臓カテーテルなどの侵襲プローブのハンドルから延びるラインのねじれを低減させる装置を提供する。ラインは、ハンドル及び挿入チューブ内に収容されている灌注ライン及び電気ラインを含んでもよく、灌注ラインは、近位端及び遠位端を有し、電気ラインは、近位端及び遠位端を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、装置は、スリップリングユニット、回転継手及びコンソールによって制御される駆動機構を含む。以下に説明されるように、近位電気ライン端は、スリップリングユニットの回転子に接続され、近位灌注ライン端は、スリップリングユニットの長手方向軸に沿って回転子の中心を貫通して延在するチャンネルに通され、回転継手と流体連通する。回転子も駆動機構に連結され、それによってコンソールから受信したコマンドを受けて、駆動機構が回転子を回転させることを可能にする。
【0019】
動作中に、操作者が、体腔内のプローブの遠位先端部を位置決めするために、ハンドルを回転させるにつれて、角度センサがハンドルから延びる電気ライン及び灌注ラインのねじれを検知し、ねじれが低減するように、駆動機構は、検知されたねじれに応じて回転子を回転させる。
【0020】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、ねじれ管理装置70を有する、医療システム20の概略絵画図である。システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,California)製のCARTO(登録商標)システムに基づいてもよい。システム20は、カテーテル等のプローブ22及び制御コンソール24を備える。以下に説明される実施形態では、プローブ22は、心臓組織のアブレーションを行なう等の診断処置又は治療処置に使用されることが想定される。あるいは、プローブ22は、必要な変更を加えて、心臓又は他の体内の臓器において他の治療及び/又は診断目的で使用することもできる。
【0021】
プローブ22は、可撓性挿入チューブ28、及び近位挿入チューブ端68に連結されたハンドル30を含む。ハンドル30を操作することで、操作者32は、患者34の体腔内にプローブ22を挿入することができる。例えば、操作者32は、プローブ22の遠位端36が心臓26の室に入り、所望の位置(単数又は複数)で心内膜組織を係合するように、プローブ22を患者34の血管系を通して挿入することができる。遠位端36は、本明細書では遠位チューブ端と呼ばれる場合もある。
【0022】
システム20は通常、磁気位置検知を用いて、心臓26の内側における遠位端部36の位置座標を決定する。コンソール24は、磁場発生器40を駆動させて患者34の体内で磁場を発生させる、ドライバ回路38を備える。通常、磁場発生器40はコイルを含み、患者34の体外の既知の位置で患者の胴体の下方に置かれる。これらのコイルは、心臓26を含む既定の作業体積で磁場を発生させる。プローブ22の遠位端36内の磁場センサ42(本明細書では、ポジションセンサ42とも呼ばれる)は、コイルからの磁場に応じて電気信号を発生させ、それによって、コンソール24は心臓の室内の遠位端36の位置を決定することができる。
【0023】
本発明の例では、システム20は磁気ベースのセンサを使用して遠位端36の位置を測定するが、他の位置追跡技術を使用してもよい(例えば、インピーダンスベースのセンサ)。磁気的位置追跡技術については、例えば上記に参照した米国特許第5,391,199号及び同第6,690,963号、並びに、参照によりその開示内容が本出願に組み込まれる米国特許第5,443,489号、同第6,788,967号、同第5,558,091号、同第6,172,499号及び同第6,177,792号に述べられている。インピーダンスに基づいた位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,983,126号、同第6,456,864号及び同第5,944,022号に説明されており、それらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
プロセッサ44は、ロケーション座標及び配向座標の両方を一般的に含む、遠位端36の位置座標を決定するために、これらの信号を処理する。上記に説明された位置を検知する方法は、上述のCARTO(商標)システムで実行され、上記に引用した特許及び特許出願に詳細に説明される。
【0025】
典型的には、プロセッサ44は、プローブ22からの信号を受け取り、コンソール24の他の構成要素を制御するのに適したフロントエンド回路及びインターフェース回路を備えた、汎用コンピューターを含む。プロセッサ44は、本明細書に記述される機能を実行するように、ソフトウェアでプログラムし得る。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でコンソール24にダウンロードされてもよく、又は光学的、磁気的若しくは電子的記憶媒体といった非一時的な有体の媒体上に提供されてもよい。あるいは、プロセッサ44の機能のいくらか又はすべては、専用の又はプログラム可能な、ディジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0026】
プローブ22及びシステム20の他の構成要素から受け取った信号に基づいて、プロセッサ44は、ディスプレイ46を駆動させ、患者の体内における遠位端36の位置を示す画像48、並びに進行中の手技に関する状況情報及びガイダンスを操作者に32を提示する。プロセッサ44は、画像48を表わすデータをメモリ50に格納する。いくつかの実施形態では、操作者32は、1つ又は複数の入力装置52を用いて、画像48を操作することができる。
【0027】
本実施形態では、電極54は、遠位端36に取り付けられる。電極54は通常、挿入チューブ28の絶縁シース56を覆って形成される薄い金属層を含む。
図1に示される構成では、電極54は1つ又は複数の灌注孔58を有し、灌注ライン66は、遠位端36の1つ又は複数の孔を通って、遠位灌注ライン端から灌注流体を供給するように構成される。
【0028】
コンソール24は更に、無線周波数(RF)アブレーションモジュール60、及び灌注モジュール62を含む。プロセッサ44は、アブレーションモジュールを用いて、電極54によって印加されるアブレーションの電力のレベルなどのアブレーションパラメーターを、監視及び制御する。アブレーションモジュールは更に、提供されるアブレーションの持続時間を監視及び制御してもよい。
【0029】
コンソール24は、挿入チューブ28及びハンドル30内に収容されている電気ライン64(本明細書では、第1の電気ラインとも呼ばれる)によって、ポジションセンサ42及び電極54に電力を伝達する。電気ライン64は通常、金属導体を含み、近位電気ライン端、及び電極54に連結されている遠位電気ライン端を有する。(例示目的のために)
図1は、電極及びセンサが連結された単一の電気ライン64が示されるが、多数の接続ケーブルが挿入チューブ及びハンドルの内部に収容されることができる。
【0030】
一般的にはアブレーションの間、アブレーションをもたらす1つの電極(又は複数の電極)、並びに周辺領域に熱が生じる。熱を消散させるため、及びアブレーション工程の効率を向上させるために、システム20は、遠位灌注ライン端及び近位灌注ライン端を有する灌注ライン66(本明細書では、第1の灌注ラインとも呼ばれる)によって、遠位端36に灌注流体を供給する。システム20は、灌注モジュール62を用いて、灌注流体の圧力及び温度等の灌注パラメーターを監視及び制御する。灌注流体は通常、生理食塩液であり、灌注モジュール62によって制御される液の流量は一般的に、およそ10〜20cc/分の範囲であるが、この範囲より大きくても又は小さくてもよい。
【0031】
ハンドル30は、挿入チューブ28の近位端68に連結されている。近位端68は、本明細書では、近位チューブ端とも呼ばれる。本発明の実施形態では、挿入チューブ28及びハンドル30は、電気ライン64、及び灌注ライン66を収容し、ライン64及び66の近位端は、ハンドル30から延びて、以下に説明するように、ねじれ管理装置70に接続されている。電気ライン72(本明細書では、第2の電気ラインとも呼ばれる)は、ねじれ管理装置70によって、電気ライン64をアブレーションモジュール60に連結し、灌注ライン74(本明細書では、第2の灌注ラインとも呼ばれる)は、ねじれ管理装置によって、灌注ライン66を灌注モジュール62に連結する。
【0032】
いくつかの実施形態では、ハンドル30は、磁気アナログ信号(MAG)データ、心電図検査(ECG)データ、及び他のデータのための圧縮及び/又はサンプリングを実行してもよい。更なる実施形態では、プローブ22は、無線デジタル通信によって、又は光通信によって、コンソール24と通信してもよい。
【0033】
図2は、本発明の実施形態による、ねじれ管理装置70の外部の概略絵画図である。外部は、ケーシング80、装置70を電気ライン64に接続する電気的なコネクタ84を有する取り外し可能なカバー82(カバー及びコネクタは
図6中にも図示される)、取り付けクランプ86、及びケーシング80に固着され、近位灌注ライン端66と流体連通し、灌注ライン74によってコンソール24の中で灌注モジュール62と流体連通している、回転継手88を含む。
【0034】
操作者32は、取り付けクランプ86を用いて、装置70を、操作者及び患者に近接する備品、例えば、コンソール24(
図1に示されるように)、又は患者のベッドに、固着させることができる。いくつかの実施形態では、回転継手88は、ボールとボール92を保持するソケット90を有するソケット継手とを含む。
図2に示される構成では、近位灌注ライン端66は、ボール92に接続され、遠位灌注ライン端74は、ソケット90に接続されている。
【0035】
本発明の実施形態によれば、
図3は、スリップリングユニット100を含む装置70の内部要素を示す概略絵画図、
図4は、スリップリングユニットの詳細を示す概略的な長手方向横断面図、及び
図5は、スリップリングユニットの概略的な縦断面図である。内部要素は、スリップリングユニット100、駆動機構(例えば、モータ)102、及びベルト104を含む。
【0036】
スリップリングユニットは、固定された構造から回転する構造に電力及び電気信号を伝達すること、又はその逆に伝達することを可能にする、電気機械装置である。
図4に示される構成では、スリップリングユニット100は、回転子112を包囲する固定子110を含み、ベルト104は、駆動機構102及び回転子に接続され、それによって、
図5で矢印120で示されるように、駆動機構が回転子を回転させることを可能にする。
【0037】
典型的には、導電性ブラシ(図示せず)が、回転子112に固定して取り付けられ、ブラシが、固定子110の内面に装着された導電性リング(図示せず)と接触する。動作中に、回転子112が回転しているとき、ブラシは、リングとの接触を維持し、それによって、回転子と固定子との間の電気的接続を維持する。リングとブラシとの対はそれぞれ、典型的には、スリップリングと呼ばれ、スリップリングユニット100は、複数のスリップリング(つまり、リングとブラシとの対)を含んでもよく、それによって、スリップリングユニットが、固定子と回転子との間で複数の信号を伝達することを可能にする。
【0038】
回転子112は、近位電気ライン端64に接続され、駆動機構102は、プロセッサ44によって制御される。言いかえれば、回転子112の回転は、プロセッサ44によって制御される。回転子112を回転させることに加えて、装置70は、回転子の回転と同一の角位相で、駆動機構102が回転子及びカバー82を回転させることを可能にするように構成される。
【0039】
図3に示されるように、遠位電気ライン端72は、固定子110に接続され、第2の電気ラインの近位端は、アブレーションモジュール60に接続されている。いくつかの実施形態では、電気ライン72は、コンソール24の1つ又は複数の(つまり、アブレーションモジュール60に加えて)他のモジュールに連結されてもよい。
【0040】
スリップリングユニット100は、固定子110及び回転子112のそれぞれの中心をスリップリングユニットの長手方向軸116に沿って貫通する、中空のチャンネル114を含む。中空のチャンネル114は、近位灌注ライン端66が中空のチャンネルに通され、回転継手88のボール92に固着されることができるように構成される。
【0041】
本発明の実施形態では、プロセッサ44は、電気ライン64及び灌注ライン66の近位端のねじれを検知するように構成される、角度センサから信号を受け取る。典型的には、ねじれは、操作者32が、ハンドルの長手方向軸に沿ってハンドル30を回転させ、それによって、挿入チューブ28を患者34内で回転させることが原因である。
【0042】
図6は、本発明の実施形態による、角度センサの実施例の概略絵画図である。
図6に示される例では、角度センサは、軸受132に装着された角度エンコーダ130を含む。角度エンコーダ130は、典型的には、長手方向軸116の周りで角度のオフセットを検知するように構成された、デコードする電子機器を有するプリント基板を含む。
【0043】
図6に示される構成では、軸受132は、ケーシング80に固定して取り付けられた外リング136に取り囲まれた内リング134を含む。内リング134は、近位灌注ライン端66を包囲して保持し、それによって、内リングに対する第1の灌注ラインの近位端の任意の軸方向の動きを防ぐ。いくつかの実施形態では、マークの付いた円板が内リングに装着され、デコードする電子機器が外リングに装着される。マークの付いた円板は通常、円板に埋め込まれた物理的なマーク付け又はスロットを有する円板を含む。
【0044】
したがって、ハンドル30を回転している操作者32は、内リング134の一致する回転を生じさせ(内リングは、近位灌注ライン端66の部分を保持している)、角度エンコーダ130は、内リングと外リングとの間の回転角を測定することができ、回転角を示す角度エンコーダ信号をプロセッサ44に伝達し、それによって近位灌注ライン端及び近位電気ライン端のねじれを示す。
【0045】
図6の例は、角度センサとして構成された角度エンコーダ130を示すが、他のタイプの角度センサは本発明の趣旨及び範囲内であると考えられる。例えば、角度センサは、典型的には、操作者32がハンドル30を回転している結果としての電気ライン64及び/又は灌注ライン66の任意の歪みを、測定するように構成された歪みゲージ(図示せず)を含んでもよい。
【0046】
上述したように、ポジションセンサ42は、遠位端36の位置座標及び配向座標を示す信号をプロセッサ44に伝達することができる。操作者32がハンドル30を回転しているとき、遠位端36、近位灌注ライン端、及び近位電気ライン端の一致する回転がある。したがって、遠位端36の配向の変化(つまり、回転)を測定し、配向の変化を示す位置信号をプロセッサ44に伝達することによって、ポジションセンサ42は、システム20の角度センサとして動作するように構成されることができる。
【0047】
更に、
図1に示される構成は、ポジションセンサ42が遠位挿入チューブ端28に装着されているのを示しているが、角度センサとして機能するように構成されたポジションセンサは、プローブ22の他の部分に位置決めされてもよい。例えば、ポジションセンサ42は、挿入チューブ28の任意の部分に装着され、挿入チューブの配向の変化を測定することによって、ねじれを検知するように構成されてもよい。あるいは、ポジションセンサは、ハンドル30に装着され、ハンドルの配向の変化を測定することによって、ねじれを検知するように構成されてもよい。
【0048】
図7は、本発明の実施形態による、電気ライン64及び灌注ライン66のねじれを低減させる方法を概略的に示すフローチャートである。接続ステップ140で、操作者32は、近位電気ライン端64をコネクタ84に接続し、挿通ステップ142で、近位灌注ライン端66をスリップリングユニット100の中空のチャンネル114に挿通させ、固着ステップ144で、第1の灌注ラインの近位端を回転継手88のボール92に固着させる。
【0049】
挿入ステップ146で、操作者32は、プローブ22の挿入チューブ28を患者34に挿入し、第1の回転ステップ148で、ハンドル30を回転することによって挿入チューブ28を回転させる。操作者32がハンドル30を回転しているとき、ハンドル30から装置70に延びる近位電気ライン端64及び近位灌注ライン端66が、ハンドルの回転が原因で「ねじれ」始める。
【0050】
受け取りステップ150で、プロセッサ44は、近位灌注ライン端のねじれを示す信号を角度エンコーダ130から受け取る。いくつかの実施形態では、信号で示されたねじれは、ハンドル30の回転角に一致する。
【0051】
最後に、第2の回転ステップ152で、プロセッサ44は、ハンドル30の回転角を示す信号を駆動機構102に伝達し、駆動機構102は、回転角だけ回転子112を回転させ、方法は終了する。回転角だけ回転子112を回転させることによって、本発明の実施形態は、近位灌注ライン端66及び近位電気ライン端64の近位端のねじれを低減させ、それによって、近位灌注ライン端及び近位電気ライン端の起こりうるもつれを防ぐ。
【0052】
上述した実施形態は一例として記載されたものであり、本発明は、本明細書において上に具体的に図示及び説明した内容に限定されないことが明らかとなろう。むしろ、本発明の範囲には、上で説明した様々な特徴の組合わせと部分的組合わせの両方、並びにそれらの変形形態及び修正形態が含まれ、これらは、上述の説明を読めば当業者には想到するものであり、従来技術では開示されていないものである。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
近位チューブ端と体腔に挿入するための遠位チューブ端とを含む可撓性挿入チューブと、
前記遠位チューブ端に装着された電極と、
第1の灌注ラインであって、遠位灌注ライン端と近位灌注ライン端とを含み、前記挿入チューブ内に収容され、前記遠位チューブ端の中の1つ又は複数の孔を通して前記遠位灌注ライン端から灌注流体を供給するように構成された、第1の灌注ラインと、
第1の電気ラインであって、前記挿入チューブ内に収容され、近位電気ライン端と、前記電極に連結される遠位電気ライン端と、を含む、第1の電気ラインと、
スリップリングユニットであって、
コンソールに接続するために第2の電気ラインに接続された固定子と、
前記近位電気ライン端に接続された回転子と、
前記スリップリングユニットの長手方向軸に沿って、前記固定子及び前記回転子のそれぞれの中心を貫通して延在する中空のチャンネルと、を含む、スリップリングユニットと、
前記近位灌注ライン端と流体連通し、第2の灌注ラインを通じて前記コンソールと流体連通する、回転継手と、
前記近位灌注ライン端及び前記近位電気ライン端のねじれを検知するように構成された角度センサと、
前記近位灌注ライン端及び前記近位電気ライン端の前記ねじれが低減するように、前記検知されたねじれに応じて前記回転子を回転させるように連結された駆動機構と、を含む、装置。
(2) 前記体腔は心臓を含み、前記プローブは心臓カテーテルを含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記灌注流体は食塩水を含む、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記駆動機構を前記回転子に連結するベルトを含む、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記角度は歪みゲージを含む、実施態様1に記載の装置。
【0054】
(6) 前記角度センサは、前記可撓性挿入チューブ内に装着されたポジションセンサを含み、前記ポジションセンサは、前記可撓性挿入チューブの配向の変化を測定することにより、前記ねじれを検知するように構成される、実施態様1に記載の装置。
(7) 外リングによって取り囲まれた内リングを有する軸受を備え、前記内リングは前記近位灌注ライン端を包囲し、前記角度センサは前記外リングに装着された角度エンコーダを備え、前記角度エンコーダは前記内リングと前記外リングとの間の回転角を測定することにより、前記ねじれを検知するように構成される、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記角度エンコーダは、デコードする電子機器を含み、かつ
前記内リングに装着されたマークの付いた円板を備える、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記コンソールはアブレーションモジュールと灌注モジュールとを備え、前記第2の電気ラインは前記アブレーションモジュールを前記固定子に接続し、前記回転継手は前記第2の灌注ラインを通じて前記灌注モジュールと流体連通している、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記近位灌注ライン端は、前記中空のチャンネルに通され、かつ前記回転継手に接続されている、実施態様1に記載の装置。
【0055】
(11) 前記近位チューブ端に連結されたハンドルを有し、前記検知されたねじれは前記ハンドルの回転角に一致し、かつ前記駆動機構はこれに応じて前記回転子を前記回転角だけ回転させるように構成される、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記角度センサは、前記ハンドルの中に装着されたポジションセンサを含み、前記ポジションセンサは、前記ハンドルの配向の変化を測定することによって前記ねじれを検知するように構成される、実施態様11に記載の装置。
(13) 方法であって、
近位端を含む可撓性挿入チューブの遠位端を体腔の中に挿入することであって、前記挿入チューブが、
前記遠位端に装着された電極と、
第1の灌注ラインであって、遠位灌注ライン端及び近位灌注ライン端を含み、前記挿入チューブ内に収容され、前記遠位端の中の1つ又は複数の孔を通して前記遠位灌注ライン端から灌注流体を供給するように構成され、かつ固定子及び回転子を含むスリップリングユニットの長手方向軸を貫通して延在する中空のチャンネルを通して挿入されている、第1の灌注ラインと、
第1の電気ラインであって、前記回転子に接続されている近位電気ライン端と、前記電極に連結されている遠位電気ライン端と、を含む、第1の電気ラインと、を含むものである、前記挿入チューブを挿入することと、
前記近位灌注ライン端及び前記近位電気ライン端のねじれを示す信号を、角度センサから、受け取ることと、
前記近位灌注ライン端及び前記近位電気ライン端の前記ねじれが低減するように、前記検知されたねじれに応じて前記回転子を、駆動機構によって、回転させることと、を含む方法。
(14) 前記体腔は心臓を含み、前記プローブは心臓カテーテルを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記灌注流体は食塩水を含む、実施態様13に記載の方法。
【0056】
(16) 前記駆動機構はベルトによって前記回転子を回転させる、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記角度センサは歪みゲージを含む、実施態様13に記載の方法。
(18) 前記角度センサは、前記可撓性挿入チューブ内に装着されたポジションセンサを含み、前記信号を受け取ることは、前記ポジションセンサから、前記可撓性挿入チューブの配向の変化を示すポジションセンサ信号を受け取ることを含む、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記角度センサは、軸受の外リングに装着された角度エンコーダを含み、前記外リングは前記軸受の内リングを取り囲み、前記内リングは前記近位灌注ライン端を包囲し、前記信号を受け取ることは、前記角度エンコーダから、前記内リングと前記外リングとの間の回転角を示す角度エンコーダ信号を、受け取ることを含む、実施態様13に記載の方法。
(20) 前記角度エンコーダはデコードする電子機器を含み、前記軸受は前記内リングに装着されたマークの付いた円板を含む、実施態様19に記載の方法。
【0057】
(21) 前記近位灌注ライン端は、前記中空のチャンネルに通され、かつ前記回転継手に接続されている、実施態様13に記載の方法。
(22) 前記可撓性挿入チューブの前記近位端に連結されたハンドルを有し、前記検知されたねじれは前記ハンドルの回転角に一致し、かつ前記駆動機構はこれに応じて前記回転子を前記回転角だけ回転させるように構成される、実施態様13に記載の方法。
(23) 前記角度センサは前記ハンドル内に装着されたポジションセンサを含み、前記信号を受け取ることは、前記ポジションセンサから、前記ハンドルの配向の変化を示すポジションセンサ信号を受け取ることを含む、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記固定子はコンソールに接続するために第2の電気ラインに接続され、前記中空のチャンネルは前記スリップリングユニットの長手方向軸に沿って、前記固定子及び前記回転子のそれぞれの中心を貫通して延在し、かつ前記近位灌注ライン端から第2の灌注ラインを通じて前記コンソールと流体連通する回転継手まで前記灌注流体を運ぶこと、を含む、実施態様13に記載の方法。
(25) 前記コンソールはアブレーションモジュールと灌注モジュールとを備え、前記第2の電気ラインは前記アブレーションモジュールを前記固定子に接続し、前記回転継手は前記第2の灌注ラインを通じて前記灌注モジュールと流体連通している、実施態様24に記載の方法。
【0058】
(26) 患者の体腔に挿入するように構成されているプローブと共に動作されるコンピューターソフトウェア製品であって、前記プローブは、
前記遠位チューブ端に装着された電極と、
第1の灌注ラインであって、遠位灌注ライン端及び近位灌注ライン端を含み、前記挿入チューブ内に収容され、前記遠位チューブ端の中の1つ又は複数の孔を通して前記遠位灌注ライン端から灌注流体を供給するように構成され、固定子と回転子とを含むスリップリングユニットのそれぞれの長手方向軸を貫通して延在する中空のチャンネルを通して挿入される、第1の灌注ラインと、
前記挿入チューブ内に収容された第1の電気ラインであって、前記回転子に接続されている近位電気ライン端と、前記電極に連結されている遠位電気ライン端と、を含む、第1の電気ラインと、を備え、
前記製品は、プログラム命令が格納されている、非一時的コンピューター可読媒体を含み、前記命令は、コンピューターによって読み取られたとき、前記コンピューターに、
角度センサから、前記近位灌注ライン端及び前記近位電気ライン端のねじれを示す信号を、受け取らせ、
前記灌注ライン及び前記電気ラインの前記ねじれが低減するように、前記検知されたねじれに応じて前記回転子を、駆動機構によって、回転させる、コンピューターソフトウェア製品。