(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-120377(P2015-120377A)
(43)【公開日】2015年7月2日
(54)【発明の名称】鉄道車両の制振制御装置
(51)【国際特許分類】
B61F 5/24 20060101AFI20150605BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20150605BHJP
F16F 15/027 20060101ALI20150605BHJP
【FI】
B61F5/24 F
F16F15/02 B
F16F15/027
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-264188(P2013-264188)
(22)【出願日】2013年12月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 信之
(72)【発明者】
【氏名】谷川 安彦
(72)【発明者】
【氏名】笹内 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】近藤 淳平
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AA01
3J048AB11
3J048AD02
3J048BE02
3J048CB19
3J048DA01
3J048EA36
(57)【要約】
【課題】動力源を必要としない小型のフルアクティブダンパ機能を有する鉄道車両の制振制御装置の提供。
【解決手段】台車153と車両151との間に備えられるダンパ10と、第2チェック弁40Bを介してダンパ10のヘッド側室10aに接続されたリザーバタンク20と、を備えた油圧回路100において、ヘッド側室10aからリザーバタンク20と接続する第1アンロード流路R1、ヘッド側室10aからアキュムレータ60と接続する第1アンロード流路R2、ロッド側室10bからアキュムレータ60と接続する第2オンロード流路R3、アキュムレータ60からロッド側室10bに接続され第1アンロード流路R4、を備え、オンロード時に、アキュムレータ60に蓄圧され、アンロード時に、アキュムレータ60よりダンパ10のヘッド側室10a、又はロッド側室10bに圧力を供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車と車体との間に備えられる制振制御用シリンダと、前記制振制御用シリンダのヘッド側室に接続されたリザーバタンクと、を備えた鉄道車両用の制振制御装置において、
前記ヘッド側室から第1オンオフ弁を介して前記リザーバタンクと接続する第1流路と、
前記ヘッド側室から第2オンオフ弁とチェック弁を介してアキュムレータと接続する第2流路と、
ロッド側室からパッシブ回路を介して前記アキュムレータと接続する第3流路と、
前記アキュムレータから前記チェック弁を介して前記ロッド側室に接続される第4流路と、が備えられ、
前記第1オンオフ弁と前記第2オンオフ弁とを制御して、前記制振制御用シリンダの伸縮に伴って流れる作動油の抵抗を大きくするオンロード制御と、前記作動油の抵抗を小さくするアンロード制御とを切り替え、
オンロード時に、作動流体が前記第3流路を通り前記アキュムレータに供給されることで、前記アキュムレータに蓄圧され、
アンロード時に、前記第2流路を通り、前記アキュムレータより前記制振制御用シリンダの前記ヘッド側室に前記作動油を供給し、又は前記第4流路を通り、前記ロッド側室に前記作動油を供給すること、
を特徴とする鉄道車両用の制振制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に備えられる制振制御装置に関し、詳しくはセミアクティブダンパを用いてフルアクティブダンパとして機能させ、鉄道車両の制振機能を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両に備えられるサスペンションには、制振制御装置としてフルアクティブダンパやセミアクティブダンパが採用されている。フルアクティブダンパは、加速度センサなどを用いて車両の揺れを検知すると、制御器が必要な圧力の大きさや向きを算出し、車体と台車の間に備えられるアクチュエータに指令を送り、車体の左右動を抑える。この際に空気バネも高さ調節を行って上下動を抑える。
【0003】
このようなフルアクティブダンパは、優れた制振性能を発揮し、車両の乗り心地の改善に貢献する。が、一方で、専用の動力源を必要とする他、装置の大型化や電力消費を必要とし、設置スペースやコスト面での課題がある。このため、アクチュエータの代わりに可変減衰ダンパ等を用いたセミアクティブダンパも普及している。セミアクティブダンパは、別途動力源を必要としない。このため、厳密な圧力調整をすることができない一方で、設置スペースやコスト面でのメリットが得られる。
【0004】
特許文献1には、振動制御装置に関する技術が開示されている。振動制御装置は、制振制御用シリンダのヘッド側室にチェック弁を介してリザーバタンクを接続している。また、制振制御用シリンダのロッド側室に接続されるロッド側流路とヘッド側室に接続されたヘッド側流路と、リザーバタンクに接続されたリザーバ側流路とを備えている。また、ヘッド側流路とロッド側流路及びヘッド側流路とリザーバ側流路との連通・遮断を制御する切替弁を備えている。また、ロッド側流路とリザーバタンクとを接続する流路にはリリーフ弁が設けられ、ロッド側流路にはアキュムレータが接続されている。そして、アキュムレータに蓄圧することで、蓄圧形のフルアクティブダンパとして機能させることが可能となる。
【0005】
特許文献2には、鉄道車両用の制振用ダンパに関する技術が開示されている。制振制御用シリンダのヘッド側室にチェック弁を介してリザーバタンクを接続している。また、制振制御用シリンダのロッド側室に接続されるロッド側流路とヘッド側室に接続されたヘッド側流路と、リザーバタンクに接続されたリザーバ側流路とを備えている。また、ロッド側流路には第1比例弁と第2比例弁とが接続されている。第1比例弁はヘッド側流路に接続され、第2比例弁はリザーバ側流路に接続され、ヘッド側流路にフェールセーフ弁とオリフィス及びリリーフ弁が接続されている。この為、オンロード制御とアンロード制御の切り替えが、第1比例弁と第2比例弁の何れかを作動油が通る事で行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−296936号公報
【特許文献2】特開2011−088623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、アキュムレータを用いているものの、油圧回路に三方比例弁を用いているため比較的高コストになると考えられる。一方、特許文献2も、比例リリーフ弁を用いているため比較的高コストになると考えられる。そして、何れもそれなりに設置スペースを必要とする流量制御弁である。また、特許文献2では、比例リリーフ弁を用いての作動油の流量制御を行って制振制御をしている為、積極的にダンパに圧力を供給することはなく、結果的に高い制振機能を得ることが出来ないと考えられる。
【0008】
そこで、本発明はこのような課題を解決するために、動力源を必要としない小型のフルアクティブダンパ機能を有する鉄道車両の制振制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による鉄道車両の制振制御装置は、以下のような特徴を有する。
【0010】
(1)台車と車体との間に備えられる制振制御用シリンダと、前記制振制御用シリンダのヘッド側室に接続されたリザーバタンクと、を備えた鉄道車両用の制振制御装置において、前記ヘッド側室から第1オンオフ弁を介して前記リザーバタンクと接続する第1流路と、前記ヘッド側室から第2オンオフ弁とチェック弁を介してアキュムレータと接続する第2流路と、ロッド側室からパッシブ回路を介して前記アキュムレータと接続する第3流路と、前記アキュムレータから前記チェック弁を介して前記ロッド側室に接続される第4流路と、が備えられ、前記第1オンオフ弁と前記第2オンオフ弁とを制御して、前記制振制御用シリンダの伸縮に伴って流れる作動油の抵抗を大きくするオンロード制御と、前記作動油の抵抗を小さくするアンロード制御とを切り替え、オンロード時に、前記作動油が前記第3流路を通り前記アキュムレータに供給されることで、前記アキュムレータに蓄圧され、アンロード時に、前記第2流路を通り、前記アキュムレータより前記制振制御用シリンダの前記ヘッド側室に前記作動油を供給し、又は前記第4流路を通り、前記ロッド側室に前記作動油を供給すること、を特徴とする。
【0011】
上記(1)に記載の態様により、オンロード時にアキュムレータに流体回路内の圧力を溜め、アキュムレータに蓄圧された結果、アンロードの際にアキュムレータ内から制振制御用シリンダに圧力供給を行うことで、フルアクティブダンパとして機能させることが可能となる。この為、オンロード時はセミアクティブダンパとして機能しつつ、アキュムレータに蓄圧をし、アンロード時にはアキュムレータから圧力供給を受けることでフルアクティブダンパとして機能する。つまり、別途、エアや油圧ポンプなどを必要とせずにフルアクティブダンパの機能を発揮できるため、小型化や低コスト化に貢献することができる。
【0012】
また、特許文献2に示すような比例弁ではなくオンオフ弁を用いてオンロード制御とアンロード制御を切り替えているため、油圧回路のコストを下げることができ、安価な構成でフルアクティブダンパの機能を実現している。この結果、低コスト化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の、本実施形態の油圧回路図である。
【
図3】本実施形態の、縮みオンロード動作の際の油圧回路図である。
【
図4】本実施形態の、伸びアンロード動作の際の油圧回路図である。
【
図5】本実施形態の、縮みアンロード動作の際の油圧回路図である。
【
図6】本実施形態の、伸びオンロード動作の際の油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、本発明の実施形態である油圧回路100を用いた鉄道車両150について、図面を用いて説明する。
【0015】
図1に、本実施形態の油圧回路図を示す。
図2に、鉄道車両150の断面図を示す。油圧回路100は、ダンパ10、リザーバタンク20、第1オンオフ弁30A、第2オンオフ弁30B、第3オンオフ弁30C、第1チェック弁40A、第2チェック弁40B、第1フィルタ50A、第2フィルタ50B、アキュムレータ60、第1リリーフ弁70、及びパッシブ回路80を備えている。ダンパ10は、
図2に示すように、鉄道車両150の車両151と台車153とを接続する部分に、空気バネ152と共に備えられている。
【0016】
台車153は線路155等の影響を受けて、左右に移動する力を受ける。或いは、線路155のカーブにおいて、車両151に遠心力が加わる。これらの力の発生によってアキュムレータ60に蓄圧し、その圧力を利用してダンパ10に作動油を送ることで、車両151の振動を積極的に変更する。つまりフルアクティブダンパとして機能し、乗り心地を向上させる働きをする。詳しくは後述する。
【0017】
ダンパ10には、ヘッド側室10aとロッド側室10bが備えられ、シリンダチューブ10e内を、ピストン10dがヘッド側室10aとロッド側室10bとに隔てている。ピストン10dにはロッド10cが接続されている。また、ピストン10d内部には、第3チェック弁40Cが備えられており、ロッド側室10bからヘッド側室10aへの作動油の流れを規制し、ヘッド側室10aからロッド側室10bへの流れを許容する。
【0018】
ヘッド側室10aには、第1オンオフ弁30Aを介してリザーバタンク20に接続される第1アンロード流路R1と、リザーバタンク20と接続する第1リザーバ流路R6と、が接続されている。第1アンロード流路R1には、第1フィルタ50Aが設けられている。第1リザーバ流路R6には、リザーバタンク20からダンパ10側に作動油が供給され、リザーバタンク20側に戻らないように第1チェック弁40Aが設けられている。
【0019】
ヘッド側室10aよりアキュムレータ60まで接続する第1アンロード流路R2は、第2オンオフ弁30Bと第2チェック弁40Bが備えられている。第1アンロード流路R2は第1アンロード流路R1と第1フィルタ50Aを含む部分までは共通で、途中から分岐して第2オンオフ弁30Bが設けられる。そして、アキュムレータ60の手前に、アキュムレータ60側に作動油が戻らないように第2チェック弁40Bが設けられている。又、第1アンロード流路R2の第2チェック弁40Bとアキュムレータ60との間から分岐して、第3オンオフ弁30Cを備えてリザーバタンク20に接続するのが第2リザーバ流路R7である。
【0020】
一方、ロッド側室10bよりアキュムレータ60まで接続する第2オンロード流路R3には、第2フィルタ50Bとパッシブ回路80が順に備えられている。パッシブ回路80は、第2リリーフ弁81と第2オリフィス82が並列に備えられた回路であり、第2オンロード流路R3の内部が所定の圧力になるまでは、第2オリフィス82側で作動油を流し続け、所定圧力を超えたら第2リリーフ弁81が開放する構成となっている。そして、ロッド側室10bから第2チェック弁40Bを介してアキュムレータ60に接続するのが第1アンロード流路R4である。第2チェック弁40Bは、第1アンロード流路R4においてロッド側室10bからアキュムレータ60に作動油が戻らないように配置されている。
【0021】
そしてロッド側室10bより第2オンオフ弁30Bまで接続する第2アンロード流路R5は、途中まで第1アンロード流路R4と同じルートであり、第2チェック弁40Bの手前で分岐し、第2オンオフ弁30Bに接続している。この他、第2オンロード流路R3より分岐して、第1リリーフ弁70と第1オリフィス90が直列に繋げられ、ロッド側室10bに接続するリリーフ流路R8が設けられている。リリーフ流路R8は第1オリフィス90と第1リリーフ弁70との間で分岐されてリザーバタンク20にも接続されている。
【0022】
第1リリーフ弁70は所定圧力となるまではクローズし、所定圧力となった後に作動油をリザーバタンク20に流す流路である。また、第1オリフィス90はリザーバタンク20のエア抜き用に設けられており、エアはリザーバタンク20から第1オリフィス90を通過して、ロッド側室10bに入り、ロッド側室10bより外部に抜ける構成となっている。
【0023】
次に、本実施形態のダンパ10と油圧回路100の動作について説明を行う。説明は
図1と同じ油圧回路100上での説明となる。
【0024】
図3に、縮みオンロード動作の際の油圧回路図を示す。油圧回路100が縮みオンロード、即ちダンパ10のヘッド側室10aが狭くなる過程で、アキュムレータ60に蓄圧する段階である。ピストン10dがシリンダチューブ10eの中をヘッド側室10aが狭くなるように移動する。しかしながら、第1オンオフ弁30Aはオフとなり、第2オンオフ弁30B側には作動油は移動できないため、ヘッド側室10aから第3チェック弁40Cを通過してロッド側室10bに入り、第2オンロード流路R3を通って、アキュムレータ60に蓄圧される。この際、ダンパ10はパッシブ回路80を備えるのでセミアクティブダンパとして動作する。
【0025】
図4に、伸びアンロード動作の際の油圧回路図を示す。油圧回路100が伸びオンロード、即ちダンパ10のロッド側室10bが狭くなる過程で、アキュムレータ60からの圧力供給をヘッド側室10a側に受ける段階である。蓄圧されたアキュムレータ60から、作動油が第1アンロード流路R2を通ってヘッド側室10aに供給される。すなわち、アキュムレータ60より第2チェック弁40Bを通過し、第2オンオフ弁30Bを通って、第1フィルタ50Aを通り、ヘッド側室10aに圧力が供給される。この結果、ロッド10cを伸び側により積極的に動かすように作用する。
【0026】
図5に、縮みアンロード動作の際の油圧回路図を示す。油圧回路100が縮みアンロード、即ちダンパ10のヘッド側室10aが狭くなる過程で、アキュムレータ60からの圧力供給をロッド側室10b側に受ける段階である。蓄圧されたアキュムレータ60から、作動油が第1アンロード流路R4を通ってロッド側室10bに供給される。すなわち、アキュムレータ60より第2チェック弁40B、第2フィルタ50Bを通過して、ロッド側室10bに至る。この際に、ヘッド側室10aから出た作動油は第1アンロード流路R1を通ってリザーバタンク20に供給される。この結果、ロッド10cを縮み側に寄り積極的に動かすように作用する。
【0027】
図6に、伸びオンロード動作の際の油圧回路図を示す。油圧回路100が伸びオンロード、即ちダンパ10のロッド側室10bが狭くなる過程で、アキュムレータ60に蓄圧される段階である。ピストン10dがシリンダチューブ10eの中をロッド側室10bが狭くなるように移動する。ロッド側室10bから作動油が第2オンロード流路R3を通って、アキュムレータ60に蓄圧される。なお、第2アンロード流路R5の第2オンオフ弁30Bはオフになっている為、作動油は通る事ができない。同様に第1アンロード流路R4も第2チェック弁40Bの作用で通過できない。よって、アキュムレータ60に蓄圧される一方で、ダンパ10はパッシブ回路80を備えるのでセミアクティブダンパとして動作する。
【0028】
なお、伸びオンロード動作でアキュムレータ60に蓄圧された結果、伸びアンロード及び縮みアンロード動作が可能となるが、これらは前述した
図3又は
図4に示される伸びアンロード動作及び縮みアンロード動作と同様の動作を行うので、説明を割愛する。
【0029】
本実施形態のダンパ10及び油圧回路100は上記構成であるので、以下に説明する作用及び効果を奏する。
【0030】
まず、ダンパ10がフルアクティブダンパとして運用が可能になる点が効果として挙げられる。本実施形態のダンパ10を備える油圧回路100は、台車153と車両151との間に備えられる制振制御用シリンダであるダンパ10と、ダンパ10のヘッド側室10aに接続されたリザーバタンク20と、を備えた鉄道車両用の制振制御装置(油圧回路100)において、ヘッド側室10aから第1オンオフ弁30Aを介してリザーバタンク20と接続する第1流路に相当する第1アンロード流路R1と、ヘッド側室10aから第2オンオフ弁30Bと第2チェック弁40Bを介してアキュムレータ60と接続する第2流路に相当する第1アンロード流路R2と、を備える。
【0031】
また、ロッド側室10bからパッシブ回路80を介してアキュムレータ60と接続する第3流路に相当する第2オンロード流路R3と、アキュムレータ60から第2チェック弁40Bを介してロッド側室10bに接続される第4流路に相当する第1アンロード流路R4と、を備える。そして、第1オンオフ弁30Aと第2オンオフ弁30Bとを制御して、ダンパ10の伸縮に伴って流れる作動油の抵抗を大きくするオンロード制御と、作動油の抵抗を小さくするアンロード制御とを切り替え、オンロード時に、作動流体が第2オンロード流路R3を通りアキュムレータ60に供給されることで、アキュムレータ60に蓄圧され、アンロード時に、第1アンロード流路R2を通り、アキュムレータ60よりダンパ10のヘッド側室10aに圧力を供給し、又は第1アンロード流路R4を通り、ロッド側室10bに圧力を供給するものである。
【0032】
したがって、アキュムレータ60に蓄圧されていない場合には、ダンパ10のロッド10cが縮み側に移動するときは、
図3に示す縮みオンロード動作となり、ロッド10cが伸び側に移動するときは、
図6に示す伸びオンロード動作となり、アキュムレータ60に差動油を流すことで蓄圧する。一定の圧力が蓄えられた後は、第1リリーフ弁70が開放して、リリーフ流路R8のリザーバタンク20側に作動油を流すことで、アキュムレータ60に所定の圧力を保持する事が可能となる。この際、前述したようにダンパ10はセミアクティブダンパとして動作する。
【0033】
そして、ダンパ10がセミアクティブダンパとして機能している間に、車両151と台車153との移動等によって、アキュムレータ60に蓄圧されるので、
図4に示す伸びアンロード動作によってダンパ10のロッド10cが伸びる。又は、
図5に示す縮みアンロード動作によってダンパ10のロッド10cが縮む。この動作は、アキュムレータ60からの圧力供給が成されるので、油圧回路100はフルアクティブダンパとして動作することになる。
【0034】
したがって、油圧回路100には外部からの動力供給無しに、フルアクティブダンパとして機能させることができる。鉄道車両150の乗り心地の向上を図ることができる。また、フルアクティブダンパを動作させるときに外部動力を必要としないので、油圧回路100の小型化が可能であり、油圧ポンプや電源などの大きな部品や、比例弁など高価な部品を使用せずにフルアクティブダンパとして機能させることができるので低コスト化を図ることが可能となる。更に、油圧回路100の一部が故障したとしても、セミアクティブダンパとして機能するので、フェールセーフとなる。
【0035】
以上、本実施形態に則して発明を説明したが、この発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更することにより実施することもできる。例えば、油圧回路100の回路構成について、発明の要旨を変更しない範囲での変更を妨げない。
【符号の説明】
【0036】
10 ダンパ
10a ヘッド側室
10b ロッド側室
20 リザーバタンク
30A、30B、30C 第1、第2、第3オンオフ弁
40A、40B、40C 第1、第2、第3チェック弁
50A、50B 第1、第2フィルタ
60 アキュムレータ
70 第1リリーフ弁
80 パッシブ回路
81 第2リリーフ弁
82 第2オリフィス
90 第1オリフィス
100 油圧回路
150 鉄道車両
151 車両
152 空気バネ
153 台車
155 線路
R1 第1アンロード流路
R2 第1アンロード流路
R3 第2オンロード流路
R4 第1アンロード流路
R5 第2アンロード流路
R6 第1リザーバ流路
R7 第2リザーバ流路
R8 リリーフ流路