【解決手段】 互いに反対側を向く主面1aおよび裏面と、開封するための切断予定線14と、を有する台材1と、台材1の主面1aを覆うフィルム2と、台材1およびフィルム2の間に介在する被包装物3と、を備え、台材1とフィルム2との間が脱気された、スキンパック包装体A1であって、台材1は、切り込みより設けられ、主面1a側に起立するとともに、フィルム2と被包装物3との間に介在する位置ずれ防止片11と、位置ずれ防止片11の痕跡である窓部12とを有し、切断予定線14は、窓部12から延びている。
前記被包装物は、前記落下防止片との接触箇所に繋がり、かつ前記主面側に位置するとともに、前記落下防止片および前記主面から離間している部分を有する、請求項1または2に記載のスキンパック包装体。
前記窓部の端縁は、前記落下防止片と前記主面との境界が延びる方向において前記切断予定線よりも前記被包装物の内部側に位置している、請求項1ないし6のいずれかに記載のスキンパック包装体。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
図1〜
図4は、本発明の第一実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。本実施形態のスキンパック包装体A1は、台材1、フィルム2および被包装物3を備えている。
【0019】
図1は、スキンパック包装体A1を示す斜視図である。
図2は、スキンパック包装体A1を示す裏面から見た平面図である。なお、
図2においては、台材1の主面とフィルム2との接合状態を裏面側から透過して模式的に表している。
図3は、
図1のIII−III線に沿うyz平面における断面図および要部拡大断面図である。
図4は、
図1のIV−IV線に沿うxy平面における断面図である。これらの図において、y方向は、台材1の厚さ方向に相当し、z方向は、スキンパック包装体A1が店頭等に陳列された際の重力方向に相当する。
【0020】
本発明で言う台材としては、被包装物3を適切に保持しつつ、後述する脱気を適切に行いうるものであればよく、一般的な、所謂ノンコート紙と呼ばれる厚紙、普通紙、合成紙等からなる台紙の他に、一部に切り欠き(単なる孔やミシン目などを含み、その形状は特に限定されない)が設けられた、表面に樹脂層が設けられた所謂コート紙、合成樹脂シート、発泡シート、あるいは多孔質シートなどを採用しうる。これらは単層シート、およびこれらの2以上のシートが積層接着された積層シートなどの各種シート材を用いることができる。台紙として厚紙が用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、0.5mm〜1.0mmである。また、台紙として普通紙、合成紙、コート紙が用いられる場合、その目付量は、特に限定されないが、たとえば、好ましくは50g/m
2〜600g/m
2であり、さらに好ましくは270g/m
2〜500g/m
2である。台紙として合成樹脂シートまたは発泡シートが用いられる場合、その厚みは、特に限定されないが、たとえば、40μm〜200μm程度である。本実施形態においては、台材1として矩形状の厚紙からなる台紙を用いる場合を例として説明する。
【0021】
台材1は、厚さ方向であるy方向において互いに反対側を向く主面1aおよび裏面1bを有する。主面1aは、被包装物3を保持する面であり、被包装物3から露出した部分がフィルム2によって覆われる。本実施形態においては、台材1は、z方向を長手方向とし、x方向を幅方向とする長矩形状とされているが、これは台材1の形状の一例であり、台材1は様々な形状をとりうる。
【0022】
台材1とフィルム2とを接合するために、たとえば台材1の主面1aに接着剤層が設けられている。この接着剤層は、ベタ状に設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよい。また、この接着剤層が、フィルム2の裏面に設けられていてもよい。フィルム2の裏面に接着剤層が設けられている場合、台材1側には接着剤層を設ける必要性はない。接着剤層の厚みは、特に限定されないが、たとえば、10μm〜30μmである。本実施形態においては、台材1の主面1aに接着剤層が設けられている場合を例として説明する。
【0023】
接着剤層を形成する接着剤としては、特に限定されず、通常公知の感熱性の接着剤や粘着剤、あるいは感圧性の接着剤や粘着剤が挙げられるが、不必要時に接着性を示さず且つ必要時に接着性を発現させることができることから、感熱性の接着剤や粘着剤(以下、これらを総称して「感熱性接着剤等」という)を用いることが好ましい。
【0024】
感熱性接着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現し、冷却によって固化して部材間を接着する接着剤である。感熱性粘着剤は、室温では固化しており且つ加熱されることによって活性化して接着性を発現して部材間を接着し、冷却後も粘着性が持続する接着剤である。
【0025】
感熱性接着剤等の種類としては、たとえば、ディレードタック型、エマルジョン型、溶剤型、ホットメルト型などが挙げられる。
【0026】
ディレードタック型は、室温で接着性を示さず、加熱することによって接着性を示し且つ冷却後長時間に亘ってその接着性が持続するものであり、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能なものである。ディレードタック型としては、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、合成ゴムなどのベース樹脂に粘着付与剤及び固体可塑剤が配合されたものなどが例示される。
【0027】
エマルジョン型または溶剤型は、たとえば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの熱接着性樹脂と粘着付与剤などを、水または有機溶剤などに溶解または分散させた溶液を、グラビアコーティングなどの印刷によって塗工可能であり、塗工後乾燥して使用するものである。これらも、乾燥後は接着性を示さず、加熱することによって接着性を示すものである。
【0028】
ホットメルト型は、ホットメルトコーター、エクストルージョンラミネーターなどによって加熱溶融して塗工するものである。この例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体やエチレンアクリル酸共重合体などのエチレン系樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などのベース樹脂に粘着付与剤などの添加剤が配合されたものが挙げられる。
【0029】
使用される感熱性接着剤等は、通常、軟化点60℃〜180℃のものが用いられ、好ましくは、軟化点70℃〜140℃である。このような軟化点の接着剤を用いることにより、フィルム2を軟化させるために加熱した際に、その熱で接着剤層の接着剤を活性化させることができる。なお、前記軟化点は、JIS K 6863に準じて測定できる。
【0030】
また、台材1は、位置ずれ防止片11、窓部12、2つの切断予定線14、2つの補助切断予定線15、吊り下げ用孔16および2つの位置決め片17を有している。位置ずれ防止片11は、切り込みより設けられており、台材1の一部として一体的に形成されている。また、位置ずれ防止片11は、主面1a側に起立している。そして、位置ずれ防止片11は、フィルム2と被包装物3との間に介在している。本実施形態においては、位置ずれ防止片11は、後述する被包装物3の形状にあわせて主面1aに対して略直角な姿勢で起立している。位置ずれ防止片11は、主面11aおよび裏面11bを有している。主面11aは、主面1aに繋がる面であり、裏面11bは、裏面1bに繋がる面である。主面1aに上述した接着剤層が設けられる場合、主面11aにも接着剤層が設けられる。また、本実施形態においては、裏面1bは、接着剤層などが設けられない非接着面とされている。これに伴い、裏面11bも非接着面とされている。
図3に示すように、主面11aがフィルム2に接しており、裏面11bが被包装物3に接している。本実施形態においては、位置ずれ防止片11は、半円形状とされているが、これは一例であり、位置ずれ防止片11の形状は特に限定されない。なお、切り込みにより設けられた部分によって形成された位置ずれ防止片11に加えて、この位置ずれ防止片11に別体の部材を接合するなどの手法により、位置ずれ防止片11とともに被包装物3の位置ずれを防止する部位として機能する部分を追加した構成を採用してもよい。
【0031】
窓部12は、切り込みにより設けられた位置ずれ防止片11が起立された痕跡である。窓部12は、台材1を厚さ方向に貫通しており、位置ずれ防止片11と同様の半円形状である。なお、位置ずれ防止片11の形状と同様に、窓部12の形状は特に限定されない。本実施形態においては、窓部12は、z方向において位置ずれ防止片11に対して被包装物3側に位置している。また、y方向視において、窓部12は、被包装物3の一部と重なっている。
【0032】
切断予定線14は、スキンパック包装体A1から被包装物3を取り出す際に、台材1に被包装物3を取り出すための取り出し口を形成するために設けられている。切断予定線14は、想定された線に沿って台材1を切断容易とするために設けられるものであり、典型的にはミシン目からなる。なお、切断容易とする構成であれば切断予定線14の具体的構成は特に限定されず、たとえば台材1の厚さを部分的に減じたものや、所定長さの切断線によって構成されていてもよい。2つの切断予定線14は、
図2によく表れているように、窓部12から延びている。さらに、2つの切断予定線14は、窓部12のx方向両側からz方向へと延びており、x方向に互いに離間して配置されている。本実施形態においては、2つの切断予定線14は、y方向視において後述する被包装物3の外形に略沿うように配置されており、z方向において被包装物3の略全長にわたって、あるいは被包装物3の全長よりも若干長く形成されている。また、窓部12の端縁は、落下防止片11と主面1aとの境界が延びる方向(x方向)において切断予定線14よりも被包装物3の内部側に位置している。換言すると、x方向に離間配置された2つの切断予定線14の距離よりも、窓部12のx方向寸法の方が小である。
【0033】
補助切断予定線15は、被包装物3をスキンパック包装体A1から取り出す際に、被包装物3の取り出しをスムーズに行うために、切断予定線14による切断に加えて台材1を補助的に切断するために設けられている。2つの補助切断予定線15は、位置ずれ防止片11のx方向両端から延びており、z方向において位置ずれ防止片11を挟んで被包装物3(あるいは窓部12)とは反対側に位置している。本実施形態においては、補助切断予定線15は、x方向外方に膨出する円弧形状とされている。ただし、補助切断予定線15の形状は様々に設定可能であり特に限定されないが、位置ずれ防止片11のx方向両端からx方向外方に延び、かつその先端がx方向内方に向かう形状であることが好ましい。台材1のうち2つの補助切断予定線15に囲まれた領域は、後述するスキンパック包装体A1の開封において位置ずれ防止片11とともにy方向裏面1b側へと若干可動する領域である。補助切断予定線15が上述した形状であれば、この可動領域を縮小することが可能であり、この領域がフィルム2によって拘束される力を弱め、よりスムーズに稼働させることができる。これは、スキンパック包装体A1の開封性を向上させるのに寄与する。
【0034】
吊り下げ用孔16は、たとえば店頭等での陳列においてスキンパック包装体A1をフックなどに吊り下げるために用いられる。吊り下げ用孔16は、z方向において被包装物3を挟んで位置ずれ防止片11とは反対側に設けられている。吊り下げ用孔16は、台材1を貫通している。また、前記フックを挿通させるため、フィルム2のうち吊り下げ用孔16と重なる部分は孔開けされている。この孔開けは、台材1とともになされる。
【0035】
2つの位置決め片17は、
図1および
図4に示すように、x方向に互いに離間して配置されており、x方向において互いに外側に突出する姿勢とされている。また、2つの位置決め片17は、y方向において主面1aが向く方向に突出している。すなわち、2つの位置決め片17は、主面1aに対して互いに反対側に傾いた姿勢で突出している。本実施形態においては、台材1の2つの切断予定線14の各々の中央付近にコの字状の切り込みが設けられることによって、2つの位置決め片17が形成されている。2つの位置決め片17は、スキンパック包装体A1の製造工程において、台材1に被包装物3を載置する際に、被包装物3が台材1上において不当に転がったりずれたりすることを防止する。なお、本実施形態とは異なり、位置決め片17を有さない構成であってもよい。
【0036】
フィルム2は、台材1の主面1aおよび被包装物3を覆っている。フィルム2と台材1との間が脱気されていることにより、フィルム2は、台材1の主面1aおよび被包装物3と、略密着している。
【0037】
フィルム2としては、単層構成または一種あるいは二種以上の複層構成の合成樹脂製フィルムが用いられる。また、適宜必要に応じて、ガスバリアー性や遮光性等の各種機能を有する周知のフィルムを用いることもできる。フィルム2の厚みは、通常30μm〜300μm、好ましくは60μm〜200μmである。なお、
図19においては、透明なフィルム2が台材1および被包装物3を覆っている状態を示しており、台材1および被包装物3がフィルム2を透して視認可能となっている。
【0038】
フィルム2の材質としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0039】
ポリオレフィン系樹脂としては、たとえば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリエチレン系樹脂であり、特に好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンである。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0040】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド重合体、ナイロン6−66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナイロン6−69、ナイロン6−610、ナイロン66−69などの脂肪族ポリアミド共重合体を例示することができる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、特にナイロン6−66、ナイロン6−10またはナイロン6−12が好ましい。これらは単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
【0041】
ポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロへキサンジメタノール/テレフタレート)などが代表格としてあげられ、更にこれらの重合体に共重合成分としてエチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類、あるいはイソフタール類、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸を含有せしめたものが使用できる。
【0042】
本実施形態においては、フィルム2として、融点の異なる樹脂を少なくとも二層以上有する複層構成のフィルムが好ましい。具体的には、たとえば、高融点の樹脂(即ち耐熱性を有し、低融点の樹脂よりも強度のある樹脂)を中間層とし、該中間層の樹脂よりも低融点の樹脂を表裏層とする二種三層で構成されたフィルムや、高融点の樹脂と低融点の樹脂とが交互に複数積層された積層部(通常、高融点の樹脂と低融点の樹脂が一層ずつ積層された複層部を3以上含む)を有するフィルム等が挙げられる。台材1への接着に寄与する低融点の樹脂よりも耐熱性を有する樹脂を積層することにより、スキンパックフィルムの特性として必要な延伸性を低融点の樹脂である程度担保しつつ、高融点の樹脂でフィルム2の強度を向上することができる。また、低融点の樹脂を供えることで台材1とフィルム2の接着性を強固にしつつ、高融点の樹脂によりフィルムの強度を向上できる。
【0043】
二種三層で構成されたフィルムとしては、たとえば、ポリオレフィン系樹脂(低融点)/ポリオレフィン系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/ポリエステル系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、等が挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂/ポリアミド系樹脂/ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンまたは低密度ポリエチレンのいずれかであり、ポリアミド系樹脂が脂肪族ポリアミド共重合体であることが特に好ましい。また、積層部を有するフィルムとしては、上記二種三層で構成されたフィルムと同様の高融点の樹脂および低融点の樹脂が用いられるが、たとえば、ポリアミド系樹脂(高融点)/ポリオレフィン系樹脂(低融点)からなる複層部を4〜8含む積層部を中間層とし、表層にポリアミド系樹脂を、裏層に直鎖状低密度ポリエチレンを積層したフィルムが好適に用いられる。本実施形態においては、直鎖状低密度ポリエチレン/脂肪族ポリアミド共重合体/直鎖状低密度ポリエチレンから構成される二種三層のフィルムを使用した。
【0044】
被包装物3は、あらゆる種類および形体の物品が採用されうるが、本実施形態においては、軸方向を有する円柱形体の物品である。このような物品の一例としては、たとえば化粧品容器があげられる。具体的には、被包装物3は、本体部31および蓋部32を有しており、その内部に内容物33を収容している。本体部31は、有底円筒形状の物体であり、その内部に内容物33を収容する空間を有している。蓋部32は、本体部31を塞ぐためのものであり、本体部31に対してたとえば螺合により取り付けられる。内容物33は、本実施形態においては化粧品であり、液体、粉体、あるいはジェル体などである。
【0045】
図2に示すように、被包装物3は、y方向視において長矩形状である。上述した台材1の2つの切断予定線14は、y方向においてこの被包装物3の2つの長辺に略沿うように配置されている。また、被包装物3は、底部3aを有している。底部3aは、
図1および
図3において図中z方向下方に位置する部位である。本実施形態においては、底部3aは、平面xyに沿う平面とされている。上述した位置ずれ防止片11は、この底部3aに当接しているため、主面1aに対して直角に起立している。また、位置ずれ防止片11の裏面11bが底部3aに密着している。
【0046】
さらに、
図3に示すように、被包装物3には、曲面3bが形成されている。曲面3bは、略円柱形状とされた被包装物3の底部3aを囲むように形成された円環状の曲面であり、被包装物3に鋭利な角部が生じることを回避することが意図されている。この曲面3bのうち、
図3の要部拡大図に示す部分(y方向右方部分)は、落下防止片11との接触箇所(本実施形態においては底部3a)に繋がり、かつ主面1a側(位置ずれ防止片11の根元側)に位置するとともに、z方向において落下防止片11から離間し、y方向において主面1aから離間している部分となっている。なお、このような部分を設ける具体的構成としては、曲面3bを全周ではなく部分的に設ける構成や、いわゆる面取りと称される底部3aを囲む円環状の傾斜面を全周または部分的に設ける構成、さらには被包装物3の底部3aに繋がる様々な形状の凹部を設ける構成、などが挙げられる。
【0047】
図4に示すように、被包装物3は、断面円形状である。このため、被包装物3のうち台材1の主面1aと接する部分はごく小面積である。また、フィルム2が被包装物3のうち主面1aと対面する部分に回りこむように設けられている。窓部12は、y方向視においてx方向中心が被包装物3のx方向中心と重なっているが、窓部12(位置ずれ防止片11)の幅方向最大寸法は、被包装物3のx方向寸法と同程度である。これにより、窓部12のx方向両端側部分は、被包装物3の主面1aへの接触部分からx方向にはみ出した格好となっている。しかし、窓部12が半円形状であることにより、窓部12のうち被包装物3の主面1aへの接触部分からはみ出した部分は比較的小面積である。
【0048】
スキンパック包装体A1の製造方法を例示すると、まず複数の台材1を形成しうる厚紙材料を用意する。この厚紙材料には、複数個のスキンパック包装体A1に対応して複数の被包装物3を載置する領域が確保されている。また、この厚紙材料には、位置ずれ防止片11、窓部12、切断予定線14、補助切断予定線15および位置決め片17を形成するための切り込みあるいは切断線が適宜形成されている。そして、各位置ずれ防止片11および位置決め片17を起立させた後に、前記厚紙材料の主面1aに、複数の被包装物3を載置する。この際、被包装物3を2つの位置決め片17の間に位置させる。そして、複数のフィルム2となるフィルム材料を前記厚紙材料と複数の被包装物3とに被せる。この際、フィルム材料は、適度な変形を促進するとともに、前記厚紙材料との接着力を発揮させるべく、適切な温度に加熱しておく。
【0049】
次いで、前記厚紙材料の下面からの吸引、すなわち脱気工程を行う。これにより、前記厚紙材料を通して、前記厚紙材料と前記フィルム材料との間の空気が脱気される。そして、前記フィルム材料が伸展しながら前記厚紙材料および複数の被包装物3に密着する。この後は、各個片が被包装物3を含むように、前記厚紙材料と前記フィルム材料とを切断することにより複数の個片に分割する。また、この切断と同時にあるいは前後して、前記厚紙材料と前記フィルム材料とを一括して打ち抜くことにより、吊り下げ用孔16を形成する。これにより、複数のスキンパック包装体A1が得られる。
【0050】
次に、スキンパック包装体A1の作用について説明する。
【0051】
本実施形態によれば、被包装物3には、主面1aに対して起立した位置ずれ防止片11が接している。この位置ずれ防止片11は、台材1に切り込みによって設けられており、台材1の一部として一体的に形成されている。このため、スキンパック包装体A1が誤って落下した際などに、被包装物3が台材1に対してずれようとすると、この位置ずれを位置ずれ防止片11によって防止することが可能であり、フィルム2が破れることを回避できる。また、窓部12から切断予定線14が延びていることにより、被包装物3のうちy方向視において窓部12と重なる部分を主面1a側から裏面1b側へと押し出すと、切断予定線14の窓部12側の端部を起点として、台材1の切断がスムーズに進行する。また、被包装物3のうち位置ずれ防止片11と接する部分はフィルム2には接していない。これにより、被包装物3を押し出そうとした際に、フィルム2によって被包装物3が拘束されることを抑制することができる。この結果、被包装物3をより容易に取り出すことができる。したがって、落下時などに被包装物3を適切に保護し、かつ開封性を高めることが可能である。
【0052】
窓部12が位置ずれ防止片11に対して被包装物3側に位置していることにより、y方向視において窓部12の大部分を被包装物3と重ならせることができる。窓部12は台材1を貫通する部分であるため、窓部12が被包装物3から過大にはみ出していると、この部分からフィルム2が裏面1b側へと不当に延出したり、破れたりするおそれが大きくなる。本実施形態によれば、このような事態を防止することができる。特に、本実施形態においては、窓部12は、
図2に示すように半円形状とされており、x方向中央部分の面積が相対的に大きく、x方向両端部分の面積が相対的に小さい。このため、
図1および
図2に示すように、窓部12のうち被包装物3からx方向両側方に露出するx方向両端部分は、比較的小面積であり、フィルム2の裏面1b側への不当な延出や破れを防止するのに適している。また、窓部12と同形状とされた位置ずれ防止片11のx方向中央部分の面積が相対的に大きいことにより、被包装物3をより確実に保持しうるという効果が期待できる。
【0053】
図5は、スキンパック包装体A1から被包装物3を取り出す工程を示す断面図である。この工程においては、被包装物3のz方向下方部分を主面1a側から裏面1b側へと押し出すことにより、切断予定線14に沿った切断を開始させることが意図されている。これを実現するには、位置ずれ防止片11に対して被包装物3の底部3aを裏面1b側へと滑らせることが必要である。本実施形態においては、位置ずれ防止片11の裏面11bは、主面11aとは異なり接着剤層が設けられておらず、非接着面とされている。このため、裏面11bに対して被包装物3の底部3aを好適に滑らせることが可能である。したがって、スキンパック包装体A1の開封性をさらに高めることができる。
【0054】
図3に示すように、被包装物3に曲面3bが形成されているものの、位置ずれ防止片11が設けられていることにより、曲面3bの図中y方向右方部分(主面1a側の部分)にフィルム2が回りこむことが阻止されている。この曲面3bの図中y方向右方部分にフィルム2が回りこむと、
図5に示す開封時に、被包装物3を押し出すことを回り込んだフィルム2が阻害してしまい、開封性が低下する。本実施形態によれば、曲面3bを有する被包装物3をよりスムーズに取り出すことが可能であり、開封性をより高めることができる。
【0055】
図1および
図4から理解される通り、被包装物3が断面円形状であることにより、被包装物3と台材1との接触箇所に向けてフィルム2が回りこむように延伸した構成となっている。フィルム2のうち被包装物3と台材1との接触箇所に向けて延伸した部分は、被包装物3から十分に離間した位置において主面1aと接合された部分よりも、主面1aに対する接合強度が低下する傾向がある。本実施形態においては、x方向に離間配置された2つの切断予定線14の距離よりも、窓部12のx方向寸法の方が小であることにより、窓部12の近傍におけるフィルム2と主面1aとの接合強度が相対的に低下している。このため、窓部12を開封起点として用いるに際し、窓部12近傍において、台材1をフィルム2から速やかに剥離させることが可能である。これによっても、スキンパック包装体A1の開封性を高めることができる。
【0056】
また、
図2に示す2つの補助切断予定線15が設けられていることにより、被包装物3を押し出すと、切断予定線14に沿った切断と位置ずれ防止片11に対する被包装物3の滑りとともに、2つの補助切断予定線15に沿った切断が生じる。この切断により、
図5に示すように、台材1のうち2つの補助切断予定線15に挟まれていた部分(図中においてかっこ記号を付した符号15で示した部分)が、裏面1b側へと折り曲げられる格好となる。この結果、台材1に形成される取り出し用の開口のz方向寸法が拡大する。被包装物3を押し出すと、図示された姿勢において、被包装物3の対角線がz方向に一致する。この際のz方向寸法は、スキンパック包装体A1に包装されていた姿勢における被包装物3のz方向寸法より大となる。しかし、2つの補助切断予定線15の切断によって台材1の開口のz方向寸法も大となるため、被包装物3を干渉することなく取り出すことが可能である。
【0057】
本実施形態においては、位置ずれ防止片11と吊り下げ用孔16とが、被包装物3を挟んでz方向において互いに反対側に位置している。吊り下げ用孔16を用いてスキンパック包装体A1がフックなどに吊り下げられた場合、被包装物3の自重により、位置ずれ防止片11が被包装物3の重力方向であるz方向下方に位置するような姿勢でスキンパック包装体A1が陳列される。このため、万が一のスキンパック包装体A1の落下の際には、位置ずれ防止片11が重力方向下方側から被包装物3を確実に支えることが可能である。したがって、被包装物3の位置ずれをより確実に防止することができる。
【0058】
図6〜
図15は、本発明の他の実施形態または変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0059】
図6および
図7は、スキンパック包装体A1の変形例を示している。
図6は、本変形例のスキンパック包装体A1を裏面から見た要部平面図であり、
図7は、
図6のVII−VII線に沿う要部拡大断面図である。本変形例においては、台材1に2つの折り曲げ予定線18が形成されている。2つの折り曲げ予定線18は、x方向において窓部12を挟んで離間配置されている。また、各折り曲げ予定線18は、y方向視において被包装物3の外形に略沿うように配置されている。折り曲げ予定線18は、台材1を部分的に折り曲げることを容易化しうる構成であればよく、本実施形態においては、一例として台材1が部分的に凹まされた直線状の溝によって構成されている。
【0060】
折り曲げ予定線18は、
図5に示した被包装物3を取り出す際に、台材1のうち切断予定線14の下端と窓部12とに隣接する部分を裏面1b側に折り曲げることを容易とするためのものである。この部分が平坦な状態で残存すると被包装物3の取り出しを阻害するおそれがある。切断予定線14を設けることにより、被包装物3の取り出しに伴って、上述した部分が切断予定線14に沿って容易に折れ曲がり、被包装物3をスムーズに取り出すことができる。このような折り曲げ予定線18は、後述する変形例および他の実施形態に適宜採用することができる。また、
図7によく表れているように、切断予定線14と窓部12とが近接する領域は、フィルム2が確実には回りこまないため、フィルム2と台材1とが未接合である領域となっている。このような領域がスキンパック包装体A1の開封起点となることにより、切断予定線14に沿った切断を、フィルム2によって拘束されること無くスムーズに開始することができる。
【0061】
図8および
図9は、スキンパック包装体A1の変形例を示している。
図8は、本変形例のスキンパック包装体A1を示す要部斜視図であり、
図9は、本変形例のスキンパック包装体A1を示す裏面から見た平面図である。本変形例においては、台材1がつまみ部13を有している。つまみ部13は、z方向において位置ずれ防止片11とは反対側から窓部12に突出している。つまみ部13は、たとえば位置ずれ防止片11および窓部12よりも小さい半円形状とされるが、これは一例であり、その形状は特に限定されない。このつまみ部13の存在により、位置ずれ防止片11および窓部12は、半円形状の頂点付近が切り欠かれたような形状となっている。
【0062】
このような変形例によれば、スキンパック包装体A1から被包装物3を取り出す際に、
図5に示したように被包装物3を押し出すこともできるし、窓部12を摘んで開封することもできる。このように、スキンパック包装体A1の開封方法に多様性を持たせることができることから、台材1の切断をより確実かつ容易に行うことができる。
【0063】
図10は、スキンパック包装体A1の他の変形例を示す裏面から見た平面図である。同図(a),(b)に示すスキンパック包装体A1は、補助切断予定線15の形状が上述したスキンパック包装体A1と異なっており、同図(c)に示すスキンパック包装体A1は、窓部12の形状が上述したスキンパック包装体A1と異なっている。
【0064】
同図(a)に示す変形例においては、2つの補助切断予定線15は、窓部12(位置ずれ防止片11)のx方向両端付近からz方向下方に向かうほど互いの距離が小となるように延びている。また、各補助切断予定線15は、x方向外方に緩やかに膨出する曲線である。同図(b)に示す変形例においては、補助切断予定線15は、z方向下方に延びる直線状である。同図(c)に示す変形例においては、窓部12(位置ずれ防止片11)が略矩形状とされている。上述したスキンパック包装体A1およびこれらの変形例から理解されるように、窓部12(位置ずれ防止片11)および補助切断予定線15の形状は種々に設定可能であり、窓部12(位置ずれ防止片11)の形状と補助切断予定線15の形状との組合せはなんら限定されない。
【0065】
図11および
図12は、本発明の第二実施形態に基づくスキンパック包装体を示している。本実施形態のスキンパック包装体A2は、2つの位置ずれ防止片11(窓部12)を有している。
図11は、スキンパック包装体A2を示す裏面から見た平面図であり、
図12は、
図11のX−X線に沿うyz平面における断面図である。
【0066】
スキンパック包装体A2においては、上述したスキンパック包装体A1と同様の位置ずれ防止片11(窓部12)に加えて、さらに位置ずれ防止片11(窓部12)が形成されている。
図12に示すように、2つの位置ずれ防止片11は、被包装物3をz方向上下両方向から挟むように配置されている。z方向下方の位置ずれ防止片11は、上述した通り、その裏面11bが被包装物3の底部3aに接している。z方向上方の位置ずれ防止片11は、その裏面11bが被包装物3のz方向上端に接している。本実施形態の被包装物3は、上端部が底部3aと同様にxy平面に平行な平面とされている。このため、z方向上方の位置ずれ防止片11も主面1aに対して直角に起立している。
図11に示すように、2つの窓部12は、2つの位置ずれ防止片11に対して被包装物3側、すなわちz方向内方側に配置されている。
【0067】
このような実施形態によっても、落下時などに被包装物3を適切に保護し、かつ開封性を高めることが可能である。また、スキンパック包装体A1がz方向においていずれの方向に落下しても、いずれかの位置ずれ防止片11によって被包装物3の位置ずれを防止することができる。
【0068】
図13は、本発明の第三実施形態に基づくスキンパック包装体を示す要部斜視図である。本実施形態のスキンパック包装体A3は、2つの被包装物3を備えている。各被包装物3は、上述したように円柱形状である。これらの被包装物3が台材1の主面1aにおいて、それぞれの長手方向がz方向と一致するように、x方向に並んで配置されている。2つの被包装物3は、フィルム2によって一括して覆われており、フィルム2によって締結されることにより互いに接している。
【0069】
2つの被包装物3がx方向に並べられていることに対応して、位置ずれ防止片11(窓部12)は、上述したスキンパック包装体A1やスキンパック包装体A2におけるものよりもx方向寸法が大とされている。これにより、1つの位置ずれ防止片11が2つの被包装物3の底部3a双方に接している。2つの切断予定線14は、2つの被包装物3のx方向外側の外形線に沿うように設けられている。これは、2つの被包装物3を同時に取り出すことが意図されている。
【0070】
本実施形態においては、2つの被包装物3の間に、各被包装物3が断面円形状であることから、落下防止片11との接触箇所(底部3a)に繋がり、かつ主面1a側(位置ずれ防止片11の根元側)に位置するとともに、z方向において落下防止片11から離間し、y方向において主面1aから離間している部分が形成されている。この部分にフィルム2が回りこむと、曲面3bについて上述したことと同様に被包装物3の取り出しが阻害され、スキンパック包装体A3の開封性が低下してしまう。本実施形態においては、このような事態を回避し、スキンパック包装体A3の開封性を高めることができる。
【0071】
図14は、スキンパック包装体A3の変形例を示す要部斜視図である。本変形例においては、2つの被包装物3に対応して2つの位置ずれ防止片11(窓部12)が設けられている。各位置ずれ防止片11(窓部12)は、たとえばスキンパック包装体A1における位置ずれ防止片11(窓部12)と同様の構成である。本変形例においては、2つの切断予定線14を設ける構成の他に、2つの切断予定線14の間にさらに切断予定線14を設けてもよい。このような構成により、2つの被包装物3のいずれか一方のみを選択して取り出すことができる。
【0072】
図15は、本発明の第四実施形態に基づくスキンパック包装体を示す要部断面図である。本実施形態のスキンパック包装体A4においては、位置ずれ防止片11に対して窓部12がz方向下方、すなわち被包装物3とは反対側に設けられている。これにより、位置ずれ防止片11は、主面11aが被包装物3の底部3aと接し、裏面11bがフィルム2と接する構成となっている。また、本変形例においては、被包装物3は、底部3aが半球形状とされている。この底部3aに沿うように、位置ずれ防止片11は、主面1aに対して傾いた姿勢で起立している。底部3aに沿って位置ずれ防止片11が傾いていることにより、フィルム2は、位置ずれ防止片11の裏面11bに回りこむように密着している。このフィルム2のうち裏面11bに回り込んだ部分によって、位置ずれ防止片11が底部3aに締結された格好となっている。
【0073】
このような実施形態によっても、落下時などに被包装物3を適切に保護し、かつ開封性を高めることが可能である。なお、本実施形態においては被包装物3と接する主面11aを非接着面とし、フィルム2と接する裏面11bに接着剤層を設けることが好ましい。フィルム2との接合および製造時の便宜を考慮して、台材1の主面1aに接着剤層を設け、裏面1bを接着面とする場合、位置ずれ防止片11の主面11aは、接着剤層を覆う費接着性のコート層を設ける、あるいは部分的に接着剤層を塗布しないものとし、裏面11bには部分的に接着剤層を設けるといった方策をとればよい。
【0074】
本発明に係るスキンパック包装体は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るスキンパック包装体の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。