前記含フッ素共重合体に、多官能(メタ)アクリル化合物および光重合開始剤を添加した活性エネルギー線硬化型コート液を硬化して得られた硬化膜表面の、オレイン酸の接触角が8°以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体。
一般式Cで表される(メタ)アクリレート化合物のモル数をp、一般式Eで表される(メタ)アクリレート化合物のモル数をqとしたとき、そのモル比が0.01≦q/p≦0.8の割合であることを特徴とする請求項7に記載の反応性含フッ素共重合体。
前記反応性含フッ素共重合体に、多官能(メタ)アクリル化合物および光重合開始剤を添加した活性エネルギー線硬化型コート液を硬化して得られた硬化膜表面の、オレイン酸の接触角が8°以下である、請求項7〜8のいずれか1項に記載の反応性含フッ素共重合体。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体または請求項7〜9のいずれか1項に記載の反応性含フッ素共重合体、多官能(メタ)アクリル化合物および光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化型コート液。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、樹脂、フィルム、繊維、ガラス、金属等樹脂などの表面に防汚性、特に防指紋性能を付与すると同時に、表面の平滑性にも優れる表面改質剤として使用可能な含フッ素共重合体を提供することを目的とする。また、防指紋性能に優れた表面改質剤、活性エネルギー線硬化型コート液、硬化膜、硬化膜が表面に形成された物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち本発明は、下記項1〜13の含フッ素共重合体、反応性含フッ素共重合体、表面改質剤、活性エネルギー線硬化型コート液、硬化膜、硬化膜が表面に形成された物品を提供するものである。
項1.
一般式A、B、Cで表される(メタ)アクリレート化合物の共重合体であって、共重合体中のフッ素含有量が質量で1%〜10%であることを特徴とする含フッ素共重合体。
【0011】
【化1】
【0012】
[式中、Rfは下記式(1)または(2)で示される基である。
【0013】
【化2】
【0014】
R
1は炭素原子数が2〜50の二価の基である。R
2はHまたはメチル基である。]
【0015】
【化3】
【0016】
[R
3は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。R
4は、Hまたはメチル基である。]
【0017】
【化4】
【0018】
[R
5は炭素原子数が2〜50の二価の基または、繰り返し単位が2〜20のアルキレンオキシド基である。R
6はHまたはメチル基である。]
項2.
さらに、一般式(D)で表される(メタ)アクリレート化合物を共重合成分として有する項1に記載の含フッ素共重合体。
【0019】
【化5】
【0020】
[R
7はHまたは炭素原子数が1〜50の脂肪族炭化水素基である。R
8は、Hまたはメチル基である。]
項3.
一般式Bで表される(メタ)アクリレート化合物がベンジルメタクリレートである項1又は2に記載の含フッ素共重合体。
項4.
一般式B、Cで表される(メタ)アクリレート化合物の質量比が0.5≦B/C≦10の割合である項1〜3のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体。
項5.
一般式B、Dで表される(メタ)アクリレート化合物の質量比が0≦D/B≦2の割合である項2〜4のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体。
項6.
前記含フッ素共重合体に、多官能(メタ)アクリル化合物および光重合開始剤を添加した活性エネルギー線硬化型コート液を硬化して得られた硬化膜表面の、オレイン酸の接触角が8°以下である、項1〜5のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体。
項7.
項1〜6のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体中の水酸基に対して、一般式Eで表される末端にイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させてなる反応性含フッ素共重合体。
【0021】
【化6】
【0022】
[式中、R
9は、炭素原子数が2〜10の二価または三価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりエーテル結合を有していてもよい。)である。R
10はHまたはメチル基を示す。xは、1または2の整数である。]
項8.
一般式Cで表される(メタ)アクリレート化合物のモル数をp、一般式Eで表される(メタ)アクリレート化合物のモル数をqとしたとき、そのモル比が0.01≦q/p≦0.8の割合であることを特徴とする項7に記載の反応性含フッ素共重合体。
項9.
前記反応性含フッ素共重合体に、多官能(メタ)アクリル化合物および光重合開始剤を添加した活性エネルギー線硬化型コート液を硬化して得られた硬化膜表面の、オレイン酸の接触角が8°以下である、項7〜8のいずれか1項に記載の反応性含フッ素共重合体。
項10.
項1〜6のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体または項7〜9のいずれか1項に記載の反応性含フッ素共重合体を含有する表面改質剤。
項11.
項1〜6のいずれか1項に記載の含フッ素共重合体または項7〜9のいずれか1項に記載の反応性含フッ素共重合体、多官能(メタ)アクリル化合物および光重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化型コート液。
項12.
項11に記載の活性エネルギー線硬化型コート液を硬化して得られる硬化膜。
項13.
項12に記載の硬化膜が表面に形成された物品。
【発明の効果】
【0023】
本発明の含フッ素共重合体は、樹脂、フィルム、繊維、ガラス、金属等の表面に親油性、防汚性(特に防指紋性)および平滑性を付与することができる。従って、本発明の含フッ素共重合体はこれらの表面に防指紋性や表面平滑性を付与するための表面改質剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書中、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
【0025】
含フッ素共重合体
本発明の含フッ素共重合体は、一般式A、B、C、必要に応じてさらにDで表される(メタ)アクリレート化合物を重合し、共重合体中のフッ素含有量が質量で1%〜10%であることを特徴とする共重合体である。一般式A、B、Cで表される(メタ)アクリレート化合物を含むモノマーを重合して得られる共重合体を本明細書では「含フッ素共重合体」と記載し、A、B、Cで表される(メタ)アクリレート化合物を含むモノマーを重合して得られる共重合体と一般式Dで表される(メタ)アクリレート化合物をさらに反応させて得られた共重合体は、アクリレート由来の反応性の炭素-炭素二重結合を含むので特に「反応性含フッ素共重合体」と記載することがある。
【0026】
含フッ素共重合体のフッ素含有量は、((フッ素原子量×全共重合体中のフッ素原子数)×100/全共重合体の質量)で表される。フッ素含有量はより好ましくは質量で2%〜6%である。フッ素含有率が高すぎると、フッ素の効果により撥水撥油性が発現することで、親油性にならないために、防指紋性能も劣るため不適である。
【0027】
本発明の含フッ素共重合体における、一般式Aで表される(メタ)アクリレート化合物は、次式で表される。
【0029】
[式中、Rfは下記式(1)または(2)で示される基である。
【0031】
R
1は炭素原子数が2〜50の二価の基である。R
2はHまたはメチル基である。]
【0032】
R
1、R
5で表される炭素原子数が2〜50の二価の基としては、以下の基が挙げられる。
【0033】
−(CH
2)
n1− (n1=2〜50)
−X−Y-(CH
2)
n2− (n2=2〜43)
−X−(CH
2)
n3− (n3=1〜44)
−CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
n4− (n4=1〜24)
−XCO(OCH
2CH
2)
n5− (n5=1〜21)
(式中、Xは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子からなる群から選ばれる置換基を1〜3個有していてもよいフェニレン、ビフェニレンもしくはナフチレンを示す。Yは、-O-CO-、-CO-O-、−CONH−または−NHCO−を示す。)
【0034】
Xは1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレンが好ましく、1,4-フェニレンが特に好ましい。
【0035】
特に好ましいR
1、R
5で表される炭素原子数が2〜50の二価の基としては、具体的に以下の構造の二価の基が挙げられる。
【0036】
−(CH
2)
n1− (n1=2〜10)
−C
6H
4OCO(CH
2)
n2− (n2=2〜10)
−C
6H
4(CH
2)
n3− (n3=1〜10)
−CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
n4− (n4=1〜10)
−C
6H
4CO(OCH
2CH
2)
n5− (n5=1〜10)
R
2はH又はメチル基であり、好ましくはメチル基である。
【0037】
一般式Aで表される(メタ)アクリレート化合物は公知の方法により製造することができる。
【0038】
本発明の含フッ素共重合体における、一般式Bで表される(メタ)アクリレート化合物は、次式で表される。
【0040】
[R
3は、置換されていてもよい芳香族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。R
4は、Hまたはメチル基である。]
【0041】
本発明において、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、トルイル基、キシリル基、アントラニル基、フェナントリル基、ビフェニル基等の炭素数6〜15の芳香族炭化水素基が挙げられる。置換された芳香族炭化水素基の置換基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、メトキシ、エトキシ、メチレンジオキシ、塩素原子、NO
2、CN、NHCOCH
3などが挙げられる。置換基は、芳香族炭化水素基に1〜3個、好ましくは1〜2個含まれ得る。
【0042】
一般式Bで表される(メタ)アクリレート化合物として特に好ましくは、ベンジルメタクリレートである。
【0043】
一般式Bで表される化合物は、公知の方法により製造することもできるし、または市販品として入手することもできる。
【0044】
本発明の含フッ素共重合体における、一般式Cで表される(メタ)アクリレート化合物は、次式で表される。
【0046】
[R
5は炭素原子数が2〜50、好ましくは2〜10の二価の基または、繰り返し単位が2〜20のアルキレンオキシド基である。R
6はHまたはメチル基である。]
【0047】
一般式Cにおいて、R
5で表される炭素原子数が2〜50の二価の基としては、上記R
1で例示された二価の基が挙げられる。この二価の基の炭素数は、2〜10が好ましい。
【0048】
R
5で表される繰り返し単位が2〜20のアルキレンオキシド基としてより好ましくはエチレンオキシド基、プロピレンオキシド基等を繰り返し単位として有するポリアルキレンオキシド基である。ポリアルキレンオキシド基においてアルキレンオキシドの繰り返し単位は好ましくは2〜20である。
【0049】
特に好ましいR
5としては、具体的に以下の基が挙げられる。
【0050】
−(CH
2)
n6− (n6=2〜10)
−(CH
2CH
2O)
n7CH
2CH
2− (n7=1〜20)
−(CHCH
3CH
2O)
n8CHCH
3CH
2− (n8=1〜10)。
【0051】
一般式Cで表される化合物は、公知の方法により製造することもできるし、または市販品として入手することもできる。一般式Bで表される化合物の市販品として、日油(株)社製ブレンマーAE−90、日油(株)社製ブレンマーAE−200、日油(株)社製ブレンマーAE−400、日油(株)社製ブレンマーAP−400、日油(株)社製ブレンマーPE−90、日油(株)社製ブレンマーPE−200、日油(株)社製ブレンマーPE−350、日油(株)社製ブレンマーPP−1000、日油(株)社製ブレンマー50PEP−300、日油(株)社製ブレンマー70PEP−350、日油(株)社製ブレンマー55PET―800、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学(株)社製、ライトエステルHO−250)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学(株)社製、ライトエステルHOA)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)社製、4−HBA)等が挙げられる。
【0052】
本発明の含フッ素共重合体において、共重合成分として一般式Dで表される(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。
【0054】
[R
7はHまたは炭素原子数が1〜50の脂肪族炭化水素基である。R
8は、Hまたはメチル基である。]
【0055】
一般式Dにおいて、R
7は、炭素原子数が1〜50の脂肪族炭化水素基である。該脂肪族炭化水素基は、エーテル結合、エステル結合、アミド結合又は環状構造を有していてもよい。
【0056】
好ましいR
7としては、アルキル基やシクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基などの環状構造を挙げることができる。特に好ましいR
7としては、具体的に以下の構造の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
【0057】
−(CH
2)
n6CH
3 (n6=1〜30)。
【0058】
一般式Dで表される化合物は、公知の方法により製造することもできるし、または市販品として入手することもできる。一般式Dで表される化合物の市販品として、日油(株)社製ブレンマーCHMA、日油(株)社製ブレンマーLMA、日油(株)社製ブレンマーSMA、日油(株)社製ブレンマーVMA、日油(株)社製ブレンマーCHA、日油(株)社製ブレンマーLA、日油(株)社製ブレンマーSA、日油(株)社製ブレンマーVA、日立化成(株)社製FA−513AS、日立化成(株)社製FA−513M等が挙げられる。
【0059】
本発明の含フッ素共重合体において一般式B、Cで表される(メタ)アクリレート化合物の質量比は0.5≦B/C≦10の割合であり、特に好ましくは0.8≦B/C≦5である。
【0060】
一般式B、Dで表される(メタ)アクリレート化合物の質量比は0≦D/B≦2の割合であり、特に好ましくは0≦D/B≦1である。
【0061】
本発明において、含フッ素共重合体中の水酸基に対して、一般式Eで表される末端にイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート化合物を反応させて反応性含フッ素共重合体とすることができる。
【0063】
[式中、R
9は、炭素原子数が2〜10の二価または三価の飽和脂肪族炭化水素基(該飽和脂肪族炭化水素基は所望によりエーテル結合を有していてもよい。)である。R
10はHまたはメチル基を示す。xは、1または2の整数である。]
【0064】
R
9で表される炭素原子数が2〜10の二価または三価の飽和脂肪族炭化水素基としては、以下の基が挙げられ、それに対応する一般式Eの(メタ)アクリレート化合物を合わせて示す。
R
9:
−(CH
2)
n9− (n9=2〜10)
−C
6H
12−(OCH
2CH
2)
n10−(n10=1〜2)
−C
6H
12(CH
2)
n11− (n11=1〜4)
−CH
2CH
2(OCH
2CH
2)
n12− (n12=1〜4)
−C(CH
3)[(CH
2)
n13]
2(n13=1〜4)
対応する一般式Eの(メタ)アクリレート化合物:
【0066】
(式中、C
6H
12は1,1-、1,2-、1,3-又は1,4-シクロヘキシレン基を示し、R
10はHまたはメチル基を示す。)
【0067】
一般式Cで表される(メタ)アクリレート化合物のモル数をp、一般式Eで表される(メタ)アクリレート化合物のモル数をqとしたとき、そのモル比は0.01≦q/p≦0.8の割合である。特に好ましくは0.05≦q/p≦0.5の割合である。
【0068】
含フッ素共重合体を得るための(メタ)アクリレートA〜CもしくはA〜Dの重合方法としては公知の重合方法を用いることができる。詳しくは、(メタ)アクリレートA〜CもしくはA〜Dを所望の比率で混合し、適量の重合開始剤を加え、有機溶媒の存在下に室温から100℃程度の温度で1〜24時間程度反応させる。これにより反応は定量的に進む。(メタ)アクリレートA〜CもしくはA〜Dの混合順序は特に限定されるものではない。
【0069】
重合開始剤としては、下記の光重合開始剤が挙げられ、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル等が好ましく使用できる。
【0070】
有機溶媒は、上記反応が進行すれば特に限定されないが、例えば、非プロトン性溶媒が挙げられる。非プロトン性溶媒としては、ジメトキシエタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましく例示される。該有機溶媒は、一種単独で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。
【0071】
含フッ素共重合体において、繰り返し単位は、化学式で示すとおりに位置しなくてもよく、水酸基含有共重合体は(メタ)アクリレートA〜CもしくはA〜Dのランダム重合体またはブロック共重合体であってよい。
【0072】
含フッ素共重合体とイソシアネート基含有(メタ)アクリレートEとの反応は、得られた水酸基含有共重合体溶液に対して、(メタ)アクリレートEを所定の比率で混合し、−20℃〜100℃、好ましくは20℃〜90℃で、1〜48時間撹拌することにより達成できる。これにより、水酸基含有共重合体における(メタ)アクリレートB成分に由来の水酸基と、(メタ)アクリレートEのイソシアネート基とが反応し、ウレタン結合が形成され、本発明の反応性含フッ素オリゴマーが得られる。このとき、混合された(メタ)アクリレートEは定量的に反応する。
【0073】
当該反応に際しては、アルカリ性触媒を用いてもよい。アルカリ性触媒は、上記反応が進行すれば特に限定されないが、好ましいアルカリ性触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の有機系のアルカリ性触媒が挙げられる。該アルカリ性触媒は、特に、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンが好ましい。該アルカリ性触媒は、一種単独で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。
【0074】
本発明の含フッ素共重合体又は含フッ素反応性共重合体の重量平均分子量は通常5000〜100000であり、好ましくは10000〜50000である。
【0075】
重量平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィー、粘度法、光散乱法など、従来公知の方法で測定すればよい。
【0076】
本発明の含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体は、溶液として使用することができるが、通常は、樹脂成分、溶媒成分、重合開始剤成分、フィラー成分等の添加剤と混合されて樹脂組成物として使用する。
【0077】
溶液として使用する場合、溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、アセトニトリル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の有機溶媒が挙げられるが、好ましくはメチルイソブチルケトンである。溶媒は一種単独で使用しても良いし、二種以上を混合して使用しても良い。
【0078】
溶液として使用する場合、濃度は0.01質量%〜5質量%が好ましい。
【0079】
本発明の含フッ素共重合体又は反応性含フッ素共重合体を含む溶液を、たとえば、樹脂、フィルム、繊維、ガラス、金属等の機材表面に塗布、コーティング、スプレー等により付着させることにより、基材表面の特性を改質することができる。
【0080】
含フッ素共重合体を含有する樹脂組成物
本発明に含まれる硬化性樹脂組成物は、基材に塗布するための塗液として調製される。硬化性樹脂組成物(塗液)には、防汚性とレベリング性を発揮する成分として含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体は、主に樹脂膜として機能するエネルギー線硬化性樹脂モノマー又は樹脂オリゴマー、その他、重合開始剤、溶剤等が配合される。ただし、無溶剤系塗液とする場合には溶剤は配合せず、放射線硬化の場合は重合開始剤を必要としない。また、塗液には必要に応じてその他の成分を加えてもよい。
【0081】
本発明の硬化性樹脂組成物全体量中(溶剤成分を使用する場合は、溶剤成分の量を除く)の前記含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体の含有量は、通常0.001〜10質量%程度、好ましくは0.01〜5質量%程度、より好ましくは0.1質量%〜2質量%である。
【0082】
エネルギー線硬化性樹脂モノマー又は樹脂オリゴマー成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体に加えて、これと反応して樹脂硬化膜となるエネルギー線硬化性樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー(以下、樹脂モノマー、樹脂オリゴマーということがある)を含む。
【0083】
このような樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーは、含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体と反応して硬化膜を形成するものであれば、特に限定されず、通常ハードコート膜や反射防止コート膜に用いられるエネルギー線硬化性の樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーを任意に使用することができる。
【0084】
当該樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーとしては、例えば、各種アクリレートやアクリルウレタン等のアクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の反応性化合物が挙げられ、好ましくはアクリル系樹脂が用いられる。特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化して膜形態で用いられるため、2官能以上の反応性官能基を有する樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーを用いることが好ましい。
【0085】
2官能以上の反応性官能基を有する樹脂モノマー、樹脂オリゴマーとしては、例えば、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチールプロパンPO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、各種ウレタンアクリレートオリゴマー(日本合成化学工業株式会社製 紫光シリーズ、根上工業株式会社製 アートレジンシリーズ等)等が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。該樹脂モノマー、樹脂オリゴマーは1種類でも使用できるが、2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。
【0086】
樹脂モノマー、樹脂オリゴマーを硬化させるエネルギー線としては、放射線、電子線、紫外線、可視光線等が挙げられる。放射線、電子線による硬化では電磁波のエネルギーが高いため、重合性二重結合のみで重合が可能である。紫外線、可視光線をエネルギー源とする場合には、後述の重合開始剤成分を配合することが好ましい。
【0087】
本発明の硬化性樹脂組成物全体量中(溶剤成分を使用する場合は、溶剤成分の量を除く)の当該樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーの含有量は、通常55〜99.9質量%程度、好ましくは60〜99.5質量%程度、より好ましくは、70〜99質量%程度である。
【0088】
また、当該樹脂モノマー及び樹脂オリゴマーと含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体の使用割合は、樹脂モノマー及び樹脂オリゴマー100質量部に対して、前記含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体を通常0.001〜10質量部程度、好ましくは0.01〜5質量部程度、より好ましくは0.1〜2質量部程度使用すればよい。
【0089】
重合開始剤成分
本発明の硬化性樹脂組成物には、前記含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体、樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーに加えて、必要に応じて、重合開始剤成分を含んでいても良い。
【0090】
重合開始剤成分は、従来公知のものが使用でき、例えば、光重合開始剤を使用することができる。
【0091】
光重合開始剤としては、多種多様なものが知られており、適宜選択して使用すればよい。例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ−フェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリフォリノフェニル)−ブタノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ベンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,4,5,5−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、チオキサントン、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、アントラキノン、アントロン、ジベンゾスベロン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、P−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、2−(P−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、3,3−カルボニルービス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−フェニル−5−ベンゾイルチオ−テトラゾール等が挙げられる。
【0092】
重合開始剤成分を使用する場合、1種類単独での使用も可能であるが、2種以上を任意に配合して使用してもよい。重合開始剤成分の添加量は、重合性樹脂成分(前記含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体、前記樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーの合計量)100質量部に対して、通常0.1〜50質量部程度、好ましくは0.5〜30質量部程度、より好ましくは1〜10質量部程度とすればよい。
【0093】
溶剤成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤成分を含む必要はないが、必要に応じて溶剤成分を含んでいても良い。溶剤成分としては、従来公知の溶剤成分を使用すればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル等、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルキレングリコールモノエーテル類、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジエーテル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが挙げられる。これらの溶剤成分は1種類でも使用できるが、2種以上を任意の割合で配合して使用してもよい。
【0094】
溶剤成分を使用する場合、本発明の硬化性樹脂組成物中の溶剤成分の使用量は、重合性樹脂成分(前記含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体、前記樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマーの合計量)100質量部に対して、通常25〜5000質量部程度、好ましくは40〜2000質量部程度、より好ましくは60〜1000質量部程度とすればよい。
【0095】
その他の成分
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化膜表面に形状を設けたり、その他の望む機能を付与するために、必要に応じて微粒子、フィラー等を配合してもよい。
【0096】
硬化膜の作製方法
本発明においては、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液とし、該塗液を基材に塗布した後、光照射等を行うことにより硬化膜とすることができる。
【0097】
本発明の硬化膜を得るための手順としては、含フッ素共重合体及び反応性含フッ素共重合体、樹脂モノマー及び/又は樹脂オリゴマー、さらに、必要に応じて、重合開始剤成分、溶剤成分、微粒子、フィラー等を適当な配合比で混合溶解させて、本発明の硬化性樹脂組成物を塗液として調製する。ついで、基材上に塗液を一定の膜厚となるよう塗布し、温風乾燥、真空乾燥等により溶媒成分を除去した後、放射線、電子線、紫外線、可視光線等のエネルギー線を照射することにより硬化膜を得ることができる。
【0098】
塗液の塗工方法は特に限定されないが、例えば、ウェットコーティングにより塗布され、その方式として例えばグラビア方式、バーコート方式、ワイヤーバー方式、スピンコート方式、ドクターブレード方式、ディップコート方式、スリットコート方式等が挙げられる。
【0099】
硬化膜を作製する基材としては、硬化膜の支持が可能であれば特に限定されないが、例えば、光学用途向けハードコートとして利用する場合には透明性を有するシートが望ましい。透明性シートの材質としては、ガラス、プラスチック等が挙げられ、特にプラスチックシートが好ましい。プラスチックとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース、ブチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。これらのシートは必要に応じて、バインダー処理、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の易着処理を行ってもよい。
【0100】
本発明の硬化膜の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜選択すればよい。通常は、100nm〜30μm程度とすることができる。
【実施例】
【0101】
本発明の内容を以下の実施例により説明するが、本発明の内容は実施例により限定して解釈されるものではない。
【0102】
合成例で使用している含フッ素(メタ)アクリレート(A−1)及び(A−2)は、公知の合成方法(例えば特開2010−47680に記載の合成方法)により、合成を実施した。
【0103】
合成例1
冷却管を備えた三つ口フラスコ(50mL)内に、含フッ素アクリレート(A−1)1.00g、ベンジルメタクリレート(B−1)6.00g、日油製AP−400(C−1)2.00g、メチルイソブチルケトン18.00g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.065gを入れた。反応溶液中に窒素ガスを導入し、反応容器内を窒素置換した。窒素置換後、反応溶液を撹拌しながら反応溶液を80℃まで加熱し反応を開始した。その後80℃で撹拌を14時間続行した。反応の終了を
1H−NMRの、それぞれのアクリレート特有のピークの消失で確認した。目的の含フッ素オリゴマーが定量的(33質量%メチルイソブチルケトン溶液)に得られた。得られた含フッ素共重合体を固形分濃度30質量%になるようにメチルイソブチルケトンを加え調製した。
【0104】
合成例2〜11、及び16〜20
合成例1と同様の手順で、モノマーA、B、CおよびDの割合を変更して含フッ素共重合体を合成した。モノマー割合、モノマー種は表1に示したとおりである。表1においてカッコ内の数字質量比を表す(モノマーEの欄を除く)。モノマーEのカッコ内の数字は含フッ素共重合体中の水酸基に対してのモノマーEの等量比を表す。
【0105】
合成例 12
合成例1で得られた含フッ素共重合体に、単量体(C−1)に対して0.5当量分の2−(イソシアネートエチル)アクリレート(E−1)及び0.01当量分の1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを入れ、50℃で反応溶液の攪拌を20時間続行した。反応の終了をFT−IRを用いて−N=C=O吸収(2275〜2250cm
−1)の消失により確認した。目的の反応性含フッ素オリゴマーが定量的(30質量%メチルイソブチルケトン溶液)に得られた。
【0106】
合成例13
含フッ素共重合体として合成例4の含フッ素共重合体を用いた以外は合成例12と同様の手順で反応性含フッ素共重合体を合成した。
【0107】
合成例14
含フッ素共重合体として合成例6の含フッ素共重合体を用いた以外は合成例12と同様の手順で反応性含フッ素共重合体を合成した。
【0108】
合成例15
含フッ素共重合体として合成例10の含フッ素共重合体を用いた以外は合成例12と同様の手順で反応性含フッ素共重合体を合成した。
【0109】
【表1】
【0110】
(A-1);C
9F
17OC
6H
4CO
2CH
2CH
2OC(=O)C(CH
3)=CH
2
(A-2);C
9F
17OC
6H
4CO
2CH
2CH
2CH
2CH
2OC(=O)CH=CH
2
(A′-1);C
6F
13CH
2CH
2OC(=O)C(CH
3)=CH
2
(A′-2);ポリシロキサン基含有メタクリレート(JNC株式会社製 サイラプレーンFM−0711)
(B-1);ベンジルメタクリレート
(C-1);ポリ(プロピレンオキサイド)アクリレート(日油株式会社製 ブレンマーAP−400)
(C-2);ポリ(エチレンオキサイド)アクリレート(日油株式会社製 ブレンマーAE−400)
(C-3);4−ヒドロキシブチルアクリレート
(D-1);ステアリルアクリレート
(D-2);ベヘニルアクリレート
(D-3);ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成株式会社製 FA−513M)
(D′-1);イソボルニルメタクリレート
(E-1);2−(イソシアネートエチル)アクリレート(昭和電工株式会社製、カレンズAOI)
【0111】
硬化性樹脂モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成製、商品名:M−405)50質量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア184)を2.0質量部、合成例1〜15の化合物を1.5質量部(30質量%溶液品)、溶剤としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を46.5質量部、混合し、硬化性塗工液を作成した。これをNo.8のバーコーターでポリエステルフィルム(東洋紡績製、商品名:コスモシャインA4100)に塗り広げ、100℃に設定した乾燥機に3分間投入し、溶剤を揮発させた後、UV照射することで硬化膜を得た。その評価結果を表2に示す。
【0112】
評価方法
(1)相溶性
硬化性塗工液の相溶性を目視で観察した。
評価基準 : 透明 = ○
白濁・沈殿物有 = ×
(2)接触角
作製直後の硬化膜表面に対する水、オレイン酸の接触角を接触角測定装置(協和界面化学製 DropMaster600)で測定した。
(3)指紋の視認性
硬化膜表面に指紋を付着させ、その指紋の見えやすさを目視で確認した。
◎:指紋を認識することができなかった。
○:ほとんど指紋を認識することができなかった。
△:若干指紋を認識することができた。
×:はっきりと指紋を認識することができた。
(4)指紋拭取り性
硬化膜表面に指紋を付着させ、指紋が見えなくなるまでプロワイプ(大王製紙製、商品名:エリエール プロワイプ ソフトマイクロワイパーS220)で指紋を拭き取り、その回数(往復で1回とする)を計測した。
◎: 3回以下
○: 5回以下
×: 6回以上
(5)表面平滑性
UV照射後の硬化膜表面を目視で観察した。
評価基準 : スジ、ハジキ等がない ○
スジ、ハジキ等がある ×
【0113】
【表2】
【0114】
表2から分かるように、実施例1〜9の硬化膜は、いずれも良好な親油性及び表面平滑性を示し、優れた防指紋性能を有することが分った。比較例1から(メタ)アクリレートBの成分が無い場合は、十分な親油性が得られず、防指紋性能も劣ることが分かった。比較例2から、共重合体中のフッ素含有率が高くなると、フッ素の効果により撥水撥油性が発現することで、親油性にならないために、防指紋性能も劣ることが分かった。比較例3から、含フッ素(メタ)アクリレート成分が直鎖トリデカフルオロオクチル基である場合は、十分な親油性が得られず、防指紋性能が十分でないことが分った。比較例4から含フッ素(メタ)アクリレート成分をシリコーン系メタクリレートに変更した場合は、十分な親油性が得られず、防指紋性能が十分でないことが分った。比較例5からAの含フッ素(メタ)アクリレートを含有しない場合は、表面への配向が起こらないために、平滑性が得られないことが分った。