【解決手段】熱可塑性成形材料は下記成分:(A)下記(A1)少なくとも50wt.%の部分芳香族の部分結晶性のポリアミドを含有する55〜100wt.%のポリアミド;(A2)0〜45wt.%の非ポリアミドベース熱可塑性物質((A1)と(A2)を合計すると100wt.%の成分(A)になる)から成る21〜81.9wt.%の熱可塑性物質;(B)10〜70wt.%のガラス繊維;(C)0.1〜10wt.%のLDS添加剤又はLDS添加剤の混合物;(D)8〜18wt.%のハロゲンフリー難燃剤;(E)0〜40wt.%の、(C)とは異なる粒状フィラー;(F)0〜2wt.%の他のさらなる添加剤((A)〜(F)の合計は100wt.%になる)から成る。
成分(A2)が、下記:ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン(特にPSU、PESU又はPPSUタイプの)、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリウレタン(特にTPU又はPURタイプの)、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及び該系に基づく混合物又はコポリマーから成る群より選択されること
並びに/或いは成分(A)の100wt.%中の成分(A2)の含量が5〜40wt.%の範囲、好ましくは5〜30wt.%の範囲又は10〜35wt.%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の成形材料。
成分(A1)が、部分結晶性の部分芳香族のポリアミド(A1_1)及び非晶質の部分芳香族のポリアミド(A1_2)及び/又は脂肪族ポリアミド(A1_3)の混合物から成ることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(A1)が完全に、部分結晶性の部分芳香族のポリアミドから成るか又は少なくとも60wt.%、好ましくは少なくとも65wt.%の部分結晶性の部分芳香族のポリアミドを含有するポリアミド混合物(A1)(それぞれ成分(A)の100wt.%中)から成り、
並びに/或いは成分(A1)の前記部分結晶性の部分芳香族のポリアミドが、25〜80J/gの範囲、好ましくは30〜70J/gの範囲の、DSC(ISO規格11357-11-2)により決定された融解エンタルピーを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(A)の含量が、それぞれ(A)〜(F)の合計に基づいて、25〜75.5wt.%の範囲、好ましくは30〜71wt.%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(B)の含量が、それぞれ(A)〜(F)の合計に基づいて、15〜60wt.%の範囲、好ましくは18〜55wt.%の範囲、又は18〜42wt.%の範囲、又は20〜45wt.%の範囲、又は20〜35wt.%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(B)の前記ガラス繊維が、ASTM D578-00に従うE-ガラス繊維として選択され、好ましくは非円形断面を有し、好ましくは52〜62%の二酸化ケイ素、12〜16%の酸化アルミニウム、16〜25%の酸化カルシウム、0〜10%のホウ砂、0〜5%の酸化マグネシウム、0〜2%のアルカリ金属酸化物、0〜1.5%の二酸化チタン及び0〜0.3%の酸化鉄の、ASTM D578-00に従うE-ガラス繊維として選択され、或いは高強度ガラス繊維として選択され、好ましくは非円形断面を有し、三成分系二酸化ケイ素-酸化アルミニウム-酸化マグネシウム若しくは四成分系二酸化ケイ素-酸化アルミニウム-酸化マグネシウム-酸化カルシウムに基づく高強度ガラス繊維(それらは好ましくは下記組成:58〜70wt.%、好ましくは60〜67wt.%の二酸化ケイ素(SiO2)、15〜30wt.%、好ましくは20〜28wt.%の酸化アルミニウム(Al2O3)、5〜15wt.%、好ましくは7〜12wt.%の酸化マグネシウム(MgO)、0〜10wt.%、好ましくは0〜9wt.%の酸化カルシウム(CaO)及び0〜2wt.%、好ましくは0〜1.5wt.%のさらなる酸化物、例えば特に二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ホウ素(B2O3)、二酸化チタン(TiO2)若しくは酸化リチウム(Li2O)又はこれらの酸化物の組み合わせを有する)として選択されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(B)の前記ガラス繊維が、非円形断面を有するガラス繊維であり、このガラス繊維の大断面軸と、それに対して垂直に位置する小断面軸との寸法比が、2.5より大きく、好ましくは2.5〜6の範囲、特に好ましくは3〜5の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(C)の含量が、それぞれ(A)〜(F)の合計に基づいて、0.5〜8wt.%の範囲、好ましくは1〜6wt.%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(C)が少なくとも1種のLDS添加剤を含有するか又は下記群:金属酸化物、金属リン酸塩、好ましくはアルカリ性金属リン酸塩及び/若しくは金属水酸化物リン酸塩から選択されるLDS添加剤によって完全に形成され、
並びに/或いは成分(C)が少なくとも1種のLDS添加剤を含有するか又は銅及び/若しくはスズに基づく無機化合物であるLDS添加剤によって完全に形成される
(ここで、成分(C)は好ましくは少なくとも1種のLDS添加剤を含有するか又は下記群:酸化スズ;金属若しくは金属酸化物ドープ酸化スズ;アンチモンドープ酸化スズ;金属酸化物被覆マイカ;アンチモンドープ酸化スズで被覆されたマイカ;酸化スズ及び酸化アンチモンと、任意的であるがさらなる金属酸化物との混合物;スピネル;銅-クロム酸化物;酸化銅;水酸化銅;水酸化銅リン酸塩;リン酸銅;アルカリ性リン酸銅;銅-スズリン酸塩;アルカリ性銅-スズリン酸塩;リン酸スズ;アルカリ性リン酸スズ;好ましくはマイカと組み合わせたアンチモンドープ酸化スズ;又はその混合物及び組み合わせから選択されるLDS添加剤によって完全に形成される)ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(D)の含量が、それぞれ(A)〜(F)の合計に基づいて、11〜17wt.%の範囲、好ましくは12〜16wt.%の範囲、特に好ましくは13〜16wt.%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の成形材料。
前記ハロゲンフリー難燃剤(D)がリン系難燃剤であり、この難燃剤は好ましくは、メラミンとリン酸の反応生成物、(ジ)ホスフィン酸塩及びホスファゼン化合物から選択される少なくとも1つの種を含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(E)の含量が、それぞれ(A)〜(F)の合計に基づいて、0〜25wt.%の範囲、好ましくは0〜15wt.%の範囲、特に好ましくは2〜15wt.%又は3〜10wt.%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の成形材料。
請求項1〜14のいずれか1項に記載の成形材料に基づく、好ましくは特にPDA、携帯電話、電気通信デバイス等の身につけられる電子デバイス用のハウジング若しくはハウジングパーツ、或いはパーソナルコンピューター、ノートブック、特に補聴器等の医療デバイス、センサー技術、又はRFIDトランスポンダー用のハウジング若しくはハウジングパーツ或いは特にエアーバッグモジュール又は多機能ステアリングホイール等の自動車部門用のパーツとしての部品、特に導電性トラックを有する部品。
【発明を実施するための形態】
【0008】
また、(A)〜(F)の合計中の成分(A)の含量は、25〜75.5wt.%の範囲、好ましくは30〜71wt.%の範囲にある。成分(A1)は、好ましくは完全に、部分芳香族の部分結晶性のポリアミド又はその非晶質ポリアミドとの混合物又はその脂肪族ポリアミドとの混合物から成り、ここで、いずれの場合も部分芳香族の部分結晶性のポリアミドの含量は、100wt.%の成分(A)に基づいて、少なくとも50wt.%である。好ましくは成分(A1)は主に部分芳香族の部分結晶性のポリアミドから成り、すなわち、プラスチックマトリックス全体(A)に基づいて、成分(A1)の好ましくは55〜100wt.%、特に65〜100wt.%が部分芳香族の部分結晶性のポリアミドから成る。
【0009】
成分(B)の含量は好ましくは、15〜60wt.%、好ましくは18〜55又は18〜42wt.%の範囲、特に20〜35wt.%の範囲にある。
【0010】
成分(C)の含量は好ましくは、0.5〜8wt.%の範囲、好ましくは1〜6wt.%の範囲、特に好ましくは0.5〜3.5wt.%の範囲にある。
【0011】
成分(A)は部分芳香族の部分結晶性のポリアミド(A1)から成ることができ、或いは、45%までの非ポリアミドベース熱可塑性物質(A2)と混合した部分芳香族の部分結晶性のポリアミド(A1)を含有する。
【0012】
成分(A2)は、非ポリアミドベース熱可塑性物質(A2_1)であっても、それとは異なる衝撃改質剤(A2_2)であってもよい。ここでは成分(A2_1)は好ましくは下記群:ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン(特にPSU、PESU又はPPSUタイプの)、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリウレタン(特にTPU又はPURタイプの)、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及び該系に基づく混合物又はコポリマーから選択される熱可塑性物質である。特に好ましくは、成分A2_1は、オルト位にてアルキル基で二置換されたフェノールからの通常の方法に従って酸化的カップリングにより製造されるポリフェニレンエーテルである(米国特許US3661848、US3378505、US3306874、US3306875及びUS3639656参照)。それらの製造のためには、二級アミン、三級アミン、ハロゲン又はその組み合わせ等の他の物質と組み合わせた銅、マンガン又はコバルト等の重金属に基づく触媒が一般的に用いられる。適切なポリフェニレンエーテルは、例えばポリ(2,6-ジエチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-メチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2,6-ジプロピル-1,4-フェニレン)エーテル、ポリ(2-エチル-6-プロピル-1,4-フェニレン)エーテル又はコポリマー、例えば2,3,6-トリメチルフェノールを含有するコポリマー、及び前記ポリフェニレンエーテルの混合物も適している。
【0013】
任意に2,3,6-トリメチル-フェノール単位と組み合わせてよいポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテルが好ましい。ポリフェニレンエーテルは、ホモポリマー、コポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー又はイオノマーの形で使用可能である。
【0014】
適切なポリフェニレンエーテルは一般的にクロロホルム中25℃で測定された0.1〜0.6dl/gの範囲の固有粘度を有する。これは、3,000〜40,000の分子量Mn(数平均)及び5,000〜80,000の重量平均分子量Mwに相当する。高粘度及び低粘度ポリフェニレンエーテルの組み合わせを使用することができる。異なる粘度の2種のポリフェニレンエーテルの比は、粘度及び所望の物理的特性によって決まる。本発明のポリアミド(A1)との混合物は、好ましくは15〜40wt.%のポリフェニレンエーテルを含む。より良い相溶性のために、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド又は両者と相互作用する多官能性化合物の形の相溶化剤が用いられる。この相互作用は化学的(例えばグラフト化によって)及び/又は物理的(例えば分散相の表面特性に影響を与えることによって)であり得る。
【0015】
好ましくは成分(A2)は、主鎖ポリマーと、ポリアミドへの良い結合に十分な濃度の不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和ジカルボン酸又は不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルとの熱反応又はラジカル反応によって導入される酸無水物基を含む構成要素を有する。このためには下記群:マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸、アコニット酸及び/又は無水イタコン酸から選択される試薬を使用するのが好ましい。
【0016】
好ましくは0.1〜4.0wt.%の不飽和無水物が、(A2)の成分として耐衝撃性成分にグラフトされるか又は不飽和ジカルボン酸無水物若しくはその前駆体がさらなる不飽和モノマーと一緒にグラフトされる。一般的にグラフト化度は好ましくは0.1〜1.0%の範囲、特に好ましくは0.3〜0.8%の範囲である。特に好ましくは、無水マレイン酸グラフト化ポリフェニレンエーテルを使用する。
【0017】
該系A2_1は、さらに好ましくは、後述する衝撃改質剤、成分A2の好ましい実施形態と併用することもできる。
【0018】
さらなる実施形態では、本発明の成形材料は、成分(A2_2)として45wt.%までの1種以上の衝撃改質剤(IM)を含有する。成分A2_1及びA2_2を一緒に使用する場合、A2_1:A2_2の比は少なくとも1:1、好ましくは1.2:1、特に好ましくは1.5:1であり、従って1:1〜1:10の範囲、好ましくは1.2:1〜1:10の範囲、特に好ましくは1.5:1〜1:8の範囲にある。
【0019】
5〜45wt.%、特に5〜30wt.%の範囲のIM濃度が好ましい。衝撃改質剤は天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、或いはブタジエン及び/又はイソプレンとスチレン又はスチレン誘導体及び他のコモノマーの混合ポリマー、或いは酸無水物、(メタ)アクリル酸及びそのエステルを用いたグラフト化又は共重合によって形成された水素化混合ポリマー及び/又は混合ポリマーであり得る。衝撃改質剤(A2_2)は、ブタジエン、イソプレン又はアクリル酸アルキルから成り、かつポリスチレンの、グラフトエンベロープを有する架橋エラストマーコアを含むグラフトゴム或いはエチレン-プロピレン、エチレン-プロピレン-ジエン及びエチレン-オクテン又はエチレン-酢酸ビニルゴム等の非極性若しくは極性オレフィンホモポリマー及びコポリマー或いは酸無水物、(メタ)アクリル酸及びそのエステルを用いたグラフト化又は共重合によって形成された非極性若しくは極性オレフィンホモポリマー及びコポリマーであってもよい。衝撃改質剤(A2_2)は、ポリ-(エテン-co-(メタ)アクリル酸)又はポリ(エテン-co-1-オレフィン-co-(メタ)アクリル酸)(ここで、1-オレフィンは、4個より多い原子を有するアルケン又は不飽和(メタ)アクリル酸エステルであり得る)等のカルボン酸官能化コポリマーであってもよく、酸基が金属イオンで部分的に中和されているコポリマーも含まれる。
【0020】
スチレンモノマー(スチレン及びスチレン誘導体)と他のビニル芳香族モノマーに基づく成分(A2_2)の好ましい衝撃改質剤は、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンで構成されるブロックコポリマー、及びアルケニル芳香族化合物と共役ジエンの水素化コポリマー又はこれらのIM型の組み合わせである。ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族化合物に由来する少なくとも1つのブロック(A)と、共役ジエンに由来する少なくとも1つのブロック(B)とを含む。水素化ブロックコポリマーでは、脂肪族的不飽和炭素-炭素二重結合の内容が水素化によって還元されている。ブロックコポリマーとしては、線形構造の2ブロック、3ブロック、4ブロック及びポリブロックコポリマーが好ましい。しかしながら、分岐構造及び星形構造をも使用可能である。分岐ブロックコポリマーは既知の方法、例えばポリマーの「側枝」のポリマー主鎖へのグラフト反応によって得られる。アルケニル芳香族モノマーとしては、スチレンのみならず、スチレンと混合した、芳香環及び/又はC=C二重結合においてC1-20炭化水素残基又はハロゲン原子で置換されているビニル芳香族モノマーを使用することもできる。
【0021】
アルケニル芳香族モノマーの例は、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、エチルスチレン、tert.-ブチルスチレン、ビニルトルエン、1,2-ジフェニルエチレン、1,1-ジフェニルエチレン、ビニルキシレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ブロモスチレン、クロロスチレン、及びその組み合わせである。スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン及びビニルナフタレンが好ましい。
【0022】
ジエンモノマーとしては、例えば1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、イソプレン、クロロプレン及びピペリレンが可能である。1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましく、特に1,3-ブタジエンが好ましい(以降、簡単にブタジエンと称する)。
【0023】
好ましくはスチレンをアルケニル芳香族モノマーとして用い、ブタジエンをジエンモノマーとして用いる。すなわち、スチレン-ブタジエンブロックコポリマーが好ましい。原則として、ブロックコポリマーは、それ自体既知のアニオン重合によって製造される。
【0024】
さらに、スチレン及びジエンモノマーに加えて、さらなるコモノマーを使用することもできる。コモノマーの含量は、使用するモノマーの総量に基づいて、好ましくは0〜50、特に好ましくは0〜30、特に0〜15wt.%である。適切なコモノマーは、例えばアクリル酸エステル、特にアクリル酸C1-12アルキル、例えばアクリル酸n-ブチル又はアクリル酸2-エチルヘキシル、及び対応するメタクリル酸エステル、特にメタクリル酸C1-12アルキル、例えばメタクリル酸メチル(MMA)である。さらなる可能なコモノマーは、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルメチルエーテル、ジアリル及びジビニルエーテル二官能性アルコール、ジビニルベンゼン及び酢酸ビニルである。
【0025】
共役ジエンに加えて、成分(A2)の水素化ブロックコポリマーは、任意に例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、ジシクロペンタジエン又は非共役ジエン等の低級炭化水素の割合をも含有してよい。水素化ブロックコポリマーでは、ブロックBに起因する非還元性脂肪族不飽和結合の含量は50%未満、好ましくは25%未満、特に10%未満である。ブロックA由来の芳香族含量は最大で25%に減少される。水素化ブロックコポリマースチレン-(エチレン-ブチレン)2ブロックコポリマー及びスチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン3ブロックコポリマーは、スチレン-ブタジエン及びスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーの水素化によって得られる。ブロックコポリマーは、好ましくは20〜90wt.%のブロックA、特に50〜85wt.%のブロックAから成る。ブロックBに1,2又は1,4配向性でジエンを組み入れることができる。
【0026】
非水素化ブロックコポリマーの例は、ポリスチレン-ポリブタジエン、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)、ポリスチレン-ポリイソプレン、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリブタジエン、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレン、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレン及びポリ(α-メチルスチレン-ポリブタジエン-ポリ(α-メチルスチレン)、並びにその組み合わせである。
【0027】
商業的に入手可能である適切な非水素化ブロックコポリマーはブランド名SOLPRENE(登録商標)(Phillips)、KRATON(登録商標)(Shell)、VECTOR(登録商標)(Dexco)及びSEPTON(登録商標)(Kuraray)の種々の製品である。
【0028】
さらなる好ましい実施形態によれば、本発明の成形材料は、成分(A2_2)が、ポリオレフィンホモポリマー又はエチレン-α-オレフィンコポリマー、特に好ましくはEP及び/又はEPDMエラストマー(それぞれエチレン-プロピレンゴム及びエチレン-プロピレン-ジエンゴム)を含有することを特徴とする。従って、例えばそれは、20〜96、好ましくは25〜85wt.%のエチレンを含むエチレン-C3-12α-オレフィンコポリマーに基づくエラストマーであり得る。ここで、C3-12α-オレフィンは特に好ましくは、群プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン及び/又は1-ドデセンから選択されるオレフィンであり、成分Cは、特に好ましくはエチレン-プロピレンゴム及び/又はLLDPE及び/又はVLDPEである。
【0029】
これとは別に或いはこれに加えて(例えば混合物中)、(A2)は、エチレン-C3-12α-オレフィンと非共役ジエンに基づくターポリマーを含有することができる。この場合これは、好ましくは25〜85wt.%のエチレンと、10wt.%の範囲の非共役ジエンの最大限までとを含み、特に好ましくはC3-12α-オレフィンは、群プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン及び/又は1-ドデセンから選択されるオレフィンであり、並びに/或いは非共役ジエンは好ましくは群ビシクロ(2.2.1)ヘプタジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン及び/又は特に5-エチリデンノルボルネンから選択される。
【0030】
成分(A2_2)の構成要素としてエチレン-アクリレートコポリマーも可能である。成分(A2_2)の構成要素としてさらなる可能な形態は、エチレン-ブチレンコポリマー又は該系を含有する混合物(ブレンド)である。
【0031】
好ましくは、成分(A2_2)は、主鎖ポリマーと、ポリアミドへの良い結合に十分な濃度の不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和ジカルボン酸又は不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルとの熱反応又はラジカル反応によって導入される酸無水物基を含む構成要素を有する。このためには下記群:マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸、アコニット酸及び/又は無水イタコン酸から選択される試薬が好ましく用いられる。
【0032】
好ましくは0.1〜4.0wt.%の不飽和無水物が(A2_2)の構成要素として耐衝撃性成分にグラフトされるか又は不飽和ジカルボン酸無水物若しくはその前駆体がさらなる不飽和モノマーと一緒にグラフトされる。一般的にグラフト化度は好ましくは0.1〜1.0%の範囲、特に好ましくは0.3〜0.7%の範囲である。成分(A2_2)の構成要素としてエチレン-プロピレンコポリマーとエチレン-ブチレンコポリマーの混合物も可能であり、これは無水マレイン酸のグラフト化度(MAHグラフト化度)が0.3〜0.7%の範囲である。この成分に可能な前記系を混合物中で使用することもできる。
【0033】
さらに、成分(A2_2)は、例えばカルボン酸、エステル、エポキシ、オキサゾリン、カルボジイミド、イソシアン酸、シラノール及びカルボン酸基等の官能基を有するか又は前記官能基の2つ以上の組み合わせを含有する構成要素を有することができる。これらの官能基を有するモノマーを共重合又はグラフト化によってエラストマーポリオレフィンに結合することができる。さらに、オレフィンポリマーに基づくIMを、不飽和シラン化合物、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトシラン、メタクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン又はプロペニルトリメトキシシランをグラフトすることによって修飾することもできる。
【0034】
エラストマーポリオレフィンは、直鎖、分岐又はコアシェル構造を有するランダム、交互又はセグメント化コポリマーであり、かつポリアミドの末端基と反応できる官能基を含有し、その結果、ポリアミドとIMとの間の十分な相溶性が生じる。
【0035】
このように成分(A2_2)として用いられるIMとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブテン-1等のオレフィンのホモポリマー若しくはコポリマー、又はオレフィンと、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル及びメチルヘキサジエン等の共重合可能モノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0036】
下記オレフィンポリマーが特に好ましい:低密度、中密度及び高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ-4-メチルペンテン、エチレン-プロピレンブロック若しくはランダムコポリマー、エチレン-メチルヘキサジエンコポリマー、プロピレン-メチルヘキサジエンコポリマー、エチレン-プロピレン-ブテンコポリマー、エチレン-プロピレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-プロピレン-メチルヘキサジエンコポリマー、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、ポリ(エチレン-アクリル酸エチル)(EEA)、エチレン-オクテンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー及び前記ポリマーの組み合わせ。特に、これらのオレフィンポリマーが酸無水物基で官能化されていると好ましい。
【0037】
成分(A2_2)の構成要素の文脈で使用できる商業的に入手可能な衝撃改質剤の例は以下のとおりである:Mitsui ChemicalsのTAFMER MC201、TAFMER MH5010、TAFMER MH7010又はTAFMER MH7020;Exxon Mobile ChemicalのEXXELOR VA1801、EXXELOR VA1803、EXXELOR VA1810又はEXXELOR MDEX 94-11;DuPontのFUSABOND MN493D又はFUSABOND A EB560D;及びELVALOY。
【0038】
成分(A2)の文脈ではポリマー結合カルボキシル基が全体的又は部分的に金属イオンによって結合しているイオノマーも好ましい。
【0039】
ブタジエンと、無水マレイン酸をグラフトすることによって官能化されたスチレンとの混合ポリマー、無水マレイン酸をグラフトすることによって形成された非極性若しくは極性オレフィンホモポリマー及びコポリマー、並びにポリ(エテン-co-(メタ)アクリル酸)又はポリ(エテン-co-1-オレフィン-co-(メタ)アクリル酸)等のカルボン酸官能化コポリマー(酸基が部分的に金属イオンで中和されている)が特に好ましい。
【0040】
本発明の成形材料は、好ましくは、ポリアミド(A1)と非ポリアミドベース熱可塑性物質(A2)とから成る21〜81wt.%の熱可塑性混合物(A)から成り、(A2)の濃度は、混合物Aに基づいて最大で45wt.%を構成する。ここで、成分A1は好ましくは50〜100wt.%の部分芳香族の部分結晶性のポリアミドから成る。特に、成分(A1)は、部分芳香族の部分結晶性のポリアミド(成分A1_1)及び非晶質の部分芳香族のポリアミド(成分A1_2)及び/又は脂肪族ポリアミド(A1_3)の混合物であり、部分芳香族の部分結晶性のポリアミドA1_1の濃度は少なくとも50wt.%、好ましくは少なくとも60wt.%、特に好ましくは少なくとも65wt.%である。ここで、成分(A1_2)若しくは(A1_3)又は(A1_2)と(A1_3)の合計の濃度は5-50wt.%の範囲、好ましくは10〜40wt.%の範囲、特に好ましくは10〜35wt.%の範囲にある。
【0041】
ポリアミドA1_1、A1_2又はA1_3は、m-クレゾール(0.5wt.%, 20℃)中で測定された溶液粘度η
relが1.4〜3.0の範囲、好ましくは1.5〜2.7の範囲、特に1.5〜2.4の範囲であるのが好ましい。
【0042】
成分(A1_1)は好ましくは、90〜140℃の範囲、好ましくは110〜140℃の範囲、特に115の135℃の範囲のガラス転移温度を有する部分結晶性の部分芳香族のポリアミドである。ポリアミド(A1_1)の融点は、255〜330℃の範囲、好ましくは270〜325℃の範囲、特に280〜320℃の範囲にある。成分(A1)の部分結晶性の部分芳香族のポリアミドは、DSC(ISO規格11357-11-2)により決定された融解エンタルピーが25〜80J/gの範囲、好ましくは30〜70J/gの範囲であるのが好ましい。
【0043】
ここで好ましい部分芳香族の部分結晶性のポリアミドは、下記
a) ジカルボン酸の総量に基づいて、30〜100mol.%、特に50〜100mol.%のテレフタル酸及び/又はナフタレン-ジカルボン酸並びに0〜70mol.%、特に0〜50mol.%の少なくとも1種の、炭素原子数6〜12の脂肪族ジカルボン酸、並びに/或いは0〜70mol.%、特に0〜50mol.%の、炭素原子数8〜20の少なくとも1種の脂環式ジカルボン酸、並びに/或いは0〜50mol.%のイソフタル酸、
b) ジアミンの総量に基づいて、80〜100mol.%の、炭素原子数4〜18、好ましくは6〜12の少なくとも1種の脂肪族ジアミン、並びに0〜20mol.%の少なくとも1種の脂環式ジアミン、好ましくは例えばPACM、MACM及びIPDA等の炭素原子数6〜20の脂環式ジアミン並びに/或いは0〜20mol.%の、例えばMXDA及びPXDA等の少なくとも1種のアラリファティック(araliphatic)ジアミン、及び必要に応じて
c) それぞれ炭素原子数6〜12のアミノカルボン酸及び/又はラクタム
から製造される。
【0044】
好ましい実施形態によれば、成分(A1_1)の部分芳香族のポリアミドは、少なくとも55mol.%、特に少なくとも65mol.%のテレフタル酸及び少なくとも80mol.%、好ましくは少なくとも90mol.%、特に少なくとも95mol.%の、炭素原子数4〜18、好ましくは6〜12の脂肪族ジアミンに基づいており、任意にさらなる脂肪族、脂環式及び芳香族ジカルボン酸及びラクタム及び/又はアミノカルボン酸に基づくことがある。さらなる芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸のみならず、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸を使用することができる。テレフタル酸と同様に使用できる適切な脂肪族及び脂環式ジカルボン酸は、6〜36個の炭素原子を有し、かつジカルボン酸の総量に基づいて、最大で70mol.%の比率、特に最大で50mol.%の比率で用いられる。
また、成分(A1_1)の部分芳香族のポリアミドの前記芳香族ジカルボン酸は、群:テレフタル酸、イソフタル酸、及びその混合物から選択されることも好ましい。
【0045】
さらなる好ましい実施形態によれば、テレフタル酸と同様に使用できる成分(A1_1)の部分芳香族びポリアミドの前記例えば脂肪族ジカルボン酸は、群:アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラッシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸及びダイマー脂肪酸(C36)から選択される。アジピン酸、セバシン酸及びドデカン二酸が特に好ましい。従って、テレフタル酸と同様に好ましく用いられるジカルボン酸は、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸及びドデカン二酸又は該ジカルボン酸の混合物である。ジカルボン酸として排他的にテレフタル酸に基づくポリアミドA1_1が特に好ましい。
【0046】
さらなる好ましい実施形態によれば、成分(A1_1)の部分芳香族のポリアミドの前記脂肪族ジアミンは、群:1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、又は該ジアミンの混合物から選択され、1,6-ヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、又は該ジアミンの混合物が好ましく、1,6-ヘキサンジアミン及び1,10-デカンジアミンが特に好ましい。脂肪族ジアミンのみならず、脂環式及び/又はアラリファティックジアミンをもジアミンの総量に基づいて0〜20mol.%の濃度で使用することができる。特に好ましくは、高融点ポリアミドは下記成分:
a) (A1_1a) ジカルボン酸:存在するジカルボン酸の総含量に基づいて、50〜100mol.%の芳香族テレフタル酸及び/又はナフタレン-ジカルボン酸、0〜50mol.%の、好ましくは炭素原子数6〜12の脂肪族ジカルボン酸、及び/又は好ましくは炭素原子数8〜20の脂環式ジカルボン酸、及び/又はイソフタル酸;
b) (A1_1b)ジアミン:存在するジアミンの総含量に基づいて、80〜100mol.%の、炭素原子数4〜18、好ましくは6〜12の少なくとも1種の脂肪族ジアミン、0〜20mol.%の脂環式ジアミン、好ましくは例えばPACM、MACM、IP-DA等の炭素原子数6〜20の脂環式ジアミン及び/又は例えばMXDA及びPXDA等のアラリファティックジアミン(ここで、高融点ポリアミド中のジカルボン酸の百分率モル含量は全部で100%になり、ジアミンの百分率モル含量は全部で100%になる)、及び必要に応じて
c) (A1_1c) アミノカルボン酸及び/又は好ましくは炭素原子6〜12のラクタムを含有するラクタム及び/又は好ましくは炭素原子数6〜12のアミノカルボン酸
から形成される。
【0047】
本質的に成分(A1_1a)と(A1_1b)を等モル様式で使用するが、それぞれ(A1_1a)〜(A1_1c)の合計に基づいて、(A1_1c)の濃度は好ましくは最大で20wt.%、好ましくは最大で15wt.%、特に最大で12wt.%である。
【0048】
本質的に等モルで用いる成分(A1_1a)及び(A1_1b)に加えて、分子量を調節するか又はポリマー製造中のモノマー損失を補うためにジカルボン酸(A1_1a)又はジアミン(A1_1b)を使用することができ、その結果、全体的に一方の成分(A1_1a)又は(A1_1b)の濃度が優勢になり得る。
【0049】
適切な脂環式ジカルボン酸は、cis及び/又はtransシクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸並びに/或いはcis及び/又はtransシクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸(CHDA)である。
【0050】
原則として使用する上記脂肪族ジアミンは、ジアミンの総量に基づいて、20mol.%以下、好ましくは15mol.%以下、特に10mol.%以下の低量の他のジアミンに置き換えてよい。脂環式ジアミンとして、例えばシクロヘキサンジアミン、1,3-ビス-(アミノメチル)-シクロヘキサン(BAC)、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、2,2-(4,4’-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)及び3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン(MACM)を使用することができる。アラリファティックジアミンとして、m-キシレンジアミン(MXDA)及びp-キシレンジアミン(PXDA)に言及し得る。
【0051】
述べたジカルボン酸及びジアミンに加えて、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をポリアミド形成成分(成分(A1c))として使用することもできる。適切な化合物は例えばカプロラクタム(CL)、α,ω-アミノカプロン酸、α,ω-アミノノナン酸、α,ω-アミノウンデカン酸(AUA)、ラウロラクタム(LL)及びα,ω-アミノドデカン酸(ADA)である。成分(A1a)及び(A1b)と一緒に用いるアミノカルボン酸及び/又はラクタムの濃度は、成分(A1a)〜(A1c)の合計に基づいて、最大で20wt.%、好ましくは最大で15wt.%、特に好ましくは最大で12wt.%である。4、6、7、8、11又は12個のC原子を有するラクタム又はα,ω-アミノ酸が特に好ましい。これらはラクタムピロリジン-2-オン(4個のC原子)、ε-カプロラクタム(6個のC原子)、エナントラクタム(7個のC原子)、カプリル酸ラクタム(8個のC原子)、ラウロラクタム(12個のC原子)及びα,ω-アミノ酸1,4-アミノブタン酸、1,6-アミノヘキサン酸、1,7-アミノヘプタン酸、1,8-アミノオクタン酸、1,11-アミノウンデカン酸及び1,12-アミノドデカン酸である。特に好ましい実施形態では、成分A1_1はカプロラクタム又はアミノカプロン酸を含まない。
【0052】
分子量、相対粘度又は流動性又はMVRを調節するため、モノカルボン酸又はモノアミンの形態の調節剤をバッチ及び/又は予備縮合物(precondensate)に添加することができる(予備縮合前)。調節剤として適切な脂肪族、脂環式若しくは芳香族モノカルボン酸又はモノアミンは、とりわけ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、安息香酸、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパン酸、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオ)酢酸、3,3-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)ブタン酸、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、3-(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-アミン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-アミン、4-アミノ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノールである。調節剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。アミノ又は酸基と反応し得る他の単官能性化合物、例えば無水物、イソシアネート、酸ハロゲン化物又はエステル等を調節剤として使用することもできる。使用する調節剤の通常の量は、ポリマー1kg当たり10〜200mmolにある。
【0053】
部分芳香族のコポリアミド(A1_1)は、それ自体既知の方法で製造可能である。適切な方法は種々の場所に記載されており、特許文献で検討された可能な方法の一部を以下に示す。なお、本発明の成分(A_1)のポリアミドの製造方法に関して以下に示す文献の開示内容は、本出願の開示内容に明示的に組み込まれる:DE-A-195 13 940、EP-A-0 976 774、EP-A-0 129 195、EP-A-0 129 196、EP-A-0 299 444、US 4,831,106、US 4,607,073、DE-A-14 95 393及びUS 3,454,536。
【0054】
本発明のポリアミド(A1_1)の具体的代表は以下のとおりである:PA 4T/4I、PA 4T/6I、PA 5T/5I、PA 6T/6、PA 6T/6I、PA 6T/6I/6、PA 6T/66、6T/610、6T/612、PA 6T/10T、PA 6T/10I、PA 9T、PA 10T、PA 12T、PA 10T/10I、PA10T/106、PA10T/12、PA10T/11、PA 6T/9T、PA 6T/12T、PA 6T/10T/6I、PA 6T/6I/6、PA 6T/6I/12及びその混合物、特に好ましくは、成分(A_1)の部分芳香族のポリアミドは、群:PA 6T/6I、PA 6T/10T、PA 6T/10T/6I、及びその混合物から選択される。6T単位、特に少なくとも10wt.%の6T単位を含有するポリアミド(A1_1)が好ましい。
【0055】
従って、本発明によれば、高融点ポリアミド(A1_1)として以下の部分芳香族のコポリアミドが特に好ましい:
・55〜75mol.%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位及び25〜45mol.%のヘキサメチレンイソフタルアミド単位を有する部分結晶性のポリアミド6T/6I;
・62〜73mol.%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位及び25〜38mol.%のヘキサメチレンイソフタルアミド単位を有する部分結晶性のポリアミド6T/6I
・70mol.%のヘキサメチレンテレフタルアミド単位及び30mol.%のヘキサメチレンイソフタルアミド単位を有する部分結晶性のポリアミド6T/6I;
・少なくとも50mol.%のテレフタル酸及び最大で50mol.%のイソフタル酸、特に100mol.%のテレフタル酸、並びに群ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、メチルオクタンジアミン及びデカンジアミンから選択される少なくとも2種のジアミンの混合物から製造された部分結晶性のポリアミド;
・70〜100mol.%のテレフタル酸及び0〜30mol.%のイソフタル酸並びにヘキサメチレンジアミンとドデカンジアミンの混合物から製造された部分結晶性のポリアミド;
・少なくとも50mol.%のテレフタル酸及び最大で50mol.%のドデカン二酸並びに群ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、メチルオクタンジアミン及びデカンジアミンから選択される少なくとも2種のジアミンの混合物から製造された部分結晶性のポリアミド;
・10〜60mol.%、好ましくは10〜40mol.%のヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)及び40〜90mol.%、好ましくは60〜90mol.%のデカメチレンテレフタルアミド(10T)単位を有する部分結晶性のポリアミド6T/10T;
・50〜90mol.%、好ましくは50〜70mol.%のヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)と、5〜45mol.%、好ましくは10-30mol.%のヘキサメチレンイソフタルアミド(6I)単位と、5〜45mol.%、好ましくは20〜40mol.%のデカメチレンテレフタルアミド(10T)単位とを有する部分結晶性のポリアミド6T/10T/6I;
・60〜85mol.%のヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)及び15〜40mol.%のヘキサメチレンイソフタルアミド(6I)単位を有し、さらに5〜15wt.%のカプロラクタムを含有する部分結晶性のポリアミド6T/6I/6。
【0056】
部分芳香族の部分結晶性のポリアミド(A1_1)は、最大で2.6、好ましくは最大で2.3、特に最大で2.0の溶液粘度η
rel(DIN EN ISO 307に従って測定、m-クレゾール中0.5wt.%、20℃)を有する。溶液粘度η
relが1.45〜2.3の範囲、特に1.5〜2.0又は1.5〜1.8の範囲のポリアミド(A1)が好ましい。
【0057】
本発明のポリアミド(A1_1)は、通常の重縮合プラントで予備縮合及び後縮合のプロセス順序により製造可能である。重縮合のために、上記鎖調節剤を用いて粘度を調節するのが好ましい。さらに、過剰のジアミン又はジカルボン酸を用いて粘度を調整することができる。
【0058】
ポリアミド(A1_2)には、コポリアミド6I/6T、10I/10T、12/6T、MXD6/MXDIが好ましい。50mol.%未満の6T又は10T単位含量を有する非晶質コポリアミド6I/6T、10I/10T及び12/6Tが特に好ましい。PA 6I/6T及びPA 10I/10Tが特に好ましく、組成範囲T:Iは20:80〜45:55が好ましい。コポリアミドMXD6/MXDIについては、MXD6に富む組成が好ましく、特に80mol.%超え、特に好ましくは82〜95mol.%の範囲のMXD6含量が好ましい。非晶質の部分芳香族のポリアミド(A1_2)は、m-クレゾール中(0.5wt.%、20℃)で測定された溶液粘度η
relが1.3〜2.0の範囲、好ましくは1.4〜1.8の範囲、特に1.45〜1.75の範囲であるのが好ましい。DSCを利用して決定された非晶質成分A1_2の融解エンタルピーは最大で4J/g、好ましくは2J/g未満、特に測定できない。
【0059】
脂肪族ポリアミド(A1_3)としては、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1212、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1112、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド69、ポリアミド810又はその混合物、ブレンド若しくはアロイが好ましい。PA66、PA1010及びPA12が特に好ましい。ここで、脂肪族ポリアミド(A1_3)は、m-クレゾール中(0.5wt.%、20℃)で測定された溶液粘度η
relが1.3〜2.3の範囲、好ましくは1.35〜2.0の範囲、特に1.40〜1.90の範囲であるのが好ましい。
【0060】
前記ポリアミド(A1_3)は、下記ジカルボン酸から製造可能である:アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、C36ダイマー脂肪酸及びその混合物。
【0061】
ジアミンとしては、下記モノマーが可能である:1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン及び1,18-1,14-オクタデカンジアミン。
【0062】
さらに、ポリアミドはラクタム又はアミノカルボン酸、特に炭素原子数6〜12のα,ω-アミノ酸又はラクタムで構成されてもよく、例えば下記選択肢を挙げ得る:カプロラクタム(CL)、ω-アミノカプロン酸、ω-アミノヘプタン酸、ω-アミノオクタン酸、ω-アミノノナン酸、ω-アミノデカン酸、ω-アミノウンデカン酸(AUA)、ラウロラクタム(LL)及びω-アミノドデカン酸(ADA)。カプロラクタム、アミノカプロン酸、ラウロラクタム及びアミノドデカン酸が特に好ましい。
【0063】
ポリアミド成分A1_1及びA1_2を含有するポリマー混合物では、下記組成が好ましい:
(A1_1):PA 6T/10T
(A1_2):PA 6I/6T(モル比は65:35〜75:25の範囲にあり、特に67:33である)。
(A1_1):PA 6T/10T/6I;
(A1_2):PA 6I/6T(モル比は65:35〜75:25の範囲にあり、特に67:33である)。
(A1_1):PA 6T/6I(モル比は60:40〜75:25の範囲にある);
(A1_2):PA 6I/6T(モル比は65:35〜75:25の範囲にあり、特に67:33である)。
(A1_1):PA 6T/10T
(A1_2):PA MXD6/MXDI(コポリアミド中、モル比は70:30〜90:10の範囲にあり、特に88:12である)。
【0064】
ここで、いずれの場合もそれぞれ成分(A1)に基づいて、成分(A1_1)の含量は好ましくは50〜90wt.%、特に60〜85wt.%の範囲にあり、成分(A1_2)の含量は好ましくは10〜50wt.%、特に15〜40wt.%の範囲にある。
【0065】
特定実施形態では、ポリマー混合物(ポリアミドマトリックス)について下記組成が好ましい:
(A1_1):55〜95wt.%のPA 6T/10T(モル比は10:90〜40:60の範囲にある);
(A1_2):5〜45wt.%のPA 6I/6T(6I含量は62-72mol.%である)。
【0066】
さらに、成形材料は、10〜70wt.%の成分(B)をガラス繊維(B)の形で含有し、例えばいわゆる短繊維(例えば長さが0.2〜20mmのチョップドガラス)又は連続繊維(ロービング)の形で使用する。ガラス繊維(B)は異なる断面を有してよく、円形断面を有するガラス繊維(丸繊維)及び非円形断面(平繊維)が好ましい。
【0067】
円形断面を有するガラス繊維、すなわち丸ガラス繊維は、5〜20μmの範囲、好ましくは5〜13μmの範囲、特に好ましくは6〜10μmの範囲の直径を有する。それらを短ガラス繊維(長さが0.2〜20mm、好ましくは2〜12mmのチョップドガラス)として用いるのが好ましい。
【0068】
平ガラス繊維、すなわち非円形断面を有するガラス繊維の場合、大断面軸と、それに対して垂直に位置する小断面軸との寸法比は2.5より大きく、好ましくは2.5〜6の範囲、特に3〜5の範囲を用いるのが好ましい。これらのいわゆる平ガラス繊維は、卵形、楕円形、くびれのある楕円形(いわゆる繭繊維)、多角形、矩形又はほとんど矩形の断面を有する。使用する平ガラス繊維の特性を明らかにするさらなる特徴は、大断面軸の長さが好ましくは6〜40μmの範囲、特に15〜30μmの範囲にあり、小断面軸の長さが3〜20μmの範囲、特に4〜10μmの範囲にあることにある。同時に、平ガラス繊維は、可能な限り高い充填率を有する。すなわちガラス断面部は、ガラス繊維断面をできる限り正確に取り囲む仮想の矩形を少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも85%の程度まで満たす。
【0069】
本発明の成形材料の強化については、円形及び非円形断面を有するガラス繊維の混合物を使用することもでき、この場合、平ガラス繊維の含量が優勢、すなわち繊維の総質量の50wt.%より多くを占めるのが好ましい。
【0070】
好ましくは成分(B)は、下記:E-ガラス繊維(ASTM D578-00によれば、これらは52〜62%の二酸化ケイ素、12〜16%の酸化アルミニウム、16〜25%の酸化カルシウム、0〜10%のホウ砂、0〜5%の酸化マグネシウム、0〜2%のアルカリ金属酸化物、0〜1.5%の二酸化チタン及び0〜0.3%の酸化鉄から成り;それらは好ましくは2.58±0.04g/cm
3の密度、70〜75GPaの引張Eモジュラス、3000〜3500MPaの引張強度及び4.5〜4.8%の破断点伸びを有する)、A-ガラス繊維(63〜72%の二酸化ケイ素、6〜10%の酸化カルシウム、14〜16%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、0〜6%の酸化アルミニウム、0〜6%の酸化ホウ素、0〜4%の酸化マグネシウム)、C-ガラス繊維(64〜68%の二酸化ケイ素、11〜15%の酸化カルシウム、7〜10%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、3〜5%の酸化アルミニウム、4〜6%の酸化ホウ素、2〜4%の酸化マグネシウム)、D-ガラス繊維(72〜75%の二酸化ケイ素、0〜1%の酸化カルシウム、0〜4%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、0〜1%の酸化アルミニウム、21〜24%の酸化ホウ素)、玄武岩繊維(下記概略組成を有する鉱物繊維:52%のSiO
2、17%のAl
2O
3、9%のCaO、5%のMgO、5%のNa
2O、5%の酸化鉄及び他の金属酸化物)、AR-ガラス繊維(55〜75%の二酸化ケイ素、1〜10%の酸化カルシウム、11〜21%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、0〜5%の酸化アルミニウム、0〜8%の酸化ホウ素、0〜12%の二酸化チタン、1〜18%の酸化ジルコニウム、0〜5%の酸化鉄)及びその混合物から成る群より選択される。
【0071】
成分(B)の好ましい実施形態は、三成分系二酸化ケイ素-酸化アルミニウム-酸化マグネシウム又は四成分系二酸化ケイ素-酸化アルミニウム-酸化マグネシウム-酸化カルシウムに基づく高強度ガラス繊維であり、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムの含量の合計は、総ガラス組成に基づいて少なくとも78wt.%、好ましくは少なくとも87%、特に好ましくは少なくとも92%である。
【0072】
特に、58〜70wt.%の二酸化ケイ素(SiO
2)、15〜30wt.%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)、5〜15wt.%の酸化マグネシウム(MgO)、0〜10wt.%の酸化カルシウム(CaO)及び0〜2wt.%の、例えば二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ホウ素(B
2O
3)、二酸化チタン(TiO
2)又は酸化リチウム(Li
2O)等のさらなる酸化物の組成を用いるのが好ましい。さらなる実施形態では、高強度ガラス繊維は、60〜67wt.%の二酸化ケイ素(SiO
2)、20〜28wt.%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)、7〜12wt.%の酸化マグネシウム(MgO)、0〜9wt.%の酸化カルシウム(CaO)及び0〜1.5wt.%の、例えば二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ホウ素(B
2O
3)、二酸化チタン(TiO
2)及び酸化リチウム(Li
2O)等のさらなる酸化物の組成を有する。
【0073】
高強度ガラス繊維が下記組成を有するのが特に好ましい:62〜66wt.%の二酸化ケイ素(SiO
2)、22〜27wt.%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)、8〜12wt.%の酸化マグネシウム(MgO)、0〜5wt.%の酸化カルシウム(CaO)及び0〜1wt.%の、例えば二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ホウ素(B
2O
3)、二酸化チタン(TiO
2)及び酸化リチウム(Li
2O)等のさらなる酸化物。
【0074】
高強度ガラス繊維は、3700MPa以上、好ましくは少なくとも3800又は4000MPaの引張強度、少なくとも4.8%、好ましくは少なくとも4.9又は5.0%の破断点伸び、及び75GPa超え、好ましくは78又は80GPa超えの引張Eモジュラスを有する。これらのガラス特性は、23℃の温度及び50%の相対大気湿度で10μmの直径と12.7mmの長さを有する単一の繊維(元の状態の単一フィラメント)について測定すべきである。成分(B1)のこれらの高強度ガラス繊維の具体例はOwens Corningの995サイズを有するS-ガラス繊維、NittoboのT-ガラス繊維、3BのHiPertex、Sinoma Jinjing FiberglassのHS4-ガラス繊維、VetrotexのR-ガラス繊維並びにAGYのS-1-及びS-2-ガラス繊維である。
【0075】
本発明により例えばロービングとして使用するガラス繊維(連続繊維)は、8〜20μm、好ましくは12〜18μmの直径(丸ガラス繊維では)又は小断面軸(平ガラス繊維では)を有する。ここで、ガラス繊維の断面は、円形、卵形、楕円形、くびれのある楕円形、多角形、矩形又はほとんど矩形であり得る。断面軸の比、すなわち大断面軸対小断面軸の比が2.5〜5のいわゆる平ガラス繊維が特に好ましい。連続繊維は、上記ガラスタイプから製造可能であり、E-ガラスに基づく高強度ガラスタイプの連続繊維が好ましい。これらの連続繊維は、長繊維強化ペレットの既知製造方法、特に引き抜き成形法によって本発明のポリアミド成形材料に組み入れられる。この方法では、連続繊維ストランド(ロービング)に完全にポリマー溶融物を含浸させてから冷却かつチョップする。このようにして得られた、好ましくは3〜25mm、特に4〜12mmのペレット長を有する長繊維強化ペレットをさらに通常の加工方法(例えば射出成形及び加圧成形等)で成形品に加工することができる。
【0076】
成分(B)としては、非円形断面(平繊維)及び少なくとも2.5の大断面軸対小断面軸の軸比を有するE-ガラスのガラス繊維、並びに/或いは円形又は非円形断面と、本質的に成分二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムに基づく組成(ここで、酸化マグネシウム(MgO)の含量は5〜15wt.%であり、酸化カルシウムの含量は0〜10wt.%である)とを有する高強度ガラス繊維が好ましい。
【0077】
平E-ガラス繊維としての成分(B)のガラス繊維は、好ましくは2.54〜2.62g/cm
3の密度、70〜75GPaの引張Eモジュラス、3000〜3500MPaの引張強度及び4.5〜4.8%の破断点伸びを有し、これらの機械的特性は、23℃及び50%の相対大気湿度で10μmの直径及び12.7mmの長さを有する単一繊維について測定した。
本発明のガラス繊維は、熱可塑性物質、特にポリアミドに適したアミノシラン又はエポキシシラン化合物に基づくカップリング剤を含有するサイズを備えることができる。
【0078】
好ましくは成分(C)の含量は0.5〜8wt.%の範囲、好ましくは1〜6wt.%の範囲、特に好ましくは0.5〜4.5wt.%の範囲にある。
成分(C)は、好ましくはUV、VIS又はIR線に対してゼロ以外の吸収係数を有するLDS添加剤であり、好ましくはレーザー光線としての電磁放射線の作用下で金属シードを形成し、この金属シードは、化学的金属化プロセスで成形品の表面上の照射部位に導体トラックを生成するための金属層の堆積を促進し、及び/又は可能にし、及び/又は改善する。このLDS添加剤は好ましくは、可視光線及び赤外線領域において少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.1、特に少なくとも0.2の吸収係数で光吸収を有し、及び/又は放射エネルギーをLDS添加剤に伝達する吸収体を与える。
【0079】
成分(C)は、好ましくは、50〜20000nm、好ましくは200〜15000nm、特に好ましくは300〜5000nmの範囲の平均粒径(D50)、及び/又は最大で10、特に最大で5のアスペクト比を有するLDS添加剤である。粒径の尺度として述べたD50値は平均粒径の尺度であり、サンプルの50体積%はD50値(メジアン)より微細であり、サンプルの残りの50%はD50値より粗い。
【0080】
好ましい実施形態では、成分(C)は、金属酸化物、特に下記一般的化学式を有するいわゆるスピネルの群から選択されるLDS(レーザー直接構造化(Laser Direct Structuring))添加剤である。
AB
2O
4
式中、Aは2価の金属カチオンを表し、Aは好ましくはマグネシウム、銅、コバルト、亜鉛、スズ、鉄、マンガン及びニッケル並びにその組み合わせから成る群より選択され;
Bは3価の金属カチオンを表し、Bは好ましくはマンガン、ニッケル、銅、コバルト、スズ、チタン、鉄、アルミニウム及びクロム並びにその組み合わせから成る群より選択され、
特に好ましくは、LDS添加剤は銅鉄スピネル、銅含有マグネシウムアルミニウム酸化物、銅クロムマンガン混合酸化物、銅マンガン鉄混合酸化物(任意にそれぞれ酸素欠陥部位を有してよい)、又は銅の塩及び酸化物、例えば特に酸化銅(I)、酸化銅(II)、アルカリ性リン酸銅、水酸化銅リン酸塩、硫酸銅、及び金属錯体化合物、特に銅、スズ、ニッケル、コバルト、銀及びパラジウムのキレート錯体又は該系の混合物であり、並びに/或いは特に下記群:銅クロムマンガン混合酸化物、銅マンガン鉄混合酸化物、銅クロム酸化物、亜鉛鉄酸化物、コバルトクロム酸化物、コバルトアルミニウム酸化物、マグネシウムアルミニウム酸化物、並びにその混合物及び/又は表面処理形態及び/又はその酸素欠陥部位を有する形態から選択される。例えばWO-A-2000/35259又はPlastics 92 (2002) 11, 2-7に記載されているような系が可能である。
【0081】
さらに、成分(C)は、好ましくは銅(Cu)、スズ(Sn)、及び/又は鉄(Fe)のリン酸塩、縮合リン酸塩、ホスホン酸塩、亜リン酸塩及び混合水酸化物リン酸オキソアニオン、特に三スズリン酸塩(CAS 15578-32-3)、三銅リン酸塩(CAS 7798-23-4)、銅二リン酸塩(CAS 10102-90-6)、水酸化銅リン酸塩(CAS 12158-74-6)及びその混合物の中から選択される。
【0082】
また好ましくは、成分(C)として、LDS(レーザー直接構造化)添加剤は、スズに基づいた金属酸化物、金属混合酸化物、金属水酸化物酸化物、及び金属亜リン酸塩酸化物の群から選択される。酸化スズ及びドープ酸化スズが特に好ましく、ドーピングは、アンチモン、ビスマス、モリブデン、アルミニウム、チタン、ケイ素、鉄、銅、銀、パラジウム及びコバルトを用いて達成することができる。アンチモン、チタン又は銅をドープした酸化スズが特に好ましい。さらに、酸化スズと少なくとも1種の他の金属酸化物、特に酸化アンチモンとの混合物がLDS添加剤として好ましい。ここで、さらなる金属酸化物として、特に二酸化チタン、酸化アンチモン(III)、酸化亜鉛、酸化スズ及び/又は二酸化ジルコニウム等の無色の高屈折性金属酸化物も、また例えば酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化コバルト、特に酸化鉄(Fe
2O
3、Fe
3O
4)等の着色金属酸化物も使用される。特に好ましくは、酸化スズと酸化アンチモン(III)の混合物が用いられる。
【0083】
好ましくはドープ酸化スズ又は金属酸化物混合物又は酸化スズが板状基板、特に層ケイ酸塩、例えば合成若しくは天然マイカ、タルク、カオリン、ガラス板又は二酸化ケイ素板等の上に層として形成される。金属酸化物の基板としては、マイカ又はマイカフレークが特に好ましい。さらに、例えば板状酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、LCP(液晶ポリマー)、ホログラフィック顔料又は被覆黒煙板等の板状金属酸化物も基板として可能である。
【0084】
マイカの表面が金属ドープ酸化スズで被覆されているマイカベースのLDS添加剤が特に好ましい。アンチモンドープ酸化スズが特に好ましい。本発明によれば、市販のLDS添加剤は、MerckのLazerflair LS820、LS825、LS830及びMinatec 230 A-IR、並びにKeeling & WalkerのStanostat CP40W、Stanostat CP15G又はStanostat CP5Cである。
【0085】
このように銅及び/又はスズに基づくLDS添加剤が成分(C)として好ましい。好ましくは、成分(C)は、酸化スズ、金属若しくは金属酸化物ドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、金属酸化物被覆マイカ、アンチモンドープ酸化スズで被覆されたマイカ、酸化スズと酸化アンチモン、任意にさらなる金属酸化物との混合物、スピネル、銅クロム酸化物、酸化銅、水酸化銅、水酸化銅リン酸塩、リン酸銅、アルカリ性リン酸銅、又はその混合物及び組み合わせから成る群より選択される。
【0086】
特に好ましいLDS添加剤は(ハロゲンフリー難燃剤及びガラス繊維強化と組み合わせて、それらは非常に良い機械的特性を有する成形材料をもたらすので)、アルカリ性リン酸銅、水酸化銅リン酸塩、銅スズリン酸塩、アルカリ性銅スズリン酸塩、リン酸スズ、アルカリ性リン酸スズ及びアンチモンドープ酸化スズであり、アンチモンドープ酸化スズはマイカと組み合わせて使用するのが好ましい。例えば銅クロマイト等のスピネルに基づくLDS添加剤の置き換えによって、これらの特に好ましいLDS添加剤により、その他の点では同一の成形材料において機械的特性が著しく改善される。従って破断点伸び及び引き裂き抵抗は10〜20%増加し、耐衝撃性及びノッチ耐衝撃性は40%上昇し、HDT Aは10%上昇する。これらの特に好ましい成形材料のHDT B値も、同等のスピネルベース成形材料より少なくとも5℃高くにある。
【0087】
本発明の成形材料は、8〜18、好ましくは9〜16、特に好ましくは10〜15wt.%のハロゲンフリー難燃剤(成分(D))を含有する。成分(D)は、好ましくは60〜100wt.%、好ましくは70〜98wt.%、特に好ましくは80〜96wt.%のリン含有難燃剤、好ましくはホスファゼン、ホスフィン酸塩及び/又はジホスフィン酸塩(成分D1)と、それぞれ0〜40wt.%、又は2〜30wt.%、又は4〜20wt.%の窒素含有共力剤(Synergist)並びに/或いは窒素及び/又はリン含有難燃剤(成分D2)とで構成される。ここで、成分D2は、好ましくはメラミン又はメラミンの縮合生成物、特にメレム(melem)、メラム(melam)、メロン(melon)等、或いはメラミンとポリリン酸の反応生成物又はメラミンとポリリン酸の縮合生成物或いはその混合物、特にポリリン酸メラミンから選択される。
【0088】
成分(D2)としては、ポリリン酸メラミンが特に好ましい。該難燃剤は最新技術から知られている。これについては、DE 103 46 3261を参照されたい(これに関するこの文書の開示内容は本明細書に明示的に組み込まれる)。
成分(D1)としては、ホスフィン酸及び/又はジホスフィン酸及び/又はそのポリマーの金属塩が好ましく、この金属イオンは、周期表の第2若しくは第3典型族又は遷移族由来であり、有機残基は好ましくは直鎖若しくは分岐C1-C10アルキル、及び/又はアリール、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン又はアリールアルキレンである。金属イオンとしては、アルミニウム、カルシウム、バリウム及び亜鉛が特に好ましい。
【0089】
難燃剤成分(D1)と(D2)の組み合わせには、成分(D)に基づいて0.5〜10wt.%、好ましくは0.5〜5%の酸素含有、窒素含有又は硫黄含有金属化合物をいわゆる「難燃性安定剤」(成分(D3))として任意にさらに添加することができる。ここで好ましい金属はアルミニウム、カルシウム、マグネシウム及び亜鉛である。適切な化合物は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、スズ酸塩及びこれらの化合物の組み合わせ又は混合物、例えば酸化物-水酸化物又は酸化物-水酸化物-炭酸塩等から選択される。例は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト(bohmite)、ジヒドロタルサイト(dihydrotalcite)、ハイドロカルマイト(hydrocalumite)、水酸化カルシウム、酸化スズ水和物、水酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルカリ性ケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸カリウム及びベヘン酸マグネシウムである。従って、本発明のプラスチック成形材料及びそれから製造された成形品を用いて、上記優れた特性と共に、顕著な難燃性が達成されることをさらに強調しなければならない。UL分類(UL-94、Underwriters Laboratories(U.L.)の規格に従う試験、www.ulstandards.com参照)によれば、本成形材料は、0.8〜3.2mm厚の試験片についてV0である。
【0090】
本発明のコポリアミドは、共力剤(D2)を添加しなくてさえ難燃剤クラス「V0」を達成する。従って難燃性供給は好ましくは排他的に成分D1及びD3で構成される。難燃剤として、総成形材料に基づいて11〜16wt.%の濃度範囲のジエチルホスフィン酸アルミニウムが特に好ましく、0.2〜1.0wt.%のポリリン酸メラミンと併用すると特に好ましい。なお、いずれの場合も量の情報は成形材料全体(A〜Fの合計)に関するものである。
【0091】
好ましくは、成分(E)の含量は、0〜25wt.%の範囲、好ましくは0〜15wt.%の範囲、特に好ましくは2〜15wt.%又は3〜10wt.%の範囲にある。タルク、チョーク又は炭酸カルシウムは例えば金属シードの生成を促進するか又は導電性トラックの基板への接着力を高めることができる。
【0092】
成分(E)の粒状フィラーとしては、当業者に既知の全てのフィラーが可能である。これらには、特に、タルク(ケイ酸マグネシウム)、マイカ、ケイ酸塩、石英、珪灰石、カオリン、ケイ酸、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、粉砕又は沈降炭酸カルシウム、石灰石、長石、無機顔料、例えば酸化鉄若しくは鉄マンガン酸化物等又は特に白色顔料、例えば硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン及び二酸化チタン(ルチル、アナターゼ)等、永久磁性若しくは磁化可能金属又は合金、中空球ケイ酸塩フィラー、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、フッ化カルシウム及びこれらの混合物から成る群より選択される粒状フィラーが含まれる。フィラーを表面処理することもできる。
【0093】
成分(E)については、本発明の成形材料は任意に、総成形材料に基づいて1〜10、好ましくは1〜8、特に好ましくは1.5〜6wt.%の無機白色顔料を含有してよい。成分(E)が排他的に群:硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン及び二酸化チタン(ルチル、アナターゼ)から選択される無機白色顔料から成ることも好ましく、この場合、白色顔料は好ましくは0.1〜40μmの範囲、好ましくは0.1〜20μmの範囲、特に0.1〜10μmの範囲の平均粒径(D50)を有する。硫化亜鉛が特に好ましい。成分(E)として使用する金属酸化物は、成分(C)及び(D)とは異なる。
【0094】
フィラー(成分E)は、好ましくは0.1〜40μmの範囲、好ましくは0.2〜20μmの範囲、特に0.3〜10μmの範囲の平均粒径(D50)を有する。アスペクト比L/b1及びL/b2が両方とも最大で10、特に最大で5である形の粒状フィラーが好ましい。アスペクト比は、粒子の最大長Lの、その平均幅b1又はb2に対する率によって表される。ここで、互いに垂直に位置するb1及びb2は、長さLに垂直な平面内にある。
【0095】
当然に、成分(F)については、本発明の熱可塑性ポリアミド成形材料は、さらに、当業者に一般的に知られている通常の添加剤を添加剤(F)の形で含有し、これは好ましくは下記:カップリング剤、安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、光安定剤、UV安定剤、UV吸収剤、UV遮断剤、無機熱安定剤、特にハロゲン化銅及びアルカリ金属ハロゲン化物に基づくもの、有機熱安定剤、導電性添加剤、カーボンブラック、蛍光増白剤、加工助剤、核形成剤、結晶化促進剤、結晶化遅延剤、流動用添加剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、顔料、特に有機顔料、染料から成る群より選択される。なお、これらの物質及び混合物を記している成分(D)とは異なる。
【0096】
さらに、本発明は、上述したように成形材料に基づく部品(成形品)、特に導電性トラックを有する部品に関する。MID技術の利用分野は、自動車製造、工業オートメーション、医療技術、屋内電気器具工業、家庭用電化製品、電気通信技術、測定及び分析技術、工学、及び航空宇宙産業である。従って本発明は、本発明の成形材料から製造された成形品を含有する物品、特に相互接続デバイスにも間接的に関連する。一態様では、相互接続デバイスを用いてアンテナを製造する。
【0097】
該成形品は、例えばPDA、携帯電話、他の電気通信デバイス等の身につけられる電子機器用のハウジング若しくはハウジングパーツ、或いはパーソナルコンピューター、ノートブック、例えば補聴器等の医療デバイス、センサー技術又はRFID(ラジオ周波数識別)トランスポンダー用のハウジング若しくはハウジングパーツ或いは例えばエアーバッグモジュール又は多機能ステアリングホイール等の自動車部門用のパーツである。
プラスチック射出成形における広範な設計の可能性に基づいて、三次元接続デバイスを製造することができる。さらに、ハンドル、リード、キー、電気プラグ又は他の接続部品等の典型的な機械的機能を統合することができる。E/E及び燃料システム用のコネクターも可能である。さらなる実施形態については従属請求項で述べる。
【実施例】
【0098】
好ましい実施形態の説明
以下、具体的実施例(E)を用いて本発明を説明し、最新技術(CE)に従う低効率システムと比較する。以下に示す実施例は、本発明を実証し、かつ最新技術との差異を明らかにするために役立つが、特許請求の範囲に規定される本発明の一般的主題を限定するために実施例を引用すべきでない。
【0099】
実施例E1〜E14及び比較例CE1〜CE5
Werner and Pfleidererのスクリュー径が25mmの2軸押出機で指定プロセスパラメーター(表1)を用いて表2〜4に示す成分をコンパウンドする。これに、ポリアミド顆粒及び添加剤をフィードゾーンに量り入れながら、ノズル前方の側面フィーダー3ハウジングユニットを介してガラス繊維をポリマー溶融物に量り入れる。水中造粒又は水中でホットダイにより造粒を行なった。この造粒法では、ポリマー溶融物はホール型ダイを介してプレス加工され、ダイから出た直後に水流中で回転ナイフにより造粒される。造粒及び120℃での24時間の乾燥後、顆粒の特性を測定し、試験片を作製した。
射出成形機Arburg Allrounder 320-210-750を用いてゾーン1〜4の規定シリンダー温度及び規定金型温度でこれらの材料を射出成形して試験片とした(表1参照)。
【0100】
表1:実施例及び比較例のコンパウンディング及び射出成形
【0101】
表2:実施例E1〜E7の組成及び特性
【0102】
表3:比較例CE1〜CE5の組成及び特性
【0103】
表4:実施例E8〜E14の組成及び特性
【0104】
主要物質:
PA 6I/6T (70:30):テレフタル酸(30mol.%)、イソフタル酸(70mol.%)及び1,6-ヘキサンジアミンに基づき、125℃のガラス転移温度及び1.54の溶液粘度を有する非晶質の部分芳香族のポリアミド。
PA 6I/6T (30:70):テレフタル酸(70mol.%)、イソフタル酸(30mol.%)及び1,6-ヘキサンジアミンに基づき、325℃の融点及び1.58の溶液粘度を有する部分結晶性の部分芳香族のポリアミド。
PA 6T/10T:1,6-ヘキサンジアミン(15mol.%)、1,10-デカンジアミン(85mol.%)及びテレフタル酸に基づき、305℃の融点及び1.62の溶液粘度を有する部分結晶性の部分芳香族のポリアミド。
PPE タイプA:Bondyram 6008、無水マレイン酸変性PPE, Polyram
ガラス繊維タイプA:CPIC ECS 301 HP、長さ3mm、直径10μm、CPIC, China. (円形断面を有するガラス繊維)
ガラス繊維タイプB:CPIC ECS 301 T、長さ3mm、幅24μm、厚さ8μm、断面軸のアスペクト比=3、CPIC, China (平ガラス繊維)
ガラス繊維タイプC:HPXSS PAX95 10-4、長さ4mm、直径10μm、Owens Corning Vetrotex, France, (円形断面を有するガラス繊維)
LDS添加剤1:Shepherd Schwarz 30C965 (The Shepherd Color Company)、銅クロマイト (CuCr
2O
4)、0.6μmの平均粒径。
LDS添加剤2:Fabulase 322 S、水酸化銅(II)硫酸塩、Budenheim
LDS添加剤3:Fabulase 330、スズベースの金属硫酸塩、Budenheim
白色顔料:二酸化チタン KRONOS 2222、白色顔料。>92.5%の二酸化チタン。ルチル。コーティング:Al、Si、ポリシロキサン。d
50 0.21μm。D 4.0g/cm
3。
FSM-1:Exolit(登録商標)OP1230、有機リン塩(Clariant Produkte GmbH)、難燃剤
FSM-2:Melapur 200/70、ポリリン酸メラミン(BASF)
【0105】
下記規格に準拠し、下記試験片について測定を行なった。
(熱)機械的特性:
引張Eモジュラスは、ISO 527に従い、1mm/分の引張速度で測定し、降伏応力、引き裂き抵抗及び破断点伸びは、ISO 527に従い、23℃の温度で50mm/分の引張速度(非強化型)又は5mm/分の引張速度(強化型)にて測定した。ここで、試験片としてISO引張ロッド規格:ISO/CD 3167、タイプAl、170×20/10×4mmを使用した。
耐衝撃性及びシャルピー(Charpy)ノッチ耐衝撃性は、ISO 179に従い、ISO試験ロッド規格:ISO/CD 3167、タイプB1、80×10×4mmについて温度23℃で測定した。熱挙動(融解温度(T
m)、融解エンタルピー(ΔH
m)及びガラス転移温度(T
g))は、ISO規格11357-11-2に基づいて顆粒について測定した。示差走査熱量測定(DSC)は、20℃/分の加熱速度で行なった。ガラス転移温度(T
g)に関して、中間段階の温度と変曲点を示す。
相対粘度(η
rel)は、DIN EN ISO 307に従い、0.5wt.%のm-クレゾール溶液に基づいて20℃で測定した。サンプルとしては顆粒を用いた。
HDT A(1.8MPa)及びHDT B (0.45MPa)の形式の耐熱変形性は、ISO 75に従い、寸法80×10×4mmのISOバトンについて測定した。
【0106】
表面特性、光沢:
光沢は、ISO 2813に従い、Minolta Multi Gross 268型の機器を用いて85°の角度と23℃の温度で寸法80×80×1mmのプレートについて測定した。
【0107】
レーザー構造化能力(structurability):
金属化挙動の評価のため、Nd:YAGレーザーを用いて射出成形品(プレート60×60×2mm)を構造化してから銅めっき槽内で無電流金属化した。レーザー構造化では、成形品表面上の18個の隣接する5×7mmサイズの領域を照射した。LPKF Microline 3Dレーザーを用いて、1064nmの波長及び約50μmの照射幅で4m/秒の速度にてレーザー構造化を行なった。この間に、パルス周波数もレーザー出力も変動した。60、80及び100kHzの特有のパルス周波数のため、いずれの場合も出力を3〜17ワットの範囲で変えた。レーザー構造化後、成形品を清浄プロセスに供してレーザープロセスの残渣を除去した。この間に、成形品は、界面活性剤及び脱イオン水を含む超音波洗浄機を連続的に通過する。次に清浄成形品を還元性銅めっき槽(MacDermid MID-Copper 100 B1)内で60〜80分間金属化する。この間に、レーザー照射された領域上に3〜5μmの平均厚で銅が堆積される。
【0108】
金属化能:
以下のように光学的に金属化能を評価した:
++:全18個の領域がそれぞれ均一に金属化され、堆積銅層は3〜5μmの平均厚を有する。
+:15〜17個の領域がそれぞれ均一に金属化され、堆積銅層は3〜5μmの平均厚を有する(最小エネルギーで構造化された領域は金属化が不十分である)。
o:12〜14個の領域がそれぞれ均一に金属化され、堆積銅層は3〜5μmの平均厚を有する。
-:12個未満の領域がそれぞれ均一に金属化され、堆積銅層は3〜5μmの平均厚を有するか又は非構造化領域(照射なし)が金属化された。
【0109】
化学的還元性銅堆積は、全ての成形相互接続デバイス(MID)技術において決定的な初期金属化プロセスであり、層全体の品質を決定する。従ってそれは一次金属層の品質を評価するのに全く十分である。完成MID部品に達するためには、第1銅層(一次層)を土台にして、原則としてニッケル次いで無電解金の最終層が堆積される。当然に、例えばさらなる銅、パラジウム、スズ又は銀層等の他の金属層を一次層上に適用することができる。
【0110】
はんだ付け性:
射出成形プロセスで下記寸法:長さ×幅60×60mmの段階プレートを作製する。この間に5工程様段階で以下のようにプレート高さが実現される:1.2mm、1.7mm、2.2mm、2.7mm及び3.2mm。また、該工程段階は幅60mm及び深さ12mmである。これらの段階プレートを、耐湿レベル(Moisture Sensitivity Level)(MSL 1)についてJoint Industry Standard IPC/JEDEC J-STD-020D.1に記載されているようにAngelantoni Industrie s.p.a.(IT)の耐候試験機(climatic cabinet)Allen 600で85℃及び85%の相対湿度にて168時間調整する。次に、いずれの場合も3段階プレートを回路基板の上に置き(片面温度荷重)、Essemtec AG(CH)のリフローはんだ付けシステムRO300FCを通して200mm/分のコンベヤーベルト速度で輸送する。表5に示す温度にホットゾーンを設定する。試験2(片面)では、1.7mm厚のプレート段階について規定はんだ付けプロファイルが260℃のピーク温度をもたらす。この1.7mm厚の段階の表面温度は54秒255℃超え、22秒260℃超えである。はんだ付け試験の結果として、気泡を含まない試験プレート段階の厚さを最小壁厚として決定し、表2〜4に記入した。
【0111】
CE1〜CE3は十分な機械的特性を有し、難燃剤分類V0を達成し、リフロープロセスではんだ付けできるが、それらは金属化できない。一方、CE4及びCE5は満足のいくように金属化できるが、UL94の難燃性要件を満たさない。
【0112】
一方、実施例E1〜E14の成形材料から作製した成形パーツは良い機械的特性及び高い表面品質(光沢)を有し、リフロープロセスで確実にはんだ付け可能であり、かつUL94の難燃剤分類V0を達成する。
成分(A2)が、下記:ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン(特にPSU、PESU又はPPSUタイプの)、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリウレタン(特にTPU又はPURタイプの)、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及び該系に基づく混合物又はコポリマーから成る群より選択される、請求項1に記載の成形材料。
成分(A1)が完全に、部分結晶性の部分芳香族のポリアミドから成るか又は少なくとも60wt.%、好ましくは少なくとも65wt.%の部分結晶性の部分芳香族のポリアミドを含有するポリアミド混合物(A1)(それぞれ成分(A)の100wt.%中)から成る、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(B)の含量が、それぞれ(A)〜(F)の合計に基づいて、15〜60wt.%の範囲、18〜55wt.%の範囲、又は18〜42wt.%の範囲、又は20〜45wt.%の範囲、又は20〜35wt.%の範囲にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(B)の前記ガラス繊維が、非円形断面を有するガラス繊維であり、このガラス繊維の大断面軸と、それと垂直に位置する小断面軸との寸法比が、2.5より大きく、好ましくは2.5〜6の範囲、特に好ましくは3〜5の範囲にある、請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(C)が少なくとも1種のLDS添加剤を含有するか又は下記群:金属酸化物、金属リン酸塩、好ましくはアルカリ金属リン酸塩及び/若しくは金属水酸化物リン酸塩から選択されるLDS添加剤によって完全に形成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(D)の含量が、それぞれ(A)〜(F)の合計に基づいて、11〜17wt.%の範囲、好ましくは12〜16wt.%の範囲、特に好ましくは13〜16wt.%の範囲にある、請求項1〜10のいずれか1項に記載の成形材料。
前記ハロゲンフリー難燃剤(D)がリン系難燃剤であり、この難燃剤は好ましくは、メラミンとリン酸の反応生成物、(ジ)ホスフィン酸塩及びホスファゼン化合物から選択される少なくとも1つの種を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の成形材料。
成分(E)の含量が、それぞれ(A)〜(F)の合計に基づいて、0〜25wt.%の範囲、好ましくは0〜15wt.%の範囲、特に好ましくは2〜15wt.%又は3〜10wt.%の範囲にある、請求項1〜13のいずれか1項に記載の成形材料。