【解決手段】(A)(A1)60〜100wt%のポリアミドからなる熱可塑性物質;(A2)(A2_1)0〜40wt%の、(A1)以外の熱可塑性物質と、(A2_2)0〜40wt%の、(A1)及び(A2_1)以外の衝撃改質剤、0〜40wt%の混合物から成る20〜88wt%の混合物;(B)10〜70wt%の繊維状アジュバント;(C)0.1〜10wt%のLDS添加剤又はLDS添加剤の混合物{LDS添加剤はCu、Nd、Mo、Bi、Sb、又はSnの金属酸化物、金属リン酸塩又は金属水酸化物リン酸塩};(D)0.1〜20wt%の白色顔料;(E)0〜20wt%の粒状フィラー;(F)0〜2wt%の更なる異なる添加剤[(A)〜(F)の合計は100wt%]から成る組成物。
成分(A1_1)の前記脂肪族ポリアミドが、下記:ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1212、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1112、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド69、ポリアミド810又はそれらの混合物、コポリマー、ブレンド若しくはアロイ、特に好ましくはポリアミド46、ポリアミド6及びポリアミド66並びにその混合物及びコポリマーから成る群、
或いは排他的に6個以下の炭素原子を有するラクタム及び/又はアミノカルボン酸及び/又はジアミンとジカルボン酸単位に基づき、さらに好ましくは排他的に6個以下の炭素原子を有するジアミンとジカルボン酸単位に基づくホモポリアミド又はコポリアミド、
或いは排他的に6個より多い炭素原子を有するラクタム及び/又はアミノカルボン酸及び/又はジアミンとジカルボン酸単位に基づき、さらに好ましくは排他的に6個より多い炭素原子を有するジアミンとジカルボン酸単位に基づくホモポリアミド又はコポリアミド
から選択されることを特徴とする請求項1に記載の成形組成物。
成分(A2_1)が、下記:(A1)以外のポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスルホン(特にタイプPSU、PESU、PPSUの)、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリウレタン(特にタイプTPU、PURの)、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及び該系に基づく混合物又はコポリマーから成る群より選択されることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の成形組成物。
成分(A2_1)の割合が、いずれの場合も成分(A1)、(A2_1)及び(A2_2)の合計に基づいて、5〜40wt%の範囲、好ましくは5〜30wt%の範囲又は5〜20wt%の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形組成物。
成分(A2_2)が下記:オレフィンポリマー、低密度、中密度及び高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ-4-メチルペンテン、エチレン-プロピレンブロックコポリマー若しくはランダムコポリマー、エチレン-メチルヘキサジエンコポリマー、プロピレン-メチルヘキサジエンコポリマー、エチレン-プロピレン-ブテンコポリマー、エチレン-プロピレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-プロピレン-メチルヘキサジエンコポリマー、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、ポリ(エチレン-アクリル酸エチル)(EEA)、エチレン-オクテンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、及び前記ポリマーの組み合わせから成る群より選択され、好ましくは酸無水物基で官能化されていること、
並びに/或いは成分(A2_2)の割合が、いずれの場合も成分(A1)、(A2_1)及び(A2_2)の合計に基づいて、5〜40wt%の範囲、好ましくは5〜30wt%の範囲又は5〜20wt%の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形組成物。
成分(A1)が脂肪族ポリアミドから成るか、又はいずれの場合も成分(A1)の総量に基づいて、少なくとも60wt%の脂肪族ポリアミド、好ましくは60〜93wt%の脂肪族ポリアミドを含むポリアミド混合物から成ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形組成物。
成分(A)の割合が25〜84wt%の範囲、好ましくは30〜80wt%の範囲であり、好ましくは成分(A)が、排他的にポリアミド又はポリアミドの混合物の形の成分(A1)によって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形組成物。
成分(C)が、下記群:金属ドープ又は金属酸化物ドープ酸化スズ、好ましくはアンチモンドープ又は酸化アンチモンドープ酸化スズ;プレートレット形状の基板、さらに特にフィロケイ酸塩、好ましくは合成若しくは天然マイカ、タルク、カオリン、ガラスフレーク又はSiO2プレートレット等の上の層として形成されている、酸化スズとの金属酸化物混合物;アンチモンドープ酸化スズで被覆されたマイカ;酸化スズと、酸化アンチモン及び/又は酸化インジウム及び/又はフッ化亜鉛との混合物;酸化銅;水酸化銅;水酸化銅リン酸塩;リン酸銅;アルカリ性リン酸銅;銅スズリン酸塩、アルカリ性銅スズリン酸塩;リン酸スズ;アルカリ性リン酸スズから選択されるLDS添加剤;又は該LDS添加剤の混合物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の成形組成物。
成分(D)の割合が0.5〜20wt%の範囲、好ましくは5〜10wt%の範囲、さらに好ましくは1〜8wt%の範囲、非常に好ましくは2〜6wt%又は2〜5wt%の範囲であること、
並びに/或いは成分(D)が、下記群:硫酸バリウム;二酸化チタン、好ましくはルチル又はアナターゼ型;酸化亜鉛;リトポン;チタン亜鉛混合酸化物;硫化亜鉛;又はその混合物、特に硫化亜鉛(この場合、好ましくは成分(D)は排他的に硫化亜鉛によって形成される)から選択されること
を特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の成形組成物。
成分(E)の割合が0〜18wt%の範囲、好ましくは0〜15wt%の範囲、さらに好ましくは2〜15wt%又は3〜10wt%の範囲であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の成形組成物。
請求項1〜14のいずれか1項に記載の成形組成物に基づき、好ましくは特にPDA、携帯電話、電気通信デバイス等の携帯電子デバイス用のケーシング若しくはケーシングパーツ、或いはパーソナルコンピューター、ノートブック、特に補聴器等の医療デバイス、センサー技術、又はRFIDトランスポンダー用のケーシング若しくはケーシングパーツ或いは特にエアーバッグモジュール、多機能ステアリングホイール等の自動車部門用のパーツとしての部品、さらに特に導電体トラックを有する部品。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここで、好ましくは、成分(A)は下記成分:
(A1) 60〜100wt%の、下記成分
(A1_1) 40〜100、好ましくは50〜95wt%の脂肪族アミド(ホモポリアミド又はコポリアミドであってよく、かつ
好ましくは排他的に6個以下の炭素原子を有するラクタム及び/又はアミノカルボン酸、及び/又はジアミンとジカルボン酸単位に基づき、さらに好ましくは排他的に6個以下の炭素原子を有するジアミンとジカルボン酸単位に基づき、
或いは好ましくは排他的に6個より多い炭素原子を有するラクタム及び/又はアミノカルボン酸、及び/又はジアミンとジカルボン酸単位に基づき、さらに好ましくは排他的に6個より多い炭素原子を有するジアミンとジカルボン酸単位に基づく);
(A1_2) 0〜60、好ましくは5〜50wt%の非晶質の部分芳香族のポリアミド
から成る混合物
(成分(A1_1)及び(A1_2)の合計は成分(A1)の100wt%になる);
(A2) 0〜40wt%の、下記成分
(A2_1) 0〜40wt%の、(A1)以外の熱可塑性物質;
(A2_2) 0〜40wt%の、(A1)及び(A2_1)以外の衝撃改質剤
から成る混合物
(成分(A1)、(A2_1)及び(A2_2)の合計は成分(A)の100wt%になる)
から成る。
【0007】
ここで、成分(A2_1)は好ましくは下記:ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリエステル(特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリスルホン(特にタイプPSU、PESU、PPSUの)、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、ポリウレタン(特にタイプTPU、PURの)、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及び該系に基づく混合物又はコポリマーから成る群より選択され得る。該系(A1)は、さらに好ましくは後述する衝撃改質剤、成分A2の好ましい実施形態と組み合わせて使用してよい。優先的に成分(A1)は完全にポリアミド又は異なるポリアミドの混合物から成る。
優先的に成分(A)の割合は25〜84wt%の範囲、好ましくは30〜80wt%の範囲、好ましくはポリアミド(A1)の形の(A)の総割合も25〜84wt%の範囲、特に好ましくは30〜80wt%の範囲である。
【0008】
成分(A2_1)の割合は好ましくは、いずれの場合も成分(A1)、(A2_1)及び(A2_2)の合計に基づいて、5〜40wt%の範囲、好ましくは5〜30wt%の範囲又は又は5〜20wt%の範囲である。
成分(A)中の全体として及び成分(A)の総量に基づくさらなるマトリックス成分(A2)の割合は、優先的に0〜20wt%の範囲、好ましくは0〜10wt%の範囲又は5〜15wt%の範囲である。しかしながら、優先的には、さらなるマトリックス成分(A2)は存在しない。すなわち、優先的には、成形組成物には成分(A1)のみが存在する。
【0009】
さらなる実施形態では、本発明の成形組成物は、成分(A2_2)として40wt%までの1種以上の衝撃改質剤(IM)を含む。IM濃度としては、5〜40wt%の範囲、さらに特に5〜30wt%の範囲が好ましい。成分A2_1及びA2_2を一緒に使用する場合、比A2_1:A2_2は少なくとも1:1、好ましくは1.2:1、さらに好ましくは1.5:1であり、従って1:1〜1:10の範囲、好ましくは1.2:1〜1:10の範囲、さらに好ましくは1.5:1〜1:8の範囲である。
【0010】
一般的に言えば、成分(A2_2)は、下記:オレフィンポリマー、低密度、中密度及び高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ-4-メチルペンテン、エチレン-プロピレンブロックコポリマー若しくはランダムコポリマー、エチレン-メチルヘキサジエンコポリマー、プロピレン-メチルヘキサジエンコポリマー、エチレン-プロピレン-ブテンコポリマー、エチレン-プロピレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-プロピレン-メチルヘキサジエンコポリマー、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、ポリ(エチレン-アクリル酸エチル)(EEA)、エチレン-オクテンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、及び述べたポリマーの組み合わせから成る群より選択され得る。好ましくは酸無水物基で官能化されている。
【0011】
成分(A2_2)の割合は、いずれの場合も成分(A1)、(A2_1)及び(A2_2)の合計に基づいて、5〜40wt%の範囲、好ましくは5〜30wt%の範囲又は5〜20wt%の範囲であり得る。
【0012】
IMは、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、或いはブタジエン及び/又はイソプレンとスチレン又はスチレン誘導体及び他のコモノマーのコポリマー、或いは酸無水物、(メタ)アクリル酸及びそのエステルを用いたグラフト化又は共重合によって形成された水素化コポリマー及び/又はコポリマーであってよい。衝撃改質剤(A2_2)は、ブタジエン、イソプレン又はアクリル酸アルキルから成り、かつポリスチレンの、グラフトシェルを有する架橋エラストマーコアを含むグラフトゴムであってもよく、或いはエチレン-プロピレン、エチレン-プロピレン-ジエン及びエチレン-オクテン又はエチレン-酢酸ビニルゴム等の非極性若しくは極性オレフィンホモポリマー及びコポリマーであってよく、或いは酸無水物、(メタ)アクリル酸及びそのエステルを用いたグラフト化又は共重合によって形成された非極性若しくは極性オレフィンホモポリマー及びコポリマーであってよい。衝撃改質剤(A2_2)は、ポリ-(エテン-co-(メタ)アクリル酸)又はポリ(エテン-co-1-オレフィン-co-(メタ)アクリル酸)(この場合、1-オレフィンは、4個より多い原子を有するアルケン又は不飽和(メタ)アクリル酸エステルであり得る)等のカルボン酸官能化コポリマーであってもよく、いくつかの酸基が金属イオンで中和されているコポリマーが含まれる。
【0013】
スチレンモノマー(スチレン及びスチレン誘導体)と他のビニル芳香族モノマーに基づく成分(A2_2)の好ましい衝撃改質剤は、アルケニル芳香族化合物と共役ジエンに基づくブロックコポリマー、及びアルケニル芳香族化合物と共役ジエンからの水素化ブロックコポリマー、又はこれらのIMタイプの組み合わせである。ブロックコポリマーは、アルケニル芳香族化合物に由来する少なくとも1つのブロック(A)と、共役ジエンに由来する少なくとも1つのブロック(B)とを含む。水素化ブロックコポリマーでは、脂肪族的不飽和炭素-炭素二重結合の部分が水素化によって還元されている。適切なブロックコポリマーは、線形構造を有する2ブロック、3ブロック、4ブロック及びポリブロックコポリマーである。しかしながら、分岐構造及び星形構造をも同様に使用することができる。分岐ブロックコポリマーは従来の方法、例えばポリマーの「側枝」のポリマー主鎖へのグラフト化反応によって得られる。スチレンのみならず、スチレンとの混合物で使用するアルケニル芳香族モノマーは、芳香環及び/又はC=C二重結合においてC1-20炭化水素基又はハロゲン原子で置換されているビニル芳香族モノマーである。
【0014】
アルケニル芳香族モノマーの例は、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、エチルスチレン、tert-ブチルスチレン、ビニルトルエン、1,2-ジフェニルエチレン、1,1-ジフェニルエチレン、ビニルキシレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ブロモスチレン、クロロスチレン、及びその組み合わせである。スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン及びビニルナフタレンが好ましい。
【0015】
企図されるジエンモノマーは、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、イソプレン、クロロプレン及びピペリレンである。1,3-ブタジエン及びイソプレンが好ましく、特に1,3-ブタジエンが好ましい(以降、略してブタジエンと特定する)。
【0016】
スチレンをアルケニル芳香族モノマーとして用い、ブタジエンをジエンモノマーとして用いるのが好ましい。言い換えれば、スチレン-ブタジエンブロックコポリマーが好ましい。一般にブロックコポリマーは、従来法のアニオン重合によって調製される。
【0017】
さらに、スチレン及びジエンモノマーのみならず、同様にさらなるコモノマーを使用してよい。コモノマーの割合は、使用するモノマーの総量に基づいて、好ましくは0〜50、さらに好ましくは0〜30、特に0〜15wt%である。適切なコモノマーの例は、アクリル酸エステル、特にアクリル酸C1-12アルキル、例えばアクリル酸n-ブチル又はアクリル酸2-エチルヘキシル、及び対応するメタクリル酸エステル、特にメタクリル酸C1-12アルキル、例えばメタクリル酸メチル(MMA)である。さらなる可能なコモノマーは、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルメチルエーテル、二官能性アルコールのジアリル及びジビニルエーテル、ジビニルベンゼン及び酢酸ビニルである。
【0018】
共役ジエンにさらに、成分(A2)の水素化ブロックコポリマーは、任意に例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、ジシクロペンタジエン又は非共役ジエン等の低級炭化水素の割合を含んでもよい。水素化ブロックコポリマーでは、ブロックBに起因する非還元性脂肪族不飽和結合の割合は50%未満、好ましくは25%未満、さらに特に10%未満である。ブロックA由来の芳香族の割合は25%以下の範囲に減少される。水素化ブロックコポリマースチレン-(エチレン-ブチレン)ジブロックコポリマー及びスチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレントリブロックコポリマーは、スチレン-ブタジエン及びスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーの水素化によって得られる。ブロックコポリマーは、好ましくは20〜90wt%の範囲のブロックA、さらに特に50〜85wt%のブロックAから成る。ブロックBに1,2又は1,4配向性でジエンを導入してよい。
【0019】
非水素化ブロックコポリマーの例は、ポリスチレン-ポリブタジエン、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)、ポリスチレン-ポリイソプレン、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリブタジエン、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレン、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレン及びポリ(α-メチルスチレン-ポリブタジエン-ポリ(α-メチルスチレン)、並びにその組み合わせでもある。
【0020】
商業的に入手可能である適切な非水素化ブロックコポリマーはブランド名SOLPRENE(登録商標)(Phillips)、KRATON(登録商標)(Shell)、VECTOR(登録商標)(Dexco)及びSEPTON(登録商標)(Kuraray)の種々の製品である。
【0021】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の成形組成物は、成分(A2_2)が、ポリオレフィンホモポリマー又はエチレン-α-オレフィンコポリマー、特に好ましくはEP及び/又はEPDMエラストマー(それぞれエチレン-プロピレンゴム及びエチレン-プロピレン-ジエンゴム)であることを特徴とする。従って、例えばそれは、20〜96、好ましくは25〜85wt%のエチレンを含むエチレン-C3-12α-オレフィンコポリマーに基づくエラストマーであり得、この場合、C3-12α-オレフィンは特に好ましくは、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン及び/又は1-ドデセンの群から選択されるオレフィンであり、特に好ましい成分Cは、エチレン-プロピレンゴム及び/又はLLDPE及び/又はVLDPEである。
【0022】
これとは別に或いはさらに(例えば混合物中で)、(A2)は、エチレン-C3-12α-オレフィンと非共役ジエンに基づくターポリマーを含んでよく、この場合それは優先的に25〜85wt%のエチレンと、最大10wt%の範囲までの非共役ジエンとを含み、C3-12α-オレフィンはさらに特に好ましくは、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン及び/又は1-ドデセンの群から選択されるオレフィンであり、並びに/或いは非共役ジエンは好ましくはビシクロ(2.2.1)ヘプタジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンの群及び/又は、特に5-エチリデンノルボルネンから選択される。
【0023】
成分(A2_2)の構成要素としてエチレン-アクリレートコポリマーも適している。成分(A2_2)の構成要素として他の可能な形態は、エチレン-ブチレンコポリマー又は該系を含む混合物(ブレンド)である。
【0024】
成分(A2_2)は優先的に、主鎖ポリマーと、ポリアミドへの有効な付着に十分な濃度の不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和ジカルボン酸又は不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルとの熱反応又はラジカル反応によって導入される酸無水物基を有する構成要素を持ち、この目的では、下記群:マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸、アコニット酸及び/又は無水イタコン酸から選択される試薬が優先的に用いられる。
【0025】
好ましくは、0.1〜4.0wt%の不飽和無水物が(A2_2)の構成要素とし衝撃改質剤成分にグラフトされるか、又は不飽和ジカルボン酸無水物若しくはその前駆体が別の不飽和モノマーと一緒にグラフトされる。一般的に言えば、グラフト化度は優先的に0.1〜1.0%の範囲、特に好ましくは0.3〜0.7%の範囲である。成分(A2_2)の構成要素としてエチレン-プロピレンコポリマーとエチレン-ブチレンコポリマーの混合物も可能であり、これは無水マレイン酸のグラフト化度(MAHグラフト化度)が0.3〜0.7%の範囲である。この成分に可能な上記系を混合物中で使用してもよい。
【0026】
さらに、成分(A2_2)は、例えばカルボン酸、エステル、エポキシ、オキサゾリン、カルボジイミド、イソシアン酸、シラノール及びカルボン酸基等の官能基を持つか、又は上記官能基の2つ以上の組み合わせを含み得る構成要素を持ってよい。これらの官能基を有するモノマーを共重合又はグラフト化によってエラストマーポリオレフィンに結合し得る。さらに、不飽和シラン化合物、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン又はプロペニルトリメトキシシランをグラフトすることによって、オレフィンポリマーに基づくIMを修飾してもよい。
【0027】
エラストマーポリオレフィンは、直鎖、分岐又はコアシェル構造を有するランダム、交互又はセグメント化コポリマーであり、かつポリアミドの末端基と反応できる官能基を含有し、その結果としてポリアミドとIMとの間に十分な相溶性をもたらす。
【0028】
従って成分(A2_2)として用いられるIMとしては、例えばエチレン、プロピレン、ブタ-1-エン等のオレフィンのホモポリマー若しくはコポリマー、又はオレフィンと、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル及びメチルヘキサジエン等の共重合可能モノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0029】
下記オレフィンポリマーが特に好ましい:低密度、中密度及び高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ-4-メチルペンテン、エチレン-プロピレンブロック若しくはランダムコポリマー、エチレン-メチルヘキサジエンコポリマー、プロピレン-メチルヘキサジエンコポリマー、エチレン-プロピレン-ブテンコポリマー、エチレン-プロピレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-プロピレン-メチルヘキサジエンコポリマー、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)(EVA)、ポリ(エチレン-アクリル酸エチル)(EEA)、エチレン-オクテンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー及び上記ポリマーの組み合わせ。特に、これらのオレフィンポリマーが酸無水物基で官能化されていると好ましい。
【0030】
成分(A2_2)の構成要素の一部として使用できる商業的に入手可能な衝撃改質剤は以下のとおりである:Mitsui ChemicalsのTAFMER MC201、TAFMER MH5010、TAFMER MH7010又はTAFMER MH7020;Exxon Mobile ChemicalのEXXELOR VA1801、EXXELOR VA1803、EXXELOR VA1810、EXXELOR MDEX 94-11;DuPontのFUSABOND MN493D、FUSABOND A EB560D;ELVALOY。
【0031】
成分(A2)の文脈では、ポリマー結合カルボキシル基が全体的又は部分的に金属イオンによって互いに連結されているイオノマーも好ましい。
【0032】
グラフトすることによって無水マレイン酸で官能化された、ブタジエンとスチレンのコポリマー、無水マレイン酸をグラフトすることによって形成された非極性若しくは極性オレフィンホモポリマー及びコポリマー、並びにポリ(エテン-co-(メタ)アクリル酸)又はポリ(エテン-co-1-オレフィン-co-(メタ)アクリル酸)等のカルボン酸官能化コポリマー(酸基のいくつかが金属イオンで中和されている)が特に好ましい。
【0033】
本発明の成形組成物は好ましくは21〜88wt%の、ポリアミド(A1)と非ポリアミドベース熱可塑性物質(A2)の熱可塑性混合物(A)から成り、(A2)の濃度は、混合物Aに基づいて、45wt%を占める。この場合、成分A1は好ましくは50〜100wt%の脂肪族ポリアミドから成る。さらに特に成分(A1)は、部分結晶性の脂肪族ポリアミド(成分A1_1)と、非晶質の部分芳香族のポリアミド(成分A1_2)との混合物であり、脂肪族ポリアミドの割合は少なくとも50wt%、好ましくは少なくとも60wt%、さらに好ましくは少なくとも65wt%である。ここで、成分(A1_2)の濃度は5〜50wt%の範囲、好ましくは7〜40wt%の範囲、さらに好ましくは10〜35wt%の範囲である。
【0034】
従って成分(A1_1)は、脂肪族ポリアミドから成るか又はいずれの場合も成分(A1)の総量に基づいて少なくとも60wt%の脂肪族ポリアミド、好ましくは60〜93wt%の脂肪族ポリアミドを含むポリアミドの混合物から成り得る。成分(A1)は、脂肪族ポリアミド(A1_1)と、非晶質の部分芳香族のポリアミド(A1_2)との混合物から成ってもよい。
【0035】
従って本発明は、特に、下記成分:
(A) 25〜84wt%の、下記成分
(A1) 60〜100wt%の、下記成分
(A1_1) 50〜95wt%の脂肪族ポリアミド;
(A1_2) 5〜50wt%の非晶質の部分芳香族のポリアミド;
の混合物
((A1_1)と(A1_2)の合計は成分(A1)のwt%になる);
(A2) 0〜40wt%の、下記成分
(A2_1) 0〜40wt%の、(A1)以外の熱可塑性物質;
(A2_2) 0〜40wt%の、(A1)及び(A2_1)以外の衝撃改質剤
の混合物
((A1)、(A2_1)及び(A2_2)の合計は成分(A)の100wt%になる)
の混合物(A);
(B) 15〜60wt%の繊維状アジュバント;
(C) 0.1〜10wt%のLDS添加剤又はLDS添加剤の混合物(少なくとも1種の添加剤は全体的又は部分的に
・銅、ネオジウム、モリブデン、ビスマス、又はスズに基づく金属酸化物(スピネルを除く)、
・金属リン酸塩、アルカリ性金属リン酸塩又は金属水酸化物リン酸塩(好ましくは銅及び/又はスズの無機化合物に基づく)、
・酸化スズ、好ましくはアンチモンドープ酸化スズ、さらに好ましくはアンチモンドープ酸化スズで被覆されたマイカ
である);
(D) 0.5〜10wt%の白色顔料、さらに好ましくは二酸化チタン、酸化亜鉛又は硫化亜鉛、さらに特に硫化亜鉛;
(E) 0〜20wt%の、(C)及び(D)以外の粒状フィラー;
(F) 0〜2wt%のさらなる異なる添加剤
((A)〜(F)の合計は100wt%になる)
から成る熱可塑性成形組成物を含む。
【0036】
上記ポリアミド(A1)は、下記ジカルボン酸:アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、C36ダイマー脂肪酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、cis-及び/又はtrans-シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸並びに/或いはcis-及び/又はtrans-シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸(CHDA)並びにその混合物から調製可能である。
【0037】
好適なジアミンとしては、下記モノマー:1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,8-オクタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、m-キシレンジアミン及びp-キシレンジアミンが挙げられる。
【0038】
さらに、ポリアミドはラクタム又はアミノカルボン酸、さらに特に6〜12個の炭素原子を有するα,ω-アミノ酸又はラクタムに基づいて構成されてもよく、その例として下記選択肢を与えることができる:m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、カプロラクタム(CL)、ω-アミノカプロン酸、ω-アミノヘプタン酸、ω-アミノオクタン酸、ω-アミノノナン酸、ω-アミノデカン酸、ω-アミノウンデカン酸(AUA)、ラウロラクタム(LL)及びω-アミノドデカン酸(ADA)。カプロラクタム、アミノカプロン酸、ラウロラクタム及びアミノドデカン酸が特に好ましい。
【0039】
ポリアミドA1_1又はA1_2は好ましくは、m-クレゾール(0.5wt%、20℃)で測定された溶液粘度η
relが、1.4〜3.0の範囲、好ましくは1.5〜2.7の範囲、さらに特に1.5〜2.4の範囲である。
【0040】
脂肪族ポリアミド(A1_1)は好ましくはポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1212、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1112、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド69、ポリアミド810又はその混合物、ブレンド、コポリマー、若しくはアロイである。PA 1010又はポリアミド46、ポリアミド6、及びポリアミド66が特に好ましく、混合物及びコポリマーも好ましい。
【0041】
ポリアミド(A1_2)については、コポリアミド6I/6T、10I/10T、12/6T、及びMXD6/MXDIが好ましい。6T単位の割合が50mol%未満の非晶質コポリアミド6I/6T、10I/10T及び12/6Tが特に好ましい。特にPA 6I/6T及びPA 10I/10Tが好ましく、20:80〜45:55の組成範囲T:Iを有するものが好ましい。コポリアミドMXD6/MXDIについては、MXD6に富む組成、特に80mol%より大きい、さらに好ましくは82〜95mol%の範囲のMXD6含量を有するものが好ましい。特に優先的に成分(A1_2)は、75:25〜50:50の範囲、好ましくは70:30〜55:45の範囲、特に60:40のI:T比を有するポリアミドPA 10I/10Tから選択される。コポリアミドPA 6I/6Tに比し、射出方向に対して横方向の収縮がPA 10I/10Tにより顕著に減る(0.3%から0.1%へ)。
【0042】
ポリアミド成分A1_1及びA1_2を含むポリマー混合物については、下記組成が好ましい:
(A1_1):PA66及び/又はPA6
(A1_2):PA 6I/6T(モル比は65:35〜75:25の範囲、さらに好ましくは67:33である)。
(A1_1):1:1〜1:4の比、さらに好ましくは1:3〜1:4の比のPA6とPA66の混合物;
(A1_2):PA 6I/6T(モル比は65:35〜75:25の範囲、さらに好ましくは67:33である)。
(A1_1):PA610及び/又はPA1010(混合物の場合、1:1〜4:1の比で成分を用いる)。
(A1_2):PA 6I/6T(モル比は65:35〜75:25の範囲、さらに好ましくは67:33である)。
(A1_1):PA66
(A1_2):PA MXD6/MXDI(コポリアミドのモル比は70:30〜90:10の範囲、さらに特に88:12である)。
【0043】
ここで、優先的には、成分(A1_1)の割合は、いずれの場合も50〜90wt%、さらに特に60〜85wt%の範囲であり、成分(A1_2)は好ましくは10〜50wt%の範囲、さらに特に15〜40wt%の範囲である。
【0044】
1つの特定実施形態では、ポリマー混合物(ポリアミドマトリックス)について下記組成が好ましい:
(A1_1):55〜95wt%のPA1010又はPA1012
(A1_2):5〜45wt%のPA 6I/6T(6Iの割合は62〜72mol%である)。
(A1_1):55〜85wt%のPA610又はPA612又はPA1010又はPA1012又はPA1210又はPA1212又はPA11又はPA12
(A1_2):15〜45wt%のPA 6T/6I又はPA 10T/10I(6I又は10Iの割合は55〜80(好ましくは60〜75)mol%である)。
(A1_1):70〜100wt%、さらに好ましくは70〜90wt%の、1:2〜1:4、さらに特に1:4の比のPA6とPA66の混合物
(A1_2):0〜30wt%、さらに好ましくは10〜30wt%のPA 6I/6T(モル比は65:35〜75:25の範囲、さらに好ましくは67:33である)。
【0045】
1つのさらなる実施形態では、成分A1_2は、90℃より高い、好ましくは110℃より高い、さらに好ましくは140℃より高いガラス転移温度を有する。
【0046】
下記実施形態が特に好ましい:
(A1_1):55〜85wt%のPA610又はPA612又はPA1010又はPA1012又はPA1210又はPA1212
(A1_2):15〜45wt%のPA 6T/6I又はPA 10T/10I(6I又は10Iの割合は55〜80(好ましくは60〜75)mol%である)。
【0047】
成分(A1_1)のポリアミドは優先的に下記群から選択される:ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1212、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1112、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド69、ポリアミド810。
【0048】
成形組成物はさらに10〜70wt%、好ましくは15〜60wt%、さらに好ましくは18〜55wt%の、好ましくはガラス繊維の形の繊維状アジュバント(成分B)を含有し、例えば短繊維(例えば長さが0.2〜20mmのチョップドガラス)又は連続繊維(ロービング)の形で使用する。ガラス繊維(B)は異なる断面部を有してよく、円形断面を有するガラス繊維(丸繊維)及び非円形断面を有するガラス繊維(平繊維)が好ましい。
【0049】
円形断面を有するガラス繊維、すなわち丸ガラス繊維は、5〜20μmの範囲、好ましくは5〜13μmの範囲、さらに好ましくは6〜10μmの範囲の直径を有する。それらを短ガラス繊維(長さ0.2〜20mm、好ましくは2〜12mmのチョップドガラス)として用いるのが好ましい。
【0050】
平ガラス繊維、すなわち非円形断面部を有するガラス繊維の場合、主断面軸と、それに対して垂直に位置する第2断面軸との寸法比が2.5より大きく、好ましくは2.5〜6の範囲、さらに特に3〜5の範囲を有するものを利用するのが好ましい。これらのいわゆる平ガラス繊維は、卵形、楕円形、くびれのある楕円形(繭繊維)、多角形、矩形又は実質的に矩形の断面部を有する。使用する平ガラス繊維の特性を明らかにする別の特徴は、主断面軸の長さが好ましくは6〜40μmの範囲、さらに特に15〜30μmの範囲であり、第2断面軸の長さが3〜20μmの範囲、さらに特に4〜10μmの範囲であることである。平ガラス繊維は非常に高い充填率を有し、これはガラスの断面部が、ガラス繊維の断面をできる限り正確に取り囲む仮想の矩形を少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に好ましくは少なくとも85%の程度まで満たすことを意味する。
【0051】
本発明の成形組成物を強化するため、円形断面を有するガラス繊維と非円形断面を有するガラス繊維の混合物を使用することも可能であり、この場合、平ガラス繊維の割合が好ましくは優勢であり、繊維の総質量の50wt%より多くを占める。
【0052】
成分(B)は好ましくは下記:Eガラス繊維(ASTM D578-00によれば、52〜62%の二酸化ケイ素、12〜16%の酸化アルミニウム、16〜25%の酸化カルシウム、0〜10%のホウ砂、0〜5%の酸化マグネシウム、0〜2%のアルカリ金属酸化物、0〜1.5%の二酸化チタン及び0〜0.3%の酸化鉄から成り;それらは好ましくは2.58±0.04g/cm
3の密度、70〜75GPaの伸び弾性率、3000〜3500MPaの引張強度及び4.5〜4.8%の破断点伸びを有する)、Aガラス繊維(63〜72%の二酸化ケイ素、6〜10%の酸化カルシウム、14〜16%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、0〜6%の酸化アルミニウム、0〜6%の酸化ホウ素、0〜4%の酸化マグネシウム)、Cガラス繊維(64〜68%の二酸化ケイ素、11〜15%の酸化カルシウム、7〜10%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、3〜5%の酸化アルミニウム、4〜6%の酸化ホウ素、2〜4%の酸化マグネシウム)、Dガラス繊維(72〜75%の二酸化ケイ素、0〜1%の酸化カルシウム、0〜4%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、0〜1%の酸化アルミニウム、21〜24%の酸化ホウ素)、玄武岩繊維(下記概略組成を有する鉱物繊維:52%のSiO
2、17%のAl
2O
3、9%のCaO、5%のMgO、5%のNa
2O、5%の酸化鉄及び他の金属酸化物)、ARガラス繊維(55〜75%の二酸化ケイ素、1〜10%の酸化カルシウム、11〜21%の酸化ナトリウム及び酸化カリウム、0〜5%の酸化アルミニウム、0〜8%の酸化ホウ素、0〜12%の二酸化チタン、1〜18%の酸化ジルコニウム、0〜5%の酸化鉄)及びその混合物から成る群より選択される。
【0053】
成分(B)の好ましい実施形態は、三成分系二酸化ケイ素-酸化アルミニウム-酸化マグネシウム又は四成分系二酸化ケイ素-酸化アルミニウム-酸化マグネシウム-酸化カルシウムに基づく高強度ガラス繊維であり、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムの量の合計は、総ガラス組成に基づいて少なくとも78wt%、好ましくは少なくとも87%、さらに好ましくは少なくとも92%である。
【0054】
58〜70wt%の二酸化ケイ素(SiO
2)、15〜30wt%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)、5〜15wt%の酸化マグネシウム(MgO)、0〜10wt%の酸化カルシウム(CaO)及び0〜2wt%の、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ホウ素(B
2O
3)、二酸化チタン(TiO
2)又は酸化リチウム(Li
2O)等のさらなる酸化物の組成を用いるのが特に好ましい。別の実施形態では、高強度ガラス繊維は、60〜67wt%の二酸化ケイ素(SiO
2)、20〜28wt%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)、7〜12wt%の酸化マグネシウム(MgO)、0〜9wt%の酸化カルシウム(CaO)及び0〜1.5wt%の、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ホウ素(B
2O
3)、二酸化チタン(TiO
2)、酸化リチウム(Li
2O)等のさらなる酸化物の組成を有する。
【0055】
高強度ガラス繊維が下記組成を有すれば特に好ましい:62〜66wt%の二酸化ケイ素(SiO
2)、22〜27wt%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)、8〜12wt%の酸化マグネシウム(MgO)、0〜5wt%の酸化カルシウム(CaO)及び0〜1wt%の、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化ホウ素(B
2O
3)、二酸化チタン(TiO
2)、酸化リチウム(Li
2O)等のさらなる酸化物。
【0056】
高強度ガラス繊維は、3700MPa以上、好ましくは少なくとも3800又は4000MPaの引張強度、少なくとも4.8%、好ましくは少なくとも4.9又は5.0%の破断点伸び、及び75GPa超え、好ましくは78又は80GPa超えの伸び弾性率を有する。これらのガラス特性は、23℃の温度及び50%の相対湿度で10μmの直径と12.7mmの長さを有する個々の繊維(元の状態の単一フィラメント)についての測定である。成分(B1)のこれらの高強度ガラス繊維の具体例はOwens Corningの995サイズを有するSガラス繊維、NittoboのTガラス繊維、3BのHiPertex、Sinoma Jinjing FiberglassのHS4ガラス繊維、VetrotexのRガラス繊維並びにAGYのS-1及びS-2ガラス繊維である。
【0057】
本発明により例えばロービング(連続繊維)として使用するガラス繊維は、8〜20μm、好ましくは12〜18μmの直径(丸ガラス繊維では)又は第2断面軸(平ガラス繊維では)を有し、ガラス繊維の断面は、円形、卵形、楕円形、くびれのある楕円形、多角形、矩形又は実質的に矩形であり得る。断面軸の比、すなわち主断面軸対第2断面軸の比が2.5〜5のいわゆる平ガラス繊維が特に好ましい。連続繊維は、上記ガラスタイプから製造可能であり、Eガラス及び高強度ガラス型に基づく連続繊維が好ましい。これらの連続繊維は、長繊維強化ロッドペレットの既知製造技術を利用して、さらに特に引き抜き成形技術によって本発明のポリアミド成形組成物に組み入れられる。この技術では、連続繊維ストランド(ロービング)に完全にポリマー溶融物を含浸させてから冷却かつチョップする。このようにして得られた、好ましくは3〜25mm、さらに特に4〜12mmのペレット長を有する長繊維強化ロッドペレットをさらに通常の加工技術(例えば射出成形及び加圧成形等)で加工して成形品を形成することができる。
【0058】
好ましい成分(B)は、非円形断面(平繊維)及び少なくとも2.5、さらに特に3〜5の範囲の主断面軸対第2断面軸の軸比を有するEガラスのガラス繊維、並びに/或いは円形又は非円形断面と、本質的に成分二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び酸化マグネシウムに基づくガラス組成(酸化マグネシウム(MgO)の割合は5〜15wt%であり、酸化カルシウムの割合は0〜10wt%である)とを有する高強度ガラス繊維である。
【0059】
平Eガラス繊維として、成分(B)のガラス繊維は好ましくは2.54〜2.62g/cm
3の密度、70〜75GPaの伸び弾性率、3000〜3500MPaの引張強度及び4.5〜4.8%の破断点伸びを有し、これらの機械的特性は、23℃及び50%の相対湿度で10μmの直径及び12.7mmの長さを有する個々の繊維について測定した。
【0060】
本発明のガラス繊維は、熱可塑性物質、さらに特にポリアミドに適したサイズを備えてよく、アミノシラン又はエポキシシラン化合物に基づく接着促進剤を含む。
【0061】
成分(C)の割合は、好ましくは0.5〜8wt%の範囲、さらに好ましくは1〜6wt%の範囲である。
成分(C)は、好ましくはUV、VIS又はIR線に対して非ゼロ吸収係数を有するLDS添加剤であり、これは、好ましくはレーザー光線の形の電磁放射線への曝露により金属シードを形成し、この金属シードは化学的金属化手順において、成形品の表面上の照射部位に導体トラックを生成するための金属層の堆積を促進し、及び/又は可能にし、及び/又は増強する。このLDS添加剤は好ましくは、可視光線及び赤外線領域において少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.1、さらに特に少なくとも0.2の吸収係数で吸収能を有し、及び/又は放射エネルギーをLDS添加剤に伝達する吸収体を与える。
【0062】
成分(C)は好ましくは、50〜20000nm、好ましくは200〜15000nm、さらに好ましくは300〜5000nmの範囲の平均粒径(D50)を有するLDS添加剤である。粒径の尺度として述べたD50値は平均粒径の尺度であり、サンプルの50体積%はD50(メジアン)より微細であり、サンプルの残りの50%はD50より粗い。
【0063】
成分(C)は好ましくは、アンチモン、銅、ネオジウム、モリブデン、ビスマス又はスズに基づく金属酸化物、混合金属酸化物、金属水酸化物酸化物、金属硫化物酸化物(例えば銅クロマイト(銅クロム酸化物、Shepard Black)等のスピネルを除く)の群から選択されるLDS(レーザー直接構造化)添加剤を含む。酸化スズ、酸化アンチモン、酸化スズと酸化アンチモンの混合物、ネオジム酸ビスマス(Bi
2O
3・Nd
2O
3)、モリブデン酸銅(CuO・xMoO
3)、酸化スズと酸化インジウムの混合物、及び酸化スズとフッ化スズの混合物が特に好ましい。
【0064】
酸化スズ及びドープ酸化スズが特に好ましく、この場合ドーピングはアンチモン、インジウム、ビスマス、モリブデン、アルミニウム、チタン、ケイ素、鉄、銅、銀、ニッケル及びコバルトで行なってよい。アンチモン、チタン又は銅をドープした酸化スズが特に好ましい。酸化スズと、少なくとも1種のさらなる金属酸化物、さらに特に酸化アンチモンとの混合物がLDS添加剤としてさらに好ましい。この場合に用いるさらなる金属酸化物は、高屈折率の無色酸化物、特に、二酸化チタン、酸化アンチモン(III)、酸化亜鉛、酸化チタン及び/又は二酸化ジルコニウム等のみならず、例えば、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化コバルト、特に、酸化鉄(Fe
2O
3、Fe
3O
4)等の着色金属酸化物でもある。酸化スズと酸化アンチモン(III)の混合物を使用するのが特に好ましい。
【0065】
プレートレット(platelet)形状の基板、さらに特にフィロケイ酸塩、例えば、合成若しくは天然マイカ、タルク、カオリン、ガラスフレーク又はSiO
2プレートレット等の上の層として、好ましくはドープ酸化スズ及び/又は金属酸物混合物及び/又は酸化スズが形成される。金属酸化物に好ましい基板は、特に、マイカ或いはマイカフレークである。プレートレット形状の金属酸化物、例えば、プレートレット形状の酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、LCP(液晶ポリマー)、ホログラフィック顔料又は被覆黒鉛プレートレット等が基板としてさらに企図される。
【0066】
さらに、成分(C)は好ましくは、銅(Cu)、スズ(Sn)及び/又は鉄(Fe)のリン酸塩、縮合リン酸塩、ホスホン酸塩、亜リン酸塩及び混合水酸化物-リン酸オキソアニオンから、さらに特に、好ましくは銅及び/又はスズの無機化合物に基づく金属リン酸塩、アルカリ性金属リン酸塩又は金属水酸化物リン酸塩、さらに特に三スズリン酸塩(CAS 15578-32-3)、三銅リン酸塩(CAS 7798-23-4)、銅二リン酸塩(CAS 10102-90-6)、水酸化銅リン酸塩(CAS 12158-74-6)、銅スズリン酸塩及びその混合物から選択される。
【0067】
特に好ましいLDS添加剤はアルカリ性リン酸銅、水酸化銅リン酸塩、銅スズリン酸塩、アルカリ性銅スズリン酸塩、リン酸スズ、アルカリ性リン酸スズ及びアンチモンドープ酸化スズであり、アンチモンドープ酸化スズはマイカと併用するのが好ましい。マイカ表面が金属ドープ酸化スズのコーティングを有する、マイカに基づくLDS添加剤は、成形組成物のより高い色明度を可能にするので特に好ましい。アンチモンドープ酸化スズが特に好ましい。
【0068】
本発明に従う商業的に入手可能なLDS添加剤の例は以下のとおりである:MerckのIriotec 8820、8825、8830及びMinatec 230 A-IR、Keeling & WalkerのStanostat CP40W、Stanostat CP15G、及びStanostat CP5C。
【0069】
従って、成分(C)は、下記群:ドープ酸化スズ、好ましくはアンチモンドープ酸化スズ;プレートレット形状の基板、さらに特にフィロケイ酸塩、好ましくは合成若しくは天然マイカ、タルク、カオリン、ガラスフレーク又はSiO
2プレートレット等の上の層として形成されている、酸化スズとの金属酸化物混合物;金属ドープ又は金属酸化物ドープ酸化スズ;金属酸化物被覆マイカ;アンチモンドープ酸化スズで被覆されたマイカ;酸化スズ及び酸化アンチモンと、必要に応じてさらなる金属酸化物との混合物;銅クロム酸化物;酸化銅;水酸化銅;水酸化銅リン酸塩;リン酸銅;アルカリ性リン酸銅;銅スズリン酸塩、アルカリ性銅スズリン酸塩;リン酸スズ;アルカリ性リン酸スズから選択されるLDS添加剤;又は該LDS添加剤の混合物を含む。
【0070】
本発明の成形組成物は、0.1〜20、好ましくは0.5〜10、さらに好ましくは1〜8wt%、さらに好ましくは2〜6wt%又は2〜5wt%の範囲の無機白色顔料(成分(D))を含有する。成分(D)は、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、チタン亜鉛混合酸化物及び二酸化チタン(ルチル、アナターゼ)の群から選択される無機白色顔料であるか又は排他的に該無機白色顔料から成り、これらの白色顔料は優先的に0.1〜40μmの範囲、好ましくは0.1〜20μmの範囲、さらに特に0.1〜10μmの範囲の平均粒径(D50)を有する。硫化亜鉛が特に好ましく、硫化亜鉛のみを成分(D)として用いるのが特に好ましい。成分Dとして用いる金属酸化物は成分C及びEとは異なる。
好ましい一実施形態は、成分(D)が二酸化チタンを含まないことを特徴とする。
【0071】
成分(E)の割合は好ましくは0〜18wt%の範囲、さらに好ましくは0〜15wt%の範囲、非常に好ましくは2〜15wt%又は3〜10wt%の範囲である。例えば、タルク、チョーク又は炭酸カルシウムは金属シードの生成を容易にし得る。
【0072】
成分(D)の適切な粒状フィラーには、当業者に知られる全てのフィラーが含まれる。これらとしては、特に、タルク(ケイ酸マグネシウム)、マイカ、ケイ酸塩、石英、珪灰石、カオリン、シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、粉砕若しくは沈降炭酸カルシウム、石灰、長石、成分C及びD以外の無機顔料、例えば酸化鉄又は鉄マンガン酸化物、例えば、永久磁性若しくは磁化可能金属又は合金、中空球ケイ酸塩フィラー、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、フッ化カルシウム及びその混合物から成る群より選択される粒状フィラーが挙げられる。フィラーは表面処理形であってもよい。
【0073】
これらのフィラー(成分E)は、0.1〜40μmの範囲、好ましくは0.2〜20μmの範囲、さらに特に0.3〜10μmの範囲の平均粒径(D50)を有する。アスペクト比L/b1及びL/b2が両方とも10以下、特に5以下である粒状フィラーの形態が好ましい。このアスペクト比は、粒子の最大長さLの、粒子の平均幅b1又はb2に対する比によって表される。ここで、互いに垂直に配置されるb1及びb2は、長さLに垂直の平面内にある。
【0074】
さらに、本発明の熱可塑性ポリアミド成形組成物はさらに、添加剤(F)の形で、当業者に一般的に知られている通常の添加剤を含んでよく、これらは好ましくは下記:接着助触媒、安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、光安定剤、UV安定剤、UV吸収剤、UV遮断剤、無機熱安定剤、特にハロゲン化銅及びアルカリ金属ハロゲン化物に基づくもの、有機熱安定剤、導電性添加剤、カーボンブラック、蛍光増白剤、加工助剤、核形成剤、結晶化促進剤、結晶化遅延剤、流動助剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、有機顔料及び染料、マーカー物質及びその混合物から成る群より選択される。
【0075】
本発明はさらに、上述したように成形組成物に基づく部品、さらに特に導電体トラックを有する部品に関する。MID技術の利用分野は、自動車工学、工業オートメーション、医療工学、屋内電気器具産業、家庭用電化製品、電気通信産業、分析及び計測学、機械工学、及び航空宇宙旅行にある。従って本発明は、本発明の成形組成物から製造された成形品を含む物品(部品)、特に回路キャリアにも関する。一実施形態では、アンテナを形成するために本回路キャリアを利用する。
【0076】
該成形品は、例えば、PDA、携帯電話、他の電気通信デバイス等の携帯電子機器用のハウジング若しくはハウジングパーツ、或いはパーソナルコンピューター、ノートブック、例えば補聴器等の医療デバイス、センサー技術、又はRFID(ラジオ周波数識別)トランスポンダー用のハウジング若しくはハウジングパーツ或いは例えばエアーバッグモジュール、多機能ステアリングホイール等の自動車部門用のパーツである。
【0077】
プラスチック射出成形を用いた設計の広範な可能性のため、三次元回路キャリアを実現することができる。さらに、マウント、ガイド、ボタン、プラグ又は他の接続要素等の典型的な機械的機能を統合することができる。同様にE/E及び燃料システム用のコネクターも可能である。さらなる実施形態については従属請求項で特定する。
以下、図面を利用して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【実施例】
【0079】
好ましい実施形態の説明
以下、具体的実施例(B)を用いて本発明を説明し、従来技術(VB)の低効率システムと比較する。以下に特定する実施例は、本発明を支持し、かつ従来技術に対する差異を実証するために役立つが、特許請求の範囲に規定される本発明の一般的主題を限定する意図ではない。
【0080】
実施例B1〜
B17及び比較例VB1〜VB6
25mmのスクリュー径を有するWerner and Pfleidererの2軸押出機で、指定加工パラメーター(表1参照)を用いて表2及び3に示す成分をコンパウンドする。添加剤と共にポリアミドペレットを吸入ゾーンに量り入れながら、ダイ前方の側面フィーダー3バレルユニットを介してガラス繊維をポリマー溶融物中に量り入れる。このコンパウンドを直径3mmのノズルから押出物として取り出し、水冷後にペレット化する。ペレットを30mbarの減圧下110℃で24時間乾燥させた。Arburg Allrounder 320-210-750機でゾーン1〜4の規定シリンダー温度及び規定金型温度を用いてコンパウンド配合物を射出成形してサンプル体を得る(表1参照)。
【0081】
表1:発明例及び比較例のコンパウンディング及び射出成形条件
【0082】
表2:例B1〜B8の組成及び特性
1) MET=伸び弾性率
【0083】
表3:比較例VB1〜VB6及びB9の組成及び特性
1) MET=伸び弾性率
【0084】
表4:例B10〜B17の組成及び特性
【0085】
主要材料:
PA 6I/6T(70:30):テレフタル酸、イソフタル酸及び1,6-ヘキサンジアミンに基づき、125℃のガラス転移温度及び1.54の溶液粘度を有する非晶質の部分芳香族のポリアミド。
PA 10I/10T(60:40):1,10-デカンジアミン、イソフタル酸及びテレフタル酸に基づき、101℃のガラス転移温度及び1.59の溶液粘度を有する非晶質の部分芳香族のポリアミド。
PA1010:1,10-デカンジアミン及びセバシン酸に基づき、200℃の融点及び1.78の溶液粘度を有する部分結晶性の脂肪族ポリアミド。
PA6:カプロラクタムに基づき、225℃の融点及び1.90の溶液粘度を有する部分結晶性の脂肪族ポリアミド。
PA66:1,6-ヘキサンジアミン及びアジピン酸に基づき、260℃の融点及び1.85の溶液粘度を有する部分結晶性の脂肪族ポリアミド。
PA610:1,6-ヘキサンジアミン及びセバシン酸に基づき、223℃の融点及び1.88の溶液粘度を有する部分結晶性の脂肪族ポリアミド。
PA612:1,6-ヘキサンジアミン及びドデカン二酸に基づき、217℃の融点及び1.84の溶液粘度を有する部分結晶性の脂肪族ポリアミド。
ガラス繊維タイプA:Owens Corning Fiberglassからの長さ4.5mm、直径10μm(円形断面)のVetrotex 995チョップドEガラス繊維
ガラス繊維タイプB:NITTO BOSEKI,日本からの長さ3mm、主断面軸28μm、第2断面軸7μm、軸比4(非円形断面)のCSG3PA-820チョップドEガラス繊維
ガラス繊維タイプC:GF O.C. HPXSS PAX95 10-4(Owens Corning (US))
LDS添加剤1:Iriotec 8825、マイカ上の酸化スズ及び酸化アンチモン(Merck)
LDS添加剤2:銅クロマイト(Shepherd)
LDS添加剤3:スズベース金属リン酸塩、Fabulase 330(Budenheim)
LDS添加剤4:Irotec 8850、二酸化チタン上のスズ/アンチモン酸化物(Merck)
LDS添加剤5:Minatec 230 A-IR、スズアンチモンスズ石(CAS 68187-54-2)(Merck)
二酸化チタン:KRONOS 2222 二酸化チタン、白色顔料、>92.5%二酸化チタン、ルチル。コーティング:Al、Si、ポリシロキサン。d
50 0.21μm。D 4.0g/cm
3。
硫化亜鉛:Sachtolith HD-S 硫化亜鉛(Sachtleben)、0.30〜0.35μmの範囲の平均粒径。
タルク:Microtalc IT Extra Mondo Minerals
【0086】
下記規格に準拠し、下記試験片について測定を行なった。
(熱)機械的パラメーター:
伸び弾性率は、ISO 527に従い、1mm/分の引張速度で測定し、降伏応力、引張強度及び破断点伸びは、ISO 527に従い、23℃の温度で50mm/分の引張速度(非強化型)又は5mm/分の引張速度(強化型)にて測定した。用いたサンプル体はISO引張ダンベル規格:ISO/CD 3167、タイプAl、170×20/10×4mmであった。
【0087】
衝撃強度及びシャルピー(Charpy)ノッチ衝撃強度は、ISO 179に従い、ISO試験ロッド規格:ISO/CD 3167、タイプB1、80×10×4mmについて温度23℃で測定した。熱的特徴(融解温度(T
m)、融解エンタルピー(ΔH
m)及びガラス転移温度(T
g))は、ISO規格11357-11-2に基づいてペレットについて測定した。示差走査熱量測定(DSC)は、20℃/分の加熱速度で行なった。ガラス転移温度(T
g)に関しては、中間段階又は変曲点の温度を報告する。
【0088】
相対粘度(η
rel)は、DIN EN ISO 307に従い、0.5wt%濃度のm-クレゾール溶液を用いて20℃で測定した。用いたサンプルはペレットを含む。これからの逸脱は説明に示してある。
HDT A(1.8MPa)及びHDT B(0.45MPa)の形式の耐熱変形性は、ISO 75に従い、寸法80×10×4mmのISO衝撃ロッドについて測定した。
【0089】
レーザー構造化能力(structurability):
金属化挙動を評価するため、Nd:YAGレーザーを用いて射出成形品(プレート60×60×2mm)を構造化した後、銅めっき(copperizing)槽内での無電解金属化に供した。レーザー構造化では、成形品表面上の大きさが4×4mmある18個の隣接領域を照射した。Trumpf TruMark Station 5000レーザーを用いて1064nmの波長で300〜7200mmの範囲の速度にてレーザー構造化を行なった。この構造化の過程で、パルス周波数は10〜80kHzの範囲で、またハッチ(パルスオーバーラップ)は0.03〜0.09mmの範囲で両方とも変動した。レーザー構造化後、レーザー加工残渣を除去するために成形品を清浄操作に供する。次に成形品は、界面活性剤及び脱イオン水を含む超音波槽を連続して通過する。清浄後、還元的銅めっき槽(MID銅100 XB ストライク及びMID銅100 XBビルド, Mac Dermid)で55〜65℃にて連続して成形品を金属化する。ストライク槽内の滞留時間は20分であり、ビルド槽内の滞留時間は1〜3時間である。MID銅100 XBビルド槽内におけるレーザー照射領域上の銅堆積率(銅層の厚さ)は平均して合計3〜5μm/時間に達する。
【0090】
金属化能:
金属化能は、金属化領域と領域の総数との間の比として計算した。
図1に示すように、1つのサンプルプレート当たり全部で32個の領域を異なるパラメーターを用いてレーザーで構造化し、引き続き上述したように金属化する。金属化領域は、上記操作で完全かつ均一に金属化された当該領域のみである。
図2は、左下から右上への対角線の下の領域が金属化されなかったか又は十分には金属されなかった、すなわち不完全又は不均一に金属化された、レーザー構造化及び金属化後のサンプルプレートを示す。
【0091】
全ての成形相互接続デバイス(MID)技術では、化学的還元性銅堆積は層全体の品質に決定的な極めて重要な初期金属化操作である。従ってそれは一次金属層の品質を評価するのに全く十分である。完成MIDパーツに達するためには、第1銅層(一次層)に基づいて、一般的にニッケル、その後に無電解金の最終層が堆積されるであろう。当然のことながら、さらなる銅、パラジウム、スズ又は銀のさらなる層等の他の金属層を同様に一次層に適用してもよい。
【0092】
色明度L
*:
Datacolor分光光度計(機器名:Datacolor 650)を用いて、以下のような測定条件下、白色被覆金属対比パネルに対して、寸法2×40×50mmのサンプル体(色プラーク)のCIE L
*a
*b
*値(DIN 6174)を決定した:測定モード:反射、測定ジオメトリ:D/8°、光源:D 65 10、光沢:包含、校正:UV校正、開口プレート:SAV。比色分析のために用いた色プラークは、Arburgの全電気式射出成形機(装置名:ARBURG Allrounder 320 A 500-170)で加熱金型を用いて本発明及び比較例の材料から射出成形した。射出成形パラメーターは表1に収載してある。
【0093】
LDS添加剤1又は3を用いた発明例は、B6とVB6の比較により示されるように、特に同時に白色顔料を用いるとき、LDS添加剤1を用いて製造した比較試みより顕著に良い機械的特性、さらに特に高い引張強度、破断点伸び、衝撃強度及びノッチ衝撃強度を有する。これと並行して、本発明の成形組成物は、同一又は同様の良い金属化能を有し、かつずっと高い色明度L
*に反映されているように、明るい固有色を有する。従ってVB6では100%の金属化能及び42の色明度L
*が見られ、一方、B6では金属化能は同様に100%であるが、色明度は、82というずっと高い値を示す。B5とB6及びB7とB8を比較すると、同一のLDS添加剤では、白色顔料として二酸化チタンの代わりに硫化亜鉛を用いて生じる機械的特性が一貫して良いことが分かる。