(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-121262(P2015-121262A)
(43)【公開日】2015年7月2日
(54)【発明の名称】懸架ばね及び懸架ばねの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16F 1/18 20060101AFI20150605BHJP
B60G 11/04 20060101ALI20150605BHJP
【FI】
F16F1/18 G
B60G11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-265209(P2013-265209)
(22)【出願日】2013年12月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000210986
【氏名又は名称】中央発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 隆之
(72)【発明者】
【氏名】平田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】近田 哲
【テーマコード(参考)】
3D301
3J059
【Fターム(参考)】
3D301AA59
3D301AA69
3D301AA78
3D301DA04
3J059AB11
3J059BA14
3J059BB04
3J059BC01
3J059BD03
3J059CA06
3J059EA08
3J059GA02
(57)【要約】
【課題】腐食しても優れた疲労強度を有する技術を提供する。
【解決手段】懸架ばね2は、第1の部分11と、第1の部分11より腐食しやすい第2の部分12と、を備え、第2の部分12の表面から0.5mmまでの範囲における圧縮残留応力が800MPa以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分と、
第1の部分より腐食しやすい第2の部分と、を備え、
第2の部分の表面から0.5mmまでの範囲における圧縮残留応力が800MPa以上であることを特徴とする懸架ばね。
【請求項2】
第1の部分の表面における圧縮残留応力が800MPa以上であり、第1の部分の表面から0.5mmの位置における圧縮残留応力が800MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の懸架ばね。
【請求項3】
重なり合う複数のリーフを備え、第2の部分はリーフ同士が接触/非接触を繰り返す部分に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の懸架ばね。
【請求項4】
各リーフは、中央部と、その中央部の両端のそれぞれに形成され、中央部の板厚より薄い板厚となる端部と、を備え、
各リーフの中央部に締結孔が形成されており、各リーフの締結孔に締結部材が挿通されることで重なり合う複数のリーフの中央部が互いに接触した状態で締結しており、
第2の部分は、隣接するリーフと対向する面であって、中央部と端部との境界に位置しており、
第2の部分の幅が5mm〜15mmであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の懸架ばね。
【請求項5】
素材のロックウェル硬さHRCが42〜55であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の懸架ばね。
【請求項6】
懸架ばねの製造方法であって、
第1の部分より腐食しやすい第2の部分に圧縮残留応力を付与する第1工程と、
第1工程後に、第1の部分および第2の部分に圧縮残留応力を付与する第2工程と、を備え、
第1工程では、第2の部分の表面から所定の位置における圧縮残留応力が最も高くなるように圧縮残留応力を付与し、
第2工程では、第1工程における所定の位置より浅い位置における圧縮残留応力が最も高くなるように圧縮残留応力を付与することを特徴とする懸架ばねの製造方法。
【請求項7】
第1工程では、ニードルピーニング、レーザーピーニング、ハンマリング、ディープローリング、またはショットピーニングにより圧縮残留応力を付与することを特徴とする請求項6に記載の懸架ばねの製造方法。
【請求項8】
第2工程では、ショットピーニングにより圧縮残留応力を付与することを特徴とする請求項6又は7に記載の懸架ばねの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、懸架ばね及び懸架ばねの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コイルばねにショットピーニングを施す技術が開示されている。特許文献1に開示の技術では、コイルばねの表面の所定の部分にショットピーニングを施すことによりコイルばねの疲労強度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−168278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術のようにばねにショットピーニングを施すと、ばねの表面に圧縮残留応力が付与され、ばねの疲労強度が高くなる。しかしながら、ショットピーニングではばねの表面に大きな圧縮残留応力を付与しているだけであり、ばねの表面よりも内部の範囲に大きな圧縮残留応力を付与することは難しい。このため、経年によりばねの表面が腐食した場合、表面より内部の範囲が外部に露出し、十分な圧縮残留応力が付与されていない部分が露出してしまう。これにより、ばねの疲労強度が低下するという課題があった。
【0005】
そこで本明細書は、腐食しても優れた疲労強度を有する懸架ばね及び懸架ばねの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する懸架ばねは、第1の部分と、第1の部分より腐食しやすい第2の部分と、を備えている。第2の部分の表面から0.5mmまでの範囲における圧縮残留応力が800MPa以上である。ここで、「腐食しやすい」とは、懸架ばねを実際に使用して年数が経過したときに腐食しやすいことを意味している。このため、使用前の状態で第2の部分が第1の部分より腐食し易い必要はなく、使用された結果、第2の部分が第1の部分よりも腐食が進行していれば、ここでいう「腐食しやすい」に相当する。
【0007】
懸架ばねについて発明者らが研究したところ、懸架ばねでは十分な疲労強度を発揮するためには、表面の圧縮残留応力が800MPa以上であることが好ましいことが判明した。また、発明者らが研究したところ、懸架ばねにおいて腐食しやすい部分(第2の部分)では、懸架ばねの耐用年数が経過するまでの間に表面から深さ0.5mmの範囲まで腐食が顕著に進行することが判明した。この結果より、懸架ばねの腐食が進行しても懸架ばねの強度を保つためには、腐食が進行した後において、腐食した部分の表面における圧縮残留応力が800MPa以上であることが要求される。
【0008】
そこで上記の懸架ばねによれば、第2の部分の表面から0.5mmまでの範囲における圧縮残留応力が800MPa以上であるので、第2の部分の腐食が表面から0.5mmまで進行したとしても、その表面には800MPa以上の圧縮残留応力が付与されている。このため、腐食しても優れた疲労強度を有している。
【0009】
また、上記の懸架ばねにおいて、第1の部分の表面における圧縮残留応力が800MPa以上であり、第1の部分の表面から0.5mmの位置における圧縮残留応力が800MPa以下であってもよい。
【0010】
また、上記の懸架ばねは、重なり合う複数のリーフを備え、第2の部分はリーフ同士が接触/非接触を繰り返す部分に位置していてもよい。
【0011】
また、各リーフは、中央部と、その中央部の両端のそれぞれに形成され、中央部の板厚より薄い板厚となる端部と、を備えていてもよい。各リーフの中央部に締結孔が形成されており、各リーフの締結孔に締結部材が挿通されることで重なり合う複数のリーフの中央部が互いに接触した状態で締結していてもよい。第2の部分は、隣接するリーフと対向する面であって、中央部と端部との境界に位置していてもよい。また、第2の部分の幅が5mm〜15mmであってもよい。
【0012】
また、上記の懸架ばねでは、素材のロックウェル硬さHRCが42〜55であることが好ましい。
【0013】
本明細書に開示する懸架ばねの製造方法は、第1の部分より腐食しやすい第2の部分に圧縮残留応力を付与する第1工程と、第1工程後に、第1の部分および第2の部分に圧縮残留応力を付与する第2工程と、を備えている。第1工程では、第2の部分の表面から所定の位置における圧縮残留応力が最も高くなるように圧縮残留応力を付与する。第2工程では、第1工程における所定の位置より浅い位置における圧縮残留応力が最も高くなるように圧縮残留応力を付与する。
【0014】
このような構成によれば、第2の部分の表面から0.5mmまでの範囲における圧縮残留応力を800MPa以上にすることができる。したがって、上記のように表面が腐食しても優れた疲労強度を有する懸架ばねを得ることができる。
【0015】
また、上記の懸架ばねの製造方法において、第1工程では、ニードルピーニング、レーザーピーニング、ハンマリング、ディープローリング、またはショットピーニングにより圧縮残留応力を付与してもよい。
【0016】
また、第2工程では、ショットピーニングにより圧縮残留応力を付与してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る懸架ばね(リーフばね)の側面図である。
【
図2】実施形態に係るリーフの中央部の平面図である。
【
図3】実施形態に係るリーフの中央部の側面図である。
【
図4】第2の部分の表面からの距離と第2の部分に付与された圧縮残留応力との関係を示すグラフである。
【
図5】他の実施形態に係るリーフの中央部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について添付図面を参照して説明する。本実施形態に係る懸架ばねは、複数のリーフを備えるリーフばねである。懸架ばね(リーフばね)は、自動車に搭載され、荷重を支持するために用いられる。
図1に示すように、懸架ばね(リーフばね)2は、多段に重なり合った複数のリーフ21を備えている(本実施形態のリーフばね2は、2段のリーフ21を備えている。)。リーフ21は、金属の板状部材であり、弓なりに反った形状をしている。リーフ21の素材のロックウェル硬さHRCは42〜55である。重なり合った上段のリーフ21は、それより下段のリーフ21よりも短い。各リーフ21の中央部11aには締結孔22が形成されている。
図2,3に示すように、締結孔22はリーフ21の中央部に形成されている。複数のリーフ21は締結孔22に挿入されたボルト25とナット26により締結される。複数のリーフ21がボルト25とナット26により締結された状態では、各リーフ21の中央部11aは、それと隣接する他のリーフ21の中央部11aと接触している(
図2,3参照)。リーフばね2が自動車に搭載された状態では、各リーフ21の一方の面(
図1の上面)に引張応力が作用し、各リーフ21の他方の面(
図1の下面)に圧縮応力が作用する。このため、各リーフ21の引張側となる面(
図1の上面)に圧縮残留応力が付与される。
【0019】
各リーフ21は、中央部11aと、中央部11aの両側に形成された端部(11b,11c)を備えている。中央部11aの板厚は、端部(11b,11c)の板厚よりも厚い。上述したように中央部11aには、締結孔22が形成されている。端部(11b,11c)は、中央部11a側に設けられたテーパ部11cと、テーパ部11cの先端に連続して設けられた薄板部11bを備えている。テーパ部11cの基端は中央部11aに接続されており、テーパ部11cの先端は薄板部11bに接続されている。テーパ部11cの板厚は、中央部11a側から薄板部11b側に向かって徐々に減少している。薄板部11bの板厚は、中央部11aの板厚より薄くなっている。上述したように各リーフ21の中央部11aが締結部材で締結されると、各リーフ21の中央部11aが互いに接触した状態で締結される。各リーフ21の板厚は中央部11aで厚く、端部(11b,11c)において薄くされている。このため、各リーフ21の端部(11b,11c)では、隣接するリーフと非接触の状態となっている。なお、各リーフ21の中央部11aと端部(11b,11c)の境界部分12では、各リーフ21の変形に応じて接触状態と非接触状態とに切換えられる。すなわち、リーフばね2が自動車に搭載されると、リーフばね2に荷重が作用し、各リーフ21が変形する。各リーフ21の中央部11aは互いに締結されているため、各リーフ21の端部(11b,11c)が変形する。その結果、各リーフ21の中央部11aと端部(11b,11c)の境界部分12が接触/非接触を繰り返すこととなる。本実施例では、この境界部分12が第2の部分であり、その他の部分(接触状態を維持している部分又は非接触状態を維持している部分)と比較して腐食しやすい部分である。リーフばね2が例えば自動車に搭載されている場合、車が走行するときに各リーフ21の第2の部分12が接触/非接触を繰り返して腐食しやすくなる。リーフ21の表裏面に第2の部分12が形成されている。第2の部分12は、締結孔22を挟んで両側に形成されている。第2の部分12は、中央部11aと端部(11b,11c)の境界に形成されるため、締結孔22からの距離は、中央部11aの幅w2の半分(w2/2)となる。
図2に示す例では、斜線で示す部分に第2の部分12が形成されている。リーフ21の長手方向における第2の部分12の幅w1は、例えば5〜15mmである。幅w1はリーフ21の大きさによって適宜相違する。
【0020】
第1の部分11は第2の部分12以外の部分である。すなわち、中央部11aから境界部分12(第2の部分)を除いた部分と、端部(11b,11c)から境界部分12(第2の部分)を除いた部分である。
図2に示す例では、斜線で示す第2の部分12以外のすべての部分が第1の部分11に相当する。
【0021】
上述したように、リーフ21の表裏面に第2の部分12が形成されるが、リーフ21の一方の面(
図1の上面)に引張応力が作用し、リーフ21の他方の面(
図1の下面)に圧縮応力が作用する。このため、リーフ21の破壊はリーフ21の引張側の面(
図1の上面)で生じる。このため、リーフ21の引張側の面の第2の部分12には、
図3に示すように、その表面から深さ方向にわたって圧縮残留応力が付与されている。圧縮残留応力を付与する方法については後述する。第2の部分12には、その表面から深さ(距離)0.5mmまでの範囲において800MPa以上の圧縮残留応力が付与されている。
【0022】
リーフ21の引張側の面(
図1の上面)の第1の部分11には、その表面に圧縮残留応力が付与されている。第1の部分11の表面における圧縮残留応力は800MPa以上である。また、第1の部分11の表面から深さ(距離)0.5mmの位置における圧縮残留応力は800MPa以下である。
【0023】
上記のような懸架ばね(リーフばね)2によれば、第2の部分12の表面から0.5mmまでの範囲における圧縮残留応力が800MPa以上であるので、第2の部分12の腐食が表面から0.5mmまで進行したとしても、800MPa以上の圧縮残留応力を維持しているので、疲労強度を維持することができる。よって、腐食しても優れた疲労強度を有している。
【0024】
次に懸架ばね(リーフばね)の製造方法について説明する。懸架ばね(リーフばね)2を製造するときは、まず複数のリーフ21を準備する。次に、各リーフ21の第2の部分12に圧縮残留応力を付与する(第1工程)。圧縮残留応力を付与する方法としては、例えばニードルピーニング、レーザーピーニング、ハンマリング、ディープローリング、ショットピーニングを挙げることができる。本実施形態ではニードルピーニングを用いている。ニードルピーニングは、振動するニードル(ピン)により対象物を打撃し、打撃により対象物に圧縮残留応力を付与して対象物の強度を高める技術である。ニードル(ピン)によって第2の部分12の表面を打撃することにより第2の部分12に圧縮残留応力を付与する。
【0025】
第1工程では、第2の部分12の表面から所定の深さ位置における圧縮残留応力が最も高くなるように圧縮残留応力を付与する。例えば
図4に示す例では、線Aで示すように、第2の部分12の表面から約0.45mmの深さ位置における圧縮残留応力が最も高くなるように設定されている。なお、付与した圧縮残留応力の大きさについては、例えば、X線残留応力測定法等により測定可能である。
【0026】
続いて、各リーフ21の第1の部分11および第2の部分12に圧縮残留応力を付与する(第2工程)。圧縮残留応力を付与する方法としては、ショットピーニングを用いる。ショットピーニングは、多量のショット材を対象物に衝突させ、ショット材の衝突により対象物の表面に圧縮残留応力を付与して対象物の強度を高める技術である。また、リーフ21にストレスを付与した状態でショットピーニングをするストレスピーニングを用いてもよい。上記の第1工程でショットピーニングを用いる場合は、第1工程のショットピーニングと第2工程のショットピーニングとで、ショット材の材質、ショット条件等を変える。例えば、ショットピーニングに用いるショット材の粒径、速度、または温度などの条件を変えることができる。
【0027】
第2工程では、第1工程における所定の位置より浅い位置における圧縮残留応力が最も高くなるように圧縮残留応力を付与する。例えば
図4に示す例では、線Bで示すように、第1工程において最も高い圧縮残留応力を付与した深さ位置(約0.45mm)より浅い深さ位置(表面から約0.18mmの深さ位置)における圧縮残留応力が最も高くなるように設定されている。
【0028】
第1工程および第2工程を行うことにより、各リーフ21の第2の部分12の表面から深さ(距離)0.5mmまでの範囲における圧縮残留応力を800MPa以上にすることができる。また、各リーフ21の第1の部分11の表面における圧縮残留応力を800MPa以上にすることができる。また、各リーフ21の第1の部分11の表面から深さ(距離)0.5mmの位置における圧縮残留応力を800MPa以下にすることができる。
【0029】
その後、下塗り塗装を施し、圧縮残留応力が付与された複数のリーフ21を多段に重ね合わせる。そして、締結孔22にボルト25を挿入して複数のリーフ21を締結する。その後、上塗り塗装を行う。これにより、懸架ばね(リーフばね)2を製造することができる。
【0030】
リーフ21の第2の部分12の表面に単に第2工程のようなショットピーニングをするだけであると、
図4の線Bに示すように、表面近傍に800MPa以上の高い圧縮残留応力を付与することができるが、表面より深い位置になるにしたがって付与できる圧縮残留応力が低下してしまう。そのため、表面から深さ0.5mmの位置では、表面近傍の圧縮残留応力と比べて大きく低下した圧縮残留応力となる。しかしながら、第1工程により圧縮残留応力を付与すると、表面から更に深い位置においても高い圧縮残留応力を付与することができる。そのため、第2の部分12の表面から0.5mmまでの範囲における圧縮残留応力を800MPa以上にすることができる。腐食しても優れた疲労強度を有する懸架ばね(リーフばね)を得ることができる。
【0031】
以上、一実施形態について説明したが、具体的な態様は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では懸架ばねとしてリーフばねについて説明したが、懸架ばねはコイルばねであってもよい。コイルばねの場合、例えば、コイルばねとばね受けが当接する部分が第2の部分に相当する。第2の部分は、その他の部分と比較して腐食しやすい部分である。コイルばねの第2の部分は、ばね受けと接触/非接触を繰り返すことにより腐食しやすくなる。
【0032】
また、上記実施形態では締結孔22の両側に第2の部分12が形成されていたが、第2の部分12はこの構成に限定されるものではない。第2の部分12は、懸架ばねにおいて、他の部分に比べて腐食しやすい部分であれば、その位置は上記実施形態に限定されるものではない。懸架ばねを実際に使用し、使用後の懸架ばねを観察することで、腐食し易い部分を第2の部分として適宜設定することができる。また、第1の部分11は、第2の部分12よりも腐食しにくい部分であれば上記実施形態に限定されるものではない。
【0033】
また、他の実施形態に係る懸架ばね(リーフばね)では、
図5に示すように、重なり合ったリーフ21とリーフ21の間にスペーサー28が配置されていてもよい。スペーサー28は、リーフ21の中央部11aの一端部から他端部まで横方向に延びている。スペーサー28の両端部と接触する部分には、他の部分と比較して腐食しやすい第2の部分が形成される。スペーサー28の両端部がリーフ21に接触する部分では、接触/非接触を繰り返すことにより他の部分より腐食しやすくなる。締結孔22から第2の部分までの距離は、スペーサー28の幅w3の半分(w3/2)となる。なお、
図5において、
図3と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0035】
2;懸架ばね(リーフばね)
11;第1の部分
11a;中央部
11b;端部(薄板部)
11c;端部(テーパ部)
12;第2の部分
21;リーフ
22;締結孔
23;締結部材
25;ボルト
26;ナット
28;スペーサー