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特開2015-121264壁への機器の取付構造、および、壁に取付可能な機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-121264(P2015-121264A)
(43)【公開日】2015年7月2日
(54)【発明の名称】壁への機器の取付構造、および、壁に取付可能な機器
(51)【国際特許分類】
   F16M 13/02 20060101AFI20150605BHJP
【FI】
   F16M13/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-265363(P2013-265363)
(22)【出願日】2013年12月24日
(71)【出願人】
【識別番号】312001937
【氏名又は名称】株式会社パトライト
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100183450
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 太知
(72)【発明者】
【氏名】小間 智範
(57)【要約】
【課題】回動により姿勢を変えることができる機器を壁に干渉せずに回動させることができるブラケットを用いた壁への機器の取付構造、および、壁に取付可能な機器を提供すること。
【解決手段】取付構造32は、ブラケット1と、異方性のある機器2の底面に設けられた2本のピン25とを含む。ブラケット1は、壁Wに固定される固定板20、および、固定板20の上端縁20Cから延び出て機器2が載置される載置板21を含む。載置板21には、ピン25が1本ずつ係合される第1ガイド溝23および第2ガイド溝24が形成されている。第1ガイド溝23および第2ガイド溝24は、載置板21に載置された機器2が、その一側面である第1側面8が壁Wに近接対向する第1姿勢から、第1側面8が壁Wに略直交する第2姿勢までの範囲において回動自在となるように、ピン25を案内する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定板、および、前記固定板の一端縁から前記固定板と直交する方向に延び出た載置板を含み、前記固定板を壁に固定し、異方性のある機器を前記載置板に載置して使用するL字型のブラケットと、
前記機器の底面に設けられた2本のピンと、
を備えた、壁への機器の取付構造であって、
前記載置板には、前記ピンが1本ずつ係合される第1ガイド溝および第2ガイド溝が形成されており、
前記第1ガイド溝および第2ガイド溝は、前記載置板に載置された前記機器が、その一側面が壁に近接対向する第1姿勢から、当該一側面が壁に略直交する第2姿勢までの範囲において回動自在となるように、前記ピンを案内し、
前記機器の前記第2姿勢への回動により、前記機器の側面のうち前記一側面と異なる対向面は、前記壁に干渉することなく、前記壁に対向する位置まで少なくとも移動することを特徴とする、壁への機器の取付構造。
【請求項2】
前記機器が前記第1姿勢から前記第2姿勢まで回動する間、
前記機器が前記第1姿勢にあるときの前記固定板の一端縁に沿う第1方向における前記機器の両端部のうち、前記固定板の一端縁に接近する一端部は、前記載置板上で前記第1方向に直交する第2方向において第1距離だけ移動し、
前記両端部のうち、前記固定板の一端縁から離間する他端部は、前記第2方向において前記第1距離より長い第2距離だけ移動することを特徴とする、請求項1記載の壁への機器の取付構造。
【請求項3】
前記第1ガイド溝は、前記第2ガイド溝よりも短く、
前記第2ガイド溝は、前記固定板の一端縁から遠ざかる方向へ向けて延びており、かつ、前記載置板の外側へ膨出するように湾曲していることを特徴とする、請求項1または2記載の壁への機器の取付構造。
【請求項4】
前記第1ガイド溝の全体は、前記第2ガイド溝よりも前記固定板の一端縁側に位置し、
前記第1ガイド溝と前記固定板の一端縁との最短距離は、前記機器の対向面と、前記第1ガイド溝に係合するピンとの間隔よりも長いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の壁への機器の取付構造。
【請求項5】
前記固定板の一端縁に沿う第1方向における前記第1ガイド溝の両端の間隔は、前記載置板上で前記第1方向に直交する第2方向における前記第1ガイド溝の両端の間隔よりも大きく、
前記第1方向における前記第2ガイド溝の両端の間隔は、前記第2方向における前記第2ガイド溝の両端の間隔よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の壁への機器の取付構造。
【請求項6】
前記第1ガイド溝は、直線状であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の壁への機器の取付構造。
【請求項7】
前記ピンが前記第1ガイド溝および第2ガイド溝から抜けることを防止するための抜け止め防止機構が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の壁への機器の取付構造。
【請求項8】
前記2本のピンが底面に設けられ、請求項1〜7のいずれかに記載の取付構造を介して壁に取付可能なことを特徴とする、機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁への機器の取付構造、および、壁に取付可能な機器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1で開示された表示装置は、映像を表示する表示面を有する表示ユニットと、表示ユニットを支持する架台とを備えている。架台は、表示ユニットを、表示面が基準面上に位置するように収納する収納位置と、当該収納位置から前方に突出する突出位置との間で案内する案内溝と、表示ユニットを収納位置から突出位置に設けて押し出すカム機構とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−255878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の表示ユニットは、収納位置から突出位置に至るまでに比較的小さい角度しか回動しない。このような表示ユニットとは異なり、異方性のある機器がブラケットを介して壁に取り付けられた状態でたとえば90度位の範囲で大きく回動して姿勢を変える場合において、回動中の機器が周囲の壁に干渉することを防止できることが望まれる。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、回動により姿勢を変えることができる機器を壁に干渉せずに回動させることができるブラケットを用いた壁への機器の取付構造、および、壁に取付可能な機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、固定板、および、前記固定板の一端縁から前記固定板と直交する方向に延び出た載置板を含み、前記固定板を壁に固定し、異方性のある機器を前記載置板に載置して使用するL字型のブラケットと、前記機器の底面に設けられた2本のピンと、を備えた、壁への機器の取付構造であって、前記載置板には、前記ピンが1本ずつ係合される第1ガイド溝および第2ガイド溝が形成されており、前記第1ガイド溝および第2ガイド溝は、前記載置板に載置された前記機器が、その一側面が壁に近接対向する第1姿勢から、当該一側面が壁に略直交する第2姿勢までの範囲において回動自在となるように、前記ピンを案内し、前記機器の前記第2姿勢への回動により、前記機器の側面のうち前記一側面と異なる対向面は、前記壁に干渉することなく、前記壁に対向する位置まで少なくとも移動することを特徴とする、壁への機器の取付構造である。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記機器が前記第1姿勢から前記第2姿勢まで回動する間、前記機器が前記第1姿勢にあるときの前記固定板の一端縁に沿う第1方向における前記機器の両端部のうち、前記固定板の一端縁に接近する一端部は、前記載置板上で前記第1方向に直交する第2方向において第1距離だけ移動し、前記両端部のうち、前記固定板の一端縁から離間する他端部は、前記第2方向において前記第1距離より長い第2距離だけ移動することを特徴とする、請求項1記載の壁への機器の取付構造である。
【0007】
請求項3記載の発明は、前記第1ガイド溝は、前記第2ガイド溝よりも短く、前記第2ガイド溝は、前記固定板の一端縁から遠ざかる方向へ向けて延びており、かつ、前記載置板の外側へ膨出するように湾曲していることを特徴とする、請求項1または2記載の壁への機器の取付構造である。
請求項4記載の発明は、前記第1ガイド溝の全体は、前記第2ガイド溝よりも前記固定板の一端縁側に位置し、前記第1ガイド溝と前記固定板の一端縁との最短距離は、前記機器の対向面と、前記第1ガイド溝に係合するピンとの間隔よりも長いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の壁への機器の取付構造である。
【0008】
請求項5記載の発明は、前記固定板の一端縁に沿う第1方向における前記第1ガイド溝の両端の間隔は、前記載置板上で前記第1方向に直交する第2方向における前記第1ガイド溝の両端の間隔よりも大きく、前記第1方向における前記第2ガイド溝の両端の間隔は、前記第2方向における前記第2ガイド溝の両端の間隔よりも小さいことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の壁への機器の取付構造である。
【0009】
請求項6記載の発明は、前記第1ガイド溝は、直線状であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の壁への機器の取付構造である。
請求項7記載の発明は、前記ピンが前記第1ガイド溝および第2ガイド溝から抜けることを防止するための抜け止め防止機構が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の壁への機器の取付構造である。
【0010】
請求項8記載の発明は、前記2本のピンが底面に設けられ、請求項1〜7のいずれかに記載の取付構造を介して壁に取付可能なことを特徴とする、機器である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1および8記載の発明によれば、機器を壁に取り付けるためのブラケットにおいて機器が載置される載置板に形成された第1ガイド溝および第2ガイド溝には、機器の底面に設けられた2本のピンが1本ずつ係合される。第1ガイド溝および第2ガイド溝は、機器が、その一側面が壁に近接対向する第1姿勢から、当該一側面が壁に略直交する第2姿勢までの範囲において、載置板に載置された状態で回動自在となるように、ピンを案内することができる。機器が第2姿勢へ回動する際、異方性のある機器の側面のうち前記一側面と異なる対向面は、壁に干渉することなく、壁に対向する位置まで少なくとも移動する。これにより、回動により姿勢を変えることができる機器を壁に干渉せずに回動させることができる。
【0012】
そのために、請求項2記載の発明のように、機器が第1姿勢から第2姿勢まで回動する間、固定板の一端縁に沿う第1方向における機器の両端部のうち、固定板の一端縁に接近する一端部は、載置板上で第1方向に直交する第2方向において第1距離だけ移動し、固定板の一端縁から離間する他端部は、第2方向において第1距離より長い第2距離だけ移動することが好ましい。また、請求項3記載の発明のように、第1ガイド溝は、第2ガイド溝よりも短く、第2ガイド溝は、固定板の一端縁から遠ざかる方向へ向けて延びており、かつ、載置板の外側へ膨出するように湾曲していることが好ましい。また、請求項4記載の発明のように、第1ガイド溝の全体は、第2ガイド溝よりも固定板の一端縁側に位置し、第1ガイド溝と固定板の一端縁との最短距離は、機器の対向面と、第1ガイド溝に係合するピンとの間隔よりも長いことが好ましい。また、請求項5記載の発明のように、固定板の一端縁に沿う第1方向における第1ガイド溝の両端の間隔は、載置板上で第1方向に直交する第2方向における第1ガイド溝の両端の間隔よりも大きく、第1方向における第2ガイド溝の両端の間隔は、第2方向における第2ガイド溝の両端の間隔よりも小さいことが好ましい。
【0013】
また、請求項6記載の発明のように、第1ガイド溝は、直線状であってもよい。
請求項7記載の発明によれば、抜け止め防止機構によって、ピンが第1ガイド溝および第2ガイド溝から抜けることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1(a)は、この発明の一実施形態に係るブラケット1によって壁Wに取り付けられた第1姿勢の機器2の右側面図であり、図1(b)は、第1姿勢の機器2の背面図である。
図2図2は、ブラケット1によって壁Wに取り付けられた第1姿勢の機器2の左側面図である。
図3図3(a)は、ブラケット1の平面図であり、図3(b)は、ブラケット1を上方から見た斜視図であり、図3(c)は、ブラケット1を下方から見た斜視図である。
図4図4は、ブラケット1と機器2との連結部分の模式図である。
図5図5は、機器2が第1姿勢と第2姿勢との間で姿勢を変える様子を説明するためのブラケット1および機器2の模式的な平面図である。
図6図6(a)は、ブラケット1および第1姿勢の機器2を下方から見た斜視図であり、図6(b)は、ブラケット1および第2姿勢の機器2を下方から見た斜視図である。
図7図7は、本実施形態に係るブラケット1および機器2の模式的な平面図である。
図8図8(a)は、第1変形例に係るブラケット1および機器2の模式的な平面図であり、図8(b)は、第2変形例に係るブラケット1および機器2の模式的な平面図であり、図8(c)は、第3変形例に係るブラケット1および機器2の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1(a)は、この発明の一実施形態に係るブラケット1によって壁Wに取り付けられた第1姿勢の機器2の右側面図であり、図1(b)は、第1姿勢の機器2の背面図である。図2は、ブラケット1によって壁Wに取り付けられた第1姿勢の機器2の左側面図である。
【0016】
なお、以下では、ブラケット1を介して機器2が取り付けられる壁Wが、上下に延びる縦壁であることを前提とし、壁Wの手前の位置から壁Wの垂直な壁面WSを臨んだときを基準として、ブラケット1および機器2の姿勢を特定する。
ブラケット1の説明の前に、機器2について説明する。
図1を参照して、機器2は、たとえば信号表示灯であり、ベース部3と、ベース部3から上方に延び出た表示部4とを含んでいる。
【0017】
ベース部3は、略ボックス状であり、底面5と、天面6と、底面5および天面6の間に架設されて上下に延びる4つの側面7とを含んでいる。底面5は、平坦面である。天面6は、平坦面でなくてもよく、この実施形態では、曲率の異なる複数の曲面で構成されている。
4つの側面7は、機器2の一側面をなす第1側面8と、第1側面8に対して間隔を隔てて配置される第2側面9と、第1側面8および第2側面9の間に架設される第3側面10および第4側面11とを有する。第3側面10は、第4側面11に対して間隔を隔てて配置されている(図1(b)参照)。この機器2ではブザーを鳴らすことができ、ブザーの音量調整のためにユーザによって操作されるボリューム12が第1側面8に設けられ、ブザーを鳴らすスピーカー13が第3側面10に設けられている。第3側面10には、対向面として円弧状に膨出した突出部14が設けられていて、スピーカー13は、突出部14に配置されている。突出部14は、機器2の側面(ベース部3の側面7)のうち第1側面8と異なる部分であって、機器2の側面において角張った部分であることから、機器2に異方性をもたらしている。また、第1側面8および第2側面9のそれぞれと第3側面10との境界部分19も角張っている。
【0018】
表示部4は、上下に細長い円筒である。表示部4は、ベース部3の天面6において第4側面11よりも第3側面10側(突出部14側)に偏った領域に取り付けられている(図1(b)参照)。
表示部4は、縦に並んだ複数のレンズ15とLED等の光源(図示せず)とを主に備えている。光源は、レンズ15毎に設けられている。ベース部3から光源に電力が供給されることによって、対応するレンズ15が発光する。レンズ15から発光される光の色は、レンズ15毎に異なっていてもよい。各レンズ15の発光パターンは、ベース部3に内蔵され、CPUやメモリ等で構成された制御部(図示せず)によって制御される。
【0019】
この機器2は、一例として、サーバーが配置された専用の部屋であるサーバー室に配置される。サーバーにトラブル等の変化が生じた場合には、その変化の種類に応じた色でいずれかのレンズ15が発光したり、スピーカー13からブザーが鳴ったりする。これによって、サーバーに変化が生じたことがユーザに報知される。また、機器2は、サーバー室とは別のオフィス等に配置されることもある。その場合、機器2は、サーバー室のサーバーとネットワークでつながっていて、サーバーに変化が生じたことをネットワーク経由で受信し、対応するレンズ15を発光させたりブザーを鳴らしたりすることで、オフィス内のユーザに報知する。
【0020】
レンズ15の発光履歴やブザーの出力履歴は、ログとして、ベース部3の制御部のメモリ(図示せず)に記憶される。メモリに記憶されたログは、USBメモリ等の記憶媒体によって読み出される。図2に示すように、第4側面11には、当該記憶媒体の差し込み口16が設けられている。また、第4側面11には、前述したネットワーク用の通信ケーブルの接続口17や、各レンズ15の発光パターンといった機器2の動作条件を設定するためにユーザによって操作されるディップスイッチ18が設けられている。
【0021】
ブラケット1は、このような機器2を壁Wに取り付けるための固定具である。
ブラケット1は、固定板20と、載置板21とを一体的に含み、載置板21に機器2を載置して使用される。
固定板20は、壁Wの壁面WSに沿って配置されており、この実施形態では、上下に延びている。固定板20において壁面WSに対向配置されて接触する面を、裏面20Aといい、固定板20の厚さ方向において裏面20Aとは反対側の面を、表面20Bという。
【0022】
載置板21は、固定板20の一端縁をなす上端縁20Cから、固定板20と直交する方向(壁Wの壁面WSに垂直な方向)に延び出ている。そのため、固定板20および載置板21を含むブラケット1は、L字型に形成されている。1枚の金属板をL字に折り曲げることによってブラケット1が形成される。
固定板20の上端縁20Cは、固定板20と載置板21との境界であって、壁Wの壁面WS上において水平方向に沿って延びている。上端縁20Cに沿う方向を第1方向D1というと、第1方向D1は、図2において太線矢印Qで示すように壁Wの手前の位置から壁Wの壁面WSを臨んだときにおける左右方向である。
【0023】
載置板21の厚さ方向は、上下方向である。載置板21の上面を、上面21Aといい、載置板21の下面を、下面21Bという。載置板21の上面21Aには、機器2が上から載置される。載置板21に載置された機器2では、ベース部3の底面5が、載置板21の上面21Aに対して平行な状態で上から接触している。
図3(a)は、ブラケット1の平面図であり、図3(b)は、ブラケット1を上方から見た斜視図であり、図3(c)は、ブラケット1を下方から見た斜視図である。
【0024】
図3を参照して、固定板20は、第1方向D1に長手の略長方形状であり、その四隅には、固定板20を厚さ方向に貫通する挿通孔22が1つずつ形成されている(図3(c)参照)。ねじ(図示せず)が、固定板20の表面20B側から各挿通孔22に1本ずつ挿通されて壁Wにねじ込まれることによって、固定板20が壁Wに固定される。これにより、ブラケット1全体が壁Wに取り付けられる。壁Wに取り付けられたときのブラケット1は、ユーザがブラケット1の載置板21に載置された機器2を操作しやすいように、ユーザの目線と同じ高さ(たとえば1m50cm程度)に位置する。
【0025】
載置板21は、平面視で略矩形状である。平面視における載置板21の四隅において固定板20の上端縁20Cに接続されていない部分は、略直角に角張っていてもよいが、この実施形態のように円弧状に丸められてもよい。その場合、載置板21において固定板20の上端縁20C側とは反対側の周縁部21Cが、平面視において上端縁20Cから離れる方向へ円弧状に膨出している。
【0026】
図3(a)を参照して、壁Wの壁面WSに垂直な方向を第2方向D2というと、第2方向D2は、載置板21上で第1方向D1に直交している。
そして、載置板21の上面21Aには、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24という2本の溝が形成されている。
本実施形態では、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24の形状や寸法について、以下の条件1〜5が満たされている。
・条件1:第1ガイド溝23の全体は、第2ガイド溝24における壁W側の端部(後述する第2一端部24A)側に偏って配置され、第2ガイド溝24よりも固定板20の上端縁20C側(壁W側)に位置している。
・条件2:第1ガイド溝23の両端の間隔(第1ガイド溝23の延びる方向における長さ)は、第2ガイド溝24の両端の間隔(第2ガイド溝24の延びる方向における長さ)よりも短い。
・条件3:第2ガイド溝24は、固定板20の上端縁20Cおよび壁Wから遠ざかる方向(第1離間方向D3という)へ向けて延びており、かつ、載置板21の外側へ膨出するように湾曲している。
・条件4:第1方向D1における第1ガイド溝23の両端の間隔L1は、第2方向D2における第1ガイド溝23の両端の間隔L2よりも大きい。
・条件5:第1方向D1における第2ガイド溝24の両端の間隔L3は、第2方向D2における第2ガイド溝24の両端の間隔L4よりも小さい。
【0027】
図3(b)を参照して、第1方向D1と同じ方向である前述した左右方向を基準とすると、第2ガイド溝24は、第1ガイド溝23よりも左側(第1方向D1における一方側)に位置し、第1ガイド溝23から左側へ遠ざかる方向(第2離間方向D4という)へ向けて膨出している。
また、第1ガイド溝23は、後述するように様々な形状が考えられるが、図3で示す実施形態では、直線状である。直線状の第1ガイド溝23は、第2ガイド溝24へ近づくにつれて固定板20の上端縁20Cから第1離間方向D3へ離れるように、第1方向D1に対して傾斜して延びている。
【0028】
以下では、第1ガイド溝23の両端部のうち、一方を第1一端部23Aといい、他方を第1他端部23Bという。第1一端部23Aは、第1離間方向D3および第2離間方向D4のそれぞれにおける上流側端部であり、第1他端部23Bは、第1離間方向D3および第2離間方向D4のそれぞれにおける下流側端部である。第1一端部23Aおよび第1他端部23Bは、丸められている。
【0029】
また、第2ガイド溝24の両端部のうち、一方を第2一端部24Aといい、他方を第2他端部24Bという。第2一端部24Aは、第1離間方向D3における上流側端部であるが、第2離間方向D4における下流側端部であり、第2他端部24Bは、第1離間方向D3における下流側端部であるが、第2離間方向D4における上流側端部である。第2一端部24Aおよび第2他端部24Bは、丸められている。
【0030】
第1ガイド溝23および第2ガイド溝24の形状や寸法について満たすべき追加の条件の一例として、以下の条件6および7が挙げられる。
・条件6:第1一端部23Aと第2一端部24Aとは、第2方向D2において同じ位置にあり、第1他端部23Bと第2他端部24Bとは、第1方向D1において同じ位置にある。
・条件7:第1一端部23Aと第2一端部24Aとの間隔Xは、第1他端部23Bと第2他端部24Bとの間隔Yと同じである。
【0031】
図4は、ブラケット1と機器2との連結部分の模式図である。
図4を参照して、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれには、ピン25が1本ずつ係合される。ピン25は、2本存在し、機器2のベース部3の底面5に設けられ、底面5に直交した状態で底面5から下方に突出している。ピン25において第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれに嵌まっている部分は、各ガイド溝の溝幅よりも細い。
【0032】
ピン25としては、図4(a)に示すねじ26であってもよい。この場合、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれは、載置板21を厚さ方向に貫通したスリットである。ねじ26は、載置板21の下面21B側から、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれに対して遊びを持って挿通され、ベース部3の底面5に設けられたねじ穴5Aにねじ込まれる。ねじ26において下端に位置するねじ頭26Aは、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれから載置板21の下面21B側にはみ出ている。ねじ頭26Aは、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれの溝幅よりも幅広である。そのため、ねじ頭26Aは、載置板21の下面21Bに下から引っ掛かることによって、ピン25(ねじ26)が第1ガイド溝23および第2ガイド溝24から抜けることを防止するためにブラケット1に設けられた抜け止め防止機構を構成している。ねじ26を締めることによって、載置板21上において機器2を位置決めすることができる。
【0033】
別の構成のピン25としては、図4(b)に示すように、ベース部3の底面5に固定され、底面5から下方に突出するねじ軸27であってもよい。この場合も、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれは、前述したスリットである。ねじ軸27の外周面には、ねじ溝が形成されている。ねじ軸27は、載置板21の上面21A側から、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれに対して遊びを持って挿通される。ねじ軸27の下端部は、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれから載置板21の下面21B側にはみ出ていて、当該下端部に、ナット28が組み付けられる。ナット28は、載置板21の下面21Bに下から引っ掛かることによって、前述した抜け止め防止機構を構成している。ナット28を締めることによって、載置板21上において機器2を位置決めすることができる。なお、ナット28がいわゆる蝶ナットであれば、工具を用いずにナット28を締めたり緩めたりすることができる。
【0034】
さらに別の構成のピン25としては、図4(c)に示すように、ベース部3の底面5に固定され、底面5から二股に分かれて下方に突出する一対の弾性部材29であってもよい。一対の弾性部材29は、板ばね等で構成されており、ベース部3の底面5側を基端として、互いに接離するように弾性変形可能である。この場合も、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれは、前述したスリットである。一対の弾性部材29は、載置板21の上面21A側から、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれに対して遊びを持って挿通される。一対の弾性部材29の下端部は、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれから載置板21の下面21B側にはみ出ていて、互いに離れる方向へ折れ曲がった爪30になっている。各爪30は、載置板21の下面21Bに下から引っ掛かることによって、前述した抜け止め防止機構を構成している。
【0035】
さらに別の構成のピン25としては、図4(d)に示すように、ベース部3の底面5に固定され、底面5から下方に突出する凸部31であってもよい。この場合、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれは、載置板21の上面21Aから下方へ窪む凹部であって、載置板21を厚さ方向に貫通しない。凸部31は、載置板21の上面21A側から、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれに対して遊びを持って嵌め込まれる。この場合、前述した抜け止め防止機構として、ベース部3の底面5と載置板21とが磁力によって引き寄せられるようにする構成が考えられる。
【0036】
以上のようにピン25が第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれに1本ずつ係合されることによって、機器2が、ブラケット1を介して壁Wに取り付けられる。そのため、ブラケット1および2本のピン25は、壁Wへの機器2の取付構造32を構成している。機器2は、取付構造32を介して壁Wに取り付け可能である。
図5は、機器2が第1姿勢と第2姿勢との間で姿勢を変える様子を説明するためのブラケット1および機器2の模式的な平面図である。なお、図5では、説明の便宜上、ブラケット1の載置板21の輪郭において平面視では機器2のベース部3の下に隠れる部分、第1ガイド溝23、第2ガイド溝24および各ピン25を実線で示している。
【0037】
図5(a)を参照して、機器2のベース部3の底面5に設けられた2本のピン25の間隔Zは、前述した間隔XおよびY(図3(b)参照)のそれぞれに等しい。2本のピン25のうち、第1ガイド溝23に係合されるピン25を第1ピン25Aといい、第2ガイド溝24に係合されるピン25を第2ピン25Bという。
通常使用状態における機器2の姿勢は、図5(a)に示す第1姿勢である。第1姿勢は、ホームポジションにある機器2の姿勢である。第1姿勢の機器2では、第1ピン25Aは、第1ガイド溝23において第1一端部23Aに位置し、第2ピン25Bは、第2ガイド溝24において第2一端部24Aに位置している。そして、第1姿勢の機器2では、ベース部3の第1側面8が、死角となって、壁Wの壁面WSに第2方向D2から近接対向して壁面WSと略平行になっており、第1側面8と壁Wとの隙間Sは、比較的狭くなっている。そのため、第1姿勢の機器2は、壁Wになるべく接近した状態になっていて、壁Wとの一体感が図られている。この状態では、ユーザは、第1側面8のボリューム12に指が届かないので、ボリューム12を操作できない。しかし、通常使用状態でボリューム12を操作できるように隙間Sを大きくせずに済むことから、機器2を壁Wに寄せることができるので、その分、平面視におけるブラケット1を小さく抑えることができる。
【0038】
また、壁Wの壁面WSの手前側から第1姿勢の機器2を見ると、ベース部3では、第2側面9が最も大きく見え、第3側面10および突出部14が右手に位置し、第4側面11が左手に位置する。
ユーザは、ブザーの音量調整のためにボリューム12を操作したい場合には、第1姿勢の機器2のベース部3を掴んで、平面視で反時計回りに約90度回動させ、ベース部3の底面5を載置板21の上面21Aに対して摺動させる。なお、回動の開始に先立って、必要に応じて、前述したねじ26やナット28を緩めて、機器2の位置決めを解除しておく。
【0039】
回動を開始すると、図5(b)に示すように、第1ピン25Aは、第1ガイド溝23において第1一端部23Aから外れて第1他端部23Bへずれ、第2ピン25Bは、第2ガイド溝24において第2一端部24Aから外れて第2他端部24Bへずれる。2本のピン25の間隔Zは、第1姿勢のときと同じである。このとき、今まで壁面WSと略平行になっていたベース部3の第1側面8が壁面WSに対して傾斜し、機器2全体が壁Wから第1離間方向D3へ離れる。一方、ベース部3の第3側面10の突出部14は、壁Wの方向に向く。
【0040】
さらに回動を続けると、図5(c)に示すように、第1ピン25Aは、第1ガイド溝23において第1他端部23Bにさらに接近し、第2ピン25Bは、第2ガイド溝24において第2他端部24Bにさらに接近する。2本のピン25の間隔Zは、第1姿勢のときと同じである。このとき、壁面WSに対するベース部3の第1側面8の傾斜角度θが図5(b)のときよりも大きくなり、機器2全体が壁Wから第1離間方向D3へさらに離れる一方で、第3側面10の突出部14は、壁Wに対して、直角に近い角度で向く。
【0041】
機器2を目一杯まで回動させると、図5(d)に示すように、第1ピン25Aは、第1ガイド溝23において第1他端部23Bに到達し、第2ピン25Bは、第2ガイド溝24において第2他端部24Bに到達する。2本のピン25の間隔Zは、第1姿勢のときと同じである。このときの機器2の姿勢は、第2姿勢である。機器2が第2姿勢にあるとき、壁面WSに対するベース部3の第1側面8の傾斜角度θが約90度になり、第1側面8が、壁Wに略直交していて、左側へ露出されている。また、ベース部3では、第4側面11側の部分が載置板21の周縁部21Cの外にはみ出ている。また、ベース部3の第3側面10の突出部14が、壁Wに対して真正面から対向している。
【0042】
以上のように、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24は、載置板21に載置された機器2が、その一側面である第1側面8が壁Wに近接対向する第1姿勢(図5(a)参照)から、第1側面8が壁Wに略直交する第2姿勢(図5(b)参照)までの範囲において回動自在となるように、ピン25を案内する。
そして、機器2は、第1姿勢から第2姿勢まで回動する間、突出部14や前述した境界部分19が壁Wに干渉しないように、壁Wから離れる。そのため、第1姿勢の機器2と壁Wとの隙間Sが狭くても、突出部14(境界部分19も含む)を壁Wに干渉させるとなく、機器2を第1姿勢から第2姿勢まで回動させることができる。つまり、機器2の第2姿勢への回動により、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24ならびに各ピン25は、突出部14を壁Wに干渉することなく、壁Wに対向する位置(図5(d)参照)まで少なくとも移動させる。これにより、回動により姿勢を変えることができる機器2を壁Wに干渉せずに回動させることができる。ちなみに、突出部14が壁Wに対向する位置(図5(d)参照)を通り過ぎたときに、機器2が第2姿勢となってもよい。
【0043】
突出部14が壁Wに干渉することを確実に防止するために、第1ガイド溝23と固定板20の上端縁20Cとの最短距離L5は、突出部14の表面において最も突出した部分と、第1ガイド溝23に係合する第1ピン25Aとの間隔L6よりも長くなっている必要がある。
機器2が第2姿勢になった状態で、ユーザは、ボリューム12を操作して、ブザーの音量調整を行うことができる。音量調整後、ユーザは、第2姿勢の機器2のベース部3を掴んで、図5(d)、図5(c)、図5(b)の順で、平面視で時計回りに約90度回動させると、機器2は、途中で壁Wに干渉することなく、図5(a)に示す第1姿勢に戻る。よって、ユーザは、必要に応じて機器2を第1姿勢から第2姿勢まで回動させてボリューム12を操作し、その後、機器2を第1姿勢に戻すことができる。
【0044】
なお、ブラケット1および第1姿勢の機器2を下方から見た状態を図6(a)で示し、ブラケット1および第2姿勢の機器2を下方から見た状態を図6(b)で示している。
図7は、本実施形態に係るブラケット1および機器2の模式的な平面図である。図7では、第1姿勢の機器2が実線で示され、第1姿勢のときのピン25(第1ピン25Aおよび第2ピン25B)が黒丸で示され、第2姿勢の機器2が破線で示され、第2姿勢のときのピン25が白丸で示されている(後述する図8(a)〜図8(c)の各図においても同様)。
【0045】
図7に示すように、機器2が第1姿勢にあるときの第1方向D1における機器2(ベース部3)の両端部のうち、機器2が第1姿勢から第2姿勢まで回動する間に上端縁20Cに接近する一端部に符号「2A」を付し、上端縁20Cから離間する他端部に符号「2B」を付す。機器2が第1姿勢から第2姿勢まで回動する間、一端部2Aは、第2方向D2において第1距離M1だけ移動するのに対し、他端部2Bは、第2方向D2において第1距離M1より長い第2距離M2だけ移動する。このようにすれば、ブラケット1を介して壁Wに取り付けられた機器2を壁Wと干渉しないように第1姿勢と第2姿勢との間で回動させることができる。
【0046】
機器2は、第1姿勢と第2姿勢との間で回動する際、1つの回動中心を基準とする単純な円運動をしている訳ではない。前述したように機器2のベース部3には突出部14が設けられているので、単純な円運動によって壁Wへの突出部14の干渉を防止するためには、機器2の回転中心を壁Wから離さなければならず、これにより、ブラケット1の大型化が不可避である。
【0047】
しかし、本実施形態によれば、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24によってピン25をガイドすることによって、機器2を第1ピン25Aまわりに回動させる一方で、機器2の回動中心となる第1ピン25自体を第1ガイド溝23に沿って移動させる。これにより、突出部14が壁Wに対して接触しない程度に接近した絶妙な相対関係を維持するように機器2を複雑な軌道で回動させて、第1姿勢と第2姿勢との間で姿勢変更することができる。
【0048】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24は、機器2の突出部14が壁Wに干渉しないように機器2の第1姿勢と第2姿勢との間の回動を案内できるのであれば、図3図6で示した形状以外の形状でも構わない。
【0049】
図8(a)は、第1変形例に係るブラケット1および機器2の模式的な平面図であり、図8(b)は、第2変形例に係るブラケット1および第1姿勢の機器2の模式的な平面図であり、図8(c)は、第3変形例に係るブラケット1および第1姿勢の機器2の模式的な平面図である。
図8(a)に示す第1変形例の場合、前述した実施形態(本実施形態という)では直線状であった第1ガイド溝23(図5参照)が、第1一端部23Aから第1他端部23Bへ向けて固定板20の上端縁20Cから離れるように湾曲している。このような第1ガイド溝23に応じて、第2ガイド溝24では、第2一端部24Aおよび第2他端部24Bの位置や、第2ガイド溝24の曲率が若干変更されている。第1変形例における第2ガイド溝24は、本実施形態における第2ガイド溝24に比べて曲率が小さい。
【0050】
図8(b)に示す第2変形例の場合、第1ガイド溝23において、第1他端部23B側の略3分の2の領域として第1方向D1に沿って直線状に延びる直線部51と、直線部51から第1一端部23Aへ向けて固定板20の上端縁20Cから離れるように湾曲する曲線部52とを含んでいる。このような第1ガイド溝23に応じて、第2ガイド溝24では、第2一端部24Aおよび第2他端部24Bの位置や、第2ガイド溝24の曲率が若干変更されている。第2変形例における第2ガイド溝24は、本実施形態における第2ガイド溝24に比べて、第2他端部24B周辺での曲率が大きい。
【0051】
第2変形例の場合、機器2を第1姿勢から第2姿勢へと回動させる際において、第1ピン25Aが曲線部52を通っている間は突出部14が壁Wに接近し、第1ピン25Aが曲線部52から直線部51に移ると、突出部14と壁Wとの間隔がほぼ一定の状態で機器2が回動する。
図8(c)に示す第3変形例の場合、第1ガイド溝23において、第1一端部23A側の略4分の1の領域として第1方向D1に沿って直線状に延びる第1直線部53と、第1直線部53から第1他端部23Bへ向けて固定板20の上端縁20Cに徐々に接近するように直線状に延びる第2直線部54とを含んでいる。このような第1ガイド溝23に応じて、第2ガイド溝24では、第2一端部24Aおよび第2他端部24Bの位置や、第2ガイド溝24の曲率が若干変更されている。第3変形例における第2ガイド溝24は、本実施形態における第2ガイド溝24に比べて曲率が大きい。
【0052】
第3変形例の場合、機器2を第1姿勢から第2姿勢へと回動させる際において、第1ピン25Aが第1直線部53から第2直線部54に移ると、突出部14が壁Wに干渉しない程度に目一杯接近する。そのため、突出部14と壁Wとの間隔を極力小さく抑えて機器2を回動させることができる。
また、前述した実施形態では、機器2が第1姿勢にあるときに、ベース部3においてボリューム12が設けられた第1側面8が壁Wに近接対向するようにしているが、これはあくまで一例である。要は、ベース部3の4つの側面7(第1側面8、第2側面9、第3側面10および第4側面11)において、通常使用状態で使用する頻度が少ない部品が配置された側面7を、第1姿勢において壁Wに近接対向させて、スピーカー13等の壁Wに向けない方がいい部品が配置された側面7を壁Wから遠ざけて配置すればよい。そのため、機器2が第1姿勢にあるときに、4つの側面7における第1側面8〜第4側面11のいずれを壁Wに近接対向させるか任意に決定できる。
【0053】
また、この実施形態では、壁Wの壁面WSが垂直に延びているものとして説明したが、壁面WSは、垂直方向に対して傾斜していてもよく、その場合、ブラケット1の載置板21は、水平方向に対して傾斜して配置される。
また、前述した実施形態では、機器2を第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変更する際、平面視で反時計回りに機器2を回動させたが(図5参照)、機器2を第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変更するために、逆回り(ここでは時計回り)に機器2を回動させる構成もあり得る。逆回りに機器2を回動させる場合には、第1ガイド溝23および第2ガイド溝24のそれぞれは、前述した実施形態の場合と左右対称になるように配置される。
【符号の説明】
【0054】
1 ブラケット
2 機器
2A 一端部
2B 他端部
5 底面
8 第1側面
14 突出部
20 固定板
20C 上端縁
21 載置板
23 第1ガイド溝
24 第2ガイド溝
25 ピン
25A 第1ピン
26A ねじ頭
28 ナット
30 爪
32 取付構造
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第1離間方向
L1 間隔
L2 間隔
L3 間隔
L4 間隔
L5 最短距離
L6 間隔
M1 第1距離
M2 第2距離
W 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8