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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-121323(P2015-121323A)
(43)【公開日】2015年7月2日
(54)【発明の名称】磁気軸受用ロータセンサターゲット
(51)【国際特許分類】
   F16C 32/04 20060101AFI20150605BHJP
【FI】
   F16C32/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-257209(P2014-257209)
(22)【出願日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】13306817.1
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513157198
【氏名又は名称】エスカエフ・マニュティック・メシャトロニク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアルド・カラスコ
【テーマコード(参考)】
3J102
【Fターム(参考)】
3J102AA01
3J102BA03
3J102BA19
3J102CA16
3J102DA09
3J102DA35
3J102DB05
3J102DB10
3J102DB11
3J102DB38
3J102FA01
3J102FA03
3J102FA16
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、安価な磁気軸受用ロータセンサターゲットを提供することにある。
【解決手段】磁気軸受用ロータセンサターゲットは、非磁性材料からなる略リング状アセンブリ(40、50、60)にマウントされた磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)を備え、リング状アセンブリ(40、50、60)は、同軸上に配置され、かつ回転の長手方向軸X´−Xを有するシャフト(20)にマウントされている。非磁性材料からなる略リング状アセンブリ(40、50、60)は、長手方向軸X´−Xを有する少なくとも1つのリング状スリット(61)を備え、かつアルミニウムなどの安価な材料でつくることが可能である。リング状スリット(61)は、磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)にダメージを与えるリスクなしに、広範囲の温度にわたって動作を可能にする、フレキシビリティを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非磁性材料からなる略リング状アセンブリ(40、50、60;40、70;50´、60;40、80;41、80´;40、90;41、90´;41、70´)にマウントされた磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)を備え、前記略リング状アセンブリ(40、50、60;40、70;50´、60;40、80;41、80´;40、90;41、90´;41、70´)が、同軸上に配置され、かつ回転の長手方向軸X´−Xを有するシャフト(20)にマウントされた、磁気軸受用のロータセンサターゲットであって、
前記非磁性材料からなる略リング状アセンブリ(40、50、60;40、70;50´、60;40、80;41、80´;40、90;41、90´;41、70´)が、長手方向軸X´−Xを有する少なくとも1つのリング状スリット(61;71;81;92、94)を備えていることを特徴とする磁気軸受用のロータセンサターゲット。
【請求項2】
前記非磁性材料からなる略リング状アセンブリ(40、50、60;40、70;50´、60;40、80;41、80´;40、90;41、90´;41、70´)が、アルミニウムでつくられている請求項1に記載のロータセンサターゲット。
【請求項3】
前記非磁性材料からなる略リング状アセンブリ(40、50、60;40、70;40、80;40、90)が、第一独立リング(41)および第二独立リング(42)のセット(40)を備え、前記第一独立リング(41)と第二独立リング(42)との間に、前記磁性材料からなる略リング状アセンブリ(30)を介在している請求項1または2に記載のロータセンサターゲット。
【請求項4】
前記非磁性材料からなる略リング状アセンブリ(41、50´、60;41、80´;41、90´;41、70´)が、
前記磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)の一方に配置された第一独立リング(41)と、
長手方向軸X−X´に沿って、磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)の他方に配置された第二リング(51;85;98;75)と、
を備え、
前記第二リング(51;85;98;75)が、長手方向軸X−X´に沿って、第一独立リング(41)及び磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)下で内部に延在する大リング(50´;80´;90´;70´)の突出部である請求項1または2に記載のロータセンサターゲット。
【請求項5】
前記長手方向軸X´−Xを有する少なくとも1つのリング状スリット(61)が、シャフト(20)にマウントされた非磁性材料からなる厚いリング状体(60)と非磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)下にマウントされた非磁性材料からなる薄いリング状体(50、50´)との間に配置されている請求項1から4のいずれか一項に記載のロータセンサターゲット。
【請求項6】
前記長手方向軸X´−Xを有する少なくとも1つのリング状スリット(61)が、前記シャフト(20)にマウントされた非磁性材料からなる厚いリング状体(60)の狭い突出部(62、63)により両端でとめられている請求項5に記載のロータセンサターゲット。
【請求項7】
前記長手方向軸X´−Xを有する少なくとも1つのリング状スリット(61)が、前記シャフト(20)にマウントされた非磁性材料からなる厚いリング状体(70、70´)内に設けられ、かつ磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)下に配置され、前記非磁性材料からなる厚いリング状体(70、70´)が、長手方向軸X−X´に沿った長手方向片側断面において実質的にU字形を有している請求項1から4のいずれか一項に記載のロータセンサターゲット。
【請求項8】
前記長手方向軸X´−Xを有する少なくとも1つのリング状スリット(81)が、前記シャフト(20)にマウントされ、かつ磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)下に配置された非磁性材料からなるリング状体(80、80´)内に設けられ、
前記非磁性材料からなるリング状体(80、80´)が、
シャフト(20)にマウントされた厚いリング状部分(82)と、
磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)下に配置された薄いリング状部分(84)と、
少なくとも1つのリング状スリット(81)の一方で前記薄いリング状部分(84)と前記厚いリング状部分(82)とをブリッジしている狭い部分(83)と、
を備え、
前記非磁性材料からなるリング状体(80、80´)が、長手方向軸X−X´に沿った長手方向片側断面において実質的にC字形を有している請求項1から4のいずれか一項に記載のロータセンサターゲット。
【請求項9】
前記シャフト(20)にマウントされた非磁性材料からなるリング状体(90、90´)内に設けられ、かつ前記磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)下に配置された、長手方向軸X´−Xを有する第一リング状スリット(92)および第二リング状スリット(94)を備え、
前記非磁性材料からなるリング状体(90、90´)が、
前記シャフト(20)にマウントされた第一の薄いリング状部分(91)と、
第一リング状スリット(92)と第二リング状スリット(94)との間に配置された第二の薄いリング状部分(93)と、
前記磁性材料からなるリング状アセンブリ(30)下に配置された第三の薄いリング状部分(95)と、
前記第一リング状スリット(92)の一方で前記第一の薄いリング状部分(91)と第二の薄いリング状部分(93)とをブリッジしている第一の狭い部分(97)と、
前記第二リング状スリット(94)の他方で前記第二の薄いリング状部分(93)と第三の薄いリング状部分(95)とをブリッジしている第二の狭い部分(96)と、
を備え、
前記非磁性材料からなるリング状体(90、90´)が、長手方向軸X−X´に沿った長手方向片側断面において実質的にS字形を有している請求項1から4のいずれか一項に記載のロータセンサターゲット。
【請求項10】
前記磁性材料が、シリコン鉄である請求項1から9のいずれか一項に記載のロータセンサターゲット。
【請求項11】
前記シャフト(20)が、炭素鋼でつくられている請求項1から10のいずれか一項に記載のロータセンサターゲット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のロータセンサターゲットを備えている能動型磁気軸受用アキシャル−ラジアルセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気軸受用ロータセンサターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
ラジアルベアリングまたはアキシャル(またはスラスト)ベアリングとすることができる、能動型の磁気軸受は、ロータと、電磁石巻線が装着されたステータと、ロータのラジアル位置またはアキシャル位置を検出する少なくとも1つのセンサと、ステータと接触することなく、ロータを平衡状態に保つサーボ制御回路と、を備え、少なくとも1つのセンサにより供給された信号に基づき、ロータの電磁石により通電される電流が、サーボ制御される。
【0003】
図9は、強磁性積層体211および電磁石巻線212のスタックを有するステータと、シャフト220にマウントされた積層体213の第二スタックが装着されたロータと、を備える、既知のラジアル磁気軸受200の例を概略的に示す。誘導型のラジアル位置検出器201は、強磁性積層体231および電磁石巻線232のスタックを有するステータと、シャフト220にマウントされた積層体233の第二スタックが装着されたロータと、を備える。誘導型のアキシャル位置検出器202は、強磁性積層体251、251´および電磁石巻線252、252´のスタックを有するステータと、シャフト220にマウントされた積層体の第二スタック253、253´が装着されたロータと、を備える。図9において、サーボ制御回路は、図示されていない。能動型磁気軸受は、様々な手法で構成することが可能である。詳しくは、特許文献1に開示されているように、ラジアル位置センサおよび/またはアキシャル位置センサは、ベアリングにおいて、組合せおよび/または一体化が可能である。さらに、強磁性積層体はまた、磁性材料からなる一体型部品(solid parts)により置換することも可能である。
【0004】
位置センサが誘導型の場合、図9中の強磁性積層体233、253、253´のスタックなどのロータ積層体からなるリングは、ロータセンサターゲット(rotor sensor target)と呼ばれる。
【0005】
図10は、既知のロータセンサターゲットの一例を示す。ターゲット材230、240は通常、炭素鋼でつくられたシャフト220にマウントされ、かつシャフト220に一体化されている。
【0006】
一般的に、磁気軸受システムのロータにアキシャルまたはアキシャル−ラジアルセンサを構成するためには、2つの材料が必要とされ、すなわち積層体または一体型部品で構成可能な第一非磁性材料および第二磁性材料が必要とされる。ロータのアキシャル変位は、磁性材料と非磁性材料との境界で測定される。磁性材料および非磁性材料は、メインシャフトに対する接触を失うことなく、または壊れることなく、高速および異なる温度に耐えるのに十分な強度を有することが必要である。
【0007】
図10に示された既知の形態において、インコネル718は、磁性材料からなる積層体230との組合せで、メインターゲットコンポーネント240を構成する非磁性材料として用いることが可能である。非磁性材料でつくられたメインターゲットコンポーネント240は、高さH1を有するリング241を備えることが可能であり、高さH2を有する炭素鋼のシャフト220にマウントされている。磁性材料からなる積層体230は、リング241にマウントされ、かつ非磁性材料からなる追加リング242とリング241の突出部243との間に維持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6849979号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
非磁性材料としてのインコネルにより得られる長所は、鋼板の熱膨張係数に非常に近い熱膨張と共に、その非常に高い機械的耐久性である。これらの2つの特性の付加は、センサを、広範囲の温度および速度において、使用可能とする。しかしながら、インコネルピース(Inconel price)のためにコストが非常に高いという短所がある。
【0010】
インコネルに対する代替材料として、高耐久性ステンレス鋼(Z6NiCrTiMoVB25−15−2)または高耐久性真ちゅう(CuNi2Si)を用いた設計が、安いコストを除いては温度および速度に関する制限がほとんどないインコネルと比較して、コストを低減するため、非磁性材料241、242に用いられてきた。磁性材料からなる積層体230は通常、FeSiでつくられている。
【0011】
図10に示されるように、突出部243を有するリング241の従来形状および追加リング242の従来形状が、全てインコネルなどの非磁性材料、高耐久性ステンレス鋼または高耐久性真ちゅうでつくられることにより、リング242と突出部243との間に介在させられた磁鉄積層体230の下での材料の高さH1、およびセンサターゲットの磁性部分230の下でのシャフト220の高さH2(すなわち半径)の増加は、何かしらの安価な非磁性材料が突出部243を有するリング241およびリング242に用いられた場合、積層体でつくられた磁性部分に悪影響を及ぼすことがある、非常に堅いアセンブリを生み出してしまう。
【0012】
解決すべき技術的課題は、安価な磁気軸受用ロータセンサターゲットを提供することにあり、これは、上記問題または欠点を改善するものであり、詳しくはセンサターゲットが動作中に広範囲の温度にさらされても、優れた動作状態を示すと共に、ロータアキシャル−ラジアルセンサターゲットの磁性部分がダメージを受けるリスクを低減するものである。
【0013】
詳しくは、本発明は、製造プロセスの容易性の向上を目的とし、低コストおよび高直列製造プロセス(high serial manufacturing process)を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、添付された特許請求の範囲に定義されている。
【0015】
より詳しくは、本発明は、磁気軸受用ロータセンサターゲットに関するものであり、非磁性材料からなる略リング状アセンブリにマウントされた磁性材料からなるリング状体を備え、非磁性材料からなる略リング状アセンブリは、同軸上に配置され、かつ回転の長手方向軸X−X´を有するシャフトにマウントされ、非磁性材料からなる略リング状アセンブリが、長手方向軸X´−X´を有する少なくとも1つのリング状スリットを備えることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、略リング状アセンブリは、アルミニウムなどの比較的安価な材料でつくられている。
【0017】
第一実施形態によれば、非磁性材料からなる略リング状アセンブリは、1セットの第一独立リングおよび第二独立リングを備え、第一独立リングおよび第二独立リング磁性材料内に磁性材料からなるリング状アセンブリが介在させられている。
【0018】
第二実施形態によれば、非磁性材料からなる略リング状アセンブリは、磁性材料からなるリング状アセンブリの一方に配置された第一独立リングと、長手方向軸X−X´に沿って磁性材料からなるリング状アセンブリの他方に配置された第二リングと、を備え、第二リングが、長手方向軸X−X´に沿って、磁性材料からなる第一独立リング及びリング状アセンブリ下で内部に延在する、より大きなリングの突出部である。
【0019】
リング状スリットは、磁性材料からなるリング状アセンブリにダメージを与えるリスクなしに、広範囲の温度にわたって動作を可能にするフレキシビリティを提供する。
【0020】
少なくとも1つのリング状スリットを含むセンサ部の特定形状により、磁気軸受用ロータセンサターゲットを構成するために、例えばインコネルまたは高耐久性真ちゅうに代えて、アルミニウムなどの耐久性がより低い非磁性材料を用いることが可能である。
【0021】
センサターゲットの改良された形状により、メインシャフトとの接触を損なうことなく、かつ破損することなく、高速および異なる温度に耐えるのに十分な強度を有するアルミニウムなどの材料を使用可能にする。
【0022】
本発明は、コンポーネントに過度の応力を与えることなく、コンポーネントのフレキシビリティを利用して、全ての部品を所定位置に維持することを可能とするため、これは、センサのコストを低減するアルミニウムなどの、耐久性がより低い材料でつくることが可能にする。
【0023】
高温で、アルミニウムの熱膨張係数が磁鉄積層体の熱膨張係数よりも高いにかかわらず、本発明に係るセンサターゲットの特定の構成により、高温で磁鉄積層体は抗張力を生じる過度の応力を受けないので、本発明に係るセンサターゲットは、従来において提案された一般的な構造とは異なり、低い温度での動作に適したままである。
【0024】
少なくとも1つのリング状スリットを設けることにより、磁鉄積層体または類似の磁性材料下のリングは、非常に薄くすることができると共に、より薄いリングの一方のエッジまたは両方のエッジでのみ支持することができる。より薄いリングは、よりフレキシブルにすると共に、アルミニウムなどの非磁性材料のより高い熱膨張により生じる作力を相殺する。このようにして、磁性積層体にかかる応力は常に、生じる抗張力下である。したがって、非磁性材料および磁性材料に関して、アルミニウムおよび鉄積層体などの、より安価な材料の組合せを用いても、より高い温度で動作することができる。
【0025】
本発明は、非磁性材料からなるアセンブリに関して、種々の形状および構成で実施可能である。
【0026】
異なる実施形態によれば、長手方向軸X´−Xを有する少なくとも1つのリング状スリットは、シャフトにマウントされた非磁性材料からなる厚いリング状体と、磁性材料からなるリング状アセンブリ下にマウントされた非磁性材料からなる薄いリング状体と、の間に配置されている。
【0027】
有利な実施形態に係る、このような場合において、長手方向軸X´−Xを有する少なくとも1つのリング状スリットは、シャフトにマウントされた非磁性材料からなる厚いリング状体の狭い突出部(narrow projections)により両端でとめられている。
【0028】
別の異なる実施形態によれば、長手方向軸X´−Xを有する少なくとも1つのリング状スリットは、シャフトにマウントされた非磁性材料からなる厚いリング状体内に設けられ、かつ磁性材料からなるリング状アセンブリ下に配置され、非磁性材料からなる厚いリング状体は、長手方向軸X−X´に沿った長手方向片側断面において実質的にU字形を有している。
【0029】
さらに別の異なる実施形態によれば、長手方向軸X´−Xを有する少なくとも1つのリング状スリットは、シャフトにマウントされた非磁性材料からなるリング状体内に設けられ、かつ磁性材料からなるリング状アセンブリ下に配置され、非磁性材料からなるリング状体は、シャフトにマウントされた厚いリング状部分と、磁性材料からなるリング状アセンブリ下に配置された薄いリング状部分と、少なくとも1つのリング状スリットの一方で薄いリング状部分と厚いリング状部分とをブリッジしている狭い部分と、を備え、非磁性材料からなるリング状体は、長手方向軸X−X´軸に沿った長手方向片側断面において実質的にC字形を有している。
【0030】
さらに別の異なる実施形態によれば、センサターゲットは、長手方向軸X´−Xを有する第一リング状スリットおよび第二リング状スリットを備え、第一リング状スリットおよび第二リング状スリットは、シャフトにマウントされた非磁性材料からなるリング状体内に設けられ、かつ磁性材料からなるリング状アセンブリ下に配置され、非磁性材料からなるリング状体は、シャフトにマウントされた第一の薄いリング状部分と、第一リング状スリットと第二リング状スリットとの間に配置された第二の薄いリング状部分と、磁性材料からなるリング状アセンブリ下に配置された第三の薄いリング状部分と、第一リング状スリットの一方で第一の薄いリング状部分と第二の薄いリング状部分とをブリッジしている第一の狭い部分と、第二リング状スリットの他方で第二の薄いリング状部分と第三の薄いリング状部分とをブリッジしている第二の狭い部分と、を備え、非磁性材料からなるリング状体が、長手方向軸X−X´軸に沿った長手方向片側断面において実質的にS字形を有している。
【0031】
シャフトは、炭素鋼でつくることができるのに対し、磁性材料は、磁鉄積層体、好ましくはシリコン鉄積層体(silicon iron laminations)とすることができる。
【0032】
さらに、本発明は、上述したロータセンサターゲットを備える、能動型磁気軸受用のアキシャル−ラジアルセンサ(axial-radial sensor)に関する。
【0033】
本発明の別の特徴および利点は、例として及び添付の図面を参照しつつ挙げられている以下の詳細な実施形態の説明から、明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係るロータセンサターゲットのコンポーネントの縦断面図である。
図2図2は、本発明の第二実施形態に係るロータセンサターゲットのコンポーネントの縦断面図である。
図3図3は、本発明の第一実施形態の変形例に係るロータセンサターゲットのコンポーネントの縦断面図である。
図4図4は、本発明の第三実施形態に係るロータセンサターゲットのコンポーネントの縦断面図である。
図5図5は、本発明の第三実施形態の変形例に係るロータセンサターゲットのコンポーネントの縦断面図である。
図6図6は、本発明の第四実施形態に係るロータセンサターゲットの縦断面図である。
図7図7は、本発明の第二実施形態の変形例に係るロータセンサターゲットの縦断面図である。
図8図8は、本発明の第四実施形態の変形例に係るロータセンサターゲットのコンポーネントの縦断面図である。
図9図9は、従来の能動型磁気軸受の一例の軸方向片側断面図である。
図10図10は、従来の形態に係るロータセンサターゲットのコンポーネントの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、例示の目的で挙げられた好適な実施形態と関連付けて説明される。
特に明記しない限り、異なる実施形態は、共に組合せ可能である。
本発明の第一実施形態の典型的な配置が、図1に示されている。
図1に示されるように、長手方向軸X−X´を有していると共に、たとえば炭素鋼でつくられたシャフト20に、ロータセンサターゲット(rotor sensor target)を構成するために、シリコン鉄積層体などの磁性材料からなるリング状アセンブリ30は、シャフト20と同軸上に配置されていると共に、アルミニウムなどの非磁性材料からなる略リング状アセンブリにマウントされ、また略リング状アセンブリは、任意の既知の手法により、シャフト20と同軸上に配置されていると共に、シャフト20にマウントおよび接合されている。
【0036】
図1の実施形態において、非磁性材料からなるアセンブリは、シャフト20に直接接合された、第一の相対的に厚いリング状体60を備えていると共に、この第一の相対的に厚いリング状体60の外面に、2つの細めの突出部またはフランジ(two narrow slightly projecting parts or flanges)62、63を有している。
【0037】
非磁性材料アセンブリは、第一の相対的に厚いリング状体60の2つの細めの突出部62、63にぴったりした第二の相対的に薄いリング状部50をさらに備えているので、第一の相対的に厚いリング状体60と第二の相対的に薄いリング状部50との間にリング状スリット61を規定している。第二の相対的に薄いリング状部は、アルミニウムなどの、第一の相対的に厚いリング状体60と同じ材料でつくられていることが好ましいが、異なる材料を選択することも可能である。最後に、磁性材料からなるリング状アセンブリ30は、第一リング41と第二リング42との間に介在し、第一リング41および第二リング42は、アルミニウムなどの非磁性材料でつくられ、かつ第二の相対的に薄いリング状部50に接合されたリングのセット40を規定している。
【0038】
リング状アセンブリ30のすぐ下に薄いリング状部50を設けることにより、および薄いリング状部50が第一の相対的に厚いリング状体のエッジ(edges)を構成する2つの細めの突出部(narrow slightly projecting parts)62、63でのみ支持されているのに対し、リング状スリット61は、エッジ62とエッジ63との間に規定されていることにより、薄いリング状部50に対するフレキシビリティおよびセンサターゲット全体に対するフレキシビリティをもたらしている。これは、センサが広範囲の温度で使用される場合、リング状アセンブリ30が過度の応力にさらされるのを回避する。
【0039】
本発明に係るロータセンサターゲットは、一般的なステータを備える強磁性構造体のスタックと、たとえば図9に示される電磁石巻線と、を有する、アキシャル(axial)センサまたはアキシャル−ラジアル(axial-radial)センサにおいて使用することが可能である。
【0040】
図2は、アルミニウムなどの非磁性材料でつくられた第一リング41と第二リング42との間に介在した磁性材料からなるリング状アセンブリ30を備えていると共に、非磁性材料でつくられた別のリング状部70の外面に接合されたリングのセット40を規定しているので、図1の実施形態にほぼ類似の第二実施形態を示す。図2の実施形態において、図1の実施形態の要素と同一の要素は、同一の参照符号を付して繰り返して詳細に説明しない。
【0041】
図2の第二実施形態において、1つのリング状スリット71は、シャフト20にマウントされた非磁性材料からなる厚いリング状体70内に設けられ、かつ磁性材料からなるリング状アセンブリ30の真下に配置されている。非磁性材料からなる厚いリング状体70は、長手方向軸X−X´に沿った長手方向片側断面において実質的にU字形を有していると共に、第一ラジアルフランジ72および第二ラジアルフランジ73、ならびに磁性材料からなるリング状アセンブリの真下に配置された円筒部分74を備えている。円筒部分74は、相対的に薄いものとすることが可能であり、かつ図1の実施形態のリング50と比べることができるのに対し、フランジ72、73は、図1の実施形態の厚いリング状体60のエッジ62、63と比べることが可能である。
【0042】
図3は、図1のセンサターゲットの変形実施形態を示す。その構成は非常に似ているが、図3の実施形態において、図1の第二リング42は、図1の実施形態において既に存在して参照符号50により特定される、相対的に薄いリング50´の突出部51により、置換されている。
【0043】
図4は、第一リング41と第二リング42との間に介在させられた、磁性材料からなるリング状アセンブリ30を備えるので、図1の実施形態とほぼ類似している第三実施形態を示す。第一リング41および第二リング42は、アルミニウムなどの非磁性材料でつくられ、かつ非磁性材料でつくられた別のリング状部80の外面に接合された、リングのセット40を規定している。
【0044】
図4の第三実施形態において、1つのリング状スリット81は、シャフト20にマウントされた、非磁性材料からなる厚いリング状体80内に設けられ、かつ磁性材料からなるリング状アセンブリ30の真下に配置されている。
【0045】
長手方向軸X´−Xを有するリング状スリット81は、シャフト20にマウントされた、非磁性材料からなるリング状体80内に設けられていると共に、磁性材料からなるリング状アセンブリ30下に配置されている。非磁性材料からなるリング状体80は、シャフト20にマウントされた厚いリング状部分82と、磁性材料からなるリング状アセンブリ30下に配置された薄いリング状部分84と、リング状スリット81の一方で薄いリング状部分84と厚いリング状部分とをブリッジしている狭い部分83と、を備えている。したがって、非磁性材料からなるリング状体80は、長手方向軸X−X´に沿った長手方向片側断面において実質的にC字形を有している。図4の第三実施形態の薄いリング状部分84およびリング状スリット81はそれぞれ、図1の第一実施形態の薄いリング50および環状スリット61と比べることが可能である。
【0046】
図5は、図4のセンサターゲットの変形実施形態を示す。その構成は、非常に似ているが、図5の実施形態において、図4の実施形態の第二リング42は、図4の実施形態において既に存在して参照符号80により特定されるリング状体80´の薄いリング状部分84の突出部85により置換されている。
【0047】
図6は、第一リング41と第二リング42との間に介在させられた磁性材料からなるリング状アセンブリ30を備え、第一リング41および第二リング42が、アルミニウムなどの非磁性材料でつくられ、かつ非磁性材料でつくられた別のリング状部90の外面に接合されたリングのセット40を規定しているので、図1の実施形態とほぼ類似している第四実施形態を示す。図6の実施形態において、図1の実施形態の要素と同じ要素は、同じ参照符号を付して繰り返して詳細に説明しない。
【0048】
図6の第三実施形態において、センサターゲットは、長手方向軸X´−Xを有する第一リング状スリット92および第二リング状スリット94を備え、第一リング状スリット92および第二リング状スリット94は、シャフト20にマウントされた非磁性材料からなるリング状体90内に設けられ、かつ磁性材料からなるリング状アセンブリ30下に配置されている。非磁性材料からなるリング状体90は、シャフト20にマウントされた第一の薄いリング状部分91と、第一リング状スリット92と第二リング状スリット94との間に配置された第二の薄いリング状部分93と、磁性材料からなるリング状アセンブリ30下に配置された第三の薄いリング状部分95と、第一リング状スリット92の一方で第一の薄いリング状部分91と第二の薄いリング状部分93とをブリッジしている第一の狭い部分97と、第二リング状スリット94の他方で第二の薄いリング状部分93と第三のリング状部分95とをブリッジしている第二の狭い部分96と、を備えている。非磁性材料からなるリング状体90は、長手方向軸X−X´に沿った長手方向片側断面において実質的にS字形を有している。
【0049】
図7は、図2のセンサターゲットの変形実施形態を示す。その構成は非常に似ているが、図7の実施形態において、図2の実施形態の第二リング42は、リング状体70´の相対的に薄い円筒部分74の突出部75により置換され、リング状体70´は図2の実施形態において既に存在して参照符号70により特定されている。
【0050】
図8は、図6のセンサターゲットの変形実施形態を示す。その構成は、非常に似ているが、図8の実施形態において、図6の実施形態の第二リング42は、リング状体90´の薄いリング状部分94により置換され、リング状体90´は、図6の実施形態において既に存在して参照符号90により特定されている。
【0051】
参照符号50´、70´、80´、90´はそれぞれ、図3、7、5、8に示されるような、突出部を有するリング状体に対応しているのに対し、参照符号50、70、80、90はそれぞれ、図1、2、4、6に示されるような、突出部を有していないリング状体に対応している。
【0052】
概して言えば、本発明は、製造プロセスの簡素化、パフォーマンスの向上、およびコストの低減を提供する。
【0053】
好適な実施形態が開示および説明されたが、添付の特許請求の範囲において定義されるような本発明の要旨の範囲内で、任意の変更および修正が該実施形態においてなされてもよい。したがって、異なる実施形態の特徴が組合せ可能である。
【符号の説明】
【0054】
30、40、50、60 リング状アセンブリ
20 シャフト
61 リング状スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】
2015121323000001.pdf