【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ▲1▼2013年6月20日 第39回 日本コミュニケーション障害学会学術講演会会長 新藤美津子発行の「第39回 日本コミュニケーション障害学会 学術講演会 予稿集」に発表 ▲2▼平成25年6月26日 東京医科歯科大学の特別講義において発表 ▲3▼平成25年6月27日 上智大学の大学院講義において発表 ▲4▼平成25年7月12日 横浜共立学園高等学校の大学体験講義において発表 ▲5▼平成25年7月21日 第39回 日本コミュニケーション障害学会 学術講演会において発表 ▲6▼平成25年7月28日 日本音響学会サマーセミナーにおいて発表 ▲7▼2013年8月25日 INTERSPEECH2013 Proceedingに発表 ▲8▼2013年8月28日 INTERSPEECH2013において発表 ▲9▼平成25年9月17日 一般社団法人 日本音響学会発行の日本音響学会2013年秋季研究発表会 講演論文集講演要旨・講演論文 CD−ROMに発表 ▲10▼平成25年9月24日 日本音声学会発行の第27回日本音声学会全国大会 予稿集に発表 ▲11▼平成25年9月26日 日本音響学会2013年秋季研究発表会において発表 ▲12▼平成25年9月28日 第27回 日本音声学会全国大会において発表 ▲13▼平成25年10月12日 上智大学のキャンパスツアーにおいて発表
【課題】 シンプルな構成で、声道を容易にイメージでき、操作が簡単で、目的とする音を生成しやすく、目的とする音の生成及び確認と舌の位置とを操作に伴い簡単に確認できる声道模型を提供すること。
【解決手段】 声道模型10は、声道部30と、ベース部71と、本体部73全体がベース部71と共に部材に載置される載置状態と、本体部73全体がベース部71に対して起上する起上状態との間を往復するように、ベース部71に対して回動する本体部73とを有する舌本体ユニット70と、本体部73が載置状態と起上状態との間を往復するように、本体部73の回動を操作する操作部80とを有する。
前記操作部が載置されることによって前記本体部が前記載置状態となり、前記操作部が起上することによって前記本体部が前記起上状態となるように、前記操作部が回動することによって、前記操作部は前記操作部に連動して前記本体部を操作することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の声道模型。
前記舌本体ユニットは、前記本体部の本体先端部に着脱可能で、前記本体先端部に取り付けられた際に舌端として機能する舌端部をさらに有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の声道模型。
長さの短い前記舌端部が前記本体部に取り付けられている場合、前記本体部は、前記本体部と前記舌端部とが一体となって前記ベース部と共に前記部材に載置される前記載置状態と、前記本体部の前記本体先端部と前記舌端部の舌端先端部とが前記部材とは非接触で前記本体部全体が前記ベース部に対して反り返るように起上する前記起上状態における反り返り起上状態との間を往復するように、前記ベース部に対して回動することを特徴とする請求項5に記載の声道模型。
長さの長い前記舌端部が前記本体部に取り付けられている場合、前記本体部は、前記本体部と前記舌端部とが一体となって前記ベース部と共に前記部材に載置される前記載置状態と、前記本体部と前記舌端部とが前記ベース部に対して傾斜して起上する前記起上状態における傾斜起上状態との間を往復するように、前記ベース部に対して回動することを特徴とする請求項6に記載の声道模型。
前記本体部は、前記本体部全体が前記ベース部と共に前記部材に載置される前記載置状態と、前記本体部全体が前記ベース部に対して傾斜して起上する前記起上状態における傾斜起上状態との間を往復するように、前記ベース部に対して回動する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の声道模型。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
[構成]
図1Aと
図1Bと
図2Aと
図2Bと
図2Cと
図3Aと
図3Bと
図4Aと
図4Bと
図5Aと
図5Bとを参照して第1の実施形態について説明する。なお一部の図面では、図示の明瞭化のために、一部の部材の図示を省略している。
以下において声道模型10の高さ方向をZ方向または上下方向と称し、声道模型10の幅方向をX方向または左右方向と称し、声道模型10の長さ方向をY方向または前後方向と称する。Z方向とY方向とX方向とは、互いに直交している。
【0012】
[声道模型10(以下、模型10)]
図1Aと
図1Bとに示すような模型10は、例えば、言語学習者のための言語教育や言語障がい者のための言語治療に用いられる。本実施形態の模型10は、例えば、流音に含まれる接近音(approximant)と呼ばれる音を生成する。接近音は、例えば、英語の「r」や「l」などの音を含む。
【0013】
図1Aと
図1Bとに示すように、模型10は、L字の筒形状を有している。このような模型10は、複数の薄い平板部材によって囲まれることで形成される。これに伴い模型10は、模型10の内部(中空部)として機能するL字型の筒形状の声道部30を有することとなる。平板部材は、声道部30が模型10の外部から可視できるように、例えば、透明アクリルなどの透明部材によって形成されている。このように模型10は、透明の部材によって囲まれることでL字型の筒部として形成される声道部30を有することとなる。
【0014】
図1Aと
図1Bと
図2Aとに示すように、声道部30は、L字の一辺を形成し、Z方向に沿って配設されている咽頭部31と、L字の他辺を形成し、Y方向に沿って配設されている口腔部33とを有している。咽頭部31の一方は下方に向かって開口しており、咽頭部31の他方は口腔部33の一方と連通している。また口腔部33の他方は、前方に向かって開口しており、開口部33aが形成されている。
【0015】
図1Aと
図1Bと
図2Aとに示すように、咽頭部31は、前記した透明な平板部材である前面板21aとL字形状の左側面板23aの一部とL字形状の右側面板23bの一部と背面板23cの一部と底面板21dとによって形成されている。咽頭部31の内部は、中空となっている。
図1Aと
図1Bと
図2Aとに示すように、口腔部33は、前記した透明な平板部材である上面板25aとL字形状の左側面板23aの他部と右側面板23bの他部と背面板23cの他部と底面板25dとによって形成されている。上面板25aは、口蓋として機能する。
【0016】
また
図1Aと
図1Bと
図2Aとに示すように、模型10は、模型10が例えば図示しない机などに対して倒れずに載置され、咽頭部31(模型10におけるL字の一辺)が机に対して立設し、口腔部33(模型10におけるL字の他辺)が机の平面に対して平行となるように、咽頭部31(模型10のL字の一辺)の底部に配設されているL字形状の台座部40を有している。台座部40は、例えば、透明アクリルなどの透明部材によって形成されている。台座部40は、平板状の前面板41a及び底面板41bを有している。底面板41bは、底面板21dに対して平行に配設され、机に載置される。前面板41aは、底面板21dと底面板41bと対して立設されるように、底面板21dと底面板41bとに固定されている。また前面板41aは、前面板41aと前面板21aとによって咽頭部31における狭窄部31aを形成するように、前面板21aよりも背面板23c側に配設されている。
前記した各板は、例えばねじなどによって互いに取り外し可能に連結されている。
【0017】
また
図1Aと
図1Bと
図2Aとに示すように、模型10は、舌の一部として機能する舌根部50と、歯として機能する歯ユニット60と、口腔部33として機能する声道部30の一部に配設され、舌の他部として機能する舌本体ユニット70と、舌本体ユニット70を操作する操作部80とを有している。舌根部50は咽頭部31に配設され、歯ユニット60と舌本体ユニット70とは口腔部33に配設され、操作部80は模型10の外部に配設されている。
【0018】
[舌根部50]
図1Aと
図1Bと
図2Aと
図2Bとに示すように、舌根部50は、前面板21aと左側面板23aの一部と右側面板23bの一部と背面板23cの一部とに密着するように咽頭部31に配設され、接近音を生成するために配設される。
図1Aと
図1Bと
図2Aとに示すように、舌根部50は、底面板21に対して浮いている。舌根部50は、例えば直方体形状を有している。舌根部50は、例えば、舌根部50が模型10の外部から可視できるように、例えば、透明アクリルなどの透明部材によって形成されている。
図2Aと
図2Bとに示すように舌根部50は、Z方向に沿って配設され、狭窄部31aと連通する溝部51を有している。溝部51は、背面板23cによって覆われる。
【0019】
[歯ユニット60]
図1Aと
図1Bと
図2Aと
図2Bと
図2Cとに示すように、歯ユニット60は、Z方向において舌本体ユニット70と対向するように舌本体ユニット70の上方に配設されており、凹字形状を有している。
図2Bに示すように、凹字の対向しあう2辺は、Y方向に沿って配設されおり、凹字の底辺はX方向に沿って配設され開口部33a側に配設されている。
図2Bに示すように、歯ユニット60は、複数の歯部材61を有している。前記した凹字の対向しあう2辺の一方における歯部は左側面板23aの他部に密着しており、2辺の他方における歯部は右側面板23bの他部に密着している。歯部材61は、隣り合う歯部材61と密着するように配設されている。歯部材61は、口腔部33に配設されさらに上面板25aに着脱自在となるように、例えば図示しないねじなどによって上面板25aに取り付けられている。つまり歯部材61は、上面板25aから口腔部33に向かって吊り下げられるように、上面板25aに取り付けられている。歯部材61は、例えば直方体形状を有している。歯部材61は、歯ユニット60の内側が声道模型10の外部から可視できるように、例えば、透明アクリルなどの透明部材によって形成されている。
【0020】
[舌本体ユニット70]
図1Aと
図1Bと
図2Aと
図2Bと
図2Cとに示すように、舌本体ユニット70は、例えば矩形柱形状を有している。舌本体ユニット70は、舌本体ユニット70の後述する状態及び動作が声道模型10の外部から判別できるように、透明ではなく、着色されている。舌本体ユニット70は、例えば、アルミなどの金属部材によって形成されている。
【0021】
図1Aと
図1Bと
図2Aと
図2Bと
図2Cとに示すように、舌本体ユニット70は、舌本体ユニット70の基端部に配設され、底面板25dに載置されるベース部71と、舌本体ユニット70の先端部に配設され、本体部73全体がベース部71と共に底面板25dに載置される載置状態(
図1Aと
図3Aと
図4Aと
図5A参照)と、本体部73全体がベース部71に対して起上する起上状態(
図1Bと
図3Bと
図4Bと
図5B参照)との間を往復するように、ベース部71に対してX軸周りに回動する本体部73とを有している。
【0022】
ベース部71と本体部73とは、着色されている。
図2Bに示すように、ベース部71と本体部73とは、Y方向に沿って配設されている溝部75を有している。ベース部71の溝部75と本体部73の溝部75とは、同一直線上に配設されている。溝部75は、上面板25aに対して開口している。
【0023】
また
図1Aと
図1Bと
図2Aと
図2Cと
図3Aと
図3Bと
図4Aと
図4Bと
図5Aと
図5Bとに示すように、舌本体ユニット70は、本体部73の本体先端部73bに着脱可能で、本体部73先端部に取り付けられた際に舌端として機能する舌端部77をさらに有している。舌端部77は、互いに長さの異なる短い舌端部78aと長い舌端部78bとからなる。
【0024】
ベース部71と本体部73と舌端部77とは、それぞれ別体である。
【0025】
[ベース部71]
図1Aと
図1Bとに示すようなベース部71は、例えばねじなどによって、底面板25dに着脱自在に取り付けられる。
図2Aに示すように、ベース部71は、Z方向において前面板21aと同一平面上に配設されているベース基端部71aと、本体部73がベース部71に対してX軸周りに回動可能となるように本体部73を支持するベース先端部71bとを有している。ベース先端部71bは、本体部73がベース部71に対して滑らかに回動するように、凹状の凹型曲面部71cを有している。凹型曲面部71cは、Y方向において窪み、X方向に沿って配設されるように、ベース先端部71bの先端面全体に配設されている。
【0026】
[本体部73]
図2Aに示すように、本体部73は、ベース先端部71bによって支持されている本体基端部73aを有している。本体基端部73aは、本体部73がベース部71に対して滑らかに回動するように、凹型曲面部71cに嵌め込まれる凸状の凸型曲面部73cを有している。凸型曲面部73cが凹型曲面部71cに嵌め込まれることによって、本体部73はベース部71に対して回動可能となるようにベース部71に支持される。凸型曲面部73cは、Y方向において窪み、X方向に沿って配設されるように、本体基端部73aの基端面全体に配設されている。
【0027】
舌端部77が本体部73に取り付けられる際、Y方向において舌端部77が本体部73の先端面から本体部73の内部に挿し込まれるように、本体部73は矩形の中空形状を有しており、
図1Aと
図2Cと示すように本体部73の先端面は開口している。この場合、後述する軸部材81は、本体部73に挿し込まれる舌端部77のストッパーとして機能する。
【0028】
[短い舌端部78aが本体部73に取り付けられている場合]
図1Aと
図1Bと
図3Aと
図3Bとに示すように、短い舌端部78aが本体部73に取り付けられている場合、本体部73は、本体部73と短い舌端部78aとが一体となってベース部71と共に底面板25dに載置される載置状態(
図1Aと
図3A参照)と、本体部73の本体先端部73bと短い舌端部78aの舌端先端部77aとが上面板25aとは非接触で本体部73全体がベース部71に対して反り返るように起上する起上状態における反り返り起上状態(
図1Bと
図3B参照)との間を往復するように、ベース部71に対してX軸周りに回動する。
【0029】
図2Aと
図3Bとに示す反り返り起上状態において、本体部73は、本体部73が咽頭部31側に倒れ込み、本体先端部73bが歯ユニット60に重なるように、ベース部71に対して例えば略100度反り返る。
【0030】
反り返る本体部73は、本体部73の上面の一部が凹型曲面部71cの上縁部に当接することによって、反り返りを規制されている。
この場合、短い舌端部78aは、舌端(舌頭,舌尖)として機能する。短い舌端部78aは本体部73に対して着脱自在となっており、短い舌端部78aの端部は本体先端部73bから外部に向かって微小に突出している。
【0031】
[長い舌端部78bが本体部73に取り付けられている場合]
図4Aと
図4Bと
図5Aと
図5Bとに示すように、長い舌端部78bが本体部73に取り付けられている場合、本体部73は、本体部73と長い舌端部78bとが一体となってベース部71と共に底面板25dに載置される載置状態(
図4Aと
図5A参照)と、長い舌端部78bの舌端先端部77aが歯ユニット60に囲まれるように本体部73と長い舌端部78bとがベース部71に対して傾斜して起上する起上状態における傾斜起上状態(
図4Bと
図5B参照)との間を往復するように、ベース部71に対してX軸周りに回動する。この場合、長い舌端部78bが舌端として機能する。長い舌端部78bは本体部73に対して着脱自在となっており、長い舌端部78bの端部は本体先端部73bから外部に向かって大幅に突出している。つまり、本体部73から外部への舌端部78bの突出長さは、舌端部78aの突出長さよりも長い。
【0032】
[舌端部77(短い舌端部78aと長い舌端部78b)]
短い舌端部78aの構成は、長い舌端部78bの構成と同じである。
図2Aと
図4Aと
図4Bと
図5Aと
図5Bとに示すように、舌端部77は、直方体形状を有している。舌端部77の舌端先端部77aは、
図4Aと
図5Aとに示す傾斜起上状態において、上面板25aに当接する当接部77bを有している。当接部77bは、例えば、舌端先端部77aの上面部の縁部を有している。当接部77bが当接することによって、傾斜起上状態が維持される。
図4Aと
図4Bと
図5Aと
図5Bとに示すように、X方向において、舌端部77の幅は、本体部73の幅よりも短い。またX方向において、
図4Bと
図5Bとに示すように、舌端部77の幅は、X方向において対向しあう歯部材61同士の間隔よりも短い。このため、
図4Bと
図5Bとに示すように、傾斜起上状態において、X方向において長い舌端部78bと歯部材61との間には、隙間部79が形成される。なお
図4Bと
図5Bとに示す傾斜起上状態において、本体先端部73bを含む本体部73は、歯ユニット60と上面板25aと左側面板23aの他部と右側面板23bの他部とには非接触である。
【0033】
舌端部77は、舌端部77の動作が声道模型10の外部から判別できるように、透明ではなく、着色されている。舌端部77は、本体部73と同じ色で着色されてもよし、本体部73とは異なる色で着色されてもよい。舌端部77は、例えば、アルミなどの金属部材によって形成されている。
【0034】
[操作部80]
図1Aと
図1Bと
図4Aと
図4Bとに示すように、操作部80は、本体部73が載置状態と、反り返り起上状態または傾斜起上状態との間を往復するように、本体部73の回動を操作する。特に、操作部80は、操作部80の動作が本体部73の動作と連動するように、言い換えると本体部73の状態が操作部80の状態に対応するように、本体部73の回動を操作する。このため操作部80が一方に向かって回動して例えば載置されることによって本体部73が載置状態となり、操作部80が他方に向かって回動して例えば起上することによって本体部73が起上状態となるように、操作部80は回動する。そして操作部80が回動することによって、操作部80は操作部80に連動して本体部73を操作する。操作部80は、操作部80が載置状態と、操作部80が反り返り起上状態または傾斜起上状態とのいずれかに往復するように、X軸周りに回動する。そして、操作部80が載置状態の場合、本体部73は載置状態となる。また操作部80が反り返り起上状態または傾斜起上状態の場合、本体部73は反り返り起上状態または傾斜起上状態となる。
【0035】
なお操作部80の操作性を考慮すると、
図1Aと
図1Bと
図4Aと
図4Bとに示すように、操作部80は、本体部73に対して予め所望する角度(例えば45度)起上するように、位置決めされていることが好適である。このため
図1Aと
図4Aとに示すように本体部73が載置状態の場合、操作部80は底面板25dに対して45度起上することとなる。また。また
図1Bに示すように、本体部73が反り返り起上状態の場合、操作部80は底面板25dに対して145度起上することとなる。
図4Bに示すように本体部73が傾斜起上状態の場合、操作部80は底面板25dに対して90度起上することとなる。
【0036】
操作部80は、例えば、アルミなどの金属部材によって形成されている。
図2Aと
図2Bと
図2Cとに示すように、操作部80は、X方向において左側面板23aの他部と右側面板23bの他部と本体基端部73aとを貫通するようにX方向に沿って配設され、回動する本体部73の回動軸として機能する軸部材81と、軸部材81の一端部と連結し、軸部材81を介して本体部73の往復を操作する操作本体部83とを有している。
【0037】
例えば、操作本体部83の一部が軸部材81の一端部と連結し、操作本体部83の一端部が上面板25aよりも上方に配設され、操作本体部83の他端部が底面板25dよりも下方に配設されるように、操作本体部83は配設されている。操作本体部83は、例えば左側面板23aの他部の側方に配設される。
【0038】
操作本体部83は、例えば棒形状を有するレバーとして機能する。
図1Aに示すように操作本体部83が押し倒されるように回動することで、操作本体部83は軸部材81を介して本体部73を載置状態に切り替える。
図1Bに示すように操作本体部83が引き上げられて起上するように回動することで、操作本体部83は軸部材81を介して本体部73を反り返り起上状態または傾斜起上状態に切り替える。
【0039】
[動作]
[接近音における、そり舌接近音(Retroflex Approximant)/r/の生成について]
接近音における「そり舌接近音/r/」が生成される場合について説明する。この場合、
図1Aと
図1Bとに示すように、短い舌端部78aは、開口部33aから声道部30に挿入され、本体部73に取り付けられる。
【0040】
図1Aと
図3Aとに示す載置状態において、声道部30の形状によって、母音の「a」が生成可能となっている。この状態から、模型10が操作者によって把持され、
図1Bと
図2Aと
図3Bとに示すように操作本体部83が引き上げられて起上するように操作者に回動操作されると、操作本体部83は軸部材81を介して短い舌端部78aを含む本体部73を載置状態から反り返り起上状態に切り替える。
【0041】
また
図1Aと
図2Aと
図3Aとに示すように操作本体部83が押し倒されるように操作者に回動操作されると、操作本体部83は軸部材81を介して短い舌端部78aを含む本体部73を反り返り起上状態から載置状態に切り替わる。
【0042】
前記した載置状態、反り返り起上状態、載置状態といった一連の往復動作によって調音(構音)が実施され、この状態で操作者の操作によって例えば気流が声道部30を咽頭部31の底から詳細には狭窄部31aと舌根部50の溝部51とベース部71の溝部75と本体部73の溝部75とを介して口腔部33の開口部33aに向かうように流れることによって、「ara」という音が生成可能となる。そして、模型10は、「ara」という音を発声可能となる。
【0043】
[接近音における、側面接近音(Lateral Approximant)/l/)の生成について]
次に、接近音における「側面接近音/l/」が生成される場合について説明する。この場合、
図4Aと
図4Bとに示すように、長い舌端部78bは、開口部33aから声道部30に挿入され、本体部73に取り付けられる。
【0044】
図4Aと
図5Aとに示す載置状態において、声道部30の形状によって、母音の「a」が生成可能となっている。この状態から、模型10が操作者によって把持され、
図4Bと
図5Bとに示すように操作本体部83が引き上げられて起上するように操作者に回動操作されると、操作本体部83は軸部材81を介して長い舌端部78bを含む本体部73を載置状態から傾斜起上状態に切り替える。傾斜起上状態において、長い舌端部78bと歯部材61との間に隙間部79が形成される。
【0045】
また
図2Aと
図4Aと
図5Aとに示すように、操作本体部83が押し倒されるように操作者に回動操作されると、操作本体部83は軸部材81を介して長い舌端部78bを含む本体部73を傾斜起上状態から載置状態に切り替わる。
【0046】
前記した載置状態、傾斜起上状態、載置状態といった一連の往復動作によって調音(構音)が実施され、この状態で操作者の操作によって例えば気流が声道部30を咽頭部31の底から詳細には狭窄部31aと舌根部50の溝部51とベース部71の溝部75と本体部73の溝部75と長い舌端部78bと歯部材61との間に形成される隙間部79とを介して口腔部33の開口部33aに向かうように流れることによって、「ala」という音が生成可能となる。そして、模型10は、「ala」という音を発声可能となる。
【0047】
[動作のまとめ]
前記動作において、模型10の平板部材が透明部材によって形成されているため、声道部30が模型10の外部から可視される。よって、操作者や、操作者によって操作される模型10を観察する観察者は、声道部30を容易にイメージすることとなる。
また操作本体部83が引き上げられるといった簡単な操作で、調音(構音)が実施され、目的とする音である「ara」や「ala」が生成可能となる。
【0048】
またこの模型10が例えば言語教育や言語治療に用いられる場合、言語教育における教師や生徒、言語治療における治療者や患者といった使用者にとって、模型10はシンプルな構成となっており、声道部30は容易にイメージ可能となる。また利用者とって、前記したように操作は簡単で、調音(構音)が実施され、この状態で目的とする音である「ara」や「ala」を生成しやすくなっている。そして利用者に対して、目的とする音である「ara」や「ala」の生成及び耳による確認と舌本体ユニット70の位置とを操作に伴い簡単に確認させることになる。
【0049】
[効果]
このように本実施形態では、シンプルな構成で、声道を容易にイメージでき、操作が簡単で、目的とする音を生成しやすく、目的とする音の生成及び確認と舌本体ユニット70の位置とを操作に伴い簡単に確認できる声道模型10を提供できる。
【0050】
また本実施形態では、模型10の平板部材が透明部材によって形成され、舌本体ユニット70は着色されている。このため本実施形態では、舌本体ユニット70の動きを視覚的に様々な位置から容易に確認できる。そして、本実施形態では、音の生成に伴う舌本体ユニット70の動きを確認でき、舌本体ユニット70の動きに伴って生成される音を確認でき、舌本体ユニット70の動きと音の変化との直接的な関係を簡単に確認できる。
【0051】
また本実施形態では、操作本体部83が操作されるために、音を聞きながらリアルタイムで体験でき、使用者に興味を沸かせることができる。また本実施形態では、パソコンにおけるシミュレーションを基に音を生成するようなタイプではなく、模型10を操作することによって音を生成するタイプである。よって本実施形態では、例えばデモンストレーションにおいて観察者に確実に興味を沸かせることができ、使用者自らに手動で簡単に体験させることができる。また本実施形態では、声道部30の形状は平板部材によって規定されているため、誰が操作しても常に一定の音質の音を手軽に生成できる。
【0052】
また本実施形態では、模型10自体が小型であるため、簡単に持ち運び及び収納できる。また本実施形態では、模型10の構成もシンプルであるため、操作性が低下してしまうことも防止できる。
【0053】
また本実施形態では、本体部73は操作本体部83に連動するため、操作に伴う動作を確実に実感できる。また本実施形態では、操作部80が載置されることによって本体部73が載置状態となり、操作部80が起上することによって本体部73が起上状態となる。このため、使用者は、舌本体ユニット70を視認しなくても、操作部80を操作する手によって、舌本体ユニット70の位置を確認できる。
【0054】
また本実施形態では、凸型曲面部73cと凹型曲面部71cとによって、本体部73はベース部71に対して確実に滑らかに回動できる。これにより本実施形態では、本体部73を載置状態と起上状態との間を滑らか往復させることができる。
【0055】
また本実施形態では、舌端部77が本体部73から着脱することで、様々な音を手軽に生成させることができる。また本実施形態では、往復運動によって、調音(構音)を実施でき、この状態で音を生成できる。
【0056】
また本実施形態では、
図2Aと
図3Aとに示すような反り返り起上状態において、本体部73の上面の一部が凹型曲面部71cの上縁部に当接する。これにより、本実施形態では、本体部73の反り返りを規制でき、本体部73がベース部71に倒れることを防止でき、確実にそり舌を実現できる。
また本実施形態では、
図4Bと
図5Bとに示す傾斜起上状態において、当接部77bは上面板25aに当接する。これにより本実施形態では、傾斜起上状態を確実に維持できる。
【0057】
また本実施形態では、歯部材61が上面板25aに着脱自在であるため、模型10の改良性を高めることができる。
【0058】
なお本実施形態では、
図1Aに示す載置状態と
図1Bに示す反り返り起上状態との間の往復と、
図4Aに示す載置状態と
図4Bに示す傾斜起上状態との間の往復は、手動によって実施されるがこれに限定される必要はない。
図6に示すように、例えば、模型10は、本体部73が載置状態となるように本体部73を付勢する付勢部材85を有していてもよい。例えば反り返り起上状態において、操作者が操作本体部83から手を放すと、付勢部材の付勢力に対抗する把持力が解消される。これにより、付勢部材85の付勢力によって、操作本体部83と軸部材81と本体部73とが載置状態に向かって回動することとなる。付勢力は、載置状態に戻る復元力となっている。付勢部材85は、例えばばねなどを有している。付勢部材85は、操作本体部83の根本部分と、背面板23c側に位置する右側面板23bの一部とに取り付けられている。なお付勢部材85は、前記とは逆に、本体部73が反り返り起上状態または傾斜起上状態となるように本体部73を付勢してもよい。
また本実施形態では、この模型10に、頭部をイメージする別の模型を着脱自在に装着させてもよい。これにより本実施形態では、頭部内における声道部30の位置をより確実にイメージできる。
また本実施形態では、短い舌端部78aと長い舌端部78bとが入れ替わりで本体部73に取り付けられるが、これに限定される必要はない。舌端部77は、本体部73から外部への舌端部77の突出長さが調整されるように、本体部73に取り付けられてもよい。この場合、本体部73への舌端部77の挿入位置が調整されることで、突出長が調整される。この場合、舌端部77は、例えばねじなどによって、本体部73に固定される。
また本実施形態では、載置状態において、1つの機構(例えば咽頭部31に配設されている舌根部50)によって、母音の「a」が生成可能となっている。しかしながら他の母音が生成される場合、例えば、咽頭部31における機構は所望に変更されるなど、母音に合わせて適宜変更される。
【0059】
[第2の実施形態]
[構成]
以下に
図7Aと
図7Bと
図8Aと
図8Bとを参照して、第1の実施形態とは異なる点のみ記載する。
【0060】
本実施形態の模型10は、例えば、はじき音(Flap sound)と呼ばれる音を生成する。はじき音は、例えば、日本語のラ行の典型的な音である。
この場合、舌根部50と舌端部77は、不要となる。
【0061】
また本体部73は、本体部73全体がベース部71と共に底面板25dに載置される載置状態(
図7Aと
図8A参照)と、本体部73の本体先端部73bが歯ユニット60に囲まれるように本体部73全体がベース部71に対して傾斜して起上する傾斜起上状態(
図7Bと
図8B参照)との間を往復するように、ベース部71に対してX軸周りに回動する。
【0062】
本体先端部73bは、傾斜起上状態において、上面板25aに当接する当接部73dを有している。当接部73dは、例えば、本体先端部73bの上面部の縁部を有している。当接部73dが当接することによって、傾斜起上状態が維持される。当接部73dが上面板25aに当接した際、本体先端部73bは、歯ユニット60と密着する。本体先端部73bは、舌端(舌頭,舌尖)として機能する。
【0063】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また本実施形態では、舌端部77を不要にできる分、模型10をさらにシンプルかつ小型にできる。
【0064】
また本実施形態では、傾斜起上状態において、当接部73dは上面板25aに当接する。これにより本実施形態では、傾斜起上状態を確実に維持できる。
【0065】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。