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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-121695(P2015-121695A)
(43)【公開日】2015年7月2日
(54)【発明の名称】筒状ラベル、及びラベル包装体
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20150605BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20150605BHJP
   B65D 25/36 20060101ALI20150605BHJP
   G09F 3/04 20060101ALN20150605BHJP
【FI】
   G09F3/02 W
   C09J7/02 Z
   B65D25/36
   G09F3/04 C
   G09F3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-265736(P2013-265736)
(22)【出願日】2013年12月24日
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増岡 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
(72)【発明者】
【氏名】松永 仁美
【テーマコード(参考)】
3E062
4J004
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB02
3E062AC02
3E062DA07
3E062JA04
3E062JB05
3E062JB26
3E062JC02
4J004AB01
4J004CB03
4J004CC03
4J004FA01
(57)【要約】
【課題】 蛍光色材の脱落を防止でき、且つ、蛍光感に優れた筒状ラベルを提供する。
【解決手段】 フィルム3を筒状に形成した筒状ラベル1において、前記フィルム3の裏面側に、透明樹脂層4が設けられ、前記透明樹脂層4の裏面全体又は裏面の一部に、蛍光色材を含む蛍光層5が設けられている。前記透明樹脂層4は、メジウムインキ又はパール顔料を含むメジウムインキから形成されている。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを筒状に形成した筒状ラベルにおいて、
前記フィルムの裏面側に、透明樹脂層が設けられ、
前記透明樹脂層の裏面全体又は裏面の一部に、蛍光色材を含む蛍光層が設けられている、筒状ラベル。
【請求項2】
前記透明樹脂層が、透明な樹脂を70質量%以上含む印刷層である、請求項1に記載の筒状ラベル。
【請求項3】
前記透明樹脂層が、透明な樹脂を70質量%〜95質量%含み、且つ、パール顔料を5質量%〜25質量%含む印刷層である、請求項1に記載の筒状ラベル。
【請求項4】
前記蛍光層の裏面に、裏面層が設けられ、
前記裏面層が、透明印刷層、着色印刷層及び接着剤層から選ばれる少なくとも1つである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の筒状ラベル。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の筒状ラベルが被着体に装着されている、ラベル包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光色材を含む蛍光層が設けられている筒状ラベルなどに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料容器などの各種被着体の周囲に筒状ラベルが装着された、ラベル包装体が広く流通している。
筒状ラベルは、通常、長尺状の基材を筒状に形成した筒状ラベル長尺体を、所定長さに切断することによって得られる。そして、この筒状ラベルを被着体に被せることによってラベル包装体が得られる。
前記筒状ラベルには、デザイン目的で様々な印刷が施されているが、その中で、蛍光感(鮮明な色彩効果)を付与して人目を惹きやすくするために、蛍光色材を含む蛍光インキを用いた蛍光印刷層が施される場合がある。
このような蛍光インキは、筒状ラベルの表面(外面)に印刷されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、蛍光インキを筒状ラベルの表面に印刷すると、筒状ラベル又はラベル包装体を保管・搬送中に、蛍光印刷層が異物に接触して蛍光色材が脱落するという問題点がある。蛍光色材が脱落すると、筒状ラベル又はラベル包装体の搬送ラインにその粉塵が付着する上、ラベルのデザインが損なわれる。
他方、蛍光インキを筒状ラベルの裏面(内面)に印刷すると、蛍光色材の脱落は防止できるが、蛍光印刷層による蛍光感が十分に現れない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−252220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、蛍光色材の脱落を防止でき、且つ、蛍光感に優れた筒状ラベル及びラベル包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フィルムを筒状に形成した筒状ラベルにおいて、前記フィルムの裏面側に、透明樹脂層が設けられ、前記透明樹脂層の裏面全体又は裏面の一部に、蛍光色材を含む蛍光層が設けられている。
【0007】
本発明の好ましい筒状ラベルは、前記透明樹脂層が、透明な樹脂を70質量%以上含む印刷層である。
本発明の好ましい筒状ラベルは、前記透明樹脂層が、透明な樹脂を70質量%〜95質量%含み、且つ、パール顔料を5質量%〜25質量%含む印刷層である。
本発明の好ましい筒状ラベルは、前記蛍光層の裏面に、裏面層が設けられ、前記裏面層が、透明印刷層、着色印刷層及び接着剤層から選ばれる少なくとも1つの層である。
また、本発明のラベル包装体は、前記筒状ラベルが被着体に装着されたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の筒状ラベルは、蛍光層に含まれる蛍光色材が脱落し難く、さらに、外側から見たときに、十分な蛍光感が現れる。かかる本発明の筒状ラベルは、人目を惹きやすく、装飾ラベルとして好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の1つの実施形態に係る筒状ラベルの斜視図。
図2】同筒状ラベルを扁平状態に折り畳んだ正面図。
図3図2のIII−III線で切断した拡大横断面図。
図4図2のIV−IV線で切断し、中間部を省略した拡大縦断面図。
図5】ラベル基材の斜視図。
図6】他の実施形態に係る筒状ラベルの拡大縦断面図。
図7】本発明のラベル包装体の一部縦断面を含む正面図。
図8】更なる他の実施形態に係る筒状ラベルの拡大縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について説明する。
なお、本明細書において、ある部材又は層の「表面」は、筒状ラベルを基準にしてその径外方向側にある面を意味し、ある部材又は層の「裏面」は、筒状ラベルを基準にしてその径内方向側にある面を意味する。また、「PPP〜QQQ」という記載は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
各図における部材及び層の寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0011】
図1及び図2において、本実施形態の筒状ラベル1は、図5に示す枚葉状のラベル基材2を筒状にし、その両側端部2a,2bを重ね合わせ、一方の側端部2aの裏面と他方の側端部2bの表面とを接着することにより形成された、筒状体である。前記両側端部2a,2bの接着部分をセンターシール部という。
通常、前記筒状ラベル1は、複数の筒状ラベル1の開口縁同士が連続的に繋がった筒状ラベル長尺体の形態で提供される。使用に際して、その筒状ラベル長尺体を所定長さに切断することによって、筒状ラベル1が得られる。筒状ラベル長尺体は、筒状ラベル1と同様に、長尺状のラベル基材を筒状にし、その両側端部を接着することにより形成された長尺状の筒状体である。
【0012】
筒状ラベル長尺体は、通常、対向する2つの折り線で扁平状に折り畳まれ、ロール状に巻かれた状態で保管及び運搬され、後述するラベラーに装填される。なお、図2では、筒状ラベル1を扁平状に折り畳んだ状態を表している。
筒状ラベル1は、少なくとも周方向に熱収縮しうる熱収縮性筒状ラベル、又は、少なくとも周方向に伸縮しうる自己伸縮性筒状ラベル、又は、少なくとも周方向に熱収縮及び伸縮しうる熱収縮及び自己伸縮性筒状ラベルの何れでもよい。前記熱収縮性筒状ラベル(シュリンクチューブ或いはシュリンクラベルとも呼ばれる)は、熱収縮性を有するフィルムを用いて形成され、前記自己伸縮性筒状ラベル(ストレッチラベルとも呼ばれる)は、自己伸縮性を有するフィルムを用いて形成され、前記熱収縮性及び自己伸縮性筒状ラベル(シュリンクストレッチラベルとも呼ばれる)は、熱収縮性及び自己伸縮性を有するフィルムを用いて形成される。
【0013】
ラベル基材2は、図5に示すように、フィルム3と、フィルム3の裏面側に設けられた透明樹脂層4と、透明樹脂層4の裏面全体又は裏面の一部に設けられた蛍光層5と、フィルム3の裏面側に設けられた意匠印刷層6と、を有する。なお、図示例では、蛍光層5の裏面に意匠印刷層が設けられていないが、必要に応じて、蛍光層5の裏面全体又はその一部に、意匠印刷層を設けてもよい(図示せず)。かかるラベル基材2を蛍光層5が内側となるように筒状に形成することにより、図1乃至図4に示すような筒状ラベル1が構成されている。
詳しくは、前記フィルム3の材質は、特に限定されず、その性質に応じて、従来公知の材料を用いることができる。例えば、熱収縮性を有するフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ばれる1種、又は2種以上の混合物などからなる熱可塑性樹脂製フィルムなどが挙げられる。比較的腰が強く、蛍光層5の蛍光感が十分に現れることから、フィルム3として、ポリエステル系樹脂を主成分とするポリエステル系フィルムを用いることが好ましく、ポリエステル系フィルムの中でも、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とするポリエチレンテレフタレート系フィルムを用いることがより好ましい。また、自己伸縮性を有するフィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン系ポリエチレン(メタロセン系触媒を用いた重合によって得られる直鎖状低密度ポリエチレン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などのポリエチレン系樹脂製フィルムなどが挙げられる。
前記フィルム3は、単層でもよいし、2層以上が積層接着された積層体でもよい。また、前記フィルム3が2層以上の積層体である場合、各層が同種材料で形成されていてもよいし、或いは、各層が異種材料で形成されていてもよい。好ましくは、前記フィルム3として、単層フィルム又は同種材料から形成された2層以上の積層体を用いることが好ましい。また、熱収縮性フィルムが積層体である場合には、その少なくとも表面層が前記ポリエステル系フィルムであることが好ましい。
また、フィルム3は、透明性に優れたものが用いられる。透明なフィルム3としては、全光線透過率が70%以上であるフィルムが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、JIS K 7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の測定方法(シングルビーム法))に準拠した測定法によって測定される。なお、本明細書において、透明は、無色透明又は有色透明の何れでもよいが、無色透明が好ましい。
フィルム3の厚みは、特に限定されないが、例えば、20μm〜100μmであり、好ましくは、30μm〜80μmである。
【0014】
透明樹脂層4は、(センターシール部の接着強度を確保するため、センターシール部を構成する一方の側端部2aの裏面を除く)フィルム3の裏面全体に設けられていてもよいし、或いは、(センターシール部の一方の側端部2aの裏面を除く)フィルム3の一部の領域に設けられていてもよい。図示例では、透明樹脂層4は、ラベル基材2の下側の領域にのみ設けられている。透明樹脂層4は、透明な樹脂の固化層である。透明樹脂層4は、透明な樹脂以外に、他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、例えば、ワックス類、滑剤、増粘剤、消泡剤、防かび剤などが挙げられる。さらに、透明樹脂層4は、パール顔料を含んでいてもよい。透明樹脂層4中、透明な樹脂の含有量は特に限定されない。前記透明樹脂層4がパール顔料を含まない場合、透明な樹脂の含有量は、透明樹脂層4の全量中、例えば、70質量%以上であり、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上である。前記透明樹脂層4がパール顔料を含む場合、透明な樹脂の含有量は、透明樹脂層4の全量中、例えば、70質量%〜95質量%であり、好ましくは75質量%〜90質量%である。パール顔料を含む場合、そのパール顔料の量は、特に限定されないが、余りにパール顔料が多く含まれていると、蛍光層5の蛍光を隠蔽し、筒状ラベル1を外側から見て十分な蛍光感が現れないおそれがある。かかる観点から、透明樹脂層4のパール顔料の含有量は、透明樹脂層4の全量中、5質量%〜25質量%が好ましく、10質量%〜20質量%がより好ましい。前記パール顔料としては、雲母に酸化チタン、酸化鉄などの比較的屈折率の高い金属酸化物を薄膜状にコーティングしたものが挙げられる。このようなパール顔料自体は、白色又は銀色を呈する。
前記透明な樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フェノール系樹脂、尿素樹脂、メラミン系樹脂、ケトン系樹脂、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。
透明樹脂層4の形成方法は、特に限定されず、透明な樹脂を含む形成材料を、従来公知の印刷法、溶融押出法などを用いて形成できる。なお、本明細書において、印刷法は、コーティング法と呼ばれている方法を含む。
【0015】
所望の領域に比較的簡単に透明樹脂層4を形成できることから、透明樹脂層4は印刷法で形成されることが好ましい。この場合、透明樹脂層4の形成材料として、メジウムインキ、又は、パール顔料を含むメジウムインキが用いられる。
メジウムインキは、実質的に顔料(着色材料)を含まない透明なインキであって、主として透明な樹脂を含む。具体的には、前記メジウムインキは、例えば、水(及び/又はアルコール)に、アクリル系樹脂(アクリル−ウレタン共重合体などのアクリル共重合体を含む)、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、水性ポリアミド樹脂などの透明な樹脂を分散させたエマルジョン型;トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどの有機溶剤に、ケトン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂(アクリル−ウレタン共重合体などのアクリル共重合体を含む)、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂などの透明な樹脂を溶解させた溶剤型;アクリレート系などの透明な重合性樹脂と重合開始剤を含む重合型;などが挙げられる。好ましくは、アクリル系樹脂又はウレタン系樹脂のメジウムインキが用いられる。メジウムインキには、上述の他の成分が含まれていてもよい。
また、前記パール顔料を含むメジウムインキ(以下、含パールメジウムインキという)は、前記メジウムインキにパール顔料を混合したものである。
前記透明樹脂層4の厚みは特に限定されないが、例えば、0.2μm〜5μmであり、好ましくは0.4μm〜4μmである。
前記透明樹脂層4の透明性としては、特に限定されないが、例えば、可視光領域の全光線透過率が70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上である。ただし、透明樹脂層4の全光線透過率は、厚み1mmのガラス基板の一方面に厚み3μmの透明樹脂層4を設けたものをサンプルとし、JIS K 7361−1(プラスチック−透明材料の全光線透過率の測定方法(シングルビーム法))に準拠した測定法によって測定される。
【0016】
蛍光層5は、蛍光色材を含む層である。蛍光色材としては、従来公知の蛍光染料及び蛍光顔料を用いることができる。蛍光染料としては、例えば、フルオレセイン系、クマリン系、ローダミン系、オキサゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系、スピロピラン系、ピレンスルホン酸系、ベンゾイミダゾール系、ジアミノスチルベン系などの染料が挙げられる。蛍光顔料としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂などの樹脂成分に、前記のような蛍光染料を溶解し粉砕して得られる又はそれを溶解して含浸させて得られる有機系顔料;銅、銀、マンガン等で活性化した硫化亜鉛、マンガン等で活性化したケイ酸亜鉛、銀、銅等で活性化した硫化亜鉛、カドミウム、ビスマス等で活性化した硫化カルシウム、サマリウム、セリウム等で活性化した硫化ストロンチウム、鉛等で活性化したタングステン酸カルシウム等の無機系顔料;などが挙げられる。蛍光色材は、2種以上を混合して用いることも可能であるが、蛍光感向上等の観点から1種のみを用いることが好ましい。
【0017】
蛍光層5は、透明樹脂層4に重ねて設けられている。蛍光層5は、透明樹脂層4の裏面の少なくとも一部に設けられていればよい。従って、図示例のように、透明樹脂層4の裏面全体に蛍光層5が設けられていてもよい。なお、フィルム3の裏面に透明樹脂層4が部分的に設けられることによってフィルム3の裏面が露出した部分が生じる場合、蛍光層5は、そのフィルム裏面露出部分にも設けられていてもよいし、或いは、その部分に蛍光層が設けられていなくてもよい。詳しくは、図4に示す例では、透明樹脂層4はベタ状に設けられているが、例えば、透明樹脂層によって所望のデザイン(例えば、市松模様など)を表すように、透明樹脂層4をパターニングしてフィルム面の方向に断続的に設けると(図6参照)、透明樹脂層4には、フィルム面の方向において所々透明樹脂を有さない部分3a(フィルム裏面露出部分)が生じる。図6は、他の実施形態の筒状ラベルを、図2のIV−IV線と同様の箇所で切断し、その中間部を省略した拡大断面図である。図6の例では、蛍光層5が、透明樹脂層4の裏面及びフィルム裏面露出部分3aに設けられている。このように透明樹脂層4と透明樹脂層を設けていない部分とを含んで蛍光層5を設けることにより、蛍光感が異なった筒状ラベル1を構成できる。
なお、本発明の好ましい蛍光層5は、透明樹脂層4のみならず、フィルム3との密着性も良好であり、プライマー層を設けなくてもフィルム3の裏面に直接設けることも可能である。
また、蛍光層5は、ベタ状に設けられているが、蛍光層によって所望のデザイン(例えば、文字、識別表示など)を表すように、蛍光層5をパターニングしてもよい。
【0018】
前記蛍光層5は、蛍光色材及びポリマーを含む。蛍光層5の形成方法は、特に限定されず、例えば、蛍光色材を含む形成材料を従来公知の印刷法、溶融押出法などを用いて形成できる。
所望の領域に比較的簡単に蛍光層5を形成できることから、蛍光層5は印刷法で形成されることが好ましい。この場合、蛍光層5の形成材料として、蛍光インキが用いられる。
蛍光インキは、蛍光色材及びポリマーを含むインキである。蛍光インキには、他の成分が含まれていてもよい。蛍光インキ中のポリマーは、蛍光色材を固定し且つ層を構成することに寄与する。蛍光インキのポリマーは、特に限定されず、上記透明な樹脂として例示したようなものを適宜用いることができる。透明樹脂層4やフィルム3への密着性が良好になることから、蛍光インキのポリマーは、上述のようなアクリル系樹脂又はウレタン系樹脂を用いることが好ましい。
前記蛍光色材の配合量は特に限定されないが、余りに蛍光色材が多く含まれていると、相対的にポリマーの比率が小さくなるので、蛍光層5が脆くなり、他方、余りに蛍光色材が少ないと、十分な蛍光感が現れないおそれがある。かかる観点から、ポリマーの配合量は、蛍光層5の全量中、30質量%〜85質量%であり、好ましくは55質量%〜80質量%である。蛍光色材の配合量は、蛍光層5の全量中、15質量%〜65質量%であり、好ましくは20質量%〜40質量%である。
【0019】
前記蛍光層5の厚みは特に限定されないが、例えば、0.2μm〜5μmであり、好ましくは0.4μm〜4μmである。
前記蛍光インキを従来公知の印刷法によって透明樹脂層4の裏面に印刷することにより、蛍光層5が形成されている。
【0020】
意匠印刷層6は、デザインなどを表示するための層であり、従来公知の印刷インキからなる。図示例では、意匠印刷層6は、フィルム3の裏面側であって蛍光層5が設けられていない領域に設けられている。
意匠印刷層6は、従来公知の印刷インキを用いて形成でき、1色又は多色で所望のデザインなどが表されている。
前記意匠印刷層6の厚みは特に限定されないが、例えば、0.2μm〜10μmであり、好ましくは0.4μm〜5μmである。
なお、図示例では、意匠印刷層6の縁が、蛍光層5の縁に正確に一致しているが、実際には、意匠印刷層6と蛍光層5は、部分的に重なっていることに留意されたい。例えば、作製手順として、蛍光層5を形成した後に意匠印刷層6を形成する場合には、蛍光層5の上縁部の裏面に意匠印刷層6が重なって設けられる。なお、意匠印刷層6は、フィルム3の裏面側であって蛍光層5が設けられていない領域及び蛍光層5の裏面全体又はその裏面の一部に設けられていてもよい(図示せず)。
【0021】
本発明の筒状ラベル1は、筒状ラベル長尺体の形態で提供され、その長尺体を従来と同様に、ラベラー(ラベル装着装置)を用いて被着体に装着される。
簡単に説明すると、扁平状に折り畳んだ筒状ラベル長尺体をロール状に巻いた巻物を、ラベラーの始端部に装填する。ラベラーによって前記筒状ラベル長尺体が長手方向に引き出され、ラベラーのライン上に送られる。被着体の手前で、その長尺体が所定長さに切断されて1つの筒状ラベル1が形成される。その筒状ラベル1を開口し且つ被着体に外嵌する。筒状ラベル1が熱収縮性筒状ラベルである場合には、被着体に外嵌後、筒状ラベル1を加熱することによって、そのラベル1の最裏面(最内面)が被着体の外面全体又は外面の一部に接する。筒状ラベル1が自己伸縮性筒状ラベルである場合には、被着体に外嵌後、筒状ラベル1の拡径を解除することによって、そのラベル1の最裏面(最内面)が被着体の外面全体又は外面の一部に接する。筒状ラベル1が被着体に接することにより、筒状ラベルが被着体に装着されたラベル包装体が得られる。
被着体は、特に限定されず、透明又は非透明の何れでもよい。被着体としては、例えば、透明又は非透明な容器、透明又は非透明な物品などが挙げられる。透明な容器としては、ポリエチレンテレフタレート製容器などの透明な樹脂容器が挙げられる。非透明な容器又は物品としては、外観が白色又は金属色(銀色など)などの所望色を呈する樹脂容器又は物品、外面が白色などの所望色に着色された金属製の容器又は物品、外観が金属色を呈する金属製の容器又は金属製の物品などが挙げられる。好ましくは、本発明の筒状ラベルは、透明な樹脂容器、外観が白色又は金属色などの樹脂容器、外観が白色又は金属色の金属製の容器に装着され、より好ましくは、外観が白色を呈する樹脂容器又は白色を呈する金属製の容器に装着される。
図7は、ラベル包装体10の一例である。ラベル包装体10は、被着体である容器9と、前記容器9に装着された上記筒状ラベル1と、を有する。図示例のラベル包装体10は、筒状ラベル1の最裏面(最内面)の全体が容器9の外面に接しているが、例えば、容器9の外面に凹凸状の部分がある場合には(図示せず)、その凹状部に対しては筒状ラベル1の最裏面が接しなくなる。この場合、蛍光層5が設けられた領域に対応する筒状ラベル1の最裏面が、容器9の外面(凸状部分など)に接するように位置合わせして、筒状ラベル1を容器に装着することが好ましい。容器に接触することにより、蛍光層5が醸し出す蛍光感が向上するためである。特に、外観が白色又は金属色を呈する容器、或いは、透明な容器に前記のように接触するように筒状ラベル1が装着されたラベル包装体は、前記蛍光感が向上する。
【0022】
本発明の筒状ラベル1は、蛍光層5がフィルム3の裏面に設けられているので、筒状ラベル長尺体をライン上に送る際に、或いは、被着体に装着された後(つまり、ラベル包装体とされた後)の保管・搬送中に、蛍光層5の蛍光色材が脱落することを防止できる。
さらに、本発明の筒状ラベル1は、透明樹脂層4の裏面に蛍光層5が積層されているので、筒状ラベル1を外側から見たときに、十分な蛍光感が現れる。特に、本発明の筒状ラベル1を透明な被着体に装着した場合に、それがより顕著に現れる。その理由は明確には判らないが、フィルム3と透明樹脂層4の界面において、光が屈折及び反射することにより、蛍光感が向上するものと推定される。
【0023】
本発明の筒状ラベルは、上記実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で様々に設計変更できる。以下、本発明の筒状ラベルの他の実施形態を説明するが、上記実施形態と同様の構成については、(それを説明したものとみなして)その説明を省略し、用語及び符号を援用する。
【0024】
上記実施形態の筒状ラベル1は、フィルム3の裏面に透明樹脂層4が設けられ、その透明樹脂層4の裏面に蛍光層5が設けられ、さらに、意匠印刷層6が設けられているが、これに限られず、これらの層以外の層が設けられていてもよい。
例えば、図8に示すように、蛍光層5の裏面に、裏面層7が設けられていてもよい。
図8は、他の実施形態の筒状ラベルを、図2のIV−IV線と同様の箇所で切断し、その中間部を省略した拡大断面図である。
前記裏面層7は、図示のように、蛍光層5の裏面及び意匠印刷層6の裏面に設けられている。もっとも、裏面層7は、蛍光層5の裏面のみに、若しくは、意匠印刷層6の裏面のみに設けられていてもよいし、又は、蛍光層5の裏面全体及び意匠印刷層6の裏面の一部、若しくは、蛍光層5の裏面の一部及び意匠印刷層6の裏面全体、若しくは、蛍光層5の裏面の一部及び意匠印刷層6の裏面の一部に設けられていてもよい(図示せず)。また、裏面層7は、蛍光層5が設けられていない領域の、フィルム3の裏面、透明樹脂層4の裏面又は意匠印刷層6の裏面に、若しくは、意匠印刷層6が設けられていない領域の、フィルム3の裏面又は透明樹脂層4の裏面に設けられていてもよい。
裏面層7としては、例えば、透明印刷層、着色印刷層及び接着剤層が挙げられる。裏面層7は、透明印刷層、着色印刷層及び接着剤層から選ばれる少なくとも1つの層からなり、好ましくは、これらから選ばれる1つの層である。
前記透明印刷層としては、前記透明樹脂層4と同様な形成材料を印刷した印刷層が例示でき、例えば、上記メジウムインキ又は含パールメジウムインキから形成された透明な印刷層である。前記着色印刷層としては、白色インキ、銀色インキ、黄色や赤色などの他のカラーインキなどの着色インキを印刷した印刷層(白色印刷層や銀色印刷層など)が例示できる。光をより多く反射して蛍光感を向上させることから、着色印刷層としては、白色印刷層又は銀色印刷層が好ましく、特に、白色印刷層がより好ましい。白色印刷層は、その層全体中、酸化チタンを60質量%〜80質量%含み、且つバインダー樹脂を15質量%〜40質量%含むものが好ましい。接着剤層は、例えば、感熱性接着剤などを塗布した透明な塗膜層などが例示できる。
前記裏面層7の厚みは特に限定されないが、例えば、0.2μm〜20μmであり、好ましくは0.4μm〜15μmである。
その他、図示しないが、フィルム3の表面に、透明な表面層(好ましくは、透明な印刷層)が設けられていてもよい。
【0025】
前記接着剤層は、被着体に接着するために用いられる。裏面層7として接着剤層が設けられた筒状ラベル1は、その接着剤層によって被着体の外面に接着される。筒状ラベル1の熱収縮力又は自己伸縮力だけで被着体に筒状ラベル1を装着した場合、ラベル1が回転する又は位置ずれする場合も考えられるが、接着剤層にて接着することにより、その回転などを防止できる。
なお、裏面層7として接着剤層以外を用いる場合には、筒状ラベル1の最裏面(最内面)が被着体の外面全体又は外面の一部に接するように、筒状ラベル1が被着体に装着される。
【0026】
なお、上記実施形態では、予め筒状に形成された筒状ラベルの態様(被着体に嵌める前から筒状に形成されている態様)を中心に説明したが、本発明の筒状ラベルは、この態様に限られず、被着体に装着する前は帯状のラベル基材であり、被着体に装着した時点で筒状となる態様であってもよい。このような態様の筒状ラベルは、巻き付け筒状ラベルとも呼ばれ、ラベル基材の一方の側端部の裏面を被着体に部分接着し、このラベル基材を容器の周囲に巻き付け、前記一方の側端部の表面にラベル基材の他方の側端部の裏面を接着することにより、筒状に成形される筒状ラベルである。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明をさらに詳述する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0028】
[使用材料]
フィルム(1):厚み40μmの延伸ポリエチレンテレフタレート熱収縮性フィルム。三菱樹脂(株)製の商品名「LX−18S」。
フィルム(2):ポリエチレンテレフタレート系樹脂層(裏面側)/ポリプロピレン系樹脂層(中間)/ポリエチレンテレフタレート系樹脂層(表面側)の、厚み45μmの積層熱収縮性フィルム。
メジウムインキ:溶剤にウレタン系樹脂が溶解された透明インキ。大日精化工業(株)製の商品名「NTハイラミック Rメジウム」。このメジウムインキは、インキ中の不揮発成分全体を100質量%として、ウレタン系樹脂が95質量%以上含まれている。
含パールメジウムインキ:溶剤に、ウレタン系樹脂及びパール顔料(材質:マイカ(メルク(株)製の商品名「イリオジン123」)が溶解された透明インキ。この含パールメジウムインキは、インキ中の不揮発成分全体を100質量%として、ウレタン系樹脂が約80質量%、パール顔料が約15質量%含まれている。
蛍光インキ:溶剤に、前記メジウムインキ(大日精化工業(株)製の商品名「NTハイラミック Rメジウム」)、蛍光色材(シンロイヒ(株)製の商品名「シンロイヒカラー FA−207」)及び分散剤が溶解又は分散されたインキ。この蛍光インキは、インキ中の不揮発成分全体を100質量%として、ウレタン系樹脂が約55質量%、蛍光色材が約40質量%含まれている。
白色インキ:溶剤に、ウレタン系樹脂及び酸化チタンが溶解された白色インキ。大日精化工業(株)製の商品名「NTハイラミック HC白」。この白色インキは、インキ中の不揮発成分全体を100質量%として、ウレタン系樹脂が約20質量%、酸化チタンが約75質量%含まれている。
接着剤:透明なエチレン−酢酸ビニル(EVA)系接着剤。大日精化工業(株)製の商品名「セイカダイン Sシール剤NT」。
【0029】
[実施例1]
上記フィルム(1)の裏面の全体に、メジウムインキをグラビア印刷法にて印刷することにより、厚み0.5μmの透明樹脂層(層全体に亘ってウレタン系樹脂を95質量%以上含む)を形成した。この透明樹脂層の裏面に、蛍光インキをグラビア印刷法にて印刷することにより、厚み0.5μmの蛍光層(層全体に亘ってウレタン系樹脂を約55質量%、蛍光色材を約40質量%含む)を形成した。
このようにして実施例1のラベル基材を作製した。
【0030】
[実施例2]
実施例1のラベル基材の蛍光層の裏面に、さらに、白色インキをグラビア印刷法にて印刷することにより、厚み1.2μmの白色の着色印刷層(裏面層)を形成した。
【0031】
[実施例3]
実施例1のラベル基材の蛍光層の裏面に、さらに、メジウムインキをグラビア印刷法にて印刷することにより、厚み0.5μmの透明印刷層(裏面層)を形成した。
【0032】
[実施例4]
上記フィルム(1)の裏面の全体に、含パールメジウムインキをグラビア印刷法にて印刷することにより、厚み0.5μmの透明樹脂層(層全体に亘ってウレタン系樹脂を約80質量%、パール顔料を約15質量%含む)を形成した。この透明樹脂層の裏面に、蛍光インキをグラビア印刷法にて印刷することにより、厚み0.5μmの蛍光層(層全体に亘ってウレタン系樹脂を約20質量%、蛍光色材を約75質量%含む)を形成した。この蛍光層の裏面に、さらに、メジウムインキをグラビア印刷法にて印刷することにより、厚み0.5μmの透明印刷層(裏面層)を形成した。
【0033】
[実施例5]
上記フィルム(1)に代えて、フィルム(2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてラベル基材を作製した。
【0034】
[実施例6]
実施例1のラベル基材の蛍光層の裏面に、さらに、接着剤をグラビア印刷法にて塗布し、これを固化することにより、厚み12μmの透明な接着剤層(裏面層)を形成した。
【0035】
[比較例1]
上記フィルム(1)の裏面の全体に、蛍光インキをグラビア印刷法にて印刷することにより、厚み0.5μmの蛍光層を形成した。
このようにして比較例1のラベル基材を作製した。
【0036】
[比較例2]
比較例1のラベル基材の蛍光層の裏面に、さらに、メジウムインキをグラビア印刷法にて印刷することにより、厚み0.5μmの透明印刷層を形成した。
【0037】
[蛍光強度の測定]
実施例1乃至実施例6及び比較例1、2の各ラベル基材について、蛍光分光光度計((株)日立製作所製の商品名「F−4500」)を用いて、蛍光強度(最大値)を測定した。具体的には、実施例1乃至5及び比較例1、2については、各ラベル基材から切り取ったサンプルを標準白色板にフィルム面(フィルムの表面)を上にして置き、そのフィルム面側から光を当てて測定した。実施例6については、同様に切り取ったサンプルの接着剤層を活性化して標準白色板に接着した後、フィルム面側から光を当てて測定した。その結果を、表1及び表2に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
[評価]
実施例1乃至6のラベル基材は、比較例1及び2のラベル基材に比して、蛍光強度が大きかった。
また、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例6の対比から、裏面層を設けないことが好ましい、又は、裏面層を設ける場合には白色インキを用いた裏面層(白色印刷層)が好ましいことが判る。
さらに、実施例1及び実施例5の対比から、異種材料の層を含まないフィルム(特にポリエステル系フィルム)を用いることが好ましいことが判る。
【符号の説明】
【0041】
1…筒状ラベル、2…ラベル基材、3…フィルム、4…透明樹脂層、5…蛍光層、6…意匠印刷層、7…裏面層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8