【解決手段】第1センサ41の上面側に弾性部材43が載置されると共に、弾性部材43とベル延設部2cとの間に介設部材50が介設され、中心部2が打撃されると、第1センサ41が弾性部材43及び介設部材50を介してベル延設部2cに押圧される。介設部材50は、フィルムから構成されているので、介設部材50をゴム状弾性体から構成された成形品により構成する場合と比べて、平面度の高い介設部材50を容易に製造することができる。その結果、中心部2に対する打撃位置による第1センサ41の感度誤差を抑制できるので、中心部2への打撃の検出精度を高めることができる。
前記支持体は、前記介設部材の高さ方向に垂直な方向への変位を規制する第1規制部と、前記センサ部の高さ方向に垂直な方向への変位を規制する第2規制部とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子シンバル。
前記センサ部は、前記介設部材に対向する前記第1センサの上面側に配設されると共に弾性材料から構成される弾性部材を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子シンバル。
前記第1センサ又は第2センサと、それら第1センサ又は第2センサの検出結果に基づいて楽音を生成する音源装置に一端が接続される接続ケーブルの他端と、を電気的に接続するジャックを備え、そのジャックが前記第1フレームに装着されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の電子シンバル。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して、第1実施の形態における電子シンバル100の概略構成について説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施の形態における電子シンバル100を上面側から視た斜視図であり、
図1(b)は、電子シンバル100を下面側から視た斜視図である。
【0027】
図1に示すように、電子シンバル100は、アコースティックシンバルを模した電子打楽器であり、演奏者により打撃される本体部1と、その本体部1が打撃されたことを検出する第1センサ41及び第2センサ42(
図3参照)とを主に備えて構成されている。
【0028】
電子シンバル100は、スティック等により本体部1が打撃されると、その打撃された位置や強度を第1センサ41及び第2センサ42等によって検出する。第1センサ41及び第2センサ42は、ジャック74(
図3参照)及び接続ケーブル(図示せず)を介して音源装置(図示せず)と電気的に接続されており、音源装置は第1センサ41及び第2センサ42等から出力された検出信号に基づいて音源を制御し、本体部1への打撃に応じた楽音を生成する。
【0029】
次に、
図2を参照して、本体部1について説明する。
図2(a)は、本体部1の上面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のIIb−IIb線における本体部1の断面図である。
【0030】
図2に示すように、本体部1は、全体としてアコースティックシンバルを模した形状に形成された金属製の部位であり、中心部分に配設される中心部2と、その中心部2の外周側に配設される円環部3とを備えている。
【0031】
中心部2は、径方向外側へ向けて下降傾斜する椀状のベル部2aと、そのベル部2aの中心部分に穿設される挿通孔2bと、ベル部2aの外周縁部分から径方向外方へ向けて延設されるベル延設部2cとを備えている。
【0032】
ベル部2aは、演奏者によりスティック等で打撃される部位であり、挿通孔2bは、シンバルスタンド91のロッド91a(
図3(a)参照)が挿通される孔である。ベル延設部2cは、ベル部2aの外周縁部分から径方向外側へ向けて、ベル部2aよりも緩やかに下降傾斜する円環状の部位である。
【0033】
円環部3は、径方向内方から外方へ向けてベル部2aよりも緩やかに下降傾斜する円環状のボウ部3aと、そのボウ部3aの内周縁部分に屈曲形成されると共に円環部3の径方向内方へ向けて下降傾斜するテーパ状の傾斜部3bと、その傾斜部3bの内周縁部分に屈曲形成されると共に円環部3の径方向内方へ向けて水平(円環部3の軸心方向に垂直な方向、
図2(c)左右方向および紙面垂直方向)に延設されるボウ延設部3cとを備えており、傾斜部3bがボウ部3aの内周縁部分に屈曲形成されることで、円環部3の剛性が高められている。
【0034】
なお、シンバル100を構成する金属以外の材料としては、例えば、PC(ポリカーボネート)、ABS、FRP(繊維強化プラスチック)などの剛性の高い樹脂材料が例示される。
【0035】
次に、
図3から
図8を参照して、電子シンバル100の詳細な構成について説明する。
図3(a)は、電子シンバル100の断面図であり、
図3(b)は、
図3(a)のIIIb部分における電子シンバル100の部分拡大断面図である。
図4は、電子シンバル100の分解斜視図である。なお、
図3(a)では、電子シンバル100をシンバルスタンド91に支持した状態が図示され、電子シンバル100の軸心を含み、かつ、第2センサ42を切断する断面を模式的に図示すると共に、円環部3の一部分の図示を省略している。また、
図3(b)では、ジャック74の図示を省略している。
【0036】
図3に示すように、電子シンバル100は、通常、シンバルスタンド91のロッド91aに挿通させた状態で使用される。シンバルスタンド91には、上方部分(
図3(a)上方部分)が上方へ向けて先細りするテーパ状に形成されたシンバル支持部92が、下方(
図3(a)下方)への移動を規制された状態で係止されている。
【0037】
電子シンバル100をロッド91aに挿通させると、後述する第2リング20がシンバル支持部92に揺動可能に係止される。その状態で電子シンバル100の上方からフェルトワッシャ94をロッド91aに挿通させた後、フェルトワッシャ94の上方から締付ナット93をロッド91aの上方部分に螺刻されたおねじに締め付けつつフェルトワッシャ94を圧縮することで、電子シンバル100がシンバルスタンド91に固定される。
【0038】
図4に示すように、電子シンバル100は、中心部2及び円環部3から構成される本体部1と、その本体部1の中心部2の挿通孔2bに内嵌される第1リング10と、その第1リング10に外嵌される第2リング20と、その第2リング20に外嵌されると共に中心部2の下方に配設されるセンサ収容部30と、そのセンサ収容部30に収容される第1センサ41及び第2センサ42と、第1センサ41の上面側に配設される弾性部材43と、その弾性部材43及び中心部2の間に介設される介設部材50と、センサ収容部30を円環部3に連結する連結リング60と、を主に備えている。以下、
図5から
図8を参照しつつ、電子シンバル100の各構成について詳細に説明する。
【0039】
まず、
図5を参照して、第1リング10及び第2リング20について説明する。
図5(a)は、第1リング10の断面図であり、第1リング10の軸心を含む断面を図示している。
図5(b)は、第2リング20の断面図であり、第2リング20の軸心を含む断面を図示している。
【0040】
図5(a)に示すように、第1リング10は、ロッド91a(
図3(a)参照)が挿通可能に形成された円環状の部材であり、第1リング10の軸心方向一端側(
図5(a)上側)にフランジ状に形成されるベル支持部11と、そのベル支持部11よりも下方に位置する第1リング10の外周面から径方向外方へ向けて突出し第1リング10の周方向に沿って延設される第1凸部12とを備えている。
【0041】
ベル支持部11は、外径の異なる2つの部位から構成されており、その2つの部位のうち下側に形成された小径部位が中心部2の挿通孔2b(
図2(b)参照)の内径と同等の外径に設定されると共に、2つの部位のうち上側に形成された大径部位が挿通孔2bの内径よりも大きな外径に設定されている。よって、第1リング10を挿通孔2bに内嵌させると、中心部2はベル支持部11に揺動支持される(
図3(b)参照)。
【0042】
図5(b)に示すように、第2リング20は、ロッド91a(
図3(a)参照)が挿通可能に形成された円環状の部材であり、シンバル支持部92(
図3(a)参照)に揺動支持される揺動部21と、その揺動部21の上面側に立設される複数の立設部22と、それら複数の立設部22の内周面に凹設される第1凹部23とを備えている。
【0043】
揺動部21は、その中心部分に軸心方向(
図5(b)上下方向)に沿って貫通形成される貫通孔21aを備え、その貫通孔21aには、その上側部分(
図5(b)上側部分)に形成された内径が同等の同径部21bと、その同径部21bの下方(
図5(b)下方)に連設されると共に揺動部21における上面側から下面側へ向けて漸次拡径するテーパ部21cとが形成されている。
【0044】
同径部21bは、その内径がロッド91aの外径よりも大きく、かつ、シンバル支持部92の外径よりも小さな寸法に設定されている。また、テーパ部21cは、その最大内径がシンバル支持部92の最大外径よりも大きな寸法に設定され、
図3(a)に示す断面視において、ロッド91aの軸心方向(
図3(a)上下方向)に対するテーパ部21cの下面(
図3(a)下側を向く面)の傾斜角度が、そのテーパ部21cに対向するシンバル支持部92の上面(
図3(a)上側を向く面)のロッド91aの軸心方向に対する傾斜角度よりも大きな角度に設定されている。
【0045】
複数の立設部22は、揺動部21の軸心回りに形成されており(
図4参照)、立設部22の上端には径方向外方へ向けて張り出す張出部22aが形成されている。また、立設部22には、その立設部22の外周面と、張出部22aの下面側と、揺動部21の上面側とにより形成された溝状の第2凹部22bが立設部22の周方向に沿って延設されている。
【0046】
第1凹部23は、第1リング10に形成された第1凸部12(
図5(a)参照)が嵌合可能な溝状に形成されており、複数の立設部22を径方向外方へ押し広げつつ第1凹部23に第1凸部12を嵌合させることで、第1リング10と第2リング20とが連結される(
図3(b)参照)。
【0047】
図3に戻り、センサ収容部30について説明する。センサ収容部30は、第1フレーム31と、その第1フレーム31と別体に構成される第2フレーム32とを備え、それら第1フレーム31及び第2フレーム32が連結リング60を介して互いに連結されている。
【0048】
第2フレーム32には、中心部2の下面側と対向する第2フレーム32の上面側(
図3(b)上側の面)に、第1センサ41と弾性部材43と介設部材50とが配設されると共に、第2フレーム32の下面側(
図3(b)下側の面)に第2センサ42が貼着されている。
【0049】
ここで、
図6を参照して、第1フレーム31について説明する。
図6(a)は、第1フレーム31の上面図であり、
図6(b)は、第1フレーム31の下面図であり、
図6(c)は、
図6(a)のVIc−VIc線における第1フレーム31の断面図である。
【0050】
図6に示すように、第1フレーム31は、樹脂材料から構成される部材であり、中心部2の下面側に対向して配設される円環状の第1底部71と、その第1底部71の内周縁部分に立設される内周立設部72と、第1底部71の外周縁部分に立設される外周立設部73とを備えている。
【0051】
第1底部71は、その一部分が下方側に突出しており、その突出部分には第1センサ41及び第2センサ42と接続ケーブル(図示せず)の一端とを電気的に接続するジャック74が配設されている。なお、
図6(c)では、図面を簡素化するため、ジャック74を模式的に図示している。
【0052】
内周立設部72は、筒状に形成され、内周立設部72の上端部分から径方向内側へ張り出す第2凸部72aが形成されている。
【0053】
第2凸部72aは、第2リング20の第2凹部22b(
図5(b)参照)に嵌合可能に形成されており、第2凸部72aが第2凹部22bに嵌合されることで第1フレーム31が第2リング20に連結される。
【0054】
外周立設部73は、その内径が円環部3のボウ延設部3c(
図2(b)参照)の内径と同等に設定されている。また、外周立設部73には、その内周面から径方向内方へ向けて突出形成されると共に周方向に延設される複数の内周凸部73aが、周方向に所定の間隔を空けつつ周方向等間隔に形成されている。
【0055】
次に、
図7を参照して、第2フレーム、第1センサ41、弾性部材43、介設部材50及び第2センサ42について順を追って説明する。
図7(a)は、第2フレーム32の上面図であり、
図7(b)は、
図7(a)のVIIb−VIIb線における第2フレーム32の断面図であり、
図7(c)は、第1センサ41、弾性部材43、介設部材50及び第2センサ42が配設された状態における第2フレーム32の断面図である。なお、
図7(c)では、
図7(b)に対応する断面が図示されている。
【0056】
図7(a)及び
図7(b)に示すように、第2フレーム32は、樹脂材料から構成される部材であり、円環状の第2底部81と、その第2底部81の上面側に立設される第1リブ82と、その第1リブ82の内周側に位置する第2底部81の上面側に立設される第2リブ83とを備えている。
【0057】
第2底部81は、第1フレーム31の内周立設部72と外周立設部73との間に収容可能に形成されており、第2底部81の内径が、第1フレーム31の内周立設部72の外径よりも大きな寸法に設定されると共に、第2底部81の外径が、第1フレーム31の外周立設部73の内径よりも小さく、かつ、中心部2のベル延設部2cの外径と同等な寸法に設定されている(
図3(a)参照)。
【0058】
第1リブ82及び第2リブ83は、第2底部81の上面視において円環状に形成されるリブ状の部位であり、第1リブ82の内径が第2リブ83の外径よりも大きな寸法に設定されると共に、第1リブ82と第2リブ83とが同心状に配設されている。また、第2リブ83は、第1リブ82よりも第2底部81からの高さ寸法が大きな寸法に設定されている。
【0059】
図7(c)に示すように、第1センサ41は、中心部2(
図3(b)参照)の変位を検出するためのセンサであり、メンブレンスイッチから構成されている。第1センサ41は、円環状に形成されており、その内周側に第1リブ82が内嵌可能に形成されると共に、第1センサ41の外径が第2底部81の外径よりも小さな寸法に設定されている。
【0060】
弾性部材43は、スポンジから構成される部材である。弾性部材43は、円環状に形成されており、弾性部材43の内周側に第1リブ82が内嵌可能に形成されると共に、弾性部材43の外径が第1センサ41の外径よりも小さな寸法に設定されている。
【0061】
介設部材50は、弾性変形可能なフィルムから構成されている。介設部材50は、円環状に形成されており、介設部材50の内周側に第2リブ83が内嵌可能に形成されると共に、介設部材50の外径がベル延設部2c(
図3(b)参照)と同等な寸法に設定されている。
【0062】
第2センサ42は、第2フレーム32の振動を検出するためのセンサであり、圧電素子から構成され、第2フレーム32の下面側に両面テープにより貼着されている。
【0063】
次に、第2フレーム42に対する第1センサ41、第2センサ42、弾性部材43及び介設部材50の配置について説明する。
【0064】
図7(c)に示すように、第1センサ41は、その内周側が第1リブ82に外嵌されることで、第2底部81の上面側(
図7(c)上側)のうち第1リブ82の外周側に位置する部位に載置されている。
【0065】
弾性部材43は、第1センサ41が第2底部81に載置された状態で第1リブ82に外嵌されることで、第1センサ41の上面側に載置されている。
【0066】
介設部材50は、第1センサ41及び弾性部材43が第2底部81に載置された状態で第2リブ83に外嵌されることで、介設部材50の下面側が第1リブ82の上端部分に載置されている。
【0067】
このように、第1センサ41及び弾性部材43を第1リブ82に外嵌すると共に、第1リブ82と同心状に形成された第2リブ83に介設部材50を外嵌することで、第1センサ41、弾性部材43及び介設部材50を同心状に配置することができる。
【0068】
さらに、第1センサ41及び弾性部材43は、その軸心方向(第1センサ41及び弾性部材43の高さ方向、
図7(c)上下方向)に垂直な方向への変位が第1リブ82によって規制されると共に、介設部材50は、その軸心方向(介設部材50の高さ(厚さ)方向、
図7(c)上下方向)に垂直な方向への変位が第2リブ83によって規制されるので、第1センサ41、弾性部材43及び介設部材50が前後左右方向(
図7(c)左右方向、紙面垂直方向)へ互いに相対変位することを防止できる。
【0069】
なお、第1センサ41の上面側に載置された状態における弾性部材43の第2底部81からの高さ寸法が、第1リブ82の第2底部81からの高さ寸法よりも小さな寸法に設定されている。よって、介設部材50を第2リブ83の上端部分に載置することで、介設部材50を弾性部材43から離間させた状態で弾性変形可能に支持することができる。
【0070】
以上のように、第2フレーム32に対して第1センサ41、弾性部材43及び介設部材50を装着する際には、それら第1センサ41、弾性部材43及び介設部材50を第1リブ82又は第2リブ83に嵌合させることで適切な位置に装着できるので、その装着作業を簡素化できる。
【0071】
次に、
図8を参照して、連結リング60について説明する。
図8(a)は、連結リング60の上面図であり、
図8(b)は、連結リング60の下面図であり、
図8(c)は、
図8(a)のVIIIc−VIIIc線における連結リング60の断面図である。
【0072】
図8に示すように、連結リング60は、第1フレーム31、第2フレーム32及び円環部3を互いに連結させるための部材であり、ゴム状弾性体から構成されている。また、連結リング60は、その外周面が円環部3のボウ延設部3cの内径および第1フレームの外周立設部73の内径と略同等に設定されている。
【0073】
連結リング60は、その外周面に突出形成されると共に周方向に延設される複数の外周凸部61と、それら複数の外周凸部61の上方に位置する外周面から径方向外方へ向けてフランジ状に延設されるボウ支持部62と、連結リング60の内周面から径方向内方へ向けて突出すると共に上下方向に間隔を空けつつ周方向に延設される一対の把持部63a,63bと、それら一対の把持部63a,63bのうち上側(
図8(c)上側)に位置する把持部63aから上方へ向けて突出する規制部64とを備えている。
【0074】
連結リング60には、内周凸部73aと同数(本実施の形態では12個)の外周凸部61が形成されており、外周凸部61の外径が外周立設部73の内径よりも小さく、かつ、内周凸部73aの内径よりも大きな寸法に設定されると共に、連結リング60の外周面が内周凸部73aの内径よりも小さな寸法に設定されている。また、連結リング60は、隣接する外周凸部61の間隔(連結リング60の周方向に沿った長さ寸法)が内周凸部73aの周方向に沿った長さ寸法よりも大きく設定されると共に、外周凸部61の周方向に沿った長さ寸法が隣接する内周凸部73aの間隔(外周立設部73の周方向に沿った長さ寸法)よりも小さく設定されている。
【0075】
ボウ支持部62は、外径の異なる2つの部位から構成されている。それら外径の異なる2つの部位のうち下側(
図8(c)下側)に形成された小径部位は、外周凸部61の外径と同等の寸法に設定されている。
【0076】
一方、2つの部位のうち上側(
図8(c)上側)に位置する大径部位は、第1フレーム31の外周立設部73の外径と同等に設定されている(
図3(b)参照)。
【0077】
なお、ボウ支持部62の小径部位の下面と外周凸部61の上面との間には隙間が形成されており、その間隔が第1フレーム31の内周凸部73aの上下幅寸法(
図6(c)上下方向における寸法)よりもわずかに大きく形成されている。
【0078】
ここで、
図3に戻り、連結リング60に対して第1フレーム31と円環部3とを連結する方法について説明する。
【0079】
まず、第1フレーム31、連結リング60及び円環部3を同心状に配置すると共に、連結リング60の下方に第1フレーム31を、それら連結リング60と第1フレーム31との間に円環部3をそれぞれ配置する。これにより、円環部3のボウ延設部3cの上面と連結リング60のボウ支持部62における大径部位の下面とが対向配置されると共に、ボウ延設部3cの下面と第1フレーム31の外周立設部73の上端面とが対向配置される(
図4参照)。
【0080】
次に、その状態から、連結リング60の隣接する外周凸部61の間を第1フレーム31の内周凸部73aが通過するように第1フレーム31と連結リング60との周方向における相対位置を調整した後、外周立設部73の上端面がボウ延設部3cを介してボウ支持部62における大径部位の下面と当接する位置まで第1フレーム31を上方へ移動させる。これにより、内周凸部73aが外周凸部61よりも上方に配置されると共に、ボウ延設部3cがボウ支持部62の大径部位と外周立設部73とにより挟持される。
【0081】
次に、内周凸部73aが外周凸部61よりも上方に配置された状態から、第1フレーム31を連結リング60に対して相対回転させ、内周凸部73aを外周凸部61とボウ支持部62の小径部位との隙間に挿入させる。
【0082】
これにより、内周凸部73aが外周凸部61とボウ支持部62の小径部位との間で把持されて第1フレーム31が連結リング60に連結されると共に、ボウ延設部3cがボウ支持部62の大径部位と外周立設部73の上端面との間で把持されて円環部3が連結リング60に連結される。
【0083】
なお、連結リング60の外周面には、一または複数の外周凸部61の周方向一端側から上方へ延設されるストッパ(図示せず)が形成されている。内周凸部73aが外周凸部61とボウ支持部62の小径部位との隙間に挿入され、外周凸部61と内周凸部73との周方向における相対位置が一致するところまで第1フレーム31が連結リング60に対して相対回転されると、内周凸部73aがストッパに当接され、連結リング60に対する第1フレーム31のそれ以上の相対回転が規制される。
【0084】
即ち、連結リング60に対する第1フレーム31の相対回転が規制されるところまで第1フレーム31を回転させることで、内周凸部73aと外周凸部61とが嵌合したこと(内周凸部73aと外周凸部61との周方向における相対位置が一致したこと)を認知でき、その結果、連結リング60に第1フレーム31を確実に連結できる。
【0085】
このように、第1フレーム31及び円環部3を連結リング60に連結する際には、ボルトや接着剤等が不要であり、第1フレーム31及び円環部3を連結リング60に連結させることで第1フレーム31及び円環部3を同心状に配置できるので、電子シンバル100の組み立て作業を簡素化できる。
【0086】
ここで、本実施の形態では、内周凸部73aと外周凸部61とが、外周立設部73又は弾性リング60の周方向に沿って延設されているが、複数の内周凸部73a及び複数の外周凸部61が全体としてらせん状に形成されるように各々の内周凸部73a及び外周凸部61を水平方向(
図6(c)左右方向、
図8(c)左右方向)に対してわずかに傾斜させ、第1フレーム31を弾性リング60に対して相対回転させることで内周凸部73aと外周凸部61とが螺合結合するように構成してもよい。これにより、第1フレームと連結リング60とを強固に連結することができる。なお、この場合には内周凸部73a又は外周凸部61を周方向に連続して形成された1つの部位として構成してもよい。
【0087】
また、第1フレーム31、第2フレーム32及び円環部3を連結リング60によって互いに連結できるので、電子シンバル100の部品点数を低減させることができる。
【0088】
なお、第1フレーム31と円環部3とを連結させた状態では、連結リング60の上端面が、円環部3のボウ部3aと面一状に配置されるか、ボウ部3aの内周縁部分(傾斜部3bが連設される部分)よりも下方に配置されることが望ましい。これにより、上面側から視た電子シンバル100の審美性を向上させることができると共に、電子シンバル100の演奏時に連結リング60が誤って打撃されることを抑制できる。
【0089】
図8に戻り、一対の把持部63a,63b及び規制部64について説明する。一対の把持部63a,63bの間には第2フレーム32の第2底部81(
図7(b)参照)の外周縁部分が挿入可能な隙間が形成されており、その隙間に第2底部81の外周縁部分を挿入することで、第2底部81が一対の把持部63a,63bに把持され、第2フレーム32が連結リング60に連結される。
【0090】
規制部64は、中心部2の所定以上の揺動を規制する円環状の部位であり、規制部64の外径が中心部2のベル延設部2cの外径と同等の寸法に設定されている。
【0091】
次に、
図3に戻り、電子シンバル100の各構成間の関係について説明する。電子シンバル100がシンバルスタンド91に支持された状態において、第2リング20は、同径部21bにロッド91aが挿通されており、テーパ部21cがシンバル支持部92に揺動可能に支持されている。これにより、第2リング20に連結されたセンサ収容部30及びそのセンサ収容部30に連結された円環部3がシンバルスタンド91に揺動可能に支持されている。
【0092】
また、第1リング10が第2リング20を介してシンバルスタンド91に揺動支持されている。これにより、第1リング10に支持された中心部2がシンバルスタンド91に揺動可能に支持されている。
【0093】
従って、円環部3が打撃されてシンバルスタンド91に対して揺動すると、それに追随してセンサ収容部30、第2リング20、第1リング10及び中心部2もシンバルスタンド91に対して円環部3と一体的に揺動する。
【0094】
フェルトワッシャ94は、第1リング10の内周側に収容された状態で、第2リング20の上面に載置され、その状態で締付ナット93をロッド91aに螺入させることで圧縮される。ロッド91aに対する締付ナット93の締付量を調整することで、ロッド91aに対する第2リング20の揺動しやすさ、即ち、第2リング20及び第1フレーム31を介してロッド91aに揺動支持される円環部3の揺動しやすさを調整することができる。
【0095】
センサ収容部30は、第2フレーム32が第1フレーム31から離間した状態で連結リング60に支持されている。即ち、第2フレーム32は、第2底部81の内周側と内周立設部72との間に間隔を空けつつ、第2底部81を第1底部71から浮かせた状態で連結リング60に保持されている。
【0096】
規制部64は、第1センサ41よりも第2底部81における外周側に位置し、規制部64の第2底部81からの高さ寸法(
図3(b)上下方向における寸法)が、第1センサ41の第2底部81からの高さ寸法よりも高く、かつ、弾性部材43の第2底部81からの高さ寸法よりも低く設定されている。
【0097】
これにより、中心部2が変位していない状態では、ベル延設部2c及び介設部材50と規制部64との間隔が、ベル延設部2c及び介設部材50と弾性部材43との間隔よりも広く設定される。従って、中心部2が打撃された場合に、規制部64よりも先に弾性部材43が介設部材50に当接されるので、第1センサ41を押圧することができる。
【0098】
一方、ベル延設部2c及び介設部材50と規制部64との間隔は、ベル延設部2c及び介設部材50と第1センサ41との間隔よりも狭く設定される。よって、中心部2が所定量を超えて揺動した場合には、ベル延設部2cが介設部材50を介して規制部64に当接され、それ以上の中心部2の揺動が規制される。これにより、第1センサ41が、直接的にベル延設部2c及び介設部材50に押圧されることを防止できる。
【0099】
介設部材50は、中心部2と第1センサ41及び弾性部材43との間に介設され、介設部50の上面側が中心部2のベル延設部2cの下面側に当接している。
【0100】
このとき、その下面側が第1リブ82に支持された状態で第1リブ82よりも外周側がベル延設部2cに当接し、その介設部材50の外周部分がベル延設部2cによってわずかに押し下げられている。これにより、介設部材50が弾性変形し、延設部2cを押し戻す方向へ反力が作用するため、介設部材50がベル延設部2cに当接された状態が維持される。
【0101】
これにより、中心部2が静止している状態、即ち、中心部2が打撃されていない状態における中心部2や介設部材50の揺動を抑制できるので、中心部2が打撃されていない状態における第1センサ41及び第2センサ42の誤検出を低減できる。
【0102】
次に、
図9を参照して、中心部2への打撃を検出する方法について説明する。
図9(a)は、電子シンバル100の断面図であり、
図9(b)は、
図9(a)のIXb部分における電子シンバル100の部分拡大断面図である。なお、
図9(a)には、
図3(a)に対応する断面が図示されており、スティックにより中心部2が打撃された状態を模式的に図示している。また、
図9(b)では、ジャック74の図示を省略している。
【0103】
まず、第1センサ41による中心部2への打撃の検出方法について説明する。
【0104】
図9に示すように、中心部2は、スティックで打撃されると、センサ収容部30に対して相対変位し、打撃された部位が下方へ押し下げられる。
【0105】
これにより、介設部材50は、その外周部分(第1リブ82よりも外周側に位置する部分)が中心部2のベル延設部2cに押圧されて弾性変形する。弾性部材43は、介設部材50を介してベル延設部2cに押圧されて弾性変形し、第1センサ41が、介設部材50及び弾性部材43を介してベル延設部2cに押圧される。
【0106】
電子シンバル100は、第1センサ41が押圧されたことを検出することで、中心部2が打撃されたと判断し、検出信号を音源装置(図示せず)へ出力する。
【0107】
このとき、中心部2は介設部材50を介して弾性部材43を押圧するので、中心部2の振動を弾性部材43によって減衰できる。よって、中心部2への打撃に伴って発生する打撃音を低減させることができる。
【0108】
さらに、中心部2が、介設部材50及び弾性部材43を介して第1センサ41を押圧するので、その押圧に伴う第1センサ41への衝撃を低減させることができる。よって、その衝撃に起因する第1センサ41の破損を抑制できる。
【0109】
また、中心部2が所定量を超えて揺動すると、中心部2が規制部64に当接し、それ以上の中心部2の揺動が規制部64によって規制されるので、中心部2及び介設部材50との衝突に起因する第1センサ41の破損を防止できる。
【0110】
さらに、規制部64が形成された連結リング60はゴム状弾性体から構成されているので、ベル延設部2c及び介設部材50と規制部64との衝突に伴う騒音の発生を抑制することができる。
【0111】
中心部2が弾性部材43及び第1センサ41を押圧している状態では、介設部材50及び弾性部材43は中心部2のベル延設部2cによって押し下げられ、弾性変形しているので、スティックが中心部2から離間し、中心部2による第1センサ41への押圧力の付与が解除されると、介設部材50及び弾性部材43の反力によって中心部2が素早く押し戻される。これにより、中心部2への打撃の検出精度を高めることができる。
【0112】
即ち、中心部2への打撃が終了した際に、中心部2が押し戻されて介設部材50が素早く持ち上げられ、第1センサ41が押圧された状態が解除される。これにより、第1センサ41からの検出信号の出力を停止させることができる。これにより、中心部2への打撃が終了した後の中心部2の振動が第1センサ41によって検出されることを防止できる。
【0113】
また、介設部材50は、その下面側が第1リブ82に支持されており、ベル延設部2cに押圧された状態では、第1リブ82に支持されている部分を支点とし、第1リブ82よりも外周側に位置する部位が押し下げられ、弾性変形している。
【0114】
従って、介設部材50が内周縁部分を支点として押し下げられる場合と比べて、ベル延設部2cにより押圧される部位と支点との間隔を短くすることができるので、ベル延設部2cを押し戻す方向へ作用する反力を大きくすることができる。
【0115】
また、ベル延設部2cは、ベル部2aよりも緩やかに下降傾斜する形状に形成され、介設部材50の外径がベル延設部2cの外径と同等に設定されているので、ベル延設部2cに介設部材50が押圧される際には、介設部材50をベル延設部2cの下面側に沿って弾性変形させやすくすることができる。この場合、介設部材50が広範囲に亘って押し下げられるので、その分、ベル延設部2cを押し戻す方向へ作用する反力をベル延設部2cの広範囲に付与することができる。
【0116】
なお、弾性部材43を構成するスポンジの硬度や、中心部2が静止した状態における弾性部材43と介設部材50との間隔を調整することで、延設部2cを押し戻す方向へ作用する反力の強弱や第1センサ41の感度を設定することができる。
【0117】
ここで、第1センサ41は、ベル部2cが打撃されてベル延設部2cが所定量押し下げられた場合に、中心部2が打撃されたことを検出する。従って、第1センサ41の感度は、ベル延設部2cによって第1センサ41を押圧するにあたり必要となるベル延設部2cのストローク量に左右される。
【0118】
この点に関し、弾性部材43及び介設部材50は円環状に形成されており、弾性部材43の上面と介設部材50の下面とが周方向全体において対向している。よって、弾性部材43の上面及び介設部材50の下面に凹凸があると、介設部材50を介して押圧される弾性部材43の位置によって、中心部2が打撃されたことを第1センサ41によって検出させるために必要なベル延設部2cのストローク量にバラツキが生じる。このバラツキは、中心部2への打撃位置によって第1センサ41の感度に差が生じる要因となるため、中心部2への打撃の検出精度を高めるためには、介設部材50の下面側に高い平面度が要求される。
【0119】
これに対し、介設部材50は、フィルムから構成されているので、介設部材50をゴム状弾性体から構成された成形品により構成する場合と比べて、平面度の高い介設部材50を容易に製造することができる。その結果、中心部2に対する打撃位置による第1センサ41の感度誤差を抑制できるので、中心部2への打撃の検出精度を高めることができる。
【0120】
ここで、本実施の形態では、中心部2が打撃されておらず、第1センサ41がオンされていない状態(第1センサ41が押圧されていない)において介設部材50の下面側が弾性部材43と当接されている(
図3(a)参照)が、中心部2が打撃されていない状態において介設部材50の下面側が弾性部材43から離間するように構成してもよい。この場合には、中心部2が打撃されていない状態における第1センサ41の誤検出をより確実に防止できる。
【0121】
次に、第2センサ42による本体部1への打撃強度の検出方法について説明する。
【0122】
中心部2又は円環部3が打撃され、その打撃に伴う中心部2又は円環部3の振動が第2フレーム32に伝達されると、第2フレーム32の振動が第2センサ42によって検出される。第2センサ42は、第2フレーム32の振動から中心部2又は円環部3への打撃の振動の強度に応じた検出信号を音源装置に出力する。音源装置は、第2センサ42から出力された出力信号に基づいてスピーカ等(図示せず)から放音される楽音の音量を決定する。
【0123】
中心部2が打撃された場合には、その打撃に伴う中心部2の振動が介設部材50から第1リブ82に伝達され、その第1リブ82に伝達された振動が第2センサ42によって検出される。
【0124】
この場合、中心部2を直接的に第2フレーム32に当接させる場合と比べて、第2フレーム32へ伝達される振動を小さくすることができるので、第2フレーム32の過度の振動に起因する第2センサ42の損傷や第2底部81からの脱落を抑制できる。
【0125】
その一方、介設部材50は、中心部2が打撃されていない状態においてもベル延設部2cに当接されており、中心部2が打撃された場合には、中心部2の振動が介設部材50を介して第2フレーム32へ速やかに伝達される。よって、中心部2が打撃されてからスピーカ等(図示せず)から楽音が放音されるまでのタイムラグを短くして、中心部2への打撃の検出精度を高めることができる。
【0126】
円環部3が打撃された場合には、その打撃に伴う円環部3の振動が連結リング60を介して第2底部81へ伝達され、その第2底部81に伝達された振動が第2センサ42によって検出される。
【0127】
この場合において、円環部3の振動が連結リング60によって減衰され、その減衰された振動が第2底部81へ伝達されるので、第2底部81の過度の振動に起因する第2センサ42の破損や第2底部81からの脱落を抑制できる。
【0128】
ここで、円環部3と第2底部81とが円環部3及び第2底部81の周方向における一部分のみで連結される場合では、その連結位置と円環部3に対する打撃位置との距離によって振動伝達経路の長さが異なるため、周方向における円環部3への打撃位置によって第2フレーム32に伝達される振動の差異が大きくなる。
【0129】
これに対し、第2底部81と円環部3のボウ延設部3cとが周方向全体に亘って連結リング60に連結されているので、連結リング60からの径方向における距離(中心部2からの径方向における距離)が同等であれば、円環部3の周方向におけるいずれの位置が打撃された場合であっても、第2フレーム32までの振動伝達経路の長さを同等にすることができるので、第2センサ42による感度分布を均一化することができる。
【0130】
また、センサ収容部30は、第1フレーム31と第2フレーム32とが連結リング60によって連結され、第2フレーム32が第1フレーム31から離間した状態で連結リング60の一対の挟持部63a,63bに保持されている。これにより、第1フレーム31の振動が直接的に第2フレーム32に伝達されることを防止できる。
【0131】
即ち、第1フレーム31は、第2リング20を介してシンバルスタンド91に支持されている。シンバルスタンド91は電子シンバル100を床面から所望の高さ位置で保持するものであり、シンバルスタンド91の周辺にはドラム等の打楽器やスピーカが床面に設置されるのが通常である。
【0132】
従って、電子シンバル100の演奏中は、床面の振動が発生しやすく、その振動はシンバルスタンド91にも伝達される。よって、シンバルスタンド91が第1フレーム31を介して第2フレーム32に伝達されると、本体部1が打撃されていない状態において第2センサ42が第2フレーム32の振動を検出し、本体部1が打撃されたと誤って判断する場合がある。
【0133】
これに対し、第1フレーム31と第2フレーム32とがゴム状弾性体から構成される連結リング60によって連結されることで、第1フレーム31の振動が第2フレーム32へ伝達されることを連結リング60によって抑制できる。また、第2フレーム32が第1フレーム31から離間した状態で支持されているので、第1フレーム31の振動が連結リング60を経由せずに第2フレーム32へ伝達されることを防止できる。
【0134】
よって、シンバルスタンド91の振動に起因する第2センサ42の誤検出を抑制できるので、本体部1への打撃強度の検出精度を高めることができる。
【0135】
なお、電子シンバル100はシンバルスタンド91に揺動支持されるため、ジャック74に接続された接続ケーブル(図示せず)は、電子シンバル100の揺動に伴って振動する。
【0136】
これに対し、ジャック74は、センサ収容部30のうち第1フレーム31に配設されている。従って、接続ケーブルの揺動に起因する振動が第2フレーム32へ伝達されることを抑制できるので、第2センサ42の誤検出を防止できる。
【0137】
次に、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、センサ収容部30に第1センサ41及び第2センサ42が収容される場合について説明したが、第2実施の形態では、センサ収容部230に第2センサ42を収容し、第1センサ41の収容を省略する場合について説明する。なお、上記した実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0138】
図10(a)は、第2実施の形態における電子シンバル200の断面図であり、
図10(b)は、
図10(a)のXb部分を拡大した電子シンバル200の一部拡大断面図である。なお、
図10(a)には、
図3(a)に対応する断面が図示されている。また、
図10(b)では、ジャック74の図示を省略している。
【0139】
図10に示すように、電子シンバル200は、中心部202及び円環部3から構成される本体部201と、中心部202の下方を支持する第2リング220と、第2センサ42と、第2センサ42が収容されるセンサ収容部230と、センサ収容部230を本体部1に連結する連結リング260と、を主に備えている。
【0140】
中心部202は、ベル部202aと、ロッド91aが挿通可能な挿通孔202bと、ベル延設部2cとを備えている。中心部202は、挿通孔202bがロッド91aに挿通され、第2リング220とフェルトワッシャ94との間に挟持された状態でロッド91aに揺動支持されている。
【0141】
第2リング220は、シンバル支持部92に揺動支持される部位であり、第2リング220の上面側が平面状に形成されると共にベル部202aの下面側の形状に沿って弾性変形可能な樹脂材料から構成されている。
【0142】
センサ収容部230は、第1フレーム231と第2フレーム232とを備え、それら第1フレーム231及び第2フレーム232が連結リング260を介して連結されている。
【0143】
第1フレーム231は、第1底部71と、内周立設部272と、外周立設部73とを備え、第1底部71にはジャック74が配設されると共に、内周立設部272の内径が第2リング220の外径よりも大きな寸法に形成されている。
【0144】
第2フレーム232は、樹脂材料から構成される円環状の部材であり、第1フレーム31の内周立設部272と外周立設部73との間に収容可能に形成されている。即ち、第2フレーム232の内径が内周立設部272の外径よりも大きな寸法に設定されると共に、第2フレーム232の外径が外周立設部73の内径よりも小さな寸法に設定されている。
【0145】
連結リング260は、ゴム状弾性体から構成される円環状の部材であり、外周凸部61と、ボウ支持部62と、一対の把持部63a,63bと、中心部202のベル延設部2cを把持するベル把持部264とを備えている。
【0146】
ベル把持部264は、連結リング260の上端部分に位置する内周面から径方向内方へ突出して形成されており、一対の把持部63a,63bのうち上側に位置する把持部63aの上面とベル把持部264の下面との間に隙間が形成されている。その隙間にはベル延設部2cが挿入可能に形成されており、把持部63aとベル把持部264との間にベル延設部2cが挿入されることで、そのベル延設部2cが把持部63aとベル把持部264とにより把持される。
【0147】
電子シンバル200では、中心部202が打撃されると、その振動が連結リング260を介して第2フレーム232に伝達され、その第2フレーム232に伝達された振動が第2センサ42によって検出される。
【0148】
これにより、中心部202の振動が連結リング260により減衰された状態で第2フレーム232に伝達されるので、中心部202を直接的に第2フレーム232に当接させる場合と比べて、第2フレーム232へ伝達される振動を小さくすることができる。これにより、第2フレーム232の過度の振動に起因する第2センサ42の損傷や第2フレーム232からの脱落を抑制できる。
【0149】
また、中心部202がゴム状弾性体から構成される弾性リング260の把持部63aとベル把持部264とに把持されているので、中心部202への打撃に伴って発生する打撃音を低減させることができる。
【0150】
なお、弾性リング260は、周方向における1か所が径方向に沿って分断されている。よって、弾性リング260が無端状に形成される場合と比べて、弾性リング260のベル延設部2cへの装着作業を簡素化できると共に弾性リング260の弾性を自由に設定できる。
【0151】
即ち、弾性リングが無端状に形成される場合では、弾性リングを弾性変形させて弾性リングの内周側に中心部202を嵌め込む必要がある。そのため、弾性リングの弾性をある程度高く設定する必要がある。
【0152】
その一方、弾性リングの弾性が高すぎると、中心部202及び円環部3への打撃による振動が第2フレーム232へほとんど伝達されずに、第2センサ42による第2フレーム232の振動の検出が困難となる場合がある。
【0153】
これに対し、弾性リング260の周方向における1か所が径方向に沿って分断されているので、弾性リング260の変形を容易にしてベル延設部2cへの装着を円滑に行うことができる。また、その結果、弾性リング260の弾性を自由に設定して、第2センサ42による中心部202への打撃の振動検出を精度よく行うことができる。
【0154】
また、第1フレーム231と第2フレーム232とが連結リング260によって連結されることで、第1フレーム231の振動が第2フレーム232へ伝達されることを連結リング260によって抑制できる。また、第2フレーム232が第1フレーム231から離間した状態で支持されているので、第1フレーム231の振動が連結リング260を経由せずに第2フレーム232へ伝達されることを防止できる。
【0155】
よって、シンバルスタンド91の振動に起因する第2センサ42の誤検出を抑制できるので、本体部201への打撃強度の検出精度を高めることができる。
【0156】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0157】
上記各実施の形態では、センサ収容部30,230が第1フレーム31,231及び第2フレーム32,232を備え、それら第1フレーム31,231及び第2フレーム32,232が弾性リング60,260を介して連結される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、センサ収容部が第1フレームと第2フレームとを一体的に形成した一部材から構成されていてもよい。
【0158】
上記各実施の形態では、ボウ延設部3cの下面側が外周立設部73の上端面によって支持される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ボウ延設部3cの下面側を弾性リング60,260の一部分によって支持するように構成してもよい。
【0159】
具体的には、第1実施および第2実施の形態における外周立設部73よりも外周立設部の上端面の高さ位置を低くし、ボウ延設部3cと外周立設部の上端面との間に弾性リング60,260とは別のゴム状弾性体を介設してもよい。あるいは、別のゴム状弾性体を介設する代わりに、ボウ支持部の小径部位の外径を大きくしてボウ延設部3cの外径と同等な寸法に設定し、そのボウ支持部の小径部位をボウ延設部3cと外周立設部の上端面との間に介設してもよい。また、第1又は第2実施の形態における外周立設部73に相当する部位を弾性リングの一部分として構成すると共に第1フレームの外周立設部73を省略し、第1底部71の外周縁部分が弾性リングに保持されるように構成してもよい。
【0160】
このように、ボウ延設部3cの下面側を弾性リングによって支持することで、ボウ延設部3cの振動を早期に減衰させやすくすることができる。
【0161】
また、上記第1実施の形態では、センサ収容部30が第1フレーム31及び第2フレーム32を備え、第2フレーム32に第1センサ41、弾性部材43及び介設部材50が配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2フレーム32を省略し、第1フレームの第1底部に第1リブ82及び第2リブ83を形成し、第1センサ41、弾性部材43及び介設部材50を配設してもよい。これにより、部品点数を低減することができる。
【0162】
上記第1実施の形態では、第2センサ42がセンサ収容部30に収容される場合について説明したが必ずしもこれに限られるものではなく、センサ収容部30の外部、例えば、円環部3の下面側に第2センサ42が装着されていてもよい。
【0163】
上記第1実施の形態では、連結リング60が規制部64を備える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、規制部64が連結リング60とは別体に形成されていてもよい。例えば、第2フレームのうち弾性部材43が配設される位置よりも外周側に円環状の規制部を設けてもよい。
【0164】
上記第1実施の形態では、弾性部材43の外径が第1センサ41の外径よりも小さい場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、弾性部材43の外径が第1センサ41の外径と同等、あるいは、第1センサ41の外径よりも大きな寸法に設定されていてもよい。
【0165】
なお、弾性部材43の外径が第1センサ41の外径と同等である場合には、それら弾性部材43及び第1センサ41を規制部64の内周側に配設することで、弾性部材43及び第1センサ41の上下方向に垂直な方向への変位を規制部64によって規制してもよい。
【0166】
上記第1実施の形態では、第2フレーム32の第2底部81に第1リブ82及び第2リブ83が立設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1リブ82の上端または内周面に連設されると共に径方向内方へ延設されるリブ延設部を形成し、そのリブ延設部の上面側に第2リブを立設してもよい。
【0167】
上記第1実施の形態では、第1リブ82の上端に介設部材50が載置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1リブ82の上端から径方向内方へ向けて又は第2リブ83の外周面から径方向外方へ向けて延設されるリブ延設部を形成し、そのリブ延設部の上面に介設部材50を載置してもよい。
【0168】
上記第1実施の形態では、第1リブ82及び第2リブ83が、第2底部81の上面視において円環状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1リブ82又は第2リブ83が円弧状に形成されていてもよい。
【0169】
上記第2実施の形態では、第1フレーム231が第1底部71と内周立設部272と外周立設部73とから構成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1フレームが外周立設部73から構成され、第1底部71及び内周立設部272が省略された形状、又は、第1フレームが第1底部71と外周立設部73とから構成され、第2内周立設部272が省略された形状、に形成されていてもよい。これにより、第1フレームの軽量化を図ることができるので、打撃された際にシンバルをシンバルスタンド91に対して揺動させやすくすることができる。