【解決手段】コネクタのハウジング10が周壁13内を相手コネクタ2のための受入部16として形成され、端子30は、周壁13の一方の側壁に位置する第一基部35Aから他方の側壁へ向け第一自由端部35B‐3が形成された第一弾性腕部35と、他方の側壁に位置する第二基部36Aから一方の側壁へ向け第二自由端部36B‐3が形成された第二弾性腕部36とを、それぞれ独立して有する第一端子と第二端子の二種の端子として、あるいは第一そして第二弾性腕部が連結された単一端子として形成され、第一そして第二弾性腕部は、相手コネクタの対応嵌合部の進入を許容し、第一および第二自由端部に相手コネクタの対応端子と弾性接触する第一そして第二接触部35C;36Cがそれぞれ形成されている。
相手電気コネクタの対応嵌合部を受け入れる受入部がハウジングの底壁と該底壁から立ち上がる周壁によって囲まれる空間として形成されており、周壁が一方向を長手方向として該長手方向で並行に延びる一対の側壁とこの一対の側壁の一端同士そして他端同士をそれぞれ連結する一対の端壁とを有し、複数の端子が周壁によって保持されていて、相手電気コネクタの対応嵌合部に設けられた対応端子に対して接触する接触部を上記受入部内に有していると共に回路基板との接続とのための接続部をそれぞれ有している電気コネクタにおいて、
端子は、一方の側壁に位置する第一基部から他方の側壁へ向け第一自由端部が形成された第一弾性腕部と、他方の側壁に位置する第二基部から一方の側壁へ向け第二自由端部が形成された第二弾性腕部とを、それぞれ独立して有する第一端子と第二端子の二種の端子として、あるいは第一弾性腕部と第二弾性腕部が連結された単一端子として形成され、第一弾性腕部と第二弾性腕部は、相手電気コネクタの対応嵌合部の進入を許容し、上記第一および第二自由端部に相手電気コネクタの対応端子と弾性接触する第一そして第二接触部がそれぞれ形成されていることを特徴とする電気コネクタ。
第一弾性腕部と第二弾性腕部は、それぞれ独立した第一端子と第二端子に設けられており、第一端子と第二端子が周壁の長手方向で互いに隣接する端子対を形成していることとする請求項1に記載の電気コネクタ。
第一弾性腕部と第二弾性腕部は、第一そして第二基部のそれぞれの位置に、相手電気コネクタの対応端子に対して、コネクタ抜出方向で係止するロック部が設けられていることとする請求項1ないし請求項3のうちの一つに記載の電気コネクタ。
端子は、第一弾性腕部と第二弾性腕部の第一そして第二基部のそれぞれに対して周壁の長手方向で隣接する位置に、第二自由端部そして第一自由端部のそれぞれの上方への弾性変位を規制する第一規制部そして第二規制部が設けられていることとする請求項1ないし請求項4のうちの一つに記載の電気コネクタ。
相手電気コネクタの対応嵌合部を受け入れる受入部がハウジングの底壁と該底壁から立ち上がる周壁によって囲まれる空間として形成されており、周壁が一方向を長手方向として該長手方向で並行に延びる一対の側壁とこの一対の側壁の一端同士そして他端同士をそれぞれ連結する一対の端壁とを有し、シールド部材が周壁によって保持されていて、相手電気コネクタの対応嵌合部に設けられた対応グランド部に対して接触する接触部を上記受入部内に、そして回路基板との接続とのための接続部をそれぞれ有している電気コネクタにおいて、
シールド部材は、一方の側壁に位置する第一基部から他方の側壁へ向け第一自由端部が形成された第一弾性腕部と、他方の側壁に位置する第二基部から一方の側壁へ向け第二自由端部が形成された第二弾性腕部とを、それぞれ独立して有する第一シールド部材と第二シールド部材の二種のシールド部材として、あるいは第一弾性腕部と第二弾性腕部が連結された単一シールド部材として形成され、第一弾性腕部と第二弾性腕部は、相手電気コネクタの対応嵌合部の進入を許容し、上記第一および第二自由端部に相手電気コネクタの対応グランド部と弾性接触する第一そして第二接触部がそれぞれ形成されていることを特徴とする電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
レセプタクルコネクタの電源端子は、プラグコネクタに対するばね性が大きく確保されることが、接触信頼性を高くするという点でも、好ましいことである。特許文献1であっては、電源端子の上記ばね性は該電源端子の側板部の腕長に決まるので、ばね性を大きくすることは、この腕長を大きくするということである。しかし、この腕長はコネクタの信号端子の配列方向に延びる方向であるので、腕長を大きくすると、端子配列外の部分が不要に長くなってしまい、コネクタの同方向での大型化につながる結果になってしまうので、腕長はあまり大きく設定することはできない。また、電源端子は、既述のように、信号端子に比し大電流を流すので幅広となっている。このように、側板部は、腕長をあまり大きくできないこと、そして幅広であることに起因して弾性撓み変位しにくくなり、ばね性を十分大きくすることができない。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑み、コネクタを大型化することなく、相手電気コネクタに対する接触時に、十分なばね性を確保できる端子を有するレセプタクル電気コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電気コネクタは、相手電気コネクタの対応嵌合部を受け入れる受入部がハウジングの底壁と該底壁から立ち上がる周壁によって囲まれる空間として形成されており、周壁が一方向を長手方向として該長手方向で並行に延びる一対の側壁とこの一対の側壁の一端同士そして他端同士をそれぞれ連結する一対の端壁とを有し、複数の端子が周壁によって保持されていて、相手電気コネクタの対応嵌合部に設けられた対応端子に対して接触する接触部を上記受入部内に有していると共に回路基板との接続とのための接続部をそれぞれ有している。
【0010】
かかる電気コネクタにおいて、本発明では、端子は、一方の側壁に位置する第一基部から他方の側壁へ向け第一自由端部が形成された第一弾性腕部と、他方の側壁に位置する第二基部から一方の側壁へ向け第二自由端部が形成された第二弾性腕部とを、それぞれ独立して有する第一端子と第二端子の二種の端子として、あるいは第一弾性腕部と第二弾性腕部が連結された単一端子として形成され、第一弾性腕部と第二弾性腕部は、相手電気コネクタの対応嵌合部の進入を許容し、上記第一および第二自由端部に相手電気コネクタの対応端子と弾性接触する第一そして第二接触部がそれぞれ形成されていることを特徴としている。
【0011】
このような構成の本発明によると、第一そして第二弾性腕部は、従来のコネクタの大きさ(弾性腕部が延びる方向となるコネクタ幅方向での大きさ)のもとで、コネクタ幅方向での一対の側壁同士間距離にわたる腕長をもつようになり、ばね性が大きく確保される。したがって、第一そして第二接触部で、相手電気コネクタを挟圧するようにして相手電気コネクタの端子と接触する際、ばね性が第一そして第二弾性腕部の両方で大きく確保される。その結果、弾性腕部の剛性を大きくすることなく、大きなばね性のもとで接触信頼性を高くすることができる。
【0012】
本発明において、第一弾性腕部と第二弾性腕部は、それぞれ独立した第一端子と第二端子に設けられており、第一端子と第二端子が周壁の長手方向で互いに隣接する端子対を形成しているようにすることができる。このように第一そして第二弾性腕部が対をなすことで、同一形態の端子を各々の側壁に取り付け、保持することができる。
【0013】
また、本発明において、第一弾性腕部と第二弾性腕部は、連結部により連結されて単一端子を形成し、上記連結部が端壁に沿って位置しているようにすることもできる。このような形態の端子は、単一端子として形成されると、連結部で端壁でも保持されることが可能となるので端子の保持力が向上すると共に端子自体の強度の向上も図れる。
【0014】
本発明において、第一弾性腕部と第二弾性腕部は、第一そして第二基部のそれぞれの位置に、相手電気コネクタの対応端子に対して、コネクタ抜出方向で係止するロック部が設けられていることとが好ましい。こうすることで、第一接触部と第二接触部間で相手電気コネクタを挟圧しているので、この挟圧力によってロック部での外れが防止されてコネクタ抜出方向でのロックが確実となる。
【0015】
本発明において、端子は、第一弾性腕部と第二弾性腕部の第一そして第二基部のそれぞれに対して周壁の長手方向で隣接する位置に、第二自由端部そして第一自由端部のそれぞれの上方への弾性変位を規制する第一規制部そして第二規制部が設けられているようにすることができる。こうすることで、第一そして第二規制部が互いに第二そして第一自由端部のコネクタ抜出方向での過度な変形を規制することができ、予期せぬ大きな抜出力が作用しても、端子を変形して損傷されることがなくなる。
【0016】
本発明において、以上のように構成される端子は電源端子もしくはグランド端子として用いることができる。
【0017】
本発明は、グランド用とする場合は、グランド機能に加え、シールド機能をも有するシールド部材とすることができ、次のように構成される。
【0018】
相手電気コネクタの対応嵌合部を受け入れる受入部がハウジングの底壁と該底壁から立ち上がる周壁によって囲まれる空間として形成されており、周壁が一方向を長手方向として該長手方向で並行に延びる一対の側壁とこの一対の側壁の一端同士そして他端同士をそれぞれ連結する一対の端壁とを有し、シールド部材が周壁によって保持されていて、相手電気コネクタの対応嵌合部に設けられた対応グランド部に対して接触する接触部を上記受入部内に、そして回路基板との接続とのための接続部をそれぞれ有している電気コネクタにおいて、シールド部材は、一方の側壁に位置する第一基部から他方の側壁へ向け第一自由端部が形成された第一弾性腕部と、他方の側壁に位置する第二基部から一方の側壁へ向け第二自由端部が形成された第二弾性腕部とを、それぞれ独立して有する第一シールド部材と第二シールド部材の二種のシールド部材として、あるいは第一弾性腕部と第二弾性腕部が連結された単一シールド部材として形成され、第一弾性腕部と第二弾性腕部は、相手電気コネクタの対応嵌合部の進入を許容し、上記第一および第二自由端部に相手電気コネクタの対応グランド部と弾性接触する第一そして第二接触部がそれぞれ形成されていることを特徴とする電気コネクタ。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上のように、周壁の一対の側壁のそれぞれから互いに向きを逆として反対側の側壁へ向けコネクタ幅方向に延びるように第一そして第二弾性部を形成して、それらの自由端部にそれぞれ第一そして第二接触部を設けることとしたので、コネクタを従来に比し大きくすることなく、コネクタ幅方向での与えられたコネクタサイズのもとに、両弾性腕部の腕長を略コネクタ幅寸法にまで大きくすることで、接触部でのばね性を格段に増大する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ1(以下、コネクタ1という)およびこれに対して上方から嵌合される相手コネクタとしてのプラグコネクタ2(以下、相手コネクタ2という)の両コネクタについての斜視図であり、コネクタ嵌合前の状態でいずれも嵌合側を上方に向けて示しており、レセプタクルコネクタとプラグコネクタは嵌合側を上向きとした姿勢である。
【0023】
図2は、
図1の両コネクタであり、下方に位置するコネクタ1へ上方から相手コネクタ2を嵌合させるようにした嵌合直前の姿勢で示した両コネクタの斜視図であり、コネクタ1は
図1と同じ姿勢であるが、相手コネクタ2は
図1のものを上下反転させた姿勢となっている。
【0024】
本実施形態におけるコネクタ1及び相手コネクタ2は、それぞれ異なる回路基板(図示せず)の実装面上に配される回路基板用電気コネクタであり、各回路基板の面に対して直角な方向(
図2での上下方向)を挿抜方向とするコネクタ組立体を構成している。本実施形態では、コネクタ1に対する相手コネクタ2の嵌合方向、すなわち
図2で相手コネクタ2を下方へ向けて移動させる方向を「コネクタ嵌合方向」とし、その反対方向、すなわち
図2での上方へ向かう方向を「コネクタ抜出方向」として説明する。
【0025】
コネクタ1と相手コネクタ2のうち、まず、コネクタ1について説明する。コネクタ1は、
図1そして
図2に見られるように、薄型の略直方体外形をなすハウジング10と、該ハウジング10の長手方向を端子配列方向として該ハウジング10によって二列に配列保持される複数の信号端子20と、上記長手方向で上記ハウジング10の端部に保持された電源端子30とを有している。該コネクタ1は、
図2で示される姿勢で、回路基板上に配置実装される。
【0026】
上記ハウジング10は、例えば樹脂等の電気絶縁材で作られており、回路基板の実装面と平行な一方向を長手方向(端子配列方向)として延びる形態をなしている。該ハウジング10は、上記回路基板の実装面に対して平行な底面をもつ底壁11(
図2及び
図3参照)と、
図1にて、該底壁11から上方へ向けて起立するとともに信号端子配列方向に延びる島状の中央突壁12と、上記底壁11の周部から上方へ向けて起立するとともに上記中央突壁12を囲む枠状の周壁13とを有している。該周壁13は、上記信号端子配列方向に延びる一対の側壁14と、該信号端子配列方向に対して直角なコネクタ幅方向に延び上記一対の側壁14の端部同士を連結する一対の端壁15とを有している。上記中央突壁12とこれを囲む周壁13との間で上方へ向け開口する環状空間は、相手コネクタ2の対応する島状の嵌合部を受け入れるための受入部16として形成されている。
【0027】
上記側壁14は、
図3に見られるように、複数の信号端子を配列保持して信号端子配列領域を定める信号端子保持部14Aと、この信号端子保持部14Aに対して上記長手方向両端側領域、すなわち信号端子配列領域外に位置して、電源端子30を取り付けるための電源端子取付部14Bと有している。
【0028】
上記信号端子保持部14Aと電源端子取付部14Bとの間には、コネクタ幅方向となる側方に突出した境壁14Cが設けられている。また、ハウジング10の端壁15の側面下部には張出部17が設けられていて、該張出部17と上記境壁14Cの下部との間で側壁14の外面に後述の電源端子の被取付部が上方から挿入される取付溝14B−1を形成している。さらに後述するが、この取付溝14B−1にあっては、電源端子の被取付部の側縁に設けられた突起31A,32Aが上記境壁14Cの対応する内壁面にも喰い込んで電源端子の抜けが阻止される。
【0029】
ハウジング10の側壁14の内面は、上記境壁14Cと端壁15との間で段部をもって、端壁15側に没入部14B−2が形成されている。この没入部14B−2は、後述の電源端子の接触部に対して没入量の分で該接触部の弾性変位量を余裕をもって許容する空間を確保している。
【0030】
端壁15は、コネクタ嵌合方向、すなわち
図1〜3で上方からみたときに、
図3のごとく、L字状の角部15Aと二つの角部同士を結ぶ壁部15Bを有し、該壁部15Bには、上方に開口する切欠部15B−1が形成され、さらにこの切欠部15B−1の下端面からは、壁部15Bの外面側で上方へ突出する突壁部15B−2が設けられているとともに、上記長手方向で該突壁部15B−2と隙間をもって対向するようにして、上記端壁15の下端縁からL字状断面をもって立ち上がる対向壁15B−3が設けられている。上記隙間は、後述の電源端子の対応板部の進入を可能とするように該対向板部の板厚より若干大きく副取付溝15B−4として形成されており、該副取付溝15B−4の底部側では上記対向壁15B−3の基部に、図示せぬ係止突部が上方に向けて設けられている。上記突壁部15B−2は、電源端子の対応曲部に適合するように、上端内縁にテーパ斜面が形成されている。
【0031】
信号端子20は、帯状金属板をその厚み方向に屈曲加工されていて、信号端子配列方向で見たときに、逆U字状部分とU字状部分を連結して得られる横S字状をなしている。信号端子20の逆U字状部分は内側脚部と外側脚部を有することで側壁14の信号端子保持部14Aにより保持される被保持部21をなしていて、
図3に見られるように、該信号端子保持部14Aを跨ぐようにして、例えば一体成形にて取り付けられ、内側脚部と外側脚部が側壁14の内面そして外面にそれぞれ位置する。U字状部分は、その下曲部分が底壁11に沿って凹弯曲していて上記側壁の信号端子保持部14Aの下部位置から中央突壁12の側面の位置にわたっている。このU字状部分の自由端側をなす部分が上記中央突壁12の側面に位置していて弾性腕22をなしている。上記被保持部21の内側脚部には相手端子との接触そしてロックを行う突起部21Aが設けられており、コネクタ幅方向でこれと対向する位置では、U字状部の弾性腕22の自由端側には上記内側脚部の方向へ向け横V字状に突出するように屈曲された接触部22Aが設けられていて、相手コネクタの相手端子に対して該接触部22Aが接圧をもって接触し、また、反対側では突起部21Aが係止して抜け防止のためのロックを行う。このような信号端子20は、対向して位置する二つの側壁14の両方で同様に保持され、コネクタ幅方向で島状の中央突壁12に対して対称的に位置して、長手方向で定間隔で配列されている。本発明は、信号端子を本旨とするところではないので、信号端子についてのこれ以上の説明は省略する。
【0032】
電源端子30は、金属板をその板厚方向に屈曲加工して作られており、
図3そして
図5、特に
図5に見られるごとく、コネクタ幅方向で対向して上記ハウジング10の電源端子取付部14Bに形成された取付溝14B−1に取り付けられて、側壁14の外面に沿って延びる二つの被取付部31,32と、二つの被取付部31同士を連結してハウジング10の端壁15に形成された副取付溝15B−4に挿入取付けされる板状の連結部33と、該連結部33の上縁から延び内方に屈曲された曲部34とさらには、上記被取付部31,32の上縁から延出し、二つの側壁14を結ぶコネクタ幅方向にそれぞれ延びる第一そして第二弾性腕部35,36の二つの弾性腕部を有している。
【0033】
電源端子30は、ハウジング10の両方の側壁14に形成された取付溝14B−1にそれぞれ取り付けられる板状の被取付部31,32の側縁に固定用の突起31A,32Aが形成されていて、対応する上記取付溝14B−1の溝面に喰いこんで電源端子30の抜け防止が図られている。また、連結部33には、その下縁にΩ状の係止溝部33Aが形成されて、これに対応してハウジング10の副取付溝15B−4の底部側に上方に向け設けられた既述の係止突部(図示せず)に圧入係止するようになっている。さらに、上記連結部33の上縁からは、ハウジングの内方に向く上記曲部34が設けられており、既出のハウジング10の端壁15に設けられた突壁部15B−2を上方から覆うように位置する。
【0034】
上記電源端子30は、ハウジング10の両方の側壁14にそれぞれ面する板状の被取付部31,32の上縁からハウジングの内側に向けたそれぞれの湾曲部分を第一そして第二基部35A,36Aとして、対向する側壁14に向け第一そして第二弾性腕部35,36が延びている。
【0035】
上記被取付部31,32の下縁は、コネクタ1が回路基板に取り付けられた際に、回路基板の対応電源回路部に当接しここに半田接続されて電源電流を流す接続部として機能する。
【0036】
上記第一そして第二弾性腕部35,36は、上記長手方向で互いに隣接し、自由端へ向け互いに反対となる方向に延びるようにして並んでいる。第一弾性腕部35は上記被取付部31の端壁15寄り部分を第一基部35Aとし、対応する側壁14の内面に沿った第一垂下部分35B−1と、ハウジング10の底壁11に沿って延びる第一底部分35B−2と、第一基部35Aに対し反対側に位置する側壁14の内面に沿って立ち上がる第一自由端部35B−3とによって第一U字状部35Bを形成している。この第一自由端部35B−3には、第一基部35A側に向け屈曲して突出する第一接触部35Cが形成されている。これに対して、第二弾性腕部36は、上記長手方向で上記第一弾性腕部35の腕幅分だけずれて位置する第二基部36Aから上記第一弾性腕部35とは反対方向に延びて第二U字状部36Bを形成している。該第二U字状部36Bは、上記第一弾性腕部35の第一U字状部35Bと同様に、第二垂下部分36B−1、第二底部分36B−2そして第二自由端部36B−3を有し、該第二自由端部36B−3に第二接触部36Cが形成されている。ハウジング10の長手方向で見たときに、第一弾性腕部35の第一U字状部35Bと第二弾性腕部36の第二U字状部36Bは、ほぼ同位置にあり、相手コネクタの嵌合部の進入を許容している。その際、第一弾性腕部35の第一接触部35Cと第二弾性腕部36の第二接触部36Cは、互いに対向する側壁14の側にそれぞれ位置していて、上記相手コネクタの嵌合部を挟圧するようにして相手コネクタの対応端子に接触する。
【0037】
かかる第一弾性腕部35の第一基部35Aと第二弾性腕部36の第二基部36Aには、相手コネクタ2の電源端子60に形成された後述のロック凹部と係止する突起状の第一ロック部35D(図には表われず)と第二ロック部36Dがそれぞれ設けられている。
【0038】
電源端子30は、第一弾性腕部35の第一基部35Aそして第二弾性腕部36の第二基部36Aのそれぞれに隣接して第一規制部37そして第二規制部38がハウジング10の内方に向け突出して設けられている。第一規制部37そして第二規制部38は、それぞれ対応する被取付部31,32の上方から湾曲して突出していて、それらの先端は、上記長手方向で同じ位置にある第二弾性腕部36の第二自由端部36B−3そして第一弾性腕部35の第一自由端部35B−3のそれぞれに近接した直上位置にある。したがって、上記第一規制部37は第二自由端部36B−3に対して、そして第二規制部38は第一自由端部35B−3に対して、相手コネクタの抜出による抜出方向の弾性変位時に当接して過度な変形を阻止する。その結果、第一弾性腕部35そして第二弾性腕部36を傷めることなく、しかも、コネクタ抜出が確実に行われる。上記第一規制部37そして第二規制部38は、いずれも対応する被取付部31そして32にそれぞれ連結されているので、被取付部31そして32は、第一弾性腕部35と第一規制部37の両者の幅を合算した幅を、そして第二弾性腕部36と第二規制部38の両者の幅を合算した幅をそれぞれ有して幅広となり、ガイド機能を向上しているとともに回路基板への半田接続の強度が大きくなる。
【0039】
次に、相手コネクタ2であるが、本実施形態では、この相手コネクタ2も既出のコネクタ1と同様に、対応する回路基板に取り付けられて使用される。したがって、上記コネクタ1と相手コネクタが嵌合接続されると、二つの回路基板の回路部同士が接続されることとなる。
【0040】
相手コネクタ2は、
図1そして
図4に見られるように、電気絶縁材で作られたハウジング40と、該ハウジング40により保持されている該ハウジング40の長手方向に配列された信号端子50と、信号端子配列範囲外となるハウジング40の両端部に取り付けられた電源端子60とを有している。
【0041】
ハウジング40は、既述のコネクタ1のハウジング10に形成された環状の凹部をなす受入部16、すなわち島状の中央突壁12とこれを囲む周壁13との間に形成された空間に嵌合する四角枠状の周壁41と底壁42とを有している。周壁41は側壁43と端壁44とから成っていて、上記コネクタ1の中央突壁12を受け入れる中央凹部45を形成している。
【0042】
信号端子50は金属帯状部材を板厚方向に屈曲加工されて作られている。該信号端子50は、ハウジングの側壁43の上部(
図1の状態で上部)により保持される逆U字状の被保持部51とハウジング40の底壁42から側方に延出して回路基板に半田接続される接続部52とを有している。逆U字状をなす上記被保持部51の内側脚部の面は上記コネクタ1の信号端子20の弾性腕22に設けられた接触部22Aが弾性接触する接触部51Aを形成し、上記被保持部51の外側脚部の面には上記コネクタ1の信号端子20に形成されたロック用の突起部21Aが係止するロック凹部51Bが設けられている。本発明は、信号端子を本旨とするところではないので、信号端子についてのこれ以上の説明は省略する。
【0043】
電源端子60は、上記コネクタ1との嵌合状態で、電源電流をコネクタ1の電源端子30へ流すのに用いられるが、本実施形態では、それとともに、コネクタ1へ嵌合する際に該コネクタ1の電源端子30にガイドされて正規位置へ誘導される機能をも有する。両電源端子30,60は、嵌合開始直前では、相対的に正規の嵌合位置から少なからずずれていることが多く、嵌合開始時には、互いに当接してしまい、特にコネクタの端部、角部で当接力は比較的大きい。したがって、上記ガイド機能を有していると、当接する衝撃力、そして嵌合過程での摩擦力に十分対抗することができる。
【0044】
上記電源端子60は、コネクタ1の電源端子30と同様に、金属板をその板厚方向に屈曲加工して作られており、長手方向端部位置でハウジング40に例えば一体成形にて取り付けられる逆U字状(
図4参照)の被取付部61と、該被取付部61の端部から外側へ延出する接続部62と、ハウジング40の端壁44の外面に位置する端面部63とを一体に有している。
【0045】
上記被取付部61は、上述のように逆U字状をなして内脚と外脚とを有しており、ハウジング40の端壁44により保持されている。上記被取付部61の外脚は、ハウジングの端壁44の側面に形成された凹部44Aに収まる。接続部62はハウジング40の底面に位置して、相手コネクタ2が回路基板に配されたとき回路基板の電源回路部と半田接続されるようになっている。両方の被取付部61の外脚の外面にはそれぞれロック凹部61Aが形成されていて、コネクタ1の電源端子30の第一基部35Aに位置する第一ロック部35Dと第二基部36Aに位置する第二ロック部36Dが係止するようになっている。
【0046】
上記端面部63は、上記両方の被取付部61同士をそれらの内脚の下部で連結する連結部63Aと、該連結部63Aからコネクタの長手方向で外方へ屈曲して延出する接続部63Bと、さらには、上記連結部63Aから上記長手方向で内方へ屈曲して延出する補強部63Cとを有している。このような電源端子60はハウジング40との一体成形後、キャリアとの連結部を切断して、上記接続部63Bが、上記被取付部61から延出する接続部62と同様に回路基板の電源回路部と半田接続され、該接続部62と相俟って電流容量を増大すると共に、コネクタの回路基板に対する保持力を強化している。
【0047】
かくして、相手コネクタ2は、信号端子50そして電源端子60が配列されたハウジング40の外周面で上記コネクタ1に対する嵌合部を形成し、該嵌合部がコネクタ1へ嵌合される。
【0048】
このように構成されるコネクタ1及び相手コネクタ2は、互いに嵌合されて電気コネクタ組立体として使用される。
【0049】
使用に際して、コネクタ1及び相手コネクタ2は、それぞれ信号端子20;50と電源端子30;60が対応の回路基板に半田接続により取り付けられ、
図2のような嵌合直前位置にもたられる。
図2では、回路基板自体の図示は省略されているが、
図2においては、コネクタ1にはその底壁の下面に回路基板が位置し、相手コネクタ2には、上方を向いている底壁の上面に回路基板がそれぞれ位置しており、コネクタ1と相手コネクタ2とは、回路基板同士が互いに平行な状態で、互いに嵌合する方向に対面している。本実施形態では、いずれの図においても、回路基板の図示は省略されている。
【0050】
図2の嵌合直前の姿勢で相手コネクタ2は、そのままコネクタ1へ向け降下される。互いに、正規位置で嵌合が開始された場合には、コネクタ1の環状の受入部16へ相手コネクタ2の嵌合部としての周壁41が嵌入し、これと共に相手コネクタ2の中央凹部45へコネクタ1の中央突壁12が進入し、両コネクタ1,2は、噛み合うように嵌合する。嵌合開始そして嵌合過程では、上記長手方向およびコネクタ幅方向で若干の位置ずれがあった場合、電源端子30の曲部34、第一基部35Aおよび第二基部36Aと電源端子60の逆U字状の被取付部61、補強部63Cとが摺接し合って得られるガイド機能のもとで正規位置へ誘導されて嵌入する。
【0051】
コネクタ嵌合完了時には、コネクタ1の信号端子20はその接触部22Aで相手コネクタ2の信号端子50の接触部51Aに接触し、上記信号端子20のロック用突起部21Aが相手信号端子50のロック凹部51Bに係止して、コネクタの抜けの防止が図られ、端子同士の正規の接触位置が保たれる。
【0052】
一方、コネクタ1の電源端子30に対しては、
図6,7に見られるように、相手コネクタ2の嵌合部が上記電源端子30の二つの弾性腕部、すなわち第一弾性腕部35がU字状部をなす第一基部35Aと第一自由端部35B−3の間と、第二弾性腕部36がU字状部をなす第二基部36Aと第二自由端部36B−3の間へ侵入し、相手コネクタ2の電源端子60が上記第一自由端部35B−3に形成された第一接触部35Cそして第二自由端部36B−3に形成された第二接触部36Cとで挟まれるようにして接触し、さらに、相手コネクタ2の電源端子60に形成されたそれぞれのロック凹部61Aに対して、第一基部35Aに位置する第一ロック部35Dと第二基部36Aに位置する第二ロック部36Dが係止してコネクタの抜出を阻止して正規の嵌合状態を維持した状態で、両コネクタ1,2の電源端子30,60間で、電源電流が流れる。
【0053】
このような、電源端子30を有するコネクタ1によると、互いに独立して弾性変位可能な第一弾性腕部35と第二弾性腕部36のそれぞれの第一接触部35Cと第二接触部36Cとが弾性接触して相手コネクタ2を挟持するので、対向して位置する第一そして第二接触部35C,36Cの二つの接触部で弾性変位を得られることなり、ばね性を大きく確保できる。しかも両側で、第一ロック部35Dと第二ロック部36Dとで相手コネクタ2の抜けを防止するので、相手コネクタが幅方向に傾いて不用意に抜ける傾向も確実に防止される。このため、コネクタ幅方向に若干の位置ずれしたまま嵌合したとき、あるいは、嵌合状態において、位置がずれるような外力が生じたとき、第一接触部35Cまたは第二接触部36が変位するとともに第一ロック部35Dまたは第二ロック部36Dとが第一接触部35Cまたは第二接触部36の変位に追従することによって、ロックの強度が損なわれることなく、接触信頼性を高くすることができる。
【0054】
次に、相手コネクタ2をコネクタ1から抜出するときは、該コネクタ1の第一ロック部35Dと第二ロック部36Dでのロック係止力に抗する大きな抜出力を上記相手コネクタ2に与える。この抜出力を受けて相手コネクタ2が若干抜出方向に移動すると、相手コネクタ2の電源端子60がコネクタ1の電源端子30の第一接触部35Cと第二接触部36Cを摺動して外れようとするので、相手コネクタ2の抜出方向移動の続行を許容する。かくして、相手コネクタ2は抜出される。
【0055】
相手コネクタ2の抜出過程において、コネクタ1の上記第一接触部35Cと第二接触部36Cは上述のごとく、横方向に弾性変位しているため、抜出力を受けて第一弾性腕部35の第一自由端部35B−3と第二弾性腕部36の第二自由端部36B−3は上方にもち上がるように変形する。しかしながら、第一自由端部35B−3と第二自由端部36B−3の直上には、第二規制部38と第一規制部37がそれぞれ位置しているので、第一自由端部35B−3は第二規制部38に、そして第二自由端部36B−3が第一規制部37と当接することで所定量以上の過度な変位が規制される。したがって、この規制のもとで、相手コネクタ2には十分な抜出力を与えることができるし、コネクタ1の弾性腕部を過度な変位で損傷させることもない。
【0056】
本実施例において、被取付部31,32の側縁に固定用の突起31A,32Aが形成されているが、後述する第一そして第二弾性腕部35,36の第二垂下部分35B−1,36B−1に突起31A,32Aが形成されていても良い。その場合も、対応する上記取付溝14B−1の溝面に喰いこんで電源端子30の抜け防止が図られる。また、上記第一そして第二弾性腕部35,36は、上記長手方向で互いに隣接し、自由端へ向け互いに反対となる方向に延びるようにして並んでいるが、コネクタ1の端部に1つづつ、自由端へ向け互いに反対となる方向に延びるようにしていても良いことは言うまでもない。また、本発明は、
図7に示すように第一及び第二弾性腕部35,36がハウジングの底壁11と接面している範囲を加減するようにハウジングの形態を変更して、第一及び第二弾性腕部35,36の弾性を適宜設定できる。なお、本発明は、
図1ないし
図7に示された形態に限定されず、種々変更が可能である。
【0057】
電源端子30の第一弾性腕部35と第二弾性腕部36は、ハウジング10の底壁11に沿って延びていなくとも、
図8に示されるごとく、端壁15に沿って延びるようにしてもよい。この場合、第一弾性腕部35と第二弾性腕部36は上下して隣接するように位置し、コネクタ嵌合方向、すなわち上方から見た場合、U字状となる。第二規制部38に対しては、第一弾性腕部35の第一自由端部35B−3の上側端縁が当接して規制を受けることとなり、第二弾性腕部36の第二自由端部36B−3の上側端部が第一弾性腕部35の基部に当接して規制を受けることとなる。
【0058】
次に、電源端子30は、既出の例のごとくに第一弾性腕部35と第二弾性腕部36とが連結部により連結されて第一端子となっている必要はなく、
図9のごとく、連結部を有することなく、第一弾性腕部35と第二弾性腕部36が分離独立してそれぞれ別の電源端子として形成されていてもよい。この場合も、両端子がハウジングの側壁14で保持された状態で、相手コネクタの一つの電源端子に対し、第一弾性腕部35の第一接触部35Cと第二接触部36Cで両側から相手コネクタ2を挟むようにして接触する。
【0059】
電源端子30は、
図10のごとく、ハウジング10に対して下方から、すなわち相手コネクタに対して反対側の位置から取り付けることも可能である。
図10の形態にあっては、前出の形態で連結部33の下部に形成されていた形状の係止溝部33Aが、
図10に見られるように、上部で上方に開口して形成されており、ハウジングに対して下方から取り付けられるとき、対応するハウジングの係止突部(図示せず)へ下方から圧入係止する。
図10の形態では、電源端子30の被取付部31,32はハウジングの側壁14の内面に面するように位置し、該内面に没して形成された取付溝へ下方から圧入され、被取付部31,32の側縁に形成された突起31Aが上記取付溝の対応溝面に喰い込んで電源端子30の抜けが防止される。このような
図10の形態では、上記被取付部31,32を含め第一そして第二弾性腕部35,36がハウジングの周壁13内に位置することとなる。
図10の形態では、上記被取付部31,32の下端で屈曲されハウジングの外方へ向け屈曲された部分が回路基板との半田接続のための接続部39,39を形成する。
【0060】
図1ないし
図10で説明した電源端子30は、グランド端子として用いることも可能である。その場合、グランド端子は相手コネクタの対応グランド端子と接続される。
【0061】
また、本発明の端子をグランド端子とする場合、シールド部材と一体化してシールド部材がグランド端子をも含めた形態とすることも可能である。
図11に示す形態では、ハウジングの側壁の外面に位置する帯板状のシールド板を有するシールド部材39Aが
図9に示す電源端子と同形のグランド端子30を連結した状態で有している。したがって
図11では、第一弾性腕部35を有するシールド部材と、第二弾性腕部36を有するシールド部材とが分離して形成され、それぞれのシールド部材39Aのシールド板の部分が対応する側壁14の外面に面してシールド効果をもたらすと共に、被取付部31,32の下端縁が回路基板のグランド回路に半田接続されてグランド端子として機能する。
【0062】
また、上記実施例では、レセプタクルコネクタに第一そして第二弾性腕部35,36が形成された電源端子30が取り付けられているが、プラグコネクタに取り付けられていても良いことは言うまでもない。