【解決手段】コネクタ10は、相手側筐体100とシールドパイプ150の間を繋ぐコネクタ10であって、前記相手側筐体100の相手側部材110に固定された相手側端子113と接続可能な端子50と、前記端子50に接続されて引き出され、前記シールドパイプ150に覆われる電線60と、前記端子50を保持するハウジング本体部30及び該ハウジング本体部30から引き出されて露出した前記電線60の前記シールドパイプ150側の箇所を保持する電線保持部40からなるハウジング20と、前記ハウジング20及び露出した前記電線60を覆う筒状の導電性ゴム70とを備えており、前記導電性ゴム70の一端が前記シールドパイプ150に水密可能に固定され、かつ電気的に接続されており、前記導電性ゴム70の他端が前記相手側筐体100に水密可能に固定され、かつ電気的に接続される。
前記ハウジングが前記相手側筐体もしくは前記相手側部材に嵌合される部分を有しており、該ハウジングの嵌合方向と、前記シールドパイプの軸方向とが異なっている請求項1に記載のコネクタ。
前記導電性ゴムは、前記相手側筐体に固定される端部及び前記シールドパイプに固定される端部において金属クランプや結束バンド等で固定されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、ハウジングが複数の部材から成り立ち、その間についても防水性を確保しなければならず、構造が複雑で、部品点数も多く、さらには組み立て工程も複雑であった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、簡素な構成で防水性の確保とノイズ対策を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコネクタは、相手側筐体とシールドパイプの間を繋ぐコネクタであって、前記相手側筐体内の相手側部材に固定された相手側端子と接続可能な端子と、前記端子に接続されて引き出され、前記シールドパイプに覆われる電線と、前記端子を保持するハウジング本体部及び該ハウジング本体部から引き出されて露出した前記電線の前記シールドパイプ側の箇所を保持する電線保持部からなるハウジングと、前記ハウジング及び露出した前記電線を覆う筒状の導電性ゴムとを備えており、前記導電性ゴムの一端が前記シールドパイプに水密可能に固定され、かつ電気的に接続されており、前記導電性ゴムの他端が前記相手側筐体に水密可能に固定され、かつ電気的に接続される。
【0008】
このような構成によると、筒状の導電性ゴムによってハウジング及び露出した電線を覆うことが可能となっている。また、導電性ゴムの両端でそれぞれシールドパイプと相手側筐体に水密状態で固定されることから、コネクタの防水性を確保することが可能となる。また、導電性ゴムがシールドパイプと相手側筐体を電気的に接続することになるため、ノイズ対策も可能となる。さらに、相手側筐体とシールドパイプの間の防水とノイズ対策の機能を導電性ゴムで行うことになるため、従来のものに比べて部品点数及び工数の削減が可能となる。
【0009】
本発明のコネクタの実施の態様として、以下の構成としてもよい。
前記ハウジングが前記相手側筐体もしくは相手側部材に嵌合される部分を有しており、該ハウジングの嵌合方向と、前記シールドパイプの軸方向とが異なっている構成としても良い。
このような構成では、ハウジングの嵌合方向とシールドパイプの軸方向が異なっているため、通常の板金成形によるシールドシェルを用いた場合には、加工が難しくなる。そこで、本発明のような導電性ゴムを用いることが好適である。
【0010】
前記ハウジングは前記電線保持部が前記ハウジング本体部から一体となって突出する構成となっており、前記ハウジング本体部は前記相手側筐体もしくは相手側部材にボルト止めされている構成としても良い。
このような構成では、電線保持部で電線を保持しており、ハウジング本体部が剛体である相手側筐体もしくは相手側部材にボルト止めされているため、電線を経由して伝わってくる振動の伝播を防ぐことができる。つまり、電線側から伝わってくる振動を電線保持部で遮断することが可能になる。
【0011】
前記端子と前記相手側端子とは嵌合により接続しており、前記電線は被覆電線であって、前記ハウジング本体部と前記電線保持部との間で露出した電線の被覆が剥ぎ取られて、芯線がむき出しになることで撓みやすくなっている構成としても良い。
このような構成では、ヒートサイクルによって高温と低温に曝されることで発生する端子間嵌合における微摺動摩耗を、むき出しになった芯線部分の撓み及び伸び縮みによって防止することが可能となる。また、撓む箇所を形成するために編組線などを利用するのに比べて、部品点数を少なくすることができる。
【0012】
前記導電性ゴムは、前記相手側筐体に固定される端部及び前記シールドパイプに固定される端部において金属クランプや結束バンド等で固定されている構成としても良い。
このような構成では、汎用品である金属クランプや結束バンド等で導電性ゴムの端部を固定することで相手側筐体及びシールドパイプに導電性ゴムが固定されるため、専用部材などが必要なく、固定も容易になる。
【0013】
前記相手側部材には、前記相手側端子を収容する端子収容部が形成されており、前記ハウジング本体部には、前記端子を収容しつつ、前記端子収容部と嵌合可能な端子保持部が形成されており、前記端子収容部と前記端子保持部とが凹凸嵌合することで、前記相手側端子と前記端子とを位置決めする構成としても良い。
このような構成では、ハウジングと相手側筐体との間で位置決めがされることになり、相手側端子と端子との接続が行いやすくなる。
【0014】
前記端子収容部の周囲に位置決め穴が形成されており、前記ハウジング本体部には、前記位置決め穴に挿入可能な位置決めピンが形成されており、前記位置決め穴と前記位置決めピンとが凹凸嵌合することで、前記相手側端子が前記端子とを補助的に位置決めする構成としても良い。
このような構成では、端子収容部と端子保持部との嵌合とは別に、その周囲で位置決めがされるため、複数個所で位置決めされることで、さらに精度良く相手側端子と端子との嵌合を行える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡素な構成で防水性の確保とノイズ対策を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態>
本発明の一実施形態を
図1によって説明する。
本実施形態は、高電圧用の電線60が内部に導入されて、機器(例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両のインバータやモータ等)の機器側ケース100に取り付けられるシールドコネクタ10を例示している。なお、以下の説明において、上下方向は、
図1の上下方向を基準とし、前後方向については、
図1の左右方向を基準とし、左方(機器側コネクタ110との嵌合方向)を前方とし、右方(機器側コネクタ110からの離脱方向)を後方として説明する。また、左右方向については、前方から見たときの左右を基準とする。
【0018】
機器側ケース100は、導電性材料から形成されており、機器側コネクタ110と合わせて剛体として扱うことができる。この機器側ケース100は、機器側ケース100の内外を開通する形態で開口してなるフード部101を有している。このフード部101の内部が取付孔105とされている。そして、機器側ケース100の内部には、シールドコネクタ10と嵌合可能な機器側コネクタ110がシールドコネクタ10と嵌合方向に対向する位置に配設されている。なお、機器については、機器側ケース100及び機器側コネクタ110の一部のみを図示し、他の部分は図面上省略されている。
【0019】
機器側コネクタ110の一部が、フード部101内に配されている。そして、フード部101内に配されている機器側コネクタ110は、シールドコネクタ10の端子保持部31を挿入可能な凹形状の端子収容部111と、この端子収容部111の奥壁から突出して設けられたタブ状の機器側端子113とを有している。また、機器側コネクタ110のシールドコネクタ10との機器側当接面110Aには、シールドコネクタ10に設けられた位置決めピン35を挿入可能な位置決め穴115が形成されており、位置決めピン35を挿入することで、機器側端子113とシールドコネクタ10の雌型端子50との位置合わせを可能にする。
【0020】
シールドコネクタ10は、合成樹脂製のハウジング20と、ハウジング20内に収容される一対の雌型端子50と、雌型端子50に接続される電線60と、ハウジング20と電線60の一部を覆う導電性ゴム70とを備えて構成されている。
【0021】
ハウジング20は、断面視略L字状をなし、雌型端子50を収容するハウジング本体部30と、電線60のシールドパイプ150側の箇所を保持する電線保持部40とから構成されている。
【0022】
ハウジング本体部30には、その前面から突出して端子収容部111に挿入可能な端子保持部31が設けられている。端子保持部31は、端子収容部111の内周よりその外周が若干小さめに作られており、端子収容部111との間でクリアランスが設けられている。また、端子保持部31からハウジング本体部30の後端に向かって左右方向(ハウジング本体部30の幅方向)に横並びとなる一対のキャビティ33が設けられており、一対のキャビティ33は、隔壁によって仕切られた状態となっている。キャビティ33内には、雌型端子50がそれぞれ抜け止めされた状態で保持されており、その後端からは、一対の電線60が後方に引き出されている。
【0023】
雌型端子50は、機器側コネクタ110に設けられた雄型(タブ状)の機器側端子113に接続される角筒状の端子接続部51と、この端子接続部51の後方に連なって電線60において露出した芯線61の端末に圧着されるバレル部53とを備えて構成されている。
【0024】
また、ハウジング本体部30の機器側コネクタ110とのハウジング側当接面30Aには、位置決め穴115に挿入可能なピン状の位置決めピン35が設けられている。この位置決めピン35と位置決め穴115とが位置合わせの役割を果たすことで、雌型端子50と機器側端子113とが嵌合可能となる。
【0025】
なお、一般的に、機器側ケース及び機器側コネクタは公差が大きく、端子位置を合わせるためにコネクタ側が合わせに行く必要があり、端子収容部分はフローティング支持とすることがよく行われている。本実施形態では、端子保持部31の外周が端子収容部111の内周より小さく形成されており、クリアランスがあるため、端子収容部111内で端子保持部31が若干移動可能とされている。その一方で、機器側端子113と位置決め穴115の公差は小さくなっている。機器側コネクタ110を成形する際に、位置決め穴115を設けるために金型上にピン状の突起が形成されることで位置決め穴115が形成され、金型の所定位置に機器側端子113を差し込むことで機器側端子113が位置決めされる。そのため、位置決め穴115と機器側端子113の位置は金型によって定まるため、比較的公差が発生しにくくなっている。位置決め穴115と機器側端子113との公差が小さくなっているため、位置決めピン35によって位置合わせがされ、位置合わせされた位置に合わせて端子収容部111内で端子保持部31が移動可能となっているため、雌型端子50と機器側端子113との位置合わせ及び嵌合が可能になる。
【0026】
そして、ハウジング本体部30の下端には、後方に延伸する電線保持部40が形成されている。電線保持部40には、電線60を挿通させて保持する挿通孔41が形成されている。挿通孔41は、電線60の絶縁被覆63を保持可能な程度の大きさとされており、かつ、電線60の芯線61が容易に挿通可能な大きさとされている。電線保持部40が、ハウジング本体部30と一体に成形されており、そのハウジング本体部30がその下端部でボルトBTによって機器側コネクタ110に固定されていることで、電線60を経由して伝わってくる振動の伝播を防ぐことができる。
【0027】
電線60は、複数の金属素線からなる可撓性を有する芯線61が絶縁被覆63によって覆われた構成とされている。この電線60には、高圧の直流電流が流されており、シールドコネクタ10にはこの電線60が2本配線されている。そして、芯線61は軸線方向と交差する方向に撓み可能な程度の可撓性を有しており、この芯線61が絶縁被覆63に覆われることによって電線60が形成されている。
【0028】
また、電線保持部40の上端から雌型端子50のバレル部53までの間の絶縁被覆63が剥ぎ取られることで、可撓性を有する芯線露出部65が形成されている。このシールドコネクタ10は、ヒートサイクルによって高温と低温に曝されることで、雌型端子50と機器側端子113の端子間嵌合において微摺動摩耗の発生する虞がある。しかし、芯線露出部65でむき出しになった芯線61の撓み及び伸び縮みによってこの微摺動摩耗を防止することが可能となる。また、撓む箇所を形成するために編組線などを利用するのに比べて、部品点数を少なくすることができる。さらに、仮に電線保持部40で遮られない振動があっても、外部から電線60を伝わってくる振動を芯線露出部65において吸収させることができるようになっている。そのため、振動が雌型端子50と機器側端子113の嵌合部に伝わることがない。
【0029】
さらに、本実施形態の電線60は、高電圧用の電線であることから絶縁被覆63が分厚くて剛性が高く、かつ、曲げ半径を小さくすることができないところ、電線60の方向を変える電線保持部40とハウジング本体部30との間で、絶縁被覆63を剥ぎ取った芯線露出部65を形成することで、芯線露出部65の曲げ半径を小さくしている。これにより、本実施形態のような高電圧用の電線60であっても、ハウジング20内を配索し易くすることができ、シールドコネクタ10の小型化が行いやすくなる。
【0030】
なお、電線60は、金属製のシールドパイプ150に挿通してシールドコネクタ10近傍まで配線されている。シールドパイプ150は、バッテリーとインバータとの間やインバータとモータとの間等に配索されるワイヤハーネスなどの電線を配線する際に用いられ、高電圧の電流が流れる電線60の発するノイズなどを遮蔽するために用いられている。シールドパイプ150の軸方向は、機器側コネクタ110とシールドコネクタ10との嵌合方向に略直交する方向に配されている。
【0031】
そして、シールドパイプ150と機器側ケース100のフード部101との間に導電性ゴム70が配されている。導電性ゴム70は、筒型のエルボ状の形状をしており、ハウジング20及び芯線露出部65を覆っている。また、導電性ゴム70は、ゴム材料に金属やカーボンブラックなどを添加して導電性を付加したもので、ゴムの柔軟性、防水性を備えた上で導電性を有している。そして、フード部101の外径がシールドパイプ150の外径よりも大きいため、導電性ゴム70はエルボ状の角部を挟んでその内径が異なるものとされている。つまり、フード部101側の端部70Aの内径はシールドパイプ150側の端部70Bの内径よりも大きくなっている。また、導電性ゴム70の端部70Aの内径はフード部101の外径に水密可能に嵌め込み可能な大きさとされており、端部70Bの内径は、シールドパイプ150の外径に水密状態に嵌め込み可能な大きさとされている。
【0032】
この導電性ゴム70の端部70Aは、フード部101の外側に結束バンド75によって水密状態に固定されている。また、導電性ゴム70の端部70Bは、シールドパイプ150のシールドコネクタ10側の端部の外側に結束バンド75によって水密状態に固定されている。このように、導電性ゴム70がシールドパイプ150と機器側ケース100に水密状態に固定されることで、ハウジング20と芯線露出部65が導電性ゴムに覆われている。そのため、導電性ゴム70によって、シールドコネクタ10の防水性を確保しつつ、シールドパイプ150から機器側ケース100の間が電気的に接続されることになる。また、汎用品である結束バンド75を用いることで、専用部材を使う場合に比べて部品コストを下げることが可能になる。
【0033】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。
まず、シールドパイプ150から二本の電線60を引き出して、各電線60の端部において、絶縁被覆63を皮剥ぎする。このとき、本実施形態では、通常よりも絶縁被覆63大きく皮剥ぎし、電線保持部40に保持される位置の手前まで芯線61を露出させることにより、電線60の端部に芯線露出部65を形成する。そして、導電性ゴム70の端部70B側から各電線60を先通しする。
【0034】
次に、各電線60を電線保持部40の挿通孔41に挿通し、その絶縁被覆63部分で電線保持部40が電線60を保持する。そして、芯線61の端部に雌型端子50を圧着する。そして、芯線露出部65が曲げられて、雌型端子50をハウジング本体部30のキャビティ33に挿入して、雌型端子50がハウジング本体部30内に抜け止めされた状態で保持されることにより、電線60がハウジング本体部30と電線保持部40とに保持され、その間の芯線露出部65が曲げられた状態となる。
【0035】
そして、端子保持部31が端子収容部111に挿入が開始され、あらかた位置合わせがされた上で、位置決めピン35と位置決め穴115で位置合わせされることで、端子保持部31が端子収容部111内で雌型端子50と機器側端子113が嵌合可能なように移動される。そのままシールドコネクタ10が前方に移動して、雌型端子50の端子接続部51と機器側端子113が接続される。シールドコネクタ10のハウジング側当接面30Aと機器側コネクタ110の機器側当接面110Aとが当接すると、ハウジング本体部30がボルトBTによって機器側コネクタ110にボルト止めされて固定される。これらの作業の際に、フード部101内に機器側コネクタ110の一部が配されていることで、ハウジング本体部30の大半がフード部101外に露出しており、作業が行いやすくなっている。
【0036】
そして、先通しされていた導電性ゴム70をフード部101側に伸ばして、ハウジング20と芯線露出部65を導電性ゴム70が覆う。導電性ゴム70の端部70Aがフード部101に覆いかぶされて、水密状態に結束バンド75によって固定され、導電性ゴム70の端部70Bがシールドパイプ150の端部に覆いかぶされて、水密状態に結束バンド75で固定される。
【0037】
以上のように本実施形態によれば、筒状の導電性ゴム70によってハウジング20及び芯線露出部65を覆うことが可能となっている。また、導電性ゴム70の両端でそれぞれシールドパイプ150と機器側ケース100に水密状態で固定されることから、シールドコネクタ10の防水性を確保することが可能となる。また、導電性ゴム70がシールドパイプ150と機器側ケース100を電気的に接続することになるため、ノイズ対策も可能となる。さらに、機器側ケース100とシールドパイプ150の間の防水とノイズ対策の機能を導電性ゴム70で行うことになるため、従来のものに比べて部品点数及び工数の削減が可能となる。特に従来の防水用のシールドコネクタでは、部品間ごとに防水用のリング等が必要となっていたため、非常に部品点数が多く作業工程も煩雑になっていた。しかし、本実施形態では、防水を導電性ゴム70のみで行うことができ、非常に作業性に優れている。
【0038】
また、ハウジング20が機器側ケース100に嵌合されるハウジング本体部30を有しており、ハウジング本体部30の嵌合方向と、シールドパイプ150の軸方向とが交差している。
このような構成では、ハウジング本体部30の嵌合方向とシールドパイプ150の軸方向が交差しているため、通常の板金形成によるシールドシェルを用いた場合には、構造が複雑化しやすくなる。そこで、本実施形態のように導電性ゴム70を用いることが好適である。
【0039】
また、ハウジング20は、電線保持部40がハウジング本体部30から一体となって突出する構成となっており、ハウジング本体部30は機器側コネクタ110にボルト止めされている。
このような構成では、電線保持部40で電線60を保持しており、ハウジング本体部30が剛体である機器側コネクタ110にボルト止めされているため、電線60を通じて伝わってくる振動の伝播を防ぐことができる。つまり、電線60側から伝わってくる振動を電線保持部40で遮断することが可能になる。
【0040】
また、雌型端子50と機器側端子113とは嵌合により接続しており、電線60は被覆電線であって、ハウジング本体部30と電線保持部40との間で露出した電線60の被覆が剥ぎ取られて、芯線61がむき出しになることで撓みやすくなっている。
このような構成では、ヒートサイクルによって高温と低温に曝されることで発生する雌型端子50と機器側端子113との端子間嵌合における微摺動摩耗を、むき出しになった芯線61部分の撓み及び伸び縮みによって防止することが可能となる。また、撓む箇所を形成するために編組線などを利用するのに比べて、部品点数を少なくすることができる。
【0041】
また、導電性ゴム70は、機器側ケース100のフード部101に固定される端部70A及びシールドパイプ150に固定される端部70Bにおいて結束バンド75で固定されている。
このような構成では、結束バンド75で導電性ゴム70の端部を固定することで機器側ケース100及びシールドパイプ150に導電性ゴム70が固定されるため、専用部材などが必要なく、固定も容易になる。
【0042】
また、機器側ケース100の機器側コネクタ110には、機器側端子113を収容する端子収容部111が形成されており、ハウジング本体部30には、雌型端子50を収容しつつ、端子収容部111と嵌合可能な端子保持部31が形成されており、前記端子収容部と前記端子保持部とが凹凸嵌合することで、前記相手側端子と前記端子とを位置決めする。
このような構成では、ハウジング本体部30と機器側コネクタ110との間で位置決めがされることになり、機器側端子113と雌型端子50との嵌合が行いやすくなる。
【0043】
端子収容部111の周囲に位置決め穴115が形成されており、ハウジング本体部30には、位置決め穴115に挿入可能な位置決めピン35が形成されており、前記位置決め穴115と位置決めピン35とが凹凸嵌合することで、機器側端子113と雌型端子50とを補助的に位置決めする。
このような構成では、端子収容部111と端子保持部31との嵌合とは別に、精度が出やすい位置決め穴115との嵌合によって機器側端子113と雌型端子50とで位置決めがされるため、複数個所で位置決めされることで、さらに精度良く機器側端子113と雌型端子50との嵌合を行える。
【0044】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、導電性ゴム70は、カーボンブラックなどを添加して導電性をもたせたものとしたが、ゴムの表面に金属配線を施したものでもよいし、編組線の上にゴムをかぶせていても良い。
(2)上記実施形態では、導電性ゴム70の固定に結束バンド75を用いたが、金属クランプなどの他の留め具を用いても良いし、圧入や係合など他の固定手段を用いても良い。
【0045】
(3)上記実施形態では、ハウジング本体部30と電線保持部40とは一体になっていたが、別々であっても良い。その場合には、電線保持部はハウジング本体部もしくは機器側ケースもしくは機器側コネクタに固定されていることが望ましい。
(4)上記実施形態では、ハウジング本体部30に位置決めピン35を形成し、機器側コネクタ110に位置合わせ穴115を形成して、その嵌合によって凹凸嵌合を行っていたが、ハウジング本体部30に凹を形成し、機器側コネクタ110に凸を形成して凹凸嵌合をするようにしても良い。
(5)上記実施形態では、位置合わせを位置決めピン35と位置決め穴115によって行っていたが、位置決めピン35と位置決め穴115をなくし、端子収容部111と端子保持部31とが嵌合して位置合わせが可能なようにしても良い。その場合に、機器側コネクタ110の端子収容部111と端子保持部31との間のクリアランスをほぼなくしても良い。なお、その際に端子収容部と端子保持部の凹凸嵌合関係が、逆になっても良い。
【0046】
(6)上記実施形態では、露出した部分の電線60は、絶縁被覆63が剥ぎ取られて芯線61のみの芯線露出部65とされていたが、絶縁被覆63が剥ぎ取られていなくても良い。また、電線60と編組線を繋げて撓み可能な部分を形成しても良い。
(7)上記実施形態では、電線60は高電圧用の被覆電線とされていたが、高電圧用に限らず他の被覆電線であっても良い。
【0047】
(8)上記実施形態では、シールドパイプ150は、機器側コネクタ110の嵌合方向に直交するように配されていたが、直交以外の異なる方向であっても良いし、軸方向と嵌合方向が同一であっても良い。
(9)上記実施形態では、ボルトBTが機器側コネクタ110に固定されていたが、ボルトBTが固定されるのは、剛体として扱える相手側部材であれば、機器側ケース100でも良いし、相手側(機器側)の他の部材でも良い。
【0048】
(10)上記実施形態では、雌型端子50とされていたが、シールドコネクタ10側が雄側で機器側コネクタ110側が雌側となるようにしても良い。
(11)上記実施形態では、相手側部材として機器側コネクタ110が例示されていたが、端子を固定するものであれば、機器側ケース100内に配された端子台などでも良い。